JP2009043350A - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、装置を小型化できる構成を提供する。
【解決手段】光ピックアップ装置1においては、レンズ駆動ユニット11によってコリメートレンズ5を光軸方向に移動できるようになっている。そして、コリメートレンズ5を光軸方向に移動することにより、球面収差補正の粗調整を行える。また、光源2とコリメートレンズ5との間に屈折率可変素子3が設けられている。この屈折率可変素子3は、通過するレーザ光の屈折率を変更することが可能であり、球面収差補正の微調整を行える。
【選択図】図1
【解決手段】光ピックアップ装置1においては、レンズ駆動ユニット11によってコリメートレンズ5を光軸方向に移動できるようになっている。そして、コリメートレンズ5を光軸方向に移動することにより、球面収差補正の粗調整を行える。また、光源2とコリメートレンズ5との間に屈折率可変素子3が設けられている。この屈折率可変素子3は、通過するレーザ光の屈折率を変更することが可能であり、球面収差補正の微調整を行える。
【選択図】図1
Description
本発明は、光記録媒体に光ビームを照射して情報の読み取りや書き込みを可能とする光ピックアップ装置に関し、より詳細には、球面収差を補正する手段を有する光ピックアップ装置の構成に関する。
コンパクトディスク(以下、CDという。)やデジタル多用途ディスク(以下、DVDという。)といった光記録媒体が普及している。更に、近年、光記録媒体の情報量を増やすために、光記録媒体に記録される情報の高密度化に関する研究が進められ、例えば、高品位のDVDであるHD−DVDやブルーレイディスク(以下、BDという。)といった光記録媒体も実用化され始めている。また、BD等の高密度記録を狙った光記録媒体においては、光記録媒体の厚み方向に複数の記録層を有する光記録媒体の開発が盛んに行われている。
このような光記録媒体からの情報の読み取り(再生)や光記録媒体への情報の書き込み(記録)は、光ピックアップ装置を用いて行われる。ところで、記録層を複数有する光記録媒体について、光ピックアップ装置を用いて情報の読み取り等を行う場合、記録層の位置によって、記録層を保護する透明カバー層の厚みが異なるために、球面収差の発生が問題となる。
また、複数種類の光記録媒体に対応する光ピックアップ装置においても、光記録媒体の種類によって記録層を保護する透明カバー層の厚みが異なるために、球面収差の発生が問題となる場合がある。なお、透明カバー層の厚みをCD、DVD、BDの場合を例に示すと、例えば、CDではその厚みは1.2mmで、DVDでは0.6mm、BDでは0.1mmである。
以上に述べた球面収差の問題は、開口数(NA)の大きな対物レンズが必要となる青色光源を用いた光ピックアップ装置で特に問題となりやすく、近年、球面収差を適切に補正できる光ピックアップ装置に対する要望が強くなっている。このようなこともあり、従来、球面収差を補正する手段を備える光ピックアップ装置について種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
従来提案されている球面収差を補正する手段の例を示すと、例えば、光源から出射された光ビームの収束又は発散状態を変化させて対物レンズに入射させることにより、球面収差の補正を行うものがある。具体的には、2つのレンズを有し、少なくとも一方のレンズが可動するエキスパンダレンズを用いる例や、コリメータレンズを光軸方向に移動可能に構成する例が挙げられる。
また、他の球面収差を補正する手段としては、例えば、光ピックアップ装置の光学系に液晶素子を配置し、これを通過した波面が任意の位相分布を有するように液晶素子に印加する電圧を制御して球面収差の補正を行うものがある。この場合、液晶素子を構成する透明電極について、球面収差の分布形状に対応したパターンを有するように構成する必要がある。
その他、特許文献1に示されるように、上述した2つの球面収差を補正する手段を組合せる例もある。特許文献1によると、2つの収差補正手段のうちの一方は、対物レンズに対する相対位置を光軸方向に変化させて光ビームの対物レンズへの入射光束の発散度又は収束度を変化させることにより、ディスクのカバー層厚みで発生する波面収差のうち低次の波面収差を補正するとされている。そして、他方は、液晶素子を構成する電極に印加する電圧の大きさを任意に制御することで、任意の形状で任意の位相差を有する任意の透過波面を形成でき、高次の波面収差を補正するとされている。すなわち、特許文献1においては、異なる手法で球面収差を補正する2つの収差補正手段を組合せることにより、それぞれの手段の不足点を補って収差の補正を行うことを狙っている。
特開2005−122861号公報
特開2005−158093号公報
特開2005−327396号公報
特開2005−327401号公報
しかしながら、上述した液晶素子を用いて入射するレーザ光に位相差を発生させて球面収差の補正を行う構成には、次のような問題がある。すなわち、この構成の場合、液晶素子の透明電極に複数の領域からなる電極パターンを形成して使用する必要があるために、配線が複雑と成り易い。また、透明電極に形成する電極パターンを精度良く形成し、高い取り付け精度で、液晶素子を光学系に配置することが要求される。これらの精度が低いと、液晶素子を通過した光ビームの位相差が狙いと異なったものとなり、球面収差の補正が十分行えないからである。
この点、上述のコリメートレンズを光軸方向に移動させる構成やエキスパンダレンズを用いる構成等を球面収差の補正を行うための手段として用いる場合、上述した配線の複雑化等について回避することが可能である。しかし、このような構成の場合には、レンズを移動するための手段であるレンズ駆動ユニットが必要となり、従来の構成においては次のような問題点があった。
まず、従来の構成においては、レンズ駆動ユニットはリードスクリュ及びモータを用いてレンズを移動するために、非常に大きな形状となる。また、従来のレンズ駆動ユニットにおいては、可動レンズの位置を正確に管理するために、ステッピングモータを用い、更にフォトインタラプタを備える必要がある。このため、モータのコストが高くなり、また、フォトインタラプタを設けるために余分なスペースが必要となって光ピックアップ装置の大型化の原因となる。更に、リードスクリュによる回転によってレンズを移動させる構成であるために、球面収差の補正を行うための設定を変更する際に、設定の切り換えに時間を要するといった問題もある。
以上の点を鑑みて、本発明の目的は、球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、装置を小型化できる構成を提供することである。また、本発明の他の目的は、球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、製造コストを抑制できる構成を提供することである。更に、本発明の他の目的は、球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、球面収差を補正するための補正量を高速に切り換えられる光ピックアップ装置を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、光源と、前記光源から出射される光ビームを光記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、光軸方向に移動可能とされる可動レンズと、前記可動レンズを駆動するためのレンズ駆動ユニットと、を備える光ピックアップ装置において、前記レンズ駆動ユニットによる前記可動レンズの移動は、球面収差の補正を行う際に粗調整用として使用され、前記光源と前記対物レンズとの間に、通過する光ビームの屈折率を変更可能に設けられ、球面収差の補正を行う際に微調整用として使用される屈折率可変素子を設けたことを特徴としている。
この構成によれば、球面収差の補正について、粗調整する手段と微調整する手段を設ける構成のために、球面収差を適切に補正できる。そして、可動レンズは球面収差補正の粗調整用に使用されるために、可動レンズの移動精度について高い精度が要求されない。このために、レンズ駆動ユニットを低コストで製造することが可能となり、更にはモータを抹消することも可能となる。従来、モータは広いスペースを必要としており、本発明の構成によれば、光ピックアップ装置の小型化が可能である。また、球面収差の補正を微調整する屈折率可変素子を設けたために、可動レンズを移動させる範囲を短縮でき、球面収差を補正するための補正量の切り換えを従来に比べて高速化することも可能となる。
また、本発明は、上記構成の光ピックアップ装置において、前記可動レンズと前記レンズ駆動ユニットとを用いた球面収差の補正と、前記屈折率可変素子を用いた球面収差の補正とは、いずれも前記対物レンズに入射する光ビームの収束又は発散状態に変化を与えることによって行われることとしても良い。
この構成によれば、屈折率可変素子を構成する電極について、複数の領域から成る電極パターンとする必要もなく、屈折率可変素子の構成を簡易な構成とできる。そして、電極をベタ電極とできるために、屈折率可変素子を光ピックアップ装置の光学系に配置するにあたって、取り付け位置精度についての要求も低くできる。
また、本発明は、上記構成の光ピックアップ装置において、前記可動レンズは、コリメートレンズであることが好ましい。この構成によれば、球面収差を補正する手段について従来の構成から大幅に変化させる必要がないために、光ピックアップ装置の小型化等を実現し易い。
また、本発明は、上記構成の光ピックアップ装置において、前記屈折率可変素子は、前記光源と前記可動レンズとの間に配置されるのが好ましい。この構成によれば、微調整用の屈折率可変素子について、電極をベタ電極とした場合においても球面収差の補正を適切に行い易い。
また、本発明は、上記構成の光ピックアップ装置において、前記レンズ駆動ユニットは、コイルと磁石とを備え、前記コイルに電流を流すことによって形成される磁界と、前記磁石によって形成される磁界との相互作用により、前記可動レンズを移動することとできる。
この構成によれば、球面収差の粗調整用に用いられる可動レンズを駆動するレンズ駆動ユニットについて、モータを抹消する構成である。従って、光ピックアップ装置の小型化が図れる。また、可動レンズを移動させる構成を、磁石とコイルを用いる構成としているために、レンズ駆動ユニットに要するコストを低コストとできる。更に、磁石の力を利用して可動レンズを移動するために、可動レンズの移動を素早く行うことが可能であり、球面収差を補正するための補正量の切り換えを高速化できる。
また、本発明は、上記構成の光ピックアップ装置において、前記屈折率可変素子は、印加する電圧に応じて屈折率を変更できる液晶と、前記液晶に電圧を印加するための電極と、を備えることとしても良く、また、前記屈折率可変素子は、印加する電圧に応じて屈折率を変更できる電気光学結晶と、前記電気光学結晶に電圧を印加するための電極と、を備えることとしても良い。電気光学結晶を用いる構成の場合には、特に、液晶を用いる場合に比べて応答速度が速いために、球面収差を補正するための補正量の切り換えを高速に行うという目的に適する。
本発明によれば、球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、装置の小型化、コストの抑制、及び球面収差を補正するための補正量の切り換えを高速に行うこと、のうちの少なくともいずれか一つを実現可能である。
以下、本発明の光ピックアップ装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光ピックアップ装置の構成を示す概略図である。本実施形態の光ピックアップ装置1は、情報が記録される記録層の数が1つの光ディスク(光記録媒体)及び前記記録層の数が2つの光ディスクについて、情報の読み取り及び書き込みを可能に設けられる。なお、図1では、2つの記録層L0、L1を有する2層光ディスクが示されている。
図1に示すように、光ピックアップ装置1の光学系には、光源2と、屈折率可変素子3と、偏光ビームスプリッタ4と、コリメートレンズ5と、立ち上げミラー6と、1/4波長板7と、対物レンズ8と、センサレンズ9と、光検出器10と、が備えられる。
光源2は半導体レーザである。半導体レーザの種類は、光ピックアップ装置1がどのような種類の光ディスク対応するかによって異なってくる。すなわち、例えば、光ピックアップ装置1がBDに対応する場合には405nm帯のレーザ光を、DVDに対応する場合には650nm帯のレーザ光を、CDに対応する場合には780nm帯のレーザ光を、出射する半導体レーザが使用される。
屈折率可変素子3は、印加する電圧を変化させることで屈折率を変化させることができる素子で、印加電圧を制御することにより屈折率の制御を行える。屈折率可変素子3を通過するレーザ光は、屈折率可変素子3の屈折率に応じて屈折力を与えられ、その発散状態(発散角)が変更される。すなわち、屈折率可変素子3を制御することで、球面収差を発生させることが可能である。そして、屈折率可変素子3によって発生させる球面収差を、透明カバー層の厚みの違い等が原因となって発生する球面収差と逆極性とすることにより、球面収差の補正が可能となる。
図2は、本実施形態の光ピックアップ装置1が備える屈折率可変素子3の構成を示す概略平面図である。屈折率可変素子3においては、印加する電圧を変化させることにより屈折率を変更できる材料として液晶21を用いている。そして、液晶21に電圧を印加するために、例えばITO(Indium Tin Oxide)等から成る2つの電極22a、22bで液晶21を挟んでいる。屈折率可変素子3を構成する電極22a、22bは、いずれもベタ電極であり、特に電極パターンは形成されていない。2つの電極22a、22bは、それぞれガラス基板23a、23bに支持されている。
なお、本実施形態においては、印加する電圧を変化させることにより屈折率を変更できる材料として液晶を用いているが、これに限定される趣旨ではない。例えば、液晶の代わりに、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)等の電気光学結晶を用いる構成としても構わない。電気光学結晶を用いる構成の場合、液晶を用いる構成に比べて応答速度が速いという利点を有し、球面収差を補正する補正量の切り換えをよりスピーディに行うことが可能となる。
偏光ビームスプリッタ4は、偏光方向が互いに直交する2つの直線偏光のうち一方を透過させ、他方を反射させる機能を有する。本実施形態の光ピックアップ装置1においては、往路においてはレーザ光が透過され、復路においてはレーザ光が反射されるように構成されている。なお、偏光ビームスプリッタ4は、後述の1/4波長板7と協働して光アイソレータとして機能する。
コリメートレンズ5は、入射するレーザ光を平行光に変換する機能を有する光学部材であるが、本実施形態においては、レンズ駆動ユニット11によって光軸方向(図1の矢印Aで示す方向)に移動可能な可動レンズとなっている。このため、レンズ駆動ユニット11によってコリメートレンズ5の位置を制御することにより、対物レンズ8に入射するレーザ光の収束角又は発散角を変化させることが可能となる。すなわち、コリメートレンズ5の位置の調整により球面収差を発生させることが可能となる。そして、コリメートレンズ5の位置の調整によって発生させる球面収差を、透明カバー層の厚みの違い等が原因となって発生する球面収差と逆極性とすることにより、球面収差の補正が可能となる。
図3は、コリメートレンズ5を光軸方向に駆動するレンズ駆動ユニット11の構成を示す概略斜視図である。図3に示すように、レンズ駆動ユニット11は、レンズホルダ31と、2本のガイドシャフト33a、33bと、永久磁石34と、コイル35と、ストッパ36と、を備えている。
樹脂製のレンズホルダ31は、その略中央部分に貫通孔32を有し、この部分でコリメートレンズ5を保持する。また、レンズホルダ31には、2本のガイドシャフト33a、33bが貫通しており、レンズホルダ31は、ガイドシャフト33a、33bに沿って摺動可能となっている。なお、2本のガイドシャフト33a、33bは互いに平行となるように固定配置されている。また、ガイドシャフト33a、33bは、非磁性材料から成っている。
レンズホルダ31のガイドシャフト33aが貫通する部分には、断面視ドーナツ形状の永久磁石34が嵌入されている。また、永久磁石34が設けられる側のガイドシャフト33aには、コイル35が巻かれている。コイル35は図示しない電極と接続されており、コイル35を流れる電流の大きさ及び向きは、後述の制御部14によって制御可能となっている。
このように構成した場合、コイル35に電流を流すと磁界が形成されるために、この磁界が永久磁石によって形成される磁界と相互作用を起こす。このために、コイル35に流す電流を制御することで、レンズホルダ31をガイドシャフト33a、33bに沿って摺動させることが可能となり、コリメートレンズ5の駆動を行える。ただし、ストッパ36が固定配置されているために、このストッパ36によってレンズホルダ31の移動範囲は規制されることになる。
なお、本実施形態では、一方のガイドシャフト33a側にのみ永久磁石34とコイル35を設ける構成としているが、この構成に限定される趣旨ではなく、更にガイドシャフト33b側にも永久磁石34とコイル35を設ける構成としても勿論構わない。また、本実施形態では、非磁性材料から成るガイドシャフト33aにコイル35を巻きつける構成としているが、この構成に限定されない。すなわち、コイル35に電流を流した時に発生する磁力を増大するために、コイル35は透磁率の大きい物質に巻きつけ、これをガイドシャフト33aの先端に接合する構成等としても良い。
図1に戻って、立ち上げミラー6は、コリメートレンズ5から送られてきたレーザ光を反射して、光軸方向を光ディスク20の記録層L0、L1と直交する方向に変更する機能を有する。
1/4波長板7は、光源2から出射される直線偏光が入射した場合に、円偏光に変換するように配置されている。なお、このように配置した場合、光ディスク20で反射され、1/4波長板7に入射した円偏光は、光源2から出射した直線偏光に対して偏光方向が90°回転した直線偏光に変換される。このために、光ディスク20で反射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ4を透過することなく反射する。すなわち、前述のように、1/4波長板7と偏光ビームスプリッタ4とは、協同して光アイソレータとして機能する。
対物レンズ8は入射したレーザ光を光ディスク20の記録層L0(又は記録層L1)に集光する。対物レンズ8はアクチュエータ12に搭載されており、光軸方向と平行なフォーカス方向と、光ディスク20の半径方向と平行なトラッキング方向とに移動可能とされる。これにより、対物レンズ8の焦点位置が常に光ディスク20の記録層に合致するように制御するフォーカシング制御が可能となる。また、対物レンズ8によって集光されて形成されるビームスポットが、常に光ディスク20に形成されるトラックに追従するように制御するトラッキング制御も可能となる。
また、対物レンズ8の焦点位置を或る記録層から別の記録層(例えば記録層L0から記録層L1等)へとジャンプさせるフォーカスジャンプも、このアクチュエータ12で対物レンズ8の位置をフォーカス方向に移動することにより可能となる。なお、アクチュエータ12の構成については、コイルに流れる電流と永久磁石によって作られる磁界との電磁気的な作用を用いて対物レンズ8を移動させる周知の構成であるために、ここではその説明を省略する。
センサレンズ9は、光ディスク20で反射され、対物レンズ8、1/4波長板7、立ち上げミラー6、コリメートレンズ5の順に通過し、偏光ビームスプリッタ4で反射されたレーザ光を光検出器10の受光領域(図示せず)に集光する。
光検出器10は、光ディスク20で反射されたレーザ光を図示しない受光領域で受光し、光情報を電気信号へと変化する。光検出器10から出力される電気信号は、信号処理部13に送られる。
信号処理部13は、光検出器10から受け取った電気信号を処理して、RF信号、フォーカスエラー信号(FE信号)、トラッキングエラー信号(TE信号)、ジッタ信号等を生成する。なお、RF信号によって情報の読み出しが行われ、FE信号、TE信号に基づいて上述のフォーカシング制御やトラッキング制御が行われる。ジッタ信号は、屈折率可変素子3の設定を決定する指標として用いられる。この点については後述する。
制御部14は、光ピックアップ装置1の動作全体を制御する機能を有する。例えば、制御部14は、屈折率可変素子3、レンズ駆動ユニット11、アクチュエータ12の制御等を行う。
光ピックアップ装置1の全体構成は以上のようであるが、本実施形態の光ピックアップ装置1においては、主に透明カバー層20aの厚みの違いに起因して発生する球面収差の補正を行えるように、屈折率可変素子3と、レンズ駆動ユニット11によって光軸方向に移動可能なコリメートレンズ5と、を備える構成となっている。このように球面収差を補正する手段を2つ設けている理由について説明する。
光ピックアップ装置1においては、2層光ディスクの情報の読み取りや書き込みを行う場合、記録層L0の情報の読み込みや書き込みを行う場合と、記録層L1の情報の読み取り等を行う場合とで、球面収差の補正量を変更する必要がある。2層光ディスクは、その規格によって、記録層L0とL1が形成される位置は決まっている。例えば、BDでは、記録層L0は透明カバー層20aの厚みが0.1mm、記録層L1は透明カバー層20aの厚みが0.075mmと成るようにディスクが形成される。なお、ここでは、記録層L0と記録層L1との間の中間層も含めて透明カバー層と表現している。
このために、理想的には、球面収差を補正する量は予め決まった値となり、球面収差の補正を行うにあたって、コリメートレンズ5を2つの位置の間で切り換える構成とすれば良いということになる。しかし、例えば、光ディスク20の製造ばらつきや光源2から出射されるレーザ光の波長ずれ等が原因となって、理想値では球面収差の補正はできない。従って、コリメートレンズ5の位置を2つの位置で切り換える構成とした上で、更に球面収差の補正量を微調整できる構成を設ける必要がある。
以上の点を考慮して、本実施形態では、球面収差の補正を行う手段を2つ設けている。すなわち、コリメートレンズ5をレンズ駆動ユニット11によって移動することによって球面収差を補正する構成は、2つの位置の間を切り換える機能のみを有する粗調整用の手段として、印加電圧の制御により屈折率の制御を行える屈折率可変素子3は、微調整用の手段として設けている。
次に、本実施形態の光ピックアップ装置1によって、情報の読み取り又は書き込みの対象記録層が、記録層L0から記録層L1へ移動する場合、又は記録層L1から記録層L0へと移動する場合(すなわちフォーカスジャンプする場合)に、球面収差を補正するための設定がどのように切り換わるかについて、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、フォーカスジャンプ時に、球面収差を補正するための設定が変更される手順を示したフローチャートである。
フォーカスジャンプ指令が出ると、レンズ駆動ユニット11によって、コリメートレンズ5が現在の位置から、もう一方の位置に移動される(ステップS1)。具体的には、制御部14からの命令によってコイル35に所定の電流が流され、磁力の引力又は反発力でレンズホルダ31が移動することによってコリメートレンズ5の位置が移動される。この移動は、単に、ストッパ36の両端2点の間でコリメートレンズ5を移動させるものであり、球面収差補正の粗調整に該当する。
球面収差の粗調整を行った段階で、球面収差を補正するための設定が現在の設定で良いか否かが、制御部14で判断される(ステップS2)。この判断は、本実施形態においては、信号処理部13から送られてくるジッタ信号を用いて判断するようになっている。具体的には、ジッタ値が、予め準備しておいた(データをメモリに記憶しておく)所定の閾値よりも小さければ、球面収差を補正するための補正量が良好であると判断し、所定の閾値以上であれば、球面収差を補正するための補正量が不適切であると判断する。
なお、本実施形態においては、ジッタ信号を用いて球面収差を補正するための補正量が良好であるか否かを判断する構成となっているが、これに限定される趣旨ではない。すなわち、再生信号の品質を表す指標を用いれば良く、例えば、トラッキングエラー信号の振幅、RF信号の振幅、エラーレート等を用いて、球面収差を補正するための補正量が良好であるか否かを判断する構成等としても構わない。
球面収差を補正するための設定が現在の設定で良いと判断された場合には、屈折率可変素子3の設定を変更することなく、球面収差の補正するための動作は終了する。一方、現在の設定では、球面収差を補正するための補正量が不適切であると判断された場合には、屈折率可変素子3の設定が変更される(ステップS3)。具体的には、印加電圧の設定が変更され、設定が変更されると、ステップS2に戻って、再度、球面収差を補正するための補正量が良好であるか否かが確認され、その補正量が良好となるまで、この動作が繰り返される。すなわち、屈折率可変素子3によって、球面収差補正の微調整が行われる。
以上のように、本実施形態の光ピックアップ装置1においては、コリメートレンズ5の移動による球面収差の補正を、球面収差補正の粗調整として用いる構成とし、コリメートレンズ5の移動にステッピングモータを使用しない構成としている。このために、従来大きなスペースが必要とされたモータを、レンズ駆動ユニットの構成から抹消することができ、光ピックアップ装置1の小型化を図れる。なお、微調整用に屈折率可変素子3を新たに配置する構成としているが、モータ抹消による効果が大きく、光ピックアップ装置1の小型化が図れる。
また、上述のように、コリメートレンズ5を磁石の力を用いて移動する簡単な構成としているために、ステッピングモータやフォトインタラプタを用いる従来の構成に比べて、コストを抑制することも可能である。
更に、コリメートレンズ5の移動について、本実施形態の場合は、磁力の引力又は反発力でコリメートレンズ5を移動させる構成であるために、ステッピングモータでリードスクリュを回転させながらコリメートレンズ5を移動させる場合に比べてコリメートレンズ5の位置の移動を高速に行える。更に、球面収差補正の微調整を屈折率可変素子3で行う構成であるために、図5に示すように、コリメートレンズ5の位置の可変のみによって球面収差の補正を行う場合に比べて、コリメートレンズ5の移動範囲を短くできる(図5の例では、1.2mm程度短くなっている)。従って、従来に比べ球面収差の補正の設定を高速に行うことが可能となる。なお、図5は、コリメートレンズの駆動量と、球面収差の発生量との関係を示すグラフである。
以上に示した実施形態は一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、球面収差の補正について微調整を行うために設けられる屈折率可変素子3を、光源2とコリメートレンズ5との間に配置する構成としたが、これに限定される趣旨ではない。すなわち、コリメートレンズ5と対物レンズ8との間に配置する構成としても構わない。
ただし、コリメートレンズ5と対物レンズ8との間に配置する構成とする場合には、本実施形態のように屈折率可変素子3が備える2つの電極22a、22bについて、ベタ電極とすると、球面収差を補正できる量が小さくなる。従って、屈折率可変素子3をコリメートレンズ5と対物レンズ8との間に配置する構成とする場合には、屈折率可変素子3が備える2つの電極22a、22bについて、少なくとも一方は同心円状の電極パターンを有する構成とするのが好ましい。しかし、この場合には、屈折率可変素子3について高い取り付け精度が要求されること等なるために、本実施形態の構成が好ましい。
なお、本実施形態のように、屈折率可変素子3を光源2とコリメートレンズ5との間に配置した場合でも、屈折率可変素子3が備える2つの電極22a、22bについて、少なくとも一方は同心円状の電極パターンを有する構成としても構わないが、上述した屈折率可変素子3の取り付け精度の問題等を考慮して、屈折率可変素子3が備える2つの電極22a、22bについてはベタ電極とするのが好ましい。
また、本実施形態においては、球面収差の補正について粗調整を行う構成を、永久磁石34とコイル35とを用いる構成とした。しかし、これに限定される趣旨ではない。すなわち、コリメートレンズ5の位置を粗調整できれば良いために、例えば、DCモータを用いてコリメートレンズ5の位置を調整する構成としても構わない。ただし、この場合には、本実施形態のようにモータの抹消する構成ではないために、光ピックアップ装置1の小型化の効果はあまり期待できない。しかし、ステッピングモータをDCモータとすることで低コスト化は期待できる。また、DCモータを用いる構成とする場合でも、微調整用の屈折率可変素子3を設けたことにより、従来に比べてモータを用いてコリメートレンズ5を移動する距離を短くでき、球面収差を補正するための補正量を高速に切り換えることが可能となる。
また、本実施形態においては、球面収差の補正について粗調整するために設けられる光学素子が、光軸方向に移動するコリメートレンズである場合について示した。ただし、本発明は、これに限られる趣旨ではない。すなわち、例えば、エキスパンダレンズが球面収差の補正を行う場合の粗調整用の光学素子として用いられる場合にも、本発明は適用可能である。
また、本実施形態においては、光ピックアップ装置1はBD、DVD、CD等の一種類の光ディスクについて対応する構成とした。しかし、これに限定される趣旨ではない。すなわち、本発明は、BD、DVD、CD等の複数種類に対応する光ピックアップ装置等にも勿論適用できる。そして、BD、DVD、CD等、透明カバー層の厚みが異なる複数種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置では、上述のように球面収差の発生が問題となるが、これに対しても本発明を適用することにより、球面収差の補正を行える。
本発明によれば、球面収差の補正を行う手段の構成要素としてレンズ駆動ユニットを備える光ピックアップ装置において、装置の小型化、製造コストの抑制、及び球面収差を補正するための補正量の切り換えを高速に行うこと、のうちの少なくともいずれか一つについて実現可能である。従って、本発明の光ピックアップ装置は有用である。
1 光ピックアップ装置
2 光源
3 屈折率可変素子
5 コリメートレンズ(可動レンズ)
8 対物レンズ
11 レンズ駆動ユニット
20 光ディスク(光記録媒体)
21 液晶(又は電気光学結晶)
22a、22b 電極
34 永久磁石
35 コイル
L0、L1 記録層
2 光源
3 屈折率可変素子
5 コリメートレンズ(可動レンズ)
8 対物レンズ
11 レンズ駆動ユニット
20 光ディスク(光記録媒体)
21 液晶(又は電気光学結晶)
22a、22b 電極
34 永久磁石
35 コイル
L0、L1 記録層
Claims (7)
- 光源と、
前記光源から出射される光ビームを光記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、
前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、光軸方向に移動可能とされる可動レンズと、
前記可動レンズを駆動するためのレンズ駆動ユニットと、
を備える光ピックアップ装置において、
前記レンズ駆動ユニットによる前記可動レンズの移動は、球面収差の補正を行う際に粗調整用として使用され、
前記光源と前記対物レンズとの間に、通過する光ビームの屈折率を変更可能に設けられ、球面収差の補正を行う際に微調整用として使用される屈折率可変素子を設けたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記可動レンズと前記レンズ駆動ユニットとを用いた球面収差の補正と、前記屈折率可変素子を用いた球面収差の補正とは、いずれも前記対物レンズに入射する光ビームの収束又は発散状態に変化を与えることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記可動レンズは、コリメートレンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記屈折率可変素子は、前記光源と前記可動レンズとの間に配置されることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
- 前記レンズ駆動ユニットは、コイルと磁石とを備え、前記コイルに電流を流すことによって形成される磁界と、前記磁石によって形成される磁界との相互作用により、前記可動レンズを移動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記屈折率可変素子は、印加する電圧に応じて屈折率を変更できる液晶と、前記液晶に電圧を印加するための電極と、を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記屈折率可変素子は、印加する電圧に応じて屈折率を変更できる電気光学結晶と、前記電気光学結晶に電圧を印加するための電極と、を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007208477A JP2009043350A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | 光ピックアップ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007208477A JP2009043350A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | 光ピックアップ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009043350A true JP2009043350A (ja) | 2009-02-26 |
Family
ID=40443942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007208477A Pending JP2009043350A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | 光ピックアップ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009043350A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011060370A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Pioneer Electronic Corp | 多層光記録媒体、光記録媒体ドライブ装置及びフォーカス引き込み方法 |
-
2007
- 2007-08-09 JP JP2007208477A patent/JP2009043350A/ja active Pending
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