JP2009042737A - 揺動体装置、及びそれを用いた光偏向器 - Google Patents

揺動体装置、及びそれを用いた光偏向器 Download PDF

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Abstract

【課題】可動子の揺動時における渦気流の発生を抑制して、可動子の揺動運動を安定化させることができる揺動体装置を提供する。
【解決手段】揺動体装置は、回転軸114の回りに揺動可能に支持された少なくとも1つの可動子101、102と、可動子101、102の揺動時の渦気流の発生を抑制する第1整流部材106を有する。第1整流部材106は、これが無ければ渦気流が抑制されずに発生する領域である渦気流発生領域の少なくとも一部の空間を占めて渦気流の発生を抑制する。
【選択図】図1-1

Description

本発明は、揺動可能に支持された少なくとも1つの可動子を有する揺動体装置、それを用いた光偏向器、それを用いた光学機器などに関する。揺動体装置は、光偏向器、アクチュエータ、センサなどとして応用可能である。また、光偏向器は、光の偏向走査によって画像を投影するプロジェクションディスプレイや、電子写真プロセスを用いるレーザビームプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置に好適に用いられる。
従来、振動角が正弦波状に変化する正弦波振動を行う可動子を含む光偏向器を使用した光走査系ないし光走査装置が提案されている。正弦波振動を行う光偏向器を使用した光走査系は、ポリゴンミラー等の回転多面鏡を使用した光走査系に比べて、光偏向器を大幅に小型化できる。また、消費電力が少ないこと、半導体プロセスによって製造されるSi単結晶からなる光偏向器は理論上金属疲労が無く耐久性にも優れていること、等の特徴がある。
共振現象を利用した光偏向器において、ねじり振動方向の2つ以上の固有振動モードを同時に励起させて、正弦波状の光走査以外の光走査を行う技術がある(特許文献1参照)。図14は、この光偏向器を説明するための上面図である。平板状の可動部(第1可動子)1001は、図中の上下を2本のねじりバネ1011a、1011bで支持され、永久磁石1041を有している。枠形状の可動部(第2可動子)1002は、その内側にねじりバネ1011a、1011bを支持しており、図中の上下を2本のねじりバネ1012a、1012bで支持されている。枠形状の支持枠1021は、その内側でねじりバネ1012a、1012bを支持している。支持枠1021はプレート部材1000に接着されている。可動部1001、1002及びねじりバネ1011、1012は、2つの固有振動モードを有し、それらの周波数比はほぼ1:2の関係にある。これらの2つのモードを同時に励起することにより、鋸歯状の振動態様で光偏向器を駆動して、角速度の変動が少ない光走査を行うことができる。しかし、図14の光偏向器は、可動部を大きな振動角で揺動するときに可動部付近に生じる気流の乱れなどを特に考慮したものではない。
一方、可動子の振動角及び揺動運動を安定させる光偏向器として、分解図である図15に示す様な光偏向器が提案されている(特許文献2参照)。図15において、光偏向器1は、振動系5とベース台2と蓋体20とからなる。振動系5は、反射ミラー(可動子)8と、これに連結されるねじりバネ9、10と、ねじりバネ9、10が連結される固定枠部7とからなる。ベース台2は、支持部3、4と、支持部3、4の間の上面に形成された凹部2a、2bと、ねじりバネ10を振動させるための凹部2a上の電極11、12とからなる。振動系5を挟持する蓋体20は、偏向する光ビーム(不図示)が透過する材質で形成されている。
この様な光偏向器では、反射ミラー8が振動してねじれ変位した場合、ねじりバネ9、10と固定枠部7との連結点に発生する応力を分散させることができる。それと共に、ねじりバネ9のみに応力が集中することなく、ねじりバネ10にも応力を分散させることができる。従って、ねじりバネ9、10をあまり太くしたり長くしたりしなくてもよく、コンパクトな設計で、反射ミラー8の共振周波数を確保しながら比較的大きな振動角が得られる。また、蓋体20で密封した上で、その中の減圧又は不活性ガスの充填によって、気流の乱れを低減することができる。こうして、振動系の揺動運動を安定させることができる。
特開2005−208578号公報 特開2003−057586号公報
例えば、レーザビームプリンタ等の電子写真プロセスにおいては、レーザ光を感光体上で走査することによって画像を形成する。こうした装置中の光偏向器として、図14に示す様な光偏向器を用いて大きな振動角で走査する場合、気流の乱れ等を低減して可動子の揺動運動を安定させることは考慮され得ていない。この様な気流の乱れが発生すると可動子の振動状態に悪影響を与え、振動ノイズまたは振動のバラツキ(ジッタともいう)が発生する場合がある。可動子にジッタが発生すると、走査精度が低下する。
一方、図15に示す光偏向器の場合、減圧又は不活性ガスの充填によって気流の乱れを低減し、振動角及び揺動運動を安定させることができるとされている。しかし、減圧又は不活性ガスの充填のためのパッケージングにより製造コストが増加しやすい。また、反射ミラー面で偏向走査される光ビームが透過する材質によって蓋体を形成しているため、光ビームの光量が或る程度低下することは避けられない。
上記課題に鑑み、本発明の揺動体装置は、回転軸の回りに揺動可能に支持された少なくとも1つの可動子を含む揺動体装置であって、次の特徴を有する。すなわち、前記可動子の揺動時の渦気流の発生を抑制する第1整流部材を備える。前記第1整流部材は、を設けない場合に発生する渦気流発生領域の少なくとも一部の空間を占める様に設けられる。
また、上記課題に鑑み、本発明の光学機器は、光源と、反射面が設けられた可動子と少なくとも1つの可動子にトルクを印加して可動子を揺動させる駆動手段を含む上記揺動体装置により構成された光偏向器と、光入射目標体とを有すること特徴とする。光偏向器は、前記光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を前記光入射目標体上に入射させる。
本発明によれば、上記の如き第1整流部材が設けられているので、渦気流の発生が抑制され、可動子の振動角が比較的大きい場合でも、ジッタの発生が効果的に抑制され可動子の揺動運動が安定する。従って、本発明の揺動体装置を、例えば、光偏向器として用いる場合、光ビームが上記蓋体などを透過しないので走査光ビームの光量を低下させることなく、安定した光走査を行うことができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態を明らかにすべく、実施例を説明する。
(第1の実施例)
図1-1乃至図5を用いて、本発明の揺動体装置の第1の実施例に係る光偏向器を説明する。図1-1(a)は本実施例の光偏向器の正面図である。図1-1(b)は、図1-1(a)の領域113の平面図である。図1-1に示す如く、本実施例の光偏向器は、第1可動子101と、第2可動子102と、2つの可動子101、102を直列に連結する一直線(ねじり軸114)上に配置された2種類のねじりバネ103、104を有する。第1可動子101は第1ねじりバネ103で支持されている。第2可動子102は第1ねじりバネ103を支持しており、第2ねじりバネ104で支持されている。支持体105は第2ねじりバネ104を支持している。こうして、平板状の第1可動子と第2可動子は、ねじりバネにより、支持体105に対して、回転軸である同一ねじり軸114の回りにねじり振動可能に支持される。図1-1(b)中のθmaxは可動子の振動の最大振動角を表す(このことは、後述する図1-2、図6、図7、図8でも同様である)。
支持基板116は、支持体105及びダンパー部材107を支持している。ダンパー部材107は支持基板116と接着剤で接着されている。ダンパー部材107は、可動子101とねじりバネ103の連結部の反対側において、揺動時に可動子101の縁部が形成する軌跡が描く面の少なくとも一部(ここでは全部)に沿って設けられている。こうした位置に設けるダンパー部材には、ねじりバネなどを通す貫通孔などを設ける必要が無いので、作製が容易となる。ダンパー部材107は、揺動時に可動子101の縁部とこれに対向するダンパー部材の部分との間に存する流体の粘性により可動子101の揺動運動に対してダンピング作用(揺動運動に対して抵抗となる)を及ぼす部材である。
第1可動子101は、反射面110とシリコン部109で構成されている。反射面110の材料は、例えば、アルミニウムであり、真空蒸着により形成することができる。反射面110の最表面には保護膜を形成してもよい。第2可動子102は、シリコン部112と2つの硬磁性体111を有している。シリコン部112の上下両面と2つの硬磁性体111は、夫々、接着剤で接着されている。硬磁性体111は、例えば、永久磁石である。
更に、第1可動子101の近傍には、第1整流部材106と第2整流部材115が配置されている。第1整流部材106は、ダンパー部材107及び第2整流部材115と接着剤で接着されている。第1整流部材106は、流れの速い渦気流の速度を低減し(すなわち、可動子の揺動時の渦気流の発生を抑制し)、第1可動子101の揺動運動を安定させる。ここで、第1整流部材106と揺動時の第1可動子101との最短距離(図1-1(b)の構成で言えば、最大振動角まで振れた第1可動子101の縁部と第1整流部材106の先端部の間の距離)は0.3mmである。
第1整流部材106は、これが無ければ渦気流が抑制されずに発生する領域である渦気流発生領域の少なくとも一部の空間を占めて渦気流の発生を抑制する整流部材である。この整流部材は、可動子近傍の渦気流発生領域に一定の空間を占めて存在すればよいので、必ずしも、図示例の様に、最大振動時の可動子101の面をねじり軸114と直交する方向へ延長した延長面に沿って延びている必要は無い。例えば、可動子近傍の渦気流発生領域に一定の空間を占めてねじり軸114と平行な方向に延びる適当な断面形状(例えば、円形)の棒状部材、メッシュ状の部材などでもよい。ただし、図示例の様に上記延長面に沿って延びている部分を有する場合は、速度の遅くなった気流を安定気流として延長面に沿って導くことができるので、可動子の揺動運動の安定化のために、より好ましい。
本実施例では、第1整流部材106は、ねじり軸114を含み静止時の可動子101の反射面110に垂直な平面に対して略対称に、1対、ハの字状に配置されている。また、第1整流部材106は、渦気流発生領域の渦気流を複数(ここでは、2つ)に分断する様に板状部材が並行して配置された構造(壁面構造)を有する。更に、第1整流部材106のねじり軸114方向の長さは、可動子101の同方向の長さより大きい。すなわち、同方向に延びる渦気流発生領域の全領域に亘って第1整流部材106が存在して、渦気流発生領域の渦気流をより確実に抑制している。
第2整流部材115は、第1整流部材106で速度の遅くなった気流を安定した気流にし、新しい渦が発生するのに必要な新しい気体の流入を抑える役割を有する。このことで、第1可動子101の揺動運動は更に安定する。図1-1(b)で示す例では、第2整流部材115は、静止時の可動子101の面と平行な面を有し、かつ可動子101との最短距離が、可動子101と第1整流部材106との最短距離より大きく設定されている。第2整流部材115のねじり軸114方向の長さも、可動子101の同方向の大きさより大きくなっている。
図1-1(b)で示す第2整流部材115に替えて或いは加えて、第2整流部材は、図1-1(b)において一点鎖線で示す位置に符号155で示す様に配置することもできる。こうした配置の第2整流部材155でも、同様な効果が得られる。
ギャップ117は、第1可動子101の揺動時にダンパー部材107の面と第1可動子101の縁部とが直接対向する際の隔たりの最短距離を示す。ここでは、ギャップ117は0.1mmである。第1可動子101の揺動時に生じる上記ダンピング効果により、不要な振動が相対的に大きく低減され、第1可動子101の振動が更に安定する。すなわち、揺動時に第1可動子101の縁部とこれに対向するダンパー部材107の部分であるダンパー面との間に存する流体の粘性により第1可動子101の揺動運動に対してダンピング作用が及ぶ。この際、第1可動子101の揺動運動は種々の運動成分を有しているが、全成分に対してほぼ等しい抑制力すなわちダンピング作用が働く。従って、相対的に小さいジッタなどの不要成分が主要な成分に対して相対的に大幅に低減され、所望の必要な揺動運動のみが実質的に残って揺動運動が更に安定化される。本発明は、可動子に対してその揺動を妨げる様な抵抗を敢えて加えることにより揺動運動を安定化させるものである。
第1整流部材106と第2整流部材115とダンパー部材107の材料は、例えば、樹脂であり、一体で金型成形されてもよい。この場合、量産に適しており、低コスト化も可能となる。
第1可動子101のシリコン部110は、ねじり軸114と直交する方向の長さが、例えば、3mm、ねじり軸114と平行な方向の長さが、例えば、1mmである。第2可動子102のシリコン部112は、ねじり軸114と直交する方向の長さが、例えば、3.0mm、平行な方向の長さが、例えば、1.5mmである。支持体105と第2ねじりバネ104と第2可動子102のシリコン部112と第1ねじりバネ103と第1可動子101のシリコン部109とは、一体形成することができる。例えば、単結晶シリコン基板から、半導体製造方法のフォトリソグラフィとドライエッチングにより一体形成することができる。こうすれば、加工精度が高く、小型の光偏向器を形成することが可能となる。
また、第2可動子102の両面に夫々1つずつ接着された硬磁性体111である永久磁石の下部には、コイル108が配置されている。コイル108は、スペーサ(不図示)を介して支持体105を支持する基板116上に設けられている。ここで、コイル108の中央の空隙部に、透磁率の高い材料で作成されたコア(図示しない)が配置されてもよい。基板116とコイル108は接着されている。硬磁性体111である永久磁石とコイル108は駆動手段を構成し、コイル108に電流を流すと第2可動子102上の硬磁性体111にトルクが作用し、複数の可動子を含む振動系全体が駆動される。
本実施例の駆動原理を説明する。本実施例の光偏向器は、ねじり軸114を中心としたねじり振動に関し、基準周波数となる周波数f0の1次の固有振動モードと基準周波数の2倍の周波数の2次の固有振動モードを有する2自由度振動系として扱うことができる。駆動手段のコイル108は、この1次の固有振動モードの周波数と、これに対して同位相で2倍の周波数との2つの周波数で本実施例の光偏向器を駆動する。
図2(a)は、横軸を時間tとして、第1可動子101の周波数f0のねじり振動の振動角を説明する図である。図2(a)は、特に第1可動子101のねじり振動の1周期T0に相当する部分を示している(−T0/2<t<T0/2)。
曲線61は、コイル108に印加する駆動信号による振動のうち、基準周波数f0の成分を示しており、最大振幅±φ1の範囲で往復振動し、時間t、角周波数w0=2πf0として、次の式1で表される正弦波振動である。
θ1=φ1sin[w0t] (式1)
一方、曲線62は、基準周波数f0の2倍の周波数成分を示しており、最大振幅±φ2の範囲で振動し、次の式2で表される正弦波振動である。
θ2=φ2sin[2w0t] (式2)
曲線63は、この様な駆動の結果生じる第1可動子101のねじり振動の振動角を示している。可動子を含む振動系は、前述の様にねじり振動について2自由度振動系として扱うことができ、基準周波数f0の固有振動モードと周波数2f0の2次の固有振動モードをねじり軸114回りのねじり振動について有している。そのため、本実施例の光偏向器には、駆動信号に励起された上記θ1、θ2の共振が夫々生じる。つまり、曲線63の第1可動子101の振動角は、2つの正弦波振動の重ね合わせの振動となり、次の式3で表される鋸歯状の振動となる。
θ=θ1+θ2=φ1sin[w0t]+φ2sin[2w0t] (式3)
図2(b)は、図2(a)の曲線61、63、直線64を微分した曲線61a、63a、直線64aを示しており、これらの曲線の角速度を説明している。基準周波数f0の正弦波振動の角速度である曲線61aと比べ、可動子の鋸歯状の往復振動の角速度を示す曲線63aは、次の様になっている。すなわち、区間N−N’において、極大点の角速度V1、極小点の角速度V2を最大・最小とする範囲に角速度が収まっている。従って、本実施例の光偏向器による光の偏向走査を利用する応用において、等角速度走査である直線64aからの角速度の許容誤差以内にV1、V2が存在するならば、区間N−N’は実質的な等角度走査範囲とみなすことができる。この様に、鋸歯状の往復振動によって、偏向走査の角速度は、振動角が正弦波であったときと比べ、実質的な等角速度となる領域を広く設定することができるため、偏向走査の全域に対する利用可能な領域を大きくすることができる。
上記説明では、特に2つの固有振動モードの周波数が略2倍の関係を説明したが、これを略3倍にした場合は、重ね合わせの揺動運動の形状は略三角波となる。この場合、往復偏向走査の往路と復路で略等角速度の領域が現れるため、往路と復路で等角速度領域を利用する応用に特に好適となる。
上記の様な駆動を行う場合、複数の固有振動モードを所望の関係に調整し、かつ、振動角及び揺動運動を安定させなければならない。本実施例の光偏向器では、ねじり軸114に対して、第2可動子102の慣性モーメントI2を第1可動子101の慣性モーメントI1より大きくすることによって、2つの固有振動数を所望の関係に調整することが容易となる。
例えば、第1可動子と第2可動子の慣性モーメントがI1>I2の関係である場合、慣性モーメントI1を変化させると、2つの固有振動数の両方が大きく変化してしまう。また、慣性モーメントI2を変化させても、2つの固有振動数の両方が大きく変化してしまう。従って、2つのねじりの固有振動数を個別に充分に調整することはできない。一方、第1可動子と第2可動子の慣性モーメントがI1<I2の関係である場合、慣性モーメントI1或いはI2を変化させると、一次の固有振動モードと2次の固有振動モードのどちらかを主に変化させることができる。望ましくは、I2がI1の4倍以上であるのがよい。
従って、光偏向器を作製した際の形状ばらつきなどにより、2つの固有振動モードが所望の関係にない場合、慣性モーメントI1或いはI2を調整することにより、2つのねじりの固有振動モードを所望の周波数の関係にできる。
また、慣性モーメントI2を大きくすることによって、固有振動モードの振幅増幅率(共振の鋭さQ値)を向上させることができる。慣性モーメントを大きくして、振幅増幅率を大きくし、振動エネルギーの分散を抑制することによって、振動角及び揺動運動の安定性を向上させることができる。
渦気流について、更に説明する。図3は、図1-1に示す光偏向器において揺動時の第1可動子101近傍に何も設置されていない場合の光偏向器である。また、図3は、第1可動子101を通りねじり軸114と垂直な平面における断面に、流体計測によって得られた揺動時の気流の状態を模式的に示した図である。図3において、振動角0度(0deg)時(静止時)の第1可動子101の両端(図3の左右方向の縁部)近傍から気体が流入する。そして、最大振動角時の第1可動子101の両端近傍から渦気流が発生し、ねじり軸114周りでは停滞気流が発生している。渦気流は速度が速く不安定であり、可動子の揺動運動を不安定にする。
図4は、図3に示す光偏向器の第1可動子101近傍に第1整流部材106と第2整流部材115を設置した光偏向器である。第1可動子101と第1整流部材106と第2整流部材115の位置関係は、図1-1に示す光偏向器と同様である。整流部材固定部407は第1整流部材106と第2整流部材115を固定している。ここでは、整流部材固定部407はダンパー部材の機能は持たない。従って、ねじり軸114に垂直な第1可動子101の縁部が形成する軌跡面の近くは開口部410になっている。支持基板116は整流部材固定部407を固定している。
図3と図4の構成において、第1可動子101の振動角ないし揺動運動の安定性を実際に測定した結果を次に示す。図5は第1可動子101の振動角の安定性を測定する実験系である。波成器805によって生成された正弦波を増幅器806で増幅し、図示しないコイルに交流電流を流すことで第1可動子101を振動させる(最大振動角38deg)。光源803から出射した光線802を、振動している第1可動子801で反射させて、2つのビームディテクタ(BD)804で受光させる。2つのBD804は、夫々、振動角±30degの時に光が来る位置に設置されており、走査毎に、BD804間の受光時間間隔を図示しないタイムインターバルアナライザで測定する。この様に測定された走査毎のBD間の受光時間間隔から得られた走査ムラにより、第1可動子101の振動角の安定性を評価する。走査ムラは、受光時間間隔のpeak-to-peak値の平均で表す。
走査ムラの測定結果は、図3における光偏向器に比べて、図4における光偏向器は55%低減していた。また、そのときの駆動電流値の差は数%程度であった。つまり、走査ムラが低減した要因は、第1整流部材106、第2整流部材115によって空気抵抗を増加させたのではなく渦気流を抑制ないし低減させたことにあると言える。この様に、実験によっても渦気流の抑制による走査ムラの低減が確認されている。
ここで、第2可動子102のねじり軸114と直交する方向の長さを第1可動子101のねじり軸114と直交する方向の長さより長くしても振動角の安定性は向上する。また、第2可動子102のねじり軸114と平行な方向の長さを第1可動子101のねじり軸114と平行な方向の長さより長くしても振動角の安定性は向上する。よって、第2可動子102を長くする方向に関係なく、振動角の安定性を向上させることができ、このとき、慣性モーメントI2を慣性モーメントI1よりも大きくすることも容易である。
また、本実施例の光偏向器では、第1可動子101が片持ち梁形態で支持されていて、支持体105と1つの第1ねじりバネ103と1つの第2ねじりバネ104とが連結されている。従って、固定した際の応力或いは熱応力等により支持体105に不要な力が働いて支持体105との固定箇所がたとえ変形しても、第1可動子101及び第2可動子102には応力が殆ど作用しない。従って、第1可動子101の反射面の平面度(面精度)の低下を防止することができる。
また、本実施例の光偏向器では、第2可動子102が複数の部材(シリコン部112と硬磁性体111)で構成される一方、反射面110を有する第1可動子101は単一の部材で形成されている。従って、シリコン部112に硬磁性体111を接着・固定した際に、第2可動子102が変形しても、第1可動子101上の反射面110は変形しない。よって、走査スポットの劣化をより確実に防止できる。
上記構成は図1-2に示す様に変形することもできる。図1-2の変形例の光偏向器では、第2可動子102近傍に2組の1対の第1整流部材126を設置している。すなわち、これは、前記1対の第1整流部材106に替えて或いは加えて、ねじり軸114を含み静止時の第2可動子102の面と平行な平面に対して略対称に、第1整流部材126が少なくとも2組配置されている例である。図1-2は、その場合の第2可動子102近傍の平面図である。図1-2において、第1整流部材126は整流部材固定部118に接着剤で接着されている。整流部材固定部118は支持基板116に接着剤で接着されている。整流部材固定部118と支持基板116の材料は、例えば、樹脂であり、一体で金型成形されていてもよい。第2可動子102近傍にも第1整流部材126を設置することで第2可動子102の揺動運動を安定させることができる。それにより、第1可動子101の揺動運動も更に安定させることができる。この構成において、前記1対の第1整流部材106と共にダンパー部材107を省略することができる。
尚、図1-2において、130は、整流部材固定部118に形成されたコイル108通過用の開口部であり、135は、整流部材固定部118に形成されたねじりバネ通過用の円形の貫通孔である。
本実施例によれば、上記の如き第1整流部材が設けられているので、可動子の近傍の渦気流の発生が抑制される。よって、可動子の最大振動角が比較的大きい場合でも、可動子の揺動運動が安定する。従って、本実施例の光偏向器を用いる場合、走査する光ビームの光量を低下させることなく安定した光走査を行うことができる。
(第2の実施例)
図6(a)は本実施例の光偏向器の正面図である。図6(b)は、図6(a)の領域213の平面図である。図6に示す様に、本実施例では、1つの可動子201が1つのねじりバネ204で支持され、支持体205がねじりバネ204を支持している。支持基板216は、支持体205と整流部材固定部207を支持している。
可動子201は、反射面210とシリコン部209と硬磁性体211で構成されている。シリコン部209の上面に設けられた反射面210の材料は、例えば、アルミニウムであり、真空蒸着により形成されている。反射面210の最表面に保護膜を形成してもよい。硬磁性体211、例えば、永久磁石であり、シリコン部209の下面と接着剤で接着されている。
ねじり軸214方向に平行に延びた壁面構造の3つの板状の第1整流部材206からなる組は、図示の如く、ねじり軸214を含み静止時の反射面210に垂直な平面に対して略対称に、1対、ハの字状に配置されている。6つの第1整流部材206は、整流部材固定部207と接着剤で接着されている。整流部材固定部207は支持基板216に接着剤で接着されている。第1整流部材206と整流部材固定部207の材料は、例えば、樹脂であり、一体で金型成形されていてもよい。こうして、渦気流発生領域の渦気流を複数に分断する様に複数の板状の第1整流部材206が互いに所定の間隔を置いて並行して配置される構造(壁面構造)となっている。
本実施例では、整流部材固定部207はダンパー部材を兼ねていない。従って、ねじり軸214に垂直な第1可動子201の縁部が形成する軌跡面の近くは開口部235になっている。尚、図6(b)において、230は、整流部材固定部207に形成されたコイル208通過用の開口部である。
ここで、抑制された渦気流からの気流は第1整流部材206の間を通り外方に向かってより効果的に導かれるので、可動子201近傍での停滞を防ぎ、可動子201の揺動運動を安定させる。また、第1整流部材206と揺動時の可動子201との最短距離は、上記実施例と同様に、0.3mmであり、組立てが容易である。また、可動子201の静止時、外部からの衝撃や振動が生じても可動子201と第1整流部材206との距離は十分離れているため、これらは接触しない。
本実施例では、本実施例の光偏向器は反射面210を有する可動子201のみが振動しており、可動子の振動による気流の乱れを最小限に抑え、可動子201の揺動運動を安定させることができる。コイル208と硬磁性体211からなる駆動手段及びその他の点は第1の実施例と同様である。尚、組をなす壁面構造の板状の第1整流部材206の数は、3つに限らない。2つ或いは4つ以上であってもよい。
(第3の実施例)
本発明の揺動体装置の第3の実施例に係る光偏向器を説明する。ねじり軸314の方向から見た図7に示す様に、本実施例の光偏向器では、揺動時の可動子301のねじり軸314に平行な縁部が描く軌跡曲面に沿って、第1整流部材兼ダンパー部材として働く部材307が設置されている。符号318で示す面は、ダンパー面でもあり、渦気流発生領域付近の部分は第1整流部材でもある。
部材307は支持基板316に固定されている。図7は、可動子301の回転軸であるねじり軸314と垂直な平面における断面図であり、本実施例のその他の構成は第1の実施例または第2の実施例と同様である。この様に、ねじり軸314から最も離れた可動子301の速度の速い部分である縁部に対して、ギャップを隔てて、面318を設置することで、ダンピング効果がより増加する。
図7の例では、可動子301の縁部が描く軌跡曲面の途中までしか面318が延びていないが、面を更に延長して全軌跡曲面及び全ての渦気流発生領域(図3参照)をカバーする様にしてもよい。また、ねじり軸314の周りに360度延長して、面318を円筒形にしてもよい。これにより、渦気流抑制効果及びダンピング効果が更により増加する。どの程度まで延長するかといった構成は、場合に応じて、適宜設計すればよい。
(第4の実施例)
整流部材は、背景技術の説明に用いた図14に示す様な揺動体装置に設けることもできる。この場合、例えば、両持ち梁形態で支持されている可動部(第1可動子)1001と可動部(第2可動子)1002との少なくとも一方に、前述の実施例で説明した様に第1整流部材を設ける。可動部1001は、1本のねじりバネを用いて、片持ち梁の形態でもって枠形状の可動部1002によって揺動可能に支持される様にしてもよい。また、可動部(第2可動子)1002を2つに分離して、第1可動子と第2可動子とねじりバネが直列的に連結された両持ち梁形態とすることもできる。更に、可動部(第1可動子)1001のねじりバネと可動部(第2可動子)1002のねじりバネとを、交差する方向(例えば、直交する方向)に延びる様に形成して、可動部1001、1002が異なる回転軸の回りに揺動する様にしてもよい。こうした構成に、前述の実施例で説明した様に、第1整流部材を設けることもできる。
以上の様にして、1つの可動子に反射面が設けられ、少なくとも1つの可動子にトルクを印加して可動子を揺動させる駆動手段を備える光偏向器が構成される。もちろん、揺動体装置がセンサなどを構成する場合は、必要に応じて、駆動手段を省いたりすることができる。
(第5の実施例)
本発明の揺動体装置の第5の実施例に係る光偏向器を説明する。図8(a)は本実施例の光偏向器を示す正面図である。図8(b)は領域213の平面図である。図8において、反射面210とシリコン部209と硬磁性体211で構成される可動子201、ねじりバネ204、支持体205、支持基板216、ねじり軸214、コイル208は、第2の実施例における図6の光偏向器と同じである。
本実施例でも、整流部材固定部1107は支持基板216に支持されている。また、整流部材固定部1107は、一対の第1整流部材1106を支持している。他方、揺動時の可動子201の最大振動角をθmax、θmax時の可動子201と第1整流部材1106との最短距離GAP1をL1、-θmax時の可動子201と第1整流部材1106との最短距離GAP2をL2として、L1とL2が異なる。すなわち、このような位置関係を満たす様に第1整流部材1106が若干非対称に設けられる。この意味する所は、次の点にある。θmaxから-θmaxへの可動子201の揺動時の走査光は使用し、-θmaxからθmaxへの可動子201の揺動時の走査光は使わない(又は光照射を停止して走査しない)様にする。そして、後者における可動子201の振動角の変化の安定性を多少犠牲にする様なことがあっても、使用に供する前者における可動子201の振動角の変化の安定性をより高めるのである。つまり、走査光の使用時は必ず安定しており、一方、走査光の非使用時(可動子は揺動している)には或る程度の不安定性を許容するものである。この様にすることで前述の様に走査光の使用時の安定性をより高めることができる。
更に言えば、L1よりL2を大きくし、L1の大きさを100μm以上250μm以下の範囲に設定することが望ましい。
上記の如く設定することの効果について説明をするために、図9に示す光偏向器と走査ムラの実験系の構成、その実験内容、その実験結果を以下に順に述べる。なお、図9に示す光偏向器は、第2の実施例のものではなく第1の実施例のものと同様な構成を有するが、実験結果については、第1の実施例の光偏向器と第2の実施例の光偏向器では実質的に同じである。
まず、図9(a)は、上記設定の効果を立証するための光偏向器に、走査ムラを測定する実験系を加えた構成の模式図である。図9(b)は、図9(a)の領域113の平面図である。上記した様に、図9に示す光偏向器は、図1-1における光偏向器と同じである。ただし、ここでは、まずL1とL2は0.25mm(250μm)に設定してある。
実験系は、次の様になっている。図9(a)において、波成器805によって生成された正弦波を増幅器806で増幅し、コイル108に交流電流を流すことで第1可動子101を振動させる(最大振動角38deg)。光源803から出射した光線802を、振動している第1可動子101で反射させて、2つのビームディテクタBD1(1204)、BD2(1205)で受光させる。BD1(1204)は、可動子101の振動角が30degの時に走査光が入光する位置に設置され、BD2(1205)は、可動子101の振動角が-30degの時に走査光が入光する位置に設置されている。そして、光線802がBD1(1204)を通過してからBD2(1205)を通過するまでの受光時間間隔を図示しないタイムインターバルアナライザで測定する。この様に測定された走査毎のBD1(1204)からBD2(1205)までの受光時間間隔から得られた走査ムラにより、第1可動子101の振動角の安定性を評価する。ここでも、走査ムラは、受光時間間隔のpeak-to-peak値の平均で表す。
次に実験内容について述べる。図9において、第1整流部材106、第2整流部材115、ダンパー部材107をA方向に移動させたときの各移動位置で走査ムラの測定を行った。ここで、支持基板116とダンパー部材107は簡単に取り外しができ、ダンパー部材107をA方向と平行な方向に移動できる様な構造となっている。このA方向の移動で、L1は0.25mmから次第に狭くなり、L2は0.25mmから次第に広くなる。また、比較対象として、図10に示す様な、第1整流部材106、第2整流部材115、ダンパー部材107を完全に取り外した光偏向器の走査ムラの測定も行った。
実験結果を図11に示す。図11において、縦軸は、図10の光偏向器の走査ムラに対する図9の光偏向器の走査ムラの増加率である。横軸は、L1である。図11に示す様に、光偏向器におけるL1が250μm程度から100μm程度のとき、図10に示す光偏向器よりも走査ムラが低減している(すなわち、増加率がマイナスになっている)ことが分かる。
この様に、L1とL2を異ならせること、更にはL1が上記の様に設定される場合、使用に供する方の走査光の走査ムラをより低減する効果が得られると言える。
ここで、実験系において、BD1(1204)は測定開始点であり、BD2(1205)は測定終了点である。L1をL2より狭くすることで、測定開始点の渦気流による振動の不安定をより低減することができ、測定開始点における渦気流が走査ムラに大きく影響していることが分かる。よって、逆にBD2(1205)を測定開始点、BD1(1204)を測定終了点とすると、上記設定の関係は逆になり、次の様になる。すなわち、L2よりL1を大きくし、L2の大きさを100μm以上250μm以下の範囲に設定する。
また、図12に示す様に、図9に示す光偏向器においてGAP2を形成する第1整流部材106を欠いた形態で、図9に示す実験系を用いて走査ムラを測定した。このとき、GAP1のL1を変えても走査ムラはあまり低減しなかった。これにより、第1整流部材106によりGAP1だけでなくGAP2も形成して、L1をL2より大きくすることは好ましいと言える。ただし、図12に示す光偏向器も、図10に示す光偏向器に比較すれば、走査ムラが改善できるものであって、本発明の範囲に含まれるものである。
以上のことから、本実施例の光偏向器において、測定開始点(走査光による書き出し点)が可動子201の振動角0〜θmax[deg]に設置され、測定終了点(走査光による書き終わり点)が-θmax〜0[deg]に設置され、L1がL2より大きいことは好ましいと言える。更に、L2よりL1を大きくし、L2の大きさを100μm以上250μm以下の範囲に設定するときに、θmaxから-θmaxへの可動子の揺動時の走査光の走査ムラをより低減することができると言える。光偏向器を画像形成装置などで用いる場合、測定開始点は走査光による書き出し点に相当し、測定終了点は走査光による書き終わり点に相当する。また、この際、θmaxから-θmaxへの可動子の変位角と-θmaxからθmaxへの可動子の変位角とが正弦波の様に対称的に変化する場合でも、鋸歯の様に非対称的に変化する場合でも、上記のことが言い得る。後者の例としては、例えば、θmaxから-θmaxへの変化時間が-θmaxからθmaxへの変化時間より長い様な可動子の揺動運動がある。尚、上記実験系で用いたビームディテクタは、振動系の駆動手段に与える駆動信号を制御するための検出信号を取得する検出手段を構成する要素として、そのまま装置で使用することもできる。
(第6の実施例)
図13は、本発明の揺動体装置を用いた光偏向器を使用した光学機器の実施例を示す図である。ここでは、光学機器として画像形成装置を示している。図13において、503は本発明の光偏向器であり、本実施例では入射光を1次元に走査する。501はレーザ光源である。502はレンズ或いはレンズ群であり、504は書き込みレンズ或いはレンズ群、505は光入射目標体である感光体、506は走査軌跡である。
レーザ光源501から射出されたレーザ光は、光の偏向走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けて、光偏向器503により1次元的に走査される。この走査されたレーザ光は、書き込みレンズ504により、回転中心の回りで等速回転している感光体505上へ画像を形成する。感光体505は図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を走査することによりその部分に静電潜像が形成される。次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部分にトナー像が形成され、これを例えば図示しない用紙に転写・定着することで用紙上に画像が形成される。本発明の光偏向器により、例えば、光の偏向走査の角速度を仕様範囲内で略等角速度とすることがより確実にできる。更に、本発明の光偏向器を用いることにより、より安定な画像形成を行う画像形成装置とできる。
反射面が設けられた可動子と少なくとも1つの可動子にトルクを印加して可動子を揺動させる駆動手段を含む本発明の揺動体装置により構成された光偏向器は、画像表示装置に用いることもできる。ここでは、光偏向器は、光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を光入射目標体である画像表示体上に入射させる。
本発明の揺動体装置は、光偏向器の他に、電位センサ、加速度センサなどとして用いることもできる。電位センサの場合、例えば、可動子の一方の面上に、絶縁層を挟んで、電位測定対象に対向して設置される2つの検知電極を設け、他方の面上に永久磁石を設ける。整流部材も上述した様に設けられる。こうした構成により、回転軸の回りに可動子を安定して振動させることで機械的に測定対象と検知電極間の容量を変化させ、静電誘導で検知電極に誘導される微小な電荷の変化を電流信号を介して検出して電位を測定する。ここでは、検知電極からの信号は逆位相で変化するので、これらを差動処理することで、同相ノイズの除去比が高い電位センサとできる。
揺動体装置を加速度センサとする場合、例えば、上記の如き整流部材を設け、ねじりバネの部分にピエゾ素子を形成する。外力の作用で可動子が回転軸の回りに回転するとき、その大きさをピエゾ素子で検知して外力の大きさを測定する。この場合も、整流部材を設けることで可動子の回転の精度が良くなり、精度の良いセンサとできる。
(a)は本発明の第1の実施例の光偏向器を説明するための正面図であり、(b)は本発明の第1の実施例の光偏向器を説明するための平面図である。 本発明の第1の実施例の光偏向器の変形例を説明するための平面図である。 (a)は本発明の実施例の光偏向器の可動子の振動角を示す図であり、(b)は本発明の実施例の光偏向器の可動子の角速度を示す図である。 渦気流の発生場所である渦気流発生領域を説明するための模式図である。 本発明の揺動体装置における整流部材の効果を説明するための平面図である。 本発明の実施例の光偏向器の効果を見るために用いた実験系の図である。 (a)は本発明の第2の実施例の光偏向器を説明するための正面図であり、(b)は本発明の第2の実施例の光偏向器を説明するための平面図である。 本発明の第3の実施例の光偏向器を説明するための平面図である。 (a)は本発明の第5の実施例の光偏向器を説明するための正面図であり、(b)は本発明の第5の実施例の光偏向器を説明するための平面図である。 本発明の実施例の光偏向器の効果を見るために用いた別の実験系の図である。 実験における比較例を示す図である。 実験結果を示す図である。 実験における別の比較例を示す図である。 本発明の第6の実施例の光学機器を説明するための図である。 従来技術の光偏向器を説明する上面図である。 従来技術の光偏向器を説明する斜視図である。
符号の説明
101、1001 可動子(第1可動子)
102、1002 可動子(第2可動子)
103、1011 ねじりバネ(第1ねじりバネ)
104、1012 ねじりバネ(第2ねじりバネ)
105、205 固定部
106、126、206、307、1106 第1整流部材
107、307 ダンパー部材
108、208 駆動手段(コイル)
109、209、112 シリコン部
110、210 反射面
111、211、1041 駆動手段(硬磁性体、永久磁石)
114、214、314 回転軸(ねじり軸)
115、155 第2整流部材
117 ギャップ
130、230、410、1130 開口部
201、301 可動子
204 ねじりバネ
207、1107 整流部材固定部
501、803 光源(レーザ光源)
502 レンズ
503 光偏向器(光走査系)
504 書き込みレンズ
505 光入射目標体(感光体)
506 走査軌跡
802 光線
804、1204、1205 ビームディテクタ(BD、BD1、BD2)
805 波成器
806 増幅器

Claims (12)

  1. 回転軸の回りに揺動可能に支持された少なくとも1つの可動子を含む揺動体装置であって、
    前記可動子の揺動時の渦気流の発生を抑制する第1整流部材を備え、
    前記第1整流部材は、該第1整流部材を設けない場合に発生する渦気流発生領域の少なくとも一部の空間を占める様に設けられる、
    ことを特徴とする揺動体装置。
  2. 1つの可動子に反射面が設けられ、
    少なくとも1つの可動子にトルクを印加して可動子を揺動させる駆動手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1記載の揺動体装置。
  3. 支持体と、反射面を有する第1可動子と、少なくとも1つの第2可動子と、を含み、
    前記第1可動子と前記第2可動子は、ねじりバネにより、前記支持体に対して、前記回転軸であるねじり軸の回りにねじり振動可能に支持される、
    ことを特徴とする請求項2記載の揺動体装置。
  4. 前記第1整流部材が、前記回転軸を含み静止時の前記可動子の面と垂直な平面に対して対称に、少なくとも1対、配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の揺動体装置。
  5. 前記渦気流発生領域の渦気流を複数に分断する様に複数の板状の前記第1整流部材が互いに所定の間隔を置いて並行して配置される構造を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の揺動体装置。
  6. 揺動時の前記可動子の最大振動角をθmaxとしたとき、
    ±θmaxの時の前記可動子の面を前記回転軸に垂直な方向へ延長した延長面に沿って、前記第1整流部材が延びている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の揺動体装置。
  7. 揺動時の前記可動子の最大振動角をθmax、θmaxの時の前記可動子と前記第1整流部材との最短距離をL1、-θmaxの時の前記可動子と前記第1整流部材との最短距離をL2としたとき、L1とL2が異なる様に前記第1整流部材が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の揺動体装置。
  8. L1よりL2が大きく、L1の大きさが100μm以上250μm以下の範囲にある、
    ことを特徴とする請求項7記載の揺動体装置。
  9. 前記第1整流部材の前記回転軸の方向の長さが、同方向の前記可動子の長さより大きい、
    ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の揺動体装置。
  10. 気流を整える第2整流部材を有し、
    前記第2整流部材は、静止時の前記可動子の面と平行または垂直な面を有し、かつ前記可動子との最短距離が、前記可動子と前記第1整流部材との最短距離より大きく設定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1つに記載の揺動体装置。
  11. 前記可動子の揺動運動に対してダンピング作用を及ぼすダンパー部材を備え、
    前記ダンパー部材は、揺動時に前記可動子の縁部とこれに対向する当該ダンパー部材の部分との間に存する流体の粘性により前記可動子の揺動運動に対してダンピング作用を及ぼす様に、揺動時に前記可動子の縁部が形成する軌跡面の少なくとも一部に沿って設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1つに記載の揺動体装置。
  12. 光源と、請求項2乃至11のいずれか1つに記載の揺動体装置により構成された光偏向器と、光入射目標体とを有し、
    前記光偏向器は、前記光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を前記光入射目標体に入射させる、
    ことを特徴とする光学機器。
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