JP2009041083A - アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するとともに、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40であり、板厚中心部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚中心部の有効結晶粒径が25μm以下であることを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。さらに、Ni、Cu、Cr、Mo、V、B、Ti、Ca、MgおよびREMを含んでもよい。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
但し、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
【選択図】なし

Description

本発明は、靭性に優れた厚鋼板、特に万が一、脆性き裂が発生した際に構造物全体の崩壊を阻止するために、き裂伝ぱを停止させる特性(アレスト特性)に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法に関する。なお、この場合の高強度厚肉鋼板とは板厚50mmを超えるものが対象であり、そして、強度クラスとしては引張強さが490MPa以上のものが対象となる。
近年、各種の鋼構造物の規模が大型化するに伴い、その素材として使用される各種の鋼板に要求される板厚や強度はますます高くなってきている。特に、近年では国際商取引が活発になっていることから、商業用船舶はより大型化してきており、そのため板厚50mmを超える船体構造用の高強度厚肉鋼板が求められるようになってきた。このような高強度厚肉鋼板においては、使用時の力学的な拘束力も大きくなることから、板厚中心部の特性のさらなる向上が要求される傾向にある。しかしながら、板厚中心部の特性の向上は未だ不十分である。
あらゆる構造物において、脆性破壊による崩壊は瞬時に構造物全体が崩壊し甚大な被害が想定されることから、絶対に避けるべき破壊形態である。したがって、建造物は脆性破壊の発生を避けるべく設計がなされるものの、設計を上回る外力の作用や施工に起因する欠陥など、設計者の想定外の異常事態に起因して脆性破壊が発生してしまう場合も考慮する必要がある。脆性破壊が発生すると、極めて高速のき裂伝ぱにより脆性破壊が構造物全体に広がって構造物全体が破壊してしまう。しかしながら、き裂伝ぱに対する抵抗性が著しく高い鋼材は、進展してきたき裂を停止させることができる特性を有する。この特性を一般的に「アレスト特性」と呼ぶが、アレスト特性を有した部材を適所に配した構造物は、発生と伝ぱの各段階で二重の安全性(ダブルインテグリティ)を有することになり、構造物の設計思想として極めて重要なものである。
例えば造船分野では、このダブルインテグリティに基づいた設計思想の下に船舶が建造される方向にある。しかしながら、上述したとおり、商業用船舶等の構造物の大型化に伴い使用鋼材の板厚はますます厚肉化しているので、材料的特性および力学的特性の両面において、厚肉鋼板の特性向上に対する要求はより苛酷なものとなってきている。
鋼材にアレスト特性を付与する方法として最も単純なものは、靭性を著しく向上させる元素であるNiを添加することである。Niの添加によるアレスト特性の改善効果は大きく、アレスト特性を向上できることが判っている。例えば、−165℃という極低温環境でダブルインテグリティを保証する鋼材としては、9%のNiを添加したいわゆる9%Ni鋼が一般的であり、日本工業規格(JIS)にも規定されている。
また、例えば、特許文献1および2には、表層組織を極細粒化することにより、脆性き裂伝ぱ時のシアリップ形成を促す鋼板の製造方法が開示されている。この方法によれば、Niなどの高価な元素に頼ることなく、アレスト特性を向上させることが可能である。
特開平3−2322号公報 特開平7−126798号公報
上述したとおり、Niによるアレスト特性の改善効果は大きく、アレスト特性を向上することができるが、Niは非常に高価であり、Niを9%も添加するとなると、鋼材コストの高騰を引き起こす。したがって、Ni添加によるアレスト特性の向上は、コスト面での問題が多い。
また、特許文献1および2で開示された、鋼板の表層組織を極細粒化することにより、脆性き裂伝ぱ時のシアリップ形成を促す方法によれば、Niなどの高価な元素を添加することなく、アレスト特性を向上させることが可能である。しかしながら、これらの方法では圧延途中に水冷を行い復熱させることにより、鋼板の表層組織の極細粒化を達成しており、コストのかかる煩雑な工程が必要となる。また、厚肉材については、復熱を伴う途中冷却を実現するためには補助加熱工程が必須であり、さらに補助加熱工程が必須ということになれば、厚肉材へのこれらの方法の適用については、コスト面から実現性に乏しくなる。
このように、従来は、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することは困難であった。
本発明は、このような状況に鑑み、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することを目的とする。特に、−10℃で6000N/mm1.5以上のアレスト特性を有し、引張強度TSが490MPa以上の高強度厚肉鋼板を低コストで提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々の検討と実験を行った結果、次の(a)〜(h)に示す知見を得た。
(a) アレスト特性を有する厚肉鋼板を低コストで提供するためには、高価な合金成分を添加する方法は採用できない。
(b) 厚肉鋼板にアレスト特性を付与させることができるその他の方法としては、未再結晶域の圧下による細粒化効果を利用するTMCP法(Thermo-Mechanical Controlled Process)を適用することが考えられる。しかしながら、通常のTMCP法を適用した厚肉鋼板では、未再結晶域の圧下による細粒化効果が板厚中心部まで浸透しないため、板厚中心部(「(1/2)t部」ともいう。)の組織サイズは粗大化する傾向にあり、板厚中心部のシャルピー衝撃特性が、厚肉鋼板の表面から1/4の板厚部分(「(1/4)t部」ともいう。)または表層部分のシャルピー衝撃特性よりも悪化する傾向が顕著となる。また、板厚中心部は加工の浸透度が低いこともあり、上部ベイナイト組織が主体となる。一般に、上部ベイナイト組織は細粒フェライト組織に比べて、ラス間の硬質組織(MA)の影響により靭性が低下する。このように、これまで汎用的に実施されているTMCPの範囲内では、TMCP条件を種々調整しても、板厚中心部組織の靭性不足により、アレスト特性は4000N/mm1.5程度に留まり、目標には到底及ばない。したがって、汎用的なTMCP条件に留まらず、より広範囲のTMCP条件で実験を行う必要がある。
(c) そこで、本発明者らは汎用的なTMCP条件を逸脱して、より広範囲のTMCP条件で種々の実験を行った結果、高強度厚肉鋼板の目標強度である490MPa以上の引張強度TSを実現するためには、適切な焼き入れ性を有した化学成分にコントロールすることが必要であることと、そして、その焼き入れ性の指標としては次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いることができることを見出すとともに、その炭素当量Ceqを0.32〜0.40とする必要があることを見出した。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
但し、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
(d) そして、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロールは極めて有効であり、特に低温化又は短時間化を図ることにより、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期γ粒径を細粒にすることができることを見出した。
具体的には、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱することによって、低温化と短時間化を図ることが好ましい。
t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、「鋼塊」とは、圧延、鍛造、押し出しなどの各工程に供給される素材のことであり、連続鋳造で製造され、分塊工程を省略して次の工程に供給される鋳片(連鋳鋼片)も含んでいる。
(e) 次に、圧延後に得られる肉厚鋼板の板厚中心部のフェライト組織分率が80%以上、かつ板厚中心部の有効結晶粒径が25μm以下とすることが、高強度厚肉鋼板の靱性の向上にとって有効であることを見出した。ここで、「有効結晶粒径」とは、EBSPにより評価した場合の方位差15°以上の組織境界で囲まれる部分の結晶粒径を意味する。
このように、圧延後に得られる肉厚鋼板を、その板厚中心部において、フェライト組織分率を80%以上かつ有効結晶粒径を25μm以下とするためには、圧延温度の低温化が有効であり、調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールが有効である。調整板厚を増加し、温度を低温化することにより、変態前のγ中の転位密度を上昇させることができるからである。
具体的には、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延するのが好ましい。
A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
(f) さらに、圧延後の冷却工程における冷却速度と冷却停止温度のコントロールも有効であり、水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行うのが好ましい。
E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
(g) なお、冷却後にAc点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じ実施する。
(h) このように、板厚中心部でフェライト組織の微細化を確保した鋼板は厚肉にもかかわらず、極めて良好なアレスト特性を示し、十分に目標特性に到達する。ただし、加熱圧延条件が不適切で板厚中心部の組織サイズが粗大化しているものは、フェライト分率が高い場合でも靭性は悪くなる。
本発明に係るアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板とその製造方法は、このような知見に基づいて完成したものである。
ここに、本発明は、下記に示すアレスト特性に優れた厚鋼板の性状とそれを具現化する製造方法を要旨とする。
本発明に係るアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は次の(1)から(6)までのいずれかであり、そして本発明に係るアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法は次の(7)または(8)である。以下、それぞれ、本発明(1)〜本発明(8)という。本発明(1)〜本発明(8)を総称して、本発明ということがある。
(1) 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するとともに、次の(1)式で示される炭素当量が0.32〜0.40であり、板厚中心部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚中心部の有効結晶粒径が25μm以下であることを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
但し、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
(2) 質量%で、さらに、Ni:1%以下を含有したことを特徴とする、上記(1)のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(3) 質量%で、さらに、Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種又は2種を含有したことを特徴とする、上記(1)または(2)のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(4) 質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有したことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかのアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(5) 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有したことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(6) 質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有したことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかのアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜3によって、加熱し、圧延し、冷却することを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
[工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
[工程2]圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延する工程。
A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
[工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
(8) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜4によって、加熱し、圧延し、冷却し、焼戻すことを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
[工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
[工程2]圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延する工程。
A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
[工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
[工程4]Ac点以下の温度で焼戻す工程。
本発明によれば、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することができる。特に、−10℃で6000N/mm1.5以上のアレスト特性を有する高強度厚肉鋼板を提供することができる。
以下に、本発明の高強度厚肉鋼板およびその製造方法について詳しく説明する。なお、前述のように本発明の高強度厚肉鋼板は板厚50mm以上のものを言うが、本発明の製造方法を用いれば、板厚65mm以上といった極厚の厚肉鋼板についても有用に製造することができる。
(A)化学組成について
以下、化学組成を表す「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
C:0.01〜0.12%
Cは、強度確保に必要な元素である。0.01%以上を含有させなければ実用的な強度を有する鋼を生産することはできない。一方、その含有量が0.12%を超えると、ベイナイト変態領域の靭性劣化が顕著化するとともに、溶接熱影響部の靭性も損ねる。したがって、Cの含有量は0.01〜0.12%とする。強度とアレスト特性のバランスの点から、好ましい範囲は0.03〜0.10%である。
Si:0.5%以下
Siは、精錬段階での脱酸に必要な元素であるとともに強度上昇に寄与する元素である。しかしながら、Siの含有量が0.5%を超えると、溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成を助長して靭性に悪影響を及ぼす。したがって、Siの含有量を0.5%以下とするのが良い。好ましくは、0.3%以下である。なお、Siの効果を確実に発現させるためには、Siを0.03%以上含有させるのが好ましい。
Mn:0.4〜2%
Mnは、強度確保のための必要な元素である。しかし、その含有量が0.4%未満ではこれらの効果を得ることができない。一方、2%を超えると溶接熱影響部の靭性が大幅に劣化する。したがって、Mnの含有量は0.4〜2%とする。好ましい範囲は0.6〜1.6%である。
P:0.05%以下
Pは、不純物として存在し、溶接熱影響部における粒界割れの原因となる。Pの含有量が0.05%を超えると、溶接熱影響部における粒界割れの発生が著しくなることから、P含有量の上限を0.05%とする。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、アレスト特性の安定的に得るためには、Pの含有量を0.03%以下とするのが好ましい。
S:0.008%以下
Sは、不純物として存在し、脆性破壊の基点となるMnSを形成して、アレスト特性を損なう元素である。Sの含有量が0.008%を超えるとアレスト特性が顕著に劣化するため、不純物元素とてのS含有量の上限を0.008%とする。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、アレスト特性の安定的に得るためには、Sの含有量を0.003%未満とするのが好ましい。
Al:0.002〜0.05%
Alは鋼の脱酸に必要な元素である。本発明に係る鋼材の場合、0.002%以上の含有量が必要である。しかし、その含有量が0.05%を超えると析出物の増加を通じてアレスト特性の劣化が顕著化する。したがってAlの含有量は0.002〜0.05%とする。好ましくは0.002〜0.04%である。
N:0.01%以下
Nは、不純物として存在し、析出物を形成することで靭性劣化をもたらす元素であるため、低温靭性確保のためには低い方が良い。Nの含有量が0.01%を超えるとアレスト特性の劣化が顕著化するため、Nの含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下である。
Nb:0.003〜0.1%
Nbは、組織の微細化、焼入れ性の向上及び析出硬化による強度上昇に有効な元素であり、特に未再結晶域の拡大効果が大きいことから、TMCP法を適用する鋼材には必要な元素である。0.003%以上の含有量でその効果が発揮される。しかし、その含有量が0.1%を超えると、析出物の増加により却って靭性の劣化をもたらす。したがって、Nbの含有量を0.003〜0.1%とする。好ましくは0.003〜0.04%である。
本発明においては、残部はFeで構成されるが、製造工程の種々の要因により他の不純物が含まれることもある。また、次のとおり、Ni、Cu、Cr、Mo、V、B、Ti、Ca、MgおよびREMのうち、少なくとも1種を含有させてもよい。
Ni:1%以下
Ni、必要に応じて含有させることができる。Niを含有させると、鋼板のアレスト特性を向上させることができる。しかしながら、Niの含有はコストアップ要因となるため、その含有量を1%以下とする。好ましくは0.6%以下である。なお、Niによるアレスト特性向上効果を確実に発現させるためには、Niを0.03%以上含有させることが好ましい。
Cu:2%以下
Cuは、必要に応じて含有させることができる。Cuを含有させると、靭性を劣化させずに強度を向上させることができる。しかしながら、その含有量が2%を超えると、却って析出物増加によりアレスト特性の劣化をきたし、更に、熱間での加工の際、表面に微小な割れを発生させるので、その含有量の上限は2%とする。Cuの好ましい上限は1%である。なお、Cuによる強度向上効果を確実に発現させるためには、Cuを0.03%以上含有させることが好ましい。
Cr:1%以下
Crは、必要に応じて含有させることができる。Crを含有させると、強度を上昇させることができる。しかしながら、その含有量が1%を超えると、却って靭性の劣化をきたし、更に、溶接熱影響部に硬化した組織を形成し靭性を劣化させるので、その含有量の上限は1%とする。Crの好ましい上限は0.6%である。なお、Crによる強度向上効果を確実に発現させるためには、Crを0.05%以上含有させることが好ましい。
Mo:0.5%以下
Moは、必要に応じて含有させることができる。Moを含有させると、焼入れ性を高め、強度を向上させることができる。しかしながら、Moの含有はコストアップ要因となり、また、その含有量が0.5%を超えると、却って溶接熱影響部の靭性を劣化させるので、その含有量の上限は0.5%とする。Moの好ましい上限は0.3%である。なお、Moによる焼入性と強度の向上効果を確実に発現させるためには、Moを0.02%以上含有させることが好ましい。
V:0.1%以下
Vは、必要に応じて含有させることができる。Vを含有させると、焼入れ性の向上及び析出硬化による強度の向上に有効となる。しかしながら、Vの含有量が0.1%を超えると、却って靭性の著しい劣化をもたらすので、その含有量の上限は0.1%とする。Vの好ましい上限は0.06%である。なお、Vによる焼入性と強度の向上効果を確実に発現させるためには、Vを0.003%以上含有させることが好ましい。
B:0.005%以下
Bは、必要に応じて含有させることができる。Bを含有させると、オーステナイト粒界からのフェライト変態を抑制して焼入れ性を向上させ、強度を高めることができる。しかしながら、Bの含有量が0.005%を超えると靭性が劣化するので、その含有量の上限は0.5%以下とする。Bの好ましい上限は0.0015%である。なお、Bによる焼入性および強度の向上効果を確実に発現させるためには、Bを0.0003%以上含有させることが好ましい。さらに、本発明においては板厚中心部部のフェライト量を確保することが必要であるので、Bを含有させるときは、炭素当量で示される焼き入れ性とのバランスを十分考慮することが重要となる。
Ti:0.1%以下
Tiは、必要に応じて含有させることができる。Tiを含有させると、酸化物粒子の構成元素として有効となり、また高温延性を高めて連続鋳造で製造される鋼塊のひび割れを防止するのに有効となる。しかしながら、Tiの含有量が0.1%を超えると、TiCを生成し、靭性を劣化させるので、その含有量の上限は0.1%とする。Tiの好ましい上限は0.04%である。なお、Tiによるこれらの効果を確実に発現させるためには、Tiを0.003%以上含有させることが好ましい。
Ca:0.004%以下
Caは、必要に応じて含有させることができる。Caを含有させると、介在物の形態制御効果を有し、アレスト特性の向上に寄与する。しかしながら、その含有量が0.004%を超えると、鋼の清浄度自体を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.004%以下とする。Caの好ましい上限は0.002%である。なお、Caによるこれらの効果を確実に発現させるためには、Caを0.0003%以上含有させるのが好ましい。
Mg:0.002%以下
Mgは、必要に応じて含有させることができる。Mgを含有させると、微細酸化物の分散密度を増すことができ、溶接熱影響部の靭性が向上する。しかしながら、その含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.002%以下とする。Mgの好ましい上限は0.0015%である。なお、Mgによる微細酸化物の分散密度の向上効果を確実に発現させるためには、Mgを0.0002%以上含有させることが好ましい。ここで、Mgを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うのが好ましい。
REM:0.002%以下
REM(希土類元素)は、必要に応じて含有させることができる。REMを含有させると、Mgと同様に、微細酸化物の分散密度を増すことができ、溶接熱影響部の靭性が向上する。さらに、過剰なSを硫化物として固定する効果も得られる。しかしながら、その含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させるので、その含有量の上限は0.002%以下とする。REMの好ましい上限は0.0015%である。なお、REMによるこれらの効果を確実に発現させるためには、REMを0.0002%以上含有させることが好ましい。ここで、REMを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うのが好ましい。またREMとは、ランタニドの15元素にYおよびScを合わせた17元素を意味し、それぞれのREM元素に分離して鋼中に含有させてもよいし、ミッシュメタルとして混合した状態で鋼中に含有させてもよい。
(B)焼き入れ性について
本発明で規定する高強度厚肉鋼板は強度部材として使用されることから、規格材として十分な強度を保有している必要がある。したがって、高強度厚肉鋼板の化学組成は各々の規定範囲を満足するだけではなく、適切な焼き入れ性を有していることが必要である。高強度厚肉鋼板の焼き入れ性を表すパラメータとしては炭素当量を用いることができる。特に、引張強さが490MPa以上の強度クラスの高強度厚肉鋼板の場合には、IIWで規定されている炭素当量式を用いることができる。すなわち、次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いて整理することができる。
Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
但し、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
この炭素当量Ceqが0.32%よりも低い場合には十分な強度が確保されず、逆に0.40%よりも高い場合には板厚中心部のフェライト組織分率を確保できない。したがって、炭素当量Ceqを0.32〜0.40%と規定する。炭素当量Ceqの好ましい範囲は0.32〜0.38%である。
(C)フェライト組織分率について
板厚中心部は加工の浸透度が低いこともあり、上部ベイナイト組織が主体となる。そして、一般に上部ベイナイト組織は細粒フェライト組織に比べて、ラス間の硬質組織(MA)の影響により靭性が低下する。
したがって、上部ベイナイト組織が多くなると靭性が劣化する傾向を示すため、フェライト組織を増加させる必要がある。フェライト組織を増加する手法としては、低温加熱によるγ粒界の増加や加工誘起によるフェライト生成範囲の拡大などを挙げることができる。本発明者らは、種々のフェライト率を有する鋼について試験をした結果、フェライト組織分率が80%以上の鋼は優れたアレスト特性を保有することが分かった。したがって、鋼中のフェライト組織分率は80%以上と規定する。好ましくは85%以上である。
なお、フェライト組織分率は、光学顕微鏡のほかに、走査型電子顕微鏡及び加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡を用いた観察に基づいて評価することができる。ここでは、フェライト組織分率をフェライトの面積率により評価している。具体的には、これらの観察法によって観察した100視野について、各視野において全視野面積に対するフェライトの面積割合を算出したのち、100視野のフェライトの面積割合の平均値を求めたものである。
(C)有効結晶粒径について
高強度厚肉鋼板の靱性は、圧延後に得られる肉厚鋼板の板厚中心部のフェライト組織分率を80%以上と規定することに加えて、板厚中心部の有効結晶粒径を25μm以下とすることによって向上することが分かった。
なお、有効結晶粒径の測定は光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で認められる粒界を基準として定量化した場合には、隣接する結晶粒の方位差が小さい場合などに破面単位との対応が悪く組織サイズを代表する数値となり得ない。したがって、本発明では、「有効結晶粒径」とは、EBSPにより評価した場合の方位差15°以上の組織境界で囲まれる部分の結晶粒径を意味する。すなわち、EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern:電子線後方散乱パターン)法を用いて、倍率300倍で5視野以上の観察を行い、15°以上の方位差を有する組織境界を粒界とみなし、ひとつの結晶内部の面積を求め、その面積を円相当径に換算したものを有効結晶粒径として評価した。
(D)製造条件について
以下に詳述する製造条件は、上述の厚肉鋼板を経済的に要領よく実現するための方法の一つであり、厚肉鋼板自体の技術的範囲はこの製造条件によって規定されるものではない。
肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロール、すなわち、加熱温度と加熱時間のコントロールは、鋼塊再加熱時の初期γ粒径化を制御する主な製造条件であり、本発明において極めて重要である。
高温での加熱あるいは長時間の加熱はγ粒の成長を促進するので、α変態時のフェライト生成核が少なくなるので、最終組織におけるフェライト組織分率が減少するとともに、圧延中の待ち時間が長時間化するので、経済性を損ねる結果となる。したがって、加熱温度を低く、そして、加熱時間を短く制御する必要がある。ただし、温度と時間には等価性があるため、どちらか一方の条件を満足すればよい。すなわち、加熱の低温化又は短時間化を図ることにより、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期γ粒径を細粒にすることができる。この等価性を実験的に明らかにしたところ、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が、次の(2)式の規定を満足していることが経済的に優れた厚肉高アレスト鋼板を製造する条件として好ましいことが分かった。
t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、加熱温度が極端に低い場合には、変形抵抗の増加などにより圧延の実現が困難となるので、加熱温度は800℃以上にすることが好ましい。ただし、加熱温度は1050℃以下にすることが好ましい。
次に、厚肉高アレスト鋼板を経済的に得る方法としては、引き続き行われる圧延工程での調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールも有効である。未再結晶域での圧延量を増加させ、α変態前のγ中の転位密度を高くすることでフェライト変態を促進するというTMCP技術を適用することで、厚肉材の板厚中心部でも十分なフェライト変態を期待することができるからである。この未再結晶域での圧下量を制御する製造上のパラメータとしては、調整板厚、調整時の圧延開始温度および仕上温度の3つが重要であることを知見した。本発明者らによる多数の実験により得られた条件は、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚み(調整板厚)A(mm)における圧延温度(調整時圧延温度)B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延することである。
A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
上記(3)式〜(5)式のうち、一つでも満足しない場合には、α変態前の転位密度が不足し、板厚中心部の組織におけるフェライト組織分率が低下することになるので、効率よく厚肉高アレスト鋼板を得ることができない。
また、十分な強度を確保するために、このような厚肉材の場合には、圧延後の冷却工程における冷却速度と冷却停止温度のコントロールも有効であり、水冷時の冷却速度が2℃/s以上であり、かつ水冷停止温度が500℃以下とするのが好ましい。すなわち、水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行うのが好ましい。
E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
また、冷却後にAc点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じ実施する。
表1に、今回供試した鋼塊の化学成分を示す。なお、これらの鋼塊のうち、鋼No.38〜43は本発明で規定する成分範囲および/又は(1)式で示される炭素当量Ceqを満足していない鋼塊である。
Figure 2009041083
これらの各種の鋼塊を用い、表2に示す製造条件に基づいて種々の高強度厚肉鋼板を製造した。なお、試験No.1−2については、表2中では明示していないが、冷却後520℃で焼戻しを行っている。
Figure 2009041083
表3に、それぞれの高強度厚肉鋼板の機械的特性(降伏強度YS[MPa]と引張強度TS[MPa])とアレスト特性の評価結果を示す。
Figure 2009041083
得られた鋼板の特性については、引張試験ではJIS−Z−2201に記載の試験方法に準じて試片を採取した。採取位置は、板厚の(1/4)t部でかつC方向(圧延方向と直角)とした。なお、降伏点は10N/(mm・s)の試験速度として下降伏点を求め、明確な降伏点が現れない場合は0.2%耐力とした。強度の目標値は、引張強度TS≧490MPaとした。また、アレスト特性の評価方法としては、温度勾配型ESSO試験を複数体実施し、得られた結果をアレニウス形式のグラフ上にプロットして線形近似を行い、−10℃でのKca値をその鋼のアレスト特性(N/mm1.5)としての評価代表値とした。アレスト特性の目標値としては6000N/mm1.5とした。
試験No.1−1およびNo.1−4は(2)式に関する加熱条件を満足していない。よって、いずれも板厚中心部でのフェライト組織分率および有効結晶粒径は規定値に達せず、アレスト特性が不足している。
試験No.2−1は(4)式に関する圧延条件を満足していない。よって、板厚中心部でのフェライト組織分率および有効結晶粒径は規定値に達せず、引張強度およびアレスト特性が不足している。
試験No.2−2は(3)式に関する圧延条件を満足していない。よって、板厚中心部でのフェライト組織分率および有効結晶粒径は規定値に達せず、アレスト特性が不足している。
試験No.2−3は(7)式に関する冷却速度条件を満足していない。よって、板厚中心部でのフェライト組織分率および有効結晶粒径は規定値に達せず、引張強度が不足している。
試験No.2−4は(6)式に関する水冷停止温度条件を満足していない。よって、板厚中心部でのフェライト組織分率および有効結晶粒径は規定値に達せず、引張強度が不足している。
試験No.3−2は(5)式に関する圧延条件を満足していない。よって、板厚中心部でのフェライト組織分率は規定値に達せず、引張強度およびアレスト特性が不足している。
さらに、試験No.38〜43に示す比較鋼では、本発明で規定する成分範囲又は(1)式で示される炭素当量Ceqを満足していないので、製造条件は満足するものの、いずれもアレスト特性が不足している。なお、試験No.38〜40はフェライト組織分率が低いので、焼入れ性に劣ることがアレスト特性不足の原因と推定できる。
これらの比較例に対して、その他の本発明例に係る試験No.1−2、1−3、2−5、3−1および試験No.4〜37は、いずれも厚肉にもかかわらず、必要な強度特性を確保したまま高いアレスト特性を確保している。
以上のとおりであるから、本発明によれば、アレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することができる。したがって、脆性破壊による大規模破壊を防止する必要がある鋼構造物に適用される高強度厚肉鋼板に、高い脆性き裂伝ぱ停止特性を低コストで確実に付与することができる。構造物の耐破壊安全性の向上に寄与することができ、社会的効果は極めて大きい。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するとともに、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40であり、板厚中心部のフェライト組織分率が80%以上であり、かつ板厚中心部の有効結晶粒径が25μm以下であることを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
    Ceq=C+Mn/6+Cu/15+Ni/15+Cr/5+Mo/5+V/5・・・(1)
    但し、式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 質量%で、さらに、Ni:1%以下を含有したことを特徴とする、請求項1に記載のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  3. 質量%で、さらに、Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種又は2種を含有したことを特徴とする、請求項1または2に記載のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  4. 質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有したことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  5. 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有したことを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  6. 質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有したことを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜3によって、加熱し、圧延し、冷却することを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
    [工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
    t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
    ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
    [工程2]圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延する工程。
    A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
    C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
    B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
    ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
    [工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
    E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
    F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
    ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
  8. 請求項1から6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜4によって、加熱し、圧延し、冷却し、焼戻すことを特徴とするアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
    [工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(hr)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
    t×exp(Tr/270000000)≦580 ・・・・・・・・・・(2)
    ここで、tは鋼塊の加熱時間(hr)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
    [工程2]圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終の厚肉鋼の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)式、(4)式および(5)式を満足するように圧延する工程。
    A−1.5G≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
    C−670−G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
    B−C−20−1400/G≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
    ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終の厚肉鋼の板厚(mm)を、それぞれ表す。
    [工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
    E−500≦0 ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
    F−2≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
    ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
    [工程4]Ac点以下の温度で焼戻す工程。
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