JP2009041073A - 溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2%、P≦0.05%、S≦0.003%、Al:0.002〜0.05%、N:0.0030〜0.01%を含有し、残部はFeと不純物からなり、0.05≦(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)≦0.15を満足する鋼材を母材としてアーク溶接した溶接継手であって、溶接止端部の熱影響部側ミクロ組織において、フェライトおよびベイナイトの分率がそれぞれ、10〜40%および50%以上である溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
【選択図】なし
Description
PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)・・・(1)。
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)・・・(1)、
Qcr-L=399.73×(299−1522×PP)-0.5×t・・・(2)、
Qcr-U=599.60×(35.4−236×PP)-0.5×t・・・(3)。
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表し、また、(2)式および(3)式中のtは母材の板厚(mm)を表す。
C:0.01〜0.12%
Cは、母材の強度を確保するのに有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.01%未満では母材に必要な強度が確保できないだけでなく、溶融線でのラス形成が不十分になって、溶接止端部直下のHAZの靱性も低下する。一方、その含有量が0.12%を超えると、HAZ、なかでも溶接止端部直下のHAZの靱性劣化が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.01〜0.12%とした。なお、Cの含有量は0.04〜0.10%とすることが好ましい。
Siは、脱酸剤として必要な元素であり、0.01%以上含有させる。しかしながら、0.5%を超える過剰なSiの含有は、溶接冷却過程において島状マルテンサイトを増加させて、溶接部の靱性を低下させる。さらに、介在物量の増加を通じた母材靱性の低下も招く。したがって、Siの含有量は0.01〜0.5%とした。なお、溶接部の靱性向上の観点からは、Siの含有量はできるだけ少ない方がよい。好ましいSi含有量の範囲は0.01〜0.4%である。
Mnは、脱酸剤、母材の強度と靱性の確保およびHAZの焼入れ性確保のために有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.4%未満では、これらの効果が得られないだけでなく、HAZにいわゆる「フェライトサイドプレート」が生成してラスの形成が不十分になり、溶接部の靱性が低下する。一方、含有量で2%を超える過剰なMnは、中心偏析による板厚方向での母材特性の不均一をもたらす。したがって、Mnの含有量を0.4〜2%とした。なお、Mnの含有量は0.8〜1.6%とすることが好ましい。
Pは、不純物として鋼中に不可避的に存在する元素であり、その含有量が0.05%を超えると、鋼中に硬質介在物が増加し介在物周りで歪集中が顕著化することから耐延性き裂発生特性の劣化を伴う。したがって、Pの含有量を0.05%以下とした。なお、Pの含有量は0.03%以下とすることが好ましい。
Sは、不純物として鋼中に不可避的に存在する元素である。その含有量が高いと中心偏析を助長したり、延伸したMnSが多量に生成して、その周りに歪集中が顕著化することから、耐延性き裂発生特性の低下を招き、特に、その含有量が0.003%を超えると、耐延性き裂発生特性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.003%以下とした。なお、Sの含有量は0.002%以下とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤として必要な元素であり、0.002%以上含有させる。しかしながら、含有量で0.05%を超える過剰なAlは、AlNなどの析出物の増加を通じて母材部および溶接部の靱性を低下させる。したがって、Alの含有量を0.002〜0.05%とした。なお、Alの含有量は0.002〜0.04%とすることが好ましい。
Nは、AlNやTiNの形成を通じてHAZ組織を微細化する作用を有するので、0.0030%以上含有させる。しかしながら、Nの含有量が多くなり、特に、0.01%を超えると、析出物の生成を通して耐延性き裂発生特性の低下を招き、また、HAZ靱性を低下させる。したがって、Nの含有量を0.0030〜0.01%とした。なお、Nの含有量は0.003〜0.008%とすることが好ましい。
前記(1)式で表されるPPの値は、止端部直下のHAZにおけるベイナイトの分率に影響を及ぼす指標であり、PPの値が0.05以上であれば、止端部直下のHAZ(つまり、先に定義した「溶接止端部の熱影響部側」)のミクロ組織を比較的容易にベイナイトの分率が50%以上という所望のミクロ組織にすることができる。しかしながら、PPの値が大きくなって、特に、0.15を超えると、止端部直下のHAZのミクロ組織にマルテンサイトが多量に含まれるようになって耐延性き裂発生特性の著しい低下を招く。したがって、前記(1)式で表されるPPの値を0.05〜0.15とした。なお、PPの値は0.07〜0.15とすることが好ましい。
第1群:Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、Mo:0.8%以下およびV:0.1%以下のうちの1種以上、
第2群:Cr:1%以下、
第3群:Nb:0.1%以下、
第4群:Ti:0.1%以下、
第5群:Ca:0.004%以下、
第6群:Mg:0.006%以下、
第7群:REM:0.004%以下、
の各グループの元素の1種以上を選択的に含有させることができる。
第1群の元素であるCu、Ni、MoおよびVは、母材の強度を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を添加し、含有させてもよい。以下、第1群の各元素について詳しく説明する。
Cuは、母材の強度を高めるのに有効な元素である。この効果を確実に得るには、Cuの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Cuの含有量が0.8%を超えると、Ac3変態点以下の温度に加熱されたHAZの靱性を劣化させる。したがって、添加する場合のCuの含有量は、0.8%以下とした。なお、添加する場合のCuの含有量は、0.05〜0.8%とすることが好ましく、0.1〜0.5%であればより好ましい。
Niは、母材の強度向上に有効な元素である。この効果を確実に得るには、Niの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Niは高価な元素であり、1%を超えて多量に含有させることは経済性を大きく損なう。したがって、添加する場合のNiの含有量は、1%以下とした。なお、添加する場合のNiの含有量は、0.05〜1%とすることが好ましく、0.2〜0.6%であればより好ましい。
Moは、母材の強度を高める作用を有する。Moには、母材の靱性を向上させる作用もある。これらの効果を確実に得るには、Moの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Moの含有量が0.8%を超えると、特にHAZの硬さが高くなって、靱性と耐硫化物応力割れ性を損なう。したがって、添加する場合のMoの含有量は0.8%以下とした。なお、添加する場合のMoの含有量は、0.05〜0.8%とすることが好ましく、0.1〜0.4%であれば一層好ましい。
Vは、主に焼戻し時の炭窒化物析出により、母材の強度を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、Vの含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、0.1%を超えてVを含有させても、母材の強度向上効果が飽和するうえに、靱性の低下をきたす。したがって、添加する場合のVの含有量は、0.1%以下とした。なお、添加する場合のVの含有量は、0.005〜0.1%とすることが好ましく、0.02〜0.08%であればより好ましい。
第2群の元素であるCrは、耐炭酸ガス腐食性を高め、また、焼入れ性を高めるのに有用であるので、これらの効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、Crの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。しかしながら、Crの含有量が多くなって1%を超えると、他の元素が本発明で規定する条件を満たしていても、HAZの硬化の抑制が難しくなるうえに耐炭酸ガス腐食性向上効果も飽和する。したがって、添加する場合のCrの含有量は1%以下とした。なお、添加する場合のCrの含有量は、0.05〜1%とすることが好ましく、0.3〜0.6%であれば一層好ましい。
第3群の元素であるNbは、組織を微細化して、低温靱性を向上させる作用を有するので、この効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、Nbの含有量は0.003%以上とすることが望ましい。しかしながら、Nbの含有量が多くなって0.1%を超えると、粗大な炭化物、窒化物や炭窒化物を形成して、靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のNbの含有量は0.1%以下とした。なお、添加する場合のNbの含有量は、0.003〜0.1%とすることが好ましく、0.009〜0.03%であれば一層好ましい。
第4群の元素であるTiは、脱酸作用を有する元素である。Tiには、AlおよびMnとともに酸化物を形成し、組織を微細化する作用もある。このため、これらの効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、Tiの含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Tiの含有量が多くなって0.1%を超えると、形成される酸化物がTi酸化物、あるいはTi−Al酸化物となって分散密度が低下し、特に小入熱溶接した場合のHAZにおける組織微細化効果が失われる。したがって、添加する場合のTiの含有量は0.1%以下とした。なお、添加する場合のTiの含有量は、0.005〜0.1%とすることが好ましく、0.010〜0.020%であればより好ましい。
第5群の元素であるCaは、溶接割れや水素誘起割れを抑制する作用を有する。すなわち、Caは、鋼中のSおよびOと反応して溶鋼中で酸硫化物(オキシサルファイド)を形成するが、この酸硫化物はMnSなどと異なって圧延加工で圧延方向に延伸することがなく圧延後も球状で存在するため、延伸した介在物の先端などを割れの起点とする溶接割れや水素誘起割れが抑制される。このため、こうした効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、Caの含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が0.004%を超えると、靱性の劣化を招くことがある。したがって、添加する場合のCaの含有量は0.004%以下とした。なお、添加する場合のCaの含有量は、0.0005〜0.004%とすることが好ましく、0.0010〜0.0020%であればより好ましい。
第6群の元素であるMgは、微細なMg含有酸化物を生成し、オーステナイト粒を微細化する作用を有するので、この効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、Mgの含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、Mgの含有量が0.006%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性の低下をきたす。したがって、添加する場合のMgの含有量は0.006%以下とした。なお、添加する場合のMgの含有量は、0.0001〜0.006%とすることが好ましく、0.0004〜0.0010%であれば一層好ましい。
第7群の元素であるREMは、HAZの組織の微細化およびSを固定する作用を有するので、こうした効果を得るために添加し、含有させてもよい。なお、前記の効果を確実に得るには、REMの含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。なお、REMは介在物となって清浄度を大きくして清浄性を低下させるが、REMを含有させることによって形成される介在物は、比較的靱性低下への影響が小さいので、0.004%以下のREMを含む場合の前記介在物による母材の靱性低下は許容できる。したがって、添加する場合のREMの含有量は0.004%以下とした。なお、添加する場合のREMの含有量は、0.0005〜0.004%とすることが好ましく、0.0005〜0.0010%であればより好ましい。
高張力鋼溶接継手を、溶接部からの延性き裂の発生、なかでも止端部からの延性き裂の発生が構造物の終局的な破壊の原因となる鋼構造分野、特に、地震負荷を受ける橋梁や建築などの地上構造物分野に安全に用いるためには、その溶接止端部の熱影響部側ミクロ組織を、フェライトおよびベイナイトの分率がそれぞれ、10〜40%および50%以上であるものとする必要がある。
本発明に係る溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の母材である鋼材は、前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼を溶製した後、造塊分塊法や連続鋳造法によりスラブを作製し、その後に例えば、次に示す〔1〕〜〔4〕あるいは〔1〕〜〔5〕の工程を順に経ることにより、製造することができる。そして、その鋼材を溶接継手の母材として用いればよい。
高張力鋼溶接継手の母材である鋼材の組織の細粒化は、組織の受け継ぎを通じて溶接止端部の熱影響部側ミクロ組織に影響を及ぼす。スラブの加熱温度を低温化することで顕著な微細化効果が得られるが、加熱温度が低すぎると所望の板厚までの圧延が困難になるとともに、析出物の固溶−析出挙動が滞ることにより強度不足が生じる。
加熱炉から抽出したスラブは熱間圧延を行うために圧延機に送られるが、圧延機に噛み込ませる前に、加熱炉で発生した一次スケールを除去する目的で、「スケールブレーカー」と呼ばれる高圧水によるスケール除去装置を通過させる。
オーステナイトの未再結晶域で圧延を行うことにより、オーステナイト中に微細なサブグレインを形成させることができるので、変態後の組織を微細化することができる。
圧延終了後の冷却方法は、例えば、空冷や水冷など、冷却設備や製品の厚さなどに応じて適宜決定すればよい。
上記〔4〕の冷却後は、必要に応じて700℃以下の温度で焼戻しを行ってもよい。焼戻しすることにより、強度を調整することができ、また、靱性を改善することができる。なお、700℃を超える温度で焼戻しを行うと強度の低下が大きくなる。
本発明に係る溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手は、前記(C)項に記載したようにして製造した鋼材を母材として、最終パス溶接時の溶接入熱Q(J/mm)を、「t」を母材の板厚(mm)として、下記(2)式で表されるQcr-Lの値以上で、かつ下記(3)式で表されるQcr-Uの値以下としてアーク溶接する本発明(9)〜(16)の方法によって、確実に製造することができる。
Qcr-L=399.73×(299−1522×PP)-0.5×t・・・(2)、
Qcr-U=599.60×(35.4−236×PP)-0.5×t・・・(3)。
Q=39973×R-0.5×T・・・(4)。
ここで、(4)式中のQは入熱(kJ/cm)、Rは800〜500℃間の冷却速度(℃/s)、Tは母材の板厚(cm)を表す。
Claims (16)
- 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.003%以下、Al:0.002〜0.05%およびN:0.0030〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記(1)式で表されるPPの値が0.05〜0.15を満足する鋼材を母材としてアーク溶接した溶接継手であって、溶接止端部の熱影響部側ミクロ組織において、フェライトおよびベイナイトの分率がそれぞれ、10〜40%および50%以上であることを特徴とする溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、Mo:0.8%以下およびV:0.1%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.004%以下を含有することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Mg:0.006%以下を含有することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、希土類元素:0.004%以下を含有することを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手。
- 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.003%以下、Al:0.002〜0.05%およびN:0.0030〜0.01%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記(1)式で表されるPPの値が0.05〜0.15を満足する鋼材を母材としてアーク溶接する溶接継手の製造方法であって、最終パス溶接時の溶接入熱Q(J/mm)を、下記(2)式で表されるQcr-Lの値以上で、かつ下記(3)式で表されるQcr-Uの値以下として溶接することを特徴とする溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
PP=(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)・・・(1)
Qcr-L=399.73×(299−1522×PP)-0.5×t・・・(2)
Qcr-U=599.60×(35.4−236×PP)-0.5×t・・・(3)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表し、また、(2)式および(3)式中のtは母材の板厚(mm)を表す。 - 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.8%以下、Ni:1%以下、Mo:0.8%以下およびV:0.1%以下のうちの1種以上を含有するものである請求項9に記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1%以下を含有するものである請求項9または10に記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.1%以下を含有するものである請求項9から11までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下を含有するものである請求項9から12までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.004%以下を含有するものである請求項9から13までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、Mg:0.006%以下を含有するものである請求項9から14までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
- 母材となる鋼材が、Feの一部に代えて、質量%で、希土類元素:0.004%以下を含有するものである請求項9から15までのいずれかに記載の溶接部からの延性き裂発生に対する抵抗性に優れる高張力鋼溶接継手の製造方法。
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