JP2009039094A - クレープミックス、クレープバッターおよびクレープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉とを含有することを特徴とするクレープミックス。および、強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉と、糖類と、蛋白素材と、水または牛乳とを混合してなることを特徴とするクレープバッター。
【選択図】なし
Description
このような問題を解決する方法として、特許文献1には、クレープなどの焼成洋菓子の製造において、液体油脂、乳化剤、鶏卵、牛乳または水を混合攪拌して乳化を高めた後、これに小麦粉、糖類、粉末状抽出植物蛋白を加えて調製したバッターミックスを用いる方法が提案されており、該方法により得られる焼成洋菓子は冷凍耐性を有し、冷凍しても食感および食味が低下しないことが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、バッターミックスの調製が煩雑であり、また乳化剤の使用が必須である。近年の健康志向の高まりから、乳化剤などの添加物はなるべく使用しないことが望まれている。
「強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉とを含有することを特徴とするクレープミックス。」
「強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉と、糖類と、蛋白素材と、水または牛乳とを混合してなることを特徴とするクレープバッター。」
一方、α化度が30%を超え、対粉300質量%に加水した場合の粘度が10Pa・sを超える湿熱処理小麦粉は、ネチャツキが生じ好ましくない。
このような粒径の湿熱処理小麦粉を用いることにより、バッター調製時に該小麦粉が水に速やかに溶解するため、バッター粘度が安定し、ザラツキがなく、滑らかで口溶けの良い食感のクレープが得られる。
例えば、薄力粉を、適宜加水調整した後、アルミパウチに封入密閉し、飽和水蒸気を用いて加圧(1気圧)状態で加熱処理(例えば、110〜130℃で、10〜20分間)することにより、本発明で用いられる湿熱処理小麦粉を得ることができる。
<α化度の測定方法>
α化度(糊化度ともいう)の測定にあたっては、従来法であるβ−アミラーゼ・プルラナーゼ法により測定を行う。以下に、その内容について説明する。
使用する試薬は、以下の通りである。
1.0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液
2.10N水酸化ナトリウム溶液
3.2N酢酸溶液
4.酵素溶液:β−アミラーゼ(ナガセ生化学工業(株)#1500)0.017gおよびプルラナーゼ(林原生物化学研究所、No. 31001)0.17gを上記0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液に溶かして100mlとしたもの。
5.失活酵素溶液:上記酵素溶液を10分間煮沸させて調製。
6.ソモギー試薬およびネルソン試薬(還元糖量の測定用試薬)
1.湿熱処理小麦粉をホモジナイザーで粉砕し、100メッシュ以下とする。この粉砕した湿熱処理小麦粉0.08〜0.10gをガラスホモジナイザーにとる。
2.これに脱塩水8.0mlを加え、ガラスホモジナイザーを10〜20回上下させて分散を行う。
3.2本の25ml容目盛り付き試験管に上記2.の分散液を2mlずつとり、1本は0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液で定容し、試験区とする。
4.他の1本には、10N水酸化ナトリウム溶液0.2mlを添加し、50℃で3〜5分間反応させ、完全に糊化させる。その後、2N酢酸溶液1.0mlを添加し、pHを6.0付近に調整した後、0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液で定容し、糊化区とする。
5.上記3.および4.で調製した試験区および糊化区の試験液をそれぞれ0.4mlとり、それぞれに酵素溶液0.1mlを加えて、40℃で30分間酵素反応させる。同時に、ブランクとして、酵素溶液の代わりに失活酵素溶液0.1mlを加えたものも調製する。酵素反応は途中で反応液を時々攪拌させながら行う。
6.上記反応済液0.5mlにソモギー試薬0.5mlを添加し、沸騰浴中で15分間煮沸する。煮沸後、流水中で5分間冷却した後、ネルソン試薬1.0mlを添加・攪拌し、15分間放置する。
7.その後、脱塩水8.00mlを加えた後、攪拌し、500nmの吸光度を測定する。
下式によりα化度を算出する。
粘度を測定するにあたっては、対粉300質量%に加水したバッターを調製し、ミキサーによるミキシングを行った後の該バッターの粘度をBM型粘度計にて測定する。以下に、その手順について説明する。
ボール(ホバート社製)に、冷水を900ml注ぎ、その上に湿熱処理小麦粉を300g入れる。ワイヤーホイップ(ホバート社製)にて適当に攪拌し、粉と水を馴染ませた後、ミキサー(ホバート社製)にて1st=30秒、2nd=240秒攪拌する。
(B)測定手順
BM型粘度計を使用し、ミキサー攪拌後10分経過後の粘度を測定する。
また、本発明のクレープミックスには、クレープの製造に従来より用いられている添加物、例えば、卵粉末、脱脂粉乳、小麦蛋白、大豆蛋白などの蛋白素材;動植物油脂、粉末油脂などの油脂類;ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガムなどの増粘剤;食物繊維、膨張剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料などを必要に応じて適宜配合することができる。これらの中でも、もち米粉と増粘剤、特にもち米粉とペクチンを配合することが好ましい。もち米粉と増粘剤を配合する場合、これらの配合量は、クレープミックス中、もち米粉を好ましくは3〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%、増粘剤を好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%とするとよい。
上記バッターを焼成することにより本発明のクレープが得られる。上記バッターの焼成は、従来と同様にして行うことができる。
冷凍された本発明のクレープの解凍方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、自然解凍、チルド解凍、電子レンジ解凍、袋などに包装した状態で流水あるいは水に漬けて解凍する方法などが挙げられ、何れの方法でもよい。
本発明のクレープバッターは、上記湿熱処理小麦粉と、強力粉と、糖類と、蛋白素材と、水または牛乳とを混合してなるものである。
これらの糖類の中でも、少糖類が好適に使用され、就中、トレハロースを用いるのが、サクサクとした食感を得る上で特に好ましい。また、水飴を使用する場合は、粉末水飴よりも液体水飴が好ましい。
これらの糖類は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これら蛋白素材は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、糖類の配合割合が低過ぎると、パサついた食感になりやすく、また糖類の配合割合が高過ぎると、食感がベタベタしたものになりやすい。
また、蛋白素材の配合割合が低過ぎると、食感がベタつきやすく、また蛋白素材の配合割合が高過ぎると、食感がパサつきやすい。
また、水または牛乳の配合割合が低過ぎると、食感が硬くなり、また水または牛乳の配合割合が高過ぎると、食感がベチャつきやすい。
その他の粉原料を配合する場合、その配合量は、クレープバッター中の全粉原料の50質量%以下であることが好ましい。
本発明のクレープバッターを用いて製造された本発明のクレープは、冷凍保存しても、しっとりした食感を維持している。この冷凍は、常法により行うことができ、急速冷凍でも緩慢冷凍でもよいが、好ましくは急速冷凍であり、解凍方法は、前述した何れの方法でもよい。
薄力粉を加水率90%にて加水を行った後、アルミパウチに封入密閉し、飽和水蒸気を用いて加圧(1気圧)状態で加熱処理(130℃で15分間)することにより、湿熱処理を行った。湿熱処理後、湿熱処理された小麦粉を棚乾燥にて乾燥処理し、粉砕機にて粉砕処理を行い、粒径1.0mm以下の小麦粉の割合が100%で、粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%である湿熱処理小麦粉を得た。
得られた湿熱処理小麦粉のα化度は21%、対粉300質量%に加水した場合の粘度は3Pa・sであった。なお、α化度および粘度については、上記した手順で測定した。また、粒径については、マイクロトラックFRA9220(乾式)(日機装株式会社製)を用いて測定を行った。
製造例1で製造した湿熱処理小麦粉を用い、表1〜3に示す配合によりクレープミックスをそれぞれ調製した。
湿熱処理小麦粉の代わりに通常の薄力粉を用いた以外は、表1に示す配合により実施例1と同様にしてクレープミックスを調製した。
実施例1〜13および比較例1で調製したクレープミックス100質量部にそれぞれ水50質量部を加えて、常法に従ってクレープバッターをそれぞれ調製し、これらのバッターを焼成してクレープをそれぞれ製造した。
これらのクレープについて、冷凍状態で10日間保存後に電子レンジで解凍した直後の食感を、10名のパネラーに下記評価基準により評価させた。その評価結果(10名のパネラーの平均点)を表1〜3に示す。
5点:非常にしっとりしている。
4点:ややしっとりしている。
3点:普通。
2点:ややパサつく。
1点:パサつく。
実施例1で調製したクレープミックスを用い、表4〜5に示す配合により常法に従ってクレープバッターをそれぞれ調製した。
比較例1で調製したクレープミックスを用い、表4に示す配合により常法に従ってクレープバッターを調製した。
実施例14〜24および比較例2で調製したクレープバッターを焼成してクレープをそれぞれ製造した。
これらのクレープについて、評価試験例1と同様にして、冷凍保存後の電子レンジ解凍直後の食感を評価した。その評価結果(10名のパネラーの平均点)を表4〜5に示す。
Claims (4)
- 強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉とを含有することを特徴とするクレープミックス。
- 強力粉の含有量が5〜70質量%で、湿熱処理小麦粉の含有量が1〜50質量%である請求項1記載のクレープミックス。
- 強力粉と、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s以上、10Pa・s以下である湿熱処理小麦粉と、糖類と、蛋白素材と、水または牛乳とを混合してなることを特徴とするクレープバッター。
- 請求項1もしくは2記載のクレープミックスまたは請求項3記載のクレープバッターを用いて製造されたことを特徴とするクレープ。
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