JP2009038883A - 投入エネルギ量推定装置、ピエゾインジェクタの駆動装置、ピエゾインジェクタの容量推定装置及びピエゾインジェクタの駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】充電処理によってピエゾ素子PEに投入される電気エネルギ量を簡易且つ高精度に推定することが困難なこと。
【解決手段】充電スイッチ64のオン・オフ操作による降圧チョッパ制御により、ピエゾ素子PEの充電処理がなされる。詳しくは、充電スイッチ64のオン操作によってコンデンサ62、充電スイッチ64、充放電コイル66及びピエゾ素子PEのループ回路が形成され、また、充電スイッチ64のオフ操作によって充放電コイル66、ピエゾ素子PE及びダイオード74のループ回路が形成されることで、充電処理がなされる。オン操作時においてピエゾ素子PEを介して流れる電流の積分値に、一定値とみなしたコンデンサ62の電圧値を乗算することで、ピエゾ素子PEへ投入されたエネルギ量を推定する。
【選択図】 図3
【解決手段】充電スイッチ64のオン・オフ操作による降圧チョッパ制御により、ピエゾ素子PEの充電処理がなされる。詳しくは、充電スイッチ64のオン操作によってコンデンサ62、充電スイッチ64、充放電コイル66及びピエゾ素子PEのループ回路が形成され、また、充電スイッチ64のオフ操作によって充放電コイル66、ピエゾ素子PE及びダイオード74のループ回路が形成されることで、充電処理がなされる。オン操作時においてピエゾ素子PEを介して流れる電流の積分値に、一定値とみなしたコンデンサ62の電圧値を乗算することで、ピエゾ素子PEへ投入されたエネルギ量を推定する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、充電処理によってピエゾ素子に投入された電気エネルギ量について、これを推定する投入エネルギ量推定装置並びに、これを備えるピエゾインジェクタの駆動装置、ピエゾインジェクタの容量推定装置及びピエゾインジェクタの駆動システムに関する。
ディーゼル機関においては、排気特性の向上や騒音の抑制等を目的として、1燃焼サイクル内にて複数回の燃料噴射を行ういわゆる多段噴射制御を行うことが周知である。多段噴射制御においては、極微少量の燃料噴射が含まれることなどに起因して、燃料噴射弁に対して高速動作性能が要求される。こうした状況下、応答性に優れたピエゾインジェクタが注目されている。
ただし、ピエゾインジェクタに搭載されるピエゾ素子は、温度に応じて電気的な性質が大きく変化するため、同一の電気的な操作にかかわらず、ピエゾ素子の伸縮量が温度に依存して大きく変動するおそれがある。
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、ピエゾ素子に対する充電処理において、投入されるエネルギ量を一定とすることも提案されている。これは、同一の投入エネルギ量に対しては、ピエゾ素子の温度によらずピエゾ素子の伸縮量が略一定となることに鑑みてなされるものである。また、下記特許文献2,3に見られるように、降圧チョッパ制御にてピエゾ素子に対する充電処理を行うに際して、スイッチング素子のオン操作時間を1回の充電処理期間に渡って同一として且つ、ピエゾ素子を流れる電流がゼロとなるまでの期間をスイッチング素子のオフ期間とすることも提案されている。これにより、充電処理期間におけるピエゾ素子に投入されるエネルギを略一定とすることができ、ひいては投入エネルギ量を所望に制御することができる。
特開2005−130561号公報
特開2003−319667号公報
特開2004−320869号公報
ところで、上記制御手法によれば、簡易にエネルギを略一定とする制御ができるとはいえ、投入エネルギ量のオープンループ制御がなされるために、その制御誤差を補償することができない。これに対し、例えばピエゾ素子を介して流れる電流とピエゾ素子の電圧との積の時間積分値を算出することで投入エネルギ量を高精度に算出することも提案されている。しかし、この場合、制御装置の演算負荷が過大となるおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、充電処理によってピエゾ素子に投入される電気エネルギ量をより簡易に推定することのできる投入エネルギ量推定装置を提供することにある。また、本発明の目的は、この投入エネルギ量推定装置を搭載するピエゾインジェクタの駆動装置、ピエゾインジェクタの容量推定装置及びピエゾインジェクタの駆動システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、充電処理によってピエゾインジェクタ内のピエゾ素子に投入された電気エネルギ量について、これを推定する投入エネルギ量推定装置において、前記充電処理によって電源から流出する電流量の累積値を算出する累積値算出手段と、前記算出される累積値に前記電源の電圧を乗算することで前記投入エネルギの推定値を算出する推定値算出手段とを備え、前記累積値算出手段は、前記累積値から、前記充電処理によって前記電源から流出する電流量のうち前記ピエゾ素子を介して流れることなく散逸する電流量の累積分を除去する除去手段を備えることを特徴とする。
エネルギ保存則によれば、ピエゾ素子に投入されるエネルギ量は、電源から流出したエネルギ量相当であると考えられる。上記発明では、この点に着目することで、累積値と電源の電圧との乗算値として投入エネルギ量を算出することができるため、逐次の電流値と電圧値との積を算出する場合と比較して演算負荷を低減することができる。ただし、充電処理に際しては、ピエゾ素子を介して流れることなく散逸する電流量が存在し得る。そして、エネルギ保存則によれば、ピエゾ素子への投入エネルギ量は、電源から流出したエネルギ量からこの散逸分を除去したものとなる。この点、上記発明では、除去手段を備えることで、投入エネルギ量を高精度に算出することができる。
なお、上記電源は、複数回の充電処理にかかわらず安定して電力を供給可能な安定化電源であることが望ましい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記充電処理のための前記ピエゾ素子の駆動回路は、降圧チョッパ回路を備えて構成され、前記除去手段は、前記降圧チョッパ回路のスイッチング素子の操作に同期して前記ピエゾ素子を介して流れる電流の累積演算の実行及び停止を繰り返す手段であることを特徴とする。
降圧チョッパ制御によれば、電源から電流が流出するタイミングは、スイッチング素子の操作に同期している。上記発明では、この点に着目し、スイッチング素子の操作に同期してピエゾ素子を介して流れる電流の累積値の実行及び停止を繰り返す。ここで、ピエゾ素子を介して流れる電流は、電源から流出する電流量からピエゾ素子を介して流れることなく散逸する電流量が除去されたものとなる。このため、上記発明では、除去手段を好適に構成することができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記降圧チョッパ回路は、前記電源、前記スイッチング素子、インダクタ、及び前記ピエゾ素子を備えて構成される第1のループ回路と、前記インダクタ、前記ピエゾ素子及び整流手段を備えて構成される第2のループ回路とを備えて構成されてなることを特徴とする。
上記降圧チョッパ回路によれば、スイッチング素子がオフ操作される場合、インダクタに蓄えられたフライホイールエネルギが第2のループ回路を介して流動することで、ピエゾ素子にエネルギが投入される。そして、この際には、電源からピエゾ素子への電流の流出はない。このため、スイッチング素子の操作に同期してピエゾ素子を介して流れる電流の累積演算の実行及び停止を繰り返すことで、上記除去手段を適切に構成することができる。
請求項4記載の発明は、前記ピエゾ素子がピエゾインジェクタ内に搭載されるものであり、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投入エネルギ量推定装置と、前記ピエゾ素子に投入するエネルギ量をオープンループ制御するオープンループ制御手段と、前記オープンループ制御手段によって投入されたエネルギについての前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記オープンループ制御態様を補正するフィードバック制御手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、投入エネルギ量の推定値に基づきオープンループ制御態様をフィードバック補正するために、オープンループ制御のみを用いる場合と比較して、投入エネルギ量をより高精度に制御することができる。
請求項5記載の発明は、充電処理によってピエゾインジェクタ内のピエゾ素子に投入するエネルギ量をオープンループ制御するオープンループ制御手段と、前記充電処理によって電源から流出する電流量の累積値を算出する累積値算出手段と、前記算出される累積値に前記電源の電圧を乗算することで前記投入エネルギの推定値を算出する推定値算出手段と、前記オープンループ制御手段によって投入されたエネルギについての前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記オープンループ制御態様を変更する学習制御手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、投入エネルギ量の推定値に基づきオープンループ制御態様を学習制御によって変更するために、オープンループ制御のみを用いる場合と比較して、投入エネルギ量をより高精度に制御することができる。
なお、前記充電処理のための前記ピエゾ素子の駆動回路は、降圧チョッパ回路を備えて構成されることを特徴としてもよい。
更に、前記降圧チョッパ回路は、前記電源、前記スイッチング素子、インダクタ、及び前記ピエゾ素子を備えて構成される第1のループ回路と、前記インダクタ、前記ピエゾ素子及び整流手段を備えて構成される第2のループ回路とを備えて構成されてなることを特徴としてもよい。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、前記充電処理のための前記ピエゾ素子の駆動回路は、降圧チョッパ回路を備えて構成され、前記オープンループ制御手段は、1回の充電処理における前記チョッパ回路のスイッチング素子のオン・オフ操作のオン時間を固定して且つ前記ピエゾ素子を介して流れる電流が規定電流以下となるまでの期間をオフ期間とすることで、前記ピエゾ素子を介して流れる電流の漸増及び漸減を繰り返しつつ前記充電処理を行うことを特徴とする。
上記発明では、オン時間の設定や、オン・オフ操作の回数、充電処理時間の設定等によって、投入エネルギ量を簡易且つ高精度に制御することができる。
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記オープンループ制御手段は、前記ピエゾインジェクタに供給される燃料の圧力に基づき、前記ピエゾ素子への投入エネルギ量の目標値を設定することを特徴とする。
ピエゾインジェクタでは、通常、ピエゾ素子の変位に際してピエゾ素子に燃料の圧力が加わる。このため、投入エネルギ量を固定しても、ピエゾ素子の変位量は、燃料の圧力に依存して変化する。上記発明では、この点に着目し、燃料の圧力に基づき目標値を設定することで、燃料の圧力にかかわらず、ピエゾ素子の変位量を所望に制御することができる。
請求項8記載の発明は、請求項4〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記オープンループ制御手段は、前記ピエゾ素子の温度に基づき、前記ピエゾ素子への投入エネルギ量の目標値を設定することを特徴とする。
ピエゾ素子の温度が低いと、ピエゾ素子の電圧とピエゾ素子の電荷との比にて定義される見かけのピエゾ容量が小さくなるため、ピエゾ素子を充電する際にピエゾ素子の電圧が大きく上昇し、ひいてはピエゾ素子の充電が十分にできなくなるおそれがある。また、ピエゾ素子の温度は燃料の温度と相間を有する。そして、ピエゾ素子の温度が高いときには、燃料の粘性が低下することから、ピエゾ素子の変位に対してノズルニードルの変位が鈍るおそれがある。上記発明では、こうした点に鑑み、ピエゾ素子の温度に基づき目標値を設定することで、ノズルニードルのリフト量を所望に制御する上で適切な変位量にピエゾ素子を制御することができる。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記ピエゾ素子の温度は、前記ピエゾ素子の容量から把握されるものであり、前記容量は、前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき推定されるものであることを特徴とする。
ピエゾ素子の容量は、ピエゾ素子の温度と相間を有する。そして、ピエゾ素子の容量は、ピエゾ素子への投入エネルギ量と、ピエゾ素子の電圧又は投入電荷量の少なくとも一方とに基づき算出することができる。この点、上記発明では、上記推定値を用いることでピエゾ素子の容量を適切に推定することができる。特に、推定値は、フィードバック制御(学習制御)に用いるものであるため、ピエゾ素子の容量の推定のために加わる新たな構成を極力低減することができる。
請求項10記載の発明は、請求項4〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記オープンループ制御の目標値と前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値との乖離度合いが規定値以上となる場合、前記充電処理のための駆動回路及び前記ピエゾ素子の少なくとも一方に異常がある旨判断する手段を更に備えることを特徴とする。
投入エネルギ量と目標値との乖離度合いが過度に大きい場合には、駆動回路やピエゾ素子に異常があると考えられる。この点、上記発明では、推定値と目標値との乖離度合いに基づき、上記異常の有無を適切に判断することができる。
請求項11記載の発明は、前記ピエゾ素子がピエゾインジェクタ内に搭載されるものであり、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投入エネルギ量推定装置と、前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記ピエゾ素子の容量を推定する手段とを備えることを特徴とする。
ピエゾ素子の容量は、ピエゾ素子への投入エネルギ量と、ピエゾ素子の電圧又は投入電荷量の少なくとも一方とに基づき算出することができる。この点、上記発明では、上記推定値を用いることでピエゾ素子の容量を適切に推定することができる。
請求項12記載の発明は、請求項4〜10のいずれか1項に記載のピエゾインジェクタの駆動装置と、前記ピエゾインジェクタ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを備えることを特徴とする。
上記発明では、ピエゾ素子の投入エネルギ量を高精度に制御することができるため、ピエゾインジェクタや駆動回路の利用価値をいっそう向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるピエゾインジェクタの駆動装置を、コモンレール式の車載ディーゼル機関の備えるピエゾインジェクタの駆動装置に適用した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
以下、本発明にかかるピエゾインジェクタの駆動装置を、コモンレール式の車載ディーゼル機関の備えるピエゾインジェクタの駆動装置に適用した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態における燃料噴射制御システムの全体構成を示す。
図示されるように、燃料タンク10内の燃料は、燃料フィルタ12を介して燃料ポンプ13によって汲み上げられる。この燃料ポンプ13は、SCV(燃料調量弁14)を備えており、この燃料調量弁14が操作されることで、外部に吐出される燃料量が決定される。
燃料ポンプ13からの燃料は、コモンレール15に加圧供給(圧送)される。コモンレール15は、燃料ポンプ13から圧送された燃料を高圧状態で蓄え、これを高圧燃料通路16を介して各気筒(ここでは、4気筒を例示)のピエゾインジェクタPIに供給する。ピエゾインジェクタPIは、低圧燃料通路17と接続されており、低圧燃料通路17を介して燃料を燃料タンク10に戻すことが可能となっている。
ここで、図2に基づき、ピエゾインジェクタPIの構造について説明する。
ピエゾインジェクタPIのボディ20の先端には、円柱状のニードル収納部22が設けられている。そして、ニードル収納部22には、その軸方向に変位可能なノズルニードル24が収納されている。ノズルニードル24は、ボディ20の先端部に形成されている環状のニードルシート部26に着座することで、ニードル収納部22を外部(ディーゼル機関の燃焼室)から遮断する一方、ニードルシート部26から離座することで、ニードル収納部22を外部と連通させる。また、ニードル収納部22には、上記高圧燃料通路16を介して高圧燃料が供給される。
ノズルニードル24の背面側(ニードルシート部26と対向する側の反対側)は、背圧室30に対向している。背圧室30には、高圧燃料通路16からの燃料がオリフィス32を介して供給される。また、背圧室30には、ノズルニードル24をニードルシート部26側へ押すニードルスプリング34が備えられている。
背圧室30は、ボール36を介して上記低圧燃料通路17に連通可能とされている。ボール36は、その背面側が、環状のバルブシート部40に着座することで、低圧燃料通路17と背圧室30とを遮断し、ボディ20の先端側へ変位することで、低圧燃料通路17と背圧室30とを連通させる。
ボール36のうちバルブシート部40側は、プレッシャピン42を介して小径ピストン44と連結されている。小径ピストン44の後部側は、小径ピストン44よりも径の大きな大径ピストン46の先端と対向している。そして、小径ピストン44、大径ピストン46、及びボディ20の内周面によって変位伝達室48が区画形成されている。変位伝達室48には、例えば燃料等の適宜の流体が充填されている。
一方、大径ピストン46は、そのボディ20の後方側がピエゾ素子PEと連結されている。ちなみに、ピエゾ素子PEは、大径ピストン46と対向する側の裏面側がボディ20に固定されている。
ピエゾ素子PEは、複数の圧電素子が積層されてなる積層体(ピエゾスタック)を備え、これが逆圧電効果により伸縮することによりアクチュエータとして機能する。具体的には、ピエゾ素子PEは、容量性の負荷であり、充電されることで伸長し、放電されることで縮小する。ちなみに、本実施形態にかかるピエゾ素子PEは、PZT等の圧電材料の圧電素子を利用したものである。
ピエゾ素子PEへ電流が供給されずピエゾ素子PEが収縮状態にあるときには、高圧燃料通路16の高圧燃料により力が及ぼされることから、ボール36や小径ピストン44はボディ20の後方に位置することとなる。このとき、ボール36により背圧室30と低圧燃料通路17とは遮断されている。このため、背圧室30内の燃料の圧力(コモンレール15内の燃料の圧力)及びニードルスプリング34の弾性力によって、ノズルニードル24は、ボディ20先端側へと押され、ニードルシート部26に着座した状態(閉弁状態)となる。
一方、ピエゾ素子PEに電流が供給されることでピエゾ素子PEが伸長状態となると、ボール36は、ボディ20の先端側へ移動する。これにより、背圧室30が低圧燃料通路17と連通される。その結果、背圧室30内の燃料の圧力が低下し、ニードル収納部22内の高圧燃料がノズルニードル24をボディ20の後方へ押す力が、背圧室30内の燃料及びニードルスプリング34がノズルニードル24をボディ20の前方へ押す力よりも所定以上大きくなると、ノズルニードル24は、ニードルシート部26から離座した状態(開弁状態)となる。
先の図1に示した燃料噴射制御システムは、コモンレール15内の燃圧を検出する燃圧センサ51等、ディーゼル機関の運転状態を検出する各種センサを備えている。
これら各種センサの検出結果は、制御装置50に取り込まれる。そして、制御装置50では、こうした検出値に基づき、ピエゾインジェクタPI等、ディーゼル機関の各種アクチュエータを操作する。次に、制御装置50の行なう処理のうち、特にピエゾインジェクタPIに設けられるピエゾ素子PEの充電及び放電を行う処理について詳述する。
図3に、ピエゾインジェクタPIの備えるピエゾ素子PE及び制御装置50の構成を示す。
ここでは、まずピエゾ素子PEを駆動する駆動回路について説明する。図示されるように、バッテリBaから供給される電力は、まず昇圧回路であるDC/DCコンバータ60に供給される。DC/DCコンバータ60は、バッテリBaの電圧(例えば「12V」)を、ピエゾ素子PEを充電するための高電圧(例えば「150〜300V」)に昇圧する。
DC/DCコンバータ60の昇圧電圧は、コンデンサ62に印加される。コンデンサ62は、その一方の端子がDC/DCコンバータ60側に接続され、また他方の端子が接地されている。そして、DC/DCコンバータ60の昇圧電圧がコンデンサ62に印加されると、コンデンサ62はピエゾ素子PEに供給するための電荷を蓄える。ちなみに、コンデンサ62は、ピエゾ素子PEへの一回の充電処理によってはその電圧がほとんど変化しない容量(例えば「数十〜数百μF」程度)を有するものであることが望ましい。
コンデンサ62のうちの高電位となる端子側、すなわち、DC/DCコンバータ60側は、充電スイッチ64と充放電コイル66との直列接続体を介して、ピエゾ素子PE(各気筒に対応してピエゾ素子pa〜pdと表記)の高電位となる端子側に接続されている。そして、ピエゾ素子PEの低電位となる端子側は、接地されている。
詳しくは、各ピエゾ素子pa〜pdと接地との間には、気筒選択スイッチ68が接続されており、これにより、ピエゾ素子pa〜pdのいずれに対して充電処理又は放電処理を行うかを選択するようになっている。また、ピエゾ素子paとピエゾ素子pdとの並列回路と、ピエゾ素子pbとピエゾ素子pcとの並列回路とには、それぞれこれらと充放電コイル66とを接続するバンク選択スイッチ70が接続されている。このバンク選択スイッチ70は、複数気筒の同時噴射や、退避走行時に2気筒のみを用いることを可能とするスイッチである。ちなみに、ピエゾ素子pa〜pdは、ピエゾ素子paが1番気筒、ピエゾ素子pbが2番気筒、ピエゾ素子pcが3番気筒、ピエゾ素子pdが4番気筒に対応している。
充電スイッチ64と充放電コイル66との間には、放電スイッチ72の一方の端子が接続されており、放電スイッチ72の他方の端子は、接地されている。
放電スイッチ72には、ダイオード74が並列接続されている。ダイオード74は、そのカソード側がコンデンサ62及び充放電コイル66との間に、またそのアノード側が接地側にそれぞれ接続されている。ダイオード74は、コンデンサ62、充電スイッチ64、充放電コイル66と共に、ピエゾ素子PEを充電する降圧チョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
一方、充電スイッチ64には、ダイオード76が並列接続されている。ダイオード76は、そのカソード側がコンデンサ62側と、またそのアノード側が放電スイッチ72側と接続されている。ダイオード76は、コンデンサ62、充放電コイル66、放電スイッチ72と共に、ピエゾ素子PEの電荷を放電する昇圧チョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
なお、充放電コイル66とバンク選択スイッチ70との間には、ショートスイッチ78とダイオード80と抵抗82及び抵抗84の直列接続体とが、ピエゾ素子PEに並列に接続されている。このショートスイッチ78は、上記チョッパ制御によっては放電しきれなかったピエゾ素子PEの電荷を完全に放電するためのものである。また、ダイオード80は、ピエゾ素子PEの電圧がマイナスになることを防止している。また、上記コンデンサ62には、これと並列に、抵抗体85及び抵抗体86の直列接続体が接続されている。
先の図1に示した制御装置50は、上記駆動回路に加えて、マイクロコンピュータ(マイコン94)と制御IC92とを備えている。ここで、マイコン94は、ディーゼル機関の運転状態等を検出する各種センサの検出値に基づき、ピエゾ素子PEの変位量の制御条件を算出し、制御IC92に出力する。制御IC92は、マイコン94から出力された制御条件に基づき、駆動回路を駆動する。なお、制御IC92やマイコン94は、駆動回路の各ノードN1〜N7の電位に基づき、駆動回路やピエゾ素子PEの電流や電圧等の情報を取り込んでいる。
ここで、本実施形態にかかるピエゾ素子PEの変位量の制御(充電処理及び放電処理)について詳述する。
図4に、充電処理及び放電処理の態様を示す。ここで、図4(a)は、マイコン94から制御IC92に出力される信号であって且つ、ピエゾインジェクタPIに対する噴射期間の指令値(指令噴射期間)を示す噴射信号の推移を示す。図4(b)は、充電スイッチ64の操作信号の推移を示す。図4(c)は、気筒選択スイッチ68の操作信号の推移を示す(ここではそのうちのピエゾ素子paに対応したものを例示)。図4(d)は、放電スイッチ72の操作信号の推移を示す。図4(e)は、バンク選択スイッチ70の操作信号の推移を示す(ここでは、図4(c)に対応するスイッチの操作信号を例示)。図4(f)は、ショートスイッチ78の操作態様の推移を示す。図4(g)は、コンデンサ62の電圧の推移を示す。図4(h)は、ピエゾ素子PEの高電位となる側の電圧の推移を示す。図4(i)は、ピエゾ素子PEを介して流れる電流(ピエゾ素子PEに流入する電荷、ピエゾ素子PEから流出する電荷)の推移を示す。図4(j)は、後述する電荷の積分値の推移を示す。
図示されるように、時刻t1に、マイコン94から制御IC92に噴射信号が出力されることで、制御IC92は、充電スイッチ64のオン・オフ操作によるチョッパ制御を開始する。具体的には、充電スイッチ64がオン操作されることによって、図5(a)に示すように、コンデンサ62、充電スイッチ64、充放電コイル66、ピエゾ素子paからなる閉ループ回路が形成される。これにより、コンデンサ62の電荷がピエゾ素子paに充電される。このとき、先の図4に示すように、ピエゾ素子paを介して流れる電流量が漸増する(電流量の漸増操作)。一方、充電スイッチ64のオン操作の後、充電スイッチ64がオフ操作されることで、図5(b)に示すように、充放電コイル66、ピエゾ素子pa、ダイオード74からなる閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル66のフライホイールエネルギが、ピエゾ素子paに充電される。このとき、先の図4に示すように、ピエゾ素子paを介して流れる電流量が漸減する(電流量の漸減操作)。そして、本実施形態では、先の図4に示すように、電流量がゼロとなることで、充電スイッチ64を再度オン操作する。
上記態様にて充電スイッチ64が操作される降圧チョッパ制御が時刻t1〜時刻t2にわたって行われることで、ピエゾ素子paが充電され、ピエゾ素子paの高電位となる端子側の電位が上昇する。
一方、図4に示す時刻t3において、噴射信号が反転すると、制御IC92では、放電スイッチ72のオン・オフ操作を開始する。具体的には、放電スイッチ72がオン操作されることで、図6(a)に示すように、ピエゾ素子pa、充放電コイル66、及び放電スイッチ72によって閉ループ回路が形成される。これにより、ピエゾ素子paが放電される。このとき、先の図4に示すように、ピエゾ素子paを介して流れる電流量が漸増する(電流量の漸増操作)。更に、放電スイッチ72のオン操作の後、放電スイッチ72がオフ操作されることで、図6(b)に示すように、ピエゾ素子pa、充放電コイル66、ダイオード76、及びコンデンサ62によって閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル66のフライホイールエネルギがコンデンサ62に回収される。このとき、先の図4に示すように、ピエゾ素子paを介して流れる電流量が漸減する(電流量の漸減操作)。そして、本実施形態では、先の図4に示すように、電流量がゼロとなることで、放電スイッチ72を再度オン操作する。
上記放電スイッチ72をオフ操作するタイミングは、ピエゾ素子paを介して流れる電流量が規定値となるタイミングとする。この規定値は、固定値でよい。しかし、上記充電処理によってピエゾ素子paに充電される電荷の総量が多いほど規定値を大きくするなら、ピエゾ素子paに充電された電荷量にかかわらず、放電処理時間を一定とすることができる。なお、この処理を行うには、充電処理時間に渡ってピエゾ素子paを介して流れる電流を積分する積分器(後述する先の図3の積分器87とは別の積分器)を備えることが望ましい。
上記態様にて放電スイッチ72が操作される昇圧チョッパ制御が行われることで、ピエゾ素子paが放電され、ピエゾ素子paの高電位となる端子側の電位が低下する。ちなみに、図5、図6に示す式は、ピエゾ素子paを介して流れる電流量Iと、充放電コイル66のインダクタンスL、ピエゾ素子paの電圧Vp、コンデンサ62の電圧Vcとの関係を表すものである。
なお、図4に示すように、昇圧チョッパ制御によるピエゾ素子paの放電が完了した後の時刻t4〜時刻t5までの間、ショートスイッチ78がオン操作されることで、ピエゾ素子paの電荷を完全に放電させるようにする。
本実施形態では、図4に示したように、ピエゾ素子PEの充電処理を、充電スイッチ64のオン・オフ操作をすることによって行っている。そして、ピエゾ素子PEの変位量を所望に制御するに際し、本実施形態では、ピエゾ素子PEの変位量と相関を有するピエゾ素子PEの電気的な状態量を制御量とする。
ところで、ピエゾ素子PEの容量(ピエゾ素子PEに蓄えられる電荷とピエゾ素子PEの電圧とを関係付ける見かけの容量)Cは、温度依存性を有する。詳しくは、図7に示すように、温度が高くなるほど容量Cが増加する。このように、ピエゾ素子PEの電気的な特性が温度に応じて変化するため、電気的な状態量に基づきピエゾ素子PEの変位量を制御することは困難である。実際、図8に示されるように、ピエゾ素子PEの電圧に対する変位量の比によって定義される圧電率dは、温度が高いほど大きくなる。このため、ピエゾ素子PEの電圧によってピエゾ素子PEの変位量を制御する場合には、その制御精度を高く維持することができない。
そこで本実施形態では、ピエゾ素子PEを充電することでピエゾ素子PEを伸長制御するに際し、ピエゾ素子PEに投入するエネルギ量を定める。ピエゾ素子PEのエネルギが同一であれば、ピエゾ素子PEの温度の変動にかかわらず、ピエゾ素子PEの変位量を略一定とすることができるからである。これは、簡易的には、以下のようにして説明される。すなわち、ピエゾ素子PEのエネルギEを一定とする場合、温度の上昇につれて先の図7に示す関係から容量が大きくなると、電圧Vは、「E=1/2CV2」の関係から低下する。このため、先の図8に示したように温度が上昇するにつれて圧電率dが増加する効果は、温度の上昇に伴う電圧の低下の効果によって相殺される。
上記エネルギ量をピエゾ素子PEの容量変化によらず一定とすべく、本実施形態では、充電処理時の降圧チョッパ制御を図9に示す態様にて行なう。すなわち、充電スイッチ64をオン状態とする時間を充電処理の間中一定とし、且つオフ状態とする時間をピエゾ素子PEを介して流れる電流がゼロとなるまでの時間とする。換言すれば、電流の漸増操作から漸減操作へと切り替えるタイミングを漸増操作から予め定められた時間が経過するときとして且つ、電流の漸減操作から漸増操作へと切り替えるタイミングを電流がゼロとなるときとする。これにより、単位時間当たりにピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量を、ピエゾ素子PEの温度にかかわらず略一定とすることができ、単位時間当たりのエネルギ投入量は、充電スイッチ64をオン状態とする時間によって調節することができる。
上記処理により単位時間当たりの投入エネルギ量を一定とすることができるのは、充電スイッチ64をオン状態とする時間において、ピエゾ素子paの電圧が上昇するほどピエゾ素子paを介して流れる電流量が減少するためである。ここで、先の図4に示した数式からもわかるように、オン状態時にピエゾ素子paを介して流れる電流は、ピエゾ素子paの電圧が高いほど減少している。このため、各オン時間を一定とすることで、各オン状態時においてピエゾ素子paに投入されるエネルギ量を略一定とすることができる。なお、上記態様の降圧チョッパ制御により単位時間当たりにピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量を一定とすることができることについては、例えば特開2002−13156号公報に記載されている。
図10に、本実施形態にかかるピエゾ素子PEの充電処理に関するブロック図を示す。この処理は、制御IC92を主体として行われる。
目標ベース値設定部B2は、ピエゾ素子PEに投入するエネルギの目標ベース値ETBSを設定する。本実施形態では、上記燃圧センサ51によって検出されるコモンレール15内の燃圧と、ピエゾインジェクタPIの個体差情報とに基づき、目標ベース値ETBSを設定する。燃圧に応じて目標ベース値ETBSを可変とするのは、ピエゾ素子PEの変位量が、ピエゾ素子PEの変位方向と逆方向に外部から加わる力に応じて変化するためである。一方、ピエゾインジェクタPIを開弁させるためには、高圧燃料通路16を介して供給される燃料がボール36をバルブシート部40側へ押す力に打ち勝つ力をピエゾ素子PEによって発生させなければならない。このため、ピエゾ素子PEの変位方向と逆方向に加わる力は、燃料の圧力に応じて変化する。
上記個体差情報は、例えば、先の図1に示した燃料噴射制御システムにピエゾインジェクタPIを装着するに先立ち、燃料噴射特性を計測するなどにより予め計測されるものである。なお、計測された個体差情報は、これを記憶した2次元コード等を各ピエゾインジェクタPIに付与し、上記燃料噴射制御システムにピエゾインジェクタPIを装着する際に2次元コード内のデータを制御装置50に記憶させるようにすることが望ましい。
温度補正部B6は、高温状態において、目標ベース値ETBSを補正する補正量を算出するものである。詳しくは、高温であるほど、目標ベース値ETBSを増量補正する。これは、ピエゾインジェクタPIに供給される燃料が高温となるほど、燃料の粘性が低下するために、ピエゾPEの伸長量の割にノズルニードル24のリフト量の変位が鈍る傾向にあることに鑑みてなされるものである。特に、本実施形態では、ピエゾ素子PEの容量(ピエゾ容量C)を燃料の温度と相間を有するパラメータとして利用する。これは、ピエゾ素子PEの温度が燃料の温度と相間を有して且つ、先の図7に示したようにピエゾ容量Cに温度依存性があることによる。具体的には、ピエゾ素子PEの温度が高いほどピエゾ容量Cが大きくなることに鑑み、ピエゾ容量Cが大きくなるほど、目標ベース値ETBSの増量補正量を増大させる。
容量算出部B4は、後述する処理にて算出されるピエゾ素子PEへの投入エネルギ(実エネルギEACT)と、先の図3のノードN4の電圧に応じて検出されるピエゾ素子PEの電圧とに基づき、ピエゾ容量Cを算出する。
目標値算出部B8は、目標ベース値ETBSを上記温度補正部B6の出力によって補正することで、目標値ETRGを算出する。
オン時間設定部B10は、目標値ETRGに応じて、充電スイッチ64をオン状態とする時間であるオン時間Tonを設定する。ここでは、目標値ETRGが大きいほどオン時間Tonを長い値とする。これは、同一の充電処理時間にて投入エネルギ量を目標値ETRGとするための設定である。
偏差算出部B12は、実エネルギEACTと目標値ETRGとの差ΔEを算出する。平均化処理部B14では、充電処理がなされる際の燃圧NPCが同一レベルであるものについての上記差ΔEの複数のサンプリング値を平均化する処理を行う。学習値算出部B16は、平均化処理部B14の出力に基づき、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いを定量化した値である学習値ΔTを算出する。本実施形態では、学習値ΔTを、乖離度合いを補償するためのオン時間Tonの補正量として定量化している。そして、実エネルギEACTの方が目標値ETRGよりも小さければ小さいほど、学習値ΔTを大きい値とする。
学習値記憶部B18は、学習値算出部B16によって算出される学習値ΔTを記憶する。ここでは、燃圧NPCによって複数に分割された各領域毎に、学習値ΔTが記憶される。これは、燃圧に応じて目標値ETRGが設定されることから、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いも燃圧に依存する可能性があると考えられることに鑑みてなされる設定である。なお、学習値記憶部B18は、常時記憶保持装置を備えて構成されており、上記学習値ΔTを、常時記憶保持装置に記憶保持する。ここで、常時記憶時装置とは、駆動装置(制御IC92やマイコン94)の給電手段としてのバッテリとの主接続の状態(電源スイッチの状態)にかかわらず、データを常時保持する記憶装置である。この常時記憶保持装置としては、例えば制御装置50とバッテリとの主接続の状態にかかわらず常時給電状態とされるバックアップメモリや、給電の有無にかかわらずデータを保持する不揮発性メモリ(EEPROM等)などがある。これにより、駆動装置の主電源がオンされてからオフされるまでの間の期間(又はディーゼル機関が起動されてから停止されるまでの期間)をトリップとする場合、複数回のトリップにわたって同一の学習値を用いることが可能となる。なお、上記学習値ΔTの学習処理は、1トリップに一回程度、又は所定走行距離に1回程度行うことが望ましい。
オン時間補正部B20では、オン時間設定部B10の出力を学習値ΔTで補正することで、充電スイッチ64の最終的なオン時間Tonを設定する。
こうした処理によれば、燃圧NPCや個体差、温度変化にかかわらず、ピエゾ素子PEへのエネルギ投入量を高精度に制御することができる。特に上記オン時間Tonの設定に基づくオープンループ制御の制御誤差が、学習値ΔTにて補償されるために、ピエゾ素子PEへの投入エネルギ量を高精度に制御することができる。以下、本実施形態にかかるピエゾ素子PEの投入エネルギ量の推定方法(実エネルギEACTの算出方法)について詳述する。
<実エネルギEACTの算出方法>
本実施形態では、エネルギ保存則に着目し、ピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量が、コンデンサ62から流出するエネルギ量相当であるとして、実エネルギEACTを推定する。ここで、充電処理においてコンデンサ62から流出するエネルギ量は、コンデンサ62の電圧と、コンデンサ62から流出する電流との積の積分値となる。ただし、先の図4(g)からもわかるように、本実施形態では、コンデンサ62を、1回の充電処理によってはその電圧がほとんど変化しない安定化電源としているため、充電処理の間のコンデンサ62の電圧を一定値として近似することができる。このため、コンデンサ62から流出するエネルギ量は、電流の積分値にコンデンサ62の電圧を乗算することで簡易に算出することが可能となる。
本実施形態では、エネルギ保存則に着目し、ピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量が、コンデンサ62から流出するエネルギ量相当であるとして、実エネルギEACTを推定する。ここで、充電処理においてコンデンサ62から流出するエネルギ量は、コンデンサ62の電圧と、コンデンサ62から流出する電流との積の積分値となる。ただし、先の図4(g)からもわかるように、本実施形態では、コンデンサ62を、1回の充電処理によってはその電圧がほとんど変化しない安定化電源としているため、充電処理の間のコンデンサ62の電圧を一定値として近似することができる。このため、コンデンサ62から流出するエネルギ量は、電流の積分値にコンデンサ62の電圧を乗算することで簡易に算出することが可能となる。
ただし、充電処理時においても、抵抗体85,86の直列接続体や、抵抗体82,84の直列接続体を介して電流が流れることなどから、コンデンサ62から流出した電流の一部は、ピエゾ素子PEを介することなく散逸することとなる。このため、コンデンサ62から流出するエネルギをピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量とする場合には、この散逸エネルギ量が誤差として生じることとなる。
そこで本実施形態では、ピエゾ素子PEを介して流れる電流のうち、特に充電スイッチ64がオン状態にあるときの電流についての積分値と、コンデンサ62の電圧との積をピエゾ素子PEの投入エネルギ量とする。これは、先の図5(b)に示したように、充電スイッチ64がオフ状態である際には、コンデンサ62を介して電流が流れず、充放電コイル66のエネルギによってピエゾ素子PEに電流が流れることに着目した結果である。実際、コンデンサ62から流出する電流は、先の図9に1点鎖線にて示すように、充電スイッチ64がオンとなることで漸増して且つオフとなることでステップ状にゼロとなる。そして、充電スイッチ64のオン状態時においてピエゾ素子PEを介して流れる電流は、コンデンサ62から流出する電流のうち、上記散逸する電流を好適に除去したものとなっている。
具体的には、先の図3に示すように、ピエゾ素子PEを介して流れる電流は、ピエゾ素子PEと接地との間のシャント抵抗SRの電圧降下量を示すノードN5,N6の電圧として、積分器87に取りこまれる。そして、積分器87の出力値は、A/D変換器88によってディジタルデータに変換され、マイコン94に取り込まれる。これにより、マイコン94では、実エネルギEACTを算出することができる。
図11に、積分器87の構成を示す。
図示されるように、積分器87は、オペアンプ100aを備えたアナログの積分回路100を備えて構成されている。積分回路100においては、オペアンプ100aの出力端子及び反転入力端子間がコンデンサ100bを介して接続されており、オペアンプ100aの非反転入力端子は接地されている。また、積分回路100の入力端子であるオペアンプ100aの反転入力端子は、スイッチング素子102を介して、検出対象と接続されている(積分器87の入力端子と接続されている)。また、積分回路100のコンデンサ100bに並列に、積分回路100を初期化するための(コンデンサ100bの放電のための)スイッチング素子104が接続されている。
図12に、制御IC92によってなされる積分器87の操作に関する処理手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS10において、噴射信号が入力されたか否かを判断する。そして、噴射信号が入力されると、スイッチング素子104をオフ操作する。この処理は、コンデンサ100bの電荷の放電を防止するためのものである。続くステップS14では、充電スイッチ64がオン状態にあるか否かを判断する。この処理は、電流の積分演算の実行条件が成立しているか否かを判断するためのものである。そして、充電スイッチ64がオン状態にあると判断される場合には、積分演算を実行すべく、ステップS16に移行して、スイッチング素子102をオンとする。これにより、積分回路100では、ピエゾ素子PEを介して流れる電流(厳密には、ノードN5,N6の電圧)の積分演算を行う。
一方、ステップS14において充電スイッチ64がオン状態にないと判断される場合には、ステップS18において、スイッチング素子102をオフ操作する。続くステップS20においては、噴射信号が論理「L」に反転することで噴射の終了が指示されるか否かを判断する。ステップS20において噴射の終了が指示されない場合やステップS16の処理が完了する場合には、ステップS14に戻る。一方、噴射の終了が指示される場合には、ステップS22においてスイッチング素子104をオンとすることで、コンデンサ100bの電荷を放電し、積分回路100を初期化する(図4(j))。
図13に、マイコン94によってなされる実エネルギEACTの算出処理の手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS30において、噴射信号の出力時であるか否かを判断する。この処理は、コンデンサ62の電圧をサンプリングするタイミングを判断するためのものである。そして、ステップS30において肯定判断される場合には、ステップS32において、コンデンサ62の電圧VDCを取得する。これは、先の図3のノードN1の電圧の検出に基づき行うことができる。続くステップS34では、充電が終了したか否かを判断する。この処理は、積分器87の積分値(電圧QDC)の取得タイミングを判断するものである。なお、充電の終了の判断は、噴射信号の出力タイミングから、充電処理が確実に終了していると想定される時間が経過したか否かによって行うことができる。
そして充電が終了したと判断される場合には、積分器87の電圧QDCを取得する。そして、ステップS38では、ステップS32にて取得したコンデンサ62の電圧とステップS36にて取得した積分器87の電圧QDC(より正確には、電圧QDCを所定に変換することで電流の積分値としたもの)とを乗算することで、実エネルギEACTを算出する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)コンデンサ62の電圧とコンデンサ62から流出する電流との乗算値として実エネルギEACTを算出するに際し、充電処理によってコンデンサ62から流出する電流量のうちピエゾ素子PEを介して流れることなく散逸する電流量の累積分を除去した。これにより、実エネルギEACTを高精度に算出することができる。
(2)充電スイッチ64のオン操作に同期してピエゾ素子PEを介して流れる電流の積分演算の実行及び停止を繰り返すことで、電流の積分値を算出した。これにより、コンデンサ62から流出する電流量からピエゾ素子PEを介して流れることなく散逸する電流量を好適に除去しつつ電流の積分値を算出することができる。
(3)実エネルギEACTに基づき、オープンループ制御態様を変更する学習制御を行った。これにより、ピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量をより高精度に制御することができる。
(4)1回の充電処理における充電スイッチ64のオン・オフ操作のオン時間Tonを固定して且つピエゾ素子PEを介して流れる電流が規定電流以下となるまでの期間をオフ期間とすることで、ピエゾ素子PEを介して流れる電流の漸増及び漸減を繰り返しつつ充電処理を行った。これにより、オン時間の設定や、オン・オフ操作の回数によって、ピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量を簡易且つ高精度に制御することができる。
(5)ピエゾインジェクタPIに供給される燃料の圧力に基づき、ピエゾ素子PEに投入されるエネルギ量の目標値ETRGを設定した。これにより、燃料の圧力にかかわらず、ピエゾ素子PEの変位量を所望に制御することができる。
(6)ピエゾ素子PEの温度に基づき、ピエゾ素子PEに投入するエネルギ量の目標値ETRGを設定した。これにより、ノズルニードル24のリフト量を所望に制御する上で適切な変位量にピエゾ素子PEを制御することができる。
(7)ピエゾ素子PEの温度を、ピエゾ容量Cから把握して且つ、ピエゾ容量Cを、実エネルギEACTに基づき推定した。これにより、学習制御のための実エネルギEACTの算出処理手段を用いてピエゾ素子PEの温度と相間を有するパラメータを適切に取得することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いに基づき、駆動回路やピエゾ素子PEの異常の有無を診断する機能を更に備える。
図14に、制御装置50によって行われる上記異常の有無の診断にかかる処理の手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS40において、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いΔEを算出する。ここでは、乖離度合いΔEを、実エネルギEACTから目標値ETRGを除算した値とする。続くステップS42においては、乖離度合いΔEが閾値γ以上であるか否かを判断する。この処理は、駆動回路やピエゾ素子PEに異常があるか否かを判断するためのものである。ここで、閾値γは、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いとして、駆動回路やピエゾ素子PEの個体差等によっては生じ得ない値に設定されている。
そして、閾値γ以上と判断される場合には、ステップS44に移行し、駆動回路及びピエゾ素子PEの少なくとも一方に異常がある旨判断する。ここで、異常の要因としては、ピエゾ素子PEの劣化や、駆動回路のショート、断線等が考えられる。続くステップS46においては、異常がある旨外部に通知する。
なお、上記ステップS40において否定判断される場合や、ステップS46の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記各効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(8)実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いが閾値γ以上となる場合、充電処理のための駆動回路及びピエゾ素子PEの少なくとも一方に異常がある旨判断した。これにより、上記異常の有無を適切に判断することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記各実施形態では、ピエゾ容量Cを、エネルギと電圧との関係式を用いて算出したがこれに限らず、例えばエネルギと電荷との関係式を用いて算出してもよい。これは、ピエゾ素子PEに充電される電荷量Qを、例えば先の図4に示した積分器87と同様の積分器を用いて、充電処理期間の間、上記ピエゾ素子PEを介して流れる電流の積分演算を継続することで行うことができる。
・上記各実施形態では、ピエゾ容量Cに基づき目標ベース値ETBSを補正したが、これに限らず、例えば燃圧NPC、個体情報及びピエゾ容量Cを入力とする3次元マップを用いて、目標値ETRGを算出してもよい。また、燃圧NPC及びピエゾ容量Cを入力とする2次元マップに基づき目標ベース値を設定して且つ、個体情報に基づき目標ベース値を補正するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、ピエゾ容量Cに基づき高温時の投入エネルギの目標値ETRGを設定したがこれに限らない。例えば、ピエゾ容量Cが小さくなる低温時においてピエゾ素子PEの電圧が過度に高くなりコンデンサ62の電圧との差が縮まることに起因してピエゾ素子PEへの電荷の充電がされにくくなることに鑑み、低温時において目標値ETRGの増量補正をするためにピエゾ容量Cを用いてもよい。ただし、ここで目標値ETRGの増量補正がなされる理由が目標ベース値ETBSのエネルギを確実に投入することにあることに鑑みれば、学習制御に際しては、目標値ETRGからピエゾ容量Cに基づく低温時の補正を除去した値と実エネルギEACTとの乖離度合いを用いることが望ましい。
・ピエゾ素子PEの容量Cの利用手法としては、上記のものに限らない。例えば放電処理に際して、容量Cを参照してもよい。
・ピエゾ素子PEの温度に関するパラメータとしては、ピエゾ容量Cに限らない。例えばピエゾ素子PEの近傍に、その温度を感知する感温ダイオード等の温度感知手段を備え、同手段の出力を温度パラメータとして用いてもよい。
・上記各実施形態では、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いに基づく学習値ΔTを、燃圧NPC毎に学習したがこれに限らない。例えば、燃圧NPCの全領域において、共通の学習値ΔTを学習してもよい。また、ピエゾ素子PEや燃料の温度に応じて、学習値ΔTを各別に学習してもよい。これによれば、温度補正部B6の補正誤差をより適切に学習補償することなどができる。
・上記各実施形態では、学習値ΔTを算出するために、実エネルギEACTと目標値ETRGとの差の複数個のサンプリング値を平均化処理したが、単一のサンプリング値に基づき学習処理をしてもよい。
・また、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いに基づき、次回の燃料噴射に際してのオン時間Tonを補正するようにしてもよい。なお、この場合、実エネルギEACTと目標値ETRGとの乖離度合いに基づくオン時間Tonの補正量を、常時記憶保持装置に記憶することなく、揮発性メモリに記憶してもよい。
・上記各実施形態では、目標値ETRGに基づき、オン時間Tonを設定したがこれに限らない。例えば、充電処理時間を可変設定してもよい。更に、オン時間Ton及び充電処理時間の双方を可変設定してもよい。
・上記各実施形態では、コンデンサ62の電圧VDCとして、噴射信号の立ち上がりに同期して取得した値を用いたが、これに限らず、例えば充電処理期間の間のコンデンサ62の電圧の複数個のサンプリング値の平均値を用いてもよい。
・上記各実施形態では、制御IC92が積分器87のスイッチング素子102,104を操作したがこれに限らず、マイコン94が操作してもよい。また、図10の処理を全てマイコン94内でのソフトウェア処理としてもよい。
・ピエゾインジェクタPIとしては、先の図2に例示したものに限らない。この際、ピエゾ素子の変位に応じて開弁及び閉弁の2値的な動作をするものに限らず、例えば米国特許第6530423号明細書に記載されているように、ピエゾ素子PEの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調節可能なインジェクタであってもよい。この場合であっても、ピエゾ素子PEの動力を伝達させるピエゾインジェクタPI内の動力伝達系において、ピエゾ素子PEの変位に際し、ピエゾ素子PEの変位に対向するように燃圧が加わる構成である場合には、電気的な状態量の制御態様を燃圧に応じて可変とすることが特に有効である。
・ピエゾ素子PEに充電するための降圧チョッパ回路としては、先の図3に例示したものに限らない。例えば充電スイッチ64のオフ操作時にフライホイールエネルギを流動させるための整流手段として、ダイオード74に代えて、サイリスタを用いてもよい。更に、これに代えて、MOSトランジスタ等のスイッチング素子を用い、このスイッチング素子を充電スイッチ64のオフ操作に同期してオン操作してもよい。また、ピエゾ素子PEを自身よりも低い電圧に充電するための電源としては、上記コンデンサ62を備えて構成されるものに限らない。例えばハイブリッド車において、車載電動機に対する給電手段としての高圧バッテリの電圧を所定の電圧に調節するレギュレータの出力端子を電源としてもよい。
・充電処理に伴って電源から流出する電流量の累積値から、上記流出する電流量のうちピエゾ素子PEを介して流れることなく散逸する電流量の累積値分を除去する除去手段としては、充電スイッチ64の操作に同期してノードN5,N6を流れる電流量の累積演算の実行及び停止を繰り返す手段に限らない。例えばノードN7を流れる電流量の累積値から、ノードN1を流れる電流量及びノードN4を流れる電流量の累積値を除去する手段としてもよい。この際、コンデンサ62の電圧が一定であるとみなせることに鑑みれば、ノードN1の電流量も一定であるとみなせるため、この電流の累積値については、充電処理期間近傍で計測した一点での電流量と充電処理時間との積として簡易に算出してもよい。
更に、駆動回路のうちのコンデンサ62からの電気経路が分岐した下流側での電流値に基づき累積値を算出するものにも限らず、例えばコンデンサ62から流出するエネルギ量に、補正係数を乗算することで簡易にピエゾ素子PEへ投入されるエネルギ量を推定してもよい。この際、この補正係数は固定値としてもよいが、目標値ETRGや、駆動回路やピエゾ素子PEの温度、コンデンサ62の電圧等に基づき可変設定するなら、推定精度を向上させることができる。
・ピエゾ素子PEを充電するための駆動回路としては、降圧チョッパ回路に限らない。例えば特表2000−503807号公報や、特開2004−20508号公報、特開2001−157472号公報に記載されているように、LC共振回路であってもよい。この場合であっても、LC共振回路内に電荷を充電する際の電源の電圧と、電源から流出する電流の累積値との積に基づき、ピエゾ素子PEへの投入エネルギ量を推定することができる。更に、この際、ピエゾ素子PEを介して流れることなく散逸する電流量の積分値を除去するなら、投入エネルギ量を高精度に推定することができる。
更に、駆動回路としては、例えば特開2003−148221号公報や、特開昭63−183250号公報、特開平4−308338号公報等に見られるように、トランスの2次側をピエゾ素子PEと接続するものであってもよい。この場合であっても、トランスの1次側に接続される電源の電圧と、同電源から流出する電流量との積に基づき、ピエゾ素子PEへの投入エネルギ量を推定することができる。更に、この際、ピエゾ素子PEを介して流れることなく散逸する電流量の積分値を除去するなら、投入エネルギ量を高精度に推定することができる。
・その他、内燃機関としては、ディーゼル機関に限らず、例えば筒内噴射式ガソリン機関であってもよい。
60…コンデンサ(電源の一実施形態)、64…充電スイッチ、66…充放電コイル、87…積分器、PE…ピエゾ素子、PI…ピエゾインジェクタ。
Claims (12)
- 充電処理によってピエゾ素子に投入された電気エネルギ量について、これを推定する投入エネルギ量推定装置において、
前記充電処理によって電源から流出する電流量の累積値を算出する累積値算出手段と、
前記算出される累積値に前記電源の電圧を乗算することで前記投入エネルギの推定値を算出する推定値算出手段とを備え、
前記累積値算出手段は、前記累積値から、前記充電処理によって前記電源から流出する電流量のうち前記ピエゾ素子を介して流れることなく散逸する電流量の累積分を除去する除去手段を備えることを特徴とする投入エネルギ量推定装置。 - 前記充電処理のための前記ピエゾ素子の駆動回路は、降圧チョッパ回路を備えて構成され、
前記除去手段は、前記降圧チョッパ回路のスイッチング素子の操作に同期して前記ピエゾ素子を介して流れる電流の累積演算の実行及び停止を繰り返す手段であることを特徴とする請求項1記載の投入エネルギ量推定装置。 - 前記降圧チョッパ回路は、前記電源、前記スイッチング素子、インダクタ、及び前記ピエゾ素子を備えて構成される第1のループ回路と、前記インダクタ、前記ピエゾ素子及び整流手段を備えて構成される第2のループ回路とを備えて構成されてなることを特徴とする請求項2記載の投入エネルギ量推定装置。
- 前記ピエゾ素子がピエゾインジェクタ内に搭載されるものであり、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の投入エネルギ量推定装置と、
前記ピエゾ素子に投入するエネルギ量をオープンループ制御するオープンループ制御手段と、
前記オープンループ制御手段によって投入されたエネルギについての前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記オープンループ制御態様を補正するフィードバック制御手段とを備えることを特徴とするピエゾインジェクタの駆動装置。 - 充電処理によってピエゾインジェクタ内のピエゾ素子に投入するエネルギ量をオープンループ制御するオープンループ制御手段と、
前記充電処理によって電源から流出する電流量の累積値を算出する累積値算出手段と、
前記算出される累積値に前記電源の電圧を乗算することで前記投入エネルギの推定値を算出する推定値算出手段と、
前記オープンループ制御手段によって投入されたエネルギについての前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記オープンループ制御態様を変更する学習制御手段とを備えることを特徴とするピエゾインジェクタの駆動装置。 - 前記充電処理のための前記ピエゾ素子の駆動回路は、降圧チョッパ回路を備えて構成され、
前記オープンループ制御手段は、1回の充電処理における前記チョッパ回路のスイッチング素子のオン・オフ操作のオン時間を固定して且つ前記ピエゾ素子を介して流れる電流が規定電流以下となるまでの期間をオフ期間とすることで、前記ピエゾ素子を介して流れる電流の漸増及び漸減を繰り返しつつ前記充電処理を行うことを特徴とする請求項4又は5記載のピエゾインジェクタの駆動装置。 - 前記オープンループ制御手段は、前記ピエゾインジェクタに供給される燃料の圧力に基づき、前記ピエゾ素子への投入エネルギ量の目標値を設定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のピエゾインジェクタの駆動装置。
- 前記オープンループ制御手段は、前記ピエゾ素子の温度に基づき、前記ピエゾ素子への投入エネルギ量の目標値を設定することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のピエゾインジェクタの駆動装置。
- 前記ピエゾ素子の温度は、前記ピエゾ素子の容量から把握されるものであり、
前記容量は、前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき推定されるものであることを特徴とする請求項8記載のピエゾインジェクタの駆動装置。 - 前記オープンループ制御の目標値と前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値との乖離度合いが規定値以上となる場合、前記充電処理のための駆動回路及び前記ピエゾ素子の少なくとも一方に異常がある旨判断する手段を更に備えることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載のピエゾインジェクタの駆動装置。
- 前記ピエゾ素子がピエゾインジェクタ内に搭載されるものであり、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の投入エネルギ量推定装置と、
前記投入エネルギ量推定装置による前記推定値に基づき、前記ピエゾ素子の容量を推定する手段とを備えることを特徴とするピエゾインジェクタの容量推定装置。 - 請求項4〜10のいずれか1項に記載のピエゾインジェクタの駆動装置と、
前記ピエゾインジェクタ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを備えることを特徴とするピエゾインジェクタの駆動システム。
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