JP2009031048A - 圧電型加速度センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電型加速度センサ1が、軸直角断面の1/2以上が圧電体4で形成された梁部と、この梁部の一端側によって支持された錘3と、梁部の他端側を支持する支持台2と、圧電体4に発生する分極電圧を取り出すための電極5とを備える。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、長尺板状に形成されて一面に信号取出電極を形成した素子エレメントの一対の各他面を互いに対面接合した圧電素子と、圧電素子の両端部を支持する支持部とを備え、圧電素子が加速度方向へ撓んで分極されて電気信号を出力する加速度センサにおいて、両端部が撓みに基づいて変位自在に可動し得るよう圧電素子を支持する可動支持手段が支持部に設けられた加速度センサが記載されている。
この加速度センサでは、両端支持された圧電素子自体に作用する慣性力によって発生する変形による分極電圧を検出して加速度を求めている。
また、特許文献2には、ダイヤフラムの一方の面に重錘が固定され、ダイヤフラムの他方の面に圧電素子が固定されてなる加速度検出部と、この加速度検出部の圧電素子側に配され、加速度検出部の検出信号を増幅させる回路基板とを備え、圧電素子の接続電極と回路基板の接続端子とが接続される圧電型加速度センサであって、圧電素子の接続電極と回路基板の接続端子とを互いに対向させ、これら接続電極と接続端子とを、弾性を有する導電性接点材によって接続したことを特徴とする圧電型加速度センサが記載されている。
この圧電型加速度センサでは、重錘に作用する慣性力によってダイヤフラムが変形され、ダイヤフラム上に固定された圧電素子によってダイヤフラムの変形を検出することで、重錘に作用する加速度を検出することができるようになっている。
特許文献1に記載の技術では、長尺板状の圧電素子自体の変形により加速度を検出するので簡素な構成とすることができるものの、慣性力に対する変形も小さいため、検出感度が低くなってしまうという問題がある。検出感度を上げるには、圧電素子をさらに長尺化する必要があるため、センサが大型化してしまうという問題がある。
また、3軸方向の加速度を検出するためには、3軸方向に同様の構成を配置する必要があるので、さらに大型化してしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、ダイヤフラム上に偏心させて重錘を設けるため、重錘に働く3軸方向の慣性力に応じて、ダイヤフラムが変形し、この変形をダイヤフラム上の圧電素子によって検出することで、3軸方向の加速度を検出することができる。
しかしながら、ダイヤフラム上に全面的に圧電素子を形成するため、圧電素子特性のバラツキを抑えるために製造の手間がかかり、また圧電素子自体も高価であるため、製造コストを抑えることができないという問題がある。
また、圧電素子がダイヤフラム上に薄膜状に形成されているため、圧電素子膜の破壊が起こりやすいという問題がある。
この発明によれば、錘部が、他端側が支持台部に支持された梁部の一端側に支持されているので、圧電型加速度センサが運動して加速度が発生した場合、錘部に作用する慣性力によって梁部が変形する。梁部は、軸直角断面の1/2以上が圧電体で形成されているため、梁部の表面のみならず、梁部の軸直角断面内での変形をも圧電体で検知することできる。そして、圧電体の歪みに応じて発生する分極電圧を電極部から取り出すことで、梁部の歪みに応じた加速度を検出することができる。
また、錘部を梁部で支持するため、錘部を、例えばダイヤフラムなどで支持する場合に比べて、支持スパンが短くても変形を検知しやすくなるので、支持スパンを短縮することが可能となる。
また圧電体を、梁状、すなわち、1次元的に形成するため、圧電材料が少なくて済み、同量の圧電材料であれば、平面膜状に成形する場合に比べて、高強度を有する梁部を構成することができる。また、平面膜状に成形する場合に比べて、製造が容易となるので、複数の梁部を設ける場合でも、各梁部の圧電素子特性を均一化しやすくなる。
この発明によれば、梁部の長さ方向の中間部が、圧電体のみで形成されるので、中間部では、梁部の変形がすべて圧電体の変形になるため、感度を向上することができる。
なお、さらに感度を向上するためには、梁部全体が圧電体で形成されることが好ましい。
この発明によれば、梁部の端部が、錘部および支持台部の少なくともいずれかの側面と、この側面から梁部側に突出された突起部とに接合されてなるので、側面に直に接合される場合に比べて接合面積が大きくなり、梁部の端部での接合強度を向上することができる。
この発明によれば、圧電材料の微粒子を衝突付着させて、梁部を構成する圧電体を形成するので、例えば、錘部と支持台部との距離が短い場合や、それぞれの形状が複雑な場合であっても、容易に製造することができるため、小型の圧電型加速度センサを形成することができる。
また、常温環境で付着させることができるため、支持台部や錘部に、熱に弱い材質を用いることも可能となる。
この発明によれば、錘部が、複数の梁部によって重心が3軸方向に移動可能に支持されているため、3軸方向の加速度を検出する圧電型加速度センサを構成することができる。その際、錘部を、感度に方向性を有する梁状の圧電体で支持するため、圧電体を効率的に配置することが可能となる。
本発明の実施形態に係る圧電型加速度センサについて説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る圧電型加速度センサの概略構成を示す模式的な平面図である。図1(b)、(c)は、それぞれ図1(a)のA−A断面図およびB−B断面図である。
なお、圧電型加速度センサ1を取り付けるパッケージや基板などの相手部材や、電極5からの配線は図示を省略している。
本実施形態では、一例として、平面視正方形の開口部が設けられた金属製の枠体で構成されている。また本実施形態では、支持台2は金属の板材をプレス加工して形成されており、支持台2の厚さは、元の板材の板厚と同一で、枠体の辺長よりも短くなっている。
本実施形態では、圧電体4は、4本の圧電体4A、4B、4C、4Dからなり、それぞれ、梁長さ方向の一端側が錘3の側面3aと不図示の絶縁層を介して接合され、他端側が側面3aに対向する支持台2の枠体の内側面2a(支持台の側面)と不図示の絶縁層を介して接合されている。
そして、平面視では、圧電体4A、4Cは、錘3の重心Gと重なる一直線上に整列され、圧電体4B、4Dは、圧電体4A、4Cが整列する一直線に直交し、錘3の重心Gに重なる一直線上に整列されている。
図2(a)は、本発明の実施形態に係る圧電型加速度センサの製造工程について説明する平面視の工程説明図である。図2(b)は、図2(a)のC−C断面図である。図3(a)は、図2に示す工程に続く製造工程について説明する平面視の工程説明図である。図3(b)は、図3(a)のD−D断面図である。図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ図3に示す工程に続く製造工程について順次説明する図3(a)のD−D断面と同様な断面図である。
次に、図3(a)、(b)に示すように、形成された支持台2、錘3を、圧電体成形用プレート6上に配置し、接合層7を介してそれぞれの位置を固定する。
すなわち、圧電体成形用プレート6の平面視形状は、図3(a)に示すように、錘3を固定する錘固定部6aと、錘3に接合する各圧電体4の延設方向に延ばされた帯状の圧電体成形部6bと、支持台2を固定する支持台固定部6cとを有する格子枠上の板部材である。このため、錘固定部6aと支持台固定部6cとの間は、4箇所の圧電体成形部6bを除いて開口している。
ここで、圧電体成形部6bの幅寸法は、圧電体4の軸直角断面の幅寸法、すなわち、圧電体4で構成される梁断面幅と一致されている。
なお、支持台2、錘3を絶縁体で形成する場合には、この工程は省略することができる。
PZT微粒子を衝突付着させる技術としては、エアロゾルデポジション法(以下、AD法と略称する)を採用することができる。AD法は、成膜する微粒子材料をガスと混合してエアロゾル化し、減圧化の雰囲気で被膜成体に対してノズルを通して噴射し、いわゆる常温衝撃固化現象を利用して成膜を行う方法である(例えば、明渡、「エアロゾルデポジション法とその応用」表面化学、2004、第25巻、第10号、p.635−641)。
AD法による成膜工程では、PZT微粒子が一定範囲に噴射され被膜形成体に衝突することで成膜が進むため、ノズル位置と被膜形成体とを相対移動して噴射領域を移動させ、付着量を制御することで膜厚(梁断面の高さ)を制御することができる。
一方、圧電体4の梁断面の幅寸法は、被膜形成体である圧電体成形用プレート6の圧電体成形部6bの寸法によって決まる。
また、内側面2a、側面3a、圧電体成形部6bに到達しないPZT微粒子は、圧電体成形用プレート6の開口部を通り抜けて、圧電体4の形成に寄与しない。
このようにして、図4(a)に示すように、接合層7が形成された圧電体成形部6b、側面3a、内側面2aの間に、それぞれ軸直角断面が制御された圧電体4を形成することができる。
そして、図4(c)に示すように、支持台2の厚さ方向において、互いに対向する圧電体4の表面にそれぞれ電極5を形成し、必要に応じて、不図示の配線パターンを形成する。
このようにして、圧電型加速度センサ1が製造される。
また、常温環境で付着させることができるため、支持台部や錘部に、熱に弱い材質を用いることも可能となる。
また、圧電体4を1次元的な梁として形成するので、より大きな広がりを有する2次元膜として形成する場合に比べて、製造上、圧電素子特性のバラツキを抑えることが容易となる。
図5(a)、(b)は、それぞれ本実施形態の圧電型加速度センサの動作を説明するための模式的な動作説明図である。
これにより、圧電体4B、4Dは、図示S字状に変形し、それぞれの歪みに応じて分極電圧が発生する。この分極電圧に対応する電圧信号VB、VDは、各電極5に接続された配線101を通して加速度検出回路100により検出される。
また、この場合、図示奥行き方向に配置される圧電体4A、4Cは、慣性力fxによる紙面内反時計回りのねじりモーメントとx方向の剪断力とを受けて変形するが、このような変形に対する圧電素子の感度は低いため、それぞれの歪みに応じてより小さな分極電圧が発生する。この分極電圧に対応する電圧信号VA、VCは、各電極5に接続された配線101を通して加速度検出回路100により検出される。
加速度検出回路100では、これらの電圧信号VA、VB、VC、VDから、予め校正された各電圧信号と加速度との関係に基づいて、x方向における加速度を算出し、適宜の検出信号Axを出力する。
加速度検出回路100は、このような圧電体4A、4B、4C、4Dの共通する電圧信号成分を検出した場合、予め校正された各電圧信号と加速度との関係に基づいて、z方向における加速度を算出し、適宜の検出信号Azを出力する。
このように、圧電型加速度センサ1によれば、電圧信号VA、VB、VC、VDに基づいて、互いに直交する3軸方向の加速度を検出することができる。
また圧電体4を、1次元的に形成するため、高価な圧電材料が少なくて済み、低コスト化を図ることができる。また、圧電体4を平面膜状に成形する場合に比べて、同量の圧電材料であれば、梁断面の高さを高くできるので、高強度を有する圧電体4を構成することができる。
図6(a)は、本発明の実施形態の第1変形例に係る圧電型加速度センサの概略構成を示す模式的な平面図である。図6(b)、(c)は、それぞれ図6(a)のE−E断面図およびF−F断面図である。
本変形例は、上記実施形態の圧電型加速度センサ1における圧電体4の端部と支持台2、錘3との接合部の形状に関する変形例であり、それぞれの平面視の配置は、上記実施形態と同様である。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
突起部12aは、周方向には少なくとも圧電体14が接合される範囲に設けられていればよいが、本実施形態では内側面2aの全周にわたって設けられている。
突起部13aは、周方向には少なくとも圧電体14が接合される範囲に設けられていればよいが、本実施形態では側面3aの全周にわたって設けられている。
本実施形態では、圧電体14は、4本の圧電体14A、14B、14C、14Dからなり、それぞれ、梁長さ方向の一端側が錘13の側面3aおよび突起部13aと、不図示の絶縁層を介して接合され、他端側が側面3aに対向する支持台12の枠体の内側面2aおよび突起部12aと、不図示の絶縁層を介して接合されている。
そして、この構成の梁部の梁断面は、一定の矩形断面とされている。このため、梁の中間部では、梁断面が上記実施形態の圧電体4と同様の圧電体14から構成され、突起部12a(13a)が突出する端部側では、梁断面は、突起部12a(13a)と圧電体14とで構成されている。
また、支持台12の厚さ方向において、それぞれ対向する圧電体14の表面には、それぞれ上記実施形態と同様にして、電極5および不図示の配線が設けられている。
突起部12a、13aは、例えば、金型によって金属板からのブレス加工時に形成することができるが、形状精度を良好にするために、必要に応じて二次加工を施してもよい。
また、内側面2a、側面3aに突起部12a、13aを設けることで、圧電体14との接合部を段状とするので、内側面2a、側面3aのような平面部に接合させる場合に比べて、接合面積が大きくなり、梁部の端部での接合強度を向上することができる。
図7(a)は、本発明の実施形態の第2変形例に係る圧電型加速度センサの概略構成を示す模式的な平面図である。図7(b)、(c)は、それぞれ図7(a)のg−g断面図およびH−H断面図である。
そして、支持台22の厚さ方向において、支持台梁部22aの軸直角断面の高さは、圧電体4の軸直角断面の高さ以下とされる。
そして、各圧電体4は、一方の電極5が、不図示の絶縁層を介して支持台梁部22aに接合された状態で、両端部が、支持台本体22cの内側面22dと、錘部22bの側面22eとの間に接合されている。
このため、内側面22d、側面22eの間に形成される梁部の軸直角断面は、圧電体4と支持台梁部22aとからなり、圧電体4が1/2以上を占めている。圧電型加速度センサ20の感度を向上するためには、圧電体4の梁断面に占める割合は、できるだけ大きいことが好ましい。
まず、支持台22をプレス加工、あるいはプレス加工に適宜の除去加工等を組み合わせて形成する。
支持台22は、上記実施形態において、支持台2に圧電体成形用プレート6を接合した状態と略同様の形状となっており、圧電体成形用プレート6を用いることなく、圧電体4を形成することができる。
ただし、圧電体4の圧電材料からなる微粒子を衝撃付着させる前に、支持台梁部22aを絶縁処理し、その上に、電極5を形成し、圧電体4を成膜する点が異なる。なお、電極5の形成時に、配線も形成しておくことが好ましい。
そして、圧電体4の成膜後、さらに電極5およびこの電極5からの配線を形成する。
このようにして、圧電型加速度センサ20が製造される。
また、この薄板部材として、絶縁体を採用し、支持台2、錘3と、例えば接着などによって、接合し、一体化してもよい。この場合、支持台本体22cが絶縁体で構成されるため、電極5を形成する場合に、支持台梁部22aの絶縁処理工程を省略することができる。
このため、梁部の表面のみならず、梁部の軸直角断面内での変形をも圧電体4で検知することできる。そして、圧電体4の歪みに応じて発生する分極電圧を電極5から取り出すことで、梁部の歪みに応じた加速度を検出することができる。
また、支持台22を一体成形する場合には、部品点数を低減することができる。
また、圧電体4を成膜する際に、圧電体成形用プレート6を用いることなく、したがって、圧電体4の成膜後に剥離する工程も不要となるため、製造工程を簡素化することができる。
例えば、互いに120°で交差する3方向に配置された3本の梁部によって錘部を支持する構成としても、3軸方向の加速度を検出することができる。また、4本以上配置してもよい。
また、互いに直交配置された2本の梁部によって錘部を片持ち支持する構成としてもよい。
2、12 支持台(支持台部)
2a、22d 内側面(支持台の側面)
3 錘(錘部)
3a、22e 側面(錘部の側面)
4、4A、4B、4C、4D、14、14A、14B、14C、14D 圧電体(梁部)
5 電極(電極部)
6 圧電体成形用プレート
12a、13a 突起部
22a 支持台梁部
22b 錘部
22c 支持台本体(支持台部)
100 加速度検出回路
Claims (5)
- 軸直角断面の1/2以上が圧電体で形成された梁部と、
該梁部の一端側によって支持された錘部と、
前記梁部の他端側を支持する支持台部と、
前記梁部の圧電体に発生する分極電圧を取り出すための電極部とを備えることを特徴とする圧電型加速度センサ。 - 前記梁部の長さ方向の中間部が、圧電体のみで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧電型加速度センサ。
- 前記梁部の端部は、前記錘部および前記支持台部の少なくともいずれかの側面と、該側面から前記梁部側に突出された突起部とに接合されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電型加速度センサ。
- 前記梁部の圧電体は、圧電材料の微粒子を衝突付着させて形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電型加速度センサ。
- 前記梁部は、複数設けられ、
前記錘部は、前記複数の梁部によって、重心が3軸方向に移動可能に支持されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧電型加速度センサ。
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