JP2009021852A - 超音波送波器 - Google Patents

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剛彦 杉ノ内
Masahiko Hashimoto
雅彦 橋本
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Abstract

【課題】広い帯域を有し、高いエネルギーの超音波を空中へ送信することが可能な超音波送波器を提供する。
【解決手段】本発明の超音波送波器は、伝播方向に沿って超音波が伝播する空間および空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管2と、音響管2の空間を規定する内側面に配列された、超音波を発生する複数の送信素子4と、複数の送信素子4を駆動する駆動部6とを備え、駆動部6は、空間を伝搬する超音波の音速および複数の送信素子の位置に基づいて、複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同時刻に、音響管の空間内の同位置に同位相で伝搬するように、複数の送信素子を異なるタイミングで駆動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波の送信を行う超音波送波器に関し、特に、広い帯域を有し、高いエネルギーの超音波を空中へ送信することが可能な超音波送波器に関する。
超音波を空中へ送信する超音波送波器は、自動車のバックソナーや、ロボットの障害物検知などに用いられている。こうした用途では、測定範囲を拡大し、遠くの障害物まで検出できるよう、超音波送波器は高いエネルギーの超音波を送信できることが好ましい。また、ロボットなどに搭載できるよう超音波送波器は小型であることが好ましい。さらに、超音波の伝搬時間の測定精度を高めるため、より高周波数の超音波を送信することができるよう超音波送波器が送信する超音波の周波数帯域は広いほうが好ましい。
超音波送波器から送信される超音波のエネルギーを高める方法としては、超音波を発生させる超音波振動子に大きな電力を投入する、超音波振動子の面積を大きくする、超音波を集束させるなどが挙げられる。
しかし、超音波振動子に投入できる電力には限界があり、それ以上の電力を投入しても超音波振動子の振動する振幅が飽和してしまい、送信される超音波のエネルギーもそれ以上高くならない。超音波振動子が破壊されてしまうこともある。大電力を供給するためのアンプも大きなものになる。超音波振動子の面積を大きくすると、超音波振動子を駆動するために必然的に大電力を投入する必要があり、その結果、上述した課題が生じる。
超音波を集束させる方法によれは、焦点位置での超音波のエネルギーを高めることができる。しかし、エネルギーが高められるのは焦点位置においてのみであり、また、焦点位置の手前に障害物がある場合には超音波の伝播が妨害されるなどの課題がある。
これらの課題を解決し、送信する超音波のエネルギーを高める方法として、複数個の超音波振動子を用い、それぞれの超音波振動子から送信される超音波を合成することによってエネルギーを高める方法が知られている。一般的にエンドファイアーアレーと呼ばれている。例えば、特許文献1は、超音波を空中へ送信する超音波送波器ではないが、同様の考え方で超音波のエネルギーを高める技術を開示している。以下特許文献1に開示された高周波用超音波振動子の説明をする。
図18に示すように、特許文献1は、液体の霧化、微粒子化、金属およびプラスチックの接合などに用いられる高周波用超音波振動子40を開示している。高周波用超音波振動子40は、ツール41、円錐殻状ホーン42、前面体43、超音波振動子44、電極45、背面体46を含んでおり、前面体43、超音波振動子44、電極45、背面体46によって振動要素を構成している。
図示していない駆動回路により、電極45に電圧が印加されると、電極45に与えられた電圧によって、超音波振動子44が伸縮する。
超音波振動子44には、圧電セラミックが一般的に用いられている。圧電セラミックは、高い電気機械変換効率を備え、機械共振特性に優れているので、大きな振動エネルギーを発生させることができる。超音波振動子に与える電気信号のパワーを上げることによって、より大きな振動エネルギーを発生させることができる。
円錐殻状ホーン42は、多くの高調波振動モードを含んでいるが、そのうちの目的とする振動モードは、伸びたわみ振動モード(軸に垂直な径方向の振動成分が径方向に平行でなく、伸びを伴っている)である。
振動要素は、円錐殻状ホーン42の伸びたわみ共振周波数において軸方向に縦波半波長共振する長さに設置する。これによって、超音波振動子44を駆動することによって、図18に示す振動モード47で振動する。
このように円錐殻状ホーン42の伸びたわみ振動と同相駆動となる位置に振動要素を配置することで、円錐殻状ホーン42を効率的に振動させることができ、ツール41へ効率的に振動を伝搬させることができる。
特開平06−269077号公報
特許文献1の高周波用超音波振動子40における超音波振動子44の配置は、上述したように伸びたわみ共振周波数の波長によって決められている。特許文献1のように円錐殻状ホーン42の構造によって決まる共振周波数においてのみ高周波用超音波振動子40を動作させることが予定されている場合には、超音波の周波数が固定していることは特に問題ではない。
しかし、このような構造の高周波用超音波振動子を用いて、空気や水のような媒体中においてさまざまな周波数の超音波を送信させることはできない。
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、広い帯域を有し、高いエネルギーの超音波を空中へ送信することが可能な超音波送波器を提供することを目的とする。
本発明の超音波送波器は、伝播方向に沿って超音波が伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、前記音響管の空間を規定する内側面に配列された、超音波を発生する複数の送信素子と、前記複数の送信素子を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記空間を伝搬する前記超音波の音速および前記複数の送信素子の位置に基づいて、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同時刻に、前記音響管の空間内の同位置に同位相で伝搬するように、前記複数の送信素子を異なるタイミングで駆動する。
ある好ましい実施形態において、前記複数の送信素子は、前記伝播方向に平行な複数の列をなすように前記音響管の内側面に配列されている。
ある好ましい実施形態において、前記複数の送信素子は、前記伝播方向に平行な第1および第2の列を成すように前記音響管の内側面に配列されており、前記第1の列を成す送信素子のそれぞれの中心の位置が、前記第2の列において隣接する送信素子のそれぞれの中間の位置に一致するように前記伝播方向において前記第1の列の送信素子および第2の列の送信素子が配列されている。
本発明の超音波送波器は、伝播方向に沿って超音波が伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、前記音響管の空間を規定する内側面に配列された超音波を発生させる少なくとも2つの送信素子と、前記少なくとも2つの送信素子を駆動する駆動部と、前記内側面に配列された少なくとも1つの超音波を受波する受信素子とを備え、前記駆動部は、前記少なくとも2つの送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同時刻に前記音響管の空間内の同位置に同位相で伝搬するように、前記送信素子の1つから送信され、前記空間を伝搬する超音波を前記受信素子によって受信したタイミングに基づき、前記の送信素子の他の1つを駆動する。
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの送信素子は、前記伝播方向と平行に配列されており、前記受信素子は、前記少なくとも2つの送信素子から等しい距離に位置している。
ある好ましい実施形態において、前記駆動部はタイマーを含み、タイマーによって、前記送信素子の1つを駆動後から前記受信素子が前記送信素子の1つから送信された超音波を受信するまでの時間を計測し、前記計測した時間をさらに経過後、前記送信素子の他の1つを駆動する。
ある好ましい実施形態において、超音波送波器は、前記音響管の開口よりも大きな開口を有し、前記音響管の開口に接続されたホーンをさらに備える。
本発明の超音波送波器は、超音波が伝播方向に沿って伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、前記音響管の空間を規定する内側面に配列された複数の超音波を発生させる送信素子と、前記複数の送信素子を駆動する駆動部とを備え、
前記駆動部は、前記複数の送信素子を異なる周波数で駆動し、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波の原点および終点が一致するように、前記空間を伝搬する超音波の音速および前記複数の送信素子の位置に基づいて、前記複数の送信素子を駆動するタイミングを制御する。
ある好ましい実施形態において、前記駆動部は、前記空間を満たしている媒体を伝播する超音波の音速に応じて、前記送信素子を駆動するタイミングを制御する。
ある好ましい実施形態において、前記送信素子は、圧電体を含む。
ある好ましい実施形態において、前記送信素子は、電歪体を含む。
ある好ましい実施形態において、前記送信素子は、電熱線を含む。
ある好ましい実施形態において、前記駆動部は、前記送信素子の共振周波数以外の周波数で前記送信素子を駆動する。
ある好ましい実施形態において、前記音響管の空間を伝播する超音波は横波であり、前記送信素子の送波面に対して略平行に伝播する。
ある好ましい実施形態において、前記駆動部は、前記複数の送信素子を同じ周波数で駆動する。
本発明の超音波送波器は、超音波が伝播方向に沿って伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、前記音響管の空間を規定する内側面に配列された複数の超音波を発生させる送信素子と、前記複数の送信素子を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同じ位相で前記音響管の開口から出射するように、前記空間を伝搬する超音波の音速および前記複数の送信素子のそれぞれの位置に基づいて、前記複数の送信素子を異なるタイミングで駆動する。
本発明によれば、複数の送信素子から出射する超音波が、同時刻に同位置において同じ位相で伝搬するように、送信素子を駆動するタイミングを異ならせる。このタイミングは空間を伝播する超音波の音速と送信素子の位置に依存し、超音波の周波数には依存しない。したがって、送信する超音波の周波数が可変であり、広い帯域で高いエネルギーを有する超音波を送信することが可能な超音波送波器を実現することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明による超音波送波器の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明による超音波送波器の第1の実施形態を模式的に示す斜視図である。超音波送波器101は、音響管2と、ホーン3と、送信部4と、駆動部6とを備えている。送信部4は、駆動部6に駆動され超音波を発生する。発生した超音波は音響管2の内部を伝播し、ホーン3の開口3aから出射する。音響管2のホーン3が設けられていない側の端部2bは開放されている。超音波送波器101は媒体5中で使用される。本実施形態では媒体5は空気である。超音波送波器101は、たとえば、20KHzから80kHzの周波数帯域で超音波を送信することが可能である。
図1(b)に示すように、音響管2は、開口2aおよび空間2cを有する。空間2cは、超音波が伝播する伝播方向Tに沿って伸びており、空間2cの一端に開口2aが位置している。開口2aはホーン3の開口3bと接続されている。
空間2cの伝播方向Tと垂直な断面、つまり、YZ断面は、超音波送波器101が送信可能な超音波の周波数帯域の波長に比べて十分に小さいことが好ましい。これにより、音響管2の底面に配列された送信部4より送波した超音波は音響管2内を平面波として伝搬することが知られている。この平面波は伝播方向Tに対して平行な方向に媒体が変位する縦波である。ただし、断面を小さくしすぎると、媒体5の粘性の影響を無視できなくなる。本実施形態では、音響管2の断面は、Y軸方向、Z軸方向ともに1.7mmとした。送波する超音波の最大周波数が80kHzとすると、媒体5である空気中での波長が4.25mmであるので、音響管2の断面は波長に比べて十分小さい。また、媒体5の粘性の影響も少ない。
音響管2のX軸方向の長さは、送信部4を構成する送信素子をなるべく多く配置させるためには長いほうが好ましい。送信素子の数が多いほど、超音波送波器101から送波される超音波の音圧を大きくすることができる。必要な送信素子の数は送信素子が単体で発生させることができる超音波の音圧および超音波送波器101に求められる超音波の音圧から決定される。実際に必要な音圧は、送波した超音波を受波する超音波受波器の感度にも依存する。本実施形態では、音響管2の長さは、例えば、100mmである。なお、本実施形態では、音響管2の伝播方向Tは直線であるが、伝播方向Tは曲がっていてもよい。つまり音響管2は曲管でもよい。この場合、音響管2が規定する空間内で音響の乱れが生じないように、送波する超音波の最大周波数の波長に対して十分に大きな曲率を設定する。
音響管2は、媒体5と音響インピーダンスが著しく異なる材料によって形成されていることが好ましい。超音波が音響管壁に透過すると、超音波のエネルギー密度が下がり、音響管2内の音圧が下がってしまうからである。媒体5が空気である場合、種々の固体材料を用いて音響管2を形成することができる。本実施形態では、音響管2はアルミニウムから形成されている。また、音響管2の空間を規定する内側面の表面の粗さは小さいほど、伝播する超音波のロスが少なくなる。具体的には、送波する超音波の最大周波数が80kHzである場合、媒体5である空気中での波長が4.25mmであるので、内側面の表面粗さは、0.425mm以下であることが好ましい。
図2は、超音波送波器101の音響管2部分の分解斜視図である。図2に示すように、送信部4は、音響管2の内側面において配列された複数の送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・を含む。複数の送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・の配列方向は音響管2を伝播する超音波の伝播方向Tと平行である。以下、送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・を総称して参照する場合には参照番号を付さずに言及する。以下において詳細に説明するように、超音波送波器101は複数の送信素子のそれぞれから送信する同じ周波数の超音波が音響管2の開口2aから同位相で出射するように送信素子の駆動のタイミングを制御することによって、合成された超音波の音圧を高める。
送信素子は、所望の周波数の超音波を発生することができる限り、特に制限はなく、超音波の領域で振動することにより超音波を発生させることのできる公知の材料からなる素子を用いることができる。送波効率が高いという観点からは、送信素子は圧電性能が高い圧電体を含んでいることが好ましい。例えば、圧電セラミック、圧電単結晶、圧電高分子などの圧電性の高い材料からなる圧電体を含む送信素子を用いることができる。より具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛などの圧電セラミック、チタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電単結晶などを用いることができる。
圧電体に代えて公知の電歪体、電熱線などを用いてもよい。電歪体を用いる場合にも、圧電体の場合と同様に電歪効果の大きな材料を用いることによって送波効率を高めることができる。
送信素子から送信する超音波の周波数は、送信素子の構造や材料によって定まる共振周波数と異なっていることが好ましい。送波する超音波の周波数が共振周波数と一致すると、音響管2内において残響が大きくなり、送波する超音波の波形が変化してしまう。構造的共振周波数を持たない圧電材料としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)が知られている。PVDFは、0.001Hzから1GHz程度の周波数帯域を持ち、軽くて柔らかいので特定の固有振動数を持たない。また、PVDFは数10μm程度の厚さのシート形状を有するため、音響管2の底面に配置しても音響管2内の形状に影響を与えない。
本実施形態では、水熱合成法によって形成された厚さ50μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の薄膜を有する送信素子を用いた。送信素子の共振周波数は約150kHzである。超音波送波器101で実現する周波数帯域を20KHzから80kHzに設定しているため、超音波送波器101から出射する超音波の周波数帯域よりも送信素子の共振周波数は高い。よって、共振によって、送信される超音波の波形が変化することがなく、ほぼ忠実に所望の送信波形を有する超音波を送信することができる。
図3は、送信部4のXZ断面図である。図3に示すように、音響管2の内側面2dに送信部4を設ける。送信部4の送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・の振動を妨げないように、内側面2dに空洞71を設け、支持用のチタンの薄膜7を、空洞71を覆うように配置する。送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・は、空洞71に対応した位置に配置されるよう、薄膜7上に設けられている。送信素子の駆動によって、チタンの薄膜7は、数nmから数十nm程度振動する。このため、チタンの薄膜7の振動の振幅よりも空洞71は深いことが好ましい。
空洞71は送信素子が発生する超音波の周波数によっては共振器として作用する。本実施例では、広帯域な送信器の実現を目的としているので、共振を避ける必要がある。送信する波形の周波数成分に空洞71の共振周波数の成分が含まれていると、その成分だけが増幅され、波形が歪んでしまうからである。空洞71の深さが、送信素子の発生する超音波の振動波長の4分の1である場合、空洞71は共振する。本実施形態で実現する周波数帯域は、20kHzから80kHzであるので、それよりも高い周波数(約800kHz)で共振する寸法とした。具体的には、本実施形態では、空洞71の深さを0.1mmに設定した。また、空洞71内の空気を外部に開放するために孔72を設けている。
送信素子のX軸方向の幅は、大きいほうが大きな音圧の超音波を発生させることができる。しかし、あまり大きくすると、薄膜7上に不要な振動モードが発生し、不要な超音波を送信してしまう。本実施形態の送信素子のX軸方向の幅は2mmに設定した。Y軸方向の幅も2mmに設定した。送信素子の形状を正方形にすることで、振動モードの予測が簡単な計算によって行えるという利点がある。しかし、不要な振動モードが必要な周波数帯域において発生しなければ、送信素子は他の形状を有していてもよい。
隣り合う送信素子のX軸方向の間隔、たとえば、送信素子4(1)と送信素子4(2)との間隔および送信素子4(2)と送信素子4(3)との間隔は、駆動部6が送信素子を駆動するタイミングに関するパラメータである。このため、送信素子のX方向つまり伝播方向Tにおける配置は精確になされている必要がある。本実施形態では、送信素子のX軸方向の間隔は3mmに設定している。
図1(b)を参照して説明したように、音響管2の伝播方向Tに垂直な断面は送信する超音波の波長に対して十分に小さい。音響管2の超音波が出射する開口2aも同じサイズである。したがって、開口2aから超音波を外部へ送信すると、開口2aを点源として球面状に超音波が送信される。また、このとき、超音波の伝播する断面積が急激に拡大するため、音響管2の開口2aと外部との境界において、インピーダンスの不整合が生じ、送信する超音波が反射されることによって、外部への出射効率が低下する。
このような課題を抑制するため、図1(a)および(b)に示すように、超音波送波器101は、音響管2の開口2aに設けられたホーン3を備えている。ホーン3は、伝播方向Tに沿ってその垂直な断面積が拡大する空間を形成しており、開口3aは音響管2の開口2aより大きい。これによりインピーダンスの不整合を緩和するとともに、送信する超音波の指向性を高めることができる。
ホーン3は、例えば、厚さは0.5mmのアルミニウム板によって形成することができる。ホーン3の伝播方向Tに垂直な断面積は、伝播方向Tの位置に対して指数関数的に増加することが好ましい。具体的には、図1(b)に示すように、伝播方向TにそってX軸を設定し、音響管2の開口2aの断面積をS2とし、ホーン3の位置Xにおける断面積をS3とした場合、S3は以下の式を満たしていることが好ましい。
Figure 2009021852
ここで、m=(4×π×fc)/Cであり、fcは、遮断周波数であり、Cは媒体5中での超音波の音速である。
式1から明らかなように、ホーン3の断面積S3は遮断周波数に依存している。本実施形態では、ホーン3の開口3aにおけるY軸方向およびZ軸方向の長さはともに8.5mmであり、ホーン3の開口における外形のY軸方向およびZ軸方向の長さはともに9.5mmである。また、ホーン3のX軸方向の長さは20mmに設定した。このとき、遮断周波数は約2.2kHzであり、超音波送波器101の設計周波数帯域よりも十分に低い。したがって、ホーン3において損失が生じることなく超音波を開口3aから放射できる。
次に図4および図5を参照しながら、超音波送波器101の動作を説明する。超音波送波器101の送信部4は前述したように複数の送信素子を含んでおり、複数の送信素子を駆動するタイミングを制御することによって、それぞれの送信素子から発生した同じ周波数の超音波の位相を一致させ、送信する超音波のエネルギーを高める。図4(a)および(b)は、音響管2に1つの送信素子4(1)が設けられている場合における音響管2内を伝播する超音波の音圧分布を示している。これらの分布において、横軸はX軸方向の位置を示し、縦軸は音圧を示している。音響管2の内部は媒体5で満たされている。
送信素子4(1)が一周期分超音波領域において振動すると、振動によって発生した超音波の平面波は送信素子4(1)の中心から伝播方向Tおよびその反対の方向T’に媒体5の特性によって決まる音速で伝搬する。図4(a)に示すように、超音波を発生させた直後の時刻T1では、送信素子4(1)の中心から伝播方向Tおよびその反対の方向T’に超音波9、9’が伝播し始める。所定時間が経過した時刻T2においては、媒体5における超音波の伝播速度によって定まる距離だけ送信素子4(1)の中心から隔てた位置に超音波9、9’は到達している。音響管2を伝播する超音波は、ほとんど減衰しないため、伝播する超音波の振幅の大きさはほとんど変わらない。このため、点10において観測される音圧の分布は、図4(b)に示すように、送信素子4(1)における超音波9の発生時刻から点10まで超音波が伝播する時間の経過後、送信素子4(1)において発生した超音波と同じ波形の超音波が観測される。
図5(a)および(b)は、音響管2に2つの送信素子4(1)および4(2)が設けられている場合における音響管2内を伝播する超音波の音圧分布を示している。
送信素子4(1)において発生し、伝播方向Tに伝播する超音波9が送信素子4(2)の位置に到達したとき、送信素子4(2)を送信素子4(1)と同じ周波数で振動させる。これにより、送信素子4(2)の振動によって発生した超音波が送信素子4(1)で発生した超音波と同時刻において同位置に、同位相で存在することになるため、これら2つの超音波が完全に重なり合う。その結果、2つの超音波の振幅が合成されて強めあい、ほぼ2倍の振幅を有する超音波13が伝搬方向Tへ伝播する。このため、点10において観測される音圧の分布は、図5(b)に示すように、送信素子4(1)における超音波9の発生時刻から点10まで超音波が伝播する時間の経過後、送信素子4(1)において発生した超音波と2倍の振幅を有する超音波が観測される。
なお、図5(a)に示すように、送信素子4(2)の振動によって方向T’にも超音波9’’が伝搬する。しかし、この超音波9’’の速度と、送信素子4(1)から方向T’へ伝搬する超音波9’の速度は同じであるため、2つの超音波が重なり合うことはない。
このように送信素子をX軸方向に数多く配置し、上述した駆動タイミングで複数の送信素子を順次駆動していくことにより、伝搬方向Tへ伝搬する超音波の音圧を大きくすることができる。複数の送信素子を駆動するタイミングは、上記説明から明らかなように、超音波が隣接する送信素子へ到達する時間で決まる。つまり、媒体5中を伝搬する超音波の音速および送信素子の位置に基づく。これらは、送信する超音波の周波数には依存しないため、超音波送波器101は広帯域の超音波を送信することができる。送信素子の駆動するタイミングが重要であるため、送信素子の電気的特性のバラツキは少ないほうが好ましい。
次に、上述した駆動タイミングを実現する駆動部6の一例を説明する。図6は、送信部4を駆動する駆動部6の位置例を示している。駆動部6は、送信部4を駆動する送信アンプ14、トリガ信号を作成するタイマー15、同じ周波数の駆動波形を記憶し、トリガ信号によって送信アンプ14に駆動信号を送出する複数のD−A部16(1)、16(2)、16(3)・・、および温度測定素子17を含んでいる。以下、D−A部16(1)、16(2)、16(3)・・を総称する場合には、単にD−A部16と呼ぶ場合がある。
タイマー15は、内部でクロック信号を発生し、トリガ信号(駆動開始信号)が入力されると、時間を計測し、所定の時間経過後、トリガ信号を発生する。トリガ信号を発生するまでの時間は任意に設定できる。トリガ信号の生成回数は、送信部4を構成する送信素子の数に等しい。温度測定素子は、サーミスタなどを使用することができる。タイマーの代わりに所定の基準クロックで数を計測するカウンタを用いてもよい。
本実施例では媒体5は空気である。温度測定素子17により測定された媒体5(空気)の温度から、媒体5(空気)の音速は次式で求められる。
Figure 2009021852
ただし、Tは空気の温度(℃)である。
媒体5を伝搬する超音波の音速が求まれば、隣の送信素子に到達するまでの時間は、隣の送信素子までの距離を媒体5の音速で除算することによって求められる。したがって、送信素子4(1)を駆動した後、送信素子4(2)に到達するまでの時間後、送信素子4(2)を駆動し、送信素子4(3)に到達するまでの時間後、送信素子4(3)を駆動すればよい。
空気である媒体5の温度が20℃である場合、音速は(数2)より343.5m/sとなる。本実施形態では送信素子のX軸方向の間隔は3mmであるので、駆動開始のトリガ信号を受けたタイマー15は、直ちに第1のトリガ信号を生成し、以降、8.7μs経過ごとにトリガ信号を生成する。これにより、トリガ信号をD−A部16(1)、16(2)、16(3)が順に受け取り、メモリされている駆動波形を順に送信アンプ14へ出力する。送信アンプ14によって増幅された駆動波形が送信素子4(1)、4(2)、4(3)を順番に駆動する。
タイマー15にカウンタを用いる場合には、例えば、内部クロックが10MHzであれば、87カウントごとにトリガ信号を生成する。具体的には、D−A部16(1)へのトリガは駆動開始信号を入力後、0カウント目にトリガを出力し、D−A部16(2)へのトリガは駆動開始信号を入力後87カウント目(8.7μsに相当)にトリガを出力し、D−A部16(3)へのトリガは駆動開始信号を入力後174カウント目(8.7μs×2に相当)にトリガを出力する。これにより、D−A部16(1)、16(2)、16(3)が順に受け取り、D−A部16にメモリされている駆動波形が送信アンプ14により増幅され、送信素子4(1)、4(2)、4(3)が順番に駆動される。
図7(a)〜(c)は、送信アンプ14に入力されるD−A部16(1)、16(2)、16(3)の出力信号を示している。これらの信号が送信アンプ14によって増幅され、図7(a)〜(c)に示されるように、8.7μsずつ遅延したタイミングで送信素子4(1)、4(2)、4(3)が駆動される。図6などでは省略しているが、本実施形態では、送信素子を音響管2の中に23個配置している。
図8(a)は、超音波送波器101に、駆動信号として40kHzの超音波を1波入力し、1つの送信素子のみを駆動した場合において、0.25ms後に音響管2内を伝搬する波形を示している。縦軸は音圧を示し、横軸は音響管2内の位置を示している。送信素子が1つである場合、駆動開始から0.25ms後に音響管2内に伝搬する超音波の波形19は、±0.035Pa程度の音圧を有している。
図8(b)は、23個の送信素子を上述したタイミングで駆動した場合における駆動開始から0.25ms後に音響管2内を伝搬する超音波の波形を示している。波形20は、±0.77Pa程度の音圧を有している。このことから、ほぼ送信素子の総数(23個)だけ音圧が高くなって伝搬していることがわかる(0.77Pa÷23=0.0335Pa)。図8(b)に示すように、所望の波形20以外に、波形20に対して−30dB程度(音圧約±0.027Pa)の振幅を有する多数の超音波が存在していることがわかる。これらの超音波は波形20とは異なり、X軸の負の方向に進行している。前述したように、所望の超音波の伝搬方向と反対の方向に伝搬する超音波は重なり合うことがないため、振幅は大きくならない。
図8(c)は、12個の送信素子を上述したタイミングで駆動した場合における駆動開始から0.125ms後に音響管2内に伝搬する波形を示している。波形21は、±0.4Pa程度の音圧を有していおり、ほぼ送信素子の総数(12個)だけ音圧が高くなって超音波が伝搬していることがわかる(0.4Pa÷11=0.0364Pa)。図8(b)と同様、X軸の負の方向に進行している小さな振幅の超音波が観測されている。波形20の場合は、不要な超音波と所望波形の振幅比が−30dBであったのに対して、波形21の場合、不要な超音波と所望波形の振幅比は−22dBであり、悪化している。これは、所望の超音波の伝搬方向と反対の方向に伝搬する不要な超音波の一部が、音響管2のX軸方向開口2b(図1)において反射することによって、X軸の正の方向に伝搬し、所望波形を乱しているからであると考えられる。この影響を抑制するためには、波形20と波形21との比較から明らかなように、送信素子の個数を増やせばよい。
このように、本実施形態によれば、複数の送信素子から出射する超音波が、同時刻に同位置において同じ位相で伝搬するように、送信素子を駆動するタイミングを異ならせる。このタイミングは空間を伝播する超音波の音速と送信素子の位置に依存し、超音波の周波数には依存しない。したがって、本実施形態によれば、送信する超音波の周波数が変更可能であり、広い帯域で高いエネルギーの超音波を送信することのできる超音波送波器を実現することができる。
また、本実施形態では、送信素子の送信面に対して平行に超音波を伝播させることによって、平面波である超音波を発生させる。このため、超音波の伝播方向に沿って複数の送信素子を配置することが可能となり、エネルギーロスの少ない超音波を送信することできる。超音波送波器の外形も比較的小さくすることができる。
(第2の実施形態)
図9は、本発明による超音波送波器の第2の実施形態の主要部の構成を示すブロック図である。図9に示す超音波送波器102は、音響管2と、送信部4、受信部22および駆動部61を備えている。音響管2および送信部4は第1の実施形態の音響管2および送信部4と同じ構造を備えている。音響管2には第1の実施形態と同様ホーン3が取り付けられていてもよい。
図9に示すように、音響管2の内側面には送信部4と対向するように1つ以上の受信素子を含む受信部22が設けられている。超音波送波器102は受信部22の受信素子によって、送信素子から送信された超音波を検出し、駆動部61が検出したタイミングに基づいて他の送信素子を駆動する。これにより媒体5における超音波の音速を求めることなく、複数の送信素子から発生した超音波が同時刻に同位置において同位相を有するように送信素子を駆動するタイミングを制御することができる。
このために、好ましくは、受信部22は、音響管2内において配列された複数の送信素子の各隣接する2つに対して、これらから等距離に位置する受信素子を備える。図9に示すように送信素子4(1)、4(2)に対し、受信素子22(1)を設け、送信素子4(2)、4(3)に対し、受信素子22(2)を設ける。このようにして、送信素子をn個送信部4が含む場合には、受信部はn−1個の受信素子を含んでいる。受信素子は、送信素子に対向している。
駆動部61は、送信素子を駆動する送信アンプ14、駆動波形を記憶しておりトリガ信号によって送信アンプ14に駆動信号を送出するD−A部16、受信素子で受信した超音波を増幅する受信アンプ23、コンパレータ24、およびトリガ信号を作成するタイマー25を含む。送信アンプ14およびD−A部16は、第1の実施形態の送信アンプ14およびD−A部16と同じ構造を備えており、同様に機能する。
受信素子は、本実施例では、PVDFからなる圧電体によって構成されている。前述したように、PVDFは、0.001Hzから1GHz程度の周波数帯域を持ち、軽くて柔らかいので特定の固有振動数を持たない。また、数10μm程度の厚さを有するシート形状に成形されているため、音響管2の内側面に配置しても音響管2内の形状に影響を与えない。前述したように受信素子は、隣接する2つの送信素子から等距離の位置に配置する。より具体的には、受信素子22(1)は、送信素子4(1)のX座標の中心位置から1.5mmの位置に取り付ける。同様に受信素子22(2)の取り付け位置は、送信素子4(2)のX座標の中心位置から1.5mmの位置に取り付ける。このように、複数の受信素子も超音波の伝播方向に対して平行に配列される。
コンパレータ24は、基準電圧よりも入力された信号が高い場合にH信号(3.3V)を一定時間出力し、その後一定時間はL信号(0V)を出力する。それ以外はL信号(0V)を出力している。タイマー25は、トリガ信号(駆動開始信号)が入力されると、時間の計測を開始し、コンパレータ24からH信号(3.3V)が入力されるまでの時間を求める。その求めた時間を記憶するとともに、時間の計測を継続し、さらに記憶した時間が経過した後、トリガ信号を発生する。
図10(a)〜(e)は、駆動部61の各部からの出力信号を示すチャートである。図9および図10(a)〜(e)を参照して、超音波送波器102の動作を説明する。
駆動開始信号は、D−A部16(1)にトリガ信号として入力される。D−A部16(1)は、トリガ信号を受けると、図10(a)に示すように、記憶されている駆動波形18で送信アンプ14(1)に出力する。駆動波形18は送信アンプ14によって増幅され、送信素子4(1)が駆動される。送信素子4(1)によって発生した超音波が伝搬し、受信素子22(1)にて受信される。
駆動開始信号は、D−A部16(1)に入力されるのと同時にタイマー25(1)にも入力される。タイマー25(1)は、駆動開始信号が入力されると、時間の計測を開始する。
受信素子22(1)にて受信された超音波は、受信アンプ23(1)によって増幅される(図10の(b))。増幅された信号26は、コンパレータ24(1)にて、基準電圧27と比較される。コンパレータ24(1)は、基準電圧27よりも増幅された信号26が高い場合にH信号(3.3V)を一定時間29だけ出力する。その後、一定時間30の間はL信号(0V)を出力している(図10の(c))。
コンパレータ24(1)の出力信号28はタイマー25(1)に入力される。タイマー25(1)は、出力信号28を受け取ったときの時間を記憶する。さらに時間の計測を続け、記憶した時間がさらに経過したとき、トリガ信号31を出力する(図10の(d))。記憶した時間は、図10(d)の時間32に相当する。これは送信素子4(1)から受信素子22(1)まで媒体5を超音波が伝搬した時間にほぼ一致する。したがって、さらに時間32に相当する時間が経過するのを計測することによって、時間33を計測したことに相当する。
図9において、受信素子22(1)は、送信素子4(1)と4(2)とのX軸方向の中心に設置しているので、時間32と時間33との合計の時間は、送信素子4(1)から伝搬した超音波が送信素子4(2)に到達した時間に等しい。よって、このタイミングで送信素子4(2)を駆動すれば(図10(e))、送信素子4(1)からの超音波と送信素子4(2)からの超音波を同時刻、同じ位置において、同位相で加算することができる。
以下、同様に、送信素子4(2)から送信された超音波を受信素子22(2)によって受信し、上述した手順により、送信素子4(3)を駆動することができる。
このように順次、送信素子をX軸方向に順番に駆動していく。これによって、媒体5における超音波の音速が未知であっても、音速を求めることなく、送信素子を順に駆動することが可能である。したがって、特に、媒体5が変化する場合や、媒体5の温度が変化する場合でも、音速を求めることなく、高いエネルギーの超音波を空中へ送信することが可能な超音波送波器が実現する。
(第3の実施形態)
図11は、本発明による超音波送波器の第3の実施形態を示す斜視図である。超音波送波器103は音響管2と、ホーン3と、送信部41と、送信部42と駆動部62とを備えている。図12は、音響管2のXZ断面を示している。送信部41および送信部42はそれぞれ複数の送信素子を含み、これらの送信素子は、伝播方向Tと平行に複数の列を成すように音響管2の内側面に配置されている点で第1の実施形態とは異なる。
送信素子の送波面積を小さくすることによって、単位面積あたりの送信素子の個数を増やすことができる。これによって、第1の実施形態で説明したように、不要な超音波と所望波形の振幅比を大きくすることができる。しかし、送信素子の送波面積を小さくすると、送信素子のインピーダンスが大きくなり、駆動することが困難になる。よって、送信素子の送波面積はある程度の大きさを確保する必要がある。
本実施形態では、送信素子を音響管2の上面と下面に交互に配置することによって、送信素子の幅を確保しつつ、送信素子の間隔を狭くすることができる。これによって、送信素子の送波面積を小さくすることなく、送信素子を増大することができ、単位面積あたりの送信素子の個数を増やすことができる。
具体的には、図12に示すように、送信部41の送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・を伝播方向Tと平行な列を成すように第1の実施形態と同様に音響管2の内側面に配置する。送信部42の送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・も、伝播方向Tと平行な列を成すように第1の実施形態と同様に音響管2の内側面に配置する。各送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・は、送信部41の送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・の中心C(1)、C(2)、C(3)・・・・の位置が送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・の隣接する2つの中間の位置に一致するように配置される。送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・は、送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・と対向するように配置する。
駆動部62は、送信素子4’(1)、送信素子4(1)、送信素子4’(2)、送信素子4(2)・・・・の順で第1の実施形態と同様に送信素子を駆動する。この場合、送信素子4’(1)と送信素子4(1)とのX方向における間隔は、第1の実施形態の半分になるため、遅延させる時間も半分になる。
なお、本実施形態では、送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・の中心C(1)、C(2)、C(3)・・・・の位置が送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・の隣接する2つの中間の位置に一致するように配置される。しかし、送信素子4(1)、4(2)、4(3)・・・の中心C(1)、C(2)、C(3)・・・・の位置を送信素子4’(1)、4’(2)、4’(3)・・・の中心に一致するように配置してもよい。この場合、送信素子4(1)、送信素子4’(1)とは同じタイミングで駆動する。同様に、送信素子4(2)と送信素子4’(2)とは同じタイミングで駆動する。このような配置によれば、各送信素子の送波面積を2倍にしたのと同様の効果が得られ、より送信する超音波のエネルギーを高めることができる。
(第4の実施形態)
第1、第2および第3の実施形態では、複数の送信素子から同一の周波数を有する超音波を送信し、同位相で合成することによって、送信する超音波のエネルギーを高めている。しかし、本発明の超音波送波器はこれまで説明したように、周波数に依存することなく、広い帯域で超音波を送信することができる。この特徴を利用して、複数の送信素子に異なる周波数の超音波を発生させ、合成することもできる。
送信素子を駆動する駆動信号の波形を異ならせることによって、本実施形態は実現でき、超音波送波器の構成自体は、D−A部16のメモリに記憶されている駆動波形が送信素子ごとに異なることを除けば第1の実施形態から第3の実施形態のいずれの構成を用いてもよい。
図13(a)は、本実施形態の超音波送波器を用い、周波数の異なる超音波を合成することによって、送信することのできる擬似パルス波形34を示している。このパルス波形34は、20kHzの周波数から、5kHz刻みで130kHzの周波数までの22の異なる周波数の超音波の波形を合成することによって生成することができる。各超音波は150μsのバースト波形として生成する。図14(a)は、20kHzの超音波の波形を示している。周波数が20kHzである場合、150μsは、3波長に相当する。図14(b)はこの波形の周波数特性を示している。
図15(a)は、22の異なる周波数の超音波の波形を、原点および終点を一致させて描画した図である。このように、超音波送波器は、22の異なる周波数の超音波の波形をたとえば第1の実施形態の駆動部6に設けられたD−A部16(1)から16(22)のメモリに記憶させておく。
駆動部6は、第1の実施形態で説明したタイミングで送信素子4(1)〜4(22)を駆動する。各送信素子から出射した超音波の周波数が異なるため、位相は一致しないが、各超音波の原点および終点が一致するように超音波を送信するタイミングが音速および送信素子の位置に基づき調整される。
図15(b)は、このように原点および終点が一致するように送信された22の超音波の波形を合成することによって得られる合成波形を示している。原点の直後に幅が狭く、振幅の大きい1つの波形が生成する。図15(c)は、この波形の周波数特性を示している。図15(c)に示すように、20kHzから130kHz付近までを帯域とする周波数成分が含まれていることが分かる。
つまり、本実施形態の超音波送波器は、図13(a)に示されるような、多くの周波数成分を含むパルス波形34を出射することができる。このような波形の超音波を測定対象物に向けて送信し、測定対象物から得られた反射波の周波数成分を解析すれば、測定対象物において吸収された周波数成分が分かる。これにより、測定対象物の物性を推定することが可能となる。
図13(b)は、本実施形態の超音波送波器を用い、周波数の異なる超音波を合成することによって、送信することのできる他の擬似パルス波形35を示している。このパルス波形35は、20kHzの周波数から、5kHz刻みで130kHzの周波数までの22の異なる周波数の超音波の波形を合成することによって生成することができる。各超音波は400μsのバースト波形として生成する。図16(a)は、20kHzの超音波の波形を示している。周波数が20kHzである場合、400μsは、8波長に相当する。図16(b)はこの波形の周波数特性を示している。図14(a)、(b)に比べて、波形が長いため、周波数帯域が狭くなっている。このため、送信素子の共振周波数をそれぞれ22の異なる周波数に一致させてもよい。この場合には、駆動部6を送信素子のインピーダンスに整合させることができるため、駆動効率が高くなるという利点がある。
図17(a)は、22の異なる周波数の超音波の波形を、原点および終点を一致させて描画した図である。また、図17(b)は、このように原点および終点が一致するように送信された22の超音波の波形を合成することによって得られる合成波形を示している。原点の直後に幅が狭く、正および負に大きい振幅を有する1つの波形が生成する。図17(c)は、この波形の周波数特性を示している。図17(c)に示すように、20kHzから130kHz付近までを帯域とする周波数成分が含まれていることが分かる。
このように本発明の超音波送波器は、異なる周波数の超音波を複数の送信素子から送信させることも可能であり、これによって、種々の周波数成分を含む超音波を送信することもできる。
なお、一般に、超音波の周波数が高くなるにつれて、超音波は減衰しやすくなる。したがって、高周波の超音波を送信する送信素子を開口2a側に配置し、音響管2内を伝搬する距離が短くなるようにすれば、超音波の高周波成分の減衰を抑制し、より効率的な超音波送波器を実現することができる。
本発明の超音波送波器は、広帯域で高いエネルギーを備えた超音波を送波することが可能であり、距離測定、物体検知、流量計測、ロボット制御等に好適に用いることができる。
(a)は本発明の超音波送波器の第1の実施形態を示す斜視図であり、(b)はその主要部の断面図である。 第1の実施形態の音響管の部分の分解斜視図である。 第1の実施形態の音響管に設けられた送信部の断面図である。 (a)および(b)は、第1の実施形態の動作を説明する図である。 (a)および(b)は、第1の実施形態の動作を説明する図である。 第1の実施形態の駆動部の構成を示すブロック図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態の駆動部における駆動信号のタイミングを示す図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態から送信される超音波の例を示している。 本発明の超音波送波器の第2の実施形態の主要部を示す図である。 (a)〜(e)は、第2の実施形態の駆動部の各部における信号のタイミングを示す図である。 本発明の超音波送波器の第3の実施形態を示す斜視図である。 第3の実施形態の音響管に設けられた送信部の断面図である。 (a)および(b)は、本発明の超音波送波器の第3の実施形態から送信される超音波の例をそれぞれ示している。 (a)および(b)は、図13(a)に示す超音波を送信するために、第3の実施形態において送信素子から送信される1つの超音波の波形および周波数特性を示している。 (a)、(b)および(c)は、図13(a)に示す超音波を送信するために、第3の実施形態において送信素子から送信されるすべての超音波の波形、それらを合成した波形および周波数特性を示している。 (a)および(b)は、図13(b)に示す超音波を送信するために、第3の実施形態において送信素子から送信される1つの超音波の波形および周波数特性を示している。 (a)、(b)および(c)は、図13(b)に示す超音波を送信するために、第3の実施形態において送信素子から送信されるすべての超音波の波形、それらを合成した波形および周波数特性を示している。 従来の超音波送信器の一例を示す断面図である。
符号の説明
2 音響管
2a、2b 開口
3 ホーン
3a、3b 開口
4 送信部
5 媒体
6 駆動部
7 チタンの薄膜
15、25 タイマー
16 D−A部
17 温度測定素子
22 受信部
23 受信アンプ
24 コンパレータ
101、102、103 超音波送波器

Claims (16)

  1. 伝播方向に沿って超音波が伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、
    前記音響管の空間を規定する内側面に配列された、超音波を発生する複数の送信素子と、
    前記複数の送信素子を駆動する駆動部と、
    を備え、
    前記駆動部は、前記空間を伝搬する前記超音波の音速および前記複数の送信素子の位置に基づいて、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同時刻に、前記音響管の空間内の同位置に同位相で伝搬するように、前記複数の送信素子を異なるタイミングで駆動する超音波送波器。
  2. 前記複数の送信素子は、前記伝播方向に平行な複数の列をなすように前記音響管の内側面に配列されている請求項1に記載の超音波送波器。
  3. 前記複数の送信素子は、前記伝播方向に平行な第1および第2の列を成すように前記音響管の内側面に配列されており、前記第1の列を成す送信素子のそれぞれの中心の位置が、前記第2の列において隣接する送信素子のそれぞれの中間の位置に一致するように前記伝播方向において前記第1の列の送信素子および第2の列の送信素子が配列されている請求項1に記載の超音波送波器。
  4. 伝播方向に沿って超音波が伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、
    前記音響管の空間を規定する内側面に配列された超音波を発生させる少なくとも2つの送信素子と、
    前記少なくとも2つの送信素子を駆動する駆動部と、
    前記内側面に配列された少なくとも1つの超音波を受波する受信素子と、
    を備え、
    前記駆動部は、前記少なくとも2つの送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同時刻に前記音響管の空間内の同位置に同位相で伝搬するように、前記送信素子の1つから送信され、前記空間を伝搬する超音波を前記受信素子によって受信したタイミングに基づき、前記の送信素子の他の1つを駆動する超音波送波器。
  5. 前記少なくとも2つの送信素子は、前記伝播方向と平行に配列されており、前記受信素子は、前記少なくとも2つの送信素子から等しい距離に位置している請求項4に記載の超音波送波器。
  6. 前記駆動部はタイマーを含み、タイマーによって、前記送信素子の1つを駆動後から前記受信素子が前記送信素子の1つから送信された超音波を受信するまでの時間を計測し、前記計測した時間をさらに経過後、前記送信素子の他の1つを駆動する請求項5に記載の超音波送波器。
  7. 前記音響管の開口よりも大きな開口を有し、前記音響管の開口に接続されたホーンをさらに備える請求項1から6のいずれかに記載の超音波送波器。
  8. 超音波が伝播方向に沿って伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、
    前記音響管の空間を規定する内側面に配列された複数の超音波を発生させる送信素子と、
    前記複数の送信素子を駆動する駆動部と、
    を備え、
    前記駆動部は、前記複数の送信素子を異なる周波数で駆動し、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波の原点および終点が一致するように、前記空間を伝搬する超音波の音速および前記複数の送信素子の位置に基づいて、前記複数の送信素子を駆動するタイミングを制御する超音波送波器。
  9. 前記駆動部は、前記空間を満たしている媒体を伝播する超音波の音速に応じて、前記送信素子を駆動するタイミングを制御する請求項1から3または8のいずれかに記載の超音波送波器。
  10. 前記送信素子は、圧電体を含む請求項1から8のいずれかに記載の超音波送波器。
  11. 前記送信素子は、電歪体を含む請求項1から8のいずれかに記載の超音波送波器。
  12. 前記送信素子は、電熱線を含む請求項1から8のいずれかに記載の超音波送波器。
  13. 前記駆動部は、前記送信素子の共振周波数以外の周波数で前記送信素子を駆動する請求項1から8のいずれかに記載の超音波送波器。
  14. 前記音響管の空間を伝播する超音波は横波であり、前記送信素子の送波面に対して略平行に伝播する請求項1から8のいずれかに記載の超音波送波器。
  15. 前記駆動部は、前記複数の送信素子を同じ周波数で駆動する請求項1から7のいずれかに記載の超音波送波器。
  16. 超音波が伝播方向に沿って伝播する空間および前記空間を伝播した超音波が出射する開口を有する音響管と、
    前記音響管の空間を規定する内側面に配列された複数の超音波を発生させる送信素子と、
    前記複数の送信素子を駆動する駆動部と、
    を備え、
    前記駆動部は、前記複数の送信素子からそれぞれ発生した超音波が、同じ位相で前記音響管の開口から出射するように、前記空間を伝搬する超音波の音速および前記複数の送信素子のそれぞれの位置に基づいて、前記複数の送信素子を異なるタイミングで駆動する超音波送波器。
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