JP2009019160A - 光学用フィルム、および、光学表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定範囲の屈折率差を有する、ナノオーダーの平均繊維径を有する繊維と光学透明樹脂とによる複合材料から光学用フィルムを形成する。具体的には、平均繊維径が10nm以上800nm以下である繊維と、光学透明樹脂とを含む光学用フィルムであって、光学透明樹脂の屈折率と繊維の屈折率との差が0.03以下であり、フィルムの線膨張係数が50℃〜150℃の範囲において40ppm以下である光学用フィルムである。
【選択図】なし
Description
また別の本発明は、本発明の光学用フィルムを画像表示部に具備した光学表示装置である。
本発明の光学用フィルムを構成する光学透明樹脂は、画像表示部に用いられる部材として好適に利用するため、光学透明性が求められる。このため、本発明に用いられる光学透明樹脂は、可視領域における吸収が少ないか、または、可視領域における吸収が実質的にないものであることが好ましい。具体的には、波長400nm以上800nm以下の範囲において、光学透明樹脂を厚み100μmのフィルムとした場合に、当該フィルムの光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる光学透明樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、または硬化性樹脂のいずれであってもよい。
この中では、繊維との良好な密着性が得られる観点より、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。
[繊維の平均繊維径]
本発明の光学用フィルムを構成する繊維は、平均繊維径が10nm以上800nm以下の範囲にある繊維である。本発明においては、用いられる繊維の平均繊維径を、可視光領域で光の波長のオーダー以下とすることにより、応力発生時における繊維と光学透明樹脂との間の応力弾性による屈折率差が小さくなり、このため、繊維と光学透明樹脂との間に屈折率界面が発生することを抑制し、ひいては、光の反射、散乱を低減することができる。一方で、平均繊維径が10nm未満の繊維は、取り扱いに十分な強度が得られないので好ましくない。好ましい平均繊維径は10nm以上600nm以下の範囲であり、さらに好ましくは10nm以上400nm以下の範囲である。
本発明の光学用フィルムを構成する繊維は、光学透明樹脂に複合して用いながら、同時に光学透明性を保持しなければならないため、光学透明樹脂の屈折率とほぼ同等の屈折率を有している必要がある。本発明においては、透明性の高いフィルムを得る観点から、光学透明樹脂の屈折率と繊維の屈折率との差が、0.03以下であることが必要であり、さらに好ましくは0.02以下、特に好ましくは0.01以下である。光学透明樹脂の屈折率と繊維の屈折率との差が、0.03より大きい場合には、繊維と光学透明樹脂との界面において光の反射、散乱の影響が顕著となり、透明な光学用フィルムを得ることが困難となる。
本発明の光学用フィルムを構成する繊維は、光学透明樹脂の線膨張係数を制御することを目的として、光学透明樹脂と複合させて用いられる。したがって、用いられる繊維の線膨張係数が小さければ小さいほど、光学透明樹脂の線膨張係数を制御する効果が大きく、この観点からは、用いられる繊維は無機化合物繊維であることが好ましい。さらには、耐腐食性等の観点から、セラミックス繊維であることが好ましく、中では、酸化物系セラミックス繊維であることが特に好ましい。
本発明の光学用フィルムを構成する繊維の製造方法は、平均繊維径が小さい繊維を得ることのできる方法であれば特に限定されるものではないが、平均繊維径の小さい繊維を容易に得られる観点から、静電紡糸法を好ましい一態様として挙げることができる。
ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。
紡糸工程においては、繊維形成用組成物を静電紡糸法によって噴出することにより、焼成前繊維を作製する。
具体的には、静電紡糸法によって繊維形成用組成物を捕集基材に向けて曳糸し、その間に、条件に応じて、繊維形成用組成物に含まれる溶媒が蒸発して焼成前の繊維状物質が形成される。通常の室温であれば捕集基材上に捕集されるまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、溶媒蒸発が不十分である場合には、減圧条件下で曳糸しても差し支えなく、また、溶媒を完全に蒸発させることなく一部を残留させたままであってもよい。したがって、形成される焼成前の繊維状物質は、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒が完全に留去した状態、溶媒が繊維状物質に含まれたまま残留する状態のいずれであってもよい。
なお、曳糸する温度は、溶媒の蒸発挙動や繊維形成用組成物(紡糸液)の粘度にあわせて調整すれば良く、通常は、0℃以上100℃以下の範囲である。
累積工程においては、上記の紡糸工程で得られた焼成前繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される焼成前の繊維状物質を、電極等の捕集基板上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。なお、繊維集合体が捕集基板上の一箇所に集中して累積(積層)される等、均一性が低い場合には、基板を揺れ動かしたり、回転させたりすることも可能である。
また、繊維集合体は上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒が焼成前の繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含まれる。
焼成工程においては、上記の累積工程において得られた繊維集合体を焼成することにより、セラミックス繊維を得る。
焼成にあたっては、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて、焼成雰囲気の気体を置換することが可能な電気炉を用いてもよい。また、焼成温度は、800℃以上1400℃以下の範囲とすることが好ましい。800℃以上で焼成することにより、耐熱性に優れたセラミックス繊維を作製するができる。しかしながら、1400℃以上で焼成すると、セラミックス繊維中の粒成長が大きくなったり、低融点物が溶融したりすることから、力学強度が低下してしまう。より好ましい焼成温度は、900℃以上1300℃以下の範囲である。
[光学用フィルムの製造方法]
本発明の光学用フィルムの製造方法は特に限定されるものではなく、既存のフィルム製造方法を適用することができる。例えば、繊維と光学透明樹脂とを直接混合し、これを必要な型に注型したのち固化してフィルム化する方法、熱可塑性樹脂等を溶剤に溶解し、これに繊維を分散させ、溶液キャストした後、溶剤を揮発させてフィルム化する方法、繊維を均一なシートとし、その上に熱可塑性樹脂のフィルムを積層して真空熱プレスにより熱可塑性樹脂を溶融させて繊維と熱可塑性樹脂フィルムとを一体化させる方法、繊維を均一なシートとし、これに架橋性の硬化型樹脂を含浸させ、硬化させてフィルム化する方法等を挙げることができる。
本発明の光学用フィルムは、50℃〜150℃の範囲において40ppm以下である。好ましくは30ppm以下であり、より好ましくは20ppm以下である。線膨張係数が40ppmを越える場合には、例えば、光学用フィルムにアクティブマトリックス配線を施して表示基板に用いようとした際に、その製造工程における基板にかかる加工温度による反り(カール)の問題や、膨張収縮の影響でのアルミ配線の断線の問題等が生じる。
本発明の光学用フィルムを、光学表示装置の画像表示部に適用し、液晶表示素子、有機EL表示素子等の表示素子用基板、あるいは、カラーフィルター用基板として用いる場合には、光学用フィルムの厚さは、好ましくは40μm以上1000μm以下の範囲であり、より好ましくは50μm以上500μm以下の範囲である。光学フィルムの厚さが1000μmより厚い場合には、フィルムロールとして取り扱うことが困難となることから、加工プロセスが煩雑となる。一方で、40μmより薄い場合には、フィルム強度が著しく低下するとともにシワ等が発生しやいため、実用性が大きく損なわれる。
(光線透過率)
本発明の光学用フィルムは、画像表示部に用いられる部材として好適に利用するため、光学透明性が求められる。このため、本発明の光学フィルムは、可視領域における吸収が少ないか、または、可視領域における吸収が実質的にないものであることが好ましい。
具体的には、波長400nm以上800nm以下の範囲において、フィルムの光線透過率が75%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であることが好ましい。
また、光学フィルムにおいてヘイズは、光の散乱を引き起こし、輝度分布の変化や波長の違いによる散乱性の違いによるカラーシフトを引き起こすため、忠実な画像表示の妨げとなる。このため、光学フィルムのヘイズの値は、低くなければならない。
本発明の光学フィルムにおいては、具体的には、波長400nm以上800nm以下の範囲において、フィルムのヘイズが2.0%以下、好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下であることが望ましい。
フレキシブルな画像表示素子に用いる場合には、フィルムが曲がった状態においても均一な表示を得る必要があり、このためには、フィルムが曲がった状態であっても光学透明性が低下しないことが必須条件となる。
特に、本発明のようにポリマー部と無機材料部とを有する複合体の場合には、屈曲時にフィルムにかかる外部応力により、ポリマー部と無機材料部の屈折率が変化するため、ポリマー部と無機材料部の界面が認識され、その結果、光の反射拡散が生じてしまう。そして、光の反射拡散の増加は、屈曲時のフィルムのヘイズの増加として現れる。
本発明の光学用フィルムには、必要に応じて、光学フィルムの片面、または両面に、樹脂コート層、水蒸気、酸素に対するガスバリア層、透明導電層を設けてもよい。光学フィルムの表面に設けられる層は、50nm以上50μm以下の範囲であることが好ましく、100nm以上30μm以下の範囲がより好ましい。本発明の光学フィルムの表面に設けられる層の厚みが50nm以下の場合には、ガスバリアや透明導電層の効果を安定的に得ることができず、一方で、50μmを超えるの厚みの場合には、光学用フィルムが屈曲した際にクラックや割れを生じやすくなる。
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−2400)により、繊維の表面を撮影(倍率:2000倍または8000倍)することにより写真図を得た。得られた写真図から無作為に20箇所を選択して繊維の径を測定し、繊維径のすべての測定結果(n=20)の平均値を、繊維の平均繊維径とした。
アッベ屈折計(アタゴ製、商品名:アッベ屈折計NAR−4T)を用いて、光学透明樹脂のみからなるフィルムの屈折率測定を実施した。
顕微鏡(ニコン製、商品名:)を用いて、光源に干渉フィルタ(589nm)を設置して、単一波長光源となるように調整した。
続いて、繊維をスライドガラスにとり、屈折調整液を用いて、1.500から1.600まで0.002STEPにて、顕微鏡を覗きながら屈折調整液を繊維に順次滴下していき、繊維の外形が無くなるところを観測した。ここで、繊維の外形が無くなるところは、単一波長に対して、屈折率調整液と繊維の屈折率とがほぼ一致したことを示す。したがって、そのときの屈折率調整液の屈折率を、繊維の屈折率とした。
セイコーインスツルメンツ製TMA/SS6100型を用いて、大気雰囲気下、5℃/1分の割合で30℃から150℃まで上昇させた後、150℃で30分間保持し、その後、5℃/1分の割合で150℃から30℃まで冷却し、30℃で30分間保持し、再び同様の昇温、150℃30分間保持、降温を実施し、2回目の昇温時における50℃から150℃の範囲において、平均線膨張係数を測定した。なお、測定は引張モードで実施し、その引張加重は20mNとした。
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、型式:NDH−2000型)を用いて測定した。全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して、測定を実施した。ヘイズは、JIS K7105−1981に準拠して、測定を実施した。
曲げ半径を規定する円筒状治具(半径10mm)と平板を用意した。短冊状(10mm×40mm)に裁断した光学フィルムを平板の上に置き、光学フィルムの一端をテープを用いて平板に固定した。引き続き、円筒状治具を、テープで固定した光学フィルムの端から10mmの位置に押し当て、円筒状治具を押し当てた状態で、固定していない光学フィルムのもう一端を、平板の面との角度が90度となるまで引き上げた。このときの曲げ部分の光学フィルムの透明性変化を目視にて確認し、曲げ部分の光散乱を評価した。
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、型式:NDH−2000型)を用いて測定した。具体的には、光学フィルムとして、短冊状(20mm×60mm)に裁断したフィルムを用意し、両端を同一高さで、両端の幅を20mmに固定した状態とし、かつ、両端のフィルムを平行状態に保持して、フィルム中央の屈曲部が半径10mmの半円となるようにした。引き続き、フィルムの屈曲状態を保持したまま、フィルムの半円の内側から光が入射するようフィルムをヘイズメーターに保持し、フィルム屈曲時のヘイズ測定を実施した。
[シリカ繊維の作成]
(繊維形成用組成物調製工程)
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業製)1質量部に、pH3に調製した硫酸水溶液を1質量部添加した。硫酸水溶液を添加した溶液は、添加直後は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。
得られた相溶化した溶液に、ポリエチレンオキシド(和光純薬製、平均分子量:500,000)を混合し、ポリエチレンオキシドが1質量%含まれる繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置にとり繊維形成用組成物を噴出し、繊維を紡糸した。さらに、紡糸した繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。なお、このときの噴出ノズル1の内径は0.4mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて800℃まで100分かけて昇温し、その後、800℃で2時間保持することにより焼成し、シリカ繊維(SiO2ナノファイバ)を得た。得られたSiO2ナノファイバの平均繊維径は400nm、屈折率は1.51であった。
光学透明樹脂として、紫外線硬化型樹脂(東亜合成化学製、商品名:アロニックスM150)100質量部を用い、光重合開始剤(チバ・ガイギー製、商品名:イルガキュア184)3質量部、希釈剤として1−メチル−2−プロパノール10質量部を順次加えて、均一になるまで攪拌することにより塗布液を得た。この光学透明樹脂単独でのフィルムを作成したところ、屈折率は1.51であった。
上記で得られたシリカ繊維(SiO2ナノファイバ)35質量部をガラス基板の上に均一に乗せ、その上に上記で調製した光学透明樹脂塗布液65質量部を加え、もう一枚のガラス基板により挟みこみ、均一のギャップになるようクリップで保持した。引き続き、強度160wの高圧水銀ランプで、積算光量700mJ/cm2の紫外線を照射することにより、光学透明樹脂をUV架橋硬化させた。その後、ガラス基板からフィルムを剥離することで、110μmの光学用フィルムを得た。
得られた光学用フィルムは、全光線透過率87%、ヘイズ0.8%、50〜150℃の範囲における線膨張係数は15ppmであった。また、曲げ試験を実施したたところ、目視による光学フィルムの透明性の変化は一切見られなかった。なお、フィルム屈曲時のヘイズ測定結果は、0.8%であった。
[シリカアルミナ繊維の作成]
(繊維形成用組成物調製工程)
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業製)1質量部に、pH3に調製した硫酸水溶液を1質量部添加した。硫酸水溶液を添加した溶液は、添加直後は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。
得られた相溶化した溶液に、塩基性塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業製、商品名:アルファイン83、Al2O3換算含有量:23.3質量%)、ポリエチレンオキシド(シグマアルドリッチ製、平均分子量:200,000)を混合し、珪素とアルミニウムの混合比がSiO2/Al2O3換算で2/1(質量比)であり、ポリエチレンオキシドが1質量%含まれる繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置にとり繊維形成用組成物を噴出し、繊維を紡糸した。さらに、紡糸した繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。なお、このときの噴出ノズル1の内径は0.4mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて1000℃まで100分かけて昇温し、その後、1000℃で2時間保持することにより焼成し、シリカアルミナ繊維を得た。得られたシリカアルミナ繊維の平均径は330nm、屈折率は1.59であった。
光学透明樹脂として、光学用紫外線硬化型樹脂(スリーボンド製、商品名:TB3078)100質量部を用いた。この光学透明樹脂単独でのフィルムの屈折率は1.59であった。
上記で得られたシリカアルミナ繊維35質量部をガラス基板の上に均一に乗せ、その上に上記の光学透明樹脂65質量部を加え、もう一枚のガラス基板により挟みこみ、均一のギャップになるようクリップで保持した。引き続き、強度160wの高圧水銀ランプで、積算光量700mJ/cm2の紫外線を照射することにより、光学透明樹脂をUV架橋硬化させた。その後、ガラス基板からフィルムを剥離することで、110μmの光学用フィルムを得た。
得られた光学用フィルムは、全光線透過率87%、ヘイズ0.8%、50〜150℃の線膨張係数は20ppmであった。また、曲げ試験を実施したたところ、目視による光学フィルムの透明性の変化は一切見られなかった。なお、フィルム屈曲時のヘイズ測定結果は、0.8%であった。
[シリカ繊維の作成]
公知のバーナー火炎を用いた溶融法の2段延伸加工により、シリカ繊維(SiO2マイクロファイバ)の製造を行った。
具体的には、酸素と水素の混合ガスのバーナー火炎を用い、直径20mmのSiO2ガラスロッドを485mm3/minで導入し、巻き取り具により巻き取り速度5m/minで巻き取りながら、加熱延伸してSiO2ファイバ繊維を作成した。このとき得られたSiO2ファイバの直径は、0.35mmであった。
実施例1と同様に、紫外線硬化型樹脂(東亜合成化学製、商品名:アロニックスM150)100質量部を用い、光重合開始剤(チバ・ガイギー製、商品名:イルガキュア184)3質量部、希釈剤として1−メチル−2−プロパノール10質量部を順次加えて、均一になるまで攪拌することにより塗布液を得た。この光学透明樹脂単独でのフィルムを作成したところ、屈折率は1.51であった。
上記で得られたシリカ繊維(SiO2マイクロファイバ)35質量部をガラス基板の上に均一に乗せ、その上に上記で調製した光学透明樹脂塗布液65質量部を加え、もう一枚のガラス基板により挟みこみ、均一のギャップになるようクリップで保持した。引き続き、実施例1と同様に、強度160wの高圧水銀ランプで、積算光量700mJ/cm2の紫外線を照射することにより、光学透明樹脂をUV架橋硬化させた。その後、ガラス基板からフィルムを剥離することで、110μmの光学用フィルムを得た。
得られた光学用フィルムは、全光線透過率86%、ヘイズ0.9%、50〜150℃の範囲における線膨張係数は17ppmであった。また、曲げ試験を実施したたところ、光学フィルムの曲げ部分は白濁し、透明性が損なわれた。フィルム屈曲時のヘイズ測定結果は3.5%であり、大きくヘイズが増加していることが観測された。
2 繊維形成用組成物
3 繊維形成用組成物保持槽
4 電極
5 繊維捕集電極
6 高電圧発生器
7 マスク
Claims (8)
- 平均繊維径が10nm以上800nm以下である繊維と、光学透明樹脂とを含む光学用フィルムであって、
前記光学透明樹脂の屈折率と前記繊維の屈折率との差が、0.03以下であり、
フィルムの線膨張係数が、50℃〜150℃の範囲において40ppm以下である光学用フィルム。 - 波長400nm以上800nm以下の範囲において、ヘイズが2.0%以下である請求項1記載の光学用フィルム。
- 半径10mmの曲面で90度屈曲させた場合に、屈曲部のヘイズが2.0%以下である請求項1または2記載の光学用フィルム。
- 前記繊維が、無機化合物繊維である請求項1から3いずれかに記載の光学用フィルム。
- 前記無機化合物繊維が、セラミックス繊維である請求項4記載の光学用フィルム。
- 前記セラミック繊維が、酸化物系セラミックス繊維である請求項5記載の光学用フィルム。
- 前記繊維の含有量が、5質量%以上95質量%である請求項1から6いずれかに記載の光学用フィルム。
- 請求項1から7いずれかに記載の光学用フィルムを画像表示部に具備した光学表示装置。
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