JP6414380B2 - 偏光子保護フィルム及びこれを用いた偏光板、液晶表示装置 - Google Patents
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Description
3000〜30000nmのリタデーション及び0.5J以上の衝撃吸収エネルギーを有するポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルム。
項2.
前記ポリエステルフィルムの厚さが100μm以下である、項1に記載の偏光子保護フィルム。
項3.
前記ポリエステルフィルムのリタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上1.2以下である、項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
項4.
偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、
少なくとも一方の偏光子保護フィルムが、項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである偏光板。
項5.
バックライト、液晶セル、該液晶セルの両側に配置された偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が、項4に記載の偏光板である液晶表示装置。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の公知のポリエステル樹脂を使用することができる。ポリエステルは、ホモポリマーであってもよいし、共重合ポリエステルであってもよく、また、2種以上のポリエステルからなるブレンドポリマーであってもよい。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートからなるポリエステルフィルムである。特に、リタデーションを高く保つためには、高い屈折率が期待できる環状モノマーが主鎖及び/又は側差に配された樹脂が考えられるが、取り扱い性、及び価格等の観点から固有複屈折が大きく、フィルムの厚みが薄くても大きなリタデーションが得られるナフタレン環をポリエステルの酸成分とするポリエチレンナフタレートが好ましい。
一方、 共重合ポリエステルの共重合成分は、ジカルボン酸構成単位については、全ジカルボン酸成分に対して、50mol%以下が好ましく、より好ましくは20mol%以下、さらに好ましくは10mol%以下である。同様に、ジオール構成単位については全ジオール成分に対して、35mol%以下が好ましく、より好ましくは30mol以下が好ましく、さらに好ましくは15mol%以下である。上述の上限より共重合成分の比率が多い場合には、吐出の安定性や延伸後の寸法安定性が損なわれるおそれがある。
本発明の偏光子保護フィルムとして用いられるポリエステルフィルムは、3000〜30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが3000nm未満では、偏光子保護フィルムとして用いた場合、斜め方向から観察した時に強い虹ムラ(色ムラ)が発生し、良好な視認性を確保することができない。リタデーションの下限値は4500nmが好ましく、より好ましくは5000nm、よりさらに好ましくは6000nm、特に好ましくは8000nm、最も好ましくは10000nmである。
偏光子保護フィルムは、偏光子との接着性を良好にするため、少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、または、ポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。
本発明の偏光板には、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制などを目的とした、種々の機能層を表面に塗布した偏光子保護フィルムを用いることも好ましい。
ハードコート層は、硬度及び透明性を有する層であれば良く、通常、紫外線又は電子線で代表的には硬化させる電離放射線硬化性樹脂、熱で硬化させる熱硬化性樹脂等の各種の硬化性樹脂の硬化樹脂層として形成されたものが利用される。これら硬化性樹脂に、適宜柔軟性、その他物性等を付加する為に、熱可塑性樹脂等も適宜添加してもよい。硬化性樹脂のなかでも、代表的であり且つ優れた硬質塗膜が得られる点で好ましいのが電離放射線硬化性樹脂である。
画像表示装置の最視認側には防眩層が設けられていることが好ましい形態の一つである。防眩層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に防眩剤を分散した層として形成される。防眩剤としては、無機系又は有機系の微粒子が用いられる。これら微粒子の形状は、真球状、楕円状等である。微粒子は、好ましくは透明性のものが良い。この様な微粒子は、例えば、無機系微粒子としてはシリカビーズ、有機系微粒子としては樹脂ビーズが挙げられる。樹脂ビーズとしては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリルースチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズなどが挙げられる。微粒子は、通常、樹脂分100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度添加することができる。
画像表示装置の最表面側、各フィルムの空気との界面には反射防止層が設けられていることも好ましい形態の一つである。
反射防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良い。一般に、反射防止層は少なくとも低屈折率層からなり、更に低屈折率層と(該低屈折率層よりも屈折率が高い)高屈折率層とを交互に隣接積層し且つ表面側を低屈折率層とした多層の層からなる。低屈折率層及び高屈折率層の各厚みは、用途に応じた適宜厚みとすれば良く、隣接積層時は各々0.1μm前後、低屈折率層単独時は0.1〜1μm程度であることが好ましい。
防汚層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の珪素系化合物;フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂等のフッ素系化合物;ワックス等の防汚染剤を含む塗料を用いて公知の塗工法で形成することができる。防汚層の厚みは、適宜厚さとすればよく、通常は1〜10μm程度とすることが出来る。
帯電防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に帯電防止層を含有させた層として形成される。帯電防止層としては、有機系や無機系の化合物が用いられる。例えば、有機系化合物の帯電防止層としては、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、有機金属系帯電防止剤等が挙げられ、またこれら帯電防止剤は低分子化合物として用いられるほか、高分子化合物としても用いられる。また、帯電防止剤としては、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性ポリマー等も用いられる。また、帯電防止剤として例えば金属酸化物からなる導電性微粒子等も用いられる。導電性微粒子の粒径は透明性の点で、例えば平均粒径0.1nm〜0.1μm程度である。なお、該金属酸化物としては、例えば、ZnO、CeO2、Sb2O2、SnO2、ITO(インジウムドープ酸化錫)、In2O3、Al2O3、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、バックライト、液晶セル、液晶セルの両側に配置された偏光板を有する。液晶表示装置は、一方の面に対して配されたCCFLやLEDなどを光源としたバックライトによって、画像等が表示される。偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)を主体に、ヨウ素化合物分子を吸着配向させた偏光子と呼ばれるフィルム、及びその両面に配された偏光子保護フィルムからなる。液晶表示装置は、これら以外の他の構成部材として、例えば、カラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。
JIS K 7130「プラスチックフィルム及びシートの厚さ測定方法(A法)」に準拠して、厚さ(d)を求めた。
リタデーションとは、フィルム面に対して厚さ方向(z軸)とこれと直行すると共に相互にも直行する2つの軸方向(x軸、y軸)に関し、フィルムの各軸方向の屈折率(Nx、Ny、Nz)によって生じる複屈折とフィルム厚さdの積で示される位相差である。
ここでは、MDをx軸、TDをy軸としたフィルム面(x−y平面)に入射する光によって生じる複屈折率Nxyと厚さdとの積である面内リタデーションをリタデーション(Re)とし、JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法(A法)」に準拠して、縦方向(MD)の屈折率(Nx)、及び横方向(TD)の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を求めた値を用いて、次式より求めた。なお、通例に従い、リタデーションの単位はnmである。
ΔNxy =|Nx−Ny|
Re =ΔNxy×d
まず、厚さ方向リタデーション(Rth)を求める。厚さ方向リタデーションは、フィルム面に対して厚さ方向(z軸)とこれと直行すると共に相互にも直行する2つの軸方向(x軸、y軸)に関し、厚さ方向より入射する光よって生じるリタデーションを示すものであり、ここでは、x−z平面とy−z平面の2つの複屈折の平均とフィルム厚さdの積として、リタデーション(Re)と同様に、JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法(A法)」に準拠して、縦方向(MD)の屈折率(Nx)、及び横方向(TD)の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を求めた値を用いて、次式より求めた。なお、通例に従い、リタデーションの単位はnmである。
Rth =(|Nx−Nz|+|Ny−Nz|)/2×d
Rthと(2)で求めたReの値から、Re/Rthを求めた。
JIS K 7367−5「プラスチック−毛細管形粘度計を用いた希釈溶液の粘度の求め方―第5部:熱可塑性ポリエステル(TP)ホモポリマー及びコポリマー」に準拠して得た粘度数に対して、下記の測定条件で、溶液の質量濃度(c)に対する粘度数の関係から質量濃度(c)=0としたときの値を固有粘度(IV)とした。
溶媒:フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン=60/40(wt%)
管 :ウベローデ粘度管
温度:30±0.1(℃)
JIS K 7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠した示差走査熱量測定(DSC)のDSC曲線より得られる中間点ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とし、融解ピーク温度を融点(Tm)とした。
市販の偏光子の片側に後述する方法で作製した実施例、ならびに、比較例のフィルムを偏光子の吸収軸とフィルムの配向主軸(NxとNyの高い方)が垂直になるように貼り付け、その反対の面に市販のTACフィルムを貼り付けて偏光板Aを作製した。
白色LEDをバックライト光源に有し、2枚のTACフィルムを偏光子保護フィルムとする偏光板で挟まれた液晶セルを有する市販の液晶表示装置を用意した。この液晶表示装置の視認側の偏光板を前記偏光板Aと置き換え、視認側が実施例又は比較例のフィルムになるように設置した。このようにして得た液晶表示装置の正面、及び、斜め方向から目視観察を行ない、虹ムラ(色ムラ)の発生について、以下のように判定した。
◎:いずれの方向から観察しても虹ムラ(色ムラ)の発生は見られない
○:斜め方向から観察した時に、一部極薄い虹ムラ(色ムラ)が観察できる
×:斜め方向から観察した時に、明確に虹ムラ(色ムラ)が観察できる
JIS K 7128「プラスチックフィルム及びシートの引裂試験方法(B法)」に準拠し、MDとTDについて16枚重ねに換算した値であるエレメンドルフ引裂強度について、その低い方の値を以下のように判定した。
○ :引裂強度が50mN以上
× :引裂強度が50mN未満
(8)衝撃吸収エネルギー(IFE)
JIS K 7124「プラスチックフィルム及びシート−自由落下のダート法による衝撃試験方法(A法)」に準拠して求めた。
一般の塗工機を用い、ハードコート(MEK溶媒で溶解させた熱硬化型樹脂)を乾燥厚みが100nmになるように塗工した後、熱風方式(80〜90℃)で乾燥させる工程において、下記の基準のランク付けを行った。なお、◎、および、○、および、△を合格とし、×を不合格とした。
◎:破断せず良好であった。張力や温度等の条件を調整する必要がなく、良好な工程通過性が得られた。
○:破断ぜず良好であった。張力や温度等の条件を多少変更しても安定した工程通過性が得られた。
△:破断せず良好であった。張力や温度等の条件を多少変更すると、破断が生じる場合があった。
×:破断した。
JIS C 2318「電気用ポリエチレンテレフタレートフィルム(寸法変化)」に準拠して、MDとTDに関して、150℃、30minの加熱前後の寸法変化率を熱収縮率として求めた。
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)をエステル化反応釜に仕込み、圧力0.25MPa、温度220〜240℃の条件下で120分間エステル化反応を行なった後、反応釜内を常圧にして、重合触媒としてチタニウムテトラブトキシドなどを加えて、撹拌しながら反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5hPaとすると共に、温度を280℃に昇温して、280℃で溶融粘度が所定の値となるまで撹拌を続けて重合反応を行ない、その後、水中に吐出して冷却し、乾燥して、ポリエチレンテレフタレートAを得た。なお、物性は以下の通りであった。
IV:0.62dl/g
Tm:258℃
Tg:74℃
結晶化した上述のポリエチレンテレフタレートAを融点より10〜15℃程度の低い温度で減圧する固相重合処理を行ない、ポリエチレンテレフタレートBを得た。なお、物性は以下の通りであった。
IV:0.73dl/g
Tm:258℃
Tg:76℃
ジカルボン酸の全成分に対して、テレフタル酸46mol%、イソフタル酸46mol%、ならびに、5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%とグリコールの全成分に対して、エチレングリコール50mol%、ネオペンチルグリコール50mol%よりなる水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を常法によりエステル交換反応、および、重縮合反応を行なって得た。次いで、これと凝集シリカ粒子とを水、イソプロピルアルコール、n−ブチルセルソルブ、ならびに、ノニオン系界面活性剤を混合した溶液に分散させた、接着性改質液を得た。
押出機を使用し、ポリエチレンテレフタレートAを約280℃で溶融し、スリットから溶融押出した。表面温度が約25℃のチルロール上に静電印加法で冷却固化させた未延伸シートをリバースロール・コート法により、両面に接着性改質液を乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように塗布し、設定温度100℃、延伸倍率4.0倍のテンターでTD延伸を行なった後、180℃の熱処理を行ない、厚さが約30μmのフィルムを得た。
比較例1と同様の方法で、設定温度110℃でTD延伸を行ない、厚さが50μmのフィルムを得た。
比較例1と同様の方法で、厚さが25μmのフィルムを得た。
比較例1と同様の方法で、設定温度110℃でTD延伸を行ない、厚さが30μmのフィルムを得た。
比較例1と同様に、押出機を使用し、ポリエチレンテレフタレートBを約280℃で溶融し、スリットから溶融押出した。表面温度が約25℃のチルロール上に静電印加法で冷却固化させた未延伸シートをリバースロール・コート法により、両面に接着性改質液を乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように塗布し、設定温度100℃〜115℃、延伸倍率4.0倍のテンターでTD延伸を行なった後、180℃の熱処理を行ない、厚さが約30μmのフィルムを得た。なお、工程中に破断などは発生せず、フィルムに白化などの異常は認められなかった。
比較例1と同様に、押出機を使用し、ポリエチレンテレフタレートBを約280℃で溶融し、スリットから溶融押出した。表面温度が約25℃のチルロール上に静電印加法で冷却固化させた未延伸シートをリバースロール・コート法により、両面に接着性改質液を乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように塗布し、設定温度110℃、延伸倍率4.0倍のテンターでTD延伸を行なった後、180℃の熱処理を行ない、厚さが約50μm、約80μm、約100μmのフィルムを得た。なお、工程中に破断などは発生せず、フィルムに白化などの異常は認められなかった。
Claims (4)
- 3000〜30000nmの面内リタデーション及び0.5J以上の衝撃吸収エネルギーを有する、厚みが50μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムからなる偏光子保護フィルム。
- 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内リタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上1.2以下である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
- 偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、
少なくとも一方の偏光子保護フィルムが、請求項1又は2に記載の偏光子保護フィルムである偏光板。 - バックライト、液晶セル、及び液晶セルの両側に配置された偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が、請求項3に記載の偏光板である液晶表示装置。
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