JP2009013947A - 車両用エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベアリングメタルの偏摩耗を可及的に低減すること。
【解決手段】自動停止条件の成否を含むエンジン1の運転状態を判定する(ステップS1)。制動された場合のエンジン1のピストン停止位置を自動停止条件が成立した後に予測する(ステップS2、S3)。この予測に基づき、再始動用の行程にある気筒が、当該クランクシャフト3の軸方向において1番気筒の以外の気筒となるように当該エンジンを制動する(ステップS4)。再始動条件が成立したときに再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する。
【選択図】図4
【解決手段】自動停止条件の成否を含むエンジン1の運転状態を判定する(ステップS1)。制動された場合のエンジン1のピストン停止位置を自動停止条件が成立した後に予測する(ステップS2、S3)。この予測に基づき、再始動用の行程にある気筒が、当該クランクシャフト3の軸方向において1番気筒の以外の気筒となるように当該エンジンを制動する(ステップS4)。再始動条件が成立したときに再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用エンジンの制御装置に関し、特に、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後、所定の再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる車両用エンジンの制御装置に関する。
例えば、特許文献1に開示されているように、燃費低減およびCO2排出量抑制等を目的として、アイドル時にエンジンを自動で停止するようにしたエンジン制御装置が知られている。
このようなエンジン制御装置においては、所定の再始動条件成立時に停止時膨張行程気筒での燃焼によって直ちにエンジンを正転させる正転燃焼再始動方式と、特許文献1に開示されているように、停止時圧縮行程気筒での燃焼によって一旦前記エンジンを所定クランク角度逆転させ、その後、停止時膨張行程気筒での燃焼によってエンジンを逆転させる逆転燃焼再始動方式とがある。逆転燃焼再始動方式では、停止時膨張行程気筒の筒内圧力を高めた後、該停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼させることができるので、高い始動トルクを出力することができ、始動安定性や迅速性を高めることが可能になる。
特開2004−293474号公報
ところで、本件発明者が鋭意研究した結果、自動停止したエンジンを再始動させる際に、最初の燃焼が実行される気筒が、エンジンの補機等の無端動力伝達部材に最も近いものであった場合、当該無端動力伝達部材の張力の影響を受けて、クランクジャーナルの軸受部材(ベアリングメタル)の偏摩耗が促進されることが明らかになった。すなわち、エンジンが停止すると、潤滑油も停止するため、潤滑要部の油膜は、エンジン停止後の停止時間とともに薄くなり、遂には消失する。その場合に、クランクシャフトの下側に補機が配置されていない構成では、無端動力伝達部材張力の合力が上向きになるので、潤滑油の油膜切れと相俟って再始動時にベアリングメタルの偏摩耗が大きくなる。
他方、例えば、クランクシャフトの下側に空調機を配置し、クランクシャフトから無端動力伝達部材で駆動するようにした場合には、無端動力伝達部材張力の合力が下向きになり、燃焼による再始動に起因して生じる偏摩耗は、著しく軽減されるのであるが、燃焼時の角速度変化等による油膜切れを完全に消失するわけではなく、ベアリングメタルの所定位置に僅かな偏摩耗が残存することがわかった。特に、燃焼によってエンジンを再始動する場合、膨張行程を迎えた気筒での荷重は、大きなものになる。とりわけ、逆転燃焼再始動方式の場合、膨張行程を迎えた気筒での燃焼後は、吸気行程にあった気筒を燃焼するまでトルクを加勢することができないので、膨張行程気筒での燃焼時の下向きの荷重は大きなものとなる。そのため、始動トルクは大きいものの、一層、油膜切れが生じやすいという特性があることが分かった。
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、ベアリングメタルの偏摩耗を可及的に低減することのできる車両用エンジンの制御装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明は、複数のピストンが連結されたクランクシャフトと、前記ピストン毎に設けられて当該クランクシャフトの軸方向に沿って整列し、対応するピストンを往復移動可能に嵌装する複数の気筒と、前記クランクシャフトの軸方向一端部側に配設された補機と、前記補機を前記クランクシャフトの軸方向一端部に固定された出力部材に連結して駆動力を伝達する無端動力伝達部材とを備え、且つ前記出力部材に連結された無端動力伝達部材の張力の合力が下向きに作用するエンジンに併設され、所定の自動停止条件が成立したとき前記にエンジンを自動停止させ、自動停止後に所定の再始動条件が成立したときに少なくとも膨張行程を含む再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する車両用エンジンの制御装置において、前記自動停止条件の成否と前記再始動条件の成否とを含む前記エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、前記エンジンが制動された場合のピストン停止位置を前記自動停止条件が成立した後に予測する停止位置予測手段と、前記停止位置予測手段の予測に基づき、前記再始動用の行程にある気筒が、当該クランクシャフトの軸方向において前記無端動力伝達部材に最も近い気筒の以外の気筒となるように当該エンジンを制動する制動手段と、前記再始動条件が成立したときに前記再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する再始動手段とを備えていることを特徴とする車両用エンジンの制御装置である。この態様では、所定の自動停止条件が成立するとエンジンが自動停止し、その後、所定の再始動条件が成立すると、再始動用の行程にある気筒(正転燃焼再始動方式では、膨張行程で停止している気筒、逆転燃焼再始動方式では、圧縮行程で停止している気筒と膨張行程で停止している気筒)で混合気が燃焼されてエンジンが再始動する。この際、エンジンが制動されて自動停止する過程で、再始動用の行程にある気筒が無端動力伝達部材に最も近い気筒の以外の気筒となるように当該ピストン停止位置が制御されるので、エンジンは、無端動力伝達部材から離れた気筒で混合気が燃焼されることによって再始動する。このため、再始動時に燃焼によってピストンに作用する荷重が無端動力伝達部材の張力の合力と重なり合う度合いが小さくなり、クランクシャフトに偏荷重がかかるのを抑制することができる。
好ましい態様において、前記再始動手段は、所定の運転状態の際に、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを正転して再始動するものである。この態様では、再始動用の行程にある気筒としての停止時圧縮行程気筒と停止時膨張行程気筒とが無端動力伝達部材に最も近い気筒以外の気筒となるようにエンジンの制動制御が行われるので、ベアリングメタルに偏荷重が作用しやすい逆転燃焼再始動方式においても、確実にベアリングメタルの偏摩耗を抑制できる。
好ましい態様において、前記再始動手段は、前記停止時膨張行程気筒のピストンが所定の適正クランク角度範囲から外れた状態で停止している場合には、前記エンジンの電動駆動装置を作動させて前記エンジンを再始動するものであり、前記適正クランク角度範囲内で停止している場合には、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒以外の気筒であるときに、当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼して前記エンジンを再始動する一方、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒であるときは、前記エンジンの電動駆動装置を作動させることにより前記エンジンを再始動するものである。この態様では、ピストン停止位置が所定の適正クランク角度範囲内である場合には、逆転再始動方式で燃焼による再始動が行われ、適正クランク角度範囲外である場合には、電動駆動装置によってエンジンが再始動されるので、何れの場合にも再始動動作の信頼性を高めることができるとともに、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が無端動力伝達部材に最も近い気筒である場合には、原則として適正クランク角度範囲にピストンが停止しているか否かに拘わらず、電動駆動装置が作動するので、燃焼始動時の比較的大きな荷重が無端動力伝達部材の張力の合力と重なりあって偏摩耗が生じるのを抑制することができる。
好ましい態様において、前記エンジンが自動停止してから再始動するまでの停止時間を計測する計測手段を備え、前記再始動手段は、前記停止時膨張行程気筒のピストンが前記適正クランク角度範囲内で停止している場合において、前記停止時間が所定の許容時間内であるときは、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒であっても当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼して前記エンジンを再始動するものである。この態様では、ピストン停止位置が所定の適正クランク角度範囲内である場合に燃焼による再始動が行われ、適正クランク角度範囲外である場合には、電動駆動装置によってエンジンが再始動されるので、何れの場合にも再始動動作の信頼性を高めることができるとともに、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が無端動力伝達部材に最も近い気筒である場合には、原則として電動駆動装置が作動するので、燃焼時の荷重が無端動力伝達部材の張力の合力と重なりあって偏摩耗が生じるのを抑制することができる。他方、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が無端動力伝達部材に最も近い気筒である場合であっても、エンジンの停止時間が短い場合には、潤滑要部に油膜が残っていることから、当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼してエンジンを再始動することにより、電動駆動装置の駆動によるバッテリの消耗を低減することができる。
好ましい態様において、前記制動手段は、前記無端動力伝達部材に最も近い気筒のピストンが停止時に排気行程で停止するように前記エンジンを制動するものである。この態様では、燃焼再始動時に最も出力の大きくなる停止時膨張行程気筒や、逆転燃焼再始動方式を採用した際に最初に混合気が燃焼される停止時圧縮行程気筒が、クランクシャフトの軸方向において無端動力伝達部材と反対側の気筒に設定されるため、より確実に再始動開始時の燃焼による荷重が無端動力伝達部材の張力の合力と重なり合うことを防止し、油膜切れを回避できる。加えて、排気行程を目標として制動しているので、制動制御によって停止時の行程にずれが生じても、無端動力伝達部材に最も近い気筒のピストンを吸気行程で停止することができる結果、無端動力伝達部材に最も近い気筒のピストンが再始動用の行程で停止するのをより確実に回避することができる。
好ましい態様において、前記運転状態判定手段は、前記エンジンの水温と前記エンジンの回転速度との少なくとも一方を検出するものであり、前記制動手段は、前記水温と前記回転速度とのうち前記運転状態判定手段が検出したものに基づいて前記エンジンを制動するものである。この態様では、エンジンの水温や回転速度を用いることにより、精度の高い停止制御を実現することができる。
好ましい態様において、前記再始動手段は、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程気筒にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを正転して再始動する逆転燃焼再始動モードと、停止時に膨張行程気筒にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを再始動する正転燃焼再始動モードと、前記エンジンの電動駆動装置を作動させて前記エンジンを再始動するアシスト再始動モードとから択一的に再始動モードを選択して前記エンジンを再始動するものである。この態様では、エンジンの自動停止時に所期のピストン停止位置を得ることができなかった場合においても、ベアリングメタルの偏摩耗を低減するために最も好適な運転モードを選択してエンジンを再始動することが可能になる。
以上説明したように、本発明では、エンジンが制動されて自動停止する過程で、再始動用の行程にある気筒が無端動力伝達部材に最も近い気筒の以外の気筒となるように当該ピストン停止位置が制御されるので、エンジンは、無端動力伝達部材から離れた気筒で混合気が燃焼されることによって再始動する結果、クランクシャフトに偏荷重がかかるのを抑制し、ベアリングメタルの偏摩耗を可及的に低減することができるという顕著な効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態に係る概略構成を示している。
このエンジン1は、4サイクル火花点火式であり、エンジン制御ユニット2に制御されるように構成されている。
まず、エンジン1は、シリンダヘッド10およびシリンダブロック11を備えている。これらシリンダヘッド10およびシリンダブロック11は、クランクシャフト3を軸支している。周知の構成と同様に、クランクシャフト3のジャーナルは、図略のベアリングメタルを介して、回転自在に支持されており、クランクピンには、コンロッドを介して複数(本実施形態では4つ)のピストン13が連結されている。以下の説明では、クランクシャフト3の長手方向において、後述する補機が配設される側を仮にエンジン前方とする。
シリンダヘッド10およびシリンダブロック11は、ピストン13毎に対応して、当該クランクシャフト3の長手方向に整列する気筒12A〜12Dを形成している。各気筒12A〜12Dには対応するピストン13が往復移動可能に嵌装され、ピストン13の上方に燃焼室14が形成されている。
一般的に、多気筒4サイクルエンジンにおいては、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっている。本実施形態の4気筒エンジン1の場合、気筒列方向において、エンジン1の前方側から1番気筒12A12A、2番気筒12B、3番気筒12C、4番気筒12Dと呼ぶと、その燃焼順序は、1番気筒12A、3番気筒12C、4番気筒12D、2番気筒12Bの順に設定され、各気筒12A〜12Dが、この燃焼順序で180°CA(クランク角)ずつの位相差をもって燃焼が行われるようになっている。さらに本実施形態では、エンジン1の自動停止中に圧縮行程にあった気筒を停止時圧縮行程気筒、膨脹行程にあった気筒を停止時膨脹行程気筒と称する(同様に吸気行程にあった気筒を停止時吸気行程気筒、排気行程にあった気筒を停止時排気行程気筒と称する)。
シリンダヘッド10には、気筒12A〜12D毎に点火装置27が設けられている。点火装置27の点火プラグ15は、各気筒12A〜12Dの燃焼室14の頂部に位置し、そのプラグ先端が燃焼室14内に臨んでいる。さらにシリンダヘッド10には、燃焼室14の側方部に配置され、燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図略のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ15付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁16の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁16には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、且つ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
また、各気筒12A〜12Dの燃焼室14に対して吸気ポート17および排気ポート18が開口し、これらのポート17、18に吸気弁19および排気弁20が装備されている。これら吸気弁19および排気弁20は、電磁VVT50(電磁式動弁機構)によって駆動される。
電磁VVT50は、電磁力で吸排気弁19、20を開閉駆動する電磁式動弁機構である。電磁VVT50は周知の構造なので簡潔に記すが、電磁石のオン/オフによって直接吸排気弁19、20を開閉させるものであって、一種のVVT(Variable Valve Timing)である。但し単にカム位相をずらす形式のVVTよりも格段に制御自由度が高く、任意のクランク角で吸排気弁19、20を開閉することができる。吸気弁19には吸気側VVT51が、排気弁20には排気側VVT52がそれぞれ設けられている。
上記吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。上記吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aが分岐し、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられるとともに、この共通吸気通路21cには、アクチュエータ24により駆動されるスロットル弁23からなる吸気流量調節手段が配設されている。スロットル弁23に、アイドル運転時の回転速度を調節する図略のISC(Idle Speed Control)ユニットを併設してもよい。このスロットル弁23の上流側には吸気流量を検出するエアフローセンサ25と吸気温度を検出する吸気温センサ29とが配設されている。またスロットル弁23の下流側には吸気圧力(ブースト圧)を検出する吸気圧センサ26が配設されている。また排気通路22には、排気を浄化する排気浄化装置37が設けられている。
また、図1に示すようにシリンダブロック11には、タイミングベルト等によりクランクシャフト3に連結されたオルタネータ(発電機)28が付設されている。このオルタネータ28は、図略のフィールドコイルの電流をレギュレータ回路28aで制御して出力電圧を調節できるように構成され、エンジン制御ユニット2からの制御信号に基づき、通常時に車両の電気負荷および車載バッテリの電圧等に対応した目標発電電流の制御が実行されるように構成されている。
また、シリンダヘッド10およびシリンダブロック11には、クランクシャフト3に直結されたリングギア(そのピッチ円の一部を一点鎖線で示す)を駆動する電動駆動装置のとしてのスタータモータ36が設けられている。スタータモータ36は、必要に応じてピニオンギアをリングギアに噛合させ、そのピニオンギアを駆動することにより、エンジンを正転方向に駆動する。スタータモータ36として、オルタネータを統合したモータ(ISG:Integrated Starter Generator)を用いてもよい。スタータモータ36は、イグニションキー操作による通常のエンジン始動時に用いられる他、エンジン自動停止後の再始動時に、その始動を補助するアシスト始動を行うときにも用いられる。
図3は、本実施形態に係るエンジンの前部構造を概略的に示す正面略図である。
図3を参照して、シリンダブロック11のエンジン前方には、上述したオルタネータ28の他、図略のウォータポンプや空調機を初めとする補機が設けられている。これら補機を駆動するため、クランクシャフト3のエンジン前方側端部には、出力部材としての駆動プーリ80が同心に固定されているとともに、オルタネータ28とウォータポンプには、それぞれ従動プーリ81、82が取り付けられている。プーリ80、81、82は、アイドラ83とともに、補機ベルト84によって連結されている。図示の例では、アイドラ83は、シリンダブロック11の上部側に配置されており、ウォータポンプは、このアイドラ83とオルタネータ28の間に配置されている。他方、空調機は、クランクシャフト3よりもシリンダブロック11の下部に配置されており、空調機に取り付けられた従動プーリ85は、別の補機ベルト86によって駆動されるようになっている。図3のようなレイアウトでは、プーリ81、82、アイドラ83によって補機ベルト84に図のF1で示したような斜め上向きの張力が作用するとともに、補機ベルト86には、図のF2で示したような下向きの張力が作用する。この結果、F1とF2の合力Fは、図3において右斜め下に作用している。
図1を参照して、エンジン1には、クランクシャフト3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30、31が設けられ、一方のクランク角センサ30から出力される検出信号に基づいてエンジン1の回転速度が検出されるとともに、上記両クランク角センサ30、31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランクシャフト3の回転方向および回転角度が検出されるようになっている。さらにエンジン1には、カムシャフトの特定回転位置を検出して気筒識別信号として出力するカム角センサ32と、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ33とが設けられている。また、このエンジン1を搭載した車両には、運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ34と、運転者がブレーキ操作を行ったことを検出するブレーキセンサ35と、車速を検出する車速センサ38とが設けられている。
エンジン制御ユニット2は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェースおよびこれらを接続するバスを有するマイクロプロセッサで構成されている。そして本実施形態のエンジン制御ユニット2には、入力要素として、エアフローセンサ25、吸気圧センサ26、吸気温センサ29、クランク角センサ30、31、カム角センサ32、水温センサ33、アクセル開度センサ34、ブレーキセンサ35、並びに車速センサ38が接続されており、これらの各センサ25〜38が出力した検出信号を処理することにより、エンジン制御ユニット2は、エンジン1の運転状態を判定するための運転状態判定手段として機能するようになっている。
他方、エンジン制御ユニット2には、出力要素として、燃料噴射弁16、スロットル弁23のアクチュエータ24、点火プラグ15の点火装置27、オルタネータ28のレギュレータ回路28aおよびスタータモータ36、並びに上述した各補機が接続されており、これらの出力要素に駆動信号を出力するように構成されている。
上述のような入力要素からの検出信号に基づいて、出力要素を制御するに当たり、図示のエンジン制御ユニット2は、燃料噴射制御部41、点火制御部42、吸気流量制御部43、発電量制御部44、ピストン位置検出部45、スタータ制御部46、および電磁VVT制御部48を論理的に構成している。
燃料噴射制御部41は、燃料噴射時期と、各噴射における燃料噴射量とを設定して、その信号を燃料噴射弁16に出力するモジュールである。特に本実施形態のエンジン自動停止制御では、後述するように、エンジン1の自動停止条件が成立した後に、所定のタイミングで燃料噴射を停止させる。
点火制御部42は、各気筒12A〜12Dに対して適切な点火時期を設定し、各点火装置27に点火信号を出力するモジュールである。
吸気流量制御部43は、各気筒12A〜12Dに対して適切な吸気流量を設定し、その吸気流量に応じたスロットル弁23の開度信号をアクチュエータ24に出力するモジュールである。特に本実施形態では、エンジン自動停止制御においてスロットル弁23の開度を調節して、ピストン13が再始動に適した適正停止範囲に停止するような制御を行っている。吸気流量制御部43は、その際のスロットル弁23の開度調節も行う。スロットル弁23にISCユニットが併設されている場合は、その制御(ISC制御)も行う。
発電量制御部44は、オルタネータ28の適切な発電量を設定し、その駆動信号をレギュレータ回路28aに出力するモジュールである。特に本実施形態では、エンジン自動停止制御においてオルタネータ28の発電量を調節することによってクランクシャフト3の負荷を変化させ、ピストン13が再始動に適した適正範囲に停止するような制御を行っている。発電量制御部44は、その際のオルタネータ28の発電量の調節も行う。
ピストン位置検出部45は、クランク角センサ30、31の各検出信号に基づき、ピストン位置を検出するモジュールである。ピストン位置とクランク角(°CA)とは1対1に対応するので、一般的になされているようにこの明細書においてもピストン位置をクランク角で表す。本実施形態では、膨張行程気筒および圧縮行程気筒の自動停止中のピストン位置に基づいて各筒内空気量を算出し、それに応じて再始動時における各気筒12A〜12Dの燃焼制御を行っている。
スタータ制御部46は、スタータモータ36の駆動制御を行うモジュールである。通常は、運転者のエンジン始動操作に応じてスタータモータ36に駆動信号を送る。また自動再始動制御において、必要に応じてエンジン始動を補助するアシスト始動を行う際にもスタータモータ36に駆動信号を送る。
電磁VVT制御部48は、電磁VVT50による吸気弁19および排気弁20の開閉時期を設定するモジュールである。
以上のような各モジュールによって、エンジン制御ユニット2は、自動停止条件と再始動条件の成否を含むエンジン1の運転状態を判定する運転状態判定手段と、制動された場合のエンジン1のピストン13の停止位置を自動停止条件が成立した後に予測する停止位置予測手段と、エンジン1を制動する制動手段と、エンジン1が自動停止してから再始動するまでの停止時間を計測する計測手段と、自動停止したエンジン1を再始動する再始動手段とを論理的に構成している。
運転状態判定手段としてのエンジン制御ユニット2は、エンジン1を自動停止するための自動停止条件や、自動停止したエンジン1を再始動するための再始動条件を判定できるようになっている。具体的には、ブレーキの作動状態が所定時間継続し、車速が所定値以下であるといった場合には、エンジンの自動停止条件が成立したと判定し、運転者によるアクセル操作等があった場合には、再始動条件が成立したものと判定する。かかる判定を実行するため、本実施形態では、クランク角センサ30、31の検出信号に基づくエンジン1の回転速度と、水温センサ33が検出したエンジン1の冷却水温度とが判定のパラメータとして使用されるようになっている。
停止位置予測手段としてのエンジン制御ユニット2は、ピストン位置検出部45の機能により、運転中のエンジン1が停止した場合に何れの気筒が何れの行程で停止するかを特定できるようになっている。
制動手段としてのエンジン制御ユニット2は、点火制御部42、吸気流量制御部43、発電量制御部44等の機能により、走行中のエンジン1を自動停止する機能を奏するようになっている。
計測手段としてのエンジン制御ユニット2は、CPUのタイマー機能に基づき、自動停止したエンジン1が再始動するまでの停止時間Tepsを計測する。この停止時間Tepsが所定の許容時間Tst内にある場合には、潤滑油の油膜が潤滑要部に残っているため、偏摩耗の原因となりやすい1番気筒12Aでの最初の燃焼を実行しても、偏摩耗は生じにくくなる。そこで、本実施形態では、停止時間Tepsを計測し、次に説明する再始動手段としてのエンジン制御ユニット2が再始動モードを選定する際のパラメータに供することとしているのである。
再始動手段としてのエンジン制御ユニット2は、逆転燃焼再始動モード、正転燃焼再始動モード、またはアシスト再始動モードから択一的に始動モードを選択して、エンジン1の再始動制御を実行するようになっている。
逆転燃焼再始動モードでは、最初に停止時圧縮行程気筒で燃焼を行わせることにより、そのピストン13を押し下げてクランクシャフト3を少しだけ逆転させ、停止時膨張行程気筒のピストン13を一旦上昇(上死点に近づける)させ、その気筒内の空気(燃料噴射後は混合気となる)を圧縮した状態で、この混合気に点火して燃焼させることにより、クランクシャフト3に正転方向の駆動トルクを与えてエンジンを再始動させる方式である。また、正転燃焼再始動モードでは、停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して、エンジン1を最初から正転方向に駆動する方式である。この正転燃焼再始動モードでは、スタータモータ36が併用される場合もある。
ここで本実施形態では、燃焼による再始動を実行するに際し、補機ベルト84、86に最も近い気筒、すなわち、エンジン1の前端に配置された1番気筒12Aの行程に基づいて再始動モードの選定を行うようにしている。
すなわち、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)、とりわけ、逆転再始動モードにおける停止時膨張行程気筒が1番気筒12Aである場合には、補機ベルト84、86の張力F1、F2の合力Fと燃焼時の荷重とが重なってクランクシャフト3に伝播されるので、油膜切れが最も生じやすい状況となる。そのため、1番気筒12Aが膨張行程または圧縮行程で停止している場合には、原則として逆転燃焼再始動モードは選択されない。同様に、1番気筒12Aが膨張行程で停止している場合には、正転燃焼再始動モードは選択されない。但し、エンジン1が停止した後の停止時間Tepsが許容時間Tst以内であれば、油膜切れが生じにくくなるため、他の条件を満たすことによって、燃焼による再始動が実行される。
次に、燃焼によってエンジン1を再始動する場合、エンジン1のピストン停止位置が再始動の成否を大きく左右することになる。そこで、本実施形態では、各再始動モードを選定するに当たり、ピストン停止位置に基づいて、再始動モードの適否を判定するようにしている。
そこで、ピストン停止位置と燃焼に関する知見から、本実施形態では、ピストン停止位置が、停止時膨張行程気筒の圧縮上死点後のクランク角が100°CA〜120°CAとなる適正クランク角度範囲内であれば、逆転燃焼再始動モードが選定され、クランク角が
90°CAから100°CAの範囲であれば、正転燃焼再始動モードが選定され、さらに何れの条件も満たさない場合には、スタータモータ36によるアシスト再始動モードが選定されるようになっている。
90°CAから100°CAの範囲であれば、正転燃焼再始動モードが選定され、さらに何れの条件も満たさない場合には、スタータモータ36によるアシスト再始動モードが選定されるようになっている。
次に、本実施形態に係る制御例について、図4および図5を参照しながら説明する。
図4および図5は、本実施形態に係るエンジンの自動停止/再始動制御の実行例を示すフローチャートである。
まず、図4を参照して、エンジン制御ユニット2は、本制御例において、エンジン1の停止条件が成立するのを待機する(ステップS1)。停止条件が成立すると、エンジン制御ユニット2は、水温、エンジン回転速度、クランク位置をそれぞれ対応する入力要素の検出信号に基づいて判定し、これらのパラメータから停止時の1番気筒12Aの行程を予測する(ステップS2)。エンジン回転速度が低下する過程において、各気筒12A〜12Dでピストン13が圧縮上死点を通過する際のエンジン回転速度(上死点回転速度)や水温と、ピストン停止位置との間に明確な相関関係があることが知られており、本実施形態では、その相関関係に基づいて、最終的に停止するピストン停止位置が予測される。
次いで、この予測から、1番気筒12Aが目標行程となる制動開始タイミングを待機する(ステップS3)。本実施形態では、原則として、逆転燃焼再始動モードで再始動するように制動目標が設定されており、この場合の1番気筒12Aは、排気行程で停止するように設定される。排気行程で停止した場合、最初に燃焼される停止時圧縮行程気筒は、4番気筒12Dとなり、最も大きな荷重が作用する停止時膨張行程気筒が3番気筒12Cになることから、クランクシャフト3の軸方向において、エンジン1の最も後端側(補機ベルト84、86と反対側)で最初の燃焼を実行し、クランクシャフト3のベアリングメタルに偏荷重が作用するのを防止することが可能になるからである。さらに、上述のような行程を1番気筒12Aの停止目標とすることにより、仮に停止制御が意図した通りに実現できず、行程にずれが生じたとしても、圧縮行程や膨張行程が1番気筒12Aになる確率を低減できるので、より高いフェールセーフ機能を奏することが可能になる。
1番気筒12Aが目標行程となる制動開始タイミングが検出されると、エンジン制御ユニット2は、エンジン1の制動制御を開始する(ステップS4)。
この制動制御において、エンジン制御ユニット2は、エンジンの目標回転速度を、エンジンを自動停止させない時の通常のアイドル回転速度(以下、通常のアイドル回転速度という)よりも高い目標回転速度に設定する。これにより、掃気性の向上と制動精度の向上とが図られる。
エンジンの回転速度が目標回転速度で安定すると、エンジン制御ユニット2は所定の待ち時間(200ms程度)待機した後、燃料噴射停止を実行する。
燃料噴射停止により、エンジン1は減速する。このときエンジン1の回転速度は、各気筒のピストン13が順次圧縮上死点を経過する度に一時的に落ち込んだ後、その圧縮上死点を超えた後に再び上昇するという小刻みなアップダウンを繰り返しながら次第に低下する。なお、以下の説明では、気筒を指定せず圧縮上死点という場合、エンジン全体から見て各気筒12A〜12Dの何れかが圧縮上死点であるポイントを指すものとする(つまりエンジン回転速度の振動の各谷を指す)。
そして最後の圧縮上死点(特にこれを最終上死点ともいう)を通過した後に圧縮上死点を迎える停止時圧縮行程気筒では、慣性力によるピストン13の上昇に伴って空気圧が高まり、その圧縮反力によりピストン13が上死点を超えることなく押し返されてクランクシャフト3が逆転する。このクランクシャフト3の逆転によって停止時膨張行程気筒の空気圧が上昇するため、その圧縮反力に応じて停止時膨張行程気筒のピストン13が下死点側に押し返されてクランクシャフト3が再び正転し始め、このクランクシャフト3の逆転と正転とが数回繰り返されてピストン13が往復作動した後に停止することになる。
このようにしてエンジンを自動停止させ、エンジン回転速度が低下する過程において、各気筒12A〜12Dのピストン13が圧縮上死点を通過する際のエンジン回転速度(上死点回転速度)と、停止時膨張行程気筒のピストン停止位置との間に明確な相関関係がある。すなわち、各段階(停止前から2番目、3番目、4番目・・・)の上死点回転速度がそれぞれ一定の速度範囲内にあるときに停止時膨張行程気筒のピストン停止位置が、所定の気筒で逆転燃焼再始動に好適な停止位置範囲内となる確率が高くなるのである。
この特性を利用し、本実施形態ではエンジン回転速度の低下過程における所定の段階(特に重要なのは停止前から2番目)の上死点回転速度が一定の速度範囲内となるような制御を行って、1番気筒12Aが排気行程となり、且つ停止時膨張行程気筒のピストン13がより確実に適正な停止範囲内で停止するような制御を行っている。具体的には、オルタネータ28の発電量を増減させることによってクランクシャフト3の負荷(エンジン負荷)を調節し、1番気筒12Aが排気行程となり、且つ停止前から2番目の上死点回転速度が、350±50rpmの範囲内となるようにしている。なお、圧縮上死点が所定速度(例えば400rpm程度)に減速すると、それから2番目の圧縮上死点が最終上死点となる確率が高いことから、ある圧縮上死点が当該所定値(例えば400rpm程度)に達すると、その圧縮上死点を最後から2番目の圧縮上死点であると判定することとしている。
次に、図5を参照して、エンジン1が自動停止した後、エンジン制御ユニット2は、再始動条件が成立するのを待機する(ステップS10)。再始動条件が成立すると、エンジン制御ユニット2は、クランク位置から実際にピストン13が停止した1番気筒12Aの行程を検出し(ステップS11)、この行程が圧縮行程または膨張行程であるか否かを判定する(ステップS12)。仮に1番気筒12Aのピストン13が圧縮行程または膨張行程で停止していた場合、エンジン制御ユニット2は、さらに、停止時間Tepsが許容時間Tst以内であるか否かを判定する(ステップS14)。上述したように、停止時間Tepsが許容時間Tst以内であれば、油膜が充分に残っているため、1番気筒12Aで混合気を最初に燃焼させても油膜切れは生じにくくなる。仮に、停止時間Tepsが許容時間Tst以内であれば、今度はピストン13の停止位置から、逆転燃焼始動が可能か否かを判定する(ステップS15)。仮に逆転燃焼始動が可能な停止状態であった場合、エンジン制御ユニット2は、逆転燃焼再始動モードを実行し(ステップS16)、通常運転制御に移行して(ステップS17)、処理を終了する。
また、ステップS12において、1番気筒12Aのピストン13が圧縮行程および膨張行程以外の行程であった場合、エンジン制御ユニット2は、直ちにステップS15に移行して逆転燃焼始動の可否を判定し、可能であれば、ステップS16以下の制御を実行する。
他方、ステップS14において、停止時間Tepsが許容時間Tstを越えていた場合、またはステップS15において、ピストン停止位置が逆転燃焼始動に不適であると判定された場合、エンジン制御ユニット2は、正転燃焼始動が可能か否かを判定する(ステップS18)。正転燃焼始動が可能であると判定した場合、エンジン制御ユニット2は、正転燃焼再始動モードを実行し(ステップS19)、ステップS17に移行する。また、正転燃焼始動が不適であると判定した場合、エンジン制御ユニット2は、アシスト再始動モードを実行し(ステップS20)、ステップS17に移行する。
以上説明したように本実施形態では、所定の自動停止条件が成立するとエンジン1が自動停止し、その後、所定の再始動条件が成立すると、再始動用の行程にある気筒(正転燃焼再始動方式では、膨張行程で停止している気筒、逆転燃焼再始動方式では、圧縮行程で停止している気筒と膨張行程で停止している気筒)で混合気が燃焼されてエンジン1が再始動する。この際、エンジン1が制動されて自動停止する過程で、再始動用の行程にある気筒が1番気筒(補機ベルト84、86に最も近い気筒)12Aの以外の気筒12B〜12Dとなるように当該ピストン停止位置が制御されるので、エンジン1は、補機ベルト84、86から離れた2番気筒12B〜4番気筒12Dで混合気が燃焼されることによって再始動する。このため、再始動時に燃焼によってピストン13に作用する荷重が補機ベルト84、86の張力F1、F2の合力Fと重なり合う度合いが小さくなり、クランクシャフト3に偏荷重がかかるのを抑制することができる。
また本実施形態は、所定の運転状態の際に、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼してエンジン1を一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼してエンジン1を正転して再始動するものである。このため本実施形態では、再始動用の行程にある気筒としての停止時圧縮行程気筒と停止時膨張行程気筒とが1番気筒12A以外の気筒12B〜12Dとなるようにエンジン1の制動制御が行われるので、ベアリングメタルに偏荷重が作用しやすい逆転燃焼再始動方式においても、確実にベアリングメタルの偏摩耗を抑制できる。
また本実施形態は、停止時膨張行程気筒のピストン13が所定の適正クランク角度範囲(本実施形態では、100°CA〜120°CA)から外れた状態で停止している場合には、エンジン1のスタータモータ36を作動させてエンジン1を再始動するものであり、適正クランク角度範囲内で停止している場合には、当該再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒および停止時膨張行程気筒)が1番気筒12A以外の気筒12B〜12Dであるときに、当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼してエンジン1を再始動する一方、当該再始動用の行程にある気筒が1番気筒12Aであるときは、エンジン1のスタータモータ36を作動させることによりエンジン1を再始動するものである。このため本実施形態では、ピストン停止位置が所定の適正クランク角度範囲内である場合には、逆転再始動方式で燃焼による再始動が行われ、適正クランク角度範囲外である場合には、スタータモータ36によってエンジン1が再始動されるので、何れの場合にも再始動動作の信頼性を高めることができるとともに、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が1番気筒12Aである場合には、原則として適正クランク角度範囲にピストン13が停止しているか否かに拘わらず、スタータモータ36が作動するので、燃焼始動時の比較的大きな荷重が補機ベルト84、86の張力F1、F2の合力Fと重なりあって偏摩耗が生じるのを抑制することができる。
また本実施形態は、エンジン1が自動停止してから再始動するまでの停止時間Tepsを計測し、停止時膨張行程気筒のピストン13が適正クランク角度範囲内で停止している場合において、停止時間Tepsが所定の許容時間Tst内であるときは、当該再始動用の行程にある気筒が1番気筒12Aであっても当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼してエンジン1を再始動するものである。このため本実施形態では、ピストン停止位置が所定の適正クランク角度範囲内である場合に燃焼による再始動が行われ、適正クランク角度範囲外である場合には、スタータモータ36によってエンジン1が再始動されるので、何れの場合にも再始動動作の信頼性を高めることができるとともに、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が1番気筒12Aである場合には、原則としてスタータモータ36が作動するので、燃焼時の荷重が補機ベルト84、86の張力F1、F2の合力Fと重なりあって偏摩耗が生じるのを抑制することができる。他方、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒または停止時膨張行程気筒)が1番気筒12Aである場合であっても、エンジン1の停止時間Tepsが短い場合には、潤滑要部に油膜が残っていることから、当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼してエンジン1を再始動することにより、スタータモータ36の駆動によるバッテリの消耗を低減することができる。
また本実施形態は、1番気筒12Aのピストン13が停止時に排気行程で停止するようにエンジン1を制動するものである。
表1は、本実施形態において、燃焼順序毎の制御例を示したものである。
表1から明らかなように、本実施形態では、燃焼再始動時に最も出力の大きくなる停止時膨張行程気筒や、逆転燃焼再始動方式を採用した際に最初に混合気が燃焼される停止時圧縮行程気筒が、クランクシャフト3の軸方向において補機ベルト84、86と反対側の気筒12A〜12Dに設定されるため、より確実に再始動開始時の燃焼による荷重が補機ベルト84、86の張力F1、F2の合力Fと重なり合うことを防止し、油膜切れを回避できる。加えて、排気行程を目標として制動しているので、制動制御によって停止時の行程にずれが生じても、表1の3行目に示すように1番気筒12Aのピストン13を吸気行程で停止することができる結果、1番気筒12Aのピストン13が再始動用の行程で停止するのをより確実に回避することができる。
また本実施形態は、エンジン1の水温とエンジン1の回転速度との少なくとも一方を検出し、これら水温と回転速度の少なくとも一方に基づいてエンジン1を制動するものである。このため本実施形態では、エンジン1の水温や回転速度を用いることにより、精度の高い停止制御を実現することができる。
また本実施形態は、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼してエンジン1を一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼してエンジン1を正転して再始動する逆転燃焼再始動モードと、停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼してエンジン1を再始動する正転燃焼再始動モードと、エンジン1のスタータモータ36を作動させてエンジン1を再始動するアシスト再始動モードとから択一的に再始動モードを選択してエンジン1を再始動するものである。このため本実施形態では、エンジン1の自動停止時に所期のピストン停止位置を得ることができなかった場合においても、ベアリングメタルの偏摩耗を低減するために最も好適な運転モードを選択してエンジン1を再始動することが可能になる。
上述した実施形態は本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば本発明は、表2に示すように、燃焼順序が1番気筒12A、4番気筒12D、2番気筒12B、3番気筒12Cの順に設定されているエンジンにも適用することができる。
この実施形態においても、図4および図5に示したフローチャートに基づき、再始動用の行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒および停止時膨張行程気筒)が1番気筒12Aである場合には、スタータ再始動によって燃焼始動時の荷重に起因する偏摩耗を防止することができる。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
1 エンジン
2 エンジン制御ユニット
3 クランクシャフト
12A-12D 気筒
13 ピストン
28 オルタネータ(補機の一例)
29 吸気温センサ
30 クランク角センサ
31 クランク角センサ
32 カム角センサ
33 水温センサ
34 アクセル開度センサ
35 ブレーキセンサ
36 スタータモータ
38 車速センサ
80 駆動プーリ(出力部材の一例)
84 補機ベルト(無端動力伝達部材の一例)
86 補機ベルト(無端動力伝達部材の一例)
F 合力
F1、F2 張力
Teps 停止時間
Tst 許容時間
2 エンジン制御ユニット
3 クランクシャフト
12A-12D 気筒
13 ピストン
28 オルタネータ(補機の一例)
29 吸気温センサ
30 クランク角センサ
31 クランク角センサ
32 カム角センサ
33 水温センサ
34 アクセル開度センサ
35 ブレーキセンサ
36 スタータモータ
38 車速センサ
80 駆動プーリ(出力部材の一例)
84 補機ベルト(無端動力伝達部材の一例)
86 補機ベルト(無端動力伝達部材の一例)
F 合力
F1、F2 張力
Teps 停止時間
Tst 許容時間
Claims (7)
- 複数のピストンが連結されたクランクシャフトと、前記ピストン毎に設けられて当該クランクシャフトの軸方向に沿って整列し、対応するピストンを往復移動可能に嵌装する複数の気筒と、前記クランクシャフトの軸方向一端部側に配設された補機と、前記補機を前記クランクシャフトの軸方向一端部に固定された出力部材に連結して駆動力を伝達する無端動力伝達部材とを備え、且つ前記出力部材に連結された無端動力伝達部材の張力の合力が下向きに作用するエンジンに併設され、所定の自動停止条件が成立したとき前記にエンジンを自動停止させ、自動停止後に所定の再始動条件が成立したときに少なくとも膨張行程を含む再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する車両用エンジンの制御装置において、
前記自動停止条件の成否と前記再始動条件の成否とを含む前記エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、
前記エンジンが制動された場合のピストン停止位置を前記自動停止条件が成立した後に予測する停止位置予測手段と、
前記停止位置予測手段の予測に基づき、前記再始動用の行程にある気筒が、当該クランクシャフトの軸方向において前記無端動力伝達部材に最も近い気筒の以外の気筒となるように当該エンジンを制動する制動手段と、
前記再始動条件が成立したときに前記再始動用の行程にある気筒で混合気を燃焼させて該エンジンを再始動する再始動手段と
を備えていることを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項1記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記再始動手段は、所定の運転状態の際に、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを正転して再始動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項2記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記再始動手段は、前記停止時膨張行程気筒のピストンが所定の適正クランク角度範囲から外れた状態で停止している場合には、前記エンジンの電動駆動装置を作動させて前記エンジンを再始動するものであり、前記適正クランク角度範囲内で停止している場合には、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒以外の気筒であるときに、当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼して前記エンジンを再始動する一方、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒であるときは、前記エンジンの電動駆動装置を作動させることにより前記エンジンを再始動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項3記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記エンジンが自動停止してから再始動するまでの停止時間を計測する計測手段を備え、
前記再始動手段は、前記停止時膨張行程気筒のピストンが前記適正クランク角度範囲内で停止している場合において、前記停止時間が所定の許容時間内であるときは、当該再始動用の行程にある気筒が前記無端動力伝達部材に最も近い気筒であっても当該再始動用の行程にある気筒にて混合気を燃焼して前記エンジンを再始動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項1から4の何れか1項に記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記制動手段は、前記無端動力伝達部材に最も近い気筒のピストンが停止時に排気行程で停止するように前記エンジンを制動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項1から5の何れか1項に記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記運転状態判定手段は、前記エンジンの水温と前記エンジンの回転速度との少なくとも一方を検出するものであり、
前記制動手段は、前記水温と前記回転速度とのうち前記運転状態判定手段が検出したものに基づいて前記エンジンを制動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。 - 請求項1から6の何れか1項に記載の車両用エンジンの制御装置において、
前記再始動手段は、停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを一旦逆転し、その後、停止時に膨張行程気筒にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを正転して再始動する逆転燃焼再始動モードと、停止時に膨張行程気筒にあった停止時膨張行程気筒で混合気を燃焼して前記エンジンを再始動する正転燃焼再始動モードと、前記エンジンの電動駆動装置を作動させて前記エンジンを再始動するアシスト再始動モードとから択一的に再始動モードを選択して前記エンジンを再始動するものである
ことを特徴とする車両用エンジンの制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2007179404A JP2009013947A (ja) | 2007-07-09 | 2007-07-09 | 車両用エンジンの制御装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014170962A1 (ja) * | 2013-04-16 | 2014-10-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
-
2007
- 2007-07-09 JP JP2007179404A patent/JP2009013947A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014170962A1 (ja) * | 2013-04-16 | 2014-10-23 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
CN105121241A (zh) * | 2013-04-16 | 2015-12-02 | 丰田自动车株式会社 | 车辆的控制装置 |
JP6036994B2 (ja) * | 2013-04-16 | 2016-11-30 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
CN105121241B (zh) * | 2013-04-16 | 2017-06-30 | 丰田自动车株式会社 | 车辆的控制装置 |
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