JP2009003264A - 像加熱装置および像加熱装置を備えた画像形成装置 - Google Patents

像加熱装置および像加熱装置を備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 キュリー温度の設定により非通紙部昇温を防止すると共に立ち上げ時間の短縮を図る。
【解決手段】 像加熱部材をキュリー温度に近い設定温度になるまで上昇させる工程中にコイルに通電される電流の周波数は、記録材上の像を加熱する工程中の周波数よりも大きくする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電磁誘導方式の像加熱装置、および電磁誘導方式の像加熱装置を備える複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
電子写真方式・静電記録方式等の画像形成装置は、シート状の記録材(記録紙・転写材など)上に形成されたトナー画像を記録材上に定着する或いは加熱する像加熱装置を備える。
この像加熱装置は、加熱ローラ(定着ローラ)もしくはエンドレスの加熱ベルトである像加熱手段と、像加熱手段を加圧して、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧手段と、を有する。
像加熱手段(以下、像加熱ローラと記す)は、発熱体によって内部または外部より、直接もしくは間接的に加熱されて、表面温度が所定の定着温度に維持される。発熱体は、例えばハロゲンヒータや抵抗発熱体等が挙げられる。
未定着のトナー画像が形成された記録材は、ニップ部で加熱されると共に加圧されて、未定着のトナー画像が記録材面に固着画像として定着される。
近年は、画像形成装置の省エネルギー化と、ウォームアップ時間の短縮といったユーザーの操作性向上の両立を図ることが重視されている。このことから像加熱ローラが直接発熱して発熱効率の高い誘導加熱方式を用いた像加熱装置(以下、誘導像加熱装置と記す)が提案されている(特許文献1)。
この誘導像加熱装置は、励磁コイルが発生する磁束の作用によって、金属導体からなる中空の像加熱ローラに誘導電流(渦電流)を発生させ、加熱ローラ自体の表皮抵抗によって加熱ローラそのものがジュール発熱する。そのため、この誘導像加熱装置によれば、ウォームアップ時間の短縮が可能となる。
また、このような誘導像加熱装置においては、印加する高周波電流の周波数、加熱ローラの透磁率および固有抵抗値とから決定される表皮抵抗に比例した電力が発熱する。したがって、印加する高周波電流の周波数を制御することによって、加熱ローラの発熱量を常に最適化することができ、装置の省エネルギー化を達成することが可能となる。
一方で、このような誘導像加熱装置にあっては、磁束により発熱する表皮深さがコイルに通電される周波数、像加熱ローラの固有抵抗値によって決められる。そのため、加熱ローラの厚みが表皮深さよりも熱い場合には、発熱量は変わらないため、加熱ローラの厚さが大きくなるほど、かえって発熱効率が低下してしまい、ウォームアップ時間短縮の効果を得ることが困難となる。
逆に加熱ローラの厚さが表皮深さよりも薄いと、磁束が加熱ローラを突き抜けてしまい、発熱量が少なくなるだけでなく、加熱ローラ周辺の金属部材を加熱してしまう。したがって、加熱ローラの厚さはおおよそ50〜2000μm程度が望ましい。
このような誘導像加熱装置においても、従来の像加熱装置と同様に小サイズの記録材を連続通紙すると、記録材が通過しない非通紙部領域の昇温(非通紙部昇温)が発生する。
この非通紙部昇温対策として、特許文献2に開示されるように、像加熱ローラに、キュリー温度が所定の定着温度に調整された整磁合金を用いた誘導像加熱装置が提案されている。一般に磁性材料は、加熱されて材料固有のキュリー温度を越えると自発磁化が消失する。そのため、磁性材料内に通過する磁束密度が減少し、それに伴って磁性材料中に誘導される渦電流が減少することで、磁性材料の発熱量が減少する。したがって、加熱ローラの材料として、所定温度に調整されたキュリー温度を持つ整磁合金を用いることで、加熱ローラは所定温度以上に加熱されることが無い。そのため、上述の非通紙部昇温を改善することが可能となる。
特開昭59−33787号公報 特開2000−39797号公報
ところが、上述のような、キュリー温度が非通紙部昇温を低減できる範囲にある像加熱ローラを用いると、像加熱ローラの温度がキュリー温度に近づくと、透磁率が減少する。それに伴い、発熱量が減少するために、温度上昇が遅くなってしまい、像加熱ローラの温度がウォームアップ終了となる温度に達するまでの時間が長くなってしまう。
それに対して、周波数を大きくして発熱量を多くするために表皮深さを小さくすることで発熱量を上げることができる。
しかし、像加熱時にその大きい周波数が用いられると発熱量が大きいために、非通紙部昇温の上昇が早くなるといった問題が生ずる。
そこで本発明は、キュリー温度が非通紙部昇温を低減できる温度であっても、ウォームアップの時間を短くすることを目的とする。
コイルと、前記コイルに高周波電流を流すための高周波回路と、前記コイルに通電される高周波電流により生ずる磁束により発熱する導電層を有し、記録材上の像を所定の像加熱温度で加熱する像加熱部材と、前記コイルへの通電を制御する通電制御手段と、を有する像加熱装置において、前記像加熱部材のキュリー温度は前記像加熱温度以上で像加熱装置の耐熱温度未満であり、像加熱部材をキュリー温度に近い設定温度になるまで上昇させる工程中に前記コイルに通電される電流の周波数は、記録材上の像を加熱する工程中の周波数よりも大きくする。
本発明により、キュリー温度が非通紙部昇温を低減できる温度であっても、ウォームアップの時間を短くできる。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
(1)画像形成装置例
図1は本発明に従う電磁誘導加熱方式の像加熱装置を画像形成装置の定着装置として備えた画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
本例の画像形成装置は電子写真プロセスを用いたレーザー走査露光方式のデジタル画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機等)である。
41は像担持体としての回転ドラム型の感光体(感光ドラム)であり、矢印の方向に所定の周速度をもって回転する。一次帯電器42は、感光ドラムをマイナスの所定の暗電位Vdに一様に帯電する。
43は像露光手段であるレーザービームスキャナである。不図示の画像読取装置、コンピュータ等のホスト装置から入力されるデジタル画像信号に対応して変調されたレーザービームLを出力し、前記の感光ドラム41の一様帯電処理面を走査露光する。この走査露光により、感光ドラム41の露光部分は電位絶対値が小さくなって明電位Vlとなり、感光ドラム41面に画像信号に対応した静電潜像が形成される。静電潜像は現像器44により、感光ドラム面の露光明電位Vl部にマイナスに帯電したトナーが付着することで、トナー画像として顕像化される。
一方、不図示の給紙トレイ上から給紙された記録材Pは、転写バイアスが印加された転写部材としての転写ローラ45と感光ドラム41とが圧接している転写部へ適切なタイミングをもって搬送される。そして、記録材Pの面に感光ドラム41上のトナー画像tが順次転写される。
トナー画像tが形成された記録材Pは、感光ドラム41から分離され、定着装置Fに導入されて、熱と圧によって、トナー画像tが記録材上に定着され、その後機外に排出される。
記録材Pを分離した後の感光ドラム41の表面は、クリーニング装置46で感光ドラム表面に残った転写残トナーがクリーニングされ、その後、繰り返して作像に供される。
(2)定着装置F
図2は像加熱装置である定着装置Fの要部の拡大横断面模型図、図3は要部の正面模型図、図4はその縦断正面模型図である。
この定着装置Fは、電磁誘導加熱方式で発熱する加熱ローラ型の像加熱装置である。磁束により発熱する導電層を有する加熱ローラ1(像加熱部材)と、加熱ローラ1と記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧部材としての加圧ローラ2を有するものである。
加熱ローラ1は、外径が40mm、厚さは0.8mm、長さ340mmである。また、本実施例ではキュリー温度が210℃になるように鉄、ニッケル、クロム、マンガン等の材料が配合され、固有抵抗が約5Ω・mである整磁合金よりなる導電層である芯金1aを有する。このキュリー温度は、画像形成時に記録材上の像を加熱する像加熱温度以上(本実施例では200℃以上)の温度で、像加熱装置の耐熱温度未満(本実施例では230℃未満)の温度に設定した。
また、芯金上にはトナーに対する離型性を高めるためにPFAやPTFE等のフッ素樹脂より成る、厚さ30μmの表層1bを設けられている。また、カラー画像等の高画質な定着画像を得るために、芯金1aと表層1bの間にシリコーンゴムなどの耐熱弾性層を設けても良い。
この加熱ローラ1はその両端部側をそれぞれ定着装置の枠体の一部である手前側と奥側の側板(定着ユニットフレーム)21・22間に軸受23を介して回転可能に支持させて配設してある。加熱ローラ1の内部には、上記の加熱ローラ1に誘導電流(渦電流)を誘起させてジュール発熱させるための高周波磁界を生じさせるためのコイルを有する磁場発生手段としてのコイル・アセンブリ3を挿入して配置してある。
加圧ローラ2は、外径38mm、長さは330mmであって、外径28mm、肉厚3mmの芯金2aを有する。また、芯金2aの周面に形成される厚さ5mmの耐熱弾性層2b、および耐熱弾性層2bの周面に形成されるPFA、PTFEなどのフッ素樹脂より成る厚さ30μmの表層2cとから成る。
この加圧ローラ2は上記の加熱ローラ1の下側に並行に配列して、芯金2aの両端部側をそれぞれ定着装置の枠体の手前側と奥側の側板21・22間に軸受26を介して回転自在に保持させてある。
そして、上記の加熱ローラ1と加圧ローラ2を互いに不図示の加圧機構によって、該両ローラ1・2間に記録材Pを挟持搬送してトナー像を加熱定着する幅約5mmの定着ニップ部Nが形成されている。
ここで、本発明において、装置構成部材についてその長手方向(回転軸線方向)とは、定着ニップ部Nを含む平面において記録材Pの搬送方向に対して直交する方向としている。また、中央部及び端部は、その長手方向の中央部及び端部である。
加熱ローラ1の内部に挿入されたコイル・アセンブリ3は、ボビン4、磁性材からなる芯材(磁性コア)5(1,2)、励磁コイル(コイル)6、絶縁部材製のステー7等を有する。磁性芯材5はボビン4に保持されており、励磁コイル6はボビン4の周囲に電線を巻回して形成されている。このボビン4・磁性芯材5・励磁コイル6とが一体となったコイルユニットはステー7に固定支持されている。
コイル・アセンブリ3は加熱ローラ1の内面と励磁コイル6間に一定のギャップを保持させた状態にしてステー7の両端部7a・7aでそれぞれ定着装置の手前側と奥側の保持部材24・25に非回転に固定支持されている。ボビン4・磁性芯材5・励磁コイル6のユニットは加熱ローラ1の外部に露呈しないように収納されている。
磁性芯材5はフェライト、パーマロイ等の、高透磁率で残留磁束密度の低い材料であって、励磁コイル6によって発生した磁束を加熱ローラ1に導くものである。本実施例における磁性芯材5は横断面T字型であり、T字の横棒部分と縦棒部分とを構成する2枚の板状磁性芯材5(1)と5(2)とが組み合わされている。
励磁コイル6は、図4のように、加熱ローラ1の長手方向に平行に延び、磁性芯材5を周回するようにボビン4の形状に合せて横長舟型に複数回巻回して両端で折り曲げられて巻かれるリッツ線を束ねたものである。また、加熱ローラ1の内周に沿うように湾曲して配置されている。6a・6bは上記励磁コイル6の2本のリード線(コイル供給線)であり、ステー7の奥側から外部に引き出して、励磁コイル6に高周波電流を供給する高周波インバーター(高周波回路)101に接続してある。高周波インバーターはスイッチング素子を有し、このスイッチング素子のON/OFFにより、所定の周波数の電流をコイルに流すことができる。
11は加熱ローラ1の温度検知部材としてのサーミスタである。このサーミスタについては後述する。
12は定着前ガイド板であり、作像機構部側から定着装置Fに搬送された記録材Pを定着ニップ部Nの入口部に案内する。13は分離爪であり、定着ニップ部Nに導入されて定着ニップ部Nを出た記録材Pが加熱ローラ1に巻き付くことを抑え、加熱ローラ1から記録材を分離するためのものである。14は定着後ガイド板であり、定着ニップ部Nの出口部を出た記録材Pを排紙案内する。
前記のボビン4、ステー7、分離爪13は耐熱および電気絶縁性エンジニアリング・プラスチックから形成されている。
G1は加熱ローラ1の奥側の端部側に固着させた加熱ローラを駆動するためのドライブギアである。このドライブギアG1に駆動源M1から伝達系を介して駆動力が伝達されることで、加熱ローラ1が図2において矢印Aの時計方向に本実施例では300mm/secの周速度にて回転する。加圧ローラ2は定着ニップ部Nでの加熱ローラ1との摩擦力で加熱ローラ1の回転に従動して矢印の反時計方向Bに回転する。
15はクリーニング部材としての加熱ローラクリーナである。クリーニングウエブ155aをロール巻きに保持したウエブ繰り出し軸部15bと、ウエブ巻取り軸部15cと、該両軸部15b・15c間のウエブ部分を加熱ローラ1の外面に押し付ける押し付けローラ15dを有する。押し付けローラ15dで加熱ローラ1に押し付けたウエブ部分で加熱ローラ1面にオフセットしたトナーが拭われて加熱ローラ面が清掃される。加熱ローラ1に押し付けられるウエブ部分は繰り出し軸部15b側から巻取り軸部15c側にウエブ15aが少しずつ送られることで徐々に更新される。
本実施例では、通紙は中央基準で行われる。Sはその中央基準である。すなわち、いかなる記録材サイズでも、記録材の中央部が加熱ローラ軸方向中央部を通過することになる。本実施例の画像形成装置においては、通紙できる記録材の最大サイズ(以下、大サイズ紙と記す)は例えばA3(296mm)である。また通紙できる記録材の最小サイズ(以下、小サイズ紙と記す)は例えばB5縦(148mm)である。P1はその大サイズ紙の通紙領域幅、P2は小サイズ紙の通紙領域幅である。
サーミスタ11は、小サイズ紙の通紙領域幅P2の略中央部に対応する定着ローラ中央部分に設けられている。また、サーミスタ11は、加熱ローラ1を隔てて励磁コイル6に向かい合うように、定着ローラ1の表面に対して弾性部材により押圧して弾性的に圧接されて配置されている。このサーミスタ11の加熱ローラ温度の検知信号は制御回路部(CPU)100に入力される。
画像形成装置の制御回路部100は装置のメイン電源スイッチのONにより装置を起動させて所定の立ち上げモード(設定温度になるまで上昇させる工程)をスタートさせる。加熱ローラ1の回転は駆動源M1の起動により開始する。この加熱ローラ1の回転に従動して加圧ローラ2も回転する。また制御回路部100は高周波インバーター101を起動させて励磁コイル6に高周波電流を流す。本実施例では、立上げ工程中の高周波電流の周波数f1は60kHzである。これにより励磁コイル6の周囲に高周波交番磁束が発生し、加熱ローラ1が電磁誘導発熱して所定の像加熱温度である定着温度、本実施例では200℃に向かって昇温していく。定着温度は、キュリー温度に近い温度の関係となっている。この加熱ローラ1の昇温がサーミスタ11で検知され、その検知温度情報が制御回路部100に入力する。
加熱ローラ1の温度が200℃に到達したら、画像形成信号の入力を待機するスタンバイ状態(待機モード)となる。スタンバイ中(待機モード中)においては、通電制御手段である制御回路部100は、加熱ローラ1の大サイズ紙通紙領域幅P1の略全域が定着温度200℃に維持するよう、高周波電流を制御する。本実施例ではスタンバイ温度は200℃である。本実施例では、高周波電流の周波数f2は20kHzである。
そして、この待機モード時に画像形成信号が入力されると、記録材上にトナー像が形成される。そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pが定着ニップ部Nで挟持搬送されることで、所定の定着温度に維持された加熱ローラ1の熱と圧により、未定着トナー像tが記録材Pの面に加熱定着される。像加熱工程中(定着動作中)においては、通電制御手段である制御回路部100は、加熱ローラ1の大サイズ紙通紙領域幅P1の略全域が定着温度200℃に維持するよう、高周波電流を制御する。本実施例では定着温度は200℃である。本実施例では、高周波電流の周波数f2は20kHzとし、待機モード中と同じ周波数である。なお、像加熱工程中はサーミスタの出力と定着温度との差分に応じて、コイルに印加される電力の変更が行われている。
ここで、立ち上げモードと像加熱工程中とで周波数を異ならせる理由を説明する。周波数を大きくすると、キュリー温度に近い温度での発熱量を増やすことができる。そのため、立ち上げ時間を短縮するためには、発熱量を大きくすることが好ましい。しかし、像加熱中に発熱量を大きくする設定にする、小サイズの記録材を連続通紙する際の非通紙部昇温の上昇速度が速くなる問題が生ずる。非通紙部昇温の上昇速度を遅くするためには、像加熱動作中の発熱量は大きすぎない構成がいい。
また、本実施例では、待機モードの周波数と立ち上げモードの周波数とを異ならせる理由を説明する。周波数を高くすると表皮深さが小さくなることで、発熱量が多くなる。発熱量を多くすることは、冷えている加熱ローラを短時間で加熱する点については有利である。しかし、待機時といったような加熱ローラの温度が定着温度に達しているような状態で、発熱量を多くする周波数を選択すると、加熱ローラ上の温度リップルが大きくなるといった欠点がある。加熱ローラの温度リップルが大きい状態で、画像形成信号が入力されて、定着動作が行われると、画像によっては温度ムラに依存する光沢ムラといった問題が発生しうる。そのため、待機時では温度リップルをできるだけ、小さい方が好ましい。
ここで、図5を用いて、加熱ローラ芯金1aの電磁誘導発熱原理を説明する。励磁コイル6には、高周波インバーター101から交流電流が印加され、これによって励磁コイル6の周囲には矢印Hで示した磁束が生成消滅を繰り返す。磁束Hは、磁性芯材5(1,2)と芯金1aによって形成された磁路に沿って導かれる。励磁コイル6が生成した磁束の変化に対して、芯金1a内では、磁束の変化を妨げる方向に磁束を発生するように渦電流が発生する。この渦電流を矢印Cで示す。
この渦電流Cは、表皮効果により芯金1aの励磁コイル6側の面に集中して流れ、芯金1aの表皮抵抗Rs(Ω)に比例した電力で発熱を生じる。
ここで、励磁コイル6に印加する交流電流の周波数f(Hz)、芯金1aの導体の透磁率μ(H/m)、芯金1aの固有抵抗ρ(Ω・m)から得られる表皮深さδ(m)および表皮抵抗Rs(Ω)は、式1および式2で示される。
Figure 2009003264
(式1)
Figure 2009003264
(式2)
また、芯金1aに発生する電力Wは、芯金1aに誘導される渦電流をIf(A)として、式3で示される。
Figure 2009003264
(式3)
以上より、芯金1aの発熱量を増加させるためには、渦電流Ifを大きくする、または表皮抵抗Rsを大きくすればよい。
渦電流Ifを大きくするためには、励磁コイル6によって生成される磁束を強くする、あるいは磁束の変化を大きくすればいい。例えば、励磁コイル6の巻き数を増やしたり、磁性芯材5として、より高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いると良い。また、磁性芯材5と芯金1aとのギャップdを少なくすることで、芯金1a中に導かれる磁束が増加するため、渦電流Ifを大きくすることが出来る。
一方、表皮抵抗Rsを大きくするためには、励磁コイル6に印加する交流電流の周波数fを高くするか、透磁率μの高く、固有抵抗の高い材料の芯金1aとする。
次にキュリー温度について説明する。一般に強磁性体は、材料固有のキュリー温度まで加熱されると、自発磁化を失い透磁率μが減少する。したがって、加熱ローラ1の導電部材である芯金1aの温度がキュリー温度を越えてしまうと、表皮抵抗Rsが減少する。その結果、芯金1aの発熱量Wが減少する。
一般に抵抗値は式2で表されるとおり、周波数が一定の場合は透磁率μと抵抗率ρで決まり、一般に抵抗率は温度上昇に伴って緩やかに増加する。
ここで、加熱ローラ1の抵抗値(表皮抵抗)Rsは磁束発生手段を加熱ローラに装着したときのコイルに電流を流したときのコイルからみた加熱ローラのみかけの負荷抵抗に相当する。
このみかけの抵抗値の測定方法、及び抵抗値の温度依存性は以下のように測定する。アジレント社製のLCRメータ(型番HP4194A)を用いて、周波数20kHzの交流を印加した際の加熱ローラの抵抗値を測定した。このとき、加熱ローラ1、磁束発生手段である励磁コイル、コアは像加熱装置に装着された状態で測定するものとする。このとき加熱ローラの温度を変えていき、温度と加熱ローラの抵抗値を同時にプロットしていくことで加熱ローラ1の抵抗値の温度特性曲線を得ることができる。
また、加熱ローラの温度を変えるには、恒温室に加熱ローラ1及び磁束発生手段を装置に装着させた位置関係に保った状態で、加熱ローラの温度を変化させる。そして、ローラ温度を高温室の温度に飽和させてから上記の測定法で抵抗値を測定する。
このように測定すると、抵抗値の温度依存性は図9のような曲線になる。
また、透磁率の測定方法は以下のように行なう。岩通計測株式会社製のB−Hアナライザー(型番:SY−8232)を用いて測定した。測定試料に装置の所定の一次コイルと二次コイルを巻きつけて周波数20kHzで測定する。測定試料はコイルが巻きつけられる形状であれば構わない(透磁率の異なる温度同士の比率は殆ど変わらない)。
試料にコイルを設定したら、恒温室に試料を入れて温度を飽和させ、その温度における透磁率をプロットする。恒温室の温度を変えてやることで透磁率の温度依存性曲線が得られる。恒温室の温度を上昇させていき、ある温度で透磁率が変化しなくなる。この透磁率が変化しなくなった温度をキュリー温度とみなす。
このように測定すると透磁率の温度依存性は図8のような曲線になる。
図7に示すように、芯金1aの厚さd(mm)がδc(mm)と比較して狭い場合は、芯金1aの断面のおよそすべてに渦電流が流れるため、発熱量が減少する。実際には、芯金1aの温度がキュリー温度より低い場合においても、キュリー温度に近づくにつれて透磁率も低下し、それに伴って発熱量も減少するため、クイックスタート性が悪化してしまう。
一方で、発熱量の減少を抑えるためには、立ち上げモード中の励磁コイルに印加する高周波電流の周波数を、像加熱動作中よりも大きくすれば良い。具体的には、立ち上げモード時において、立ち上げ完了となる温度における表皮深さの長さが芯金1aの厚さdよりも少なければよい。高周波電流の周波数f1を印加したときの、少なくとも立ち上げ完了となる温度における表皮深さの長さが芯金1aの厚さdよりも少なければよい。さらには、高周波電流の周波数f1を印加したときの、キュリー温度を越えたときの表皮深さδcが、芯金1aの厚さdよりも少なければ、キュリー温度を越えた場合における発熱量を従来よりも増加させることが可能となる。その結果、芯金1aの温度がキュリー温度に近づいても、発熱量の減少が従来よりも少なくなるため、クイックスタート性を損なうことがない。
逆に、キュリー温度を越えた場合の表皮深さδcが芯金1aよりも小さい場合は、通紙時において、非通紙部昇温が悪化してしまう。
以上のことから、立ち上げモードと像加熱動作時における、励磁コイル6に印加する高周波電流の周波数を式1を満たすよう設定する。
Figure 2009003264
(式4)
この構成にすることで、クイックスタート性を損なわず、かつ非通紙部昇温を防止もしくは低減することが可能となる。本実施例においては、高周波電流の周波数を60kHzと20kHzとの切り換えが可能である。そして、立ち上げモードが選択されたときには高周波電流の周波数f1を60kHz、像加熱動作中には高周波電流の周波数f2を20kHz、芯金1aの固有抵抗ρを5Ω・mとした。また、スタンバイ時の周波数は、20kHzとした。
本実施例では、立ち上げモード時の周波数をf1と一定にし、待機モードにおける高周波電流の周波数f2は一定とした。
本実施例では、立ち上げモード時と像加熱動作時とで周波数をそれぞれ一定としている。一方、立ち上げモード時及び像加熱動作時とでは電力を切り換える必要がある。本実施例では、励磁回路内には、電源の電圧を直流電圧に整流し、直流電圧値を切り換える切り換え回路が設けられている。この直流電圧切り換え回路内で電圧値を切り換えることで、周波数を一定のままでコイルに印加する電力を切り換えることができる。
図6に、本実施例の加熱定着装置における、立ち上げモード時の加熱ローラ温度の上昇グラフを示す。本実施例では、立ち上げモード時は60kHzの高周波電力を励磁コイルに印加する。そして、加熱ローラ温度が定着温度である200℃に達すると、待機モードに移行し、周波数を60kHzから20kHzに切り換えて、20KHzの高周波電力を励磁コイルに印加する。本実施例の加熱定着装置における、200℃までの立ち上がり時間(ウェイトタイム)は、29秒であった。また、比較例として、立ち上げモード時および待機モード時のいずれも、励磁コイルに20kHzの高周波電力を印加した場合、ウウェイトタイムは34秒であった。このようにウェイトタイムに差があるのは、図8を参照すると、透磁率が変化し始める点Aが本実施例では図6の170℃に対応しているためである。170℃を越えると、次第に透磁率が低下し始めることで、発熱量が少なくなるため、ウェイトタイムが長くなる。
なお、本実施例では、像加熱時の周波数は待機時と同じ周波数である。
上記の実施例では、立ち上げモード時の周波数は60kHzにしたが、
Figure 2009003264
の関係を満たす立ち上げモード時の周波数を複数設定し、この複数の周波数から像加熱部材の温度に応じて周波数を選択する公正であってもいい。
また、待機モード時においても、
Figure 2009003264
の関係を満たす周波数を複数設けておき、周波数を適度に選択する構成であってもいい。
なお、像加熱動作時とは、記録材がニップ部を通過しているときである。上記の実施例では、像加熱動作時の周波数を20kHzとしたが、画像形成信号の入力による前回転開始から画像形成終了後の後回転の終了である画像形成動作時の周波数を20kHzに固定する構成であってもいい。
本実施例では整磁合金のキュリー温度を210℃、待機モード時の加熱ローラ温度及び定着温度を200℃として説明したが、本発明はこれに限られるものではない。即ち、使用するトナーや定着装置の構成によってキュリー温度を最適になるよう設定しても、本発明は適応可能である。また、搬送される紙の厚みや加熱ローラの畜熱状態によっては定着温度を複数有しても本発明は適応可能である。また、励磁コイルに印加する高周波電流は、立ち上げモード時は60kHz、像加熱動作時は20kHzと説明したが、使用する整磁合金や高周波電源、像加熱装置の構成等によって適時最適な周波数を選択して良い。
また、本実施例では、加熱ローラを用いた熱ローラ像加熱装置であるが、エンドレスベルトを用いたベルト加熱方式等にも適用できることは自明である。また、複数の異なる金属を積層させたクラッドローラを用いる場合も、整磁合金の層が少なくとも1層備えれば、本発明を適用可能である。
また、本発明は、記録材上の異なる色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラー画像形成装置に用いても、同様の効果を得ることができる。
実施例における画像形成装置例の概略構成図 実施例における定着装置(電磁誘導加熱方式の像加熱装置)の要部の拡大横断面模型図 同じく要部の正面模型図 その縦断正面模型図 加熱ローラの発熱原理を示す図 実施例における加熱定着装置の温度上昇を示す図 実施例における渦電流が誘導される領域を示す図 透磁率の温度依存性曲線を示した図 加圧ローラの抵抗値の温度依存性曲線を示した図
符号の説明
1 加熱ローラ(導電部材)
2 加圧ローラ
3 コイル・アセンブリ(磁場発生手段)
5 磁性芯材(磁性コア)
6 励磁コイル
11 サーミスタ(温度検知手段)
41 感光体(感光ドラム)
42 一次帯電器
43 レーザービームスキャナ
44 現像器
45 転写ローラ
46 クリーニング装置
F 定着装置
P 記録材(被加熱材)
t トナー像

Claims (4)

  1. コイルと、前記コイルに高周波電流を流すための高周波回路と、前記コイルに通電される高周波電流により生ずる磁束により発熱する導電層を有し、記録材上の像を所定の像加熱温度で加熱する像加熱部材と、前記コイルへの通電を制御する通電制御手段と、を有する像加熱装置において、
    前記像加熱部材のキュリー温度は前記像加熱温度以上で像加熱装置の耐熱温度未満であり、像加熱部材をキュリー温度に近い設定温度になるまで上昇させる工程中に前記コイルに通電される電流の周波数は、記録材上の像を加熱する工程中の周波数よりも大きくすることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記設定温度は像加熱温度であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記工程中に前記コイルに通電される電流の周波数と像加熱工程中に前記コイルに通電される電流の周波数とは一定であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の像加熱装置。
  4. 前記加熱部材の導電層の厚さをd(mm)と、前記加熱部材の透磁率をμ(H/m)と、前記加熱部材の導電層の固有抵抗をρ(Ω・m)と、設定温度まで上昇させる工程中に前記コイルに通電される電流の周波数f1(Hz)と、像加熱中に像加熱部材の温度を像加熱温度に維持するために前記コイルに通電される電流の周波数f2(Hz)と、は
    Figure 2009003264
    の関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の像加熱装置。
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