JP2008543620A - オフセット印刷ブランケットおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、オフセット印刷ブランケットに関する。このオフセット印刷ブランケットは、外側印刷層と、サポートシリンダと接触する内側層と、少なくとも１つの圧縮可能中間層と、で構成される。このオフセット印刷ブランケットは、印刷層（１０）が設けられており、この印刷層（１０）の表面は、０．４μｍ未満の極めて低い平均表面粗さ（Ｒａ）を有する。本発明はオフセット印刷の分野で有効である。
【選択図】図１

Description

本発明は、外側印刷層、シリンダと接触する内側層、および少なくとも１つの圧縮可能中間層を含んだタイプのオフセット印刷ブランケットおよびオフセット印刷ブランケットの製造方法に関する。

既存のオフセット印刷ブランケットは、より粘度と粘着性があるインクで、プレート上の画像の分離を保証するのに必要な水の存在により、オフセット印刷で使用される高い印刷圧力に対して脆弱過ぎる。そのため特定の印刷媒体へのオフセット印刷が可能ではないことが知られている。高い印刷圧力は、接触領域内で回転された紙への広範囲に及ぶ機械的応力を引き起こす。また、インクの粘着性効果は、印刷ニップから来る機械的応力が加えられるので、紙の繊維および層を引き剥がす傾向がある。オフセット過程の均衡を保証するのに必要な比較的大量の水の存在は、印刷媒体がニップを通過する過程でその両側部から水を吸入し、また複数の連続印刷ステーション内を通過せねばならないから、４色刷り印刷の全てにおいて紙の品質の劣化を引き起こす。

したがって、オフセット印刷には特殊な紙が使用される。このためグラビア印刷およびフレキソ印刷で使用される印刷媒体は、約２０から３０％の費用の上昇がある。雑誌または広告パンフレットなどの印刷物の最終的な製造費用においても印刷媒体の費用が大きいとの欠点がある。

本発明の目的は、このような欠点を解消したオフセット印刷ブランケットを提案することである。

上記の目的を達成するため、本発明によるオフセット印刷ブランケットは、その印刷表面が０．２から０．４μｍの間の極めて低い平均表面粗さ（Ｒａ）を有する印刷層を有することを特徴とする。

本発明の１つの特徴によると、印刷層の印刷側は、極めて円滑な表面に対して、印刷層を除いた全ての層を含んだブランケットカーカス上でのカレンダ加工または押出加工およびカレンダ加工によって得られる層の側部である。

本発明の別の特徴によると、極めて円滑な表面は、カレンダの鏡面仕上げ金属シリンダの周表面である。

本発明のさらに別の特徴によると、極めて円滑な表面は、極めて低い粗さを有する表面のフィルムに対してカレンダのニップ内の押出加工およびカレンダ加工によって得られる印刷層の表面である。

さらに別の特徴によると、上記フィルムは印刷層の印刷側で維持され、保護フィルムとして働く。

本発明の目的、特徴、詳細および利点のその他は、いくつかの実施形態を示す略図を参照して説明し、明らかにする。

図１は、本発明によるオフセット印刷ブランケットを製造するための第１の実施形態を示している。温度が調節可能な鏡面仕上げの金属でできている第１のシリンダであるシリンダ２と、第２のシリンダ３を基本的に備えるカレンダ加工装置１の使用を必要とする。シリンダ２、３の表面は、オフセット印刷ブランケットの印刷層を除く層であるカーカス４の一端部を挟み込んでいる。オフセット印刷ブランケットは、カレンダ加工装置１のシリンダ２と３の間のニップ６によって押出加工されて製造される。より詳細には、矢印８で示すように、カーカス４とシリンダ２の間で画定されたニップ内で押出加工によりカーカス４の表面が被覆される。

印刷層１０は、すでに知られた方法で、互いに反対方向に同期して旋回する２つのシリンダのニップを通過することにより、カーカス４の上にカレンダ加工される。これにより、ブランケットは、カレンダ加工装置１の出口に形成される。印刷層１０が、鏡面のような表面品質を有するように、すなわち極めて高い外側表面品質で仕上げられたシリンダ２と接触されて形成される。そのため印刷層１０の外側表面は所要の極めて円滑な表面品質を有する。カーカスは、カレンダ１の上流側のガイドローラ１３から、下流側の２つのガイドローラ１４および１５に向かって流れる。符号１６で示す第４のローラが有るが、図１の場合は未使用である。

図２は、本発明によるオフセット印刷ブランケットの別の実施形態の略図である。シリンダ３は、図１のシリンダ３と同一である。符号２´で示すもう一方のシリンダが金属シリンダである。２つのシリンダを図１の場合と同様に有するカレンダ加工装置１を使用して、本発明によるブランケットを製造する別の製造方法を示している。シリンダ２´の温度は必要に応じて調節可能である。その表面は特に仕上げる必要がなく、図１のシリンダ２のような表面品質を有する必要もない。図２によれば、印刷層１０は、カーカス４上に、シリンダ３およびガイドローラ１３、１６を通して延びるフィルム１７がニップ６内で押出加工されることによって得られる。下流側では、カーカス４上にカレンダ加工された印刷層１０を備えたオフセット印刷ブランケット１１が、運搬ローラ１５で送り出される。この実施形態では、シリンダの１つが、所要の表面品質を有している必要がなく、印刷層がフィルム１７の表面であるという利点を示している。

図３は、図２による製造方法の変形形態である。フィルム１７が印刷側にあって、フィルム１７はカレンダのニップ６内で予め成形された印刷側に対する保護として働く。

本発明によるオフセット印刷ブランケットは、既存のオフセット印刷ブランケットと比較して明らかに低い表面粗さを備えた外側層または転写表面を有しており、通常は０．４μｍ未満の低い測定粗さ係数Ｒａを特徴としており、表面にファイバを捕捉する微小な凹凸がない。一方、既存のブランケットでは、表面が粗く印刷層やファイバを捕捉することがある。本発明によるブランケットは、脆弱なシートへの印刷を可能にし、印刷の質を向上させる。また、オフセット印刷での既存のシートに対しても大きな印刷容易性を提供する。

本発明によるオフセット印刷ブランケットの印刷表面は、新しい紙媒体、包装ボール紙および合成フィルムへのオフセット印刷を拡張し、新しい可能性を開き、あまり高価ではない印刷媒体への印刷を可能とするから、競争力のある利点を提供する。さらに、前述したように、既存の印刷およびオフセット印刷される印刷媒体に対しても、本発明によるオフセット印刷ブランケットによれば、高いレベルの品質と、簡単さと、信頼性をもって印刷できる。

本発明の利点は、２つのインライン印刷ステーションを有するＳｐｅｅｄｍａｓｔｅｒ５２として知られる機械の形式に合わせて、カレンダ加工され予め切断された層状の７０ｇ／ｍ^２へリオ紙に印刷することによって、具体的に示される。比較検査は、基本的に同じカーカスおよび同じ厚さを有する２つのブランケットで行なった。一方は、エラストマータイプ表面を有するものでＡと記し、もう一方は本発明による表面を有するものでＢと記し、これは商品名ＳＴＸ２０７で販売されている。

既存のオフセット印刷ブランケットＡおよび選択した紙では、印刷機のニップ内の単一の通過に対応する許容品質を単色印刷でさえも得ることが不可能である。１００倍に拡大したプリントを示す固体インク領域の写真である図４によれば、印刷した紙がニップを通過することで取り返しがつかないほど損傷を受けている。特に、符号１９で示す区画内には、印刷欠陥となる印刷紙層の表面上の破損が観察される。さらに、これらの破損部分はブランケット上に蓄積するので、次の印刷においても増加して劣化を引き起こす。

これに対して、本発明によるオフセット印刷ブランケットは、図５に示すように破損することなく固体領域を正確に、１００倍に拡大した写真にまで再現でき、そのプリントを得ることが可能である。次の表は、ブランケットＡおよびブランケットＢ上で粗さ試験装置を使用して行った測定の比較結果を与えている。

平均表面粗さ、およびピーク数は、Ｍａｈｒ社のＰｅｒｔｈｏｍｅｔｒｅタイプの粗さ検査装置によって、基準ＤＩＮ ４７６８またはＩＳＯ ４２８７、またはＥｕｒｏｎｏｒｍ ４９ ＡＮＳＩ／ＡＳＭＥ Ｂ ４６．１および関連基準により測定された。

これにより機械の湿気が減少されるので、紙の品質保持が可能になる。また、ニップは印刷媒体への機械的なストレスが最小となるようにされるので、ニップから出る紙は、検査によれば、ゆったりとしたものになる。当業者は、本発明のような表面上が円滑にされたオフセット印刷ブランケットの動向に留意すべきである。というのは、通常、既存のブランケットでは、本発明で印刷したいと望む、または印刷することが可能である紙またはシートに対してストレスがかかり、紙がゆったりとした形態をとれないことが専門的に認められているからである。したがって注目すべきは、表面の形態およびこれを得るために使用される製造方法に関連した本発明によるオフセット印刷ブランケットの驚くべき効果にある。当業界の既存のオフセット印刷ブランケットは、普通、タイプＡのブランケットの粗さ値を有する。

本発明によるオフセット印刷ブランケットによって与えられる利点は、本発明による低い粗さを有する印刷表面が、既存のオフセット印刷ブランケットと比較してはるかにより望ましい動作状態、特にオフセット印刷ブランケット上に存在し印刷媒体に伝達される水の量を減少させ、印刷表面の大きな転写能力によりインクは同様の割合で少なくされることが分かったという事実によって説明される。

ニップから出る印刷媒体にストレスがないと、印刷表面の印刷インクとフィルム間の層間剥離の力を小さくするので、紙の品質を維持する上で助けとなる。これに関して、オフセット印刷オフセット印刷で通常使用されるインクは、グラビア印刷またはフレキソ印刷などのインクと比較して高い粘度を有し、印刷挙動に影響を与える。印刷ニップから出るブランケットを紙の媒体から分離することは、特に脆弱である可能性がある紙層に機械的にストレスを与え、インクのフィルムの層間剥離を起こすことに留意すべきである。

本発明によるオフセット印刷ブランケットの印刷表面が有する物理的な性質に関して、これらの表面を構成するポリマーは、ゴム状タイプの適切なエラストマー性、３から２０ＭＰａの間の張力ヤング係数、耐化学性、すなわち流体が存在しても膨張や重量損失が少ないことを特徴としている。これらはオフセット印刷過程に適合する。また、油分のあるインクにも適合する。さらに、高度のインク転写を可能にする完全な水とインクがバランスし、窓内の極性または無極性表面エネルギーによって架橋されたインクとも適合可能である。

本発明によるオフセット印刷ブランケットの印刷層の数値データおよび性質に関する例として、この層は０．１５ｍｍから０．８ｍｍの間の厚さを有し、分散（無極性）表面エネルギー成分は１５から３０ｍＪ／ｍ^２であり、極性表面エネルギー成分は０から２０ｍＪ／ｍ^２であり、平均表面粗さＲａは０．４μｍ未満である。

印刷表面は、オフセット印刷と適合可能なエラストマー材料で製造されることが望ましい。例えば、つぎのようなポリマー、ＥＰＤＭ、ＩＩＲ、ＮＢＲ、ＨＮＢＲ、ＸＮＢＲ、ＳＢＲ、ＡＵ、ＴＰＵ、ＰＥ−Ｃｏ−Ｏ、ＳＥＢＳが望ましい。またはより一般的には、Ｓ−ｘ−Ｓ、ＡＣＭおよびＰＡＣ、ＶＫＭおよびＦＫＭ、および関連する組み合わせでもよい。成形および保護フィルムに関して、表面が処理されたＰＥＴ、ＰＣ、ＰＢＴなどでよい。または光沢のあるコーティング紙などでてきていてもよい。

本発明に必要な高品質印刷表面を得るために、極めて低い粗さ値を備え、凹凸のない表面を得ることを可能にするあらゆる方法が用いられる。図１に示すような表面仕上げができる表面形態を備えたシリンダを使用し、カレンダニップ内でのカレンダ加工によって、押出加工およびカレンダ加工または鋳造によって本発明による印刷表面上の印刷層またはフィルムを作り出すことが有利である。図２および３に示すような、その側面の一方の状態によりオフセット印刷ブランケットに必要な凹凸のない極めて円滑な表面を生成することを可能にする保護フィルムに対して、カレンダのニップ内で層をカレンダ加工または押出加工して、本発明による印刷表面を作り出すことが可能である。フィルムは、その後の製造ステップ中、および印刷機上に取り付ける前の処理操作中のあらゆる劣化または変更から印刷表面を保護するために使用することができる。

上述したように、エラストマー性を備えた印刷表面が極めて有利である。すなわち、オフセット印刷過程の流体および表面形態と適合する耐化学性を保証するので、ニップから出るシートへの優れた転写が可能でストレスも与えないので、脆弱な印刷シートの品質を保証する。特に、本発明は脆弱な印刷媒体に対する十分な印刷可能性を保証し、印刷の際の品質向上と、オフセット印刷の際に使用される従来の印刷シートに対する印刷の大きな容易性を得ることを可能にする。

さらに、ここに記載されたものは実施例であることに留意すべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明による表面はカレンダ加工または押出加工することが可能であり、その後、カーカスの一部のみや１つの材料層のみの上でカレンダ加工することが可能であり、オフセット印刷ブランケットの製造はこれらの知られた工程で完了することができる。

本発明は、オフセット印刷ブランケットに好適である。

本発明による押出加工およびカレンダ加工による印刷ブランケットの製造装置を示す略図である。 本発明による押出加工およびカレンダ加工による印刷ブランケットの別の実施形態の略図である。 図２の装置の異なるバージョン（変形形態）を示す略図である。

符号の説明

１ カレンダ加工装置
２ 金属のシリンダ
３ シリンダ
４ カーカス
６ ニップ
１０ 印刷層
１１ オフセット印刷ブランケット
１３、１４、１５ ガイドローラ
１７ フィルム

Claims (12)

1. 外側印刷層、シリンダと接触する内側層、少なくとも１つの圧縮可能中間層、およびその印刷表面が０．４μｍ未満の極めて低い平均表面粗さ（Ｒａ）を有する印刷層（１０）を含んだタイプのオフセット印刷ブランケット（４）であって、オフセット印刷ブランケット（４）は、印刷層（１０）がゴム状タイプのエラストマー性、３から２０ＭＰａの間の張力ヤング係数、およびオフセット過程で使用される流体に適合可能な耐化学性を備えたポリマーからなることを特徴とするオフセット印刷ブランケット。
2. 印刷層（１０）の印刷表面は、０．２から０．４μｍの間の表面粗さ（Ｒａ）を有することを特徴とする請求項１に記載のオフセット印刷ブランケット。
3. 印刷層（１０）の印刷表面は、極めて円滑な成形表面で成形された、オフセット印刷と適合可能であるエラストマー材料の押出加工によって得られる層の面であることを特徴とする請求項１または２に記載のオフセット印刷ブランケット。
4. 成形表面は、カレンダ加工装置（１）の鏡面仕上げ金属シリンダ（２）の周囲表面であることを特徴とする請求項３に記載のオフセット印刷ブランケット。
5. 成形表面は、その表面が極めて低い粗さ値を有するフィルム（１７）の表面であることを特徴とする請求項３に記載のオフセット印刷ブランケット。
6. フィルム（１７）が、印刷層（１０）の印刷側に維持され、保護フィルムを構成することを特徴とする請求項５に記載のオフセット印刷ブランケット。
7. 印刷層は、０．１５ｍｍから０．８ｍｍの厚さを有することを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載のオフセット印刷ブランケット。
8. 印刷層は、１５から３０ｍＪ／ｍ^２の間の分散表面エネルギー、および０から２０ｍＪ／ｍ^２の間の極性表面エネルギー成分を有することを特徴とする請求項１から７のいずれか一項に記載のオフセット印刷ブランケット。
9. 請求項１から８の一項のオフセット印刷ブランケットを製造する方法であって、印刷層は、極めて低い粗さ値を有する成形表面（２、１７）でカレンダ加工装置（１）のニップ内によるポリマー材料の押出加工または鋳造によって作り出されることを特徴とするオフセット印刷ブランケットの製造方法。
10. 成形表面として、カレンダ加工装置（１）のシリンダを構成する鏡面仕上げシリンダ（２）の表面が使用されることを特徴とする請求項９に記載のオフセット印刷ブランケットの製造方法。
11. 成形表面として、カレンダ加工装置（１）のニップを通して延びる、極めて低い粗さ値を有するフィルム（１７）の表面が使用されることを特徴とする請求項９に記載のオフセット印刷ブランケットの製造方法。
12. 印刷層（１０）が、カレンダ加工装置（１）のニップ内のカレンダ加工によって、印刷層を除く全ての層を含むブランケットのカーカス（４）上に作り出されることを特徴とする請求項９から１１のいずれか一項に記載のオフセット印刷ブランケットの製造方法。

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