JP2008540460A - 重症細菌感染を処置するためのtfpiの使用 - Google Patents

重症細菌感染を処置するためのtfpiの使用 Download PDF

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Abstract

重症細菌感染を発症するリスクのある患者、または重症細菌感染と診断された患者を予防的または治療的に処置する方法であって、この疾患の罹患患者または発症リスクのある患者に、組織因子経路インヒビター(TFPI)またはTFPIアナログを投与することを含む。方法は、有害な副作用を回避するため、TFPIまたはTFPIアナログの低用量での連続静脈内注入の使用を含む。いくつかの実施形態では、重症細菌感染は、肺炎、菌血症、深部組織感染、皮膚感染、軟部組織感染、歯周炎、腹膜炎、外科感染、または髄膜炎の原因となる。さらなる実施形態では、肺炎は、市中肺炎または院内肺炎であり、S.pneumoniaeに起因しうる。

Description

発明の背景
重症細菌感染は、生命にかかわる種を含む、さまざまな合併症につながりうる。重症細菌感染を治療する、および/または重症細菌感染による死亡リスクを低下させる有効な方法が、当技術分野では引き続き必要である。
発明の要旨
本発明の1つの実施形態は、重症細菌感染を発症するリスクのある患者、または重症細菌感染と診断された患者を治療する方法であり、この方法は、TFPIまたはTFPIアナログを、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、重症細菌感染は、肺炎、菌血症、深部組織感染、皮膚感染、軟部組織感染、歯周炎、腹膜炎、外科感染、または髄膜炎の原因となる。さらなる実施形態では、肺炎は、市中肺炎(community−acquired pneumonia)または院内肺炎であり、S.pneumoniaeに起因しうる。
別の実施形態は、重症細菌感染による死亡リスクを低下させる方法であり、この方法は、TFPIまたはTFPIアナログを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、重症細菌感染は、肺炎、菌血症、深部組織感染、皮膚感染、軟部組織感染、歯周炎、腹膜炎、外科感染、または髄膜炎の原因となる。さらなる実施形態では、肺炎は、市中肺炎または院内肺炎であり、S.pneumoniaeに起因しうる。
他の実施形態は、前記患者が以下の基準:血中IL−6レベルが3,200pg/ml未満;国際標準比(INR)が2.5未満;急性生理スコア(APS)が26未満;Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアが38未満;およびMODSスコアが18を超える、のいずれかを満たす、上記実施形態のいずれかを含む。
他の実施形態は、前記TFPIまたはTFPIアナログが、グリコシル化されていない、上記実施形態のいずれかを含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約12%未満が、修飾された種であり、修飾された種には、逆相クロマトグラフィーで検出される、酸化TFPIまたはTFPIアナログの分子;カチオン交換クロマトグラフィーで検出される、カルバミル化TFPIまたはTFPIアナログの分子;Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出される、脱アミド化TFPIまたはTFPIアナログの分子;アミノ酸分析で決定される、システイン付加物を含むTFPIまたはTFPIアナログの分子;サイズ除外クロマトグラフィーで検出される、凝集したTFPIまたはTFPIアナログの分子;および非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出される、誤って折り畳まれたTFPIまたはTFPIアナログの分子、の1つまたは複数を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が酸化されている、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満がカルバミル化されている、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が脱アミド化されている、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約2%未満がシステイン付加物を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が凝集されている、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が誤って折り畳まれている、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、TFPIまたはTFPIアナログを含む凍結乾燥組成物から調製される、上記実施形態を含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、アルギニンを含む製剤として投与される、上記実施形態を含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、クエン酸を含む製剤として投与される、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、医薬組成物が、0.01から1.0mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログを含む、上記実施形態を含む。他の実施形態は、医薬組成物が、150〜450mMのL−アルギニンを含む、上記実施形態を含む。他の実施形態は、医薬組成物が、0.1〜50mMのL−メチオニンを含む、上記実施形態を含む。他の実施形態は、医薬組成物が、5〜50mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む、上記実施形態を含む他の実施形態は、医薬組成物が、5.0〜6.0のpHを有する、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.15±15%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±15%mMのL−アルギニン、5±15%mMのL−メチオニン、および20±15%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±15%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.15±10%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±10%mMのL−アルギニン、5±10%mMのL−メチオニン、および20±10%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±10%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.15±5%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±5%mMのL−アルギニン、5±5%mMのL−メチオニン、および20±5%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±5%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.45±15%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±15%mMのL−アルギニン、5±15%mMのL−メチオニン、および20±15%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±15%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.45±10%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±10%mMのL−アルギニン、5±10%mMのL−メチオニン、および20±10%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±10%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、方法が、0.45±5%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±5%mMのL−アルギニン、5±5%mMのL−メチオニン、および20±5%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±5%)を含む医薬組成物の使用を含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを約0.66mg/kg/時間未満の投与速度で投与するのに等しい投与速度で連続静脈内注入により投与される、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、投与速度が、参照ala−TFPIを投与速度約0.00025から約0.1mg/kg/時間で投与するのに等しく、TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約72時間投与される、上記実施形態を含む。他の実施形態は、投与速度が、参照ala−TFPIを投与速度約0.010から約0.1mg/kg/時間で投与するのに等しい、上記実施形態を含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約96時間投与される、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを合計用量約0.024から約4.8mg/kgで投与するのに等しい合計用量を提供する連続静脈内注入により投与される、上記実施形態を含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを投与速度約0.02から約1mg/kg/時間で投与するのに等しい投与速度で連続静脈内注入により投与される、上記実施形態を含む。他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを日用量約0.006mg/kgから約1.2mg/kgで投与するのに等しい日用量を提供する連続静脈内注入により投与される、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIまたはTFPIアナログが、10〜200時間、10〜150時間、または24〜96時間の間、注入により投与される、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、患者が、TFPIまたはTFPIアナログ投与前の少なくとも8時間はヘパリン治療を受けていない、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、活性化タンパク質Cで患者を治療することをさらに含む、上記実施形態を含む。
他の実施形態は、TFPIアナログが、ala−TFPIである、上記実施形態を含む。
詳細な説明
TFPIは、抗炎症活性を有すると考えられる強力な抗凝固剤である。EP0643585を参照のこと。TFPIは、例えば、腫瘍に関連した血管新生を阻害するのに使用することができる。EP0914830を参照のこと。本発明者らは、TFPIが、先天性免疫系を制御する炎症性サイトカインの制御を介した抗菌活性も有することを見出した。本発明者らは、TFPIは、重症細菌感染の結果、分解されると思われること、感染の進行中にTFPIが減少することが、この系を損なうことも見出した。したがって、TFPIは、感染との闘いにおいて重要な役割を果たす一方、内因性TFPIは、重症感染の間に変化し、TFPIの治療機能を減少させる。
いくつかの要因は、敗血症患者群における死亡率を予測する。これらには、Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアリングシステム(Knausら、Crit Care Med.1985年;13:818〜29頁)、急性生理スコア(acute physiology score)(APS)、国際標準比(INR)(R.S.Rileyら、J.Clin.Lab.Anal.14:101〜114頁、2000年)、および血漿IL−6濃度が含まれる。市中肺炎(CAP)を伴う患者集団では、本発明者らは以前に、TFPIが死亡率を減少させるうえで有効であることを観察した。相対リスク減少率は、(100×絶対リスク減少率)/プラセボ死亡率で決定される。APACHE IIスコア(図20)、急性生理スコア、INR、(図22)または血漿IL−6レベル、(図21)を用いて、CAP患者を重症度別に分類した場合、本発明者らは、TFPI治療からの恩恵には、プラセボ死亡率が最も低い患者が含まれることを見出した。例えば、APACHE IIスコアで分類したCAPサブセットでは、APACHE IIスコア16で5%の死亡リスクの減少があった。これは32%の相対リスク減少率を意味する。図20は、平均APACHE IIスコアが36以下の患者で死亡リスクが減少することを示している。ベースラインのTFPI血清濃度は、死亡率および有効性の双方を予測するものであった。
INRレベルが1.2未満である下位試験の患者は、高INRの一次試験(全体で18%vs.34%)の患者より死亡リスクが低く、ala−TFPIは、INRレベルが1.2未満である下位試験において有効であった(図25)。INRレベルが平均2.1未満の患者のCAPサブセットは、ala−TFPIの効果が得られた(図21)。これは、ヘパリン治療をせずala−TFPIで治療した患者についても当てはまる。
図20は、全体および市中肺炎(CAP)プラセボ群におけるAPACHE IIと死亡率との予測相関を示している(図20)。APACHE IIの四分位にCAPコホートを当てはめた場合、本発明者らは、全てのAPACHE II四分位で有効性が認められることに気づいた。同様に、APS、INRおよびIL−6は全て、死亡率との間に正の相関が認められた。これらのパラメータで測定した場合、全てのケースでala−TFPIは、リスクが最も低い群の生存を改善した(図21、22、23)。TFPIは、血液からの細菌培養が陽性である患者において有効である(図24)。この場合もTFPIは、患者をAPACHEスコアで分けた場合の下位4分の3で幅広く有効であった。
故に、外因性TFPIによる治療は、重症細菌感染を発症するリスクのある患者、または重症細菌感染と診断された患者に対し治療的有用性があり、こうした感染による死亡リスクを減少させるのに有用である。重症細菌感染は、一般に緊急医療、特に入院を必要とする感染である。いくつかの細菌感染は、一般に、抗感染治療および支持医療または積極的な医学的介入を必要とする。一般的な重症細菌感染には、肺炎(院内肺炎ならびに市中肺炎を含む)、菌血症、深部組織感染、皮膚感染、軟部組織感染、歯周炎、腹膜炎、外科感染、および髄膜炎が含まれるが、これらに限定されない。
本発明により治療されうる患者は、以下の基準の1つまたは複数を満たす:(a)血中IL−6レベルが3,200pg/ml未満(例えば、IL−6レベルが3,000、2,500、2,000、1,500、1,000、500、250、100または10);(b)国際標準比(INR)が2.5未満(例えば、INRが2.4、2.3、2.2、2.1、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、または1.1);(c)急性生理スコア(APS)が26未満(例えば、APSスコアが25、24、23、22、21、20、19、18、17、もしくは16、または16〜19の間、または20〜23の間);(d)Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアが38未満(例えば、APACHE IIスコアが37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、または16);および(e)多臓器不全症候群(MODS)スコアが18を超える(例えば、MODSスコアが19、20、21、22、23、もしくは24、または20〜21の間、または22〜23の間)。
1つの実施形態では、患者は、血中IL−6レベルが3,200pg/ml未満である。別の実施形態では、患者は、国際標準比(INR)が2.5未満である。さらに別の実施形態では、患者は、急性生理スコア(APS)が26未満である。さらに別の実施形態では、患者は、Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアが38未満である。さらに別の実施形態では、患者は、MODSスコアが18を超えている。
TFPIおよびTFPIアナログ
TFPIは、まず、天然由来の抗凝固剤として単離された。タンパク質は、いくつかの主要なドメイン(図1):Kunitz型(K1、K2およびK3)、N末端ドメイン、およびC末端ドメイン(CTD)の3つのセリンプロテアーゼインヒビタードメインを有する。K1ドメインは、凝固因子VIIa−組織因子(TF)複合体を阻害する。K2ドメインは、因子Xaを阻害する。これまで、セリンプロテアーゼは、K3との関連が認められていなかったが、近年の実験は、TFPIが細胞表面のGPIアンカー型受容体と結合するうえで、K3が機能することを示唆している。Piro & Bronze、Circulation.2004年12月7日;110(23):3567〜72頁。CTDは、細胞結合、ヘパリン結合、およびXa至適阻害にも関与している。
TFPIは、天然には、血液および他の組織中の複数の細胞型で産生される。ほとんどのTFPIは、血管内皮細胞でつくられると考えられている。TFPIの一部は、血液中に見出される。この血漿TFPIのほとんどは、他の血漿タンパク質とのジスルフィド交換、またはCTDを除去する切断により、共有結合的に修飾される。TFPIのこれらの形態は、生化学的アッセイでの活性が低く、細胞を効率よく結合させない。これは、血漿TFPIが不活性であることを示唆する。これと一致するように、複数の試験が、血漿TFPIの半減期はきわめて短いこと、血漿TFPIは肝臓で効率よく除去されることを明らかにした。
TFPIのさまざまな細胞関連型は、インビトロで最大活性を有する完全長の単量体タンパク質である。内皮細胞には、ヘパリンによる治療で除去されうるわずかなTFPIの小画分がある。別のプールは、表層側の下の小胞に存在すると思われ、細胞がトロンビンにより刺激された場合に放出される。細胞表面TFPIの大半は、他の系のシグナル伝達に関連した細胞小器官であるカベオラで見出される。Lupuら、JBC Papers in Press、2005年4月6日、Manuscript M503333200として発表。カベオラのTFPIは、内皮細胞のTFに関与するTFPIであると思われる。内皮細胞が細菌に曝露されると、内皮細胞はこの表面全体にTFを誘導する。TFは、Xaを生じるVIIaと結合する。TF:VIIaは、急速にカベオラへ移動し、ここでTFPIと結合する。通常の内皮細胞では、TFPIが過剰となり、TF発現内皮細胞は、病的レベルの凝固酵素を誘導しないようにする。興味深いことに、TFはカベオラへ移行すると安定する。このことは、TFには、TFPIにより中和された後に果たす役割があることを示唆する。
本明細書で使用される「TFPI」とは、配列番号1に示された276アミノ酸残基配列および分子量約38,000ダルトンを有する、成熟した血清糖タンパク質を言う。米国特許第5,106,833号を参照のこと。TFPI cDNAのクローニングは、Wunら、米国特許第4,966,852号に記載されている。本発明で使用されるTFPIは、グリコシル化されていないまたはグリコシル化されたものであってよい。
「TFPIアナログ」は、修飾がTFPI生物学的活性を破壊しない限り、1つまたは複数のアミノ酸の付加もしくは置換(一般に性質が保存され、好ましくは非Kunitzドメインまたはタンパク質のC末端部分で保存される)、1つまたは複数のアミノ酸欠失(例えば、TFPIフラグメント)、または1つまたは複数の化学的部分の、1つまたは複数のアミノ酸への付加により修飾されたTFPI誘導体である。好ましくは、TFPIアナログは、3つのKunitzドメイン全てを含む。TFPIおよびTFPIアナログは、グリコシル化型または非グリコシル化型のいずれかでありうる。
好ましいTFPIアナログは、アミノ酸配列が配列番号2に示された、N−L−アラニル−TFPI(ala−TFPI)である。ala−TFPIは、国際薬品名「チファコギン」(tifacogin)としても知られている。ala−TFPIのアミノ末端アラニン残基は、E.coli発現を改善し、切断しなければアミノ末端メチオニン残基となるものを切断させるTFPI配列へ、遺伝子操作された。米国特許第5,212,091号を参照のこと。TFPIの他のアナログは、米国特許第5,106,833号に記載されている。TFPIアナログは、以下に記載された生物学的活性アッセイにより判定される、TFPI活性のいくつかの指標を保有している。TFPIおよびアナログの好ましい生物学的活性アッセイは、プロトロンビン時間(PT)アッセイである(以下参照)。
TFPIアナログは、性質が保存されるアミノ酸置換、すなわち、これらの側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で生じる置換を有することができる。具体的には、アミノ酸は、一般に以下の4つのファミリーに分類される:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;ならびに(4)非荷電性極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、およびチロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸として分類される場合もある。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンによる単一置換、アスパラギン酸のグルタミン酸による単一置換、スレオニンのセリンによる単一置換、または1つのアミノ酸の構造的に関連した1つのアミノ酸による同様の保存的置換は、生物学的活性に対し重大な影響を与えないことは、当然予測可能である。例えば、分子の所望の機能がインタクトなままである限り、目的とするポリペプチドには、約1〜15までの保存的または非保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15)が含まれてよい。好ましいTFPI形態には、Kunitz1、Kunitz2、Kunitz3ドメインが、天然ヒトTFPI Kunitzドメインとまさに一致する、より好ましくは、各Kunitzドメインが、天然ヒトTFPI Kunitzドメインの各々とまさに一致するTFPIアナログが含まれる。
好ましくは、TFPIアナログは、配列番号1に示されたTFPIと少なくとも95%以上同一であるアミノ酸配列を有する。より好ましくは、分子は、96%、97%、98%または99%同一である。
TFPIおよびTFPIアナログの生物学的活性は、プロトロンビンアッセイで決定されうる。適切なプロトロンビンアッセイは、米国特許第5,888,968号およびWO96/40784に記載されている。簡単には、プロトロンビン時間は、血液凝固測定装置(例えば、Organon Teknika製のCoag−A−Mate MTX II)を用いて決定されうる。適切なアッセイ緩衝液は、1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する、pH7.5に調整された、100mM NaCl、50mM Trisである。必要とされるさらなる試薬は、正常ヒト血漿(例えば、Organon Teknikaによる「Verify 1」)、トロンボプラスチン試薬(例えば、Organon Teknikaによる「Simplastin Excel」)、およびTFPI標準液(例えば、アッセイ緩衝液1mlあたり、100%純粋ala−TFPI(またはこの等価物)20μg)である。標準曲線は、TFPI標準溶液の一連の(例えば、1から5μg/mlの範囲の最終濃度への)希釈物の凝固時間を分析して得られる。
凝固時間を決定するため、試料またはTFPI標準物質が、まずアッセイ緩衝液で希釈される。次いで、正常ヒト血漿が添加される。凝固反応は、トロンボプラスチン試薬の添加により開始される。次いで、機器が凝固時間を記録する。直線のTFPI標準曲線は、凝固時間の対数vs.TFPI濃度の対数のプロットから得られる。標準曲線は、100%純粋な標準物質と同等なTFPI濃度と一致するように、TFPI標準の純度を基に調整される。例えば、標準物質が、生化学的に97%純粋な(すなわち、TFPIの生物学的活性を伴わない分子種を3重量%含有する)ala−TFPI製剤である場合、標準物質の各希釈物濃度に0.97を乗じてTFPIの実際の濃度が得られる。故に、97%純粋な製剤1mlあたりの実際の重量に対して1.0μg/mlであるTFPI標準物質は、1.0×0.97、すなわち0.97μg/mlの濃度と等しくなり、この濃度で処理される。
TFPIおよびTFPIアナログの入手
本発明の方法において使用されるTFPIおよびTFPIアナログは、細胞もしくは組織から単離および精製、化学的に合成、または原核生物細胞もしくは真核生物細胞のいずれかにおいて組換え生成することができる。
TFPIは、いくつかの方法により単離されうる。例えば、TFPIを分泌する細胞には、老化内皮細胞、約3〜4日間TNFで処理された幼若内皮細胞、肝細胞、および肝細胞癌細胞が含まれる。TFPIは、Pedersenら、1990年、J.of Biol.Chem.265、16786〜93頁、Novotnyら、1989年、J.of Biol.Chem.264、18832〜37頁、Novotnyら、1991年、Blood 78、394〜400頁、Wunら、1990年、J.of Biol.Chem.265、16096〜101頁、およびBrozeら、1987年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、1886〜90頁のクロマトグラフィー法を含む、従来の方法により精製されうる。TFPIは、血流中に現れ、血液から精製されうる。Pedersenら、1990年を参照のこと。
TFPIまたはTFPI変異体は、固相法を用いる直接ペプチド合成(Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85、2149〜2154頁、1963年;Robergeら,Science 269、202〜204頁、1995年)など、TFPIまたはTFPI変異体のアミノ酸配列を合成するための化学的方法により生成されうる。タンパク質合成は、手動法または自動化により実施されうる。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)により実現されうる。場合により、TFPIまたはTFPI変異体のフラグメントは、完全長の分子を生成するための化学的方法により別個に合成、結合されうる。
TFPIおよびTFPIアナログは、米国特許第4,966,852号に示されているように組換え的に生成されうる。例えば、所望されるタンパク質のためのcDNAは、原核生物または真核生物における発現のためプラスミドに組込まれうる。米国特許第4,847,201号は、特定のDNA配列による微生物の形質転換、およびこれらの発現について詳細を提供している。微生物を用いたタンパク質の発現について詳細を提供する、当業者に公知の他の参考文献が多数存在する。Maniatasら、1982年、Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Pressなど、これらの多くは、米国特許第4,847,201号に引用されている。
微生物を形質転換し、これらを使用してTFPIおよびTFPIアナログを発現するための、さまざまな方法が利用可能である。以下は、可能なアプローチの単なる例である。TFPI DNA配列は、単離され、適切な制御配列に結合されなければならない。TFPI DNA配列は、米国特許第4,966,852号に示されており、Boehringer−Mannheimなどの企業から市販されているpUNC13またはpBR3822といったプラスミドに組込まれうる。TFPI DNAはベクターにひとたび挿入されると、適切な宿主の中にクローン化されうる。DNAは、Mullisに対する米国特許第4,683,202号およびMullisらに対する米国特許第4,683,195号に示されているものなどの方法により増幅されうる。TFPI cDNAは、肝細胞癌細胞(HepG2およびSKHepなど)のような細胞を誘導してTFPI mRNAを作製し、次いでmRNAを同定および単離し、これを逆転写してTFPIに対するcDNAを得ることで得られうる。発現ベクターが、E.coliなどの宿主の中に形質転換された後、この細菌は発酵され、タンパク質が発現されうる。細菌は、好ましい原核微生物であり、E.coliは、特に好ましい。本発明で有用な好ましい微生物は、Budapest条約の規定の下、1984年2月14日にATCCに寄託された、E.coli K−12、MM294株(アクセッション番号39607)である。
当然のことながら、多細胞生物由来の真核生物宿主細胞培養物においてポリペプチドをコードする遺伝子を発現することも可能である。例えば、Tissue Culture、1973年、CruzおよびPatterson(編)、Academic Pressを参照のこと。有用な哺乳類細胞系には、マウス骨髄腫N51、VERO、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS,C127、Hep G2、およびSK Hepが含まれる。TFPIおよびTFPIアナログは、バキュロウイルス感染昆虫細胞においても発現されうる(上記に対する参照として、米国特許第4,847,201号も参照のこと)。Pedersenら、1990年、J.of Biological Chemistry、265:16786〜16793頁も参照のこと。真核生物細胞に対する発現ベクターには、通常、哺乳類細胞に適合するプロモーターおよび制御配列(例えば、シミアンウイルス40(SV40)由来の、一般に使用される初期プロモーターおよび後期プロモーター(Fiersら、1978年、Nature、273:113頁)など)、または他のウイルスプロモーター(ポリオーマ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス、またはトリ肉腫ウイルス由来のものなど)、または免疫グロブリンプロモーターおよび熱ショックプロモーターが含まれる。
哺乳類細胞宿主系の形質転換の一般的側面は、Axel、米国特許第4,399,216号により記載されている。今では、「エンハンサー」領域が、発現を最適化するうえで重要であるようにも思われる。これらは、一般に、プロモーター領域の上流に見出される配列である。複製起点は、必要な場合、ウイルス源から得られうる。しかし、染色体への組み込みは、真核生物におけるDNA複製の共通の機構である。植物細胞も今では宿主として利用可能であり、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列など(Depicker,Aら、1982年、J.Mol.Appl.Gen.、1:561頁)などの、植物細胞と適合する制御配列が入手可能である。植物細胞の形質転換のための方法およびベクターは、WO85/04899に開示されている。
哺乳類細胞で発現されるTFPIおよびTFPIアナログの精製に使用されうる方法には、ヘパリン−Sepharose、MonoQ、MonoS、および逆相HPLCクロマトグラフィーの連続適用が含まれる。Pedersenら、上記参照;Novotnyら、1989年、J.Biol.Chem.264:18832〜18837頁;Novotnyら、1991年、Blood、78:394〜400頁;Wunら、1990年、J.Biol.Chem.265:16096〜16101頁;Brozeら、1987年、PNAS(USA)、84:1886〜1890頁;米国特許第5,106,833号;および米国特許第5,466,783号を参照のこと。これらの参考文献は、哺乳類により産生されたTFPIを精製するさまざまな方法を記載している。
TFPIまたはTFPIアナログの分子を調製する好ましい方法は、WO05/019265に開示されている。この方法は、製剤の約12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.5%未満が、「修飾された種」からなる、TFPIまたはTFPIアナログの分子製剤を生成する。「修飾された種」には、以下の1つまたは複数が含まれる:逆相クロマトグラフィーにより検出される、酸化TFPIまたはTFPIアナログの分子;カチオン交換クロマトグラフィーで検出される、カルバミル化TFPIまたはTFPIアナログの分子;Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出される、脱アミド化TFPIまたはTFPIアナログの分子;アミノ酸分析で決定される、システイン付加物を含むTFPIまたはTFPIアナログの分子;サイズ除外クロマトグラフィーで検出される、凝集したTFPIまたはTFPIアナログの分子;および非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出される、誤って折り畳まれたTFPIまたはTFPIアナログの分子。WO05/019265に開示された方法を用いて、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が酸化され、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満がカルバミル化され、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が脱アミド化され、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約2%未満がシステイン付加物を含み、TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が凝集され、およびTFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が誤って折り畳まれる、TFPIまたはTFPIアナログの分子製剤は生成されうる。
TFPIはまた、マウスC127細胞(Dayら、Blood 76、1538〜45頁、1990年)、ベビーハムスター腎細胞(Pedersenら、1990年)、チャイニーズハムスター卵巣細胞、およびヒトSK肝癌細胞など、哺乳類細胞宿主を用いて組換えグリコシル化タンパク質として発現されうる。C127 TFPIは、動物試験で使用され、ウサギにおける組織因子誘導性血管内凝固の阻害(Dayら(上記参照))、イヌにおける血栓溶解後の動脈再閉塞の予防(Haskelら、Circulation 84:821〜827頁(1991年))、およびヒヒにおけるE.coli敗血症モデルでの死亡率減少(Creaseyら、J.Clin.Invest.91:2850頁(1993年))において有効であることが示された。ala−TFPIは、E.coli宿主細胞により、組換え非グリコシル化タンパク質として発現されうる。E.coliで産生される組換えタンパク質のインビトロでの再折り畳みにより、高活性なala−TFPIを産生する方法が記載されている。WO96/40784を参照のこと。
TFPIおよびTFPIアナログはまた、細菌または酵母において産生され、続いて精製されうる。一般に、米国特許第5,212,091号;第6,063,764号;および第6,103,500号またはWO96/40784に示された手順が使用されうる。ala−TFPIおよび他のTFPIアナログは、参照により本明細書に組み込まれる、WO96/40784およびGustafsonら、Prot.Express.Pur.5:233頁(1994年)に従って、精製され、可溶化され、再折り畳みされうる。例えば、WO96/40784の実施例9に従って調製される場合、成熟した、適切に折り畳まれた、生物学的に活性なala−TFPIとして、総タンパク質の約85重量%から90重量%を含有し、この約10%から15%が、1つまたは複数の酸化メチオニン残基を有するala−TFPI製剤が得られうる。これらの酸化型は、プロトロンビンアッセイにより決定される、非誘導化ala−TFPIの生物学的活性と同等の生物学的活性を有し、本明細書に開示された本発明において活性であることが予測される。残留物質は、二量体化型、凝集化型、およびアセチル化型を含め、ala−TFPIのさまざまな修飾型を含む。
TFPIおよびTFPIアナログは、かなりの数のシステイン残基を有することができ、米国特許第4,929,700号に示された手順は、TFPI再折り畳みに関する。TFPIおよびアナログは、上述されたものなど、さまざまなクロマトグラフィー法により緩衝溶液から精製されうる。所望の場合、米国特許第4,929,700号に示された方法が使用されうる。ヒトへの投与に適した精製度および活性レベルをもたらすTFPIおよびTFPIアナログを精製する、いずれかの方法が使用されうる。
治療方法および組成物
TFPIおよびTFPIアナログは、重症細菌感染を発症するリスクのある患者、もしくは重症細菌感染と診断された患者を治療する、または1人の患者もしくは1つの患者群における重症細菌感染からの死亡リスクを減少させるのに有用である。
重症細菌感染には、例えば、米国胸部学会により示されたガイドラインに従って定義された「重症肺炎」が含まれる。具体的には、重症肺炎は、肺炎の診断および、a)2つの主要な基準のうち1つ、b)3つの小基準のうち2つ、またはc)英国胸部学会の4つの基準のうち2つ(Thorax 2001年;56[補遺IV]:1〜64頁)のいずれかの存在を必要とする。主要な基準は、1)機械換気の必要性および2)敗血症性ショックまたは>4時間の昇圧の必要性である。小基準は、1)収縮期血圧≦90mmHg、2)多葉性肺炎、および3)低酸素血症基準(PaO/FiO)<250である。英国胸部学会の基準は、1)呼吸数≧30回/分、2)拡張期血圧≦60mmHg、3)血中尿素窒素(BUN)>7.0mM(>19.6mg/dL)、および4)錯乱である。当技術分野において理解されるように、低酸素血症基準(PaO/FiO)とは、吸入酸素画分に対する動脈酸素の分圧を言い、ガス交換の障害のレベルを示す。
重症肺炎患者は、当技術分野で公知のいずれかの手段により実証可能な感染を有する。これらの方法には、例えば、GRAM染色、培養、組織化学染色、免疫化学アッセイ、または核酸アッセイによる、血液または他の通常滅菌した体液もしくは組織の培養物中の病原体の検出が含まれるが、これらに限定されない。実証可能な感染はまた、全身性抗感染療法の根拠となる肺炎の診断、およびいずれかの感染の臨床症状(呼吸数≧30回/分またはPaCO/FiO<250、血圧の低下、および体温の上昇を含むが、これらに限定されない)と一致する胸部X線写真によっても照明されうる。
TFPIおよびTFPIアナログの製剤
TFPIおよびTFPIアナログの製剤は、好ましくは静脈内注入により投与される。基本的に連続静脈内注入が好ましい。この投与を実現するための方法は、当技術分野の当業者に公知である。注入は、中心系または末梢系を介して実施されうる。投与速度の大きな変動は避けられるべきであるが、本発明の投与速度からの短期的な偏差は、許容されうる。ただし、その結果得られる、投与されたTFPIの血漿レベルは、本発明の好ましい実施形態による一定の投与速度での連続注入から予測されるレベルの20%以内とする。
患者へ投与する前に、製剤化剤は、TFPIおよびTFPIアナログに添加されうる。液体製剤が好ましい。TFPIおよびTFPIアナログは、さまざまな製剤化剤を用いて、さまざまな濃度で、ならびにTFPIタンパク質の投与経路、溶解度、および安定性に適合する生理学的に適切な任意のpHで調製されうる。静脈内注入のための好ましい製剤には、最大約0.6mg/mlのala−TFPI、最大300mMの塩酸アルギニン、およびpH5.0〜6.0のクエン酸ナトリウム緩衝液が含まれる。アルギニン、NaCl、スクロース、およびマンニトールなどの特定の溶質は、ala−TFPIを可溶化、および/または安定化するのに役立つ。WO96/40784を参照のこと。
薬学的製剤には、例えば、0.01から1.0mg/ml、0.01から0.8mg/ml、0.01から0.5mg/ml、0.01から0.3mg/ml、0.01から0.2mg/ml、または0.01から0.1mg/mlのala−TFPI;150〜450mM、150〜400mM、150〜350mM、または150〜300mMのL−アルギニン;0.1〜50mM、0.1〜40mM、0.1〜30mM、0.1〜25mM、0.1〜15mM、0.1〜10mM、または0.1〜5mMのL−メチオニン;5〜50mM、5〜45mM、5〜40mM、5〜35mM、5〜30mM、5〜25mM、または5〜20mMのクエン酸ナトリウム緩衝液が含まれうる。製剤のpHは、5.0〜6、5.0〜5.8、5.0〜5.7、5.0〜5.6、または5.0〜5.5の範囲でありうる。好ましい薬学的製剤には、300mM(±15、10、または5%)のL−アルギニン、5mM(±15、10、または5%)のL−メチオニン、20mM(±15、10、または5%)のクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(±15、10、または5%)、オスモル濃度560+/−110mOsm/kg(±15、10、または5%))中の、0.15mg/ml(±15、10、または5%)または0.45mg/ml(±15、10、または5%)の組換えala−TFPIが含まれる。
静脈内注入のための特に好ましい製剤は、約0.15mg/mlのala−TFPI、300mMの塩酸アルギニン、および20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.5)を含有する。TFPIおよびTFPIアナログはまた、150mMのNaClおよび20mMのリン酸ナトリウムまたは別の緩衝液(pH5.5〜7.2)中で、場合によっては0.005%または0.01%(w/v)のポリソルベート80(Tween80)と共に、最大約0.15mg/mlの濃度でも調製されうる。他の製剤は、150mMのNaCl、8%(w/v)スクロース、または4.5%(w/v)マンニトールのいずれかを含有する、10mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)中に、最大約0.5mg/mlTFPIまたはTFPIアナログを含有する。TFPIおよびTFPIアナログはまた、高塩を用いて、最大数mg/mlのより高い濃度でも調製されうる。例えば、1つの製剤は、500mMのNaClおよび20mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)中に、最大約6.7mg/mlのala−TFPIを含有する。
TFPIおよびTFPIアナログのための製剤化剤のさらなる例には、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝剤、アルブミン、界面活性剤、または充填剤が含まれる。好ましくは、炭水化物には、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グルカンなどの糖類または糖アルコールが含まれる。糖類またはグルカンには、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、アルファおよびベータシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ならびにカルボキシメチルセルロース、またはこれらの混合物が含まれる。スクロースが最も好ましい。糖アルコールは、−OH基を有するCからCの炭化水素として定義され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、およびアラビトールが含まれる。マンニトールが最も好ましい。上述のこれらの糖または糖アルコールは、個別にまたは組み合わせて用いられうる。糖または糖アルコールが、水性製剤中で可溶である限り、使用される量に定められた限度はない。好ましくは、糖または糖アルコール濃度は、1.0w/v%と7.0w/v%との間であり、より好ましくは、2.0と6.0w/v%との間である。
好ましくは、アミノ酸には、左旋性(L)型のカルニチン、アルギニン、およびベタインが含まれるが、他のアミノ酸も加えられうる。凍結乾燥前または再構成後の溶液におけるpH変化を最小化するため、組成物中に緩衝液を使用することもまた好ましい。ほとんどのいずれの生理緩衝液も用いられうるが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、およびグルタミン酸緩衝液、またはこれらの混合物が好ましい。好ましくは、緩衝液の濃度は、0.01から0.3モルである。製剤に添加されうる界面活性剤は、EP270,799およびEP268,110に示されている。
TFPIまたはTFPIアナログの液体の医薬組成物は、調製された後、分解を防止し無菌性を保存するため、凍結乾燥されうる。液体組成物を凍結乾燥する方法は、当業者に公知である。使用する直前に、組成物は、付加成分を含みうる滅菌希釈剤(例えば、リンゲル液、蒸留水、または無菌生理食塩水)で再構成されうる。再構成されると、組成物は、好ましくは、連続静脈内注入により被験体に投与される。
TFPIおよびTFPIアナログの投与量
TFPIおよびTFPIアナログは、重症肺炎を含む重症細菌感染を治療および予防するのに治療的に有効な濃度で投与される。このような投与はまた、他の急性または慢性炎症、および一般に、サイトカインが組織因子発現をアップレギュレートする疾患についても有効である。この目的を達成するため、TFPIまたはTFPIアナログは、好ましくは静脈内投与される。この投与を実現する方法は、当業者に公知である。一般に、TFPIまたはTFPIアナログは、1mg/kgと20mg/kgとの間、より好ましくは、2mg/kgと15mg/kgとの間、最も好ましくは、2と10mg/kgとの間の投与量で与えられる。
上記の投与量は、一般に、単回投与または分割投与において宿主に投与される合計日用量が、例えば、1日あたり約2から約15mg/kg体重、好ましくは約4から約10mg/kgの量でありうるように、少なくとも約1日、および通常は数日間にわたって投与される。投与単位組成物は、日用量を構成するような量またはこの約数を含有しうる。低い日用量(例えば、1μg/kgから2mg/kg)は、予防目的または他の目的に有用でありうる。単回投与形態を作製するため、キャリア物質と併用されうる活性成分の量は、治療される患者および投与の特定様式により異なるであろう。
投与レジメンは、患者のタイプ、年齢、体重、性別、食事および病状、疾患の重症度、投与経路、薬理学的検討(活性、有効性、薬物動態プロフィールおよび毒性プロフィールなど)、薬物送達系が利用されるか否か、ならびにこの化合物が複合薬の一部として投与されるか否かを含む、さまざまな要因により選択される。故に、実際に使用される投与レジメンは、広く異なる可能性があり、したがって、上述された好ましい投与レジメンから逸脱する可能性がある。好ましくは、TFPIまたはTFPIアナログの投与は、約0.66mg/kg/時間のala−TFPIの投与速度に等しい投与速度を超えるべきではない。投与速度に加えて、TFPIおよびTFPIアナログの注入期間は、患者各々の臨床的重症度に依存するであろうが、適切な期間の決定は、通常の臨床医には十分に公知である。注入は、例えば、10〜200時間、10〜150時間、24〜120時間、36〜100時間または24〜96時間の間、実施されうる。1つまたは複数の治療コース、典型的には2つが、治療担当医師の判断により、実施されうる。
TFPI投与量の投与
TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約0.00025mg/kg/時間(0.00417μg/kg/分)および約0.50mg/kg/時間(8.33μg/kg/分)未満の投与速度でala−TFPIを投与するのに等しい投与速度で投与される場合、重症細菌感染の治療有効性は保持され、出血などの有害な副作用は、最小限に抑えられる。有効性および安全性を併せて向上させるには、投与速度は、好ましくは、少なくとも約0.010mg/kg/時間(0.167μg/kg/分)および約0.1mg/kg/時間(1.67μg/kg/分)未満でのala−TFPIの投与速度に等しく、または少なくとも約0.020mg/kg/時間および約0.080mg/kg/時間未満でのala−TFPIの投与速度に等しく、最も好ましくは、約0.025mg/kg/時間(0.417μg/kg/分)から約0.075mg/kg/時間(1.251μg/kg/分)のala−TFPIの投与速度に等しい。投与経路は、一般に、静脈内投与であり、連続静脈内注入が好ましい。注入は、少なくとも約72、96、100、120、または240時間にわたって投与されうる。好ましくは、連続注入は、3から8日間、より好ましくは3から6日間、最も好ましくは約4日間にわたって投与される。
「連続注入による」投与することは、注入が、所定の持続期間のほとんどを実質的な中断なしに、ほぼ所定の速度で維持されることを意味する。あるいは、間欠的静脈内注入が使用されうる。間欠的注入が使用される場合、上述された連続注入のための投与速度に等しい時間平均投与速度が、使用されるべきである。さらに、間欠的注入プログラムは、連続注入により得られる最大濃度を、多くとも約20%上回る最大血清濃度をもたらさなければならない。患者における有害反応、特に出血を含む副作用を回避するため、投与速度は、約0.1mg/kg/時間でのala−TFPIの連続静脈内注入に等しい投与速度未満であるべきである。
投与速度および合計用量を含む、本明細書に記載された全ての用量は、タンパク質濃度およびプロトロンビンアッセイによる生物学的活性の判定における誤差のため、実際には最大10%の差異が生じる。故に、本明細書に記載された用量より最大10%高い、または最大10%低い実際に投与される任意の用量は、記載された用量に等しいとみなされる。この理由のために、全ての用量は、「約」特定の用量として記載されている。例えば、「約0.025mg/kg/時間」と記載された用量は、0.0225から0.0275mg/kg/時間の範囲にある任意の実用量に等しいとみなされる。
好ましい投与レジメンには、300mMのL−アルギニン、5mMのL−メチオニン、20mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5、オスモル濃度560+/−110mOsm/kg)中の、0.15mg/mlまたは0.45mg/mlの組換えala−TFPIが各100mlという、2つの静脈内投与が含まれる。
TFPIまたはTFPIアナログのボーラス注入または短時間の高速の注入速度も、低用量のTFPI投与が続く場合、本発明を実施するうえで使用されうる。例えば、ボーラス注入または高速の注入速度は、患者の血液循環における投与されたTFPIまたはTFPIアナログの平衡時間を減少させるのに使用されうる。こうすることで、最終定常状態のTFPI血漿レベルはより迅速に達成され、TFPI受容体はより迅速に飽和されうる。ala−TFPIを約0.025mg/kg/時間で2時間ヒトへ投与することは、TFPI(加えてala−TFPI)の血漿レベルを約80ng/mlから約125ng/mlに増加させる、すなわち約50%増加させる。注入速度が上昇される、またはボーラス注入が使用される場合、同じレベルがより迅速に達成されるであろう。定常状態が得られるまで注入が続けられる場合、より高速の注入速度は、より高いレベルをもたらすであろう。重症細菌感染に罹患した患者では、約0.050mg/kg/時間でのala−TFPIの投与に対する定常状態レベルは、約300ng/mlであり、約0.33mg/kg/時間または約0.66mg/kg/時間でのala−TFPIの投与に対しては、少なくとも約2μg/mlであることが見出された。
単回連続注入量または分割注入量で宿主に投与される合計日用量は、例えば、少なくとも約0.006mg/kg/日から約1.2mg/kg/日未満のala−TFPIの投与に等しい、より通常は、約0.24mg/kg/日から約1.2mg/kg/日未満のala−TFPIの投与に等しい、好ましくは約0.6mg/kg/日のala−TFPIに等しい量であってよい。この範囲内のより低い量は、予防目的または他の目的に有用でありうる。本発明の投与プロトコルは、患者に投与される合計用量としても表されうる。合計用量は、注入速度と合計注入時間との数学的な積である。例えば、ala−TFPIに対する好ましい投与速度(約0.025mg/kg/時間)および好ましい注入時間(96時間)では、合計用量は、体重1kgあたり約2.4mgのala−TFPIである。本発明により投与されるTFPIの合計用量は、少なくとも約0.75μg/kgおよび約4.8mg/kg未満のala−TFPIに等しい。好ましくは、合計用量は、少なくとも約1mg/kgおよび約4.8mg/kg未満のala−TFPIに等しい。より好ましくは、合計用量は、約2.4mg/kgのala−TFPIに等しい。
mg/kg/時間ベースの投与速度および合計日用量を含む、上述の投与レジメンは、「参照ala−TFPIの投与に等しい」投与量として表される。これは、「参照ala−TFPI」の投与量に対する正規化により定量的に決定されることを意味する。参照ala−TFPIは、成熟した、100%純粋な(タンパク質ベースで)、適切に折り畳まれた、生物学的に活性な、非グリコシル化ala−TFPIとして定義される。ala−TFPIは、アミノ酸配列が配列番号2に示されたTFPIアナログである。成熟した、完全長のTFPIおよびこのアナログを含め、TFPIの他の形態もまた、本発明において使用されうる。ala−TFPI以外のTFPI形態、および100%未満の純度であるala−TFPIまたは別のTFPIアナログの製剤により、本発明を実施するのに適切な用量範囲を決定するため、参照ala−TFPIについて本明細書に記載された用量範囲は、TFPIの特定形態の内因的な生物学的活性を基に調整することができ、さらに製剤の生化学的純度を基に調整することができる。
TFPIまたはTFPIアナログの内因的な生物学的活性とは、プロトロンビンアッセイにより定義される、成熟した、100%純粋な、適切に折り畳まれたTFPIまたはTFPIアナログの特定の活性を言う。故に、同等の投与量は、(参照ala−TFPI投与量)/((相対的内因性活性)×(生化学的純度))として算出される。ここで、相対的内因性活性とは、(アナログの内因活性)/(参照ala−TFPIの内因性活性)を言う。例えば、特定のTFPIアナログが、参照ala−TFPIの80%の内因性生物学的活性を有する場合、特定のTFPIアナログに対する同等の投与量は、参照ala−TFPIの用量値を0.8で除して得られる。さらに、患者に投与される製剤が、例えば、90%しか生化学的に純粋でない(すなわち、TFPIの生物学的活性を欠く、10%の分子種を含む)場合、ala−TFPIに対する参照用量値のさらなる補正は、この用量値を0.9で除して行われる。故に、ala−TFPIの内因性活性の80%を有し、生化学的に90%純粋な仮のTFPIアナログが投与された場合、参照ala−TFPIを0.025mg/kg/時間で投与するのに等しい投与速度は、0.0347mg/kg/時間(すなわち、0.025/(0.8×0.9))となる。
同等の投与量はまた、内因性活性または生化学的純度のいずれも知ることなく、相対的な生物学的活性を測定して決定されることもできる。相対的な生物学的活性は、プロトロンビン時間アッセイを用いて、特定のTFPIアナログとTFPI生物学的活性標準との比較により決定されうる。例えば、WO96/40784の実施例9の方法により生成されたala−TFPI(約85%生物学的に活性なTFPI分子種を含有する)は、TFPI生物学的活性標準として使用されうる。WO96/40784の実施例9の方法により生成されたala−TFPIは、プロトロンビンアッセイでは参照ala−TFPIの約85%の活性を有する。プロトロンビン時間標準曲線をプロットする際、凝固時間の対数は、TFPI濃度の対数に対してプロットされる。TFPI生物学的活性標準が、参照ala−TFPIの活性の85%を保有する場合、プロットされた活性が100%純粋な参照ala−TFPIの活性に等しくなるように、TFPI生物学的活性標準の濃度を、プロット前に0.85で乗じれば、参照ala−TFPIの標準曲線に等しい標準曲線が作成されうる。特定のTFPIアナログの凝固時間が、標準曲線と比較される場合、参照ala−TFPIの同等の濃度は、この曲線から読み取られうる。
あるいは、標準曲線の直線部分の傾斜が直線回帰分析により得られる場合、この傾斜は、参照ala−TFPIと比較したTFPI生物学的活性標準の活性を基に補正されうる。特定のTFPIアナログの相対的生物学的活性は、故に、アナログ活性に対する参照ala−TFPI活性の比に等しい。例えば、特定のアナログが、1.00μgの参照ala−TFPIと同じプロトロンビン時間活性を生じるために1.43μgを必要とする場合、このアナログの相対的な生物学的活性は、1.00/1.43、すなわち0.7である。このアナログでは、参照ala−TFPI投与量に等しい投与量は、参照ala−TFPI投与量をこのアナログの相対的な生物学的活性で除して得られる。例えば、参照ala−TFPIの0.025mg/kg/時間の投与量は、このアナログの0.0357mg/kg/時間(すなわち、0.025/0.7)に等しくなる。
いくつかの実施形態では、TFPIまたはTFPIアナログは、過去にヘパリン治療を受けていた患者に投与される。この場合、患者は、TFPIまたはTFPIアナログ投与前の少なくとも8時間はヘパリンを投与されていないことが好ましい。非分画ヘパリンによる治療は、より長い「洗い出し」(ウォッシュアウト)期間(例えば、20、21、22、23、または24時間)を必要としうる。低分子量のヘパリンで治療された患者に対する典型的なウォッシュアウト期間は、9、10、11、または12時間である。
TFPIまたはTFPIアナログは、単独の活性抗凝固薬剤として投与されうるが、これらの分子はまた、重症肺炎を治療するための併用療法を実現するため、1つまたは複数のさらなる治療剤と併用して使用されることもできる。このようなさらなる治療剤には、例えば、抗エンドトキシン、モノクローナル抗体(例えば、エンドトキシン結合Mab)、および抗TNFマウスMabのような抗TNF生成物などの抗体が含まれる。TFPIおよびTFPIアナログはまた、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、殺菌性/透過性亢進(BPI)タンパク質、免疫賦活剤、PAFアンタゴニストなどの抗炎症活性を有する化合物、および細胞接着ブロッカー(例えば、GPIIb/IIIaインヒビターなどの抗血小板剤)と併用されることもできる。
APACHEIIスコアが38未満であるが25を超える(例えば、25と37の間、すなわち、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、または37)患者は、さらに活性化タンパク質C(例えば、XIGRIS(登録商標))で治療されうる。活性化タンパク質Cは典型的には、合計96時間、24μg/kg/時間の注入速度で投与される。この投与レジメンの調整は、個々の患者の臨床所見により熟練した医師により調整されうる。
併用投与される場合、治療剤は、同時または異なる時間に与えられる別個の組成物として製剤されうる。好ましくは、さらなる治療剤は、同時(すなわち、TFPIまたはTFPIアナログの投与期間の間)、またはTFPIもしくはTFPIアナログの投与期間の24時間以内(すなわち、TFPIまたはTFPIアナログの投与期間の開始前24時間以内、またはTFPIまたはTFPIアナログの投与期間の開始後24時間以内)のいずれかに与えられる。さらなる治療剤はまた、単独の組成物としてTFPIまたはTFPIアナログと共に与えられることもできる。
TFPIまたはTFPIアナログはまた、重症細菌感染、特に肺炎を治療するのに効果がある他の薬剤と併用して与えられることもできる。例えば、以下は、TFPIまたはTFPIアナログと併用して投与されうる:基礎疾患である細菌感染を治療しうる抗生剤、細菌の細胞壁成分に対するモノクローナル抗体、重症肺炎の経路に関与するサイトカインと複合しうる受容体;ならびに一般的には、サイトカインと相互作用しうる、または重症肺炎および/もしくはこの症状を減弱する補体タンパク質を含む、他の活性化されたもしくは増幅された生理学的経路と相互作用しうる任意の薬剤またはタンパク質。
有用な抗生剤には、一般的な分類のもの:ベータ−ラクタム環(ペニシリン)、グリコシド結合におけるアミノ糖(アミノグリコシド)、大環状ラクトン環(マクロライド)、ナフタセンカルボキサニド(napthacenecarboxanide)の多環式誘導体(テトラサイクリン)、ジクロロ酢酸のニトロベンゼン誘導体、ペプチド(バシトラシン、グラミシジン、およびポリミキシン)、共役二重結合系大環状物(ポリエン)、スルファニルアミド由来のサルファ剤(スルホンアミド)、5−ニトロ−2−フラニル基(ニトロフラン)、キノロンカルボン酸(ナリジクス酸)、および他多数、が含まれる。他の抗生剤、および上記の特定の抗生剤のより多くのバージョンは、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、Kirk−Othymer(編)、第2巻、782〜1036頁(1978年)および第3巻、1〜78頁、Zinsser、MicroBiology、第17版、W.Joldikら(編)235〜277頁(1980年)、またはDorland’s Illustrated Medical Dictionary、第27版、W.B.Saunders Company(1988年)に見出されうる。
TFPIまたはTFPIアナログと併用されうる他の薬剤には、E5531(リピッドAアナログ、Asaiら、Biol.Pharm.Bull.22:432頁(1999年)を参照のこと)などのエンドトキシンアンタゴニスト、抗凝固活性を有するTFアナログ(例えば、Kelleyら、Blood 89:3219頁(1997年)およびLee & Kelley、J.Biol.Chem.273:4149頁(1998年)を参照こと)、IL−6またはM−CSFに対するこれらのモノクローナル抗体(1989年12月15日に出願された、米国特許出願シリアル番号07/451,218を参照のこと)などのサイトカインに対するモノクローナル抗体、およびTNFに対するモノクローナル抗体(Ceramiら、米国特許第4,603,106号を参照のこと)、TNFプロホルモンが産生された細胞から成熟TNFプロホルモンを切断するタンパク質インヒビター(1989年8月16日に出願された、米国特許出願シリアル番号07/395,253を参照のこと)、IL−1アンタゴニスト(1990年5月1日に出願された、米国特許出願シリアル番号07/517,276を参照のこと)、インヒビン(米国特許第5,942,220号を参照のこと)などのIL−6サイトカイン発現インヒビター、およびIL−1などのさまざまなサイトカインの受容体ベースのインヒビターが含まれる。補体に対する抗体、または補体のタンパク質インヒビター(CR、DAF、およびMCPなど)も使用されうる。
この開示に引用されている全ての特許、特許出願、および参考文献は、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、これより、特に有利な実施形態を示す以下の実施例を参照して説明される。しかし、これらの実施形態は例であり、本発明を限定するものとして決して解釈してはならない。
(実施例1)
材料
TFPIのKunitzドメイン1(4904)またはKunitzドメイン2(4903)に対するモノクローナル抗体は、American Diagnostica Inc.(グリニッチ、CT)から購入した。本発明者らは、さらなるモノクローナル抗体を作製した(Kunitzドメイン1に対して2H8、およびC末端に対して17)。対照マウスIgG1は、Jackson ImmunoResearch Lab Inc.から購入した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、Clonetics(サンディエゴ、CA)から購入し、EBM−2培地(Clonetics)で37℃で培養した。E.coli由来のリポ多糖類(LPS)は、Sigma(L−2654)から購入した。
以下の実施例では、外因性TFPIは全て、ala−TFPIである。
(実施例2)
全血アッセイ
血液は、抗凝固剤の非存在下、血小板活性化を最小限に抑える条件下で、健康なドナーから採取した。ドナー選択は、アスピリンまたは他の抗凝血剤、コレステロール降下剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、および抗生剤の使用を除外した。10ng/ml LPS、およびala−TFPIを含むまたは含まないさまざまな濃度のmAbを含有する試薬混合物は、96ウェルディッシュ中で前形成されていた。血液を、採血10分以内に、総量200μlの10%FBSを含むまたは含まないRPMI−1640培地に、1:10の比まで添加した。希釈血液試料を、細胞培養インキュベータで16から20時間、37℃にてインキュベートし、細胞上清のアリコートは、IL−6 ELISAキット(Biosource)を用いて炎症性サイトカインの分泌について分析した。他のサイトカインの放出は、LINCOPLEX(登録商標)サイトカインキット(LINCO Research)を用いて測定した。
(実施例3)
全血+HUVECアッセイ
HUVEC細胞を、実験1日前に10ng/ml LPSを含むEBM−2培地に5000〜7000細胞/96ウェルで播種した。実験1日目、この培地を除去し、10%FBSを含むまたは含まないRPMI−1640培地に、10ng/ml LPS、およびala−TFPIを含むまたは含まないさまざまな濃度のmAbを含有する、前形成された試薬混合物と交換した。次いで、血液を、1:10の比で添加した。全血アッセイは、上述のように実施した。
(実施例4)
患者のベースラインTFPIは死亡率と相関する
複数の原因の重症敗血症を、ala−TFPIで治療するための大規模第III相臨床試験において、本発明者らは、明らかにala−TFPI治療の効果が得られる患者の大規模なサブセットを見出した。特に、本発明者らは、CAP患者は治療成績が良好であることに気づいた。この試験で行われた分析のうち、本発明者らは、TFPIのベースラインの血漿濃度をELISAにより測定した。図2に示されたように、患者のベースラインTFPIは、死亡率を相関していた。これは、患者全体またはCAPサブセットのいずれにも当てはまることであった。この結果は、敗血症が悪化するにつれ、TFPIが不活性化され、血液細胞から放出されることを示唆する。外因性ala−TFPIは、感染中の内因性TFPIの欠失に取って代わるものである。
(実施例5)
全血敗血症モデルにおけるTFPI代謝回転およびTFPI分解誘導のシミュレーション
本発明者らは、血清を正常な血液に添加して、敗血症血液モデルを作成した。これは、急速な凝固をもたらし、多くのサイトカインのリポ多糖類(LPS)依存性分泌を誘導して、敗血症患者由来の血液で観察されるものと同様の状況を創出するものである。
ala−TFPIが全血に添加された場合、ala−TFPIは、C末端でインタクトなままであった。しかし、本発明者らの敗血症モデルでは、C末端ドメインを、添加されたala−TFPIから切断した。この結果は、図3に示されている。このデータは、凝固を活性化し、血液中の炎症性サイトカインを誘導する状況は、TFPIのC末端ドメインの除去をもたらすことを示している。正常血漿TFPIの最大95%は、C末端の欠失を有する。C末端を切断されたTFPIは、血液アッセイにおいて活性がほとんど見られない。
(実施例6)
添加されたala−TFPIの、さまざまな内因性TFPIレベルを有する患者の生存に与える影響
添加されたala−TFPIは、ベースラインTFPIが異常な患者において効果があると思われる(図4)。CAP患者が、ベースラインのTFPIレベル別にサブセットに分類された場合、本発明者らは、ala−TFPIが、正常なベースラインTFPIより下の患者、およびベースラインTFPIの高い患者において効果があることを見出した。添加されたala−TFPIが、ベースラインTFPIの高い患者を改善したという事実は、血漿TFPIは不活性であり、ala−TFPI剤が、十分に活性型であることを示すデータと一致する。
(実施例7)
本発明者らは、健康なドナー由来の希釈された全血におけるTFPI活性を調べた。本発明者らは、いくつかの活性は、TFPIが、炎症性サイトカインを介して抗菌活性を制御するシグナル伝達複合体の一部であることと一致すると考えている。正常血液中の炎症性サイトカインレベルは、きわめて低く、外因性ala−TFPIが添加された場合も低いままであった(図5)。予測された通り、LPSの正常血液への添加は、IL−6、IL−1βおよびTNF−αを含む炎症性サイトカインレベルを上昇させた。この反応は、血漿TFPI濃度に感受性であり、機能的TFPIのいずれの欠失も、この反応を低下させるであろう。
意外にも、LPSもまた、添加されたala−TFPIが、インターフェロン−γ(IFN−γ)、IL−6、IL−1β、およびTNF−αを誘導するように、TFPIに対し血液を感作した(図6、7A)。IL−6、IFN−γ、TNF−αおよびIL−1βの増加は全て、少量の抗TFPIにより覆された(図7B)。このサイトカインのスペクトルは、マクロファージの活性化と関連して、これらの抗菌活性を増加させる。
細胞免疫学における現在の理解では、細胞性免疫は、T1細胞により媒介される。T1細胞の活性化は、関連するT細胞の抗原認識およびクローン性増殖という、1週間を要するプロセスを必要とする。ala−TFPIによる誘導が数時間後に生じたが、これは、活性化のこの形態が、適応免疫系が十分に関与する前に、感染の臨床初期段階において重要な役割を果たしうることを示唆するものである。
これらの結果は、TFPIは、凝固カスケードにおけるプロテアーゼインヒビターではなく、シグナル伝達カスケードにおけるリガンドとして機能しているように思われることを示す。
(実施例8)
最近の文献は、TFPIとこの受容体との相互作用に不可欠なドメインとして、Kunitzドメイン3(K3)を挙げているが、K3は、凝固阻害に関しては重要でないと思われる。Piro&Broze、Circulation.2004年12月7日;110(23):3567〜72頁。全血アッセイにより、本発明者らは、TFPIがサイトカインを誘導するのに必要とされるTFPIドメインをマッピングした。この結果は、図8に示されている。本発明者らは、C末端ドメインおよびK3の双方を欠く欠失変異体が不活性であるのに対し、C末端が欠失したTFPIは、依然として活性を有することを見出した。これらのデータは、K3を介して受容体に固定されるTFPIの、提案されたシグナル伝達活性と一致する。
(実施例9)
上述の通り、LPS含有血液への血清の添加は、サイトカインのスペクトル(これらには、IL−1β、TNF−α、IL−6、IL−8、IL−10が含まれるが、IFN−γは含まれない)を誘導する。この回収物は、活性化されたマクロファージの産生量と一致する。外因的に添加された3から10nMのala−TFPIは、血清に誘導されたこれらのサイトカインを阻害することができる(図7および9)。
(実施例10)
TFPIは因子Xaにより誘発されたIL−6産生を阻害する
IL−6産生に対するTFPIの阻害活性は、Xa産生を阻害するTFPIの能力を介すると思われる。図10は、さまざまなインヒビター(インヒビターDEGR−VIIa、DEGR−IXa、およびDEGR−Xaは、VIIai、IXaiおよびXaiと記載される)の存在下、LPSおよび血清に誘発されたIL−6を測定する全血アッセイの結果を示している。本発明者らが、いくつかのインヒビターを試験したとき、本発明者らは、部位不活性化VIIaが活性を持たないことを見出した。このことは、サイトカインが、組織因子(TF)媒介性の凝固活性化により誘発されたことを示している。本発明者らの予測に反して、部位不活性化IXaは、TFPIと同じくらい強力であった。このことは、サイトカイン分泌が、内因性凝固カスケードを介して誘発される因子Xaの形成に関与したことを示している。文献によれば、Xaは、トロンビンを生成するXaの能力を介してサイトカインを誘導するはずである。これに反し、本発明者らは、部位不活性化Xaが作用を持たないことを見出した。
これらの結果は、サイトカインは、Xaにより直接誘発されうること、この反応型におけるTFPIは、Xa産生を阻害するTFPIの能力を介して効力発揮することを示している。
(実施例11)
TFPIおよびAPC(活性化タンパク質C)は、各々がトロンビン産生を制限するため、凝固に対するきわめて類似の作用を有する(図11)。しかし、サイトカイン誘導が、因子Xaに誘発される場合、これらの薬剤は、IL−6誘導に対する異なる作用を有するはずである。APCは、因子VIIIaの破壊によりXa産生を阻害するが、TFによるXa産生に対しては作用を持たない。本発明者らの敗血症血液モデルでは、本発明者らは、この反応に少量のTFを添加した際、まさしくこの結果を観察した(図12)。IXaが、IL−6を誘発する反応では、本発明者らは、両方のタンパク質が、IL−6レベルに反映されるように、血清による炎症を阻害しうることを見出している。予測通り、APCは、内因性経路により誘導されるIL−6産生を阻害した。しかし、TFの存在下では、TFPIのみがIL−6産生を阻害しうるであろう。
(実施例12)
血液細胞は、この表面にTFPIを有することが知られている。このTFPIの活性を定量するため、本発明者らは、この機能を抗TFPI抗体で阻害し、サイトカインを測定した(図13)。添加されたala−TFPIで見られた阻害とは明らかに反対に、抗TFPIはIL−6分泌も阻害した。これらのデータは、ala−TFPIを正常血液およびLPSに添加した結果と類似する。これらのデータから、本発明者らは、TFPIは、シグナル伝達複合体の一部であると結論づけた。
TF:VIIa:Xa複合体のカベオラ(ここで、複合体はTFPIと結合する)への移動モデルは、図14に示されている。この複合体は、複合体の形成をXaに依存する。この機構にとらわれたくはないが、本発明者らは、複合体の機能は、サイトカイン分泌を活性化し、細菌排除機構を高めることであると考える。複合体の形成はXaに依存するため、過剰なTFPIは、抗体を中和化するのと同様に、複合体の形成を防止するであろう。
このモデルに従い、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)誘導性サイトカインの制御は、PAR−1がアゴニストペプチドにより活性化された場合でも、因子Xaに依存することを見出した(図15)。PAR−1活性化をブロックする抗体が、IL−6分泌を阻害したことから(図16)、PAR−1は、本発明者らの敗血症血液モデルでは、IL−6分泌を誘導するシグナル伝達系の一部であるように思われる。PAR−1アゴニストのさらなる添加は、IL−6分泌を増加させた。これらの活性の双方は、PARが、炎症性サイトカイン産生に関与していることに関する文献データと一致する。PAR活性化は、凝固カスケードの下流であるため、PARアゴニストは、この系では優位のはずである。その代わりに本発明者らは、TFPIは、サイトカインを制御するXa依存性TFPI複合体の本発明者らのモデルと整合して、PARアゴニストより優位になりうることに気づく。
(実施例13)
カベオラにおけるTFPIの主要な貯蔵庫は、内皮細胞において見られる。これらの細胞は、これらの細胞の、表面TFの迅速な誘導を介して血液感染の見張り役を果たすことが提案されている。上述の通り、本発明者らは、血液が、IL−6の適度なバースト放出により、LPSに反応することを見出した(図17)。同様に、内皮細胞は、少量のサイトカインでLPSに反応する。本発明者らは、血液および内皮細胞を組み合わせることが、LPSに対する相乗的反応につながることを見出した。本発明者らは、相乗的反応が、IL−6およびIL−8に限定されることを見出した。これは、内皮細胞の警報システムとしての役割と一致する。
今一度、この反応におけるTFPIの役割を調べるため、本発明者らは、中和化抗TFPI抗体を添加した(図18)。本発明者らは、高濃度の抗TFPIが、IL−6産生を阻害することを見出した。この阻害がTFPIによるものであることを確かめるため、本発明者らは、抗TFPIを低濃度のala−TFPIでプレインキュベートし、10nMのala−TFPIが、部分的に600nMの抗TFPIの作用を減弱させることを見出した(図19)。

Claims (39)

  1. 重症細菌感染を発症するリスクのある患者、または重症細菌感染と診断された患者を治療する方法であって、TFPIまたはTFPIアナログを、それを必要とし、以下の基準:
    (a)血中IL−6レベルが3,200pg/ml未満;
    (b)国際標準比(INR)が2.5未満;
    (c)急性生理スコア(APS)が26未満;
    (d)Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアが38未満;および
    (e)MODSスコアが18を超える
    の1つまたは複数を満たす患者に投与することを含む方法。
  2. 重症細菌感染による死亡リスクを低下させる方法であって、TFPIまたはTFPIアナログを含む医薬組成物を、それを必要とし、以下の基準:
    (a)血中IL−6レベルが3,200pg/ml未満;
    (b)国際標準比(INR)が2.5未満;
    (c)急性生理スコア(APS)が26未満;
    (d)Acute Physiology And Chronic Health Evaluation(APACHE II)スコアが38未満;および
    (e)MODSスコアが18を超える
    の1つまたは複数を満たす患者に投与することを含む方法。
  3. 重症細菌感染が、肺炎、菌血症、深部組織感染、皮膚感染、軟部組織感染、歯周炎、腹膜炎、外科感染、または髄膜炎の原因となる、請求項1または請求項2の方法。
  4. 重症細菌感染が、肺炎の原因となり、肺炎は、市中肺炎または院内肺炎である、請求項3の方法。
  5. 肺炎が、S.pneumoniaeに起因する、請求項4の方法。
  6. TFPIまたはTFPIアナログが、グリコシル化されていない、請求項1から6のいずれかの方法。
  7. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約12%未満が、修飾された種であり、修飾された種は、
    (i)逆相クロマトグラフィーで検出される、酸化TFPIまたはTFPIアナログの分子;
    (ii)カチオン交換クロマトグラフィーで検出される、カルバミル化TFPIまたはTFPIアナログの分子;
    (iii)Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出される、脱アミド化TFPIまたはTFPIアナログの分子;
    (iv)アミノ酸分析で決定される、システイン付加物を含むTFPIまたはTFPIアナログの分子;
    (v)サイズ除外クロマトグラフィーで検出される、凝集したTFPIまたはTFPIアナログの分子;および
    (vi)非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出される、誤って折り畳まれたTFPIまたはTFPIアナログの分子
    の1つまたは複数を含む、請求項1から6のいずれかの方法。
  8. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が酸化される、請求項7の方法。
  9. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満がカルバミル化される、請求項7の方法。
  10. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約9%未満が脱アミド化される、請求項7の方法。
  11. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約2%未満がシステイン付加物を含む、請求項7の方法。
  12. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が凝集される、請求項7の方法。
  13. TFPIまたはTFPIアナログの分子の約3%未満が誤って折り畳まれる、請求項7の方法。
  14. TFPIまたはTFPIアナログが、TFPIまたはTFPIアナログを含む凍結乾燥組成物から調製される、請求項1から13のいずれかの方法。
  15. TFPIまたはTFPIアナログが、アルギニンを含む製剤として投与される、請求項1から13のいずれかの方法。
  16. TFPIまたはTFPIアナログが、クエン酸を含む製剤として投与される、請求項1から13のいずれかの方法。
  17. 医薬組成物が、0.01から1.0mg/ml、0.01から0.8mg/ml、0.01から0.5mg/ml、0.01から0.3mg/ml、0.01から0.2mg/ml、または0.01から0.1mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログを含む、請求項1から16のいずれかの方法。
  18. 医薬組成物が、150〜450mM、150〜400mM、150〜350mM、または150〜300mMのL−アルギニンを含む、請求項1から16のいずれかの方法。
  19. 医薬組成物が、0.1〜50mM、0.1〜40mM、0.1〜30mM、0.1〜25mM、0.1〜15mM、0.1〜10mM、または0.1〜5mMのL−メチオニンを含む、請求項1から16のいずれかの方法。
  20. 医薬組成物が、5〜50mM、5〜45mM、5〜40mM、5〜35mM、5〜30mM、5〜25mM、または5〜20mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む、請求項1から16のいずれかの方法。
  21. 医薬組成物が、5.0〜6、5.0〜5.8、5.0〜5.7、5.0〜5.6、または5.0〜5.5のpHを有する、請求項1から20のいずれかの方法。
  22. 医薬組成物が、0.15±15%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±15%mMのL−アルギニン、5±15%mMのL−メチオニン、および20±15%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±15%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  23. 医薬組成物が、0.15±10%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±10%mMのL−アルギニン、5±10%mMのL−メチオニン、および20±10%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±10%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  24. 医薬組成物が、0.15±5%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±5%mMのL−アルギニン、5±5%mMのL−メチオニン、および20±5%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±5%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  25. 医薬組成物が、0.45±15%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±15%mMのL−アルギニン、5±15%mMのL−メチオニン、および20±15%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±15%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  26. 医薬組成物が、0.45±10%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±10%mMのL−アルギニン、5±10%mMのL−メチオニン、および20±10%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±10%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  27. 医薬組成物が、0.45±5%mg/mlのTFPIまたはTFPIアナログ、300±5%mMのL−アルギニン、5±5%mMのL−メチオニン、および20±5%mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5±5%)を含む、請求項1から21のいずれかの方法。
  28. TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを約0.66mg/kg/時間未満の投与速度で投与するのに等しい投与速度で連続静脈内注入により投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  29. 投与速度が、参照ala−TFPIを投与速度約0.00025から約0.1mg/kg/時間で投与するのに等しく、TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約72時間投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  30. 投与速度が、参照ala−TFPIを投与速度約0.010から約0.1mg/kg/時間で投与するのに等しい、請求項1から27のいずれかの方法。
  31. 投与速度が、参照ala−TFPIを投与速度約0.02から約0.1mg/kg/時間で投与するのに等しい、請求項1から27のいずれかの方法。
  32. TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約96時間投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  33. TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを合計用量約0.024から約4.8mg/kgで投与するのに等しい合計用量を提供する連続静脈内注入により投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  34. TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを投与速度約0.02から約1mg/kg/時間で投与するのに等しい投与速度で連続静脈内注入により投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  35. TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIを日用量約0.006mg/kgから約1.2mg/kgで投与するのに等しい日用量を提供する連続静脈内注入により投与される、請求項1から27のいずれかの方法。
  36. TFPIまたはTFPIアナログが、10〜200時間、10〜150時間、または24〜96時間の間、注入により投与される、請求項1から35のいずれかの方法。
  37. 患者が、TFPIまたはTFPIアナログ投与前の少なくとも8時間はヘパリン治療を受けていない、請求項1から36のいずれかの方法。
  38. 活性化タンパク質Cで患者を治療することをさらに含む、請求項1から37のいずれかの方法。
  39. TFPIアナログが、ala−TFPIである、請求項1から38のいずれかの方法。
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