JP2008539715A - Hivに対して中和活性を有するがil2には中和活性を有さない抗体又はその断片 - Google Patents

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Abstract

本発明は、配列ID NO 1、配列ID NO 2、配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)を、H鎖可変領域中に含む、モノクローナル抗体又はその断片に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、HIVに対する中和活性を有し、かつHIV感染の治療及び/又は予防に役立つ、抗体又はその断片に関する。本発明は、該抗体を含む医薬組成物、診断の組成物及び受動免疫療法を提供する方法に関する。
ヒト免疫不全ウィルス(HIV)は、動物レトロウィルスのレンチウィルス科の構成員であり、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となる因子である。今まで、HIVタイプ1(HIV−1)及びタイプ2(HIV−2)の二つの近縁種が分子レベルで同定されそして特徴付けされている。
逆転写酵素阻害剤のような、HIVに対する抗ウィルス剤の導入は、AIDSに冒された患者の状態を大いに改善することを許す。しかしながら、大抵の場合、これらのAIDSに対する薬剤の治療的な効果は部分的又は一時的であり、そしてさらに、これら薬剤は造血細胞に対する毒性又は成長阻害を示し、かつそれにより、不全となった免疫システムの再構築を阻害する。
それ故に、AIDS予防計画及び抗レトロウィルス薬治療(VALDISERRI, 2003, Nat. Med, 9:881)は有効な殺菌剤及びワクチンと組み合わせられるべきであることが一般に認められている。しかし、そのようなワクチンの設計及び試験は複雑であると示されている(LETVIN, et al. 2002, Annu. Rev. Immunol., 20:73; McMICHAEL & HANKE, 2003, Nat. Med., 9:874)。
粘膜表面はHIV−1の進入のための主要部位である(NICOLOSI, et al. 1994, J. Acquir. Immun. Defic. Syndr., 7:296)。HIV−1の伝染は、***、初乳、母乳、及び膣頸部流体のような、HIV−1に感染した流体に粘膜の表面がさらされることを通じて起こりうる(CHERMANN, 1998, Am. J. Reprod. Immunol., 40:183; MILMAN & SCHARMA, 1994, AIDS, 10:1305)。
HIVと粘膜表面との相互作用の故に、HIVに対して意図されたワクチンの構成部分は、粘膜の免疫システムを、粘膜のウィルス伝染と潜在的な受容体の初期段階を妨げることに従事させる。
AIDSウィルス中和性抗体が、防御において重要な役割を明らかに果たしうることが認められている。
しかしながら、実験室で増やされた特定のウィルス株に対する中和性抗体を得ることは可能だが、広い範囲の株を中和することができ、かつインビボで有効に活性である抗体の実施は、いまだ同様の成功を収めていない。
ウィルスエンベロープにおいて最も保存される領域であるHIVのgp41の外ドメインは、非常に免疫原性な糖タンパク質である。
HIVウィルスのレトロウィルスエンベロープタンパク質gp41の保存されかつ免疫優勢な領域は、ヒト免疫系のタンパク質、及び特にはIL−2、の或る領域との、三次元的な構造類似及び/又は交差反応性の故に、有害な自己免疫現象に責任があるだろうことが、米国特許第6455265号から知られている。
国際公開第2005/010033号パンフレットからは、gp41のN−及びC−ヘリックスの間の連絡ループ中のリンカー断片を含み、かつ自己免疫副作用を欠く又は減じられたgp41改変ループタンパク質が知られている。
それ故に、自己免疫副作用なしに、HIVの感染、及び特にHIV−1の感染を中和することを許す抗体の必要がある。
粘膜表面を通じたHIV感染を予防すること及び/又は減らすことを許す抗体の必要がある。
また、受動免疫療法において用いられるべきことが意図された薬剤の製造のために抗体を供給する必要がある。
診断の目的の為に用いられうる抗体の必要がある。
本発明は、それら上述の必要の全て又は一部を満たすことを目的として有する。
発明者らは、上述の満たされていない必要を満たすことを許す効率的なモノクローナル抗体を得た。
特に、本発明者らは、配列ID NO 1、配列ID NO 2及び配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)を、H鎖可変領域中に含む新規IgA抗体Fabを同定した。
より特には、新規に同定されたIgA抗体Fabは、gp41改変ループタンパク質又は野生型gp41タンパク質を認識しうるが、gp41改変ループタンパク質及び野生型gp41タンパク質中に生じるP1と呼ばれるペプチドを認識し得ない。
ペプチドP1(配列ID NO 12)は、例えば配列ID NO 11の、かつHIV−1株のHxB2から得られる、gp41タンパク質の野生型アミノ酸配列のアミノ酸配列649から683に対応する。
この新規に同定された抗体は、HIV−1トランスサイトーシスを阻害しかつCD4+T細胞の感染を防ぐ能力も有する。
それ故に、その局面の一つに従い、本発明は配列ID NO 1、配列ID NO 2及び配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はその機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)をH鎖可変領域に含むモノクローナル抗体又はその断片に関する。
その局面の他に従い、本発明は、下記に定義されるgp41改変ループタンパク質を認識し、かつ配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しない、モノクローナル抗体又はその断片に関する。本発明に従う抗体により認識されうるgp41改変ループタンパク質の例として、配列ID NO 13のアミノ酸配列を有するgp41改変ループタンパク質が挙げられうる。
従って、本発明に従う抗体は、HIVの種々の株に天然に発生しうるgp41タンパク質の野生型配列も認識しうる。
その局面の他に従い、本発明は、配列ID NO 1、配列ID NO 2及び配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)を含むL鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又はその断片に関する。
本明細書で用いられる語「抗体の断片」は、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失を有するが、残存するアミノ酸配列は天然に発生する配列中において対応する位置と同一である抗体であり、かつその生物学的特性を維持された又は不利に影響されていないものを云う。この抗体の断片は、アミノ酸残基の挿入、欠失、及び/若しくは置換のような追加的な修正、並びに/又はキメラタンパク質を作成するための他のペプチド又はタンパク質との融合を含みうる。語「抗体の断片」は、抗体の様々な部分、すなわち定常、可変、重及び軽鎖をも包含しうる。
本発明の意味において、ペプチドに関する表現「機能的類似体」は、他のアミノ酸配列とのアミノ酸配列の相同性又は同一性を有し、かつ該他のペプチド配列と比較して類似の又は保存された生物学的特性を有するペプチドを云うことが意図されている。典型的には、ペプチド類似体は、天然に発生する配列に対して保存的なアミノ酸の置換(及び/又は挿入及び/又は欠失)を含んだ。
他の局面に従い、本発明は、配列ID NO 3、配列ID NO 4、配列ID NO 5のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1のCDRを含むH鎖可変領域にも関する。
その面の他に従い、本発明は、下記に定義されるgp41改変ループタンパク質を認識し、かつ例えば配列ID NO 13のペプチド配列を有し、かつ配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しないH鎖可変領域に向けられる。
その面の他に従い、本発明の抗体又はその断片は、HIVを中和する能力を有する。
その面の他に従い、本発明は、本発明の抗体又はその断片をコードする核酸配列、同様に該核酸配列を含む発現ベクター及び宿主細胞にも関係する。
その面の他に従い、本発明は、活性な剤として、本発明の抗体若しくはその断片、本発明の核酸配列、本発明のベクター又は本発明の宿主細胞、及び適当なキャリアから選ばれる剤の有効量を含む医薬組成物に関する。
その面の他に従い、本発明は、サンプル中のHIV株をインビトロで検出するための、診断の組成物及び方法にも向けられる。
その面の他に従い、本発明は、少なくとも1の本発明の抗体又はその断片の治療的に有効量を投与することを含む、HIVに感染しうる個人の受動免疫療法を提供する方法にも関係する。
抗体
本発明に従う抗体は、完全な免疫グロブリン、又はその断片、及び特にその抗原結合性部分を云う。
免疫グロブリンは4量体分子であり、ポリペプチド鎖の2つの同一なペアからなり、夫々のペアは1つの“軽”(L)鎖(約25kDa)及び一つの“重”(H)鎖(約50〜70kDa)を有する。夫々の鎖のアミノ末端部分は約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域(V)を含み、主として抗原認識に責任がある。夫々の鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能に責任がある定常領域(C)を定める。ヒト軽鎖はκ及びλ軽鎖に分類される。重鎖定常領域はμ、δ、γ、α、又はεとして分類され、抗体アイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして夫々定める。軽/重鎖ペア夫々の可変領域は、完全な免疫グロブリンが概して少なくとも2つの結合部位を有するように、抗体結合部位を形成する。
本発明の特定の実施態様では、本発明のモノクローナル抗体又はその断片は、IgA、及びより特には分泌型IgA(S−IgA)であってよい。
他の実施態様に従い、本発明のモノクローナル抗体又はその断片はヒト抗体であってよい。
免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれるフリーの超可変領域の隣に、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)継ぎ目の同じ一般構造を表す。それぞれのペアの2つの鎖からのCDRは、フレームワーク領域の隣に整列させられており、特定のエピトープ(抗体の抗原を結合する部分)に結合することを可能とする。N末端からC末端にかけて、軽及び重鎖のいずれも、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4ドメインを含む。
実施態様に従い、本発明に従う抗体は、配列ID NO 1、配列ID NO 2及び配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)を、H鎖可変領域中に有する。
特定の実施態様に従い、本発明の抗体又はその断片のH鎖可変領域は、CDRとして、配列ID NO 1、配列ID NO2及び配列ID NO3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体を含む。
他の実施態様の範囲内で、本発明の抗体は、前に定義されたH鎖可変領域である。特に、本発明のH鎖可変領域は、配列ID NO 1、配列ID NO 2及び配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1のCDRを含みうる。
他の実施態様に従い、本発明のH鎖可変領域はCDRとして、配列ID NO 1、配列ID NO2及び配列ID NO3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体を含む。
本発明に従う抗体、又は本発明のH鎖可変領域は、P1と呼ばれかつ配列ID NO 12のアミノ酸配列を有するペプチドを認識し得ない。
本発明の他の実施態様の範囲内で、本発明に従う抗体又はその断片は、配列ID NO 4、配列ID NO 5及び配列ID NO 6のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域を有するL鎖可変領域をも含みうる。
それ故に、他の実施態様に従い、本発明は配列ID NO 4、配列ID NO 5及び配列ID NO 6のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域を含むL鎖可変領域にも関する。
他の実施態様に従い、本発明のL鎖可変領域はCDRとして、配列ID NO 4、配列ID NO 5及び配列ID NO 6のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体を含む。
実施態様に従い、本発明に従う抗体は、配列ID NO 7及び配列ID NO 8のアミノ酸配列を夫々有するH鎖可変領域及びL鎖可変領域又はそれらの機能的類似体を含む。特定の実施態様では、本発明の抗体は、実験の説明の個所においてクローン69として同定され、かつ該H及びL鎖可変領域を含むFabである。
他の実施態様に従い、本発明の抗体は組み換え抗HIV抗体又はその断片であってよい。組み換え抗体は本発明のH鎖可変領域を含みうる。
他の実施態様に従い、本発明の組み換え抗体は追加的に、本発明のL鎖可変領域を含みうる。
従って、本発明のH鎖可変領域のCDR、又は全体としてのH鎖可変領域は、例えばIgGアイソタイプのフレームワークのように、IgAアイソタイプと異なるフレームワークを有するキメラの又は組み換え抗体を構築するために用いられうる。そのような構築物は、“Molecular Cloning - A Laboratory Manual” (2nded.), Sambrook et al.,1989, Coldspring Harbor Laboratory, Coldspring Harbor Press, N.Y. (Sambrook)に記載されているような当技術分野で既知のいずれの分子生物学的手段により得られうる。キメラの又は組み換え抗体は、抗体全体又はその断片であってよい。
従って、本発明のH鎖可変領域又はL鎖可変領域のCDRの機能的類似体は、本発明に従う抗体の当初配列の代わりにいったん挿入されると、下記で定義されるgp41改変ループタンパク質、又は野生型gp41タンパク質を認識する該抗体の能力を維持し又はその能力に不都合な影響を及ぼさない。例として、gp41改変ループタンパク質は配列ID NO 13のアミノ酸配列を有し得、そしてgp41の野生型配列は、例えば、配列ID NO 11のアミノ酸配列又はその機能的類似体を有しうる。更に、配列ID NO 12の配列のペプチドを認識しないその能力、及びHIVを中和しかつ/又はHIV感染を阻害するその能力は、同様に維持される。
本発明は、本発明のヒト交代に由来するFab断片及び、IgG及び同様物のような他のIgサブタイプに由来するヒトFcドメインを含む抗体にも関する。
それ故に、実施態様に従い、前に定義されたH鎖可変領域を含む、本発明に従う抗体又はその断片の抗原結合部分にも向けられ得る。この抗原結合部分は任意的に、前に定義されたL鎖可変領域を含みうる。
抗原結合部分は、いずれかの既知の組み換えDNA技術により、又は完全な抗体の酵素的又は化学的開裂により製造されうる。抗原結合部分は、とりわけ、Fab(VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価断片)、F(ab’)(ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む2価断片)、Fv(抗体の一つの腕のVL及びVHドメインからなる断片)、Fd(VH及びCH1ドメインからなる断片)、dAb断片(VHドメインからなる)、scFv(VL及びVH領域が対にされて、合成リンカーを介して1価分子を形成している抗体からなる)、キメラ抗体、二重特異性抗体、及び相補性決定領域(CDR)断片を含みうる。
本発明の抗体又はその断片のHIVを中和する能力は、以下に示されそして実施例に表されるように、トランスサイトーシスの阻害分析及びCD4+ T細胞の感染の遮断分析を通じて評価されうる。
GP41改変ループタンパク質
本発明の抗体は、HIVのgp41糖タンパク質の野生型アミノ酸配列に由来するgp41改変ループタンパク質を認識しうる。本発明を実施するために召集されうるgp41タンパク質の野生型アミノ酸配列の例として、HIV−1株HxB2に由来する、配列ID NO 11のアミノ酸配列が挙げられ得る。
本発明を実施するために有用であり得るgp41改変ループタンパク質は、自己免疫反応を引き起こす危険を回避又は減ずるように、ヒトインターロイキン−2(IL−2)との相同性を減少させるため、免疫優勢の領域にいくつかの変異(欠失、置換及び/又は挿入)を導入することにより入手されうる。そのようなgp41改変ループタンパク質は特に、引用することにより本明細書に組み込まれる国際公開第2005/010033号パンフレットに記載されている。
本明細書において、「変異」は、ポリペプチドの領域(任意的に一つのアミノ酸残基に減少される)の、物理的手段、化学的手段(共有結合的又は非共有結合的修飾)及び/又は生物学的手段(1以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入による変異)による何らかの修飾を云い、該領域(「変異領域」と称される)の構成アミノ酸の機能的な能力の改変をもたらす。例として、ジスルフィド結合、水素結合、静電気的相互作用及び/又は疎水性相互作用の特性の、廃止、獲得及び/又は調節、タンパク質のヘテロ複合体を形成する能力の改変、あるいは代わりにオリゴマータンパク質の場合にはオリゴマー化の状態又はオリゴマーの安定性の改変をもたらす変異を実施することが可能である
免疫優性領域の改変は、親水性かつ非又は弱免疫原性の柔軟なリンカーの並びに任意的に変異の、ループ中への導入又はループの一部の置換を結果する。
gp41改変ループタンパク質は、その免疫優性領域に少なくとも1の変異を更に含んでよく、これは宿主タンパク質との、特にはIL−2との、B型及び/T型の、インビトロでの交差反応性を与える。
抗原性におけるこの変化に影響を与えるのに決定的ないくつかの変異は、米国特許第6455265号明細書及び国際公開第2005/010033号パンフレットに開示されており、それらの教示は引用することにより本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
本発明に役立つgp41改変ループタンパク質は、国際公開第2005/010033号パンフレットに記載されるように、N−若しくはC−末端でのアミノ酸配列の一部の切断のような修正、又はHis−Tag又はHA−Tagのような、キメラタンパク質を製造するためのペプチド配列の付加をも含みうる。
本発明に用いられるべきgp41改変ループタンパク質を調製するために、“Molecular Cloning - A Laboratory Manual” (2nded.), Sambrook et al.,1989, Coldspring Harbor Laboratory, Coldspring Harbor Press, N.Y. (Sambrook)に記載されているような、ペプチド合成又は遺伝子工学の技術のいずれかの既知の方法を用いることが可能である。
特定の実施態様に従い、本発明の抗体は、配列ID NO 13のアミノ酸配列を有するgp41改変ループタンパク質又はその類似体を認識しうる。
追加的に、本発明に従う抗体又はその断片は、例えば配列ID NO 13のアミノ酸配列を有する、gp41改変ループタンパク質を認識するだけでなく、野生型gp41タンパク質も認識するが、配列ID NO 12のペプチド配列を認識することはない。
本発明の抗体により認識されうる野生型gp41タンパク質の例として、HIV株HxB2に由来し、かつそのアミノ酸配列540から683に対応する、配列ID NO 11のアミノ酸配列を有するgp41タンパク質が挙げられる。
ペプチドP1
本発明の抗体は、P1と呼ばれ、かつ配列ID NO 12のペプチド配列を有するペプチド又はその類似体を認識しない。
ペプチドP1は、HIVエンベロープタンパク質gp41中に存在するアミノ酸配列に対応し、ウィルスが標的細胞と相互作用する前にはgp41はウィルス粒子の表面に露出されている。例として、HIV−1 HxB2株では、この配列は野生型gp41タンパク質のアミノ酸649からアミノ酸683からなる。
水溶液中において、このペプチドは、構造化された、濃度依存的オリゴマーの状態、すなわち2量体又は4量体の状態を取る(ALFSEN & BOMSEL, 2002, J. Biol. Chem., 277: 25649)。
それ故に、本発明に従う抗体若しくはH鎖可変領域又はそれら断片は、モノマー又はオリゴマーの形態下のペプチドP1を認識しない。
抗体の中和活性
HIVに対する、本発明の抗体又はその断片の中和活性は、
実施態様に従い、中和されるHIVは、より特にはHIV−1株である。
本発明のモノクローナル抗体の、細胞を横切るHIVのトランスサイトーシスを阻害する能力の評価は、極性が与えられたいずれかの細胞において実施されうる。一つの実施態様では、極性が与えられた細胞は、例えば腸細胞株HT−29若しくは子宮内膜細胞株HEC−1のような上皮細胞、又はヒト粘膜バイオプシーからの細胞であってよい(Bomsel et al., Immunity, 1998, 3:277)。典型的には、細胞株が、2つの独立したチャンバー(上方のものは上皮単層の頂端面を浴につけ、下方のものは基底面を浴につける)の間の境界面を形成する(例えば0.45μmの孔径を有する)透過性フィルター支持体上に、すき間無い、極性が与えられた単層のように増殖させられるか、あるいはバイオプシーが用いるチャンバー中に据え付けられる。
トランスサイトーシスは、例えばHIV−1に感染した末梢血単核球(PBMC)のような、HIVに感染した細胞を、頂端チャンバー(apical chamber)で接触させることにより開始されうる。
試験されるべき抗体は、HIVに感染した細胞の適用の前若しくは後で、頂端チャンバーに施与されうる、又はHIV−1ウィルス若しくはHIV−1に感染した細胞とともに予備インキュベートされうる。
試験されるべき本発明の抗体は、さまざまな濃度、例えば約0.01から約10ng/ml、特に約0.1から5ng/ml又はさらに特には約0.5から約1ng/mlで適用されてよい。
ウィルストランスサイトーシス及び可能ならばその阻害の評価は、PCR、RT−PCR、又はELISAのような当技術分野で既知のいずれかの技術により、基底側培地中におけるHIVの核酸又はタンパク質の検出により実施されうる。
一つの実施態様では、ウィルストランスサイトーシスの評価のために用いられうるHIVペプチドは、例えばPASTEUR−SANOFI(フランス)により用意されるキットを用いた、ELISA分析により検出されうるp24ペプチドであってよい。
特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその断片が、約106の、HIV−1に感染したPBMCに、約0.5ng/mlから約5ng/mlの濃度で添加され、そして、約17℃又は約4℃で約1時間培養され、その後頂端チャンバーへ感染した細胞が植え付けられたときは、本発明のモノクローナル抗体又はその断片は、106のHIV−1+PBMCの頂端チャンバーへの添加により開始されるウィルストランスサイトーシスを、抗体なしで実施されたウィルストランスサイトーシスに比べて、少なくとも約50%だけ、特には少なくとも約75%だけ、さらに特には少なくとも約95%だけ阻害しうる。
他の実施態様では、HIV感染PBMCの添加に先立って、本発明の抗体又はその断片は頂端チャンバーに添加されうる。そのような実施態様では、トランスサイトーシスの阻害は、抗体なしで実施されたウィルストランスサイトーシスに比べて少なくとも約50%でありうる。
例として、本発明の対象でもあるクローン69のFab及びFdは、HIVトランスサイトーシスを夫々少なくとも約70%及び約80%だけ阻害しうる。
特定の実施態様では、本発明の対象でもあるクローン69のFab及びFdは、本技術分野で既知の慣用の方法に従い、フローサイトメトリー分析により測定されるように、HIV−1(JRCSF クローン R5)に感染したPBMCの表面で発現されているgp41に特異的に結合することができる。
他の実施態様では、本発明に従うモノクローナル抗体又はその断片は、CD4+T細胞のHIV感染を阻害する能力を示す。
特定の実施態様では、本発明の抗体又はその断片と共に、ウィルスを約1ng/mlで約37℃で約30分間の培養した後で、HIVによるCD4+T細胞の感染が、抗体を伴わないで又はウィルスを認識しない非特異的抗体と共に、CD4+T細胞のHIV感染が実施された場合に比べて、少なくとも約75%だけ、及びさらに特には少なくとも約95%だけ阻害されうる。
例として、本発明の対象であるFabクローン69はCD4+T細胞のHIV感染を少なくとも95%だけ阻害しうる。
核酸、ベクター及び宿主細胞
本発明の抗体は、実施例の部分において記載されているように得られるFab IgAファージディスプレイライブラリーのスクリーニングにより同定される。
コンビナトリアルライブラリーの製造及び操作の方法は、文献中に広く記載されてきており、かつ当技術分野の当業者の一般的な知識に由来する。
コンビナトリアルFabファージディスプレイライブラリーは、2段階の方法において選抜される。
第1工程では、Fabファージディスプレイライブラリーが、(酵素結合免疫吸着検定(ELISA)プレートのような)固体支持体上に固定化された、配列ID NO 12の配列を有するペプチドP1に上でスクリーンされ、これはこのペプチドを認識する抗体のライブラリーをなくすためである。
この第1段階は、約100μMの抗原濃度を用いて実施され、この濃度ではペプチドP1は2量体/4量体のオリゴマー化状態を採る。
第2工程では、Fabファージディスプレイライブラリーが、固体支持体上に固定化された抗原に対する反復のパンニングにより、gp41改変ループタンパク質に対して選抜された。本方法はマイクロパンニングとして知られており、Azzay & Highsmith(Clinical Biochemistry, 2002, 35:425-445)中に記載されている。
本発明のFabファージディスプレイライブラリーを選抜するために用いられうるgp41改変ループタンパク質は、例えば、配列ID NO 13のアミノ酸配列又はその機能的類似体を有しうる。
出発量は、例えば約2から約1μgであってよく、すると、その量は夫々のパンニングラウンドにおいて2回分割されうる。
抗原、すなわちgp41改変ループタンパク質とバクテリオファージの外側に配置される抗原結合ドメインとの間の相互作用の検出は、当技術分野で既知のいずれかの技術により評価されうる。例えば、ELISA分析が用いられてよく、ここでgp41改変ループタンパク質はプレートのウェル中に塗付され、そしてその後ライブラリーからのファージが適用される。
夫々のファージに特有である、抗原結合部位をコードする遺伝子は、その後、選択されたファージのファージ核酸から回収され、完全な抗体分子又は上記のFab断片、F(ab’)2、又はscFvのようなその類似体のための遺伝子を構築するために配列決定されそして用いられる。
選択されたファージから回収された、抗原結合部位をコードする遺伝子の配列は、当技術分野の当業者に由来する既知のいずれかの技術に従い配列決定されうる。
例えば、配列決定は、Taq蛍光ジデオキシヌクレオチドターミネーターサイクルシーケンシングキット(Applied Biosystems)により、自動化されたDNAシーケンサーを用いることにより実施されうる。二本鎖DNAは、例えばバクテリアから調製され、配列決定は、FabのH及びL鎖(夫々のFab鎖の上及び下流)のクローニングのために用いられるベクターに特異的にアニールするプライマーのセットを用いて実施されうる。例えば、pComb3Xベクターを用いる場合、表2に説明される配列を有するプライマーが用いられうる。
それゆえに、他の実施態様に従い、本発明は、本発明の重及び軽鎖可変領域アミノ酸配列(これら配列は夫々配列ID NO 7及び配列ID NO 8である)をコードするcDNA、RNA、及びその同様物のような核酸分子にも関する。
特に、本発明の核酸配列は、H鎖可変領域については配列ID NO 9であり得、そしてL鎖可変領域については配列ID NO 10の配列でありうる。
もちろん、遺伝コードの縮重により、配列ID NO 7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列ID NO 8の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体又はその機能的類似体産生に向けられることができる核酸配列をもたらすであろう配列ID NO 9及び配列ID NO 10に夫々示される重及び軽鎖可変領域の核酸配列において、変異が考慮されてよい。
実施態様に従い、本発明は、本発明の抗体又はその断片をコードする核酸配列にも関する。この核酸は、RNA、cDNA及びその同様物であってよい。本発明の核酸配列は、当技術分野の既知のいずれかの分子生物学的技術によりキメラタンパク質を構築するために、他の核酸配列に融合されうる。例えば、本発明の核酸配列は、その後例えば本発明の抗体を精製するために用いられる、HA−Tag又はHis−Tagをコードする核酸に融合されうる。
他の実施態様に従い、本発明は、本発明によるモノクローナル抗体又はその断片をコードする核酸配列を含む発現ベクターにも関する。
そのような発現ベクターは、様々な種類の細胞中で、本発明に従うモノクローナル抗体又はその断片の発現のために用いられうる。そのようなベクターは、プラスミド又はウィルス性ベクターであってよい。そのようなベクターは、宿主細胞中での自律複製の能力があり、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれうる。
本発明を達成するために召集しうるベクターの例として、pComb3X又はpASK88が挙げられうる。
本発明は、バクテリア、哺乳動物細胞(CHO又はHEK293)、昆虫細胞(Sf9細胞のような)、又は植物細胞(タバコ、トマト)のような、様々な宿主細胞による、本発明の抗体又はその断片の発現も意図している。
発現後、本発明の抗体は、当技術分野における既知のいずれかの技術により単離され及び精製されうる。例えば、抗体はHis−Tag又はHA−Tagを用いて発現され、そしてその後、ニッケルカラム上で又は当技術分野で通常的に実施されるような特異的な抗体により精製されうる。
それ故に、本発明は、本発明によるモノクローナル抗体又はその断片をコードする核酸配列により形質転換された宿主細胞にも向けられる。宿主細胞は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム技術、リポフェクション、例えば組み換えウィルスを用いた感染のような、当技術分野で既知のいずれかの形質転換の技術に従い入手されうる。本発明は、バクテリアの場合はエレクトロポレーション、若しくは哺乳動物細胞(CHO)の場合はリポフェクションのような、本発明によるモノクローナル抗体又はその断片をコードする核酸配列により形質転換された宿主細胞に向けられる。
医薬組成物
一つの実施態様に従い、本発明は、活性な剤として、本発明の抗体、特にはクローン69、若しくはその断片、本発明のH鎖可変領域、本発明の組み換え抗HIV抗体若しくはその断片、本発明に従う核酸、本発明に従う発現ベクター又は本発明に従う宿主細胞、及び適当なキャリアから選ばれる剤の少なくとも1の有効量を含む医薬組成物に関する。
他の実施態様に従い、上記の活性な剤が、HIV感染の、及び特にはHIV−1感染の、予防及び/又は治療において用いられることが意図される医薬の製造のために用いられうる。
語「有効量」は、期待される効果、すなわちHIVの中和及び/又はHIV感染の予防、を認めるのに必要な最小の量を意味する。個々の患者に対する本発明に従う抗体又はその断片の治療的又は予防的有効量は、副作用を最小限にしながら、治療的又は予防的効果(すなわち感染の減少又は予防)に至るために個人に与えられた抗体の量として定義されうる。有効量は、個人のHIV抗原の量の血清学的な減少により測定されうる。
本発明の抗体又はその断片の治療的又は予防的有効量のための、典型的であり、限定的でない範囲は、約0.1〜100mg/kg、より特には約0.5〜50mg/kg、より特には約1〜20mg/kg、及びさらにより特には約1〜10mg/kgである。
他の実施態様に従い、本発明のモノクローナル抗体若しくはその断片、又は本発明の医薬組成物は、HIVに感染しうる又はHIVにさらされやすい個人、あるいはHIVにさらされた個人に、少なくとも1の本発明に従う抗体若しくはその断片、又は本発明の医薬組成物の治療的有効量を投与することにより、受動免疫療法に用いられうる。本発明の受動免疫療法は、HIV感染により引き起こされるAIDS又は関係する状態を示す個人に、若しくはHIV感染の恐れのある個人に実施されうる。
一つの実施態様に従い、本発明の受動免疫療法は、予防的に、すなわちHIVへの起こりやすい曝露の前に、実施されてもよい。
本発明の医薬組成物は、経口で、注射で(静脈内に若しくは鼻腔内に、又は同様の方法で)、局所的に、経直腸的に、経膣的に、又は同様の方法で投与されうる。
それ故に、本発明の医薬組成物は、注射可能な又は不溶解性の滅菌溶液、分散物又は懸濁物、錠剤、丸薬、粉薬、リポソーム、座薬及びクリームのような、様々なガレノス形態下に調製されうる。
本発明の医薬組成物の製造において用いられる適当なキャリアは、実施されることが意図されるガレノス形態に従い採用されるべきである。そのような適当なキャリアは、水、生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、及び同様物、並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。湿潤剤若しくは乳化剤、保存剤又は緩衝剤のような医薬的に許容される物質も、本発明の医薬組成物に含まれうる。
本発明の医薬組成物は、本発明の活性な剤に加えて、抗レトロウィルス剤のような、HIVに対する他の活性な剤も含みうる。他の実施態様に従い、そのような追加的抗レトロウィルス剤は、本発明の医薬組成物との組み合わせで、同時に、別々に、又は時間的に連続的に、投与されうる。
他の実施態様の範囲内で、本発明の抗体又はその断片は、治療用の目的のために標識されてもよく、その場合には、標識剤は、放射性同位体又は放射性核種(131I、99Tc、111In又は同様物)、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、ドキソルビシン及び同様物のような、薬物複合体又は毒素でありうる。
診断用組成物及び応用
本発明のモノクローナル抗体又はその断片は、サンプル中のHIV株、特にはHIV−1株をインビトロで検出するための方法において診断的な剤としても用いられうる。
その実施態様の一つでは、本発明の方法は少なくとも
a)サンプルを少なくともの1の本発明の抗体又はその断片と、該抗体又はその断片とgp41タンパク質又はその機能的類似体との間で複合体を形成する為に適当な条件下で接触させること、及び
b)該複合体の存在を検出すること
の工程を含む。
本発明に従う抗体と複合されうるgp41タンパク質の例として、例えば配列ID NO 11のアミノ酸配列を有するgp41タンパク質のような野生型gp41タンパク質、若しくはその機能的類似体、又は例えば配列ID NO 13のアミノ酸配列を有するgp41改変ループタンパク質のような改変gp41タンパク質、若しくはその機能的類似体が挙げられる。
複合体の検出は、当技術分野で既知のいずれかの免疫アッセイにより実施されうる。
そのようなアッセイは、放射免疫アッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、免疫蛍光アッセイ、(ELISAのような)酵素免疫アッセイ、化学発光アッセイ、免疫組織化学的アッセイ、及び同様方法を含むが、これらに限定されない。
さらに検出の容易のために、本発明のモノクローナル抗体又はその断片が、検出可能なマーカーにより標識されうる。標識剤の例として、フルオレセイン若しくはローダミンのような蛍光化合物、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ若しくはルシフェラーゼのような酵素、アビジン若しくはストレプトアビジン結合の間接的測定を通じた検出を許すビオチン、又は例えば放射性同位体若しくは放射性核種として3H、14C若しくは125Iを含む放射性標識されたアミノ酸が挙げられる。
その実施態様の他に従い、本発明は、本発明による抗体又はその断片を含む診断用組成物にも向けられる。
本発明をより理解されるように、以下の実施例が説明される。
これら実施例は、説明の目的のためのみであり、何らかの様式に本発明の範囲を限定するとして解釈されるものでない。
図面の説明
図1:高度に曝露された、持続的にIgG血清陰性(HEPS)の個人の抗HIV−1 IgA含有膣頸部分泌物にさらされたgp41由来のHIV−1タンパク質のイムノブロットを表す。陽性対照として、gp41ペプチドのイムノブロットが、HIV血清陽性の個人から得られた血清を用いて行われた。そして、陰性対照として、同じ実験がHIV血清陰性の個人の血清を用いて行われた。
図2:プラスミドpComb3Xの概略図を表しており、Fab IgAファージライブラリー由来の重及び軽鎖の可変及び定常領域は、夫々制限酵素部位Sac 1とXba 1の間、及びXho 1とSpe 1の間に挿入されている。
図3:選択されたIgA Fabクローンによる子宮内膜HEC−1細胞株を横切るHIV−1のトランスサイトーシスの阻害を表す。陰性対照は、抗体なしの(標準)又は空のプラスミドTOP10により得られたファージライブラリーの選抜から生じた産物を用いた実験の実施により得られた。陽性対照は、2F5抗体IgAを用いることにより得られた。
図4:HIV株HxB2(アミノ酸546から682)の野生型gp41タンパク質、ロイシンジッパー、BSA及びリゾチームについて、クローンFab69及び抗体αIgA 2F5により実施されたドットブロットを表す。ニトロセルロース膜の洗浄後、抗体タンパク質複合体は、Fabクローン69についてはマウス抗His抗体、2F5抗体についてはマウス抗ヒト抗体とともにインキュベートされた。両方とも、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合されたヤギ抗マウス抗体により明らかにされ、そしてECL及びオートラジオグラフィーが続いた。
図5:本発明に従う抗体のH鎖可変領域の相補性決定配列(配列ID NO 1としてCDR1、配列ID NO 2としてCDR2、配列ID NO 3としてCDR3)、及び本発明に従う抗体のL鎖可変領域のCDR(配列ID NO 4、配列ID NO 5及び配列ID NO 6のCDR1、CDR2及びCDR3)に対応するアミノ酸配列を表す。
図6A及び6B:クローンFab69の重鎖可変領域(配列ID NO 7及び配列ID NO 9)及び軽鎖可変領域(配列ID NO 8及び配列ID NO 10)のアミノ酸配列及び核酸配列を表す。
図7:オンラインで無料で利用できる(かつM.P.LEFRANC,フランスにより作られた)IMTGプログラムを用いて得られたFab IgAクローン69の軽及び重鎖のフレームワーク(FR)領域及び相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を表す。IMGT/V−QUEST ソフトウェア(http://imgt.cines.fr)。
図8:野生型gp41タンパク質に対応するアミノ酸配列、配列ID NO 11(HIV−1株HxB2)、ペプチドP1配列ID NO 12を表す。
図9:gp41改変ループタンパク質のアミノ酸配列、配列ID NO 13を表す。
表1:HEPS個人から得られたDNAを増幅するために用いられたプライマーの配列を表す。
表2:ファージディスプレイライブラリーからFab IgAの核酸配列を同定し及び配列決定するために用いられたプライマーの配列を表す。
実施例1
高度に曝露された、持続的にIgG血清陰性(HEPS)の個人の膣頸部分泌物中の抗HIV−1 IgAの同定
カンボジア出身の56のHEPSの頸部分泌物がHIV−エンベロープ糖タンパク質 S−IgAについて試験された。分泌物は、3mlの滅菌PBSを用いて2日の性的禁欲後に集められた。サンプルは、遠心され、そして冷凍され、そして−80℃で保存された。***によるサンプルの汚染が、インキュベート時間を増加させ及び基質としてオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライドを用いて最適化されたこと以外は製造業者に従う***検出分析(SEMA; HUMANGEN FERTILITY DIAGNOSTICS, Charlottesville, VA)を用いて測定された。汚染されたサンプルは廃棄された。
HIVに対する特異的なIgA抗体の存在が、市販入手可能なキット(New Lav Blot1, Sanofi-Pasteur, フランス)を用いて、製造業者に従う手順を用いて、ウェスタンブロットにより試験された。
試験されたサンプルのうち、22は高水準の抗HIVエンベロープgp41分泌型IgA(S−IgA)を含有した(図1)。
実施例2
IgAのFabを発現するコンビナトリアルファージディスプレイライブラリーの構築
実施例1の22の同定されたHEPSの粘膜のB細胞が、IgAのFabを発現するコンビナトリアルファージディスプレイライブラリーを構築するために用いられた。
全RNAは、22のHEPS個人の膣頸部分泌物由来の濃縮されたB細胞集団から、標準的な技術を用いて調製された。全RNA(60μg)は、迅速な一段階のグアニジンイソチオシアネート/フェノールクロロホルムに基づくRNA単離により、頸部B細胞から精製された(CHOMCZYNSKI & SACCHI, Anal. Biochm., 1987, 162:156-9.)。この全RNAは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて、相補的DNA(cDNA)に転換された。得られたcDNAライブラリーは、表1に表される粘膜Fab IgA特異的プライマーを用いて増幅された。
増幅されたDNAはその後、軽鎖(L)に対してはSac 1及びXba 1、並びに重鎖(H)に対してはXho 1及びSpe 1により消化され、そして消化産物は同じ酵素により消化されたベクターpComb3X(BARBAS et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 1991, 88:7978-82)中に挿入された。消化されたベクターと消化されたPCR産物はT4ファージのDNAリガーゼを用いて連結された(4の挿入物と1のベクターとT4DNAリガーゼ、14℃で一晩)(図2)。得られた組み換えプラスミドはその後、エレクトロポレーションによりバクテリアE.coli(pilus+,male)TG1を形質転換するために用いられた。
バクテリアの形質転換後の培養液中における抗体cDNAのライブラリーがその後、ヘルパーファージVCS−M13(1012pfu)(Strategene, La Jolla, CA)による重感染によりバクテリオファージ上で発現された。
ファージ調製物が回収された。ファージは20%(重量/体積)ポリエチレングリコール8000及び2.5M NaClの添加と、それに続く1時間の氷上でのインキュベーションにより沈殿された。遠心後、ファージペレットがリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁され、そして数分間微量遠心されペレットデブリにされた。
タイタープレートからのコロニーの制限消化分析は、約35%のファージがFab IgAを含むこと、及びライブラリーに含有される力価は概して10cfu/mlであり、そして10の種々のクローンであった。
実施例3
gp41改変ループタンパク質(配列ID NO 13)上でのFab IgAファージライブラリーのスクリーニング
Fab IgAファージディスプレイライブラリーがマイクロパンニングにより選抜された。マイクロパンニングにおいて抗原濃度はそれぞれのラウンドで異なる状態であった。スクリーニングに用いられた抗原はgp41改変ループタンパク質(配列ID NO 13)であった。用いられたペプチドP1の開始量は20μgであった、そしてその量はそれぞれのラウンドで2で割られ、最終的に第4回目でその量は2.5μgに至った。
gp41改変ループタンパク質(配列ID NO 13)によるFab IgAファージディスプレイライブラリーの選抜に先立ち、第1のパンニングラウンドが、20μg(100μM)の量のペプチドP1(配列ID NO 12)(ALFSEN & BOMSEL, 2002, J. Biol. Chem., 277:25649-59; ベルギー王国、Eurogentecより入手)(この量でこのペプチドはオリゴマー化状態になる)により実施された。そのような手順は、オリゴマー化状態のペプチドP1に結合しうるいずれかのFab IgAを捨て去ることを許す。
用いられたgp41改変ループタンパク質の出発量は、1μgであり、そしてその量は夫々のラウンドで2で割られ、最終的には第4回目において125ngの量に至った。
96−プレートのウェル(Exiqon peptide Immobilirez, 10202-111-10)が1μgのgp41改変ループタンパク質で覆われ、その後、ウェルはBSAにより37℃で2時間ブロックされた。ライブラリーから調製された濃縮ファージがその後、ウェルに1012〜1013pfuで加えられ、37℃で2時間置かれた。結合されなかったファージはその後激しい洗浄、第1回目及び第2回目の選抜のラウンドでは、0.1%Tween−20を含有するPBSにより10回、それから界面活性剤を除去するためにPBSにより10回、により除去された。選抜の後のラウンドでは、洗浄は0.1%Tween−20を含むPBSで20回実施され、その後PBSで20回実施された。gp41改変ループタンパク質結合性表面Fabのエピトープを持つファージの特異的な溶出が、0.1Mグリシン−HCLによる処理により、pH2.2に調節されて10分間実施された。溶出液はすぐに中和され、そして新鮮な2mlのE.coli TG1 バクテリア培養液(OD600=1)を感染するために用いられた。バクテリアは、30℃で30分間インキュベートされ、培養液の体積は増加させられ、そして培養液は37℃の振とう器中で1時間インキュベートされ、そしてその後1012pfu/mlのVCS−M13ヘルパーファージが、組み換えファージの一晩かけての製造のために添加された。溶出されたファージは、それぞれのパンニングラウンドの間に増幅された。
パンニング後、4つのラウンドからの個々のクローンが増殖させられ、そしてFabの存在が、表2に示される、ベクターにFab軽及び重鎖に対して上流及び下流でハイブリダイズする、特異的なプライマーを用いてPCRにより監視された。Fab IgAを含有するクローンは、E.coliアンバー非サプレッサー株に形質転換することにより可溶化Fabに転換され、そしてIMGT/V−QUESTソフトウェアを用いて重(H)及び軽(L)鎖の可変領域配列を決定するために配列決定された(図7)。
免疫グロブリン遺伝子の配列決定
配列決定は、Taq蛍光ジデオキシヌクレオチドターミネーターサイクルシーケンシングキット(Applied Biosystems)を用いて自動化されたDNAシーケンサーを用いて行われた。二本鎖DNAはバクテリアから調製され、そして配列決定はpComb3Xベクターに夫々のFab鎖の上及び下流で特異的にアニールするプライマーのセット(表2参照)を用いて実施された。
図6A及び6Bは、クローン69のH及びL鎖可変領域の配列決定の結果を示す(配列ID NO 9及び配列ID NO 10)。
図7は、IMGTソフトウェアを用いた相補性決定領域の対応するアミノ酸配列の同定結果を示す。
クローニングのために用いられたベクターは、タグ(His−tag及びHA−tag)配列及びファージタンパク質pIIIの間にアンバーコドンを有し、TG1のようなE.coliサプレッサー株を用いてファージのコートタンパク質と融合された抗体を製造するため、又はTOP−10のような非サプレッサー株中においてベクターを発現することにより可溶化抗体を製造するための機会を提供する。この利点を考慮し、ファージのDNAは、pIII融合タンパク質なしで可溶Fab断片を発現するために、TOP−10E.coli(アンバー非サプレッサー株)を形質転換するために用いられた。Fab発現は1mMイソプロピルb−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導された。
本発明のモノクローナル抗体の大規模発現のために、オペロン全体がpComb3XからベクターpASK88に移された(SKERRA A,. Gene, 1994, 151(1-2): p. 131-5; Gene, 1994, 141(1): p. 79-84; SKERRA A,. et al., Biotechnology(N Y), 1991. 9(3), p.273-8; SKERRA A. & A. PLUCKTHUN,Protein Eng, 1991, 4(8):p971-9)。
本発明のモノクローナル抗体のFab DNAは、pASK88ベクター中へのサブクローニングに必要とされる制限部位を導入する特異的なプライマーを用いて増幅された。増幅産物はアガロースゲル電気泳動により精製され、そして重鎖の場合は制限酵素Pst1及びNco1により、軽鎖の場合はSac1及びHindIIIにより切断された。Fd(VH−CH1)及び軽鎖(VL−CL)遺伝子は、標準的なプロトコルを用いて、同じ制限酵素により消化されたpASK88中に別個に挿入され、そして連結された。連結産物はサーモコンピテントJM83(Skerra博士より提供)バクテリアの細胞中に形質転換され、個々のクローンにおいて分離するためにプレートされた。いくつかのクローンについてのプラスミドDNAは、制限消化により、及びそれらのうちのいくつかについては、特異的なプライマーを用いた二本鎖配列決定により分析された(SKERRA A,. Gene, 1994, 151(1-2): p. 131-5; Gene, 1994, 141(1): p. 79-84; SKERRA A,. et al., Biotechnology(N Y), 1991. 9(3), p.273-8; SKERRA A. & A. PLUCKTHUN,Protein Eng, 1991, 4(8):p971-9)。
発現ベクターpASK88は、免疫グロブリンの可変ドメイン遺伝子の簡便なクローニング並びにエシェリヒア コリにおいて対応するFab断片のペリプラズムの分泌のために設計された。このプラスミドにおいて、発現はテトラサイクリンプロモーターの制御下にあった。
大量の本発明のモノクローナル抗体が、このベクターを用いて得られた。予備的発現は1リットルスケールで実施され、E.coli K−12 JM83を発現宿主として採用した。細胞は、対数増殖期中期に増殖させられ、そしてその後Fab発現が0.2mg/Lアンヒドロテトラサイクリンにより4時間又は一晩誘導された。
本発明のモノクローナル抗体の精製は、Ni−NTAスピンカラム(Qiagen)上でHis−tagとの相互作用により実施された。滅菌されたペリプラズム画分フィルターがカラム上に適用され、そしてクロマトグラフィーバッファー中の250〜500mMの勾配がサンプルを集めるために加えられた。
実施例4
ファージディスプレイライブラリーからの可溶IgA Fabクローンにより実施されたELISAアッセイ
ELISAはTOP−10F’バクテリア(pComb3X系)から得られた可溶IgA Fabにより及びK−12 JM83バクテリア(pASK88系)から得られた可溶IgA Fabにより実施された。
プレート(固定化されたExiqonペプチド, 10202-111-10又はNUNC, 439454)のウェルが100ngのgp41改変ループタンパク質(配列ID NO 13)により覆われ、そしてBSAにより37℃で2時間ブロックされた。それから、精製されたIgAが2ng/mlで添加され、そして37℃で2時間インキュベートされた。検出は、マウス抗Ha抗体(クローン12CA5、Roche)又は抗His(PentaHis、Qiagen 34660)、及び続くホースラディッシュペルオキシダーゼヤギ抗マウス抗体(Caltag Laboratories,H1003)により、行われた。酵素の反応は基質としてTMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン, Kikergaard & Perry Laboratories Inc.)を添加することにより進展され、吸収は、1Mリン酸の添加後に、ELISAリーダーを用いて450nmで測定された。陽性対照は2F5抗体であり、陰性対照はパンニング後に得られた、ELISAによりgp41改変ループタンパク質を認識しないクローンであった。
実施例5
トランスサイトーシスの阻害
上皮細胞を横切るHIV−1トランスサイトーシス及び抗体によるトランスサイトーシスの中和が、2つの独立したチャンバー(上皮単層の頂端(発光)面を浴につける上部のもの及び基底(漿膜)面を浴につける下部のもの)の間に境界面を形成する透過性フィルター支持体(0.45μm孔径)上に、7日間、すき間の無い、極性が与えられた単層として増殖させられた腸細胞株HEC−1上で実施された。
PBMCはLAGAYAら(J. Virol, 2001, 75:4780)において示されたように得られ、そして調製された。それから、PBMCは、フィトヘマグルチニン(PhA)により48時間活性化され、そしてHIV−1 JRCSFクローンR5又はYU2を接種され、そして感染後7日で用いられた。精製されたS−IgA(5ng/ml)は頂端側のチャンバーに添加され、そして37℃で10分間インキュベートされた。
ウィルストランスサイトーシスを開始するために、2.106HIV−1+PBMCが頂端側のチャンバーに添加された。HIV−1+PBMCと上皮細胞単層の間の接触は、HIV−1ウィルス粒子の迅速な発芽を結果し、上皮細胞の頂端側から基底側の極へのそれらのトランスサイトーシスが続いた。2時間後、抗体によるトランスサイトーシスの阻害が、ELISA(Coulter, France or PASTEUR SANOFI, FRANCE)による基底側培地中のHIVのタンパク質p24の検出により決定された。抗体の不存在における若しくはgp41改変ループタンパク質非特異的Fabの存在における、又は対照IgA 2F5の存在における、p24の水準が、夫々陰性又は陽性の対照として、夫々100、98及び35%の値で測定された。陰性対照の値は、トランスサイトーシスの100%として扱われ、そして結果を表すために用いられた。
実験は、3つの独立した実験において行われた。
結果は、50%超だけHIVトランスサイトーシスを阻害できた3つのクローンを確認することを許し、それらはクローン69であった(図3)。
実施例6
ドットブロット
BSA、ロイシンジッパー、リゾチーム及びHIV株HxB2の野生型gp41タンパク質(546から682のアミノ酸配列、ABIから入手)が、夫々100ng/mlでニトロセルロース膜にドットされた。その後、Fabクローン69が5ng/mlで、又は抗体2F5 α IgAが2μg/ml 1:2500で、ニトロセルロース膜とインキュベートされた。
ニトロセルロース膜の洗浄後(ウェスタンブロッキング試薬、Roche:製造者説明書に従い、ブロッキングには1%、抗体結合には0.1%)、免疫複合体が、Fabクローン69ついてはマウス抗His抗体(Qiagen、0.2mg/ml、1:5000)と共に、2F5 α IgAについてはマウス抗ヒト抗体と共に、インキュベートされた。両方とも、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したヤギ抗マウス抗体(Catalog Laboratories、H1003 1/4000)を明らかにし、ECL及びオートラジオグラフィー(ECL、Amersham、製造者の説明書に従った)が続いた。
図4は、2回繰り返された実験の代表的結果である。
Figure 2008539715
Figure 2008539715
gp41由来のHIV-1タンパク質のイムノブロットの結果の図である。 プラスミドpComb3Xの概略図である。 選択されたIgA FabクローンによるHIV−1のトランスサイトーシスの阻害結果を表すグラフである。 HIV−1株HxB2の野生型gp41タンパク質に対して、クローンFab69及び抗体α IgA 2F5と共に実施されたドットブロットの結果の図である。 本発明に従うH鎖可変領域及びL鎖可変領域の相補性決定領域に相当するアミノ酸配列である。 クローンFab69の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列並びにクローンFab69の重鎖可変領域の核酸配列である。 クローンFab69の軽鎖可変領域の核酸配列である。 Fab IgAクローン69の軽及び重鎖のフレームワーク(FR)領域及び相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列である。 野生型gp41タンパク質に相当するアミノ酸配列及びペプチドP1配列である。 gp41改変ループタンパク質のアミノ酸配列である。

Claims (23)

  1. 配列ID NO 1、配列ID NO 2、配列ID NO 3のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1の相補性決定領域(CDR)を、H鎖可変領域中に含む、モノクローナル抗体又はその断片。
  2. 配列ID NO 4、配列ID NO 5、配列ID NO 6のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1のCDRを、L鎖可変領域中に含む、請求項1に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  3. 配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しない、請求項1又は2に従うモノクローナル抗体。
  4. 配列ID NO 13のアミノ酸配列を有するgp41改変ループタンパク質を認識しかつ配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しない、モノクローナル抗体又はその断片。
  5. IgAである、請求項1〜4のいずれか1項に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  6. ヒト抗体である、請求項1〜5のいずれか1項に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  7. 重鎖可変領域が配列ID NO 7のアミノ酸配列を有し、かつ軽鎖可変領域が配列ID NO 8のアミノ酸配列を有する、請求項1〜6のいずれか1項に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  8. HIVを中和する能力を有する、請求項1〜7のいずれか1項に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  9. 中和されるHIVがHIV−1株である、請求項8に従うモノクローナル抗体又はその断片。
  10. 配列ID NO 3、配列ID NO 4、配列ID NO 5のアミノ酸配列を夫々有するCDR1、CDR2及びCDR3又はそれらの機能的類似体から選ばれる少なくとも1のCDRを含む、H鎖可変領域。
  11. 請求項10に従うH鎖可変領域であって、配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しないH鎖可変領域。
  12. 配列ID NO 13のアミノ酸配列を有するgp41改変ループタンパク質を認識し、かつ配列ID NO 12のアミノ酸配列のペプチドを認識しない、H鎖可変領域。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に従うH鎖可変領域を含む、組み換え抗HIV抗体又はその断片。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に従い定義されるモノクローナル抗体又はその断片をコードする核酸配列。
  15. 重鎖の核酸配列が配列ID NO 9である、請求項14に従う核酸配列。
  16. 軽鎖の核酸配列が配列ID NO 10である、請求項14に従う核酸配列。
  17. 請求項14〜16のいずれか1項に従い定義される核酸配列を含む発現ベクター。
  18. 請求項14〜16のいずれか1項に従い定義される核酸配列により又は請求項17に従い定義される発現ベクターにより形質転換された宿主細胞。
  19. 請求項1〜13のいずれか1項に従い定義される抗体又はその断片、請求項14〜16に従い定義される核酸配列、請求項17に従い定義される発現ベクター、又は請求項18に従い定義される宿主細胞から選ばれる有効量の剤を、活性な剤として、及び適当なキャリアを含む、医薬組成物。
  20. 請求項1〜13のいずれか1項に従い定義される抗体又はその断片、請求項14〜16に従い定義される核酸配列、請求項17に従い定義される発現ベクター、又は請求項18に従い定義される宿主細胞を、HIV感染の予防及び/又は治療に用いられるべきことが意図される医薬を製造するために使用する方法。
  21. 請求項1〜13のいずれか1項に従い定義される、抗体又はその断片を含む診断用組成物。
  22. サンプル中のHIV株をインビトロで検出する方法において、少なくとも
    a)該サンプルと、請求項1〜13に従い定義される少なくとも1の抗体又はその断片とを、該抗体又はその断片とgp41タンパク質又はその機能的類似体との間で複合体を形成する為に適当な条件下で、接触させること、及び
    b)該複合体の存在を検出すること
    の工程を含む方法。
  23. HIVに感染しうる個人に受動免疫療法を提供する方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に従い定義される少なくとも1の抗体又はその断片の治療的有効量を該個人に投与することを含む方法。
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