JP2008524261A - インフルエンザウイルスタンパク質の組成物およびその使用方法 - Google Patents

インフルエンザウイルスタンパク質の組成物およびその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008524261A
JP2008524261A JP2007547054A JP2007547054A JP2008524261A JP 2008524261 A JP2008524261 A JP 2008524261A JP 2007547054 A JP2007547054 A JP 2007547054A JP 2007547054 A JP2007547054 A JP 2007547054A JP 2008524261 A JP2008524261 A JP 2008524261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
influenza
seq
composition
pathogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007547054A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008524261A5 (ja
Inventor
パウエル,トーマス,ジェイ.
ナカール,バレリアン
ソン,ランチョウ
マクドナルド,ウィリアム,エフ.
ヒューイット,デュアン,ディー.
Original Assignee
バクシネート コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バクシネート コーポレーション filed Critical バクシネート コーポレーション
Publication of JP2008524261A publication Critical patent/JP2008524261A/ja
Publication of JP2008524261A5 publication Critical patent/JP2008524261A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/16Antivirals for RNA viruses for influenza or rhinoviruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/60Medicinal preparations containing antigens or antibodies characteristics by the carrier linked to the antigen
    • A61K2039/6031Proteins
    • A61K2039/6075Viral proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/60Medicinal preparations containing antigens or antibodies characteristics by the carrier linked to the antigen
    • A61K2039/6093Synthetic polymers, e.g. polyethyleneglycol [PEG], Polymers or copolymers of (D) glutamate and (D) lysine
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/70Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction
    • C07K2319/74Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction containing a fusion for binding to a cell surface receptor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2760/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
    • C12N2760/00011Details
    • C12N2760/16011Orthomyxoviridae
    • C12N2760/16111Influenzavirus A, i.e. influenza A virus
    • C12N2760/16122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザウイルス抗原の内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む。該組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを用いて被験体における免疫応答を刺激する。

Description

(関連出願)
本出願は、2004年12月21日に出願された米国仮出願第60/638,254号、2004年12月21日に出願された第60/638,350号、2005年1月19日に出願された第60/645,067号、2005年2月15日に出願された第60/653,207号、2005年3月31日に出願された60/666,878号、2005年5月18日に出願された第60/682,077号、および2005年11月30日に出願された第60/741,202号の利益を主張する。上記出願の全ての全教示は、参照によって本明細書に援用される。
(発明の背景)
インフルエンザは、通常RNAウイルスによってもたらされる感染性の疾患である。3種類のインフルエンザウイルス-インフルエンザA、BおよびC型が公知である。インフルエンザA型の自然の宿主は水鳥である。インフルエンザA型ウイルスは、ヒト、トリ、家畜(例えばブタ、ウマ)、および水生動物(例えばアザラシ)に感染し得る。インフルエンザB型ウイルスは、通常ヒトのみに見られる。一般に、インフルエンザへの感染は、発熱、筋痛、頭痛、咳および筋肉痛を特徴とする。年長者および虚弱者において、インフルエンザB型の感染は障害および死をもたらし得る。インフルエンザB型ウイルスは、ヒトにおいて流行を生じ得る。インフルエンザC型ウイルスは、ヒトにおいて軽い疾病を生じ得、流行を生じない。インフルエンザ感染を予防および管理するための戦略としては、不活性化ウイルスを用いたワクチン、およびアマンタジン(塩酸1-アミノアダマンチン(aminoadamantine))、リマンタジン、ザナミビルおよびオセルタミビル等の鼻腔スプレーおよび薬物が挙げられる。しかしながら、かかる戦略は需要を供給することを維持するためにはコストがかかるので、供給が制限され、変動的な防御および決して満足できない症状の軽減に終わり、それにより効果のない疾病の予防または処置を生じ得、いくつかの例において、インフルエンザ感染の結果、死をもたらし得る。従って、インフルエンザ感染の予防および管理のための処置の新しい、改善された効果的な方法の開発が必要である。
(発明の概要)
本発明は、病原体関連分子パターン(PAMP)およびインフルエンザウイルスタンパク質を含む、組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに関する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体の免疫応答を刺激する方法に使用され得る。
一態様において、本発明は、少なくとも一つのPam3Cysおよび少なくとも一つのインフルエンザウイルスタンパク質の内在性(integral)膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターン(PAMP)および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質であり、ここで病原体関連分子パターンはPam2Cysではない。
さらなる態様において、本発明は、病原体関連分子パターンおよびM2タンパク質を含む組成物であり、ここで病原体関連分子パターンはPam2Cysではない。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つのPam3Cysおよびインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体の免疫応答を刺激する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではない、被験体の免疫応答を刺激する方法である。
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで、病原体関連分子パターンはPam2Cysでなく、M2タンパク質はM2eタンパク質ではない、被験体の免疫応答を刺激する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない、被験体の免疫応答を刺激する方法である。
さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない、被験体の免疫応答を刺激する方法である。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを使用して、被験体の免疫応答を刺激し得る。例えば、特許請求の範囲にかかる発明の利点としては、インフルエンザ感染の予防および処置に用いるために比較的大量に製造され得る、費用効果的な組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが挙げられる。特許請求の範囲にかかる組成物、融合タンパク質、ポリペプチドおよび方法を使用して、インフルエンザ感染を予防または処置し得るため、インフルエンザ感染の結果の深刻な疾病および死を免れ得る。
(発明の詳細な説明)
これより、本発明の工程または本発明の部分の組合せのいずれかで、本発明の特徴および他の詳細をより具体的に記載し、特許請求の範囲において示す。本発明の特定の態様が本発明の限定としてではなく図示により示されることが理解されよう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様で使用され得る。
一態様において、本発明は少なくとも一つのPam3Cys([パルミトイル]-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピルシステイン)およびインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物である。Pam3Cys(本明細書中で「P2」とも言われる)は、Toll様レセプター2(TLR2)アゴニストである。
該組成物は、インフルエンザウイルスタンパク質の、例えば2、3、4、5、6以上の(例えばPam2Cys、Pam3Cys)および2、3、4(例えば配列番号:17および18)、5、6以上の内在性膜タンパク質を含み得る。2以上のPAMPおよび/または2以上のインフルエンザウイルスタンパク質が本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを含む場合、それらは「多量体」とも言われる。例えば、M2タンパク質のアミノ末端の多量体は、四つの24アミノ酸配列(合計96アミノ酸)であり得、それらは本明細書中で4xM2または4xM2eと言われる(「M2e」はM2タンパク質の24アミノ酸のアミノ末端またはその外部ドメインのことを言う)。
病原体関連分子パターン(PAMP)とは、パターン認識レセプター(PRR)に結合した際に先天性免疫応答を引き起こし得る微生物中に見られる分子(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質)の類のことを言う。PRRはToll様レセプター(TLR)であり得る。Toll様レセプターとは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melangogaster)のTollタンパク質に相同な一群のレセプタータンパク質のことを言う。Toll様レセプターは、細胞外ロイシンに富んだ繰り返しドメインおよびインターロイキン1レセプターの細胞内ドメインに相同な細胞内ドメインを特徴とする、I型膜貫通シグナル伝達レセプタータンパク質である。Toll様レセプターとしては、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11およびTLR12が挙げられる。
病原体関連分子パターンは、例えばPam3Cys等のTLR2アゴニストのようなtoll様レセプターのアゴニストであり得る。TLRに関して本明細書で使用する場合、「アゴニスト」はTLRシグナル伝達経路を活性化する分子を意味する。TLRシグナル伝達経路は、TLRリガンドまたはTLRアゴニストにより活性化され得る特定のTLRに用いられる細胞内シグナル情報伝達経路である。共通の細胞内経路はTLRにより用いられ、例えばNF-κB、Jun N末端キナーゼおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼが挙げられる。病原体関連分子パターンとしては、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR9アゴニスト、TLR10アゴニスト、TLR11アゴニストおよびTLR12アゴニストからなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。
インフルエンザウイルスは、ウイルスのリボ核タンパク質(RNP)抗原およびマトリックス(M)抗原の抗原性の差によって決定される、三つの型(すなわちA、B、C)に分けられる。インフルエンザA型ウイルスは流行および汎流行を引き起こし得、トリ中間宿主を有する。インフルエンザB型ウイルスは本来ヒトのみに感染すると思われ、ヒトに流行を起こし得る。それは本来、ヒトと、ブタおよびウマを含む他のいくつかの哺乳動物種、ならびに多種多様な鳥類種に感染する。インフルエンザC型ウイルスはヒトおよびブタから単離されたが、通常は流行を起こさず、通常ヒトにおいて軽い疾患を引き起こす。
インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルスおよびインフルエンザC型ウイルスはオルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科に属する。インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルスおよびインフルエンザC型ウイルスの属のビリオンは、一本鎖のネガティブセンス分節RNAゲノムを含み、直径80〜120nmの範囲の多型構造で被覆される。該一本鎖RNAゲノムは、らせん状の核タンパク質と密接に結合して、7個(インフルエンザC)または8個(インフルエンザAおよびB)のリボ核タンパク質(RNP)の別々のフラグメント中に存在しており、それぞれはウイルスの複製の成功のために存在していなければならない。分節ゲノムは、外部リポタンパク質エンベロープ内に封入される。マトリックスタンパク質1(MP1または本明細書中では「M1」とも言われる)は、外部リポタンパク質エンベロープの内側に整列し、RNPに結合する。
インフルエンザウイルスの外部リポタンパク質エンベロープは、二つの型の突き出たスパイクを有する。突き出たスパイクの一つは、酵素的性質を有する内在性膜タンパク質ノイラミニダーゼ(NA)である。もう一つのエンベロープスパイクは、ウイルス粒子の細胞膜への結合に関係し、赤血球を含む種々の細胞上の特異的なレセプターに結合し得る三量体の内在性膜タンパク質赤血球凝集素(HA)である。外部リポタンパク質エンベロープはビリオンを不安定なものにし、熱、乾燥、洗浄剤、溶剤に対して感受性である。
マトリックスタンパク質2(M2またはM2タンパク質)は、インフルエンザA型ウイルスの陽子選択的内在性膜イオンチャネルタンパク質である。M2はウイルス感染細胞の細胞膜で豊富に発現されるが、一般にビリオンによっては低発現である。例えば、インフルエンザAの一部のM2配列は、MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDPLVVAASIIGILHLILWILDRLFFKCIYRLFKHGLKRGPSTEGVPESMREEYRKEQQNAVDADDSHFVSIELE(配列番号:11)であり、これはATGAGCCTTCTAACCGAGGTCGAAACACCTATCAGAAACGAATGGGGGTGCAGATGCAACGATTCAAGTGACCCGCTTGTTGTTGCCGCGAGTATCATTGGGATCTTGCACTTGATATTGTGGATTCTTGATCGTCTTTTTTTCAAATGCATCTATCGACTCTTCAAACACGGCCTTAAAAGAGGGCCTTCTACGGAAGGAGTACCTGAGTCTATGAGGGAAGAATATCGAAAGGAACAGCAGAATGCTGTGGATGCTGACGACAGTCATTTTGTCAGCATAGAGTTGGAGTAA(配列番号:12)にコードされる。M2タンパク質の天然型はホモ四量体(すなわち、四つの同一のジスルフィド結合M2タンパク質分子)である。ユニットのそれぞれは二つのジスルフィド結合によって安定化されたらせん形のものである。M2は低pHで活性化される。ホモ四量体中のそれぞれのM2タンパク質分子は三つのドメイン、ATGAGCCTGCTGACCGAGGTCGAAACACCGATCCGCAACGAATGGGGGTGCCGCTGCAACGATTCAAGTGACCCG(配列番号:14)でコードされる24アミノ酸の外部またはN(アミノ)末端ドメイン(例えば、SLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDP(配列番号:13;本明細書中で「ヒトコンセンサス配列」とも言われる)、19疎水性アミノ酸膜貫通領域、および54アミノ酸の内部またはC(カルボキシ)末端ドメインで構成される。例えば表1(下記)のM2タンパク質の例示的なアミノ末端配列に示されるように、M2タンパク質はインフルエンザウイルスサブタイプ(例えば、インフルエンザAのH1およびH5サブタイプ)およびインフルエンザウイルス起源(例えばプエルトリコ、タイ、ニューヨーク、ホンコン)によって異なり得る。
M2タンパク質はインフルエンザA型ウイルスのライフサイクルに重要な役割を果たす。それは、陽子のウイルス粒子への移入を可能にする脱殻段階に重要であり、ウイルス内部のpHを下げることでウイルスマトリックスタンパク質M1の、リボ核タンパク質RNPからの解離を生じる。結果として、ウイルスコートが除去され、ウイルスの内容物が感染のための宿主細胞の細胞質へとエンドソームから放出される。
M2チャネルの機能は、ウイルスが宿主細胞へ感染することを妨げるアマンタジンおよびリマンタジン等の抗ウイルス薬により阻害され得る。かかる抗ウイルス薬は、通常M2タンパク質の膜貫通領域に結合し、M2タンパク質により生成されるイオンチャネルを立体的にブロックし、陽子が侵入することおよびビリオンを脱殻することを妨げる。
上述のように、M2、HAおよびNAは、インフルエンザウイルス(インフルエンザA、B、C)の内在性膜タンパク質(例えば、ウイルスの外部表面からウイルスの内部表面まで伸びているタンパク質)である。インフルエンザウイルスの内在性膜タンパク質について本明細書で使用する場合、「少なくとも一部」は、全内在性膜タンパク質の任意の一部を意味する。例えば、M2タンパク質の24アミノ酸N末端(例えば配列番号:13)、EVETPIRNEWG(配列番号:15)、EVETPIRNE(配列番号:19)、EVETPIRNEW(配列番号:34)またはEVETPIRN(配列番号:20)はM2タンパク質の少なくとも一部であり、PAKLLKERGRRGAIAGFLE(配列番号:33)はHAタンパク質の少なくとも一部である。配列番号:15はGAGGTTGAGACCCCGATTCGCAACGAATGGGGT(配列番号:97)にコードされる。GAGGTCGAAACACCTATCAGAAACGAATGG(配列番号:16)にコードされるタンパク質もM2の少なくとも一部である。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、インフルエンザA型ウイルスタンパク質、インフルエンザB型ウイルスタンパク質およびインフルエンザC型ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員を含み得る。インフルエンザウイルスタンパク質としては、赤血球凝集素内在性膜タンパク質、ノイラミニダーゼ内在性膜タンパク質およびM2内在性膜タンパク質からなる群より選択される少なくとも一員を含む内在性膜タンパク質が挙げられ得る。
内在性膜タンパク質は、AGCTTGCTGACTGAGGTTGAGACCCCGATTCGCAACGAATGGGGTTCCCGTTCCAACGATTCTTCCGACCCG(配列番号:107)にコードされる配列番号:14または配列番号:47の少なくとも一部にコードされる、SLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSDP(配列番号:13)の少なくとも一部を含むM2タンパク質を含み得る。M2タンパク質としては、さらにEVETPIRNEWG(配列番号:15)、EVETPIRNE(配列番号:19)、EVETPIRNEW(配列番号:34);SLLTEVETPTRNEWESRSSDSSDP(配列番号:39)(Flu A H5N1 M2e、システインをセリンで置換した2004ベトナム単離体);SLLTEVETPTRNEWECRCSDSSDP(配列番号:40)(Flu A H5N1 M2e、2004ベトナム単離体);SLLTEVETLTRNGWGSRSSDSSDP(配列番号:41)(Flu A H5N1 M2e、システインをセリンで置換したホンコン97単離体);SLLTEVETLTRNGWGCRCSDSSDP(配列番号:42)(Flu A H5N1 M2e、ホンコン97単離体);SLLTEVETPTRNGWESKSSDSSDP(配列番号:43)(Flu A H7N2 M2e、システインをセリンで置換したニワトリ/ニューヨーク95単離体);SLLTEVETPTRNGWECKCSDSSDP(配列番号:44)(Flu A H7N2 M2e、ニワトリ/ニューヨーク95単離体);SLLTEVETLTRNGWESKSRDSSDP(配列番号:45)(Flu A H9N2 M2e、システインをセリンで置換したホンコン99単離体);およびSLLTEVETLTRNGWECKCRDSSDP(配列番号:46)(Flu A、ホンコン99単離体)からなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。M2タンパク質の少なくとも一部の天然に存在する配列中の特定のシステイン残基、例えば配列番号:40のアミノ酸16および18;配列番号:42、44および46のアミノ酸17および19はセリンで置換される(配列番号:41、43、45および47それぞれ参照)。
内在性膜タンパク質は、例えば配列番号:65および68それぞれにコードされる配列番号:64および67の少なくとも一部を含む、赤血球凝集素タンパク質を含み得る。赤血球凝集素タンパク質としては、PAKLLKERGRRGAIAGFLE(配列番号:33)(インフルエンザB);SLWSEEPAKLLKERGFFGAIAGFLEE(配列番号:35)(Flu B);SLWSEENIPSIQSRGLFGAIAGFIEE(配列番号:36)(Flu A H1/H0);SLWSEENVPEKQTRGIFGAIAGFIEE(配列番号:37)(Flu A H3/H0);SLWSEEEWEERERRRKKRGLFGAIAGFIEE(配列番号:38)(Flu A H5/H0);PAKLLKERGFFGAIAGFLEE(配列番号:103)(Flu B);NIPSIQSRGLFGAIAGFIEE(配列番号:104)(Flu A H1/H0);NVPEKQTRGIFGAIAGFIEE(配列番号:105)(Flu A H3/H0);およびRERRRKKRGLFGAIAGFIEE(配列番号:106)(Flu A H5/H0)からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部が挙げられ得る。
少なくとも一つのPam3Cys、および少なくとも一つのインフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物としては、さらに少なくとも一つのPam2Cys(S-[2,3-ビス(パルミトイル)プロピル]システイン)が挙げられ得る。少なくとも一つのPam3Cys、少なくとも一つのPam2Cys、および少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部の組成物は、融合タンパク質の成分であり得る。少なくとも一つのPam3Cys、および少なくとも一つのインフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物も、融合タンパク質の成分であり得る。
本明細書中で使用される場合、「融合タンパク質」とは、共有または非共有結合する少なくとも二つの同様または異なる成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)から生じるタンパク質のことを言う。融合タンパク質の成分は、例えば合成により(例えばPam3Cys、Pam2Cys)、または組換え核酸技術により(例えば、PAMPの少なくとも一部またはインフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部等の融合タンパク質の成分をコードする核酸配列を用いた宿主細胞のトランスフェクション)作製され得る。融合タンパク質の一成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)は、ペプチド結合を含む化学結合技術を用いて、または融合タンパク質構築物の生成等の組換え技術を含む分子生物学的技術を用いて、融合タンパク質の別の成分(例えば、Pam2Cys、Pam3Cys、PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)と結合し得る。本発明の例示的な融合タンパク質としては、配列番号:32(図14)にコードされる配列番号:31(図13);配列番号:63(図22)にコードされる配列番号:62(図21);配列番号:61(図20)にコードされる配列番号:60(図19);配列番号:84(図29)にコードされる配列番号:83((図28);配列番号:86(図31)にコードされる配列番号:85(図30);配列番号:88(図33)にコードされる配列番号:87(図32);配列番号:92(図37)にコードされる配列番号:91(図36);配列番号:94(図39)にコードされる配列番号:93(図38);配列番号:96(図41)にコードされる配列番号:95(図40);および図15に示されるようなPam3Cysが挙げられる。
本発明の融合タンパク質は、「.」または「-」で分けられる融合タンパク質の成分によって表され得る。例えば、「STF2.M2e」は一つのfljB/STF2タンパク質および一つのM2タンパク質を含む融合タンパク質のことをいい、「STF2Δ.4xM2e」は、ヒンジ領域およびM2タンパク質のN末端の(4)24アミノ酸配列を有さない一つのfljB/STF2タンパク質を含む融合タンパク質(配列番号:47)のことを言う。
融合タンパク質の成分としては、ATGAAAGCTACTAAACTGGTACTGGGCGCGGTAATCCTGGGTTCTACTCTGCTGCTGGCAGGTTGCTCCAGCAAC(配列番号:22)でコードされたMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSN(配列番号:21)が挙げられ得る。
本発明の融合タンパク質としては、さらに、組成物中の融合タンパク質の少なくとも一つの成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、PAMP)および融合タンパク質の他の成分(例えば、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、融合タンパク質の少なくとも二つの同じ成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)の間のリンカー、またはそれらの任意の組合せが挙げられ得る。本発明の融合タンパク質について本明細書中で使用する場合、「リンカー」は、融合タンパク質の成分が直接に結合しないような様式の、融合タンパク質の成分間のコネクターのことを言う。例えば、融合タンパク質の一成分(例えば、Pam3Cys、Pam2Cys、PAMP)は、融合タンパク質の異なる成分(例えば、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部)に連結し得る。同様に、融合タンパク質の少なくとも二つ以上の同じまたは同様の成分が連結し得る(例えば、二つのPAMPは各PAMP間にリンカーをさらに含み得るか、または二つの内在性膜タンパク質は各内在性膜タンパク質間にリンカーをさらに含み得る)。
さらにまたはあるいは、本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質の異なる成分間、および融合タンパク質の同じまたは同様の成分間のリンカーの組合せを含み得る。例えば、融合タンパク質は、例えば二つ以上のPAMP間にリンカーをさらに含む少なくとも二つのPAMP、Pam3Cysおよび/またはPam2Cys成分;内在性膜タンパク質間にリンカーをさらに含むインフルエンザウイルス抗原の少なくとも二つの内在性膜タンパク質;融合タンパク質の一成分(例えば、PAMP)および融合タンパク質の別の異なる成分(例えばインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部)間のリンカー、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
リンカーはアミノ酸リンカーであり得る。アミノ酸リンカーとしては、合成または天然に存在するアミノ酸残基が挙げられ得る。本発明の融合タンパク質に使用されるアミノ酸リンカーとしては、リジン残基、グルタミン酸残基、セリン残基およびアルギニン残基からなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。アミノ酸リンカーとしては、例えば、配列番号:23(AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGT)、25(GAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC)、28(GAATTCTCTAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCTC)および30(AAGGGCAATTCGAAGCTTGAAGGTCAATTGGAATTCCCTAGGACTAGTCCAGTGTGGTGGAATTCTGCAGATATCCAGCACAGTGGCGGCCGCCAGTGTGATGGATATCTGCAGAATTCGCCCTTGCGGCCGCTC)それぞれの核酸配列にコードされる、配列番号:24(KGNSKLEGQLEFPRTS)、26(EFCRYPAQWRPL)、27(EFSRYPAQWRPL)および29(KGNSKLEGQLEFPRTSPVWWNSADIQHSGGRQCDGYLQNSPLRPL)が挙げられ得る。
本発明の組成物はさらに、該組成物の少なくとも二つの内在性膜タンパク質の間のリンカーを含み得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドはさらに、TLR5アゴニストであるPAMPを含み得る。TLR5アゴニストはフラジェリンであり得る。フラジェリンは、fljB/STF2(ネズミチフス菌(S. typhimurium)フラジェリンB、Genbank受託番号AF045151)、fljB/STF2の少なくとも一部、大腸菌フラジェリンfliC(本明細書で「大腸菌fliC」とも言われる)(Genbank受託番号AB028476)、大腸菌フラジェリンfliCの少なくとも一部、サルモネラミュンヘン(S. muenchen)フラジェリンfliC(本明細書で「サルモネラミュンヘンfliC」とも言われる)およびサルモネラミュンヘンフラジェリンfliCの少なくとも一部からなる群より選択される少なくとも一員であり得る。
一態様において、フラジェリンとしては、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7のポリペプチド;配列番号:1の少なくとも一部、配列番号:3の少なくとも一部、配列番号:5の少なくとも一部、配列番号:7の少なくとも一部;ならびに配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6および配列番号:8でコードされるポリペプチド;または配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6および配列番号:8でコードされるポリペプチドの少なくとも一部が挙げられる。フラジェリン(例えばfljB/STF2、大腸菌fliC、サルモネラミュンヘンfliC)について本明細書で使用する場合、「少なくとも一部」はTLRについての細胞内シグナル伝達経路を開始させ得るフラジェリンの任意の部分のことを言う。「少なくとも一部」は本明細書中で「フラグメント」とも言う。
病原体関連分子パターンはTLR2アゴニストであり得る。TLR2アゴニストとしては、配列番号:21、または配列番号:22にコードされるポリペプチド等の細菌のリポタンパク質(BLP)の少なくとも一部が挙げられ得る。
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターン、および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質であり、ここで病原体関連分子パターンはPam2Cysではない。本発明の融合タンパク質は、さらに、M2タンパク質、HAタンパク質およびNAタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員の少なくとも一部を含み得る。M2タンパク質は、配列番号:13、EVETPIRNEWG(配列番号:15)、EVETPTRNE(配列番号:19)またはEVETPIRNEW(配列番号:34)の少なくとも一部を含み得る。HAタンパク質は、PAKLLKERGRRGAIAGFLE(配列番号:33)の少なくとも一部を含み得る。
本発明の融合タンパク質は、さらに、少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのM2タンパク質の間のリンカー;少なくとも二つのM2タンパク質の間のリンカー:少なくとも二つのPAMPの間のリンカーまたはその任意の組合せを含み得る。
さらに別の態様において、本発明は少なくとも二つのPam2Cysおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質である。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの病原体関連分子パターンとしては、フラジェリン等のTLR5アゴニストが挙げられ得る。フラジェリンとしては、fljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラミュンヘンfliCからなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。
一態様において、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドとしては、配列番号:3を含むfljB/STF2等の、配列番号:1の少なくとも一部を含むfljB/STF2を含むフラジェリン、または配列番号:4等の、配列番号:2の少なくとも一部をコードする核酸配列が挙げられ得る。
別の態様において、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドとしては、配列番号:66を含む大腸菌fliC等の、配列番号:5、9の少なくとも一部を含む大腸菌fliCを含む(includes includes)フラジェリン、または配列番号:6、10の少なくとも一部をコードする核酸配列が挙げられ得る。
さらに別の態様において、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドとしては、配列番号:99を含むサルモネラミュンヘンfliC等の、配列番号:7の少なくとも一部を含むサルモネラミュンヘンfliCを含むフラジェリン、または配列番号:100等の、配列番号:8の少なくとも一部をコードする核酸配列が挙げられ得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドに使用されるフラジェリンは、ヒンジ領域またはヒンジ領域の少なくとも一部を欠損し得る。ヒンジ領域は、フラジェリンのアミノ末端およびカルボキシ末端に結合する、フラジェリンの超可変領域である。ヒンジ領域の例としては、配列番号:2の核酸531〜1248にコードされる配列番号:1のアミノ酸177〜416、配列番号:6の核酸522〜1266にコードされる配列番号:5のアミノ酸174〜422 、または配列番号:61の核酸519〜1392にコードされる配列番号:60のアミノ酸173〜464が挙げられる。
本明細書で使用する場合「ヒンジ領域の少なくとも一部」とは、全ヒンジ領域よりも短いPAMPのヒンジ領域の任意の部分のことを言う。「ヒンジ領域の少なくとも一部」とはまた、本明細書で「ヒンジ領域のフラグメント」のこと言う。例えば、ネズミチフス菌フラジェリンB(fljB、本明細書でfljB/STF2またはSTF2とも言う)のヒンジ領域は、配列番号:2の541〜1246位の核酸にコードされる、配列番号:1のアミノ酸175〜415である。fljB/STF2のヒンジ領域のフラグメントは、例えば、配列番号:1のアミノ酸200〜300であり得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドはまた、ヒンジ領域を含むかまたは含んでいた病原体関連分子パターンの領域等の、病原体関連分子パターンの一部に位置するかまたは融合するインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一部を含み得る。例えば、病原体関連分子パターンのヒンジ領域または病原体関連分子パターンのヒンジ領域の少なくとも一部は、病原体関連分子パターンから除去され得、インフルエンザウイルス抗原の少なくとも一部(例えば、配列番号:13、19および39〜59等のM2)と置き換えられ得る。かかる置換において、インフルエンザウイルス抗原と病原体関連分子パターンとの間にリンカーがさらに含まれ得る。
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンは、インフルエンザタンパク質の内在性膜タンパク質(例えば、M2、HA、NA)等の、インフルエンザタンパク質のカルボキシ末端、アミノ末端またはカルボキシ末端およびアミノ末端の両方に融合し得る。本発明の融合タンパク質は、少なくとも二つのインフルエンザM2タンパク質間の少なくとも一つの病原体関連分子パターンを含み得、任意に病原体関連分子パターンとM2タンパク質との間のリンカーを含み得る。
本発明の融合タンパク質の病原体関連分子パターンとしては、少なくとも一つのPam2Cys、少なくとも一つのPam3Cysまたはそれらの任意の組合せ等の、TLR2アンタゴニストが挙げられ得る。従って、本発明の融合タンパク質としては、Pam2CysおよびPam3Cysからなる群より選択される少なくとも一員が挙げられ得る。
少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質は、赤血球凝集素膜タンパク質の少なくとも一部、ノイラミニダーゼ膜タンパク質の少なくとも一部、インフルエンザB型ウイルスタンパク質およびインフルエンザC型ウイルスタンパク質からなる群より選択される少なくとも一員、またはそれらの任意の組合せをさらに含み得る。インフルエンザB型ウイルスタンパク質および/またはインフルエンザC型ウイルスタンパク質は内在性膜タンパク質であり得る。
さらに別の態様において、本発明は病原体関連分子パターンおよびM2タンパク質を含む組成物である。
さらなる態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む組成物であり、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部はインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部はPam2Cysに融合しない。
本明細書で使用する場合「融合する」とは、共有もしくは非共有結合するか、または一緒になって組換えにより生成することを意味する。
別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質であり、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部はインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部はPam2Cysに融合しない。
さらに別の態様において、本発明は配列番号:9、31、64、60、83、85、87、89、91、93および95を含むポリペプチド、ならびに配列番号:10、32、63、61、84、86、88、90、91、94および96にコードされるポリペプチドを含む。
さらなる態様において、本発明は、配列番号:9、31、64、60、83、85、87、89、91、93および95のポリペプチドならびに配列番号:10、32、63、61、84、86、88、90、91、94および96の核酸配列に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%および少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド、を含む。
二つのアミノ酸配列(または二つの核酸配列)のパーセント同一性は、(例えば、第一配列の配列中にギャップが挿入され得る)最適な比較のために配列を整列することにより決定され得る。次いで、アミノ酸配列または核酸配列は対応する位置で比較され、二配列間のパーセント同一性は配列に共有される同一である位置の数の関数(すなわち%同一性=同一である位置の#/位置の総計# x 100)である。比較のために整列されたPAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一部、本発明の融合タンパク質または本発明のポリペプチドをコードするタンパク質または核酸の長さは、参照配列、例えば、例えば配列番号:9、31、64、60、83、85、87、89、91、93および95ならびに配列番号:10、32、63、61、84、86、88、90、91、94および96で示されるような、PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部またはポリペプチドもしくは融合タンパク質の核酸配列の長さの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも60%、およびさらにより好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%である。
二つの配列の実際の比較は、例えば数学的アルゴリズムを用いた周知の方法でなされ得る。好ましい、かかる数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin et al(その教示が全体として参照により本明細書に援用される、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873〜5877 (1993) )に記載される。かかるアルゴリズムは、Schaffer et al(その教示が全体として参照により本明細書に援用される、Nucleic Acids Res., 29:2994〜3005 (2001) )に記載されるBLASTNおよびBLASTXプログラム(2.2版)に組み込まれる。BLASTおよびギャップ化BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えば、BLASTN;全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のインターネットサイトで利用可能である)が利用され得る。一態様において、検索されるデータベースは非重複(NR)データベースであり、配列比較のためのパラメーターは:フィルター無し;期待値10;ワードサイズ3;マトリックスはBLOSUM62;ならびにギャップコストはExistence 11およびExtension 1を有する、で設定され得る。
配列の比較に使用される別の数学的アルゴリズムは、その教示が全体として参照により本明細書に援用されるMyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムはGCG(Accelrys, San Diego, California)配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(2.0版)に組み込まれる。アミノ酸配列比較にALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基テーブルにはギャップ長さペナルティ12、およびギャップペナルティ4が使用される。配列解析のためのさらなるアルゴリズムは当該技術分野で公知であり、TorellisおよびRobotti(その教示が全体として参照により本明細書に援用される、Comput. Appl. Biosci., 10: 3〜5 (1994) )に記載されるADVANCEおよびADAM、ならびにPearsonおよびLipman(その教示が全体として参照により本明細書に援用される、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 85: 2444〜2448 (1988) )に記載されるFASTAが挙げられる。
さらなる態様において、本発明は本発明の核酸配列を含む宿主細胞およびベクターである。宿主細胞は原核(例えば大腸菌)または真核(例えば、ショウジョウバエDmel2細胞等の昆虫細胞、バキュロウイルス、CHO細胞、ピキア(Pichia)等の酵母細胞)の宿主細胞であり得る。
二アミノ酸配列間のパーセント同一性はまた、Blossom 63マトリックスまたはPAM250マトリックス、ならびにギャップ重量12、10、8、6、または4および長さ重量2、3、または4を用いたGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)のGAPプログラムを用いてなされ得る。さらに別の態様において、二核酸配列間のパーセント同一性は、ギャップ重量50および長さ重量3を用いたGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)のGAPプログラムを用いてなされ得る。
PAMP、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部、本発明の融合タンパク質および本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)下で、例えば、fljB/STF2(例えば配列番号:2、4)、fliC(例えば配列番号:6、8、100)、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質の少なくとも一部(例えば、配列番号:11、13、15、18、19、21、33、35〜59、64および67)および本発明の融合タンパク質(例えば、配列番号:31、64および60)にハイブリダイズする核酸配列を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「低ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「中程度ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」、「高ストリンジェンシー下でハイブリダイズする」または「非常に高いストリンジェンシー下でハイブリダイズする」は、核酸配列のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を表す。水性および非水性の方法を含み得るハイブリダイゼーション反応を行なうガイダンスは、その教示が全体として本明細書に援用される、Aubusel, F.M., et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (2001)中に見出され得る。
高い選択性を必要とする適用について、ハイブリッドを形成するために比較的高いストリンジェンシー条件が使用され得る。いくつかの膜系ハイブリダイゼーションに使用される溶液において、ホルムアミド等の有機溶媒の添加により、反応がより低い温度で起こることが可能となる。例えば、高ストリンジェンシー条件は比較的に低塩および/または高温条件である。約50℃〜約70℃の温度で約0.02 M〜約0.10 M NaClにより高いストリンジェンシーが提供される。高ストリンジェンシー条件により、二つの配列間のミスマッチを限られた数にすることが可能である。より低ストリンジェント条件にするために、塩濃度を増加し得るか、および/または温度を下げ得る。中程度ストリンジェンシー条件は約0.1〜0.25 M NaClの塩濃度および約37℃〜約55℃の温度でなされ、一方で低ストリンジェント条件は約0.15 M〜約0.9 M NaClの塩濃度および約20℃〜約55℃の温度範囲でなされる。ハイブリダイゼーションのための成分および条件の選択は、当業者に周知であり、Ausubel et al.(1997, Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York N.Y., Units 2.8〜2.11, 3.18〜3.19および4〜64.9)において概説されている。
さらなる態様において、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体において免疫応答を刺激する方法に使用され得る。一態様において、本発明の方法は、少なくとも一つのPam3Cysおよびインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体において免疫応答を刺激する方法を含み得る。別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与することを含む、被験体において免疫応答を刺激する方法を含み得る。さらなる態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではなく、M2タンパク質がM2eではない、被験体において免疫応答を刺激する方法を含み得る。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない被験体において免疫応答を刺激する方法を含み得る。
さらに別の態様において、本発明は少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで、病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せずインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない、被験体において免疫応答を刺激する工程を含み得る。
本発明の方法で処置される被験体は、霊長類またはげっ歯類(例えば、マウス、ラット)等の哺乳動物であり得る。特定の態様において、被験体はヒトである。本明細書において被験体は「個体」とも言う。
本明細書で使用する場合「免疫応答の刺激」とは、インフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一部(例えば、インフルエンザA、Bおよび/またはCのM2、HA、NA等の内在性膜)に対する抗体の産生のことをいう。被験体における免疫応答の刺激としては、インフルエンザウイルスタンパク質に対して反応性の体液性および/または細胞性の免疫応答の生成が挙げられ得る。被験体における免疫応答の刺激において、被験体は、インフルエンザウイルスの感染、または被験体における免疫応答の刺激の結果として減少し得るかもしくは停止され得るインフルエンザウイルスによる感染に関連する病状から防御され得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドはアジュバントを伴ってかまたは伴わずに被験体に投与され、先天性および獲得性の免疫機構を調整し得、わずかな非特異的炎症を伴った強い抗体応答を誘導し得る。誘導された免疫応答は、同種株および異種株のインフルエンザウイルスに対する防御を提供し得、それによって、循環しているインフルエンザウイルスに対する防御およびH5トリ株のヒト集団への移入により引き起こされる潜在的な汎流行性インフルエンザに対する防御を提供し得る。
インフルエンザウイルス感染の結果の感染および疾病を管理する戦略は過去40年の間で大きくは変化していない。疾患の季節的な性質、ヒト集団を脅かす異なる型のインフルエンザウイルス(AおよびB)、およびそれぞれの型の遺伝子的な不安定性のために、やがて来るインフルエンザ流行期に集団中で流行する恐れのある疫学的な予測に基づいて、毎年被験体を免疫し、予防接種するための多価組成物(例えば、二種類以上のインフルエンザウイルスタンパク質を含む組成物)を再処方する必要がある。ワクチン等の特定の組成物は、ニワトリの有胚卵中で増殖させた、選択された原型ウイルス株のストックから生成される。現在利用可能な技術の制限としては、例えば、流行株の不確かな予測、ニワトリ卵中の適切な株を増殖する能力、卵を基にした生産システムが製品汚染の危険を伴うこと、卵中で生成した産物が卵アレルギーの被験体に使用できないこと、および被験体が既存の免疫を持たないような汎流行株のウイルスに対して多価組成物が防御を与えない危険性が挙げられる。
一般に、ワクチン等のインフルエンザ組成物の有力な防御性成分は、インフルエンザA型ウイルスに関連する主要な毒性因子であるウイルス赤血球凝集素である。HAに対する中和抗体は、インフルエンザAの自然感染または投与に応答して生じ、その後の特にHAを発現するウイルスへの曝露に対して滅菌免疫を提供する。
いくつかの抗原的に異なるHAの表現型がある。ほとんどのヒトインフルエンザ単離物は、H1またはH3表現型を発現するが、トリウイルス株はH5、H7、またはH9を発現し得る。H1等の特定の表現型の内であったとしても、感染または予防接種に応答して免疫が生じたウイルスを初期のウイルス株に対する免疫応答に耐性を示させ得る、HA抗原の「抗原連続変異」(点突然変異)および「抗原不連続変異」(遺伝子再集合)によってウイルスは変化し得る。従って、インフルエンザ感染を阻害するために使用される従来の組成物の効果は、ヒト集団が免疫を発達させていないトリ株の一つ等の汎流行性株に限定される。長時間の製造過程は、新生の汎流行性株に対するインフルエンザ感染を阻害するための従来の組成物の効率的な生産を妨げる。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、生産について費用効果的であり、インフルエンザの汎流行に備えて備蓄し得る様式でインフルエンザ感染を阻害し得る。
インフルエンザA型ウイルスのサブタイプは、一般に、赤血球凝集素(H、約13の主要型)およびノイラミニダーゼ(N、約9の主要型)の特定の抗原決定基に従って名付けられる。例えば、サブタイプとしては、インフルエンザA((H2N1)、A(H3N2)、A(H5N1)、A(H7N2)、A(H9N2)、A(H1/H0)、A(H3/H0)およびA(H5/H0)が挙げられる。20世紀に、三つのサブタイプのインフルエンザA、1918年および1977年にH1、1957年にH2および1968年にH3が汎流行を引き起こした。1997年にH5トリウイルスおよび1999年にH9ウイルスがホンコンで呼吸器疾患の大発生を引き起こした。
抗原連続変異により新しい株のインフルエンザウイルスが出現し、それによりウイルスの抗体結合部位内の変異が長期間にわたり蓄積していく。抗原連続変異の結果として、インフルエンザウイルスは、感染した被験体の免疫系を取り囲み得、免疫系はウイルスの異なる株に対する免疫であっても新しいインフルエンザ株を認識できなくなり、新しいインフルエンザ株に対する免疫を確立できなくなる。インフルエンザAおよびBは抗原連続変異を受ける。
インフルエンザAはまた、新しいウイルスサブタイプをもたらす抗原不連続変異を受け得る。抗原不連続変異は、通常は細胞がインフルエンザA型ウイルスの二つの異なる株に同時に感染した場合に起こり得るインフルエンザゲノムの組換えに関係する、ウイルス抗原性の突然の変化である。
20世紀に、1918年、1957年および1968年に三つのインフルエンザ汎流行が起こった。1918年の「スペイン型インフルエンザ」汎流行は、明らかに最も致死性が高く、米国で500,000人を超える死者が出て、全世界で50,000,000人もの死者を出した。最近の配列および系統発生的な分析は、1918年の汎流行の病原因子は、ヒトに適合するトリ株であったことを示唆する(Taubenberger, J.K., et al., Nature 437:889)。今日、同様の脅威が起こり得る。
1996年から、トリインフルエンザのヒトへの感染のほぼ200の確認された事例があり、2004年の東南アジアにおいて発病率は明らかに増加している(Zeitlin, G.A., et al., Curr Infect Dis Rep 7:193)。さらに最近では、野生の渡り鳥が中東や東欧にまで疾患を運んでいる(Fereidouni, S.R. et al., Vet Rec 157:526; Al-Natour, M.Q., et al., Prev Vet Med 70:45; Liu, J., et al. Science 309:1206; Chen, H., et al. Nature 436:191)。ヒトの発病の事例、ヒトと疾患の潜在的保菌者である飼育された鳥の群との接近、渡り鳥を介した拡大、および地球規模でのヒトからヒトへの拡大の容易さ(重度の急性呼吸器症候群を経験したように(Poutanen, S.M., et al. N Engl J Med 348: 1995; MMWR Morb Mortal Wkly Rep 52: 1157))の増加に伴い、大惨事を引き起こす可能性のある別のインフルエンザの汎流行の影響から被験体、特にヒトを保護するための新しい改善された組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを開発する必要がある。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドでは、原型のインフルエンザ標的、HAおよびノイラミニダーゼ(NA)の遺伝的不安定性では効果が無いことがあり得、インフルエンザ感染の阻害に使用する多価株の年に一回の選択が必要である。遺伝的に安定な抗原に基づいた組成物、融合タンパク質およびポリペプチドはインフルエンザ感染に対する長期的な免疫を提供し、年々有用になり、インフルエンザAの汎流行に特に価値のあるものになり得る。
M2は遺伝的安定性を有する。アミノ末端の24アミノ酸配列(本明細書で「M2e」とも言われる配列番号:13)は、1933年から単離されたヒト病原体インフルエンザウイルス株とほとんど変わっていない(Neirynck, S., et al. Nature Medicine 5:1157)。哺乳動物において、M2はその天然型において免疫原性が乏しいが、アジュバントと共に投与されるか、適切な担体主鎖と結合される場合、M2eは、その後の生ウイルス攻撃からの防御に関連する特異的な抗体の産生を誘導する(Neirynck, S., et al. Nature Medicine 5:1157;Frace, A.M., et al. Vaccine 17:2237;Mozdzanowska, K. et al. Vaccine 21:2616;Fran, J., et al. Vaccine 22:2993)。M2eに対する抗体はまた、ウイルスを中和して感染力を阻害することによってではなく、感染細胞を殺傷してウイルスのライフサイクルを破壊することで(Zebedee, S.L., et al. J. Virol 62:I2762;Jegerlehner, A., et al. J. Immunol 172:5598)、インフルエンザA感染の動物モデルにおいて消極防御を付与する(Treanor, J.J., et al. J. Virol 64:1375;Liu, W., et al. Immunol Lett 93:131)。ある防御機構は抗体依存的NK細胞活性であると提唱されている(Jegerlehner, A., et al. J. Immunol 172:5598)。
M2-核タンパク質融合タンパク質によるブタの免疫は、防御するよりもむしろ疾患を悪化させた(Heinen, P.P., et al. J. Gen Virol 83:1851)。しかし、これらのデータは、試験された複数の変数(M2とB型肝炎コア抗原を繋ぐ融合タンパク質対M2と核タンパク質を繋ぐDNA免疫)、ウイルス攻撃用量、およびウイルス株により混乱された。さらに最近、複合担体という状況でM2eペプチドによるケナガイタチの免疫によって、その攻撃の際に臨床症状を悪化させること無く肺のウイルス力価の減少を生じた(Fran, J., et al. Vaccine 22:2993)。M2、特にM2eを含む本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、インフルエンザ疾病の重症度を制限し得、一方で、宿主の免疫応答に有力な中和インフルエンザ抗原HAに対する獲得免疫を発生させ得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体における免疫応答を刺激する方法に使用され得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、単独または現在利用可能なインフルエンザのワクチンおよび薬物と共に投与され得る。しかし、M2eの配列は、株、HA/NAサブタイプ、ならびに地理的および時間的に異なる単離物にわたり高度に保存されているので、M2eを含む本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、被験体において、全く新しい該HA/NAサブタイプが該サブタイプに自然な集団中に移入されることにより起こり得る汎流行に対する防御を提供し得るM2eに対する免疫応答を刺激し得る。同一の遺伝的な保存は、インフルエンザA等の任意のインフルエンザ株の潜在的なバイオテロへの使用に対する広域的な防御を提供することに役立つ。
特定のトリインフルエンザA単離物のM2e配列は、ヒト単離物とはわずかに異なるが、表1(下記)に示されるようにトリ単離物間で高度に保存されている。M2eを含む本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、インフルエンザAの循環ヒト病原体株(H1およびH3サブタイプ)ならびに汎流行の恐れを示すトリ株(H5サブタイプ)を標的とし得る。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの例示的なM2eアミノ酸配列を表1に示す。M2eアミノ酸配列は、Fan, et al. Vaccine 22:2993(2004)またはNCBIタンパク質データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/FLU.html)を基にした。A/ニューカレドニア/20/99配列に関するバリアントは太字および下線付き文字で示される。天然に存在するM2配列(例えば、配列番号:40、42、44および46、上述;ならびに配列番号:48、49および50、表1、下記)中のシステイン(C)残基をセリン(S)残基で置換し得る(例えば、配列番号:39、41、43および45、上述;ならびに配列番号:54、73および74、表1、下記)。かかる置換は、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの可溶性および構造の完全性を改善し得る。

特定の態様において、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは病原体関連分子パターンを含む。特定のPAMP(例えば、TLRリガンド、TLRアゴニスト)は、先天性免疫応答の開始因子および獲得免疫応答のゲートキーパーとして作用するTLRに結合する(Medzhitov, R., et al. Nature:388:394;Medzhitov, R., et al., Cold Spring Harb Symp Quant Biol 64:429;Pasare, C., et al. Semin Immunol 16:23;Barton, G.M., et al. Curr Opin Immunol 14:380;Bendelac, A., et al. J Exp Med 195:F19)。TLRは、抗原提示細胞(APC)上に発現される最も特徴的な型のパターン認識レセプター(PRR)である。APCはTLRを利用して、TLRの同族のリガンドである病原体関連分子パターン(PAMP)に関与することにより、微環境を調べ病原体感染のシグナルを検出する。PAMPとTLRとの相互作用により、サイトカイン、ケモカインおよび他の炎症性メディエーターの放出、貪食細胞の参入、ならびに共起刺激分子の発現ならびに抗原の効果的なプロセッシングおよび抗原のT細胞への提示を誘導する重要な細胞機構として現れる病原体の傷害に対する防御の第一線である先天性免疫応答が誘発される。TLRは先天性免疫応答および獲得免疫応答の両方を制御する。
TLRは、リポタンパク質(TLR2)およびリポ多糖類(TLR4)などの細菌細胞壁成分、非メチル化CpG残基(TLR9)を含む細菌DNA配列、ならびに細菌フラジェリン(TLR5)を含むPAMPを認識する。PAMPのTLRへの結合は、本発明のより有力な組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの開発のために結集され得る十分に特徴付けられた免疫経路を活性化する。組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、病原体の防御抗原(単数または複数)に曝露される細胞がまた先天性免疫シグナル(TLR活性化)を受けることおよびその逆を確実にする方法で生成され得る。このことは、組成物、融合タンパク質およびポリペプチドが少なくとも一つのPAMPの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザウイルスタンパク質(例えば、内在性膜タンパク質)の少なくとも一部を含むように設計することで効果的に達成され得る。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、細胞表面での共刺激分子、ならびに主要組織適合性複合体分子との関連で抗原性ペプチドの表示をもたらすそれらの標的細胞におけるシグナル変換経路を誘発し得る(図16参照)。
図16はTLRシグナル伝達によるAPCの活性化を表す。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、共刺激シグナルの生成および表示を含むAPCの分化および成熟を促進するTLRに結合するPAMPを含む。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、そのTLRとの相互作用により内在化され得、リソソーム経路を通じてプロセッシングされて主要組織適合性複合体との関連で表面に表示される抗原性ペプチドを生成し得る。
「有効量」とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの量に関する場合、組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドの量または投与量をいい、被験体に投与する場合は治療効力に十分な量(例えば、被験体において免疫応答を刺激するのに十分な量)である。本発明の組成物、融合タンパク質、またはポリペプチドは、単回投与または複数回投与で投与され得る。
本発明の方法は、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの経腸手段または非経口手段による投与により達成され得る。特に、投与経路は組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドの経口摂取(例えば、飲料、錠剤、カプセル形態)または筋肉注射によるものである。本発明にまた包含される他の投与経路としては、静脈内経路、皮内経路、動脈内経路、腹腔内経路、または皮下経路、および鼻投与が挙げられる(including)。坐剤または経皮貼布もまた用いられ得る。
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、被験体の自己樹状細胞にエクスビボで投与され得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドへの樹状細胞の曝露に続き、樹状細胞を被験体に投与し得る。
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは患者に単独で投与され得るか、または共投与され得る。共投与とは、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの、個々または組み合わせでの同時投与または連続投与を含むと意図されている。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドが個々に投与される場合、被験体における免疫応答を刺激する効果が最大になるように互いに十分近い時間で投与方法(例えば、融合タンパク質の投与に近い時間での組成物の投与)が行われ得る。複数の投与経路(例えば、筋内、経口、経皮)を用いて本発明の組成物および融合タンパク質を投与し得ることがまた想定される。
本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは従来の賦形剤、例えば、抽出物と有害的に反応しない、経腸使用または非経口使用に適切な薬学的または生理的に許容され得る有機担体物質または無機担体物質との混合剤として投与され得る。適切な薬学的に許容され得る担体としては、水、食塩水(リンガー溶液など)、アルコール、油、ゼラチンおよび乳糖、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)、ならびにポリビニルピロリジン(pyrolidine)が挙げられる。かかる製剤は滅菌され得、必要に応じて、本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドと有害的に反応しない、滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、および/または芳香剤などの助(auxillary)剤と混合され得る。製剤はまた、必要ならば他の活性物質と組み合わされ、代謝分解を減少し得る。本発明の組成物、融合タンパク質またはポリペプチドは、飲料などの経口投与、筋内注射または腹腔内注射で投与され得る。組成物、融合タンパク質、もしくはポリペプチドのみ、または混合剤と組み合わされる場合、単回またはある期間にわたり二回以上で投与されて所望の効果(例えば、ウイルス感染を緩和抑制する、ウイルス感染の症状を緩和するため)を与え得る。
非経口使用が必要とされるかまたは所望される場合、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドに特に適切な混合剤は、注射可能物質、滅菌溶液、好ましくは油性溶液または水性溶液であり、ならびに懸濁液、エマルジョン、または坐剤を含む植込錠である。特に、非経口投与のための担体としては、ブドウ糖水溶液、食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロック重合体などが挙げられる。アンプルは便利な単位用量である。組成物、融合タンパク質またはポリペプチドはまたリポソームに組み込まれ得るか、経皮ポンプまたは経皮貼布にて投与され得る。本発明に用いられる適切な医薬混合剤は当業者に周知であり、例えばその教示が参照により本明細書に援用されるPharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co., Easton, PA)およびWO 96/05309に記載されている。
本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、担体上で被験体に投与され得る。「担体」とは本明細書で使用される場合、本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドを被験体の免疫システムに与えて、被験体において免疫応答をもたらす任意の組成物を意味する。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの提示は、インフルエンザウイルスタンパク質の抗原性部分の曝露を好ましくは含み、抗体を作り出す。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドの成分(PAMPおよびインフルエンザウイルスの内在性膜タンパク質)は、担体上で物理的に互いに近くにある。本発明の組成物、融合タンパク質およびポリペプチドは、共有結合または非共有結合で担体に結び付き得る。好ましくは、担体は生体適合性である。「生体適合性」とは本明細書で使用される場合、担体が被験体において免疫応答(例えば抗体の生成)をもたらさないことを意味する。担体はポリマービーズまたはリポソームなどの生分解性基質担体であり得る。担体はさらにミョウバンまたは他の適切なアジュバントをさらに含み得る。
被験体に投与する用量および頻度(単回投与または複数回投与)は、ウイルス抗原への前曝露、ウイルス感染の期間、ウイルス感染の前処置、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与経路、被験体の大きさ、年齢、性別、健康状態、体重、ボディー・マス・インデックス、および食生活、インフルエンザ曝露、インフルエンザ感染および感染に関与する特定のインフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA、B、C)の症状の性質および程度、インフルエンザウイルスの起源(例えば、香港、プエルトリコ、ウィスコンシン、タイ)、併用療法の種類(例えば、アマンタジン、リマンタジン、ザナミビルおよびオセルタミビルなどの鼻噴霧および薬物)、インフルエンザ曝露、インフルエンザ感染または他の健康に関する問題による合併症を含む様々な因子により変わり得る。他の治療法または治療剤は、本発明の方法および組成物、融合タンパク質またはポリペプチドとともに用いられ得る。例えば、組成物、融合タンパク質またはポリペプチドの投与は、他のウイルス療法またはインフルエンザ感染の症状を処置する薬剤(例えば、アマンタジン、リマンタジン、ザナミビルおよびオセルタミビルなどの鼻噴霧および薬物)の使用を伴い得る。確立された用量の調節および操作(例えば、頻度および期間)は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、決して限定を意図しない。
実施例1:フラジェリン-M2e融合タンパク質
M2eは複数のインフルエンザAサブタイプ(また本明細書において「株」といわれる)にわたり保存されている。M2eは、M2タンパク質、特にM2タンパク質の24アミノ末端(また本明細書において「エクトドメイン」といわれる)の少なくとも一部である。M2エクトドメインは、HA(約566個のアミノ酸)およびNA(約469個のアミノ酸)に比べると比較的小さなアミノ酸配列(24個のアミノ酸)である。典型的な鳥インフルエンザA型分離株のM2e配列はヒト分離株のM2e配列とは異なるが、トリ分離株の間では高度に保存されている(上の表1参照)。フラジェリンSTF2(その全て、またはヒンジ領域が削除されたSTF2)のカルボキシ末端に融合したM2eの4つの直列コピーを作り出した。ヒンジ領域のないSTF2はまた本明細書において「STF2Δ」といわれる。
融合タンパク質の構築
合成4xM2e配列(4つの連続した24個のアミノ酸配列)のSTF2とのカルボキシ末端融合を以下のように構築した。pET24AベクターをNovagen, San Diego, CAから購入した。方法としては、DNA 2.0 Inc.(Menlo Park, CA)が実施したStratagene(La Jolla, CA www.stratagene.com)のSeamless Cloning Kit(カタログ番号214400)を用いた。融合タンパク質をコードする遺伝子はpDrive 4xM2E G00448にあり、STF2とのC末端融合発現構築物の構築のための挿入物調製のためのPCR鋳型として用いた。合成4xM2E構築物pDrive 4xM2E G00448を、Stratagene (La Jolla, CA)のSeamless Cloning Kit(カタログ番号214400)に概説されるようにPCRの鋳型として用いた。この増幅から期待される生成物は、318bpおよびこの挿入物を増幅するために用いたオリゴヌクレオチドに組み込まれた制限酵素部位を含む。手順は以下の通りであった:
PCR条件
1μL 約20ngのpDrive 4xM2E G00448
5μLの10x クローンのPfuポリメラーゼバッファー
1μLの40mM dNTP混合物
1μL 約10pmolの順方向プライマー4xM2Eforbs1
1μL 約10pmolの逆方向プライマー4xM2Erevwsto
40μL ddH2O
熱サイクリングを開始する直前、以下のPfuTurbo DNAポリメラーゼを1μL添加した。
4xM2Eforbs1プライマー配列:
5’-CGCTCTTCAMTGAGCTTGCTGACTGAGGTTGAGACCCCGATTC(配列番号69)
4xM2Erevwstoプライマー配列:
5’-CGCTCTTCACGCTTATTATCTAGACGGGTCTGAGCTATCGTTAGAGCGAG(配列番号70)
この反応を以下のようにThermo Hybaid PxE熱サイクラー(Waltham, MA)で循環した。

ここで各反応物に以下を添加した。
5μLの10x クローンのPfuポリメラーゼバッファー
1μLの5-メチルdNTP混合物
44μL ddH2O
続いて以下の熱サイクリングを5回繰り返した。

100μLの生成物をTEバッファーの添加により300μLの容量にした。得られた生成物をフェノールクロロホルム(Invitrogen Carlsbad, CA-カタログ番号15593-031)で1回抽出して、クロロホルムで1回抽出した。次いで増幅生成物を30μLの酢酸ナトリウムバッファーpH5.2および750μLの100%エタノールの添加によりエタノール沈殿させた。DNAペレットを300μLの70%エタノールで2回洗浄し、10分間空気乾燥させ、次いで50μLのTEバッファーに再懸濁した。
pET24におけるベクターSTF2の増幅
予め構築したpET24a/STF2.M2e構築物を、Stratagene (La Jolla, CA)のSeamless Cloning Kit(カタログ番号214400)に概説されるようにPCRの鋳型として用いた。この増幅から期待される生成物は、全pET24プラスミド+STF2配列を含むが、この構築物に存在するM2Eの単一コピーを含まない。手順は以下の通りであった:
PCR条件
1μL 約40ngのSTF2.M2E pET22-2
5μLの10x クローンのPfuポリメラーゼバッファー
1μLの40mM dNTP混合物
1μL 約10pmolのプライマー 4xMECpET24
1μL 約10pmolのプライマー 4xM2EC-STF2
40μL ddH2O
熱サイクリングを開始する直前、以下を添加した:
1μLのPfuTurbo DNAポリメラーゼ
4xMECpET24プライマー配列:
5’-GCTCTTCAGCGGCTGAGCAATAACTAGCATAACCCCTTGGG(配列番号71)
4xM2EC-STF2プライマー配列:
5’-CGCTCTTCACAGACGTAACAGAGACAGCACGTTCTGCGG(配列番号72)
この反応を以下のようにThermo Hybaid PxE熱サイクラー(Waltham, MA)で循環した。
ここで各反応物に以下を添加した。
5μLの10x クローンのPfuポリメラーゼバッファー
1μLの5-メチルdNTP混合物
44μL ddH2O
続いて以下の熱サイクリングを5回繰り返した。
100μLの生成物をTEバッファーの添加により300μLの容量にした。得られた生成物をフェノールクロロホルム(Invitrogen Carlsbad, CA-カタログ番号15593-031)で1回抽出して、クロロホルムで1回抽出した。次いで増幅生成物を30μLの酢酸ナトリウムバッファーpH5.2および750μLの100%エタノールの添加によりエタノール沈殿させた。DNAペレットを300μLの70%エタノールで2回洗浄し、10分間空気乾燥させ、次いで50μLのTEバッファーに再懸濁した。
ベクターおよび挿入物の増幅の消化およびライゲーション
Eam 1104 I消化物を以下のようにベクターおよび挿入物について別々に準備した:
30μLのエタノール沈殿後の増幅生成物
5μLの10x 一般的なバッファー(Seamless Cloning Kitに同梱されている)
4μL Eam 1104 I制限酵素(Seamless Cloning Kitに同梱されている)
11μL ddH2O
消化物を静かに混合して37℃で1時間インキュベートし、ベクターおよび挿入物のライゲーション反応を上記のように調製して以下のように実施した(試薬はSeamless Cloning Kitに同梱されている):
材料はリストの順に添加した:
9μL ddH2O
5μLのEam 1104 I消化4xM2E増幅挿入物
5μLのEam 1104 I消化STF2.M2E pET22-2増幅ベクター
2μL 10xリガーゼバッファー
2μL 10mM rATP
1μL T4 DNAリガーゼ(ストックから1:16で希釈した)
1μL Eam 1104 I制限酵素
ライゲーション反応物を静かに混合して37℃で30分間インキュベートした。次いで同日より後に、ライゲーション物をXL-10コンピテント細胞(Stratageneカタログ番号200314)に形質転換するまで氷上で保存した。
ライゲーション物のXL-10コンピテント細胞への形質転換
XL-10(Stratageneカタログ番号200314)コンピテント細胞を氷上で解凍する一方、エッペンドルフ管を10分間冷却した。
50μLのコンピテント細胞をライゲーション毎にストック管から等分した。
XL-10細胞が供給されている2μLのβ-メルカプトエタノールストック。
この混合物を2分毎に静かに混合しながら氷上で10分間インキュベートした。Seamless Cloningライゲーション反応物(4μL)を添加し、静かに旋回し、次いで氷上で30分間インキュベートした。42℃の水浴中で35秒間、管に熱ショックを与えた。管を氷上で少なくとも2分間インキュベートした。SOC培地(400μL)を細胞に添加してかき混ぜながら37℃で1時間インキュベートした。
2つのLB寒天カナマイシン(50μg/mL)プレートを用いて、200μLおよび10μLの形質転換細胞を平板培養し、一晩生育させた。
カナマイシン耐性クローンのスクリーニング
ミニプレップのためにカナマイシンを含むL培地(25ug/mL)で組み換え候補を生育し、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen Valencia, CA カタログ番号27106)を用いて抽出した。候補クローンを制限酵素(New England Biolabs Beverly, MA)でスクリーニングして、カナマイシンを含む100mLのL培地(25ug/mL)で陽性のクローンを生育し、Qiagen HiSpeed Plasmid Midi Kit(カタログ番号12643)を用いて抽出した。これらのクローンを塩基配列決定のためにGENEWIZ(North Brunswick, NJ)に提出した。
STF2.4xM2E融合タンパク質の生成および精製
大腸菌(E. coli) BLR(DE3)pLysS宿主(Novagen, San Diego, CA, カタログ#69053)中のSTF2.4xM2eをグリセロールストックから復活させ、5Lに増やした。細胞を15μg/mlのカナマイシンおよび12.5μg/mlのテトラサイクリンを含むLB培地でOD600=0.4になるまで生育し、1mM IPTGで37℃にて3時間誘導した。細胞を遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離機で7000rpm x 7分)により集菌し、2x PBS, 1%グリセロール, DNAse, 1mM PMSF, プロテアーゼインヒビターカクテルおよび1mg/mlのリゾチームに再懸濁した。懸濁液をマイクロフルイダイザーに通して細胞を溶解した。溶解物を遠心分離(45,000gをBeckman Optima L超遠心分離機で1時間)して可溶画分を封入体から分離した。タンパク質を可溶画分および不溶画分においてSDS-PAGEで検出した。
可溶画分を、高い塩の存在下バッチ方式でSepharose Q樹脂に加えてDNA、エンドトキシン、および他の混入物質を減少した。目的のタンパク質を含む流出物を30mLのQ Sepharoseカラム(Amersham Biosciences)の上に載せた。結合タンパク質をバッファーAからBへの線形勾配を用いて溶出した(バッファーA: 100mM Tris-Cl, pH8.0。バッファーB: 100mM Tris-Cl, 1M NaCl, pH8.0)。汚染タンパク質を分解するのに必要なより優れた分解能を提供する45mlのSource Qカラムを用いて、溶出されたタンパク質をさらに精製した。結合タンパク質をバッファーAからBへの線形勾配を用いて溶出した(バッファーA: 100mM Tris-Cl, pH8.0。バッファーB: 100mM Tris-Cl, 1M NaCl, pH8.0)。
Superdex-200ゲルろ過クロマトグラフィーを用いてタンパク質の最終精製を完了した。カラムを100mM Tris, 150mM NaClおよび1%グリセロール+1%デオキシコール酸Naで展開してLPSを除去した。50mM Tris, 100mM NaClおよび1%グリセロールを含むバッファーに対する一晩の透析を用いてバッファー交換を実行してデオキシコール酸Naを除去した。タンパク質濃度をMicroBCA Protein Assay Reagent Kit(Pierce Biotechnology)により測定した。STF2.4xM2eの精製調製物は、12% SDSポリアクリルアミドゲル上で約64kDaの見掛けの分子量で移動した、クマシー染色で見える単独のバンドを生じた。
実施例2:インフルエンザA型M2エクトドメイン配列をコードするフラジェリン(STF2およびSTF2Δ)融合タンパク質構築物の発現および精製
ヒトおよびトリ由来のいくつかのインフルエンザA型株からの共通なM2e配列を表1に示す。M2e配列のクローニングを容易にするために、それぞれが多重クローニング部位(MCS)を含む2つのベクターカセット、pMT/STF2およびpMT/STF2Δを生成した(図17Aおよび17B参照)。pMT/STF2を生成するために、ネズミチフス菌fljb 2型、すなわちSTF2のフラジェリン全てをコードする1.5kb遺伝子を、ショウジョウバエにおける発現のためのpMTBIP/V5-Hisベクター(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)のIg結合タンパク質(BIP)分泌シグナルに融合した。BiP配列はショウジョウバエにおける発現のための分泌シグナルとして構築物の5’末端に含まれる。H1、H2およびH3共通配列、SLLTEVETPIRNEWGSRSNDSSDP(配列番号47、表1)を示す化学的に合成した4xM2e遺伝子をpMT/STFのMCSにクローニングして、pMT/STF2.4xM2e(H1)を作成した。
予言的に、同様の方法を用いて、2つのH5関連M2e配列、SLLTEVETPTRNEWECRCSDSSDP(配列番号56)(A/Viet Nam/1203/2004)およびSLLTEVETLTRNGWGCRCSDSSDP(配列番号55)(A/Hong Kong/156/97)をクローニングする。予言的に、示したH5関連M2e配列の4つの直列的に反復されたコピーを含むコドン最適化化学的合成遺伝子をpMT/STFにクローニングして、STF2.4xM2e(H5VN)およびSTF2.4xM2e(H5HK)をそれぞれ生成する。予言的に、複数のM2e形態を含む構築物を生成するために、異種4xM2e配列(単数または複数)を主要構築物のいずれかに挿入する。
「異種配列」とは本明細書で使用される場合、異なる種からの配列を意味する。例えば、H1配列はヒトの配列であり、H5配列はトリの配列である。従って、H1配列およびH5配列は異種配列である(例えば、
tctctgctgactgaagtagaaactccaacgcgtaatgaatgggaatcccgttctagcgactcctctgatcctctcgagtccctgctgacggaggttgaaaccccgacccgcaacgagtgggaaagccgttcctccgattcctctgatccggagagcagcctgctgaccgaggtagaaaccccgacccgtaatgagtgggaatctcgctcctctgattcttctgacccgggatcctctctgctgaccgaagtggagactccgactcgcaacgaatgggagagccgttcttctgactcctctgacccg(配列番号102)でコードされる
SLLTEVETPTRNEWESRSSDSSDPLESLLTEVETPTRNEWESRSSDSSDPESSLLTEVETPTRNEWESRSSDSSDPGSSLLTEVETPTRNEWESRSSDSSDP(配列番号101)。
主要構築物は少なくとも一つの病原体関連分子パターン(例えば、STF2, STF2Δ)および少なくとも一つの内在性膜タンパク質(例えば、配列番号13および47などのM2e)の少なくとも一部を含む。主要構築物の中に二つ以上の内在性膜がある場合、内在性膜タンパク質は同じ種由来である。
異種構築物としては、例えば配列番号87および88においてH1(ヒト)およびH5(トリ)などの少なくとも2つの内在性膜タンパク質が挙げられる。
pMT/STF2Δを生成するために、配列番号2のフラジェリン遺伝子全てのアミノ酸170から415にわたる超可変領域を除去し、TLR5シグナル伝達に必要なアミノ末端配列およびカルボキシ末端配列の相互作用を容易にするように設計した短い(10個のアミノ酸)フレキシブルリンカー(GAPVDPASPW、配列番号98)と置き換えた。この構築物から発現されるタンパク質は、単独で発現されようと試験抗原と融合して発現されようと、強力なTLR5活性を保持する。従って、予言的に、M2e構築物の第二の系列をpMT/STF2Δに基づき生成する。予言的に、10%FBSおよび抗生物質を補足したシュナイダー培地で室温にて生育したショウジョウバエDmel-2細胞(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を、製造業者の使用説明書に従いCellfectin試薬(Invitrogen)を用いて上述の構築物でトランスフェクトする。トランスフェクション24時間後、予言的に、FBSを欠いた培地において細胞を0.5mM CuSO4で誘導して、さらに48時間インキュベートする。予言的に、誘導した培養物からならし培地(CM)を採取して、SDS-PAGEならびに抗フラジェリンおよび抗M2e特異的抗体を用いるウェスタンブロット分析によりタンパク質発現についてスクリーニングする。予言的に、ELISAおよび免疫原性についてのインビボマウス調査により評価される、融合タンパク質の同一性、TLR生物活性、抗原性を実施する。
実施例3:フラジェリン-赤血球凝集素(HA)構築物の構築および発現
社内実験室株PR8からのゲノムDNAからのHAをコードする遺伝子、A/Puerto Rico/8/34の弱毒化誘導体を単離した(配列番号67をコードする配列番号68)。STF2Δ.HAPR8(配列番号62をコードする配列番号63)を生成するpPICZΔにおいて予め構築したSTF2Δカセットに遺伝子を融合した(図18参照)。精製した組み換えタンパク質を、BALB/cマウスにおける免疫原性および有効性について試験した。A/Vietnam/1203/04株のH5N1をコードする遺伝子をカスタム合成して、STF2Δ.HAH5(配列番号60をコードする配列番号61)を生成するSTF2Δカセットに融合した。ヒトおよびトリ両者のHA構築物をピキアパストリス(Pichia pastoris)株GS115およびX-33(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)に形質転換した。選択したクローンを、SDS-PAGEゲルでの分別による発現およびクマシーブルーによる染色ならびに抗HAおよび抗フラジェリンの抗体を用いるウェスタンブロット分析により発現についてスクリーニングした。
実施例4:PAM3CYS融合タンパク質の生成
M2e(配列番号47)を、ペプチドのアミノ末端セリン残基を通じてトリパルミトイルシステイン(Pam3Cys)部分に化学的に結合した。融合タンパク質(Pam3Cys.M2e)の構造を図15に示す。Pam3Cys.M2eの化学名は[パルミトイル-Cys((RS)-2,3-ジ(パルミトイルオキシ)-プロピル)-Ser-Leu-Leu-Thr-Glu-Val-Glu-Thr-Pro-Ile-Arg-Asn-Glu-Trp-Gly-Ser-Arg-Ser-Asn-Asp-Ser-Ser-Asp-Pro-OH酢酸塩]である。Pam3Cys.M2eの分子量は3582.3ダルトンである。
Pam3Cys.M2eを十分確立したFmoc戦略に基づき固相ペプチド合成方法論を用いて合成した(Houben-Weyl, 2004. Synthesis of peptides and peptidomimetics, Vol. 22, Georg Thieme Verlag Stuttgart, NY)。Pam3Cys.M2eの合成スキームおよび製造過程を以下のフローチャートに図示する。Pam3Cys.M2eは(化学的に結合した)融合タンパク質であり、本明細書においてまた「脂質化ペプチド」といわれる。
合成における第一工程には固相ペプチド合成があった。Pam3Cys.M2eのアミノ酸配列を固相ペプチド合成によりH-プロ-2-塩化クロロトリチル樹脂に会合した。この樹脂はFmoc戦略によるペプチドの形成に非常に適切である。ペプチド鎖をアミノ酸誘導体の連続的結合により伸長した。各結合工程はFmoc脱保護工程に先行し、両工程は樹脂の繰り返し洗浄と同時に行った。最後のアミノ酸誘導体の結合後、最終Fmoc脱保護工程を行った。最後にペプチド樹脂を洗浄して減圧下で乾燥した。固相ペプチド合成の間、色表示検査(color indicator test)を各工程で行い、Fmoc切断の完了およびその後のアミノ酸誘導体の結合を監視した。
合成の段階2にはPam3Cys-OHの結合があった。Pam3Cys-OHを1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下N,N'-ジシクロヘキシル-カルボジイミド(DCCI)で前活性化した。得られた溶液を濾過してペプチド樹脂に添加した。反応時間の最後にペプチド樹脂を洗浄して減圧下で乾燥した。色表示検査を行い、Pam3Cys-OHの結合を制御した。
合成の段階3には側鎖保護基の切断を含む樹脂からの切断があった。ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸(TFA)で処理した。生成物を反応混合物から沈殿させて凍結乾燥した。
合成の段階4には分取用(preparative)逆相HPLCによる精製が含まれた。段階3で得られた粗物質を、TFAシステムを用いた逆相カラムでの分取用HPLCにより精製した。画分を回収し、分析用HPLCで確認して適宜プールした。TFA流出からプールした画分を凍結乾燥した。
合成の段階5にはEDTA存在下での沈殿が含まれた。段階4からの精製物質をEDTA水溶液から沈殿させた。生成物を濾取して減圧下で乾燥した。
合成の段階6にはイオン交換クロマトグラフィーが含まれた。Pam3Cys.M2eを製造する最後の段階は、イオン交換によるトリフルオロ酢酸塩から酢酸塩への交換であった。段階5からの物質をイオン交換カラムに載せて酢酸で溶出した。画分を薄層クロマトグラフィーで確認して、合わせた生成物を含む画分を濾過し、凍結乾燥して最終生成物を生じた。

Pam3Cys.M2e薬物材料の純度規格はRP-HPLCにより≧80%であった。規格はM2eペプチド中間樹脂の同じGMPバッチから作製されたPam3Cys.M2eのGMPでない3つのロットで達成された純度に基づいた。Pam3Cys.M2eのGMPでない3つのロットの純度は、D.001.Pam3Cys.M2e、D.002.Pam3Cys.M2eおよびD.003.Pam3Cys.M2eのロットについて、それぞれ80.2%、80.3%および80.8%であった。
実施例5:免疫原性
物質および方法
PAM3CYS.M2Eの合成および精製
Pam3Cys.M2eを、固相合成方法論を用いたGenemed SynthesisおよびBachemならびに上述の通りFMOC化学により調製した。質量分析を用いて最終生成物の分子量を確認した。
エンドトキシンアッセイ
マイクロプレート法の製造業者の使用説明書に従いQCL-1000 Quantitative Chromogenic LAL test kit(BioWhittaker #50-648U)を用いて、STF2.4xM2eおよびPam3Cys.M2eのエンドトキシンレベルを測定した。
TLR5生物活性アッセイ
HEK293細胞は、TLR5を構成的に発現して、TLR5シグナル伝達に応答してIL-8を含むいくつかの可溶性因子を分泌する。HEK293細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し(50,000細胞/ウェル)、試験タンパク質を添加し一晩インキュベートした。次の日、ならし培地を採取し、清潔な96ウェルマイクロプレートに移して-20℃で冷凍した。解凍後、製造業者の使用説明書に従って、抗ヒトIL-8対応抗体対(Pierce, #M801Eおよび#M802B)を用いたサンドイッチELISAでならし培地をIL-8の存在について分析した。マイクロプレート分光光度計(FARCyte, Amersham)を用いて光学密度を測定した。アッセイにおけるIL8の標準曲線を含んで決定された、mlあたりのIL8のpgとして結果を報告する。
TLR2生物活性アッセイ
RAW264.7細胞(ATCC)は、TLR2を発現して、TLR2シグナル伝達に応答してTNFαを含むいくつかの可溶性因子を分泌する。RAW264.7細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し(50,000細胞/ウェル)、試験化合物を添加し一晩インキュベートした。次の日、ならし培地を採取し、清潔な96ウェルマイクロプレートに移して-20℃で冷凍した。解凍後、製造業者の使用説明書に従って、抗マウスTNFα対応抗体対(Pierce)を用いたサンドイッチELISAでならし培地をTNFαの存在について分析した。マイクロプレート分光光度計(FARCyte, Amersham)を用いて光学密度を測定した。アッセイに含まれるTNFの標準曲線を参照して決定された、mlあたりのTNFのngとして結果を報告する。
マウス免疫原性
約6〜8週齢の雌BALB/cマウス(National Cancer Institute)を用いた。マウスをグループあたり5〜10匹のマウスのグループに分け、0日目および21日目に尾の付け根の各側の皮下に、指示濃度のSTF2.4xM2eまたはPam3Cys.M2e融合タンパク質で免疫した。10日目(初回)および28日目(追加)に、個々のマウスを眼窩後穿刺(retro-orbital puncture)により採血した。ヘパリンを含まない血液試料の凝固および遠心分離により血清を採取した。
マウス血清抗体測定
M2e特異的IgGレベルをELISAにより測定した。100μl/ウェルの5μg/ml M2eペプチドのPBS溶液で4℃にて一晩96ウェルELISAプレートをコーティングした。200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer(ADB; BD Pharmingen)で室温にて1時間プレートをブロックした。プレートをPBS含有0.05%Tween-20(PBS-T)で3回洗浄した。血清のADB希釈液を添加して(100μl/ウェル)プレートを4℃にて一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはADBで希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Immunochemical)を添加して(100μl/ウェル)、プレートを室温にて1時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB Ultra基質
(3,3’,5,5’-テトラメンチルベンジジン; Pierce)を添加して着色を監視した後、Tecan Farcyte顕微分光光度計でO.D. 450を測定した。
ウサギ免疫原性
約13〜17週齢の雌および雄のNZWウサギ(Covance Research Products)を用いた。ウサギをグループあたり3羽の雄および3羽の雌のウサギのグループに分け、0日目および21日目ならびに42日目に交互の(alternating)大腿部の筋肉内に、指示濃度のPam3Cys.M2eペプチドまたはSTF2.4xM2e融合タンパク質で免疫した。動物を、-1日目(前採血(prebleed))、14日目(初回)および28日目ならびに42日目(追加)に採血した。試料の凝固および遠心分離により血清を調製した。
ウサギ血清抗体測定
M2e特異的IgGレベルをELISAにより測定した。100μl/ウェルのPBS中のM2eペプチド(5μg/ml)で約4℃にて一晩96ウェルELISAプレートをコーティングした。200μl/ウェルのAssay Diluent Buffer(ADB; BD Pharmingen)で室温にて1時間プレートをブロックした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。血清のADB希釈液を添加して(100μl/ウェル)プレートを約4℃にて一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。HRP共役ヤギ抗ウサギIgG(Jackson Immunochemical)を用いて結合IgGを検出した。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMB Ultra基質(Pierce)を添加して着色を監視した後、Molecular Devices Spectramax顕微分光光度計でO.D.450を測定した。各動物の免疫後のO.D.450から前採血の各動物のO.D.450測定値を引いて決まるDelta O.D.として、結果を報告する。
BALB/Cマウス有効性モデル
通常の実験において、約5〜6週齢の雌BALB/cマウス(グループあたり10〜20匹)を入手して1週間順応させる。PBSまたは他の適切な製剤を処方された融合タンパク質を皮下注射により投与した。マウスを0日目および14日目に免疫した。21日目に、眼窩後穿刺により血清を採取し、ELISAによるM2e特異的IgGを評価した。十分に特性化されマウスに適合したインフルエンザA型株、A/Puerto Rico/8/34(H1N1)のLD90を1回鼻腔内投与によりマウスを攻撃した。マウスを生存および体重減少について14日間毎日監視した。最初の体重の約30%を減じたマウスを人道的に犠牲にし、犠牲日を死亡日として記録した。有効性データを生存期間として報告した。
結果
インビトロ生物活性
これらのアッセイは、関連のTLRを発現する細胞株に基づいており、TLR刺激に応答してIL8またはTNF-αのいずれかを生じる能力についてスクリーニングされる。図44において、STF2.4xM2e(■)またはSTF2.OVA(○)のTLR5に依存するIL8生成を刺激する能力を、TLR5陽性のHEK293細胞の刺激の後に評価した。結果は、両者の融合タンパク質が用量に依存する様式でIL8生成を刺激したこと、および融合の状況でPAMPの活性を保持したことを示す。
TLR2陽性RAW264.7細胞の刺激の後に、TLR2活性をPam3Cys.M2eについて同様に評価した。図45において、実験グループは、陽性対照として公知のエンドトキシン、LPS(◆)、陰性対照としてLPS+エンドトキシンポリミキシンB(PMB)の阻害物質(○)、TLR2シグナル伝達の陽性対照として遊離のPam3Cys(■)、遊離のPam3Cys+PMB(□)、Pam3Cys.M2e(◆)およびPam3Cys.M2e+PMB(◇)である。結果はPam3Cys.M2eおよび遊離のTLR2リガンドPam3Cysについて同様の活性プロフィールを示した。ポリミキシンB(PMB)の添加はその活性を減少せず、エンドトキシンの混入がないかまたは少ないことを示した。
PAMPおよび抗原の物理的結合は免疫原性を高める
免疫原性のマウスモデルを用いて、M2eへのPam3Cysの化学的結合は、単独で送達されたM2eペプチドまたは遊離のPam3Cysと共送達されたM2eペプチドと比較してM2e抗原の免疫原性を高める。図46に示す実験において、マウスグループを0日目および21日目に、陰性対照としてPBS(*)、遊離のTLR2リガンド、Pam3CSK-4(()、M2eペプチドのみ(○)、M2eペプチドと混合した遊離のPam3CSK-4(□)、またはPam3.M2eといわれるPam3CysおよびM2eの融合物(◆)で免疫した。送達されたM2eペプチドの相当するモル比は一定のままであった。28日目に、血清を採取してELISAによりM2e特異的抗体力価を分析した。結果は、M2eへのPam3Cysの化学的結合(Pam3Cys.M2e)がM2e抗原に対する検出できる血清抗体応答を生じることを示す。
モデル抗原オボアルブミン(OVA)を用いて、TLR5リガンドSTF2と抗原の間の物理的結合を実際に行った。マウスは、STF2、OVA、STF2.OVA融合タンパク質、STF2+OVA混合物またはPBSのみの単回の皮下への免疫を受けた。投与量を計算してグループあたりSTF2およびOVAの12μg当量を送達した。7日後、血清を採取してOVA特異的抗体をELISAで検査した。図47に示すデータは、血清の1:100希釈液でのIgG1力価を表す。これらの結果は、TLR5リガンドおよび抗原の物理的結合がインビボでの最適な免疫原性をもたらすことを証明する。
PAMPが結合した抗原は従来のアジュバントと比べるとより免疫原性である
5匹のBALB/cマウスのグループを0日目および14日目に、30μgのPam3Cys.M2e(◆)、30μgのPam3Cys.M2e中でM2eのモル当量である22.5μgのM2e(◇)、従来のアジュバントであるミョウバンに吸収された22.5mgのM2e(□)、または25mgの組み換えタンパク質STF2.4xM2e(■)で免疫した。PBSを受けたグループを陰性対照(○)として含めた。2回目の投与後7日目に血清を採取し、M2e特異的IgGをELISAで評価した。図48に示す結果は、バックグラウンドより高い抗体力価を引き出さなかったという点で、M2e単独では免疫原性が乏しいことを示す。従来のアジュバントであるミョウバンは、M2eに対する免疫応答に小幅な上昇をもたらした。PAMPが結合したM2e構築物は、しかし、免疫原性に最も大きな上昇をもたらした。これらの結果は、インフルエンザウイルスタンパク質の内在性膜タンパク質部分へのPAMPの直接的な結合が、従来のアジュバントであるミョウバンによって引き出される免疫応答よりも強い免疫応答を引き出し得ることを示す。
用量および免疫原性
用量範囲調査を行い、Pam3Cys.M2eおよびSTF2.4xM2eの有効性をさらに評価した。STF2.4xM2eについて、BALB/cマウスを0日目および14日目に、免疫あたり0.25〜25μgのSTF2.4xM2eにわたるSTF2.4xM2eの希釈液で免疫した。識別コードD002とはこの実験で用いるSTF2.4xM2eの特定のバッチをいい、一方R-028とはこの実験で用いるSTF2.4xM2eの歴史的な参照バッチをいう。最後の免疫の7日後(21日目)にマウスを採血し、M2e特異的IgG応答をELISAにより評価した。図49に示す結果は、免疫あたり0.25μgもの低い用量のSTF2.4xM2eの免疫が、検出できるレベルのM2e特異的IgGを生じ、マウスにおける最適な用量が約2.5〜約25μgの範囲にあったことを証明する。
Pam3Cys.M2eについて、0日目および14日目に、BALB/cマウスに免疫あたり0.05〜30μgのPam3Cys.M2eで免疫した。最後の免疫の7日後(21日目)にマウスを採血してELISAでM2e特異的IgG応答を評価した。図50に示す結果は、0.05μgもの低い濃度のPam3Cys.M2eの免疫が、検出できるレベルのM2e特異的IgGを生じ、この調査におけるマウスの最適な用量が約30μgであったことを証明する。
複数のマウス系統の免疫原性
Pam3Cys.M2eの免疫原性を、BALB/c(●)、C57BL/6(■)、CB6/F1(◆)、DBA/2(▲)、Cr:NIH(Swiss)(X)およびC3H/HeN(*)を含む複数のマウス系統において評価した。各系統あたり5匹のグループを0日目および14日目に免疫あたり30μgのPam3Cys.M2eで免疫した。21日目に血清を採取してELISAでM2e特異的IgGのレベルを評価した。Pam3Cys.M2eの免疫原性を示すM2e特異的IgGの有意のレベルを示した全ての系統は、特定のMHCに依存しない(図51)。
ウサギにおける免疫原性
第二の種、ウサギにおけるPam3Cys.M2およびSTF2.4xM2eの免疫原性を評価することを目的とした調査を実施した。第一の調査において、ウサギ(3羽の雌および3羽の雄/グループ)を0日目、21日目および42日目に500、150、50、15または5μgのPam3Cys.M2eで(筋肉内に)免疫した。対照として、追加のグループが製剤バッファーF111(10mM Tris、10mMヒスチジン、75mM NaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、20mg/mLヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、pH7.2)を受けた。追加2の後7日目に末梢血を得て抗M2e抗体力価をELISAで評価した。図52に示す結果は、血清の1:125希釈液での個々のウサギ抗体力価を表す。データは、初回/追加のワクチン注射に用いるPam3Cys.M2の量と達した抗体力価のレベルの間の用量反応関係を示唆する。
第二の調査において、ウサギ(3羽の雌および3羽の雄/グループ)を500、150、50、15または5μgのSTF2.4xM2eで(筋肉内に)免疫した。対照として、追加のグループが食塩水のみを受けた。免疫後14日目に末梢血を得て抗M2e抗体力価をELISAで評価した。免疫された全ての動物において、顕著に有意なM2e特異的IgG応答が初回後14日目に検出された(図53)。結果は、STF2.4xM2eがウサギにおいて迅速で一貫した免疫応答を引き出すことを示す。
マウス攻撃モデルにおける有効性
BALB/cマウスにおいて、十分に特性化されマウスに適合したインフルエンザA型株、A/Puerto Rico/8/34(PR/8)を攻撃ウイルスとして用いてPam3Cys.M2eおよびSTF2.4xM2eの有効性を評価した。10匹のマウスのグループを0および14日目に製剤バッファーF111中の30μgのPam3Cys.M2e(■)、専売バッファーF120(10mM Tris、10mMヒスチジン、10%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、0.075%ドキュセートナトリウム、pH7.2)中の30μgのPam3Cys.M2e(▲)、バッファーF119(10mM Tris、10mMヒスチジン、75mM NaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、0.1%ドキュセートナトリウム、pH7.2)中の30μgのPam3Cys.M2e、バッファーF105(10mM Tris、10mMヒスチジン、75mM NaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、pH7.2)中の30μgのSTF2.4xM2e、バッファーF105(10mM Tris、10mMヒスチジン、75mM NaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、pH7.2)中の3μgのSTF2.4xM2e(●)またはバッファーF105中の0.3μgのSTF2.4xM2e (□)で皮下に免疫した。PBSのみをうけたグループを陰性対照(○)として含め、PR/8への免疫を有する回復期グループを、ウイルスによる致死下の攻撃後に陽性対照(◇)として含めた。28日目に、PR/8攻撃ストックのLD90により動物を攻撃した。攻撃後14日間、体重減少および生存を追跡調査した(図54)。
PR/8による初期の非致命的感染の除去に成功した回復期グループの動物は、それに続くウイルスの攻撃に対して100%の防御を示した。PBSバッファーのみを受けた動物は、7日目および8日目から病的状態を示し始め、10日目までに80%の死亡率を引き起こした一方、F111中の30μgのPam3Cys.M2eで免疫した動物は高い生存を示し、50%のマウスが攻撃を生き延びた。F119中のPam3Cys.M2eを受けた動物は、8日目および9日目から病的状態を示し始め、80%のマウスが生き延びた。バッファーF120(10mM Tris、10mMヒスチジン、10%スクロース、0.02%ポリソルベート-80、0.1mM EDTA、0.5%エタノール、0.075%ドキュセートナトリウム、pH7.2)中のPam3Cys.M2eまたはSTF2.4xM2eタンパク質を受けた動物は、最も軽い疾病経過を示し、これらのグループのマウスの90〜100%が致死攻撃を生き延びた。これらの結果は、Pam3Cys.M2eおよびSTF2.4xM2eの両者がインビボでのインフルエンザA型による攻撃に対して防御免疫を与え得ることを証明する。
論考
ネズミチフス菌フラジェリン(fljb)はTLR5のリガンドである。M2eの4つの直列反復部に融合したflijB(STF2)全てからなる組み換えタンパク質を大腸菌で発現し、低いエンドトキシンレベルで>95%純度に精製した。レポーター細胞株において、このタンパク質(STF2.4xM2e)はTLR5に依存するやり方でIL8生成を引き起こした。従来のアジュバントまたは担体を含まないバッファーF105中に処方した0.25μg〜25μgにわたるSTF2.4xM2e希釈液で免疫したマウスは、活発な抗体応答を開始した。わずか5μgのタンパク質を受けた動物が1回の投与後に血清変化したウサギ免疫原性調査において、組み換えタンパク質の有効性をさらに証明した。インフルエンザA/Puerto Rico/8/34を攻撃ウイルスとして用いたマウス攻撃モデルにおいて、PAMP融合タンパク質の有効性を証明した。投与あたりわずか0.3μgのタンパク質で免疫されたマウスは、軽い病的状態を示し、100%のマウスが攻撃を生き延びた。
合成のトリパルミトイル化ペプチドは脂質化細菌タンパク質のアシル化アミノ末端を模倣し、TLR2の強力な活性化剤である。これらの調査において、システイン残基に結合した3つの脂肪酸鎖およびインフルエンザA型M2エクトドメイン(M2e)のアミノ末端からなるトリパルミトイル化ペプチドを、標準固相ペプチド化学反応を用いて合成した。このペプチド(Pam3Cys.M2e)はレポーター細胞株においてTLR2に依存するやり方でTNFα生成を引き起こした。アジュバントなしでマウスに免疫するのに用いた場合、Pam3Cys.M2eはM2eを遊離のPam3CSK-4と混合した場合よりも強力な抗体応答をもたらした。Pam3Cys.M2eはまたウサギにおいて免疫原性であることが見出され、免疫に用いるPam3Cys.M2eの量と達した抗体力価の間の用量反応関係が見られた。多くの様々な処方のPam3Cys.M2eペプチドの有効性を、攻撃ウイルスとしてインフルエンザA/Puerto Rico/8/34を用いたマウス攻撃モデルにおいて評価した。F119およびF120中に処方したPam3Cys.M2eは最も軽い病的状態を示し、約80〜約100%のマウスが攻撃を生き延びた。
(均等論)
本発明をその好ましい態様に関して特に説明し記載するが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本明細書でなされ得ることを当業者は理解する。
図1は、ヒンジ領域に下線を引いたネズミチフス菌フラジェリン2型(fljB/STF2)のアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。 図2は、配列番号:1をコードする核酸配列(配列番号:2)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。 図3は、ヒンジ領域を有さないfljB/STF2のアミノ酸配列(本明細書中で「fljB/STF2Δ」または「STF2Δ」ともいう)(配列番号:3)を示す。 図4は、配列番号:3をコードする核酸配列(配列番号:4)を示す。 図5は、ヒンジ領域に下線を引いた大腸菌フラジェリンfliC(本明細書中で「大腸菌fliC」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:5)を示す。 図6は、配列番号:5をコードする核酸配列(配列番号:6)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。 図7は、下線を引いたヒンジ領域を有するサルモネラミュンヘンフラジェリンfliC(本明細書中で「サルモネラミュンヘンfliC」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:7)を示す。 図8は、配列番号:7をコードする核酸配列(配列番号:8)を示す。ヒンジ領域をコードする核酸配列に下線を引く。 図9は、PMT/STF2のアミノ酸配列を示す。リンカーに下線を引き、BiP分泌シグナルの配列を太字にする(配列番号:9)。 図10は、配列番号:9の核酸配列(配列番号:10)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP配列をコードする核酸配列を太字にする。 図11は、M2タンパク質のアミノ末端の多量体(4単位)(本明細書中で「4xM2e」ともいう)をコードする核酸配列(配列番号:17)を示す。 図12は、配列番号:17にコードされるアミノ酸配列(配列番号:18)を示す。 図13は、fljB/STF2およびM2タンパク質のアミノ末端の四つの24アミノ酸配列を含む融合タンパク質(本明細書中で「fljB/STF2-4xM2e」または「fljB/STF2.4xM2e」ともいう)のアミノ酸配列(配列番号:31)を示す。 図14は、配列番号:31をコードする核酸配列(配列番号:32)を示す。 図15は、Pam3Cys.M2e融合タンパク質を示す。M2eのアミノ酸配列(配列番号:13)を太字体で示す。 図16は、Toll様レセプター(TLR)シグナル伝達による抗原提示細胞(APC)の活性化を示す。 図17Aは、H1およびH5(配列番号:39)インフルエンザA単離物のM2(例えば配列番号:13、47)のアミノ末端を発現するプラスミド構築物を示す。pMT:メタロチオネインプロモーターに基づく発現ベクター。BiP:免疫グロブリン結合タンパク質の分泌シグナル配列。STF2:ネズミチフス菌の完全長フラジェリン。STF2Δ:ヒンジ領域を欠損したSTF2。MCS:マルチプルクローニングサイト。 図17Bは、H1およびH5(配列番号:39)インフルエンザA単離物のM2(例えば配列番号:13、47)のアミノ末端を発現するプラスミド構築物を示す。pMT:メタロチオネインプロモーターに基づく発現ベクター。BiP:免疫グロブリン結合タンパク質の分泌シグナル配列。STF2:ネズミチフス菌の完全長フラジェリン。STF2Δ:ヒンジ領域を欠損したSTF2。MCS:マルチプルクローニングサイト。 図18は、H1およびH5インフルエンザA単離物のHAを発現するように設計されたプラスミド構築物を示す。AOX1:pPICZα発現ベクター(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)のAOX1プロモーター。αf:酵母の分泌シグナル配列。STF2:ネズミチフス菌の完全長フラジェリン。STF2Δ:ヒンジ領域を欠損したSTF2。MCS:マルチプルクローニングサイト。 図19は、STF2Δ(ヒンジ領域を有さないSTF2)およびHAの間に下線を引いたリンカーを有するSTF2Δ.HA融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:60)を示す。 図20は、配列番号:60をコードする核酸配列(配列番号:61)を示す。リンカーに下線を引く。 図21は、STF2ΔおよびHAの間にリンカーを有するSTF2Δ.HA(インフルエンザA型ウイルスのプエルトリコ8(PR8)株)融合タンパク質の核酸配列(配列番号:62)を示す。 図22は、配列番号:62をコードする核酸配列(配列番号:63)を示す。リンカーに下線を引く。 図23は、HA(PR8)のアミノ酸配列(配列番号:64)を示す。 図24は、配列番号:64をコードする核酸配列(配列番号:65)を示す。 図25は、ヒンジ領域を有さない大腸菌fliCのアミノ酸配列(配列番号:66)を示す。 図26は、インフルエンザA H5N1 HAのアミノ酸配列(配列番号:67)を示す。 図27は、配列番号:67をコードする核酸配列を示す。 図28は、pMT/STF2.4xM2e(H1)のアミノ酸配列(配列番号:83)を示す。STF2および4xM2eの間のリンカーに下線を引き、ショウジョウバエBiP分泌シグナルを太字にする。 図29は、配列番号:83をコードする核酸配列(配列番号:84)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸配列を太字にする。 図30は、アミノ酸配列pMT/STF2.4xM2e(H5)(配列番号:85)を示す。STF2および4xM2eの間のリンカー配列に下線を引き、分泌シグナルを太字にする。 図31は、配列番号:85をコードする核酸配列(配列番号:86)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸配列を太字にする。 図32は、pMT/STF2.4xM2e(H1H5)のアミノ酸配列(配列番号:87)を示す。STF2および4xM2eの間のリンカー配列に下線を引き、BiP分泌シグナルを太字にする。 図33は、配列番号:87をコードする核酸配列(配列番号:88)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸配列を太字にする。 図34は、pMT/STF2Δのアミノ酸配列(配列番号:89)を示す。リンカー配列に下線を引きBiP分泌シグナルを太字にする。 図35は、配列番号:89をコードする核酸配列(配列番号:90)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸配列を太字にする。 図36は、pMT/STF2Δ.4xM2e(H1)のアミノ酸配列(配列番号:91)を示す。リンカー配列に下線を引き、BiP分泌シグナルを太字にする。 図37は、配列番号:91をコードする核酸配列(配列番号:92)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸配列を太字にする。 図38は、pMT/STF2Δ.4xM2e(H5)のアミノ酸配列(配列番号:93)を示す。リンカー配列に下線を引き、BiP分泌シグナルを太字にする。 図39は、配列番号:93をコードする核酸配列(配列番号:94)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸を太字にする。 図40は、pMT/STF2Δ.4xM2e(H1H5)のアミノ酸配列(配列番号:95)を示す。リンカー配列に下線を引き、BiP分泌シグナルを太字にする。 図41は、配列番号:95をコードする核酸配列(配列番号:96)を示す。リンカーをコードする核酸配列に下線を引き、BiP分泌シグナルをコードする核酸を太字にする。 図42は、本明細書中で「サルモネラミュンヘンfliCΔ」ともいう、ヒンジ領域を有さないサルモネラミュンヘン(Salmonella muenchen)fliCのアミノ酸配列(配列番号:99)を示す。 図43は、配列番号:99をコードするサルモネラミュンヘンfliCの核酸配列(配列番号:100)を示す。 図44は、TLR5+細胞の刺激後のIL-8分泌を示す。 図45は、TLR2+細胞の刺激後のTNF分泌を示す。 図46は、M2e特異的IgGを示す。 図47は、OVA特異的IgGを示す。 図48は、M2e特異的IgG血清力価を示す。 図49は、追加後のM2e特異的血清IgG力価を示す。 図50は、Pam3Cys.M2e用量反応を示す。 図51は、M2e特異的血清IgG力価を示す。 図52は、M2eに対するウサギIgG応答を示す。 図53は、一次免疫後14日目のウサギのSTF2.4xM2eの免疫原性を示す。 図54は、ウイルス攻撃試験後の生存を示す。

Claims (51)

  1. 少なくとも一つのPam3Cysおよびインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物。
  2. インフルエンザウイルスタンパク質がインフルエンザA型ウイルスタンパク質である、請求項1記載の組成物。
  3. インフルエンザタンパク質がインフルエンザB型ウイルスタンパク質である、請求項1記載の組成物。
  4. インフルエンザタンパク質がインフルエンザC型ウイルスタンパク質である、請求項1記載の組成物。
  5. 内在性膜タンパク質が、赤血球凝集素膜タンパク質、ノイラミニダーゼ膜タンパク質およびM2膜タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員である、請求項2記載の組成物。
  6. 内在性膜タンパク質がM2タンパク質を含み、M2タンパク質が配列番号13の少なくとも一部を含む、請求項5記載の組成物。
  7. M2タンパク質が配列番号15、配列番号19および配列番号34からなる群より選ばれる少なくとも一員を含む、請求項5記載の組成物。
  8. 内在性膜タンパク質が配列番号64および配列番号67からなる群より選ばれる少なくとも一員の少なくとも一部を含む赤血球凝集素タンパク質を含む、請求項5記載の組成物。
  9. 赤血球凝集素タンパク質が配列番号35、配列番号36、配列番号37および配列番号38からなる群より選ばれる少なくとも一員を含む、請求項8記載の組成物。
  10. 少なくとも一つのPam2Cysをさらに含む、請求項1記載の組成物。
  11. Pam3Cys、Pam2Cysおよび内在性膜タンパク質が融合タンパク質の成分である、請求項10記載の組成物。
  12. Pam3Cysおよび内在性膜タンパク質が融合タンパク質の成分である、請求項1記載の組成物。
  13. 組成物の少なくとも一つのPam3Cysと少なくとも一つの内在性膜タンパク質の間のリンカーをさらに含む、請求項12記載の組成物。
  14. リンカーがアミノ酸リンカーである、請求項13記載の組成物。
  15. 組成物の少なくとも二つの内在性膜タンパク質の間のリンカーをさらに含む、請求項1記載の組成物。
  16. リンカーがアミノ酸リンカーである、請求項15記載の組成物。
  17. TLR5アゴニストをさらに含む、請求項1記載の組成物。
  18. TLR5アゴニストがフラジェリンである、請求項17記載の組成物。
  19. フラジェリンがFljb/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラミュンヘンfliCからなる群より選ばれる少なくとも一員である、請求項18記載の組成物。
  20. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではない融合タンパク質。
  21. M2タンパク質が配列番号13の少なくとも一部を含む、請求項20記載の融合タンパク質。
  22. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンと少なくとも一つのM2タンパク質の間のリンカーをさらに含む、請求項21記載の融合タンパク質。
  23. 少なくとも二つのM2タンパク質の間のリンカーをさらに含む、請求項21記載の融合タンパク質。
  24. M2タンパク質が配列番号15を含む、請求項21記載の融合タンパク質。
  25. 病原体関連分子パターンがTLR5アゴニストである、請求項20記載の融合タンパク質。
  26. TLR5アゴニストがフラジェリンである、請求項25記載の融合タンパク質。
  27. フラジェリンがfljB/STF2、大腸菌fliC、およびサルモネラミュンヘンfliCからなる群より選ばれる少なくとも一員である、請求項26記載の融合タンパク質。
  28. フラジェリンがfljB/STF2を含み、fljB/STF2が配列番号1の少なくとも一部を含む、請求項27記載の融合タンパク質。
  29. fljB/STF2が配列番号3を含む、請求項28記載の融合タンパク質。
  30. フラジェリンが大腸菌fliCを含み、大腸菌fliCが配列番号5の少なくとも一部を含む、請求項27記載の融合タンパク質。
  31. 大腸菌fliCが配列番号66を含む、請求項30記載の融合タンパク質。
  32. フラジェリンがサルモネラミュンヘンfliCを含み、サルモネラミュンヘンfliCが配列番号7の少なくとも一部を含む、請求項27記載の融合タンパク質。
  33. サルモネラミュンヘンfliCが配列番号99を含む、請求項32記載の融合タンパク質。
  34. 病原体関連分子パターンがインフルエンザM2タンパク質のカルボキシ末端に融合する、請求項20記載の融合タンパク質。
  35. 病原体関連分子パターンがインフルエンザM2タンパク質のアミノ末端に融合する、請求項20記載の融合タンパク質。
  36. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンが少なくとも二つのインフルエンザM2タンパク質の間にある、請求項20記載の融合タンパク質。
  37. 病原体関連分子パターンがTLR2アゴニストである、請求項20記載の融合タンパク質。
  38. TLR2アゴニストがPam3Cysである、請求項37記載の融合タンパク質。
  39. 赤血球凝集素膜タンパク質の少なくとも一部をさらに含む、請求項20記載の融合タンパク質。
  40. ノイラミニダーゼ膜タンパク質の少なくとも一部をさらに含む、請求項20記載の融合タンパク質。
  41. インフルエンザB型ウイルスタンパク質およびインフルエンザC型ウイルスタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一員をさらに含む、請求項20記載の融合タンパク質。
  42. インフルエンザB型ウイルスタンパク質が内在性膜タンパク質である、請求項41記載の融合タンパク質。
  43. インフルエンザC型ウイルスタンパク質が内在性膜タンパク質である、請求項41記載の融合タンパク質。
  44. 病原体関連分子パターンおよびM2タンパク質を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではない組成物。
  45. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない組成物。
  46. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない融合タンパク質。
  47. 少なくとも一つのPam3Cysおよびインフルエンザウイルスタンパク質の少なくとも一つの内在性膜タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を被験体に投与する工程を含む、被験体における免疫応答の刺激方法。
  48. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではない、被験体における免疫応答の刺激方法。
  49. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンおよび少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysではなく、M2タンパク質がM2eタンパク質ではない、被験体における免疫応答の刺激方法。
  50. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む組成物を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない、被験体における免疫応答の刺激方法。
  51. 少なくとも一つの病原体関連分子パターンの少なくとも一部および少なくとも一つのインフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を含む組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで病原体関連分子パターンがPam2Cysを含む場合、Pam2Cysの少なくとも一部がインフルエンザM2タンパク質に融合せず、インフルエンザM2タンパク質の少なくとも一部がPam2Cysに融合しない、被験体における免疫応答の刺激方法。
JP2007547054A 2004-12-21 2005-12-21 インフルエンザウイルスタンパク質の組成物およびその使用方法 Pending JP2008524261A (ja)

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US63835004P 2004-12-21 2004-12-21
US63825404P 2004-12-21 2004-12-21
US64506705P 2005-01-19 2005-01-19
US65320705P 2005-02-15 2005-02-15
US66687805P 2005-03-31 2005-03-31
US68207705P 2005-05-18 2005-05-18
US74120205P 2005-11-30 2005-11-30
PCT/US2005/046662 WO2006069262A2 (en) 2004-12-21 2005-12-21 Compositions of influenza viral proteins and methods of use thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008524261A true JP2008524261A (ja) 2008-07-10
JP2008524261A5 JP2008524261A5 (ja) 2009-02-12

Family

ID=36272492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007547054A Pending JP2008524261A (ja) 2004-12-21 2005-12-21 インフルエンザウイルスタンパク質の組成物およびその使用方法

Country Status (9)

Country Link
EP (1) EP1831259A2 (ja)
JP (1) JP2008524261A (ja)
AU (2) AU2005319141B8 (ja)
BR (1) BRPI0519705A2 (ja)
CA (1) CA2593746A1 (ja)
MX (1) MX2007007586A (ja)
NZ (1) NZ556004A (ja)
SG (1) SG160424A1 (ja)
WO (1) WO2006069262A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013516469A (ja) * 2010-01-06 2013-05-13 ヴァクシネイト コーポレイション 高齢者に保護免疫を提供するための方法及び組成物
JP2013523096A (ja) * 2010-03-26 2013-06-17 エマージェント プロダクト デベロップメント ゲイザーズバーグ インコーポレイテッド インフルエンザマトリックス2タンパク質の外部ドメイン、発現システムおよびそれらの使用
JP2013527218A (ja) * 2010-06-03 2013-06-27 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 抗原およびToll様受容体アゴニストを含有する経口ワクチン

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1841785A2 (en) * 2005-01-19 2007-10-10 Vaxinnate Corporation Compositions comprising pathogen-associated molecular patterns and antigens and their use to stimulate an immune response
CA2638760A1 (en) 2006-03-07 2007-09-13 Vaxinnate Corporation Compositions that include hemagglutinin, methods of making and methods of use thereof
US20100068224A1 (en) * 2006-04-24 2010-03-18 Roberto Crea Method for Producing Viral Vaccine and Therapeutic Peptide Antigens
PL2066339T3 (pl) * 2006-09-18 2015-02-27 Univ Arkansas Kompozycje i sposoby zwiększania odpowiedzi immunologicznych
EP1925318A1 (en) * 2006-11-20 2008-05-28 Paul-Ehrlich-Institut Recombinant modified vaccinia virus Ankara (MVA)-based vaccine for the avian flu
US8778847B2 (en) * 2007-06-13 2014-07-15 The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Immunogenic peptides of influenza virus
PL2173376T3 (pl) 2007-08-02 2015-08-31 Biondvax Pharmaceuticals Ltd Multimeryczne wieloepitopowe szczepionki przeciwko grypie
GB0720250D0 (en) 2007-10-17 2007-11-28 Univ Edinburgh Immunogenic compositions containing escherichia coli h7 flagella and methods of use thereof
EP2223934B1 (en) * 2007-11-14 2012-10-03 Institute Of Microbiology, Chinese Academy Of Sciences Polypeptides for inhibiting influenza virus infection
CN104080475A (zh) 2008-04-18 2014-10-01 法克斯因内特公司 鞭毛蛋白的缺失突变体以及使用方法
JP2012523379A (ja) 2009-04-09 2012-10-04 ザ ユニバーシティー オブ メルボルン 免疫原性組成物およびその使用
MX348663B (es) * 2009-09-08 2017-05-26 Inst Tecnologico Estudios Superiores Monterrey Proceso de producción de una vacuna recombinante, dicha vacuna expresable en cepas de escherichia coli y su uso para combatir la influenza a h1ni1 brote 2009.
MX341775B (es) 2010-01-21 2016-09-02 The Texas A&M Univ System * Vectores para vacunas y metodos para potenciar respuestas inmunes.
JP2013537892A (ja) 2010-09-22 2013-10-07 ザ ユニバーシティー オブ メルボルン 新規な免疫賦活法
WO2012114323A1 (en) 2011-02-22 2012-08-30 Biondvax Pharmaceuticals Ltd. Multimeric multiepitope polypeptides in improved seasonal and pandemic influenza vaccines
US8932598B2 (en) 2012-08-28 2015-01-13 Vaxinnate Corporation Fusion proteins and methods of use
US9889189B2 (en) 2012-11-05 2018-02-13 Georgia State University Research Foundation Universal influenza vaccine based on heterologous multiple M2E proteins
RU2571944C1 (ru) * 2014-10-17 2015-12-27 Общество с ограниченной ответственностью "НТфарма" Противогриппозная вакцина широкого спектра действия против птичьего гриппа а на основе эктодомена белка м2
CA3226951A1 (en) * 2021-09-02 2023-03-09 Grant MCLACHLAN Formulation

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004014956A1 (en) * 2002-08-12 2004-02-19 The Council Of The Queensland Institute Of Medical Research Novel immunogenic lipopeptides comprising t-helper and b-cell epitopes
WO2004080403A2 (en) * 2003-03-07 2004-09-23 Merck & Co. Inc. Influenza virus vaccine

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004014956A1 (en) * 2002-08-12 2004-02-19 The Council Of The Queensland Institute Of Medical Research Novel immunogenic lipopeptides comprising t-helper and b-cell epitopes
WO2004080403A2 (en) * 2003-03-07 2004-09-23 Merck & Co. Inc. Influenza virus vaccine

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013516469A (ja) * 2010-01-06 2013-05-13 ヴァクシネイト コーポレイション 高齢者に保護免疫を提供するための方法及び組成物
JP2013523096A (ja) * 2010-03-26 2013-06-17 エマージェント プロダクト デベロップメント ゲイザーズバーグ インコーポレイテッド インフルエンザマトリックス2タンパク質の外部ドメイン、発現システムおよびそれらの使用
JP2013527218A (ja) * 2010-06-03 2013-06-27 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 抗原およびToll様受容体アゴニストを含有する経口ワクチン

Also Published As

Publication number Publication date
MX2007007586A (es) 2007-12-10
NZ556004A (en) 2010-05-28
AU2005319141A1 (en) 2006-06-29
EP1831259A2 (en) 2007-09-12
SG160424A1 (en) 2010-04-29
AU2005319141B2 (en) 2010-02-18
WO2006069262A3 (en) 2007-02-01
WO2006069262A2 (en) 2006-06-29
BRPI0519705A2 (pt) 2009-03-10
AU2010200048A1 (en) 2010-01-28
AU2005319141B8 (en) 2010-03-18
CA2593746A1 (en) 2006-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008524261A (ja) インフルエンザウイルスタンパク質の組成物およびその使用方法
JP6826027B2 (ja) インフルエンザ抗原送達用のベクターおよび構築体
Huleatt et al. Potent immunogenicity and efficacy of a universal influenza vaccine candidate comprising a recombinant fusion protein linking influenza M2e to the TLR5 ligand flagellin
US9511134B2 (en) Inducing immune responses to influenza virus using polypeptide and nucleic acid compositions
KR101983989B1 (ko) 인플루엔자 바이러스 백신 및 이의 용도
ES2534332T3 (es) Composiciones que incluyen hemaglutinina, métodos de preparación y métodos de uso de las mismas
Kim et al. Multiple heterologous M2 extracellular domains presented on virus-like particles confer broader and stronger M2 immunity than live influenza A virus infection
JP5775451B2 (ja) インフルエンザを処置するための組成物および方法
US20090162400A1 (en) Compositions of influenza viral proteins and methods of use thereof
Sui et al. Cross-protection against influenza virus infection by intranasal administration of M2-based vaccine with chitosan as an adjuvant
AU2014273173B2 (en) Influenza virus vaccines and uses thereof
Deng et al. Protein nanoparticle vaccine based on flagellin carrier fused to influenza conserved epitopes confers full protection against influenza A virus challenge
Ebrahimi et al. In contrast to conventional inactivated influenza vaccines, 4xM2e. HSP70c fusion protein fully protected mice against lethal dose of H1, H3 and H9 influenza A isolates circulating in Iran
JP2009528305A (ja) 鳥インフルエンザウイルスに対するキメラワクチン抗原
US9243047B2 (en) Influenza nucleoprotein vaccines
Li et al. Lactobacillus plantarum surface-displayed influenza antigens (NP-M2) with FliC flagellin stimulate generally protective immune responses against H9N2 influenza subtypes in chickens
US10286062B2 (en) Universal influenza vaccine
Kim et al. Immunogenicity and efficacy of replication-competent recombinant influenza virus carrying multimeric M2 extracellular domains in a chimeric hemagglutinin conjugate
US20230372466A1 (en) Universal mammalian influenza vaccine
Mu et al. Protection against influenza A virus by vaccination with a recombinant fusion protein linking influenza M2e to human serum albumin (HSA)
JP2018052953A (ja) インフルエンザウイルスワクチンおよびその使用
CN101087808A (zh) 流行性感冒病毒蛋白质的组合物及其使用方法
RU2757013C2 (ru) Рекомбинантная противогриппозная вакцина с широким спектром защиты и способ ее получения
JP7167088B2 (ja) インフルエンザウイルスワクチンおよびその使用
EP4370152A1 (en) Universal vaccine for influenza virus based on tetrameric m2 protein incorporated into nanodiscs

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081212

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110616

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110830

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110906

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120413