JP2008523837A - ガンマ―カルボキシル化に欠陥のある宿主系におけるガンマ―カルボキシル化ポリペプチドの発現 - Google Patents

ガンマ―カルボキシル化に欠陥のある宿主系におけるガンマ―カルボキシル化ポリペプチドの発現 Download PDF

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Abstract

本発明は、凝固因子VII, IX, XおよびプロテインCを含むガンマ―カルボキシル化ポリペプチドを調製するための新規方法に関する。また、本発明は、カルボキシル化ポリペプチドを調製するための本発明の改善法に使用される新規の宿主細胞および組換え型ベクターに関する。

Description

[発明の分野]
本発明は、凝固因子VII, IX, XおよびプロテインCを含むガンマ―カルボキシル化ポリペプチドを調製するための新規方法に関する。また、本発明は、カルボキシル化ポリペプチドを調製するための本発明の改善法に使用される新規の宿主細胞および組換え型ベクターに関する。
[発明の背景]
ビタミンK-依存性凝固因子は、活性のためにGla-ドメインのガンマ―カルボキシル化を必要とする。ガンマ―カルボン酸(略して、Gla)は、特定のカルシウム結合タンパク質にみいだされるアミノ酸である。これらのタンパク質には、VII因子, IX因子, X因子, プロトロンビン, プロテインCおよびプロテインS, 凝固系の成分である血漿タンパク質;プロテインZ、同様に血漿中に認められる、肺サーファクタント関連タンパク質(Rannels et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 5952-56, 1987)、および骨タンパク質オステオカルシン(骨のgla-タンパク質としても知られる)およびマトリックスgla-タンパク質が含まれる。このアミノ酸を含有しているタンパク質は、「ビタミンK-依存性タンパク質(Vitamin K-dependent proteins)」、「gla-タンパク質(gla-proteins)」または「ガンマ-カルボキシル化タンパク質(gamma-carboxylated proteins)」と様々に称されている。血漿のビタミンK依存性タンパク質の生物活性は、gla-媒介性のカルシウムへの結合および膜リン脂質に依存性である。
ガンマ―カルボキシラーゼ(gamma-carboxylase)に関する遺伝子は、長年にわたり知られている。しかしながら、ガンマ―カルボキシラーゼはガンマ―カルボキシル化に十分ではない。また、ガンマ―カルボキシラーゼのトランスフェクションおよび発現は、ガンマ―カルボキシル化欠陥性宿主細胞(gamma-carboxylation-deficient host cell)におけるガンマ―カルボキシル化を可能としない又はガンマ―カルボキシル化が有効(efficient)な宿主細胞におけるガンマ―カルボキシル化を増強しない。
ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼは、粗面小胞体に局在する統合性(integral)の膜ミクロソーム酵素である。この酵素は、ビタミンK依存性タンパク質のGlaドメインに局在するグルタミン酸残基をカルボキシル化する。ヒトのガンマ―グルタミルカルボキシラーゼのcDNAは、最近単離され、配列が決定された(Wu SM et al. Science 254:1634, 1991)。BHKおよびCHO細胞におけるビタミンK依存性タンパク質の生合成の研究によって、前記カルボキシラーゼが小胞体(ER)およびゴルジ複合体の双方に存在すること、およびプロペプチド(カルボキシラーゼ認識部位を含んでいる)がガンマ―カルボキシル化の完了後に切断されることが示された。前記プロペプチドがカルボキシラーゼ活性を刺激するかどうかに関して推測がなされている〔Sigiura, I. et al. (1997) Proc.Natl.Acad.Sci., 9, 9069-9074, Knobloch and Suttie (1987) J.Biol.Chem. 262, 15334-15337, Furie et al (1999) Blood, 93, 1798-1808〕。
ビタミンK依存性タンパク質の生合成には、成熟した機能的なタンパク質が得られる前に幾つかの翻訳後プロセッシング工程が含まれる。ビタミンKは、これらのビタミンK依存性タンパク質におけるグルタミン酸残基のガンマ―カルボキシル化に必要なコファクターであり、このタンパク質には凝血原因子 トロンビン, VII, IX, およびX因子;抗凝固因子 プロテインCおよびプロテインS;および他のタンパク質〔例えば、 オステオカルシン(骨Glaタンパク質), マトリックスGlaタンパク質, およびプロリンリッチGlaタンパク質1〕が含まれる。ガンマ―カルボキシル化によって、リン脂質表面でのビタミンK依存性タンパク質とコファクターとのカルシウム依存性の複合体形成および生物学的活性の双方に必要な、凝固タンパク質のコンホメーション変化の発生が許容される。ビタミンK依存性凝固因子のガンマ―カルボキシル化は、ビタミンK(ビタミンKH2)の還元型、分子状酸素、および二酸化炭素を必要とするカルボキシラーゼによって触媒される。この反応の間に、ビタミンKH2は、ビタミンKエポキシドへと酸化される(この物質はビタミンKエポキシドレダクターゼによってビタミンKへとリサイクルされる)。ビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼ(VKOR)のクローニングおよび発現(Li et al., Nature 427:541-544, 2004)は、最近公開された。
血液凝固(Blood coagulation)は、最終的にフィブリン血餅(fibrin clot)を生じさせる、様々な血液成分(または因子)の複合体形成からなるプロセスである。一般に、凝固「カスケード」と称されてきたものに関与する血液成分は、プロ酵素または酵素前駆体であり、タンパク分解酵素へとアクチベータ(これ自身が活性化された凝固因子である)の作用により転換される酵素学的に不活性なタンパク質である。係る転換を受けた凝固因子は、一般に「活性因子(active factors)」と称され、小文字「a」を末尾に付加することにより表される〔たとえば、活性VII因子(FVIIa)〕。
活性化X因子(FXa)は、プロトロンビンをトロンビンへと転換させるために必要とされ、これは次にフィブリン血餅の形成における最終段階としてフィブリノーゲンをフィブリンへと転換する。FXの活性化を促進する2つのシステムまたは経路が存在する。「内因性経路(intrinsic pathway)」は、血漿にのみ存在する因子の利用をとおしたトロンビン形成へと導かれる反応を意味する。一連のプロテアーゼ媒介性の活性化は、究極的にはIXa因子(これはVIIIa因子と共同して、FXをFXaへと切断する)を生じる。類似のタンパク質分解は、血液凝固の内因性経路において、FVIIaと、そのコファクター(組織因子)とによって作用する。組織因子は、膜結合タンパク質であり、通常は血漿中を循環しない。しかしながら、血管破裂(vessel disruption)に際して、それはCa++およびリン脂質の存在下でFVIIaと複合体を形成して、FX活性化またはIX因子活性化を触媒することができる。止血における2つの重要な凝固経路の相対的な重要度は不明確であるが、近年ではFVIIおよび組織因子が血液凝固の制御に中心的な役割を担っていることが理解されている。
FVIIは、微量な血漿糖タンパク質であり、一本鎖の酵素前駆体(zymogen)として血液中を循環している。前記酵素前駆体は、血餅不活性(clot inactive)である。一本鎖(Single-chain)のFVIIを、二本鎖(two-chain)のFVIIaへと、FXa、XIIa因子、IXa因子、またはトロンビンをインビトロで処理して転換してもよい。FXaは、FVIIの主要な生理的なアクチベータ(activator)であると信じられている。止血(haemostasis)に関与する数種類の他の血漿タンパク質と同様に、FVIIは、その生合成に関してビタミンKに依存しており、ビタミンKは前記タンパク質のアミノ末端における10のグルタミン酸残基のガンマ―カルボキシル化に必要とされる。FVIIの細胞内の翻訳後修飾は、小胞体(ER)およびゴルジ体で生じる。ビタミンK-依存的なガンマ―カルボキシル化以外に、FVIIは、N末端のプロペプチドを除去するための限定的なタンパク質分解と、アスパラギン-145および-322、およびセリン-52および-60の糖鎖形成とをうける。
ガンマ―カルボキシル化されたグルタミン酸(Gla)残基は、FVIIとリン脂質との金属関連相互作用(metal-associated interaction)に必要とされる。組織因子、リン脂質、およびカルシウムイオンの存在下において、二本鎖状VIIaは、FXまたはIX因子を限定的なタンパク質分解(limited proteolysis)により急速に活性化する。
プロテインCは、凝固カスケードにおいてVaおよびVIIIa因子を不活性化することによって止血の制御に役割を担う天然のセリンプロテアーゼ抗凝固因子である。ヒトのプロテインCは、461アミノ酸の単一ポリペプチドとして、インビボの主に肝臓で作られる。この一本鎖の前駆物質分子は、9つのグルタミン酸残基のカルボキシル化を含む複数の翻訳後修飾を生じ、結果的に9つのGla残基を生じる。
また、プロテインSは、インビトロ凝固アッセイにおいて抗凝固活性を呈する。プロテインSは、活性化プロテインCに対して、抗凝固コファクター活性(anticoagulant cofactor activity)を示す。また、プロテインSは、活性化プロテインCの非存在下の抗凝固因子であることが示されている。というのも、プロテインSは活性化プロテインCの存在しないアッセイにおけるプロトロンビナーゼ活性を阻害し、VaまたはXa因子に結合し、活性化プロテインCなしで抗凝固因子として機能するからである。プロテインSは、生理学的に非常に重要な抗血栓因子である。というのも、プロテインSの遺伝性の又は後天性の欠損が、静脈性又は動脈性の血栓症に関連するからである。遊離プロテインSの欠陥が全体のプロテインSのレベルが正常値である何例かの血栓症患者で記載されている。患者における凝固カスケードを選択的にブロックすることが、しばしば必要とされる。プロテインCまたはプロテインSなどの抗凝固因子は、例えば、腎臓透析の間に使用しえる又は深部静脈血栓、播種性血管内血液凝固(DIC)、急性の血栓症のリスクがある患者、プロテインSの欠陥、敗血症、炎症、癌、手術中の患者、および他の医学的な障害のホスト(host)を治療するために使用しえる。
オステオカルシンは、3つのGla残基を含む49アミノ酸残基から構成される。このタンパク質の機能は、過剰なミネラル化を抑制するためであると考えられる。オステオカルシンは、骨特異的なタンパク質であり、骨芽細胞によって分泌される。新規に合成されたオステオカルシンの一部分(fraction)は、血流に放出される(ここで、その濃度は、骨芽細胞の活性および骨形成速度の指標と相関している)。ヒトにおいて、循環しているオステオカルシンレベルの変化は、骨粗鬆症および副甲状腺機能亢進症などの代謝的な骨疾患と関連する。
マトリックスGlaタンパク質(MGP;Matrix Gla Protein)は、5つのGla残基を含む79アミノ酸から構成される。このタンパク質は、通常では脱塩されたマトリックス(demineralized matrix)に認められ、骨形成の開始に特定の機能を有していると信じられている。
ガンマ―カルボキシル化は、哺乳類細胞およびカタツムリ(Conus textile)などの選択された宿主系でのみ実証されている。より効率的なタンパク質生産宿主系(例えば、酵母および昆虫の細胞)ではガンマ―カルボキシル化の可能性がないので、ビタミンK-依存性凝固因子の生産に使用することができない。このようなことから、組換え型のビタミンK依存性タンパク質および特定の組換え型の凝固因子の生産のための改善された系が、当該技術分野において要求されている。本発明は、この要求を本発明の方法を提供することによって達成した。該方法によって、組換え型のビタミンK依存性タンパク質(特に、FVII)が、より効率的で、迅速に生産される及び/又は該タンパク質が高収量で提供される。
本発明は、ガンマ―カルボキシラーゼをVKORと共に発現させることによって、カルボキシル化欠陥性宿主細胞をガンマ―カルボキシル化ビタミンK-依存性凝固因子にすることができることを実証した。さらに、2つの酵素の過剰発現によって、CHO細胞またはトランスジェニック動物などに既に存在するガンマ―カルボキシル化が増強される。
[発明の概要]
本発明は、ビタミンK依存性タンパク質および特に凝固因子VII(FVII)を調製するための新規な方法に関する。
また、本発明は、脊椎動物起源の初代細胞、二代細胞(secondary)、又は不死化細胞に存在し、通常では得られた細胞において発現しない又は前記細胞において生理学的に有意なレベルで発現しないビタミンK依存性タンパク質をコード化している遺伝子を活性化する方法に関する。
また、本発明は、ビタミンK依存性ポリペプチドを産生する能力があるベクターを含有している宿主細胞に関する。
また、本発明は、ビタミンK依存性ポリペプチドをコード化している核酸分子を含有しているベクターに関する。
[発明の詳細な記述]
ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているポリヌクレオチドの発現は、所望の遺伝子を細胞にトランスフェクションすることによって又は脊椎動物起源の初代細胞、二代細胞、又は不死化細胞に既に存在し、通常では得られた細胞において発現しない又は前記細胞において生理学的に有意なレベルで発現しないビタミンK依存性タンパク質をコード化している内在性遺伝子を活性化させること(即ち、作動させること)によって得ることができる。所望の遺伝子を活性化するために、相同組換えを使用して、得られた細胞中の遺伝子と通常関連する制御領域を、前記遺伝子を対応する非トランスフェクト細胞(non-transfected cell)において認められるよりも高レベルで発現させるか又は対応する非トランスフェクト細胞において認められるものと異なる制御または誘導のパターンで提示させる制御領域で置換するか又はそれを無効(disable)にすることができる。
本明細書中に使用される「真核宿主細胞(eucaryotic host cell)」の用語は、異種性(heterologous)のDNAを発現できるハイブリッド細胞を含む、任意の細胞を表す。典型的な宿主細胞は、昆虫細胞、酵母細胞、哺乳類細胞(ヒト細胞を含む)、例えばBHK、CHO、HEK、およびCOS細胞を含むが、これらに限定されない。本発明を実施するために適切な哺乳類細胞、酵母細胞、他の真菌細胞、および昆虫細胞の例は、以下に記載される。
「ポリヌクレオチド」という用語は、5’から3’末端へ読んだデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーを指す。ポリヌクレオチドには、RNAおよびDNAが含まれ、天然の供給源から単離する、インビトロで合成する、又は天然および合成の分子の組み合せから調製することができる。ポリヌクレオチド分子の長さは、ヌクレオチド(「nt」と略記)又は塩基対(「bp」と略記)に換算して本明細書中で与えられる。「ヌクレオチド」という用語は、状況が許せば、一本鎖及び二本鎖分子の両方に使用される。この用語を二本鎖分子に適用するときは、全長を表すために使用され、「塩基対(base pairs)」という用語と等価であることを理解されたい。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖は、長さがわずかに異なり、それらの末端は酵素切断の結果としてねじれている場合があることを当業者は認識する;したがって、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドが対を形成している必要はない。このような不対末端(unpaired ends)は、一般に20nt長を超えない。
本明細書に使用される「プロペプチド(pro-peptide)」の用語は、ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼに結合することができる任意のアミノ酸配列を意味する。ビタミンK依存性タンパク質のガンマ―カルボキシル化を導く典型的なプロペプチドは、ビタミンK依存性タンパク質のN末端に認められ、ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼとの相互作用のためのドッキング部位または認識部位として作用し、通常ビタミンK依存性タンパク質のGlaドメイン中に局在するグルタミン酸残基がカルボキシル化される。ガンマ―グルタミル カルボキシラーゼに対して2以上の結合部位(e.i., ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼ認識配列)を、1つのプロペプチドにおいて有していてもよい。本規定の範囲内のプロペプチドの1例は、FVIIの天然のプロペプチド配列である。本規定の範囲内のプロペプチドの別の例は、同じアミノ酸配列でIX因子の天然のプロペプチド配列と連結されるFVIIの天然のプロペプチド配列である。
本明細書で使用される「発現単位(expression unit)」の用語は、次の(a)〜(c)の動作可能に連結される因子を具備しているポリヌクレオチドを意味する:(a)転写プロモーター;(b)アミノ酸配列をコード化しているポリヌクレオチド配列;および(c)転写ターミネーター。発現単位の例は、次の(a)〜(c)の連結された因子を具備しているDNAベクターである:(a)転写プロモーター、(b)凝固タンパク質をコード化しているcDNA配列;および(c)転写ターミネーター。
本明細書中に使用される、「ベクター(vector)」の用語は、宿主細胞において増幅が可能な任意の核酸の実体(entity)を意味する。従って、前記ベクターは自律的に複製するベクター、即ち、染色体外の実体(extra-chromosomal entity)として存在し、その複製が染色体複製に非依存性であるベクターである(例えば、プラスミド)。或いは、前記ベクターは次のようなベクター、即ち、宿主細胞に導入された際に、前記宿主細胞ゲノムに統合され、それが統合された染色体と共に複製されるベクターであってもよい。ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。ベクターは、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルス(viruses)、またはコスミドベクターを含むが、これらに限定されない。ベクターは、通常、複製開始点および少なくとも1つの選択可能な遺伝子、即ち、容易に検出可能な又はその存在が細胞成長(cell growth)に必須である、特定の産物をコード化する遺伝子を含有する。
「プロモーター」の用語は、RNAポリメラーゼの結合および転写の開始を提供するDNA配列を含有している遺伝子の部分を意味する。プロモーター配列は、一般的に遺伝子の5'非コード領域に認められるが、必ずしもそうとは限らない。
本明細書中に使用される「ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼに対する結合配列」の用語は、ガンマ―グルタミルカルボキシラーゼと結合またはドッキングまたは相互作用するための配列(即ち、認識配列)内の必要なアミノ酸配列を意味する。
ポリペプチド
本明細書中に使用される「ビタミンK依存性タンパク質(vitamin K-dependent protein)」の用語は、グルタミン酸残基でガンマ―カルボキシル化された任意のタンパク質を意味する。典型的なビタミンK依存性タンパク質には、凝血原因子(procoagulant factors) トロンビン, VII, IX, およびX因子;抗凝固因子(anticoagulants) プロテインCおよびプロテインS;およびオステオカルシン(骨Glaタンパク質), マトリックスGlaタンパク質, およびプロリンリッチGlaタンパク質1などの他のタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中に使用される「VII因子(factor VII)」または「FVII」の用語は、不活性型からなる産物(VII因子)を意味する。本明細書中に使用される「VIIa因子(factor VIIa)」または「FVIIa」の用語は、活性型からなる産物(VIIa因子)を意味する。これには、本来(native)のFVIIまたはFVIIaのアミノ酸配列1〜406を有するタンパク質が含まれる。これには、若干修正されたアミノ酸配列も含まれ、例えば、それらのタンパク質がFVIIaの活性を実質的に保持するかぎり、N末端アミノ酸の欠失(deletions)または付加(additions)を含む修飾されたN末端を有するFVIIのバリアントおよびタンパク質も含まれる。上記の定義内の「FVII」または「FVIIa」には、1つの個体から別の個体へと存続し、出現するであろう、天然の対立形質の変異(allelic variation)も含まれる。また、糖鎖形成または他の翻訳後修飾の程度および位置は、選ばれた宿主細胞および宿主細胞環境の性質に依存して変動してもよい。
本明細書に使用される「バリアント(variants)」の用語は、ビタミンK依存性タンパク質(例えば、FVII)であって、親タンパク質(parent protein)の1以上のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基によって置換されている、および/または親タンパク質の1以上のアミノ酸残基が欠失している、および/または1以上のアミノ酸残基が親タンパク質に付加されているものを指定(designate)することを意図している。係る付加は、親タンパク質のN末端またはC末端の何れかで又は両方で生じてもよい。
本明細書において、アミノ酸残基は、IUPAC−IUB生物学命名法委員会(Commission on Biochemistry Nomenclature)(CBN)によって承認された略語を用いて表される。異性体を有しているアミノ酸などに関して、以下の略語で表されるアミノ酸は、天然のL型である。更に、ペプチドのアミノ酸配列の左及び右の端は、それぞれ、他に特定されない限り、N-およびC-末端である。
組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して、実質的に同じ又は増加したタンパク分解活性を有しているVII因子バリアントの非限定の例には、S52A-FVIIa, S60A-FVIIa (Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5,580,560に開示された増加したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIaバリアント;PCT/DK02/00189(WO 02/077218に対応する)に開示されたFVIIバリアント;WO02/38162 (Scripps 研究所)に開示された増加したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIバリアント;WO99/20767, US特許US6017882およびUS6747003, US特許出願20030100506(ミネソタ大学)およびWO00/66753, US特許出願第US20010018414, US2004220106, およびUS 200131005, US特許US6762286およびUS6693075(ミネソタ大学)に開示された修飾型Glaドメインを有している及び増強した膜結合を呈しているFVIIバリアント;WO01/58935, US特許US6806063, US特許出願20030096338 (Maxygen ApS), WO03/93465 (Maxygen ApS), WO04/029091(Maxygen ApS), WO04/083361(Maxygen ApS), およびWO04/111242 (Maxygen ApS), 同様にWO04/108763(Canadian Blood Services)に開示されたFVIIバリアントが含まれる。
野生型FVIIaと比較して増加した生物活性を有しているFVIIバリアントの限定されることのない例には、WO 01/83725, WO 02/22776, WO 02/077218, PCT/DK02/00635 (WO 03/027147に対応する), デンマーク国特許出願PA 2002 01423 (WO 04/029090に対応する), デンマーク国特許出願PA2001 01627 (WO 03/027147に対応する); WO 02/38162 (Scripps Research Institute)に開示されたFVIIバリアント;およびJP2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示された増強活性を有するFVIIaバリアントが含まれる。
VII因子のバリアントの例には、限定されることなく、以下のものが含まれる、即ち、L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, およびS336G-FVII, L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A -FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, S52A-VII因子, S60A-VII因子; R152E-VII因子, S344A-VII因子, T106N-FVII, K143N/N145T-FVII, V253N-FVII, R290N/A292T-FVII, G291N-FVII, R315N/V317T-FVII, K143N/N145T/R315N/V317T-FVII; およびアミノ酸配列の233Thr〜240Asnに置換、付加、又は欠失を有しているFVII;アミノ酸配列の304Arg〜329Cysに置換、付加、又は欠失を有しているFVII;およびアミノ酸配列の153Ile〜223Argに置換、付加、又は欠失を有しているFVIIである。
また、本発明は、上記のビタミンK依存性タンパク質を調製する方法に関する。ビタミンK依存性タンパク質は、好ましくは組換えDNA技術によって生産される。この目的を達成するために、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列は、ゲノムまたはcDNAライブラリを調製すること、および標準的な技術に基づいて合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーションによって前記タンパク質の全て又は一部をコード化しているDNA配列をスクリーニングすることによって単離されてもよい(cf. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。本発明の課題に関して、前記タンパク質をコード化しているDNA配列は、好ましくはヒト起源のものである(すなわち、ヒトのゲノムDNAまたはcDNAライブラリに由来する)。
また、本発明は、脊椎動物起源の初代細胞、二代細胞(secondary)、又は不死化細胞に存在し、通常では得られた細胞において発現しない又は前記細胞において生理学的に有意なレベルで発現しないビタミンK依存性タンパク質をコード化している遺伝子を活性化(即ち、作動させる)する方法に関する。相同組換えを使用して、得られた細胞中の遺伝子と通常関連する制御領域を、前記遺伝子を対応する非トランスフェクト細胞において認められるよりも高レベルで発現させるか又は対応する非トランスフェクト細胞において認められるものと異なる制御または誘導のパターンで提示させる制御領域で置換するか又は無効(disable)にすることができる。以上のように、本発明は、トランスフェクションされた初代細胞、二代細胞(secondary)、又は不死化細胞におけるビタミンK依存性タンパク質をコード化する内在性遺伝子を作動させる又は活性化することによってビタミンK依存性タンパク質を調製する方法にも関する。内在性の遺伝子の活性化を、米国特許第5,968,502に記載のとおり行なってもよい。また、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列を、確立された標準方法、例えば、BeaucageおよびCaruthers〔Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869〕に記載された亜リン酸アミダイト法(phosphoamidite method)、またはMatthes等〔Matthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801-805〕に記載された方法により合成的に調製してもよい。亜リン酸アミダイト法にしたがって、オリゴヌクレオチドが合成され(例えば、自動のDNA合成機において)、精製され、アニールされ(annealed)、連結させ(ligated)、そして適切なベクターにクローン化される。
また、前記DNA配列を、特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応法により調製してもよい〔例えば、米国特許第4,683,202号, Saiki et al., Science 239 (1988), 487-491, またはSambrook et al., supraに記載のように〕。
ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列は、通常は組換え型ベクターに挿入される(これは、組換えDNA処置に都合よく供される、任意のベクターでよい);また、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。以上のようなことから、前記ベクターは自律的に複製するベクター、即ち、染色体外の実体(extrachromosomal entity)として存在し、その複製が染色体複製に非依存性であるベクター(例えば、プラスミド)であってもよい。或いは、前記ベクターは、宿主細胞に導入された際に、前記宿主細胞ゲノムに統合され、それが統合された染色体と共に複製されるベクターであってもよい。
前記ベクターは、好ましくは発現ベクター中のビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列が、前記DNAの転写に必要とされる付加的なセグメントに動作可能に連結される、発現ベクターである。通常は、前記発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスのDNAに由来するものである、或いは両方のエレメントを含有していてもよい。「動作可能に連結(operably linked)」の用語は、前記セグメントが、それらの意図する目的に関して協調して機能するように配置されることを示す(例えば、転写は、プロモーターで開始され、ポリペプチドをコード化しているDNA配列を通して進行する)。
前記プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を呈する任意のDNA配列でよく、前記宿主細胞に対して同種性の又は異種性のタンパク質をコード化している遺伝子に由来するものであってもよい。
哺乳類細胞におけるビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNAの転写を方向付けるための適切なプロモーターの例は、SV40プロモーター(Subramani et al., Mol. Cell Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter et al., Science 222 (1983), 809-814)、CMVプロモーター(Boshart et al., Cell 41:521-530, 1985)、またはアデノウイルス2主要後期プロモーター(Kaufman and Sharp, Mol. Cell. Biol, 2: 1304-1319, 1982)である。
昆虫細胞における使用に関して適切なプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター(米国特許第4,745,051号; Vasuvedan et al., FEBS Lett. 311, (1992) 7-11)、P10プロモーター(J.M. Vlak et al., J. Gen. Virology 69, 1988, pp. 765-776)、Autographa californica多核体病ウイルス塩基性タンパク質プロモーター(EP 397 485)、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーター(米国特許第5,155,037および5,162,222号)、またはバキュロウイルス39K遅延性-初期遺伝子プロモーター(米国特許第5,155,037および5,162,222号)である。
酵母宿主細胞における使用に関して適切なプロモーターの例には、酵母の解糖遺伝子(glycolytic genes)からのプロモーター(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255 (1980), 12073-12080; Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982), 419-434)またはアルコール脱水素酵素遺伝子(Young et al., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender et al, eds.), Plenum Press, New York, 1982)、またはTPI1(米国特許第4,599,311号)またはADH2-4c (Russell et al., Nature 304 (1983), 652-654)プロモーターまたはnmt1プロモーター(Maundrell-K, J Biol Chem. 1990 Jul 5;265(19):10857-64)が含まれる。哺乳類細胞において使用されるプロモーターは、S.pombeにおいても機能する。
糸状菌(filamentous fungus)宿主細胞における使用に関して適切なプロモーターの例は、例えば、ADH3プロモーター(McKnight et al., The EMBO J. 4 (1985), 2093-2099)またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、A.oryzaeのTAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、A.nigerまたはA.awamoriのグルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiのリパーゼ、A.oryzaeのアルカリ性プロテアーゼ、A.oryzaeのトリオースリン酸イソメラーゼ(triose phosphate isomerase)、またはA.nidulansのアセトアミダーゼ(acetamidase)をコード化している遺伝子に由来するものである。好適なものは、TAKA-アミラーゼおよびgluAプロモーターである。適切なプロモーターは、例えば、EP 238023およびEP 383779に記載されている。
また、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列は、必要な場合には、適切なターミネーター〔例えば、ヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter et al., Science 222, 1983, pp. 809-814)またはTPI1(Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 1982, pp. 419-434)またはADH3(McKnight et al., The EMBO J. 4, 1985, pp. 2093-2099)ターミネーターまたはnmt1ターミネーター(Maundrell-K, J Biol Chem. 1990 Jul 5;265(19):10857-64)〕に動作可能に連結されてもよい。また、前記ベクターは、前記プロモーターから下流で且つFVII配列自身に関する挿入部位から上流に位置するRNAスプライス部位のセットを含んでいてもよい。好適なRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から取得し得る。発現ベクターに含まれるものは、挿入部位の下流に位置するポリアデニル化シグナルである。特に好適なポリアデニル化シグナルには、SV40の早期の若しくは遅発型のポリアデニル化シグナル(Kaufman and Sharp, ibid.)、アデノウイルス5Elb領域のポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター(DeNoto et al. Nucl. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)、またはヒトFVII遺伝子もしくはウシFVII遺伝子のポリアデニル化シグナルが含まれる。また、発現ベクターは、非コード(noncoding)のウイルス性のリーダー配列〔例えば、アデノウイルス2 トリパタイト(tripartite)リーダー(前記プロモーターおよび所望の遺伝子の間に位置する〕;およびエンハンサー配列(例えば、SV40エンハンサー)を含む。
組換え型ベクターは、前記ベクターを所望の宿主細胞中で複製させることを可能にするDNA配列を更に具備していてもよい。係る配列の例(宿主細胞が哺乳類細胞である場合)は、複製のSV40起点である。
宿主細胞が酵母細胞である場合、前記ベクターを複製可能にする適切な配列は、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1-3および複製起点、またはARSH4/CEN6. Schizosaccharomyces pombe ars1 (Heyer-WD et al., 1996 Mol. Cell. Biol.6, 80-89)である。
また、前記ベクターは、その産物が宿主細胞における欠陥を相補する遺伝子などの選択マーカーを具備してもよい。これは、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードしている遺伝子またはSchizosaccharomyces pombeのTPI遺伝子(P.R. Russell, Gene 40, 1985, pp. 125-130によって記載)、Saccahromyces cerevisiae LEU2, HIS3, URA3 またはSchizosachharomyces pombe ade6 またはura4、又はアンピシリン, カナマイシン, テトラサイクリン, クロラムフェニコール, ネオマイシン, またはハイグロマイシンなどの薬物に対する耐性を付与するものなどである。糸状菌類に関する、選択可能なマーカー(selectable markers)には、amdS, pyrG, argB, niaDまたはsCが含まれる。
本発明のビタミンK依存性タンパク質を宿主細胞の分泌経路(secretory pathway)へと方向付ける(direct)ために、分泌性シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても知られる)を組換えベクターに提供してもよい。分泌性シグナル配列は、正しい読み枠で、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列と連結される。分泌性シグナル配列は、通常前記ペプチドをコード化しているDNA配列に対して、5'に配置される。分泌性シグナル配列は、前記タンパク質と通常関連するものであってもよい又は別の分泌タンパク質をコード化している遺伝子からのものであってもよい。
酵母細胞からの分泌に関して、分泌性シグナル配列は、発現したビタミンK依存性タンパク質の前記細胞の分泌経路への効率的な方向付けを保証する任意のシグナルペプチドをコード化してもよい。前記シグナルペプチドは、天然(naturally occurring)のシグナルペプチド、又はその機能的な部分であってもよい、又は合成ペプチドであってもよい。適切なシグナルペプチドは、α-因子シグナルペプチド(cf. 米国特許第4,870,008号)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(cf.O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 1981, pp. 643-646)、修飾したカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(cf. L.A. Valls et al., Cell 48, 1987, pp. 887-897)、酵母BAR1シグナルペプチド(cf. WO 87/02670)、または酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(cf. M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 1990, pp. 127-137)であることが見出されている。
酵母における効率的な分泌に関して、リーダーペプチドをコード化している配列は、シグナル配列の下流およびビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列の上流に挿入されてもよい。リーダーペプチドの機能は、発現されたペプチドを小胞体からゴルジ体へと、更に培養培地への分泌に関連する分泌小胞(secretory vesicle)へと方向付けることを可能にすることである(即ち、ビタミンK依存性タンパク質の、細胞壁を横切った輸送又は少なくとも細胞膜を介した酵母細胞の細胞膜周辺腔への輸送)。前記リーダーペプチドは、酵母α-因子リーダーであってもよい(その使用は、例えば、米国特許第4,546,082および4,870,008、EP 16 201、EP 123 294、EP 123 544およびEP 163 529に記載されている)。或いは、前記リーダーペプチドは合成プロペプチドであってもよく、つまり自然界でみつけることができないリーダーペプチドであってもよい。合成リーダーペプチドは、例えば、WO 89/02463またはWO 92/11378に記載されたように構築し得る。
糸状菌における使用に関して、前記シグナルペプチドは、コウジカビ属の種(Aspergillus sp)のアミラーゼまたはグルコアミラーゼをコード化している遺伝子、Rhizomucor mieheiのリパーゼまたはプロテアーゼまたはHumicola lanuginosaのリパーゼをコード化している遺伝子から由来するものであってもよい。前記シグナルペプチドは、好ましくはA.oryzae TAKAアミラーゼ、A.niger酸安定性アミラーゼ、またはA.nigerグルコアミラーゼをコード化している遺伝子から由来するものである。適切なシグナルペプチドは、例えば、EP 238023およびEP 215594に開示されている。
昆虫細胞における使用に関して、前記シグナルペプチドは、昆虫遺伝子(cf. WO 90/05783)、例えば、lepidopteran Manduca sextaの脂質動員ホルモン前駆物質シグナルペプチド(cf. US 5,023,328)から由来するものであってもよい。
それぞれ、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列、プロモーターおよび自由選択のターミネーター、および/または分泌性シグナル配列を連結するために及びそれらを適切なベクター(このベクターは複製に必要な情報を含有している)に挿入するために使用される処置は、当業者に周知である(cf.,例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。
哺乳類細胞をトランスフェクションする及び前記細胞に導入したDNA配列を発現させる方法は、例えば、文献〔 Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601-621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327-341; Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 42 -426; Wigler et al., Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; およびNeumann et al., EMBO J. 1 (1982), 841-845〕に記載されている
選択可能なマーカーは、細胞中に、別々のプラスミド上で、所望の遺伝子と同時に導入し得る、又はそれらを同じプラスミド上で導入し得る。同じプラスミド上の場合、選択可能なマーカーおよび所望の遺伝子は、異なるプロモーターまたは同じプロモーターの制御下で存在し得る。この後者の配置によって、ジシストロン性メッセージ(a dicistronic message)が産生される。このタイプの構築物は既知である(例えば、LevinsonおよびSimonsen、米国特許第4,713,339号)。「キャリアDNA(carrier DNA)」として知られる付加的なDNAを、前記細胞に導入される混合物に付加することも有利であろう。
細胞が前記DNAを受け取った後、それらは適切な成長培地において成長し(典型的には1〜2日)、所望の遺伝子の発現が開始される。本明細書中に使用される「適切な成長培地(appropriate growth medium)」の用語は、細胞の成長に及び所望のビタミンK依存性タンパク質の発現に要求される、栄養物および他の成分を含有している培地を意味する。培地は、一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸類、必須な糖類、ビタミン類、塩類、リン脂質類、タンパク質、および成長因子を含む。ガンマ-カルボキシル化されたタンパク質の産生に関して、培地はビタミンK(好ましくは、約0.1μg/mlから約5μg/mlの濃度で)を含有する。次に薬物選択が、安定な様式で選択可能なマーカーを発現している細胞の成長に関する選択に適用される。増幅可能で選択可能なマーカーでトランスフェクションされた細胞に関して、薬物濃度を増加して、クローン化された配列のコピー数の増加に関して選択し得る。これによって発現レベルが増加される。安定的にトランスフェクションされた細胞のクローンは、次に所望のビタミンK依存性タンパク質の発現に関して選抜される。
ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列が導入された宿主細胞は、翻訳後修飾されたビタミンK依存性タンパク質を産生する能力を有する任意の細胞でありえ、該宿主細胞には、酵母、真菌類、および高等真核細胞が含まれる。
本発明における使用に関する哺乳類細胞株は、COS-1(ATCC CRL 1650)、乳児ハムスター腎臓(BHK)および293(ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株である。好適なBHK細胞株は、tk.sup.- ts13 BHK細胞株(Waechter and Baserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106-1110, 1982, 本明細書中に参照により援用される)であり、以下でBHK570細胞と称する。BHK570細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Dr., Rockville, Md. 20852)にATCC受託番号CRL10314で寄託されている。また、tk.sup.- ts13 BHK細胞株も、ATCCから受託番号CRL1632で利用可能である。加えて、本発明に使用し得る、いくつかの他の細胞株には、Rat Hep I(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1600)、Rat HepII(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒト肺(Human lung)(ATCC HB 8065)、NCTC1469(ATCC CCL 9.1)、CHO (ATCC CCL 61)、およびDUKX細胞(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれる。同様に有用な細胞は、3T3細胞、Namalwa細胞、ミエローマおよびミエローマと他の細胞との融合物, PER.C6(登録商標)細胞株(Crucell N.V., The Netherlands), およびHKB11細胞株(Cho et al. J. Biomed Sci. 2002, 9:631-638)である。
適切な酵母細胞の例には、Saccharomyces spp.またはSchizosaccharomyces spp.の細胞が、特にSaccharomyces cerevisiae、Saccharomyces kluyveriまたはSchizosaccharomyces pombeの株が含まれる。酵母細胞を異種性のDNAで形質転換する及びそれからの異種性のポリペプチドを産生させるための方法は、例えば、米国特許第4,599,311, 4,931,373, 4,870,008, 5,037,743, および4,845,075号に記載され、これら全ては参照によって援用される。形質転換された細胞は、選択可能なマーカー(一般に薬剤抵抗性または特定の栄養分(例えば、ロイシン)の非存在下で成長する能力)により決定される表現型により選択される。酵母における使用に関して好適なベクターは、米国特許第4,931,373号に開示されるPOT1ベクターである。可能なベクターの付加的な例には、pRS系列のシャトルベクターまたはp425、およびSchizosaccharomyces pombeに関して:pREP系列のベクターが含まれる。ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNA配列は、シグナル配列および任意でリーダー配列(例えば、上記のような)により先行されていてもよい。適切な酵母細胞の更なる例は、Kluyveromyces(例えば、K.lactis)、hansenula(例えば、H.polymorpha、またはPichia(例えば、P.pastoris)の株である(cf. Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132, 1986, pp. 3459-3465; 米国特許第4,882,279号)。
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えば、コウジカビ属 spp.(Aspergillus spp.)、パンカビ属 spp.(Neurospora spp.)、フザリウム spp.(Fusarium spp.)、またはトリコデルマ属 spp.(Trichoderma spp.)の細胞、特にA.oryzae、A.nidulans、またはA.nigerの株である。コウジカビ属 spp.のタンパク質の発現に関する使用は、例えば、EP 272 277、EP 238 023、およびEP 184 438に記載されている。F.oxysporumの形質転換は、例えば、文献(Malardier et al., 1989, Gene 78: 147-156)に記載のとおり実施し得る。トリコデルマ属 spp.の形質転換は、例えば、EP 244 234に記載のとおり実施し得る。
糸状菌が宿主細胞として使用される場合、それを本発明のDNA構築物で、前記DNA構築物を宿主染色体に統合させて組換え宿主細胞(recombinant host cell)を得ることにより形質転換し得る。この統合は一般的には有利であると考えられる。というのも、前記DNA配列が前記細胞において安定的に維持される可能性が高いからである。前記DNA配列の宿主染色体への統合は、相同性の又は非相同性の組換えによる方法などの従来の方法にしたがって実施しえる。
Schizosaccharomyces pombeが宿主細胞として使用される場合、それを本発明のDNA構築物で形質転換し得る、前記DNA構築物を宿主染色体に統合させて組換え宿主細胞を得ることにより形質転換し得る。この統合は一般的には有利であると考えられる。というのも、前記DNA配列が前記細胞において安定的に維持される可能性が高いからである。前記DNA配列の宿主染色体への統合は、従来の方法(例えば、相同性の又は非相同性の組換えによる方法)にしたがって実施し得る。
昆虫細胞の形質転換及びその中での異種性のポリペプチドの産生は、米国特許第4,745,051, 4,879,236, 5,155,037, 5,162,222号;およびEP 397,485)に記載のとおり実施し得る(これらの文献の全ては本明細書中に参照によって援用される)。宿主として使用される昆虫細胞株は、鱗翅目の細胞株(例えば、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia ni細胞)であってもよい(cf. 米国特許第5,077,214号)。培養条件は、例えば、WO 89/01029またはWO 89/01028に、または上述の文献の何れかに記載されたとおりであってもよい。
上記の形質転換した又はトランスフェクションした宿主細胞は、次に適切な栄養培地中で、ビタミンK依存性タンパク質の発現を許容する条件下で培養され、その後、生じたペプチドの全部または一部を培養物から回収し得る。前記細胞を培養するために使用される培地は、前記宿主細胞を成長させるために適切な任意の従来培地、例えば、適切なサプリメントを含有する最小の又は複合的(complex)な培地であってもよい。適切な培地は、商業上の供給者から購入される又は公開されたレシピ(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ中の)にしたがって調製し得る。前記細胞により産生されたビタミンK依存性タンパク質は、次に培養培地(culture medium)から従来の処理により回収される〔この処理には宿主細胞を培地から遠心分離または濾過により分離すること、上清もしくは濾過物のタンパク性成分を塩(例えば、硫酸アンモニウム)で沈殿させ、様々なクロマトグラフィー処理(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)により精製すること、等が含まれる〕、この処理は問題のポリペプチドのタイプに依存して行われる。
組換え型のヒトFVII又はそのバリアントの調製のために、クローン化された野生型のFVIIのDNA配列が使用された。この配列は修飾されて、所望のFVIIタンパク質又はそのバリアントをコード化してもよい。前記配列を次に発現ベクターに挿入し、これを次に宿主細胞に形質転換又はトランスフェクションする。高等な真核生物細胞(特に、培養された哺乳類細胞)は、宿主細胞として好適である。ヒトFVIIに関する完全なヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、知られている。本明細書中に参照によって援用される米国特許第4,784,950号を参照されたい(この文献には、組換え型のヒトFVIIのクローニングおよび発現が記載されている)。ウシのFVII配列は、本明細書中に参照によって援用される文献〔Takeya et al., J. Biol. Chem., 263:14868-14872 (1988)〕に記載される。
アミノ酸配列変更(amino acid sequence alterations)は、様々な技術により達成し得る。DNA配列の修飾は、部位特異的突然変異誘発(site-specific mutagenesis)によるものであってもよい。部位特異的突然変異誘発に関する技術は、当該技術において周知であり、例えば、文献(Zoller and Smith (DNA 3:479-488, 1984)に記載されている。以上のように、FVIIのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を用いて、選択した変更を導入し得る。
本発明に使用するDNA配列は、典型的には、FVIIタンパク質のアミノ末端でプレプロ ペプチドをコード化して、適切な翻訳後のプロセッシング(例えば、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化)および宿主細胞からの分泌が得られる。前記プレプロ ペプチドは、FVIIまたは別のビタミンK依存的な血漿タンパク質(例えば、IX因子、X因子、プロトロンビン、プロテインCまたはプロテインS)のプレプロ ペプチドであってもよい。当業者により理解されるとおり、付加的な修飾をFVIIのアミノ酸配列に施すことができる(ここで、これらの修飾は、凝固因子としての前記タンパク質の能力を有意に損傷しない)。例えば、FVIIの触媒トライアッド(catalytic triad)で活性化切断部位が修飾されて、酵素前駆体FVIIのその活性化された二本鎖の形態への転換を阻害しえる(米国特許第5,288,629号に一般的に記載される、この文献は本明細書中に参照によって援用される)。
本発明において、ビタミンK依存性タンパク質を、トランスジェニック動物技術を用いて生産することができる。前記タンパク質を宿主の雌哺乳類の乳腺内で産生することが好適である。乳腺における発現および引き続く所望のタンパク質のミルクへの分泌により、タンパク質を他の供給源から分離することにおいて直面する、多くの困難が克服される。ミルクは容易に採集され、大量に利用可能であり、また生化学的に良く特性が調べられている。さらにまた、主要なミルクタンパク質は、高濃度(典型的に約1から15g/l)でミルクに存在する。商業上の観点から、大量のミルク収量を有する種を前記宿主として使用することは明らかに好ましい。より小さい動物(例えば、マウスおよびラット)を使用することができるが(また、基礎段階の証明に好適である)、本発明において、家畜哺乳類(ブタ、ヤギ、ヒツジ、およびウシを含むが、これらに限定されない)を使用することが好適である。ヒツジは、本種のトランスジェネシス(transgenesis)のこれまでの歴史、ミルク収量、コスト、およびヒツジのミルクを収集するための装置が容易に利用可能であることなどの要因から好適である。宿主種の選択に影響する因子の比較に関して、WIPO公開WO88/00239を参照されたい。一般的に、日常の使用に関して繁殖させてきた宿主動物の品種(breed)を選択すること(例えば、イースト・フライズランド・シープ(East Friesland sheep))、又は搾乳用家畜(dairy stock)へと後にトランスジェニック系統を繁殖させることにより導入することが望ましい。
乳腺における発現を得るため、ミルクタンパク質遺伝子からの転写プロモータが使用される。ミルクタンパク質遺伝子は、カゼイン(本明細書中に参照によって援用される、米国特許第5,304,489号を参照されたい)、ベータ-ラクトグロブリン、a-ラクトアルブミン、および乳清酸性タンパク質(whey acidic protein)をコード化している遺伝子を含む。ベータ-ラクトグロブリン(BLG)プロモーターが好適である。ヒツジのベータ-ラクトグロブリン遺伝子の場合において、前記遺伝子の5'側方配列(5' flanking sequence)の少なくとも近位の406bpの領域が一般に使用される、しかし、より大きい部分の5'側方配列(約5kbpまで)が好適である(例えば、ベータ-ラクトグロブリン遺伝子の5'側方のプロモーターおよび非コード領域部分を含む、約4.25kbpのDNAセグメント)。Whitelaw等〔Whitelaw et al., Biochem J. 286: 31-39 (1992)〕を参照されたい。他の種からのプロモーターDNAの類似する断片も適切である。
ベータ-ラクトグロブリン遺伝子の他の領域も、構築物に導入し得る(発現される遺伝子のゲノム領域など)。イントロンを欠損している構築物が、例えば、係るDNA配列を含有するものと比較して、貧弱に発現することは、当該技術分野において一般的に認められている(Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 836-840 (1988); Palmiter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 478-482 (1991); Whitelaw et al., Transgenic Res. 1: 3-13 (1991); WO 89/01343;およびWO 91/02318を参照されたい、これらの各々は本明細書中に参照により援用される)。この点において、所望のタンパク質またはポリペプチドをコード化している遺伝子の天然のイントロンの全て又は幾つかを含有しているゲノム配列を使用することは、可能な場合、一般的に好適である。従って、例えば、ベータ-ラクトグロブリン遺伝子からの少なくとも幾つかのイントロンの更なる包含が好適である。係る領域の1つは、ヒツジのベータ-ラクトグロブリン遺伝子のイントロンスプライシングおよび3'非コード領域からのRNAポリアデニル化に関して提供されるDNAセグメントである。遺伝子の天然の3'非コード配列に対して置換される場合、このヒツジのベータ-ラクトグロブリンセグメントは、所望のタンパク質またはポリペプチドの発現レベルを増強する及び安定化することができる。他の態様において、ビタミンK依存性タンパク質をコード化している配列の開始ATGを包囲している領域は、ミルク特異的なタンパク質遺伝子からの対応する配列で置換される。係る置換により、推定上の組織特異的な開始環境が提供されて、発現が増強される。
ビタミンK依存性タンパク質のトランスジェニック動物における発現に関して、前記ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているDNAセグメントは、その発現に要求される付加的なDNAセグメントに動作可能に連結されて、発現単位が作出される。係る付加的なセグメントは、前述のプロモーターと同様に転写の終結およびmRNAのポリアデニル化に要求される配列とを含む。前記発現単位は、ビタミンK依存性タンパク質をコード化しているセグメントに動作可能に連結されている、分泌性シグナル配列をコード化しているDNAセグメントを更に含む。分泌性シグナル配列は、ビタミンK依存性タンパク質の本来の分泌性シグナル配列であってもよく又は別のタンパク質〔例えば、ミルクタンパク質〕のものであってもよい。例えば、von Heinje〔von Heinje, Nuc. Acids Res. 14: 4683-4690 (1986)〕;およびMeade等の米国特許第4,873,316号(該文献は本明細書中に参照によって援用される)を参照されたい。
トランスジェニック動物における使用に関する発現単位の構築は、ビタミンK依存性タンパク質をコード化している配列を、付加的なDNAセグメントを含んでいるプラスミドまたはファージベクターへと挿入することにより都合よく実施されるが、発現単位は基本的に任意の配列の連結により構築され得る。ミルクタンパク質をコード化しているDNAセグメントを含んでいるベクターを提供すること及びミルクタンパク質に関するコード配列をビタミンK依存性タンパク質のもので置換することは、特に都合がよく;これによってミルクタンパク質遺伝子の発現制御配列(expression control sequences)を含む遺伝子融合体が作出される。プラスミドまたは他のベクターに発現単位をクローニングすることにより、ビタミンK依存性タンパク質の増幅が促進される。増幅は細菌性(例えば、大腸菌)の宿主細胞において都合よく実施される、それゆえ前記ベクターは、細菌性の宿主細胞において機能的な複製開始点および選択可能なマーカーを典型的に含む。
発現単位は、次に選択された宿主種の受精卵(早期段階の胚を含む)へと導入される。異種性DNAの導入は、マイクロインジェクション(例えば、米国特許第4,873,191号)、レトロウイルス感染(Jaenisch, Science 240: 1468-1474 (1988))、または胚性幹(ES)細胞を用いた部位特異的統合(site-directed integration)(Bradley et al., Bio/Technology 10: 534-539 (1992)により論評されている)を含む、いくつかの経路の1つにより達成できる。卵を、次に偽妊娠メスの卵管(oviducts)または子宮に移植し、期間(term)まで発生させる。生殖系列に導入されたDNAを保持している子孫は、前記DNAを彼らの後代(progeny)へと通常のメンデル様式で伝達することができ、これによってトランスジェニック群(transgenic herds)の発生が可能となる。
トランスジェニック動物を生産するための一般的な処置は、当該技術分野において知られている。例えば、Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1986; Simons et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988); Wall et al., Biol. Reprod. 32: 645-651 (1985); Buhler et al., Bio/Technology 8: 140-143 (1990); Ebert et al., Bio/Technology 9: 835-838 (1991); Krimpenfort et al., Bio/Technology 9: 844-847 (1991); Wall et al., J. Cell. Biochem. 49: 113-120 (1992);米国特許第4,873,191および4,873,316; WIPO公開番号WO 88/00239, WO 90/05188, WO 92/11757;およびGB 87/00458を参照されたい(これらの文献は、本明細書中に参照によって援用される)。外来(foreign)のDNA配列を哺乳類及び彼らの胚細胞へと導入するための技術は、最初にマウスにおいて開発された。例えば、文献〔Gordon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 7380-7384 (1980); Gordon and Ruddle, Science 214: 1244-1246 (1981); Palmiter and Brinster, Cell 41: 343-345 (1985); Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442 (1985);およびHogan et al. (ibid.)〕を参照されたい。これらの技術は、引き続いて、大型の動物(家畜種を含む)での使用に関して適用された〔例えば、WIPO公開番号 WO 88/00239, WO 90/05188, およびWO 92/11757;およびSimons
et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988)を参照されたい〕。簡単に説明すると、トランスジェニックマウスまたは家畜の産生においてこれまで使用された最も効率的な経路において、所望のDNAの数百の直鎖状分子が、樹立された技術にしたがって受精卵の前核(pro-nuclei)の1つに注射される。接合体(zygote)の細胞質へのDNAの注射も使用できる。トランスジェニック植物における生産も使用し得る。発現を、一般化してもよく又は特定の器官(例えば、塊茎)に方向付けてもよい。例えば、文献〔Hiatt, Nature 344:469-479 (1990); Edelbaum et al., J. Interferon Res. 12:449-453 (1992); Sijmons et al., Bio/Technology 8:217-221 (1990);および欧州特許公開EP 255,378〕を参照されたい。
本発明により産生されたFVIIは、アフィニティークロマトグラフィーを抗FVII抗体カラム上で行うことにより精製し得る。免疫吸着カラムは、高特異性のモノクローナル抗体を具備することが好ましい。本明細書中に参照によって援用される文献〔Wakabayashi et al., J. Biol. Chem., 261:11097-11108, (1986)およびThim et al., Biochem. 27: 7785-7793, (1988)〕に記載されたようなカルシウム依存性モノクローナル抗体の使用は、特に好適である。付加的な精製を、従来の化学的な精製手段(例えば、高速液体クロマトグラフィー)により達成してもよい。クエン酸バリウム沈殿を含む他の精製方法は、当該技術分野において知られており、本明細書中に記載されるFVIIの精製に適用し得る(例えば、一般的にScopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y., 1982を参照されたい)。薬学的な使用に関して、少なくとも約90〜95%の均質性(homogeneity)の実質的に純粋なFVIIが好適であり、98〜99%以上の均質性は最も好適である。部分的に又は所望の均質性にまで精製されれば、FVIIを次に治療的に使用しえる。
一本鎖FVIIの活性な二本鎖FVIIaへの転換は、HednerおよびKisiel(1983, J. Clin. Invest. 71: 1836-1841)によって記載されたXIIa因子、又はトリプシン様の特異性を有している他のプロテアーゼ(Kisiel and Fujikawa, Behring Inst. Mitt. 73: 29-42, 1983)を用いることによって達成しえる。或いは、FVII因子は、それをmono Q.RTM.(Pharmacia Fire Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより活性化し得る(Bjoern et al., 1986, Research Disclosures 269:564-565)。本発明のFVII分子及びその薬学的組成物は、血管内凝固に関与する様々なコンディションを治療する目的でヒトに投与するために特に有用である。
本発明のビタミンK-依存性タンパク質を使用して、特定のタイプの血友病を治療することができる。血友病Aは、活性なVIII因子(VIIIa因子)の非存在、またはVIII因子に対するインヒビターの存在によって特徴付けられる。血友病Bは、活性IX因子(IXa因子)の非存在によって特徴付けられる。FVIIの欠陥は、稀ではあるが、VII因子投与に良好に反応する〔Bauer, K. A., 1996, Haemostasis, 26:155-158, suppl. 1〕。VIII因子補充療法は、同じ患者に高力価の阻害性のVIII抗体が発生するために制限される。代替的に、FVIIaを、血友病AおよびBの治療に使用することができる。IXa因子およびVIIIa因子は、X因子を活性化する。VIIa因子は、IXおよびVIII因子の要求性を、X因子を直接的に活性化することによって排除し、また若干の免疫学的な影響を伴うIXおよびVIII因子の欠陥の問題を克服することができる。
本発明の他の特徴は、以下の例示的な態様の記載によって明らかとなるだろう。これらの例示は、本発明を説明する目的で提供されるが、本発明を限定するものではない。
[例]
一般的な方法:
ビタミンK-依存性凝固因子の活性は、当業者が活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT;Activated Partial Thromboplastin Time)またはプロトロンビン時間(PT)アッセイおよび自動化血餅分析計(例えば、ACL 9000, Instrumentation Laboratory, Lexington, MA, USA)などのアッセイを製造者の説明書どおり用いて一般的に評価される。FVII活性をアッセイするための完全な処置は、例えば、WO92/15686およびPersson等(J Biol Chem 276: 29195-9, 2001)に記載されている。
培地サンプルまたは精製タンパク質サンプルにおける抗原レベルを、当該技術分野における当業者に公知のELISA技術によって評価することができる。これらの例は、市販のFIXおよびFVIIに特異的なELISA試験である(例えば、Enzyme Research, South Bend, IN, USA; American Diagnostica, Stamford, CT, USA)。
制限酵素は、New England Biolabsから入手した。
例1: ヒトのVKOR C1 cDNAのクローニング
ヒトのビタミンKエポキシドレダクターゼを、ストラタジーンから購入したヘルクラーゼ(Herculase)ポリメラーゼと以下のオリゴヌクレオチドプライマーとを用いてヒト肝臓(Clontech, Marathon ready cDNA)からPCRでクローン化した:
VKOR-3: 5’-CAC CAG ATC TAC CAT GGG CAG CAC CTG GGG GAG-3’(N-term, BglII部位)(配列番号15);
VKOR-4: 5’-AAA AGC TTC AGT GAT GGT GAT GAT GGT GCC TCT TAG CCT TGC CCT GGG G-3’(C-term, 6XHisおよびHindIII部位)(配列番号16)。
生じた500bpのPCR断片をpCR-Blunt(Invitrogen)に挿入し、配列を決定した。前記配列は、公開されたC末端のHis-tagで拡張されたVKOR C1(NCBIアクセッション番号 NM_02006)のコード部分と同一であった。
例2: ヒトのガンマカルボキシラーゼcDNAのクローニング
トータルRNA(Total RNA)を、HEK293細胞(ATCC CRL-1573)から、プロメガの核酸精製キット「SVトータルRNA単離システム(SV Total RNA Isolation System)」を用いて製造者の説明書のとおり単離した。全体で150マイクログラムのRNAを単離した。単離したRNAからcDNAを産生するために、SuperScript(Invitrogen, Carlsbad CA, USA)を用いて製造者の説明書のとおり逆転写を行なった。ガンマ―カルボキシラーゼに関する完全なcDNAを、BioTaqおよびBio-X-Act(DNA Technology, Aarhus, Denmark)の1:1混合物を用いて増幅した。PCR反応を、1%アガロースゲルを用いて分析した。正しいサイズを有するDNAバンドを、ゲルから切除し、精製した。cDNAを、さらなる分析のためにpBluescriptKS+ベクターにクローン化した。
PCR反応からのクローンを、自動化シークエンシングで分析し、ガンマ―カルボキシラーゼに関する公開された配列(NCBIアクセッション番号 NM_000821)と比較した。前記クローンの配列中にエラーがあるので、正確なcDNAクローンを個々のクローンからの3つの断片をpBluescriptKS+へと連結させることによって組み立てた。生じたプラスミドをBamHIおよびXbaIで消化し、完全な配列が確認されたガンマ―カルボキシラーゼcDNAをゲル精製で単離した。同じ制限酵素を用い(次に脱リン酸化して)、pcDNA3.1+ベクター(インビトロゲン, Carlsbad, CA, USA)を開裂し、カルボキシラーゼのcDNAを発現試験のためのベクターへと連結した。この発現プラスミドは、pLN438と命名された。pLN438に関する配列は、配列番号1にリストされる。pcDNA3.1+/hygro(Invitrogen)における対応する構築物を、同じ制限酵素を用いて作出した。この構築物は、pLN439と命名された。pLN439に関する配列は、配列番号2にリストされる。
例3: γ-カルボキシル化に欠陥があるIX因子を過剰発現しているCHO-Dukx B11細胞におけるビタミン-K 2,3エポキシドレダクターゼおよびγ-カルボキシラーゼの共発現
ビタミンK2,3エポキシドレダクターゼをコード化している遺伝子を、発現ベクターpcDNA3.1(+)-Hyg(インビトロゲン)にサブクローン化した。ビタミン―K2,3エポキシド―レダクターゼ遺伝子を、ベクターpSX765(上記の例1を参照されたい)をBglIIおよびSpeIで消化することによって単離した。生じた〜550bpの断片を、ゲル電気泳動で精製し、BamHIおよびXbaIで消化したpcDNA3.1(+)-Hygベクターに連結した。挿入物の配向(orientation)および性質(nature)を、生じたプラスミドを制限酵素NcoIで切断することによって確認した。生じたプラスミドは、pTS86-Hygと命名された(図1を参照されたい)。
CHO Dukx-B11細胞を、無傷のFIXのcDNA配列およびDHFR遺伝子を保持している発現プラスミドpTS75でトランスフェクションした(図2を参照されたい)。安定なFIX発現細胞を、MEMアルファマイナス培地(インビトロゲン, Carlsbad, CA, USA)において選択し、続いて基本的にRandal J. Kaufman〔Expression, Purification, and Characterization of Recombinant Gamma-Carboxylated Factor IX Synthesized in Chinese Hamster Ovary Cells, J.B.C. 261, 9622 (1986)〕の記載のとおりメトトレキセート(MTX)を添加することによって増幅した。
50nMのMTXに対して増殖させた細胞の幾つかの単一細胞クローンを、選択し、FIX発現に関してFIX ELISAを用いてアッセイした。FIX血餅活性測定を、次に高収量クローンからの上清で行なった。
ガンマ―カルボキシラーゼおよびVKORの共発現の結果としてのガンマ―カルボキシル化の増加に関して試験するために、高い特異的な生産性を伴うが低特異性のFIX血餅活性のクローンをトランスフェクションに関して選択した。トランスフェクションを、それぞれビタミンK 2,3エポキシドレダクターゼ遺伝子およびγ―カルボキシラーゼ遺伝子を含んでいる発現プラスミドpTS86(上記を参照されたい)およびpLN438(上記の例2を参照されたい)で三重反復(triplicate)で行なった。細胞を、500μg/mlのジェネテシン(ギブコ)および500μg/mlのハイグロマイシン(インビトロゲン)で2週間選択した。
2週間の選択後、FIX活性を細胞プールにおいて測定できる。単一細胞クローンを、FIX血餅活性の増加を呈している細胞プールを限界希釈クローニングすることによって産生することができる。高い特異的な生産性と高比活性とを有するクローン(ELISAおよびACL9000分析で判断される)を次に単離することができ、ビタミンK2,3エポキシドレダクターゼ遺伝子の共発現によってカルボキシル化の増加が実証される。
例4: 昆虫細胞におけるγ―カルボキシル化FVIIの発現。
Hisタグ化したVKOR C1遺伝子を、BglIIおよびHindIIIで切断し、単離し、バキュロウイルス系で発現させるためにBamHI―HindIII切断したpBlueBac4.5(Invitrogen)へと製造者の説明書(Invitrogen Bac-N-BluePharmacia TM Transfection Kit Manual)のとおり挿入し、発現ベクターpSX766を作出した。pLN438からのヒトγ-カルボキシラーゼは、5’のBamHI部位およびN末端FLAG-tag(MDYKDDDDK)(配列番号17)と3’のSalI部位およびC末端のHPC4-tag(EDQVDPRLIDGK)(配列番号18)とを付与された。前記遺伝子を、BamHIおよびSalIで切断し、同じ酵素で切断したpBlueBac4.5に挿入し、発現ベクターpSX691を作出した。ヒトFVII遺伝子に5’のBamHI部位および3’のHindIII部位を付与し、これを同じ酵素で切断したpBlueBac4.5に挿入して、発現ベクターpSX751を作出した。
3つのプラスミド(pSX766, pSX691, およびpSX751)を、次にSpodoptera frugiperda(sf9)細胞にBac-N-Blue LinearバキュロウイルスDNA(Invitrogen)と共にコトランスフェクション(co-transfected)できた。培地サンプルを収穫し、ガンマカルボキシル化されたFVIIの発現を、ELISAを用いた抗原レベルと血餅分析を用いるFVII抗原の活性とを比較することによって実証することができる。
例5: 酵母におけるγ―カルボキシル化したFVIIの発現。
培養培地への分泌を達成するために、ヒトFVIIを、24アミノ酸の「HSA/MF(アルファ)−1 融合リーダー」を保持している出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)で発現することができる。
社内で開発した「p425」発現ベクター(Mumberg et al., 1994, Nucleic Acids Researchによって記載されたプラスミドに由来する)を使用して、FVIIを発現させることができる。FVII発現ベクターは、社内(in-house)で開発されたFVIIベクターpTS8〔pcDNA3.1(+) (インビトロゲン)中にFVII cDNA〕からのFVII BamHI+EcoRV断片を、BamHI+EcoRV消化し、脱リン酸化した「pBluescriptSK(+)」とT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて連結させることによって構築された。HSA/MF(アルファ)1 シグナル配列を、シグナル配列 (ggatccaccatgaaatgggtttcttttatttctttgttgtttttgttttcttctgcttattctagatctttggataaaagagcagtcttcgtaacccaggaggaagcccacggcgtcctgcaccggcgccggcgcgccaacgcgt (配列番号12))をコード化しているアニールしたオリゴヌクレオチドをBamHI-MluI消化した「FVII-pBluescriptSK(+)」とT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて連結させることによって導入した。BamHI+EcoRV制限FVII(BamHI+EcoRV restricted FVII)(シグナル配列コード化配列を含んでいる)を、BamHI+SmaI消化し、1UのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて脱リン酸化された「p425(delta XhoI)」と連結した。生じたプラスミドは、「FVII HSA/MF(アルファ)1シグナル p425」と称された(図3を参照されたい)。プラスミド「FVII HSA/MF(アルファ)1シグナル p425」の配列を、配列番号3に表す。
ヒトのVKORは、使用したTM予測プログラムによると1-3の間の膜貫通ドメインを含有する。また、前記酵素は、おそらくER膜に統合されている。予測されたTMドメインの1つは、VKORのN末端(残基10〜29)に位置し、VKORは自身のシグナル配列を保持する。前記シグナル配列は、酵母のシグナル配列で〔例えば、MF(アルファ)シグナル配列で〕置換されえる。
VKOR発現または細胞内局在を検出する目的で、一連の構築物を作出した。該構築物において、VKORはHA-エピトープタグを保持する:「pSX765」からのEcoRI-EcoRI VKOR-含有断片を、EcoRI消化し、脱リン酸化した「pRS316-MF(アルファ)1 プロモータ」(Sikorski and Hieter, 1989, Geneticsによって記載されたpRS系列のプラスミドから由来する)へとT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて連結した。生じたプラスミドは、「VKOR pRS316 MF(アルファ)1 プロモータ」と称される(図4を参照されたい)。プラスミド「VKOR pRS316 MF(アルファ)1 プロモータ」の配列は、配列番号4に表される。
「VKOR pRS316 MF(アルファ)1 プロモータ」からのEcoRI-HindIII VKOR含有断片を、EcoRI+HindIII消化し、脱リン酸化した「pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」にクローン化した。生じたプラスミドは、「VKOR pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」である(図5を参照されたい)。プラスミドの配列は「VKOR pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」であり、これは配列番号5にリストされる。
HA-tag(tccggaaggtccaagaaccccagggcaaggctaagagggcatacccttacgatgttcctgactatgcgggct atccctatgacgtcccggactatgccggatcctacccttacgacgttccagattacgcttgaagcttatcgat (配列番号13))とインフレームで連結されたVKORのC末端をコード化している断片を、高忠実度ポリメラーゼ(Roche)を用いてPCR増幅した。
配列を検証したBspE1+ClaI VKOR HA-tag断片を、BspE1+ClaI消化し、脱リン酸化した「VKOR pRS316-MF(アルファ)1 プロモータ」(上記を参照されたい)とT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて連結した。生じたプラスミドを、「VKOR C HA-tag pRS316 MF(アルファ)1 プロモータ」と命名した(図6を参照)。プラスミド「VKOR C HA-tag pRS316 MF(アルファ)1 プロモータ」の配列は、配列番号6にリストされる。
VKOR-HA-tagを含有している断片を、EcoRI+HindIIIを用いて「pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」にクローン化した。生じたプラスミドは、「VKOR C HA-tag pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」と命名された(図7を参照されたい)。プラスミドの配列は、「VKOR C HA-tag pRS426 MF(アルファ)1 プロモータ」であり、これは配列番号7にリストされる。
ヒトのガンマ―カルボキシラーゼは、5つの膜貫通ドメインを含有するが、予測可能なシグナル配列は有さない。前記酵素は、ERに統合され、ERのレベルで作用する。myc―エピトープを保持しているバージョンのガンマ―カルボキシラーゼは、発現または細胞内局在を検出する目的で作出された。社内で開発したpRS313(MF(アルファ)1 プロモータ, HIS3, ARS/CEN)またはpRS423(MF(アルファ)-1 プロモータ, HIS3, 2-ミクロン)プラスミド(Sikorski and Hieter, 1989, Geneticsによって記載されたpRSシリーズのプラスミドに由来する)を、カルボキシラーゼ発現ベクターを作出するために使用した:PmeI消化したpLN438からの断片を含有しているガンマ―カルボキシラーゼを、EcoRV消化し、脱リン酸化した「pRS313-MF(アルファ)1 プロモータ」と連結して、プラスミド「ガンマカルボキシラーゼpRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」(図8を参照されたい)を、または「pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」と連結して、プラスミド「ガンマカルボキシラーゼ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」をそれぞれ産生した(図9を参照されたい)。プラスミド「ガンマ―カルボキシラーゼ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」および「ガンマ―カルボキシラーゼ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」の配列は、配列番号8および配列番号9にリストされている。
myc-タグをつけたガンマ―カルボキシラーゼ C-末端を、PCR増幅した(cgccggcgaaatactcctttccatgagcgattcttccgcttcttgttgcgaaagctctatgtctttcgccgcag cttcctgatgacttgtatctcacttcgaaatctgatattaggccgtccttccctggagcagctggcccaggaggtgacttatgcaaacttgagaccctttgaggcagttggagaactgaatccctcaaacacggattcttcacattctaatcctcctgagtcaaatcctgatcctgtccactcagagttcgctgaggagcaaaagttaatttctgaagaagatttgtccatggctgaagaacaaaaattgatcagcgaggaggacttataaatcgat(配列番号14))、この際にプラスミド「ガンマ―カルボキシラーゼ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」を鋳型として用いた。
新しいC-末端を、「ガンマ―カルボキシラーゼ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」 SgrA1+ClaI 脱リン酸化ベクターへT4 DNAリガーゼ(Roche)を用いてクローン化した。対応する例では、プラスミド ガンマカルボキシラーゼ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」を鋳型として用いて行なった。生じたプラスミドは、それぞれ「ガンマカルボキシラーゼ C-term myc-タグ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」(図10を参照されたい)および「ガンマカルボキシラーゼ C-term myc-タグ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」と称される(図11を参照されたい)。プラスミド「ガンマカルボキシラーゼ C-term myc-タグ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータ」および「ガンマカルボキシラーゼ C-term myc-タグ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータ」の配列は、配列番号10および配列番号11にリストされる。
FVII, ビタミンKレダクターゼおよびガンマ―カルボキシラーゼをコード化している発現ベクターを、活性FVIIの発現のために酵母細胞に形質転換することができる。培地サンプルまたは細胞ライセートにおける活性FVIIタンパク質の発現を、ELISAでの抗原決定および血餅アッセイでの活性決定を用いて実証することができる。
本明細書中に記載される、文献(publications)、特許出願(patent applications)、および特許(patents)を含む全ての文献は、各文献が参照によって援用されると個別に具体的に指摘され且つその全体が本願発明に記載されているのと同程度にまで(法が許容する最大程度にまで)参照によって援用される。
本明細書に別段の記載がなく、又は明確に反対の記載がなければ、考えられる全ての変形における上記事項のあらゆる組み合わせが、本発明によって包含される。
本発明を記載する際に使用される「a」及び「an」及び「the」という用語及び類似の指示記号(referents)は、(特に、特許請求の範囲の記載において)、本明細書に別段の記載がなく、又は明確に反対の記載がなければ、単数及び複数の両方を包含するものと解釈しなければならない。
本明細書に別段の記載がなければ、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」の用語は、オープンエンドの用語(即ち、「特定の事項を含むが、それに限定されない」ことを意味する)であると解釈され、「〜からなる(consisting)」、「実質的に〜を含む(substantially comprised of)」、および「〜から本質的になる(consisting essentially of)」の用語を包含すると解釈されるべきである〔例えば、特定の成分を「含む」組成物の開示がなされている場合、本発明は、関連する部分において、他の該成分から本質的になることを特徴とする同一の組成物及び(独立して)該成分のみからなる組成物も提供することを理解すべきである〕。
本明細書において値の範囲を引用することは、当該範囲に含まれる各個別の値を個別的に表すための簡略法としての役割を果たすことを意図しているにすぎず、本明細書中に別段の記載がなければ、各個別の値は、本明細書に個別的に記載されている場合と同様に、本明細書中に取り込まれる。別段の記載がなければ、本明細書に記載されている全ての値は、対応する近似値(approximate values)を代表している(例えば、具体的な因子又は測定に関して記載されている全ての例示的な値は、適切な場合には、「約」と修飾される対応している近似的な測定値も表すと考えることができる)。
本明細書に別段の記載がなく、又は明確に反対の記載がなければ、本明細書に記載されている全ての方法は、任意の適切な順序で実施することができる。
本明細書中で記載される、任意の及び全ての例又は例示的な用語(「例えば」など)は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、他で請求しない限り本発明の範囲を限定しない。明細書における用語は、任意の非請求の要素(any non-claimed element)を、本発明の実施に必須のものと指摘していると解釈されるべきではない。
本明細書での特許文書(patent documents)の引用(citation)および援用(incorporation)は、便宜上の目的でのみなされ、係る特許文書の有効性(validity)、特許可能性(patentability)、および/または権利行使可能性(enforceability)の如何なる見解(view)をも反映するものではない。
本発明の好適な態様は、本明細書中に記載される。これらの好適な態様の修飾は、上述の記載から当業者には明らかであろう。発明者は、当業者に係る修飾を適切に行なうことを期待する。また、発明者は、本発明が本明細書に具体的に記載された以外のことでも実施されることを意図している。以上、本発明は、適用される法律が認める、本願の特許請求の範囲に記載される対象(subject matter)の全ての修飾物(modifications)および均等物(equivalents)を含む。
pTS86-Hygプラスミドの詳細を示す図である。 pTS75プラスミドの詳細を示す図である。 FVII HSA/MF(アルファ)1シグナルp425プラスミドの詳細を示す図である。 VKOR pRS316-MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 VKOR pRS426-MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 VKOR C-HA-tag pRS316-MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 VKOR C-HA-tag pRS426-MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 ガンマ―カルボキシラーゼ pRS313 MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 ガンマ―カルボキシラーゼ pRS423 MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 ガンマ―カルボキシラーゼ C-term myc-tag pRS313 MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。 ガンマ―カルボキシラーゼ C-term myc-tag pRS423 MF(アルファ)1 プロモータープラスミドの詳細を示す図である。

Claims (15)

  1. ビタミンK依存性ポリペプチドを、カルボキシル化欠陥性宿主細胞において調製する方法であって、以下を共発現することを備える方法:
    a) ガンマ―カルボキシラーゼ
    b) ビタミンKレダクターゼ、好ましくはビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼ(VKOR)
    c) ビタミンK依存性ポリペプチド。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記ビタミンK依存性ポリペプチドが、VII因子, IX因子, X因子, プロトロンビン, プロテインC, プロテインS, プロテインZ, 肺サーファクタント関連タンパク質, オステオカルシン, プロリンリッチGlaタンパク質1, およびマトリックスglaタンパク質から選択される方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記ビタミンK依存性ポリペプチドは、VII因子である方法。
  4. ビタミンK依存性ポリペプチド産生を、カルボキシル化コンピテント宿主細胞(a carboxylation-competent host cell)において増強する方法であって、以下の何れかを備える方法:
    a) カルボキシル化コンピテント細胞を、ガンマ―カルボキシラーゼまたはビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼの何れか、およびビタミンK依存性ポリペプチドでトランスフェクションすること、又は
    b) カルボキシル化コンピテント細胞を、ガンマ―カルボキシラーゼ、ビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼ、およびビタミンK依存性ポリペプチドでトランスフェクションすること、又は
    c) ビタミンK依存性ポリペプチドを既に発現している細胞株を、ガンマ―カルボキシラーゼまたはビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼの何れかでトランスフェクションすること、又は
    d) ビタミンK依存性ポリペプチドを既に発現している細胞株を、ガンマ―カルボキシラーゼおよびビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼの両方でトランスフェクションすること。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記ビタミンK依存性ポリペプチドが、VII因子, IX因子, X因子, プロトロンビン, プロテインC, プロテインS, プロテインZ, 肺サーファクタント関連タンパク質, オステオカルシン, プロリンリッチGlaタンパク質1, およびマトリックスglaタンパク質から選択される方法。
  6. 請求項4に記載の方法であって、前記ビタミンK依存性ポリペプチドがVII因子である方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記カルボキシル化欠陥性宿主細胞が、非脊椎動物(non-vertebrate)の細胞株である方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、前記非脊椎動物の細胞株が酵母細胞である方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記酵母細胞がSchizosaccharomycesである方法。
  10. 請求項8に記載の方法であって、前記酵母細胞がPichiaである方法。
  11. 請求項8に記載の方法であって、前記酵母細胞がSaccahromycesである方法。
  12. 請求項7に記載の方法であって、前記非脊椎動物の細胞株が植物由来の細胞株である方法。
  13. 請求項7に記載の方法であって、前記非脊椎動物の細胞株がトランスジェニック植物である方法。
  14. 請求項7に記載の方法であって、前記非脊椎動物の細胞株が昆虫細胞株である方法。
  15. 請求項4に記載の方法であって、前記宿主細胞が、トランスジェニック動物であり、ビタミンK依存性ポリペプチドおよびガンマ―カルボキシラーゼの両方に関する又はビタミンK2,3-エポキシドレダクターゼに関するcDNAsが導入され、発現される方法。
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