JP2008518901A - インダゾール化合物を調製するための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、式(I)を有するインダゾール化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を調製するための方法に関する。式(I)の化合物は、抗血管形成薬ならびにプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するための薬剤として有用であり、したがって癌またはプロテインキナーゼによって媒介される細胞増殖に関連する他の疾患のための治療を提供する。
【化1】
【化1】
Description
本発明は、プロテインキナーゼのモジュレーターおよび/または阻害剤として有用であるインダゾール化合物、およびその中間体を調製するための方法に関する。
本明細書における本発明に対する背景の考察は、本発明の状況を説明するために含めている。これは、言及した物質のいずれかが、特許請求の範囲のいずれかの優先日の時点で任意の国において公表されていた、既知であった、または周知の事実の一部であったという了承事項として受け取られるべきではない。
それぞれがその全体を参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,531,491号および第6,534,524号は、VEGF−R(血管内皮細胞増殖因子受容体)、FGF−R(線維芽細胞増殖因子受容体)、CDK(サイクリン依存キナーゼ)複合体、CHK1、LCK(リンパ球特異的チロシンキナーゼとしても知られている)、TEK(Tie−2としても知られている)、FAK(接着斑キナーゼ)、および/またはホスホリラーゼキナーゼなどいくつかのプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するインダゾール化合物を対象としている。こうした化合物は、癌およびプロテインキナーゼによって媒介される血管形成または細胞増殖に関連する他の疾患の治療に有用である。
上記参照米国特許で論じられているインダゾール化合物の一群は、以下に示す式
R1は、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、あるいは式CH=CHR3またはCH=NR3基であり、式中、R3は、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Yは、O、S、C=CH2、C=O、S=O、SO2、CH2、CHCH3、−NH−、または−N(C1〜C8アルキル)であり、
R9は、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、アリールオキシル、シクロアルコキシル、−NH(C1〜C8アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N=CH(アルキル)、−NH(C=O)R11、または−NH2であり、式中、R11は、それぞれ独立に水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、
R10は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、および低級アルキルから選択される]によって表され、またその薬学的に許容できるプロドラッグ、薬学的に許容できる代謝産物、および薬学的に許容できる塩である。
こうした化合物を調製するための方法は既に言及されていたが、当技術分野では効率的で費用対効果が大きい新しい合成経路を依然として必要としている。
一態様では、本発明は、式Iの化合物
[式中、
R1は、式−CH=CHR4または−CH=NR4の基であり、またR1は、0〜4個のR5基で置換されており、
R2は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C1〜C12)アルコキシ、(C6〜C12)アリールオキシ、(C3〜C12)シクロアルコキシ、−NH(C1〜C8アルキル)、−NH(C6〜C12アリール)、−NH(5〜12員ヘテロアリール)、−N=CH(C1〜C12アルキル)、−NH(C=O)H、−NH(C=O)R5、または−NH2であり、またR2は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R3は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または(C1〜C8)アルキルであり、また(C1〜C8)アルキルは、0〜4個のR5基で置換されており、
R4は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またR4は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R5は、それぞれ独立にハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、−OH、−NO2、−CN、−CO2H、−O(C1〜C8アルキル)、(C6〜C12)アリール、(C6〜C12)アリール(C1〜C8)アルキル、−CO2CH3、−CONH2、−OCH2CONH2、−NH2、−SO2NH2、ハロ置換(C1〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C1〜C12)アルキル)である]
を調製するための方法であって、
a)式IIの化合物と式IIIの化合物を反応させて、式IVの化合物を生成するステップ
b)式IVの化合物を脱保護して、式Iの化合物を生成するステップと
を含む方法に関する。
別の態様では、本発明は、触媒がパラジウム触媒である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、触媒がPd(dppf)Cl2−CH2Cl2である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、およびその混合物からなる群から選択される、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、塩基が炭酸セシウムである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応中に溶媒をさらに含む式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、反応を約80℃で実施する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、Wがテトラヒドロピラン保護基またはトリメチルシリルエトキシメチル保護基である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xがヨウ化物である、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、保護基Wがテトラヒドロピランであり、脱保護のプロセスがアルコール溶媒中で式IVの化合物を酸と反応させることを含む、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、酸がメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であり、アルコール溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物が式Vを有し、式IIIの化合物が式VIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式IVの化合物が式VIIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式Iの化合物が式VIIIを有する、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物
[式中、
R1は、式−CH=CHR4または−CH=NR4の基であり、またR1は、0〜4個のR5基で置換されており、
R4は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またR4は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R5は、それぞれ独立にハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、−OH、−NO2、−CN、−CO2H、−O(C1〜C8アルキル)、(C6〜C12)アリール、(C6〜C12)アリール(C1〜C8)アルキル、−CO2CH3、−CONH2、−OCH2CONH2、−NH2、−SO2NH2、ハロ置換(C1〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C1〜C12)アルキル)であり、
Wは、保護基であり、
Xは、活性化置換基である]
を調製するための方法であって、
a)式IXの化合物とジアゾ化剤を反応させて、ジアゾニウム塩を形成するステップと、
b)ジアゾニウム塩を金属ハロゲン化物で処理するステップ
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、活性化置換基Xがヨウ化物である、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸t−ブチルである、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムであり、金属ハロゲン化物がヨウ化カリウムである、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、触媒量のヨウ素をさらに含む、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、式IXの化合物が式Xを含み、式IIの化合物が式Vを含む、式IIの化合物を調製するための方法に関する。
当技術分野で使用されている規則によれば、
本明細書では、「反応する(react)」、「反応した(reacted)」および「反応している(reacting)」という用語は、2種以上の反応体を互いに接触させて化学変化または変換を引き起こす化学プロセスまたは複数のプロセスを意味する。例えば、反応体Aと反応体Bを互いに接触させて新しい化合物C(単複)をもたらす場合、AはBと「反応して(reacted)」Cを生成したということである。
本明細書では、「保護する(protect)」、「保護した(protected)」、および「保護している(protecting)」という用語は、化合物中の官能基を非反応性官能基によって選択的にマスクして、前記化合物上の他の場所で選択反応(単複)を引き起こさせるプロセスを意味する。こうした非反応性官能基は、本明細書において「保護基」と呼ばれている。例えば、本明細書では、「窒素保護基」という用語は、窒素(N)基の反応性を選択的にマスクすることが可能な基を意味する。本明細書では、「適当な保護基」という用語は、本発明の化合物の調製で有用な保護基を意味する。こうした基は一般に、対象化合物の他の部分に干渉しない温和な反応条件を用いて選択的に導入および除去することができる。本発明のプロセスおよび方法で使用するのに適した保護基は、よく知られている。こうした保護基の化学的性質、それらの導入およびそれらの除去のための方法は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、T.Greene and P.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(3rd ed.)、John Wiley & Sons、NY(1999)に見つけることができる。本明細書では、「脱保護する(deprotect)」、「脱保護した(deprotected)」、および「脱保護している(deprotecting)」という用語は、化合物から保護基を除去するプロセスを意味することになっている。
本明細書では、「脱離基」という用語は、一般にそれが結合する原子で求核置換反応を生じさせる化学官能基を意味する。例えば、式Cl−C(O)R(式中、Rはアルキル、アリール、または複素環である)の酸塩化物の場合、カルボニル炭素で求核置換反応を生じさせるので、−Cl基が一般に脱離基と呼ばれている。適当な脱離基はよく知られており、カルボジイミドなどの化合物との反応によって活性化されたハロゲン化物、芳香族複素環、シアノ、アミノ基(一般に酸性条件下)、アンモニウム基、アルコキシド基、炭酸基、ギ酸、およびヒドロキシ基を含んでいてよい。例えば、適当な脱離基には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(任意選択によりヒドロキシベンゾトリアゾールなどの添加剤の存在下で)などのカルボジイミドまたはカルボジイミド誘導体と反応させた塩化物、臭化物、ヨウ化物、シアノ、イミダゾール、およびヒドロキシ基があるが、それだけには限定されない。
本明細書では、「活性化置換基」という用語は、一般にそれが結合する原子で置換反応を生じさせる化学官能基を意味する。例えば、ヨウ化アリールの場合、アリール炭素で置換反応を生じさせるので、−I基が一般に活性化置換基と呼ばれている。適当な活性化置換基はよく知られており、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、活性化ヒドロキシル基(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート)、ならびにジアゾニウム塩を含んでいてよい。
本明細書では、「アルキル」という用語は、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい1〜10個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を表す。例示的なアルキル置換基には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルなどがあるが、それだけには限定されない。
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含み、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素を表す。例示的なアルケニル置換基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、アリル、ペンテニルなどがあるが、それだけには限定されない。
本明細書では、「フェニル」という用語は、完全不飽和6員炭素環基を意味する。「フェニル」基は、本明細書においてベンゼン誘導体と呼ぶこともできる。
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、非置換であっても下記の1種もしくは複数の置換基によって置換されていてよい、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を含めた、5〜18環原子を含有する、芳香族一価単環式、二環式、または三環式基を含む基を意味する。本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において記載された窒素含有ヘテロアリール基のN−酸化物誘導体(または2個以上のN−酸化物誘導体が形成され得るようにヘテロアリール基が2個以上の窒素を含む場合には複数のN−酸化物誘導体)も包含するものとする。ヘテロアリール基の例示的な例には、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキシアリニル、キンゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルがあるが、それだけには限定されない。ヘテロアリール基のN−酸化物誘導体の例示的な例には、N−酸化ピリジル、N−酸化ピラジニル、N−酸化ピリミジニル、N−酸化ピリダジニル、N−酸化トリアジニル、N−酸化イソキノリル、およびN−酸化キノリルがあるが、それだけには限定されない。ヘテロアリール基の他の例には、以下の部分
「ハロゲン化物」、「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基を表す。
本発明の化合物または本発明中の中間体が塩基の場合、所望の塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸など、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸もしくは酒石酸などのα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくはケイ皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸などによる遊離塩基の処理を含む、当技術分野で既知の任意の適当な方法によって調製することができる。
本発明の化合物または本発明中の中間体が酸の場合、所望の塩は、無機塩基またはアミン(第一級、第二級、もしくは第三級)などの有機塩基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物などによる遊離酸の処理を含む、当技術分野で既知の任意の適当な方法によって調製することができる。適当な塩の例示的な例には、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリン、およびピペラジンなどの環状アミン由来の有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウム由来の無機塩がある。
本発明の化合物は、少なくとも1個のキラル中心を含んでいてよく、単一立体異性体(例えば、単一鏡像異性体もしくは単一ジアステレオ異性体)、立体異性体の任意の混合物(例えば、鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体の任意の混合物)またはそのラセミ混合物として存在していてよい。特に指示がない限り、本発明の化合物のすべての立体異性体、混合物およびラセミ化合物は、本発明の範囲内に包含されていることを特に企図している。
本明細書において単一立体異性体として特定されている化合物は、化合物中に存在する各キラル中心の少なくとも約90%から少なくとも約99%の単一立体異性体を少なくとも含む形態で存在する化合物を表現している。本明細書において例示されている化学構造中に存在するキラル炭素の立体化学が特定されていない場合には、考えられるすべての立体異性体がそこに包含されていることを特に企図している。本発明の化合物は、立体異性的に純粋な形態または実質的に立体異性的に純粋な形態で調製および使用することができる。
本明細書では、用語「立体異性的」純度は、化合物の「鏡像異性的」純度および/または「ジアステレオ異性的」純度を意味する。本明細書では、「立体異性的に純粋な形態」という用語は、少なくとも約95%から少なくとも約99%(およびその間のすべての値)の単一立体異性体を含む化合物を包含することを表す。
本明細書では「実質的に鏡像異性的に純粋」という用語は、少なくとも約90%から少なくとも約95%(およびその間のすべての値)の単一立体異性体を含む化合物を包含することを表す。
本明細書では、「ジアステレオ異性的に純粋」という用語は、少なくとも約95%から少なくとも約99%(およびその間のすべての値)の単一ジアステレオ異性体を含む化合物を包含することを表す。
本明細書では、「実質的にジアステレオ異性的に純粋」という用語は、少なくとも約90%から少なくとも約95%(およびその間のすべての値)の単一ジアステレオ異性体を含む化合物を包含することを表す。
本明細書では、「ラセミ」または「ラセミ混合物」という用語は、配置が逆の立体異性体化合物を等量含む混合物を意味する。例えば、1個の立体異性中心を含む化合物のラセミ混合物は、その立体異性中心が(S)−および(R)−配置のものである化合物を等量含むはずである。
本明細書では、「鏡像異性的に豊富」という用語は、化合物の一方の立体異性体が逆の立体異性体よりも大量に存在する組成物を意味する。
同様に、本明細書では、「ジアステレオ異性的に豊富」という用語は、化合物の一方のジアステレオ異性体が逆のジアステレオ異性体よりも大量に存在する組成物を意味する。
本発明の化合物は、立体異性的に純粋(すなわち、鏡像異性的におよび/またはジアステレオ異性的に純粋)または実質的に立体異性的に純粋(すなわち、実質的に鏡像異性的におよび/またはジアステレオ異性的に純粋)な形態で得ることができる。こうした化合物は、立体異性的に純粋または実質的に立体異性的に純粋な物質を用いて本明細書において記載されている手順によって、合成的に得ることができる。あるいは、これらの化合物は、既知の手順を用いて、ラセミおよびジアステレオ異性体混合物を含む立体異性体の混合物の分解/分離によって得ることができる。立体異性体混合物の分解/分離に有用であり得る例示的な方法には、ジアステレオ異性体混合物を形成するための立体化学的に純粋な試薬による誘導、ジアステレオ異性体混合物のクロマトグラフ分離、キラル固定相を用いた鏡像異性体混合物のクロマトグラフ分離、共有結合誘導体の酵素的分解、および結晶化/再結晶がある。他の有用な方法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Enantiomers,Racemates,and Resolutions、J.Jacques、et al.、1981、John Wiley and Sons、New York、NYに見つけることができる。本発明の化合物の好ましい立体異性体は、本明細書において記載されている。
式Iの化合物は、6−ニトロインダゾールから調製することができる。インダゾール環は、一般に知られている試薬および反応を用いて、本明細書において記載されたR1基によってC−3位で置換され得る。例えば、インダゾール環のC−3位は、炭酸カリウム(K2CO3)などの塩基の存在下で、かつDMFなどの溶媒中で6−ニトロインダゾールとヨウ素(I2)を反応させて3−ヨード−6−ニトロ−インダゾールを生成することによって官能化することができる。
次いで、インダゾール環のC−3位は、Suzuki反応またはHeck反応などの既知の反応を用いて所望のR1基に合成することができる。
しかし、C−3 R1基の合成の前に、式Iの化合物の調製に有用な中間体には、保護基の使用が必要となるかもしれない。例えば、求核インダゾール環窒素(N−1)は、適当な保護基の使用によってマスキングを必要とするかもしれない。さらに、これらの中間体の置換基が、それら自体本発明の合成法と適合しない場合、置換基は、これらの方法で使用する反応条件に対して安定な適当な保護基で保護されていてよい。保護基は、所望の中間体または目的化合物を生成するために、方法の反応シーケンス中の適当な点で除去することができる。適当な保護基ならびにかかる適当な保護基を用いた異なる置換基を保護および脱保護するための方法はよく知られており、その例は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
適当な窒素保護基、Wは、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させて式IVの化合物を生成する反応条件に対して安定なものである。さらに、このような保護基は、式Iの化合物を生成するために後で除去できるように選択すべきである。
前述の通り、適当な窒素保護基はよく知られており、本発明の化合物を調製する方法で有用なまたは本発明のプロテインキナーゼ阻害化合物で有用かもしれない任意の窒素保護基を使用することができる。例示的な窒素保護基には、シリル、置換シリル、アルキルエーテル、置換アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、置換シクロアルキルエーテル、アルキル、置換アルキル、カルバミン酸、尿素、アミド、イミド、エナミン、スルフェニル、スルホニル、ニトロ、ニトロソ、酸化物、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、有機金属、ボリン酸およびボロン酸基がある。これらのそれぞれの基、これらの基を用いた窒素部分を保護するための方法およびこれらの基を窒素部分から除去するための方法の例は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に開示されている。
したがって、Wとして有用な適当な窒素保護基には、シリル保護基(例えば、SEM:トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル)、シクロアルキルエーテルなどのアルキルエーテル保護基(例えば、THP:テトラヒドロピラン)、アルキルオキシカルボニル(例えば、Boc:t−ブチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル(例えば、Cbz:ベンジルオキシカルボニル、およびFMOC:フルオレン−9−メチルオキシカルボニル)、アルキルオキシカルボニル(例えば、メチルオキシカルボニル)、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニル、置換アルキル、特にアリールアルキル(例えば、トリチル(トリフェニルメチル)、ベンジルおよび置換ベンジル)などのカルバミン酸保護基などがあるが、それだけには限定されない。
Wがシリル保護基(例えば、SEM:トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル)の場合、こうした基を既知条件下で使用し、その後除去することができる。例えば、こうしたシリル保護基は、適当な塩基(例えば、炭酸カリウム)、触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP))、および溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でそれらの塩化シリル(例えば、SEMCI:塩化トリメチルシリルエトキシメチル、TBDMSCI:塩化tert−ブチルジメチルシリル)によって窒素部分およびヒドロキシル基に結合させることができる。こうしたシリル保護基は、フッ化テトラアルキルアンモニウム塩などの有機フッ化塩、または無機フッ化塩の使用など、フッ化物イオンの供給源に対象化合物を暴露することによって切断することができる。適当なフッ化物イオン供給源には、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ナトリウム、およびフッ化カリウムがあるが、それだけには限定されない。あるいは、こうしたシラン保護基は、緩衝薬を使用してまたは使用しないで、有機酸または鉱酸を用いた酸性条件下で切断することができる。例えば、適当な酸には、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、およびメタンスルホン酸があるが、それだけには限定されない。こうしたシラン保護基は、適切なルイス酸を用いて切断することもできる。例えば、適当なルイス酸には、ジメチルブロモボラン、テトラフルオロホウ酸トリフェニルメチル、および特定のPd(II)塩があるが、それだけには限定されない。こうしたシラン保護基は、適切な有機または無機塩基性化合物を使用する塩基性条件下で切断することもできる。例えば、こうした塩基性化合物には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムがあるが、それだけには限定されない。シラン保護基の切断は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう適切な溶媒中で実施することができる。こうした適当な溶媒の中には、例えば、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、または非プロトン性複素環化合物がある。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
Wが環状エーテル保護基(例えば、テトラヒドロピラン(THP)基)の場合、こうした基を既知条件下で使用し、その後除去することができる。例えば、こうした環状エーテルは、適当な酸(例えば、パラ−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸)、および溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でそれらのエノールエーテル(例えば、ジヒドロピラン(DHP))によって窒素部分およびヒドロキシル基に結合させることができる。こうした環状エーテル基は、対象化合物を有機もしくは無機酸またはルイス酸で処理することによって切断することができる。特定の試薬の選択は、存在するエーテルの種類ならびに他の反応条件によって決まるはずである。適当な試薬の例には、塩酸、硫酸、硝酸、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、または三フッ化ホウ素エーテラートなどのルイス酸があるが、それだけには限定されない。
これらの反応は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう溶媒中で実施することができる。こうした適当な溶媒の中には、例えば、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、または非プロトン性複素環化合物がある。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
N−1インダゾール環窒素の保護は、DMF、テトラヒドロフラン(THF)、および塩化メチレン(CH2Cl2)などの溶媒中で3−ヨード−6−ニトロインダゾールを3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよびメタンスルホン酸と反応させて3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールを生成することによって達成される。
式Iの化合物、およびそれらの中間体、例えばR1がC1−C8アルキル、−OH、−NO2、−CN、−CO2H、−O(C1−C8アルキル)、−アリール、−アリール(C1−C8アルキル)、−CO2CH3、−CONH2、−OCH2CONH2、−NH2、−SO2NH2、ハロアルキル、または−O(ハロアルキル)の場合を考慮した種々の置換基は、適当な保護基の使用を必要とすることがある。適当な窒素保護基(上記)、ヒドロキシル保護基、カルボン酸保護基、アミド保護基、またはスルホンアミド保護基、それらの適用およびそれらのその後の除去の選択は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に開示されている。
本発明で有用な適当なヒドロキシル保護基には、アルキルもしくはアリールエステル、アルキルシラン、アリールシランもしくはアルキルアリールシラン、炭酸アルキルもしくは炭酸アリール、ベンジル基、置換ベンジル基、エーテル、または置換エーテルがあるが、それだけには限定されない。種々のヒドロキシル保護基は、いくつかの既知の反応条件を利用して適用しおよび適切に切断することができる。使用する特定の条件は、特定の保護基ならびに対象化合物中に含まれているその他の官能基によって決まるはずである。さらに、適当な条件には、利用した反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう適切な溶媒の使用が含まれる。種々の保護基の適用およびそれらのその後の除去に有用な適当な溶媒には、アルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アルキルアリールエステル、環状エーテル、炭化水素、アルコール、ハロゲン化溶媒、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキルアリールケトン、および非プロトン性複素環化合物が含まれていてよい。例えば、適当な溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、ブチロニトリル、t−アミルアルコール、酢酸、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、およびピリジン、または上記溶媒の任意の混合物があるが、それだけには限定されない。さらに、必要に応じてこの変換では水を補助溶媒として使用することができる。最後に、こうした反応は、使用する特定の反応体に応じて−20℃〜100℃の適切な温度で行うことができる。他の適当な反応条件は、T.Greene and P.Wuts、上掲書に見つけることができる。
ヨウ素によるC−3位の官能化、および適当な窒素保護基Wによるインダゾール環窒素(N−1)の保護の後、インダゾール環のC−3位は、適切な触媒、配位子、アリール、ヘテロアリールおよび/またはオレフィン種を用いてSuzuki反応またはHeck反応によって所望のR1基に合成することができる。
Suzuki反応は、任意置換アリールボロン酸または任意置換ヘテロアリールボロン酸の反応を、アリール基またはヘテロアリール基上の置換基がハロゲン化物、トリフレート、もしくはジアゾニウム塩である置換アリール基または置換ヘテロアリール基に結合させ、ジ−アリール種を生成する、パラジウム触媒カップリング反応である。
Suzuki反応に有用なパラジウム触媒には、Pd(C17H14O)X、Pd(PPh3)4、および[Pd(OAc)2]3などがあるが、それだけには限定されない。無機塩基または有機塩基(例えば、有機アミン)などの塩基も、遊離酸を中和するのに必要とされる。一般に、Suzukiカップリング反応は、Heck反応よりも温和な条件を必要とする。
R1が、置換もしくは非置換アリール基、または置換もしくは非置換ヘテロアリール基の場合、式Iの化合物は、任意置換アリールまたはヘテロアリールボロン酸と、アリールもしくはヘテロアリール基上の置換基がハロゲン化物、トリフレート、もしくはジアゾニウム塩である置換アリールまたはヘテロアリール基との間のSuzuki反応によって調製することができる。
Heck反応は、C−C結合の触媒カップリングを伴い、その場合ビニル水素はビニル、アリール、またはベンジル基で置き換えられ、その後者はハロゲン化物、ジアゾニウム塩、アリールトリフレートまたは超原子価ヨード化合物として導入される。
1−5%モル濃度の、Pd(II)塩または錯体およびPd(0)の形態のパラジウムが、これらのタイプの反応に対してもっとも広く使用されている金属触媒である。無機塩基または有機塩基(例えば、有機アミン)などの塩基も、遊離酸を中和するのに必要とされる。Heck反応で使用する通常の触媒には、Pd(dppf)Cl2/CH2Cl2、[Pd(OAc)2]3、trans−PdCl2(CH3CN)2、Pd(C17H14O)X、ならびにPd(PPh3)4およびtrans−PdCl2(PPh3)2などのPd(0)−ホスフィン錯体またはPd(OAc)2/PPh3などのin situ触媒などがあるが、それだけには限定されない。Cp2Fe(PPh2)2およびPh2P(CH2)2−4PPh2など配位挟角がより大きいキレート化ホスフィンは、Pd(OAc)2、(π−アリル)Pd錯体、Pd2(dba)3、Pd(dba)2およびPdCl2などの触媒と一緒だと有用である。ホスフィンの存在によりこれらの触媒が「安定化」する。一般に、これらのタイプの反応は、極性非プロトン性媒体(アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドなどのσ供与型溶媒)中で実施する。反応時間および温度は、活性化すべき有機ハロゲン化物の性質によって決まる。ヨード誘導体は、より反応性に富み、したがって補助配位子(ホスフィン)を必要としないことがある。これらの場合には、塩基として酢酸ナトリウムと併せたN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリジンなどの極性溶媒は、特に有益である。
R1が式CH=CHR4またはCH=NR4(式中、R4は、本明細書に記載の通りである)の基である場合、式Iの化合物は、ビニル水素を含有している化合物とハロゲン化物、ハロゲン化物、ジアゾニウム塩、アリールトリフレートまたは超原子価ヨード化合物で置換されているビニル、アリール、またはベンジル基を含有している化合物との間のHeck反応によって調製することができる。
3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールと2−ビニルピリジンとの間のHeck反応は、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)などの触媒、トリ−o−トリルホスフィンなどの配位子、N,N−ジイソプロピルエチル−アミンなどの適当な塩基、およびDMFなどの溶媒の存在化でこれらの反応体を加熱することによって達成されて、6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
式Iの化合物は、スルフィド基によって架橋したインダゾール環およびフェニル環を含む。こうしたスルフィド結合環構造は、活性化置換基X(式IIの化合物)によって置換されたインダゾール誘導体とチオフェノール誘導体(式IIIの化合物)をカップリングすることによって得られる。Xに適した活性化置換基には、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、ヒドロキシル誘導体(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート基)、ならびにジアゾニウム塩があるが、それだけには限定されない。
活性化置換X基を用いた、上記の6−ニトロインダゾール環化合物の誘導体化は、6−ニトロ基を6−アミノインダゾール化合物に還元し、続いてジアゾ化し、かつN2をハロゲン化物、水、または塩基性水溶液などの求核試薬で任意選択により置換することによって達成することができる。
6−ニトロインダゾール環化合物は、還元によって6−アミノインダゾール化合物に転換することができる。ニトロ基のアミノ基への還元はよく知られている。Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)およびIn(インジウム)などの金属は、H+供給源と一緒に使用して、一連の単電子移動(SET)/プロトン付加反応によりニトロ基をアミノ基に還元することができる。
6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールは、塩化アンモニウム水溶液の存在下で鉄金属を用いて処理することにより6−アミノ化合物に還元されて、6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
アミノ基をジアゾニウム塩に転換するのに有用なジアゾ化試薬には、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸tert−ブチルがあるが、それだけには限定されない。これらのジアゾ化反応は、アミノ基をジアゾニウム塩に転換するために塩酸などの強酸の存在を必要とする。ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウムおよびハロゲン化カリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物は、求核ハロゲン化アニオンの好都合な供給源である。ヒドロキシル基は、標準的な手順を用いてトリフレート基、メシレート基およびトシレート基に容易に転換される。
塩酸に溶かした亜硝酸ナトリウムなどのジアゾ化試薬を用いた6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの処理により、中間体C−6ジアゾニウム塩が生成する。ヨウ化カリウム(KI)およびヨウ素(I2)(I2は、ヨウ素化プロセスを促進するための触媒として使用する)などの金属ハロゲン化物を添加することにより、6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールが生成する。
式IVの化合物を生成するための式IIの化合物と式IIIの化合物との間のカップリング反応は、触媒、塩基、および任意選択により、1種または複数の溶媒の存在下で達成される。触媒は、パラジウムまたは銅触媒のいずれかであってよい。硫化アリールと活性化置換基Xを含むアリール化合物を結合するためにパラジウムまたは銅触媒を使用する方法は、よく知られている。例えば、上記カップリング反応で有用なパラジウム触媒には、Pd(dppf)Cl2−CH2Cl2、[Pd(Pt−Bu3)(μ−Br)]2、Pd(PCy3)2Cl2、Pd(P(o−トリル)3)2Cl2、[Pd(P(OPh−2,4−t−Bu))2Cl]2、FibreCat(登録商標)1007(PCy2−fibre/Pd(OAc)2)、FibreCat(登録商標)1026(PCy2−fibre/PdCl2/CH3CN)、FibreCat(登録商標)1001(PPh2−fibre/Pd(OAc)2)、Pd(dppf)Cl2、Pd(dppb)Cl2、Pd(dppe)Cl2、Pd(PPh3)4、Pd(PPh3)Cl2などがあるが、それだけには限定されない。上記変換に有用な他の触媒には、1種または複数の配位子、特にホスフィン配位子が、パラジウム触媒にさらに配位結合するもの、例えば、2−(tert−ブチル2−ホスフィノ)ビフェニルなどのホスフィン配位子に配位結合したPd2(dba)3、P(t−Bu)3に配位結合したPd(dba)2、(o−ビフェニル)P(t−Bu)2に配位結合したPd(OAc)2、および(o−ビフェニル)P(t−Cy)2に配位結合したPd2(dba)3がある。上記カップリング反応に有用な銅触媒には、銅に1種または複数の配位子が配位結合した触媒が含まれ、CuI/エチレングリコール錯体、CuBr/DBU錯体のCu(PPh3)Br、および1,10−フェナントロリンまたはネオクプロインにさらに配位結合したCu(PPh3)Br(例えば、それぞれCu(phen)(PPh3)BrおよびCu(neocup)(PPh3)Br)などがあるが、それだけには限定されない。
上記カップリング反応で有用な塩基には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、カリウムフェノキシド、トリエチルアミンなど、またはその混合物があるが、それだけには限定されない。溶媒は、こうしたカップリング反応で使用でき、それだけには限らないが、トルエン、キシレン、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジメチルエチルエチレングリコールなど、またはその混合物を含む。
一般に、式IIIの化合物中の活性化置換基Xは、式IIの化合物と反応するのに十分な反応性をもたらして式IVの化合物を生成させるようなものであるべきである。こうした活性化置換基を含む式IIIの化合物を、調製、単離および/または精製し、続いて式IIの化合物と反応させることができる。
あるいは、適当な活性化置換基を含んでいる式IIIの化合物を調製し、単離またはさらなる精製なしにさらに式IIの化合物と反応させて式IVの化合物をもたらすことができる。Xに適した活性化置換基の中には、ハロゲン(例えば、Cl、Br、およびI)、誘導体化ヒドロキシル基(例えば、トリフレート、メシレート、およびトシレート)、ならびにジアゾニウム塩がある。他の適当な活性化置換基は、周知であり、例えば、米国特許第5,576,460号ならびにHumphrey,J.M.;Chamberlin,A.R.Chem.Rev.1997、97、2243、Comprehensive Organic Synthesis;Trost,B.M.、Ed.;Pergamon:New York、(1991);Vol.6、pp.301〜434、およびComprehensive Organic Transformations;Larock,R.C.;VCH:New York、(1989)、Chapter 9に見つけることができる。
6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールは、80℃で触媒量のPd(dppf)Cl2−CH2Cl2、炭酸セシウムおよび2−メルカプト−N−メチルベンズアミドのDMF溶液と反応させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールを生成する。
X基、特にヨウ化物基で置換された他の適切に官能化したインダゾール化合物は、チオフェノール化合物と同様に反応して結合生成物を生成すると予想されるはずである。
N−1インダゾール環窒素基、Wを脱保護するのに適した試薬および反応条件の選択は、よく知られている。例えば、Wがテトラヒドロピラン保護基の場合、適当な試薬には、塩酸、硫酸、硝酸、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、または三フッ化ホウ素エーテラートなどのルイス酸があるが、それだけには限定されない。これらの反応は、選択した特定の反応条件に適合し、かつ望まれる変換に干渉しないであろう溶媒中で実施することができる。
パラ−トルエンスルホン酸(p−TsOH)のメタノール/水溶液を用いた6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの脱保護により、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールが生成する。
パラジウム触媒を上記反応ステップのいずれかで使用する場合、残留パラジウムの除去が重要な目的である。こうしたパラジウム除去は、その全体を参照により本明細書に組み込む、2004年11月1日出願の、代理人整理番号PC032215、Methods for the Removal of Heavy Metalsと題した米国仮特許出願で論じられているように、10%システイン−シリカを用いて達成することができる。パラジウム除去は、合成した化合物の様々な多形形態における結晶化を可能にする条件と組み合わせることもできる。例えば、R1が2−ビニルピリジン、R2がメチル、およびR3がそれぞれ水素である式Iの化合物を調製する場合、形態IVと名付けられた多形形態は、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノール中で還流させ、続いて酢酸およびキシレンを加えることによって生成することができる。形態IVならびに他の多形体の形成および特徴付けは、その全体を参照により本明細書に組み込む、2004年11月1日出願の、代理人整理番号PC019171、6−[2−(メチルカルボアモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]−インダゾールの多形形態と題した米国仮特許出願中でより詳細に論じられている。このパラジウム除去プロセスおよび多形体制御ステップはまた、以下に示した実施例中でさらに詳細に説明している。
2−メルカプト−N−メチルベンズアミドは、以下のようにして調製することができる。2,2’−ジチオサリチル酸を、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリアルキルアミン、トリエチルアミンなどの適当な塩基、またはピリジンなどの複素環式芳香族塩基の存在下で塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどの試薬で処理して、2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリドを生成する。2MメチルアミンのTHF溶液を用いたジクロリド化合物の処理により、2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミドが生成する。水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液を用いたジスルフィド結合の還元により、2当量の2−メルカプト−N−メチルベンズアミドが生成する。
選択した特定の反応条件は、選択した特定の対象化合物および試薬によって決まるだろう。他の適切に官能化したチオフェノール化合物は、適当に官能化した二硫化物を出発原料として用いて生成することができる。得られた硫化物(式IIIの化合物)は、光から保護して二硫化物形成を防がなければならない。これらの硫化物は、単離し、さらに式IIの化合物と反応させてよく、あるいは単離またはさらなる精製なしに式IIの化合物と反応させてもよい。
式Iの化合物への別の合成経路は、以下の実施例の項で提供する。
以下のプロセスは、プロテインキナーゼのモジュレーターおよび/または阻害剤として有用な式Iのインダゾール化合物の調製を例示している。本発明の方法によって調製したこれらの化合物は、抗血管形成薬ならびにプロテインキナーゼの活性を調節および/または阻害するための薬剤として有用であり、したがって癌またはプロテインキナーゼによって媒介される細胞増殖に関連する他の疾患のための治療薬を提供する。
特に指示がない限り、以下のプロセスに基づく変数は、前記で定義した通りである。その合成法が本明細書において明確に説明されていないまたは公表された参考文献の参照と共に提供されていない出発原料は、市販されているか、あるいはよく知られている方法を用いて調製できるかのどちらかである。いくつかの合成法の変更は、当業者によく知られている方法によって行うことができる。
下記の実施例では、特に指示がない限り、以下の記述中のすべての温度は摂氏温度(℃)であり、特に指示がない限り、すべての部および百分率は重量による。
様々な出発原料および他の試薬は、Aldrich Chemical CompanyまたはLancaster Synthesis Ltd.などの商業供給業者から購入し、特に指示がない限り、さらなる精製を行わずに使用した。
以下に記載されている反応は、無水溶媒中、周囲温度(特に指定のない限り)で、窒素、アルゴンの正圧下または乾燥管を用いて行った。分析用薄層クロマトグラフィーを背面がガラス(glass−backed)のシリカゲル60°F 254プレート(Analtech(0.25mm))上で行い、適切な溶媒比(v/v)で溶離した。反応を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)によってアッセイし、出発原料の消費量で判断して停止させた。TLCプレートをUV、リンモリブデン酸染色、またはヨウ素染色によって可視化した。
1H−NMRスペクトルは、300MHzで操作したブルカー機器に記録し、13C−NMRスペクトルは、75MHzで記録した。NMRスペクトルは、対象標準としてクロロホルム(7.25ppmおよび77.00ppm)またはDMSO−d6(2.50ppmおよび39.52ppm)を用いて、DMSO−d6またはCDCl3溶液(ppmで報告)として得る。他のNMR溶媒は、必要に応じて使用した。ピークの多重度を報告する場合、以下の略号を使用する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=ブロードな線、dd=二重の二重線、dt=二重の三重線。結合定数を示す場合は、ヘルツで報告する。
赤外スペクトルは、ニートオイル、KBrペレット、またはCDCl3溶液としてPerkin−Elmer FT−IR分光計に記録し、報告する場合は波数(cm−1)で行う。質量スペクトルは、LC/MSまたはAPCIを用いて得た。すべての融点は、訂正されていない。すべての最終生成物の純度(220nmおよび254nmの波長におけるHPLCによる)は、95%より高かった。
以下の実施例および調製では、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを表し、「THF」はテトラヒドロフランを表し、「Et」はエチルを表し、「Ac」はアセチルを表し、「Me」はメチルを表し、「Ph」はフェニルを表し、「HCl」は塩酸を表し、「EtOAc」は酢酸エチルを表し、「Na2CO3」は炭酸ナトリウムを表し、「NaHCO3」は炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)を表し、「NaOH」は水酸化ナトリウムを表し、「Na2S2O3」はチオ硫酸ナトリウムを表し、「NaCl」は塩化ナトリウムを表し、「Et3N」はトリエチルアミンを表し、「H2O」は水を表し、「KOH」は水酸化カリウムを表し、「K2CO3」は炭酸カリウムを表し、「MeOH」はメタノールを表し、「i−PrOAc」は酢酸イソプロピルを表し、「MgSO4」は硫酸マグネシウムを表し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを表し、「AcCl」は塩化アセチルを表し、「CH2Cl2」は塩化メチレンを表し、「MTBE」はメチルt−ブチルエーテルを表し、「SOCl2」は塩化チオニルを表し、「H3PO4」はリン酸を表し、「CH3SO3H」はメタンスルホン酸を表し、「Ac2O」は無水酢酸を表し、「CH3CN」はアセトニトリルを表し、「DHP」は3,4ジヒドロ−2H−ピランを表す。
(実施例1)
3−ヨード−6−ニトロインダゾールの調製
3−ヨード−6−ニトロインダゾールの調製
(実施例2)
3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
3−ヨード−6−ニトロ−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
(実施例3)
6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
6−ニトロ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
(実施例4)
6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
6−アミノ−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
(実施例5)
6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
6−ヨード−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
(実施例6)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−インダゾールの調製
(実施例7)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールの調製
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールの調製
(実施例8)
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)1H−インダゾールの多形体制御
実施例7からの6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールがオフホワイト固体(多形体III)の場合、次に実施例8aを行う。
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)1H−インダゾールの多形体制御
実施例7からの6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールがオフホワイト固体(多形体III)の場合、次に実施例8aを行う。
実施例7からの6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾールがピンク色固体(多形体 )の場合、次に実施例8bを行う。
a.多形体IIIから多形体IVへの転換
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(多形体III、17.6Kg)を酢酸(115Kg)およびメタノール(189.4Kg)に加え、混合物を68℃で1時間攪拌して、固体を溶かす。溶液をろ過し、キシレン(193Kg)で希釈し、減圧下に68℃で約81Lまで濃縮する。プロセス中のDSCチェックによって所望の多形体形態IVが確認されるまでキシレンの追加およびその後の濃縮を繰り返す。場合によっては、多形体形態IIIから形態IVへの完全な転換には追加の攪拌(約16時間)が必要となる。多形体形態IIIから多形体形態IVへの転換後、溶液を50℃まで冷却し、固体をろ過し、ヘプタン(44Kg)ですすぎ、真空乾燥器中75℃で24時間乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール多形体形態IV 13.4Kgをオフホワイト固体として得る(収率84%でHPLCによる純度99%)。この生成物は感光性であり、暗所に0℃で貯蔵すべきである。
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(多形体III、17.6Kg)を酢酸(115Kg)およびメタノール(189.4Kg)に加え、混合物を68℃で1時間攪拌して、固体を溶かす。溶液をろ過し、キシレン(193Kg)で希釈し、減圧下に68℃で約81Lまで濃縮する。プロセス中のDSCチェックによって所望の多形体形態IVが確認されるまでキシレンの追加およびその後の濃縮を繰り返す。場合によっては、多形体形態IIIから形態IVへの完全な転換には追加の攪拌(約16時間)が必要となる。多形体形態IIIから多形体形態IVへの転換後、溶液を50℃まで冷却し、固体をろ過し、ヘプタン(44Kg)ですすぎ、真空乾燥器中75℃で24時間乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール多形体形態IV 13.4Kgをオフホワイト固体として得る(収率84%でHPLCによる純度99%)。この生成物は感光性であり、暗所に0℃で貯蔵すべきである。
b.色除去および多形体制御
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(ピンク色、2.423Kg)をメタノール(75L)に加え、混合物を15〜25℃で1.5時間攪拌する。スラリーをろ過し、固体をメタノール(12.5L)で洗浄し、真空乾燥器中室温で24時間乾燥させる。乾燥させた固体を約35℃の酢酸溶液(100L)に加え、透明な溶液が得られるまで混合物を約35℃で45分間攪拌する。溶液を室温まで冷却し、活性化炭素(Darco G−60、2.5Kg)を加える。混合物を室温で2〜3時間攪拌し、セライト(3.0Kg)に通してろ過し、体積25Lまでろ液を減圧下に70℃で濃縮する。溶液を25℃まで冷却し、キシレン(25L)を加える。溶液を70℃まで加熱し、体積25Lまで減圧下に70℃で濃縮する。固体が現れるまでこの手順を4回繰り返す。スラリーを室温まで冷却し、ろ過し、キシレン(25L)およびヘプタン(25L)で洗浄し、固体を真空乾燥器中で24時間(40℃および25mmHg)乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール1.988Kgをオフホワイト固体として得る(収率79.5%でHPLCによる純度>99%)。
6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール(ピンク色、2.423Kg)をメタノール(75L)に加え、混合物を15〜25℃で1.5時間攪拌する。スラリーをろ過し、固体をメタノール(12.5L)で洗浄し、真空乾燥器中室温で24時間乾燥させる。乾燥させた固体を約35℃の酢酸溶液(100L)に加え、透明な溶液が得られるまで混合物を約35℃で45分間攪拌する。溶液を室温まで冷却し、活性化炭素(Darco G−60、2.5Kg)を加える。混合物を室温で2〜3時間攪拌し、セライト(3.0Kg)に通してろ過し、体積25Lまでろ液を減圧下に70℃で濃縮する。溶液を25℃まで冷却し、キシレン(25L)を加える。溶液を70℃まで加熱し、体積25Lまで減圧下に70℃で濃縮する。固体が現れるまでこの手順を4回繰り返す。スラリーを室温まで冷却し、ろ過し、キシレン(25L)およびヘプタン(25L)で洗浄し、固体を真空乾燥器中で24時間(40℃および25mmHg)乾燥させて、6−(2−メルカプト−N−メチルベンズアミド)−3−((E)−2−ピリジン−2−イル−ビニル)−1H−インダゾール1.988Kgをオフホワイト固体として得る(収率79.5%でHPLCによる純度>99%)。
(実施例9)
2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリドの調製
2,2’−ジチオサリチル酸ジクロリドの調製
(実施例10)
2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミドの調製
2,2’−ジチオ−N−メチルベンズアミドの調製
(実施例11)
2−メルカプト−N−メチルベンズアミドの調製
2−メルカプト−N−メチルベンズアミドの調製
(実施例12)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
(実施例13)
2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
(実施例14)
3,6−ジヨ−ドインダゾールの調製
3,6−ジヨ−ドインダゾールの調製
(実施例15)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールを生成するための最終脱保護ステップ
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールを生成するための最終脱保護ステップ
(実施例16)
テトラヒドロピラニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
テトラヒドロピラニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
(実施例17)
N−1 THP保護2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチルベンズアミドの調製
N−1 THP保護2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチルベンズアミドの調製
(実施例18)
tert−ブトキシカルボニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
tert−ブトキシカルボニル保護基を用いた6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
(実施例19)
N−1 Boc 2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
N−1 Boc 2−(3−ヨード−1H−インダゾール−6−イルスルファニル)−N−メチル−ベンズアミドの調製
(実施例20)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
(実施例21)
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−Z−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−Z−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの調製
(実施例22)
パラジウム除去および6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの多形体制御
パラジウム除去および6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの多形体制御
混合物をミディアム焼結ガラスフリット漏斗に通してろ過し、ケーキをDMA 500mLおよびTHF 500mLの溶液で洗浄した。ケーキをTHF 2.0Lでさらに洗浄し、ろ液を分離フラスコ中に捕集した。後者のろ液中の揮発性部分を真空中で除去し、残留物を主要なろ液と合わせた。合わせたろ液を12Lフラスコ中に再度充填し、続いて10%システイン−シリカ800gを充填した。フラスコはメカニカルスターラーを備えており、室温で週末にかけて攪拌した。
次いで混合物をミディアム焼結ガラスフリット漏斗に通してろ過し、シリカをDMA 500mLおよびTHF 500mLの溶媒の混合物、続いてTHF 3.0Lで洗浄した。ろ液中の揮発性部分を真空中で除去し、残りの溶液を22L三つ口フラスコに移し、水12Lで処理し(20分間にわたって加えた)、この段階で厚い沈殿物が形成した。終夜攪拌後、混合物をろ過し、ケーキを水2.0Lで洗浄し、吸引乾燥した。
ケーキを5L三つ口フラスコに充填し、続いてTHF 1.6LおよびDMF 160mLを充填した。フラスコは、メカニカルスターラー、還流冷却器を備えており、混合物を還流させながら8時間加熱した。終夜冷却後、混合物をシャークスキンろ紙に通してろ過し、吸引乾燥した。
ケーキを5L三つ口フラスコに充填し、MeOH 1.6Lを加えた。フラスコは、メカニカルスターラー、水コンデンサーを備えており、内容物を還流しながら6時間加熱した。終夜冷却後、混合物をシャークスキンろ紙に通してろ過し、吸引乾燥した。
ロータリーエバポレータの水浴中の穏やかな加熱の助けにより、ケーキをHOAc 1.6Lに溶かした。溶液を#3ろ紙に通してろ過し、ろ液の全体積を、体積で約500mLまでのロータリーエバポレータ上60℃/60mmHgで低減させた。この段階では、混合物のバルクは黄色溶液のままであり、少量の沈殿物が形成した。フラスコにキシレン500mLを充填し(沈殿物が形成した)、全体積を、体積で約500mLまでのロータリーエバポレータ上60℃/60mmHgで低減させた。このプロセスをさらに2回繰り返した。冷却後、混合物をろ過し、ケーキをキシレン500mLで洗浄し、吸引乾燥した。ケーキをガラス皿に移し、80℃/27インチ真空で終夜さらに乾燥させた。
ケーキの色はオフホワイトであり、重量は108.38gであった。粉末X線回折分析は、結晶形態が存在することを示し、それを以下のおよその回折角(2Θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンによって形態IVと特徴付けた:8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.2、20.5、21.6、23.2、24.2、24.8、26.2、および27.5。
本発明を、特定のおよび好ましい実施形態を参照することにより例示してきたが、当業者は、本発明の通常の実験および実施を通して変形形態および変更形態を作ることができることがわかるはずである。したがって、本発明は、前記説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらと同等のものによって定義されるものである。
Claims (23)
- 式Iの化合物
[式中、
R1は、式−CH=CHR4または−CH=NR4の基であり、またR1は、0〜4個のR5基で置換されており、
R2は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C1〜C12)アルコキシ、(C6〜C12)アリールオキシ、(C3〜C12)シクロアルコキシ、−NH(C1〜C8アルキル)、−NH(C6〜C12アリール)、−NH(5〜12員ヘテロアリール)、−N=CH(C1〜C12アルキル)、−NH(C=O)H、−NH(C=O)R5、または−NH2であり、またR2は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R3は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または(C1〜C8)アルキルであり、また(C1〜C8)アルキルは、0〜4個のR5基で置換されており、
R4は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またR4は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R5は、それぞれ独立にハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、−OH、−NO2、−CN、−CO2H、−O(C1〜C8アルキル)、(C6〜C12)アリール、(C6〜C12)アリール(C1〜C8)アルキル、−CO2CH3、−CONH2、−OCH2CONH2、−NH2、−SO2NH2、ハロ置換(C1〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C1〜C12)アルキル)である]
を調製するための方法であって、
a)式IIの化合物と式IIIの化合物を反応させて、式IVの化合物を生成するステップ
b)前記式IVの化合物を脱保護して、前記式Iの化合物を生成するステップと
を含む方法。 - 前記触媒がパラジウム触媒である、請求項1に記載の方法。
- 前記触媒がPd(dppf)Cl2−CH2Cl2である、請求項2に記載の方法。
- 前記塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記塩基が炭酸セシウムである、請求項4に記載の方法。
- 前記式IIの化合物と前記式IIIの化合物との間の前記反応中に溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである、請求項6に記載の方法。
- 前記反応を約80℃で実施する、請求項1に記載の方法。
- Wがテトラヒドロピラン保護基またはトリメチルシリルエトキシメチル保護基である、請求項1に記載の方法。
- 前記活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、請求項1に記載の方法。
- 前記活性化置換基Xがヨウ化物である、請求項10に記載の方法。
- 前記保護基Wがテトラヒドロピランであり、前記脱保護のプロセスがアルコール溶媒中で前記式IVの化合物を酸と反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記酸がメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であり、前記アルコール溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである、請求項12に記載のプロセス。
- 式IIの化合物
[式中、
R1は、式−CH=CHR4または−CH=NR4の基、またR1は、0〜4個のR5基で置換されており、
R4は、(C1〜C12)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(5〜12員)ヘテロシクロアルキル、(C6〜C12)アリール、または(5〜12員)ヘテロアリールであり、またR4は、0〜4個のR5基で置換されており、
各R5は、それぞれ独立にハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、−OH、−NO2、−CN、−CO2H、−O(C1〜C8アルキル)、(C6〜C12)アリール、(C6〜C12)アリール(C1〜C8)アルキル、−CO2CH3、−CONH2、−OCH2CONH2、−NH2、−SO2NH2、ハロ置換(C1〜C12)アルキル、または−O(ハロ置換(C1〜C12)アルキル)であり、
Wは、保護基であり、
Xは、活性化置換基である]
を調製するための方法であって、
a)式IXの化合物とジアゾ化剤を反応させて、ジアゾニウム塩を形成するステップと、
b)前記ジアゾニウム塩を金属ハロゲン化物で処理するステップ
を含む方法。 - 前記活性化置換基Xが塩化物、臭化物、またはヨウ化物である、請求項17に記載の方法。
- 前記活性化置換基Xがヨウ化物である、請求項18に記載の方法。
- 前記ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸t−ブチルである、請求項17に記載の方法。
- 前記ジアゾ化剤が亜硝酸ナトリウムであり、前記金属ハロゲン化物がヨウ化カリウムである、請求項20に記載の方法。
- 触媒量のヨウ素をさらに含む、請求項21に記載の方法。
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