JP2008508847A - 回転電気機械内の電流を整流する整流子および方法 - Google Patents

Abstract

回転電気機械の回転軸に伴う、またはそれによる回転のための、電源から当該機械の巻線を通る電流を与えるための整流子デバイスが、巻線に接続されたブラシと電気的に係合するためのベース上に備えられる第１および第２の導電性整流子セグメントを有する。これらの整流子セグメントから電気的に絶縁され、かつそれらの間に第１および第２のフリーホイーリング・セグメントが分散されている。第１の整流子セグメントと第１のフリーホイーリング・セグメントの間には第１のダイオードが接続される。第２の整流子セグメントと第２のフリーホイーリング・セグメントの間には第２のダイオードが接続される。これらのダイオードは、整流子セグメントとフリーホイーリング・セグメントの間において一方向にのみ電流の流れを許可し、整流スパークの抑圧を補助する。

Description

本発明は、整流子、すなわち、それによって回転電気機械の巻線を通って流れる電流の方向が順逆に反転されるメカニズム、および回転電気機械内において電流を整流する方法に関する。

直流（ＤＣ）電気機械は、電動機または発電機のいずれかとして動作することになる。ＤＣ電流が固定子または界磁巻線に入力されると、これらの機械は電動機として動作する。機械的な動力が印加されてこれらの機械の回転軸が回転されると、それらは発電機として動作することになる。以下の考察は、電気電動機に関係するが、本発明は発電機にも適用できる。

多相永久磁石（ＰＭ）ブラシレス電動機は、ＡＣ同期電動機およびＰＭ ＤＣ電動機と比較すると、多くの多様な応用において極めて用途が広い効率的な機械であり、優れた制御および効率を提供する。しかしながら場合によっては、エンド・ユーザが、ブラシレス電動機とともに提供される制御性のレベルではなく、むしろブラシレス電動機の稠密性、高効率、および長寿命を求める。ブラシレス電動機を動作させるために要求される駆動および位置検知エレクトロニクスの有意なコストが、極めてしばしば、必要とされる制御のレベルに関わりなくエンド・ユーザに下位クラスの電動機の甘受を余儀なくしている。

ＰＭ電動機の固定子または界磁巻線への電流の供給のために、高価な駆動エレクトロニクスに代えて単純かつ廉価な機械的整流構成が使用可能なことは、低制御のコストに敏感な応用においてエンド・ユーザによる多相ＰＭ電動機の指定を可能にすることができる。

巻線回転子または電機子ＤＣ『整流子』電動機は、滑らかなトルクおよび単純な電圧制御が必須となる場合にしばしば使用される。しかしながら、ブラシが交換を必要とするとき、電動機を分解しなければならず、それが有意の時間を要する。さらに巻線回転子は、製造に実際的な最小回転子直径を制限する。また巻線回転子は、ブラシレス電動機および非同期電動機と比べると下位の銅のスロット充填も招く。滑らかなトルクの達成に必要とされる多数の整流子セグメントが、ブラシの摩損を加速し、かつ高周波ＲＦノイズを生成する火花放電の増加を導き得ることから低慣性回転子の達成が難しい。

上記の問題を克服するか、もしくは改善し、または有用な代案を斯界に少なくとも提供する回転電気機械内の整流子および電流を整流する方法を提供することを本発明の目的とする。

本発明の第１の態様によれば、回転電気機械の回転軸に伴う、またはそれによる回転のための、電源から当該機械の巻線を通る電流を与えるための整流子デバイスが提供され、それが：
巻線に接続されたブラシと電気的に係合するための第１および第２の導電性整流子セグメント、
それらの第１および第２の整流子セグメントから電気的に絶縁されており、それらの第１および第２の整流子セグメントの間のそれぞれの位置に分散される第１および第２のフリーホイーリング・セグメント、および
第１の整流子セグメントと第１のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、第１の整流子セグメントから第１のフリーホイーリング・セグメントへの電流の流れだけを許可するための第１のダイオード、および第２の整流子セグメントと第２のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、第２のフリーホイーリング・セグメントから第２の整流子セグメントへの電流の流れだけを許可するための第２のダイオードを含む。

本発明の第２の態様によれば、回転電気機械の回転軸に伴う、またはそれによる回転のための、電源から当該機械の巻線を通る電流を与えるための整流子が提供され、それが：
それぞれが連続する導電円形周縁を有する正のスリップリングおよび負のスリップリング、
正のスリップリングと電気的に接続される正の導電性整流子セグメントおよび負のスリップリングと電気的に接続される負の導電性整流子セグメント、および
整流子セグメントから電気的に絶縁され、かつそれらの整流子セグメントの間のそれぞれの位置に分散される第１および第２のフリーホイーリング・セグメント、および
負の整流子セグメントと第１のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、負の整流子セグメントから第１のフリーホイーリング・セグメントへの電流の流れだけを許可するための第１のダイオード、および正の整流子セグメントと第２のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、第２のフリーホイーリング・セグメントから正の整流子セグメントへの電流の流れだけを許可するための第２のダイオードを含む。

好ましくはこの整流子が、整流子の周りに１２０度を隔てて空間的に配置され、電動機の巻線に接続される３つのブラシを含み、それにおいては整流子の回転の間に、整流子セグメントおよびフリーホイーリング・セグメントが交番して、巻線に接続されたこれらの３つのブラシと係合する。

好ましくは、それらの巻線がデルタ構成でブラシと接続される。

好ましくは、それらの巻線が星形構成でブラシと接続される。

好ましくは、ベースの任意の瞬時回転位置において、ブラシのうちの２つがフリーホイーリング・セグメントのうちの２つと電気的に接触する。

好ましくは、整流子セグメントおよびフリーホイーリング・セグメントは、ブラシと係合するためのそれぞれの黒炭シェルを有する。

本発明の第３の態様によれば、回転整流子と係合するべく構成された巻線を有する回転電気機械内において電流を整流する方法が提供され、この方法は、整流子内に、巻線内の電流の整流の間において巻線と正および負の電源の間に接続されるダイオードを提供することを含む。

本発明の追加の態様は、例示のみのために与えられる以下の説明から明らかとなろう。

以下、添付図面を参照し、本発明の実施態様を例示のみのために説明する。

図１には、整流子コンポーネントを支持するための中心ハブ２を伴う円形成形ベース１からなる整流子が図示されている。ハブ２の上には、それぞれが、連続する導電円形周縁５、６をそれぞれ有するリング形状のプレート３、４を包含する第１および第２の相補対向整流子エレメントがマウントされる。導電性整流セグメント７、８が、隣接する各周縁５、６から軸方向に突出している。ハブ２上の整流セグメント７、８の間には、２つのフリーホイーリング・セグメント９、１０が分散されている。整流エレメントとフリーホイール・セグメント９、１０は、絶縁リング１１によって分けられる。これらの整流子コンポーネントは、ベース１内のねじ付きボア１６、１７内に締まり込む２つの固定ねじ１２、１３によってハブ２に固定される。これらの固定ねじ１２、１３は、整流子コンポーネントの短絡を防止するべく絶縁スリーブ１４、１５内に配置される。

この整流子は、電動機の回転軸に結合されるか、またはその軸上に配置され、ブラシが整流子表面と係合してＤＣ電源と電動機巻線の間に電流を伝達する。第１の給電ブラシ１８は、ＤＣ電源の正側に接続され、整流子エレメント３の導電性スリップリング表面５と連続接触して配置される。第２の給電ブラシ１９は、ＤＣ電源の負側に接続され、整流子エレメント４の導電性スリップリング表面６と連続接触して配置される。この配置によって第１の整流セグメント７が正のセグメントに、第２の整流セグメント８が負のセグメントになる。

３相電動機の場合には、３つの巻線ブラシ２０、２１、２２が、整流子に関して機械的な１２０度で空間的に配置されている。これらの相ブラシ２０、２１、２２は、整流子の回転に従って、循環順序７、１０、８、９で整流セグメントおよびフリーホイーリング・セグメントと係合する。整流子の伝統的な回転方向は、図面内で見たときに時計方向である。

フリーホイーリング・セグメント９、１０と整流セグメント７、８の間に２つのダイオード２３、２４が電気的に接続されている。第１のダイオード２３は、負の整流セグメント８から、回転についてその前方となるフリーホイーリング・セグメント１０に向かう順方向バイアスのために接続される。第２のダイオード２４は、他方のフリーホイーリング・セグメント９から、回転についてそれを追随する正の整流セグメント７に向かう順方向バイアスのために接続される。

好ましい実施態様においては、整流セグメント７、８、およびフリーホイーリング・セグメント９、１０が、それらのそれぞれの導電性表面内に配置された、巻線ブラシ２０、２１、２２との電気的な接続のための導電性黒鉛シェル２５、２６、２７、２８を有する。黒鉛シェル２５、２６、２７、２８とブラシ２０、２１、２２の間の炭素対炭素接続は、ブラシ面における整流アーチ作用を低減する。

次に図３〜６を参照して、フリーホイーリング・セグメント９、１０およびダイオード２３、２４の働きを説明する。図３〜６においては、正および負の給電ブラシが２次元の図解を簡略化するために省略されている。例示されている構成は、前述の整流子の中で説明されたものと電気的に完全に等価である。この整流子は時計方向に回転する。

図３においては、第１の巻線ブラシ２０が完全に負の整流セグメント８と接触している。残りの巻線ブラシ２１、２２は、他方の整流セグメント７と２つのフリーホイーリング・セグメント９、１０の間に位置している。ここで注意を要するが、フリーホイーリング・セグメント９、１０の円弧は、相ブラシが整流セグメント７、８の両方を橋絡させて電源の短絡を生じさせることのないように、それが決して生じない角度に設定されている。

図４においては、第１の巻線ブラシ２０がフリーホイーリング・セグメント９と接触し、かつ負の整流セグメント８との接触を開く直前まで、整流子が時計方向に１２０度の回転を完了している。ブラシ２０が負の整流セグメント８との接触を開くとき、逆ＥＭＦが生成され、それがダイオード２４を順方向バイアスし、電流が、順方向バイアスされたダイオード２４を経由してフリーホイーリング・セグメント９から２番目の整流セグメント７にシャントされる。これがブラシ２０と整流セグメント８の間に生じ得る電圧スパイクの抑圧を補助する。

図５においては、第３の巻線ブラシ２２がフリーホイーリング・セグメント９と接触し、かつ整流セグメント８との接触を開く直前まで、整流子が時計方向にさらに１２０度の回転を完了している。この場合においても、ブラシ２２が整流セグメント８との接触を開くとき、電流が、順方向バイアスされたダイオード２４を経由してフリーホイーリング・セグメント９から他方の整流セグメント７にシャントされる。これがブラシ２２と整流セグメント８の間に生じ得る電圧スパイクの抑圧を補助する。

図６においては、第２の巻線ブラシ２１がフリーホイーリング・セグメント９と接触し、かつ整流セグメント８との接触を開く直前まで、整流子が時計方向にさらに１２０度の回転を完了している。この場合においても、ブラシ２１が整流セグメント８との接触を開くとき、電流が、順方向バイアスされたダイオード２４を経由してフリーホイーリング・セグメント９から他方の整流セグメント７にシャントされる。これがブラシ２１と整流セグメント８の間に生じ得る電圧スパイクの抑圧を補助する。

ダイオード２３は、ダイオード２４と同一であるが、正のセグメントから負の電源に向かう機能を果たす。たとえば図３において、第３の巻線ブラシ２２がフリーホイーリング・セグメント１０と接触しており、整流子の時計方向の回転に従って正の整流セグメント７との接触を開く直前にある。ブラシ２２が正の整流セグメント７との接触を開くとき、逆ＥＭＦが生成され、それがダイオード２３を順方向バイアスし、電流が、ダイオード２３を経由して負の整流セグメント８からフリーホイーリング・セグメント１０にシャントされ、ブラシ２２と正の整流セグメント７の間に生じ得る電圧スパイクを抑圧する。

フリーホイーリング・セグメント９、１０と正および負の整流子セグメント７、８の間におけるダイオード２３、２４を組み込んだ接続は、所定方向の回転について、ブラシが整流子セグメントを離れ、隣接するフリーホイーリング・セグメントと接触するとき、フリーホイーリング・セグメントがダイオードを経由して逆極性の整流セグメントと接触するように提供される。フリーホイーリング・セグメントおよび関連ダイオードは、相ブラシが整流子セグメントを離れるときの大きな誘導電圧スパイクの発達を防止し、したがって、機械的に整流される機械と一般に関連付けされる電孤を排除する。

上記の説明において、既知の均等物を有する要素の完全体に対して言及がなされているところは、それらがここに個別に述べられているかのように含められる。本発明の実施態様が述べられているが、変形、改良、または修正が生じ得ることは理解される。たとえば、代替実施態様においては、別の接続形態の整流子構成が使用される。ブラシ・アッセンブリを、外側ではなく整流子の周縁の内側にマウントし、それによってデバイスの全体的な嵩を縮小することができる。またはそれに代えて全体のデバイスをディスクとして構成し、ブラシをディスク表面と垂直に配置することも可能である。上記の説明および図解が２極整流子を述べているが、ｎ＝２、４、６、８等とするｎ極の整流子を、正、負のセグメント、およびフリーホイーリング・セグメントの数を増加することによって構成可能であることに注意する必要がある。

本発明に従った整流子の分解図である。 本発明に従った整流子の代替実施態様の分解図である。 整流子の動作を例示した図解である。 整流子の動作を例示した図解である。 整流子の動作を例示した図解である。 整流子の動作を例示した図解である。

符号の説明

１ ベース
２ ハブ
３ プレート；整流子エレメント
４ プレート；整流子エレメント
５ 周縁；スリップリング表面；導電円形周縁
６ 周縁；スリップリング表面；導電円形周縁
７ 整流セグメント；第１の整流セグメント；正の整流セグメント
８ 整流セグメント；第２の整流セグメント；負の整流セグメント
９ フリーホイーリング・セグメント；フリーホイール・セグメント
１０ フリーホイーリング・セグメント；フリーホイール・セグメント
１１ 絶縁リング
１２ 固定ねじ
１３ 固定ねじ
１４ 絶縁スリーブ
１５ 絶縁スリーブ
１６ ねじ付きボア
１７ ねじ付きボア
１８ 給電ブラシ
１９ 給電ブラシ
２０ ブラシ；巻線ブラシ；第１の巻線ブラシ
２１ ブラシ；巻線ブラシ；第２の巻線ブラシ
２２ ブラシ；巻線ブラシ；第３の巻線ブラシ
２３ ダイオード
２４ ダイオード
２５ シェル
２６ シェル
２７ シェル
２８ シェル

Claims (9)

1. 回転電気機械の回転軸に伴う、またはそれによる回転のための、電源から前記機械の巻線を通る電流を与えるための整流子デバイスであって：
   巻線に接続されたブラシと電気的に係合するための第１および第２の導電性整流子、
   前記第１および第２の整流子セグメントから電気的に絶縁されており、前記第１および第２の整流子セグメントの間のそれぞれの位置に分散される第１および第２のフリーホイーリング・セグメント、および
   前記第１の整流子セグメントと前記第１のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、前記第１の整流子セグメントから前記第１のフリーホイーリング・セグメントへの電流の流れだけを許可するための第１のダイオード、および前記第２の整流子セグメントと前記第２のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、前記第２のフリーホイーリング・セグメントから前記第２の整流子セグメントへの電流の流れだけを許可するための第２のダイオード、
   を含む整流子デバイス。
2. 回転電気機械の回転軸に伴う、またはそれによる回転のための、電源から前記機械の巻線を通る電流を与えるための整流子であって：
   それぞれが連続する導電円形周縁を有する正のスリップリングおよび負のスリップリング、
   前記正のスリップリングと電気的に接続される正の導電性整流子セグメントおよび前記負のスリップリングと電気的に接続される負の導電性整流子セグメント、および
   前記整流子セグメントから電気的に絶縁され、かつ前記整流子セグメントの間のそれぞれの位置に分散される第１および第２のフリーホイーリング・セグメント、および
   前記負の整流子セグメントと前記第１のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、前記負の整流子セグメントから前記第１のフリーホイーリング・セグメントへの電流の流れだけを許可するための第１のダイオード、および前記正の整流子セグメントと前記第２のフリーホイーリング・セグメントの間に接続される、前記第２のフリーホイーリング・セグメントから前記正の整流子セグメントへの電流の流れだけを許可するための第２のダイオード、
   を含む整流子。
3. さらに、前記整流子の周りに１２０度を隔てて空間的に配置され、電動機の巻線に接続される３つのブラシを含み、それにおいて前記整流子の回転の間に、前記整流子セグメントおよびフリーホイーリング・セグメントが交番して、前記巻線に接続された３つのブラシと係合する、請求項１または２に記載の整流子。
4. 前記巻線は、デルタ構成で前記ブラシと接続される、請求項３に記載の整流子。
5. 前記巻線は、星形構成で前記ブラシと接続される、請求項３に記載の整流子。
6. 前記ベースの任意の瞬時回転位置において、前記ブラシのうちの２つが前記フリーホイーリング・セグメントのうちの２つと電気的に接触する、前記請求項のいずれかに記載の整流子。
7. 前記整流子セグメントおよび前記フリーホイーリング・セグメントは、前記ブラシと係合するためのそれぞれの黒炭シェルを有する、前記請求項のいずれかに記載の整流子。
8. 回転整流子と係合するべく構成された巻線を有する回転電気機械内において電流を整流する方法であって、前記整流子内に、前記巻線内の電流の整流の間において前記巻線と正および負の電源の間に接続されるダイオードを提供することを含む方法。
9. 添付図面を参照してここに説明されているとおりの整流子。

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