JP2008507499A - 併用抗癌療法とその医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗癌併用療法、増殖性疾患を有するヒトを含む温血動物の治療用医薬組成物。
【解決手段】有効成分として、一般式(I):
【化1】
Figure 2008507499

(ここで、X、Y、A、B、R1およびR2は明細書で定義のもの)の荷電した官能基または中性の官能基を有する非特異的免疫モジュレータと、放射線治療法およびアルキル化剤、代謝拮抗剤、尿細管作用薬、チロシンキナーゼ抑制剤から成る群の中から選択される一種または複数の化学療法剤から成る群の中から選択される公知の抗悪性腫瘍手段とを一緒に含み、さらに、薬学的に許容される無毒な不活性希釈液またはキャリアとコンジュゲートまたは混合したことを特徴とする医薬組成物。一般式(I)の化合物の無機または有機塩基の塩。

Description

本発明は癌の免疫学的制御方法に関するものである。
本発明は[癌]患者の免疫系を刺激することによって公知の抗悪性腫瘍薬または放射線治療法の効力を増強・向上させる医薬組成物に関するものである。
本発明は特に、有効成分としての免疫賦活薬と公知または実験段階の抗悪性腫瘍薬とを組合せたものを一種または複数の希釈液または賦形剤と混合するか、一緒に用いた医薬組成物に関するものである。
本発明はさらに、経口用、注射用の担体またはビヒクルと混合するか、組合せて用いた免疫賦活薬と放射線治療法とを組合せた抗癌治療に関するものである。
本発明の対象は、一般式(I):
Figure 2008507499
(ここで、
A−Bは二糖類構造であり、
XおよびYは荷電した官能基または中性の官能基であり、
1およびR2は脂肪族酸でアシル化可能なヒドロキシアシル基である)
の荷電した官能基または中性の官能基を有する非特異的免疫モジュレータと、放射線治療法およびアルキル化剤、代謝拮抗剤、尿細管作用薬、チロシンキナーゼ抑制剤から成る群の中から選択される一種または複数の化学療法剤から成る群の中から選択される公知の抗悪性腫瘍手段とを一緒に含み、さらに、薬学的に許容される無毒な不活性希釈液またはキャリアとコンジュゲートまたは混合したことを特徴とする医薬組成物にある。
本発明はさらに、一般式(I)の化合物の無機または有機の塩基すなわち薬学的に許容される塩基との塩に関するものである。
本発明はさらに、免疫学活性化合物が一般式(I):
Figure 2008507499
(ここで、AおよびBは式(II)の脂質Aのβ−(1,6)結合ジグルコースアミン二糖類主鎖である:
Figure 2008507499
(ここで、R1およびR2は直鎖または分岐した2〜24の炭素原子を有する飽和または不飽和のカルボン酸鎖に由来するアシル基を表し、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アシロキシ、アミノ、アシルアミノ、アシルチオおよびアルキルチオ基から成る群の中から選択される一つまたは複数の置換基を有していてもよく、
Xはジヒドロキシホスホリルオキシ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ヒドロキシル、カルボキシアルコキシ、カルボキシアルキルチオ、カルボキシアシルオキシ、カルボキシアミノアシルオキシまたはジアミノアシルオキシおよびアミノアシルオキシの中から選択される荷電した官能基または中性の官能基を表し、破線はα配置またはβ配置を示し、
Yはジヒドロキシホスホリルオキシ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ヒドロキシル、カルボキシアルコキシ、カルボキシアルキルチオ、カルボキシアミノアルコキシおよびアミノアルコキシの中から選択される荷電した官能基または中性の官能基を表す)
の荷電した官能基または中性の官能基を有するジアシル化化合物であり、これと一緒に化学療法剤または生物学的治療すなわち標準的または実験段階の化学療法または免疫療法または電離放射線療法とを組み合わせ、さらに、薬学的に許容される一種または複数の無毒な不活性希釈液またはキャリアを一緒に組み合わせた医薬組成物に関するものである。
本発明はさらに、免疫学活性成分が下記構造式(III):
Figure 2008507499
のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体で、これと薬学的に許容される無毒な不活性キャリアまたはビヒクルとをコンジュゲートまたは混合した医薬組成物にある。
本発明はさらに、治療上有効量の下記一般式(I):
Figure 2008507499
(ここで、X、Y、A、B、R1およびR2は上記定義のもの)
の化合物の混合物を、経口、非経口、経直腸、局所、経皮下または経粘膜の経路の投与に適した薬学的に許容されるキャリア、賦形剤またはビヒクル中の下記の(1)または(2):
(1)許容されているか、実験段階の放射線治療法すなわち放射線源または化学的受容剤(chemosensitizer)、
(2)化学療法剤としてのアルキル化剤(alkylating agent)、代謝拮抗剤(an antimetabolite agent)、尿細管作用薬剤(an agent acting on tubules)、チロシンキナーゼ抑制剤(a tyrosine-kinase inhibitors)から成る群の中から選択される一種または複数の薬剤、
から成る群の中から選択される公知の抗悪性腫瘍薬と組み合わせて投与する、ヒトを含む温血動物の癌を治療する方法に関するものである。
上記有効成分は単一の単位投与量中で同時に投与するか、各有効成分を別個の容器に入れたキットとしての別個の単位投与量で別々または順番に投与することができる。
本発明の医薬組成物およびそれを用いる方法は、腫瘍性疾患を治療するために新しく開発された方法と確立した薬剤とをベースにしたものである。
免疫系による癌の制御
健康な細胞は通常、***し、成長し、最後にパターン化された適切に制御された方法で死ぬべき時に死ぬ。生存中に個々の細胞が偶発的に制御なしに***し始めることはよくある。自然は良くできていて、発生した未制御の細胞は一般に通常は非腫瘍細胞には存在しない修飾抗原(腫瘍関連抗原)をその表面に発現する。これによって多くの場合、多くの癌の出現を免疫系が阻止することができる。
癌細胞は免疫認識から逃げることができる
しかし、いくつかの癌抗原は癌細胞と健康な細胞とが共有する組織特異性分子であるため、これらの弱い抗原は一般的には免疫を誘発することはない。さらに、腫瘍は免疫系による認識および破壊を困難にする複数の特徴を有している。実際、癌細胞は免疫認識から逃げるために免疫抑制物質(例えば、サイトカインTGF−βまたはプロスタグランジンPGE2)を放出することが知られている。免疫系が何らかの理由で危険の認識および増殖性細胞の破壊に失敗した場合、癌および転移が現れる。
免疫療法と標準的な化学療法剤とを組合せ
癌ができると、残念なことに、かなり攻撃的な化学療法剤または放射線治療法によっても完全には治療されず、既に弱っているヒト免疫系をさらに損傷することが多い。今日の一般的な診療で免疫刺激法(潜在的な合併症の好中球減少と闘うために血球の増殖を刺激する薬物、例えばフィルグラスチムまたはNEUPOGEN(登録商標)の投与)を用いて主として化学療法剤の使用や放射線治療によって激しく損傷していることが多い免疫系を回復させる。その合理的な共通基準は抗癌治療を受けている癌患者の日和見感染をできるだけ避けるために免疫賦活薬を用いて「正常な」血球式を回復することである。
これとは対照的に、本発明では確立した基準的な抗癌細胞毒性薬または実験段階の抗癌細胞毒性薬または放射線治療の前か、それと同時か、その後に、トリアシル化脂質−A由来の免疫賦活薬を用いた臨床治療を行うことで、下記実施例で示すように、抗癌治療の効力を向上させる。
癌の重大性
癌とは増殖性疾患に関連するファミリーを意味し、毎年、何百万人も癌で亡くなっている。グリーベック(Gleevec、登録商標)の使用のような最近の進歩にもかかわらず、有効な抗癌治療薬は不足しており、2020年には癌化率はさらに50%も増加し、新規な症疾患が1500万に達することもあり得る(世界癌報告、www.who.int/mediacentre/releases/2003/pr27/en/-40k)。
世界癌報告、www.who.int/mediacentre/releases/2003/pr27/en/-40k
2000年の世界の全ての原因による約5600万の死亡者の12%が悪性腫瘍によるものである。2000年では530万人の男性と470万人の女性に悪性腫瘍を生じ、この疾患全体で620万人が亡くなった。癌は致死原因の第3位に留まっている(第1位、第2位は感染・寄生虫症および冠状動脈・心疾患)。
肺癌は世界で最も多い癌で、新規症例は毎年120万ある。次いで、乳癌の症例が100万強、結腸直腸癌が940,000、胃癌が870,000、肝癌が560,000、子宮頚癌が470,000、食道癌が410,000、頭頸部癌が390,000、膀胱癌が330,000、悪性非ホジキンリンパ腫が290,000、白血病が250,000、前立腺癌および精巣癌が250,000、膵癌が216,000、卵巣癌が190,000、腎臓癌が190,000、子宮体癌が188,000、神経系癌が175,000、黒色腫が133,000、甲状腺癌が123,000、咽頭癌が65,000、ホジキン病癌が62,000である。
上位3つの癌原因は最も一般的な3つの形と異なり、全ての癌死亡の17.8%は肺癌、10.4%は胃癌、8.8%は肝臓癌である。
主たる抗癌治療法
大部分の癌は一般的に下記方法で治療される:
(1)手術
(2)放射線治療
(3)化学療法および/または
(4)生物学的療法
(1)手術
この手術では固形腫瘤を体内から除去するが、既に転移を起こしている場合には通常この治療手順は無駄になる。
(2)放射線治療
この方法はX線療法ともよばれ、癌細胞を殺して腫瘍を小さくするためにX線、γ線、中性子、その他の線源からの高エネルギー放射線を使用する。この方法は腫瘍を小さくして除去を容易にするために手術前に行うことができる(ネオアジュバント療法)。別の場合には患部に残る可能性のある全ての癌細胞を破壊するために放射線治療を術後に行う(アジュバント療法)。
低酸素***腫瘍細胞(EMT−6細胞)がNF−kB(従って一酸化窒素)活性化の16時間後に放射線感受性を増大(0から20Gyまで)することが最近証明された(下記非特許文献2参照)ことは興味深い。
De Ridder et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys.2003 Nov 1;57(3):779-86
トリアシル化脂質−A誘導体はLPSより高濃度の一酸化窒素をマクロファージから誘発することが証明されているので、トリアシル化脂質−A誘導体を放射線治療と組み合わせて用いると強力な抗癌剤となりうると主張されている。マクロファージは脂質Aの放射線感受性を強める(下記非特許文献3参照)ので腫瘍細胞の放射線応答に免疫細胞が果たす新規な役割が提案されている。
De Ridder et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys.2004 Oct 1;60(2):598-606
この系での本発明の一般式(I)の一つのトリアシル化脂質−A誘導体の効果は下記に示してある。
(3)化学療法
化学療法は一般に定期期的に行われる。すなわち、治療期間は一日以上で、その後に数日間または数週間の回復期が続き、次いで別の治療期間になる等である。ここでは(腫瘍を小さくし、腫瘍抗原を明らかにするために)これらの化学療法サイクル間またはこのサイクルと同時に本発明のトリアシル化化合物による免疫系の刺激が実施できることが提案される。
(4)化学療法の論理的根拠
任意の効率的且つ安全な化学療法剤は癌細胞を殺すもので、隣接する健康な細胞を傷つけてはならない。このことは理論上は正常組織ではみられない癌細胞に特有な特徴特性で達成できる。化学療法剤の臨床使用の根拠となる戦略は、大部分の癌細胞が正常細胞より速く成長するという単純な実際の観察に基づいている。従って、細胞増殖サイクルに関与するいくつかの酵素または細胞成分を特異的に標的にすることは合理的に思われる。この細胞毒性戦略では成長の速い細胞が最も大きな影響を受け、成長の遅い細胞はあまり阻害されないことを意味する。この論理的根拠は実際に、現在臨床的に用いられている多くの化学療法剤の開発に適用されている。化学療法剤は主として細胞サイクルのS期とM期で活性である。
化学療法の限界
化学療法戦略は臨床的効力がまだ概して不十分であることに加え、それ自身の毒物学的制限を有する。すなわち、いくつかの正常細胞(例えば増殖TおよびB細胞)を***させる必要もある。実際には、患者が腎臓または肝臓の障害し、従って、通常は化学療法剤を除去できないときに所要量の薬剤を投与することは、それを代謝および/または***できない患者には毒性が強すぎることがわかる。従って、許容されない毒性または治療量以下の投与を避けるために、投与量の調整が絶対に必要である。癌患者の薬物動態学は極めて複雑であることが多いため、患者の化学療法の選択肢が制限されることがある。
化学療法の効力を強め且つ副作用を減らす方法
本発明ではよく知られた化学療法剤または実験段階の化学療法剤と組み合わされた適切且つ適時に制御された臨床的併用療法を考える。化学療法剤を用いて最初にいくつかの癌細胞を小さくして殺し(従って腫瘍関連抗原をはっきりと示し)た後に、本発明のトリアシル化化合物を用いた非特異的な免疫刺激によって抗癌効力を強めて、免疫学的(特異的)記憶を獲得することができ、腫瘍関連抗原を有する細胞を除去し、さらに、例えば化学療法剤の投与数および/または投与量を減すことが可能になり、観察される副作用のレベルを制限することができる。
主たる化学療法剤
出典は下記文献4である:
A Chemotherapy Primer:Why?What?and How?, Julia Draznin Maltzman, M.D, November 5,2003, Oncolink, Abramson Cancer Center of the University of Pennsylvania
化学療法剤は下記に分類される:
(1)アルキル化剤
例えばアルレタミン、BCNU、ブスルファン、カルムスチン、CCNU、クロラムブシル、クロルメチン、カルボプラチン、 シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、イホスファミド、ロムスチン、マホスファミド、メルファラン、マイトマイシン、ニムスチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、チオテパ、ロバプラチン、ミボプラチン等。
(2)インターカレーション/トポイソメラーゼII阻害薬
アサクリム(Asacrin)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、アセテート、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、
プリカマイシン、
バブルビシン(Vabrubicine)、
ゾルビシン(Zorubicine)等
これらは高くて不可逆的な心臓毒性を有することで知られている。
(3)トポイソメラーゼI阻害薬
イリノテカンおよびトポテカン
(4)代謝拮抗剤
3つのクラスに細分類される:
葉酸代謝拮抗薬、
プリン類似体および
ピリミジン類似体。
例としては、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビン、フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン等が挙げられる。
(5)尿細管作用剤(例えばアルカロイドおよびトキソイド)
パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン等。
(6)チロシンキナーゼ抑制剤
プロテインキナーゼ抑制剤は抗癌治療薬および細胞シグナリングにおける生物学的ツールとして用いられる。この群の化合物を代表する2種の要素はメシル酸イマチニブ(Gleevec、登録商標)およびゲフィチニブ(Iressa、登録商標)である。
(7)その他の化学療法剤
これらは下記のような酵素または抗生物質である:
アスパラギナーゼ
ブレオマイシン
アルキル化剤
アルキル化剤は当初は軍事用に開発された有毒なナイトロジェンマスタード化合物に対して共通の作用機序を共有している。従って、このような薬剤が全ての有害事象を示すことは驚くべきことではない。
アルキル化剤はDNA上の負荷電部位に作用する。DNAと結合することによって複製および転写が変更され、細胞活動が停止し、細胞が死に始める。このクラスの抗癌薬は劇薬であり、多くのタイプの癌で用いられる(固形腫瘍および白血病)。残念なことに、多数の副作用が挙げられる(主として、***増殖の低下、月経の停止、場合によっては永久的不妊を引き起こすこともある)。アルキル化剤は二次癌を引き起こす可能性がある。最も多い二次癌は治療終了から数年後に発症することがある白血病(急性骨髄性白血病)である。
白金誘導体、例えばシスプラチンのような天然金属誘導体は、癌、主として肺癌および精巣癌に対してある程度の活性を示してきた。シスプラチンの最も有意な毒性は腎障害である。カルボプラチンとよばれる第二世代の白金誘導体はそれよりも腎臓の副作用が少ないので、シスプラチンを含む療法で適切な代用薬にすることができる。オキサリプラチンは大腸癌に活性がある第三世代の白金で、腎毒性はない。しかし、オキサリプラチンの主な副作用は神経障害である。
シクロホスファミドまたはシスプラチンのようなアルキル化剤で治療した後にトリアシル化脂質−A類似体を用いることによって極めて良い相乗的抗腫瘍性活性を示す種々のモデルの実施例を以下に示す。「インビボ」実施例(該当セクション参照)では用いられる条件下で各薬剤は単独では満足な抗癌結果を示さないが、最初の非特異的な化学療法の後にトリアシル化脂質−A誘導体で免疫系を非特異的にブーストすることによって臨床抗癌試験で試験するに値する有望な抗癌結果を示す。これは全く驚くべきことである。
インターカレーション/トポイソメラーゼII阻害薬
これらの化合物は酵素とDNAと一緒に複合体を形成するので、DNAの再連結を阻害する。これらは主として悪性の血液疾患、乳癌、消化管癌、性器癌、気管支または結膜の肉腫の治療に用いられる。これらの化合物の主な有害事象は骨髄抑制、嘔吐、心臓毒性および脱毛症である。
トポイソメラーゼI阻害薬
これらは特異的にトポイソメラーゼ−Iを阻害し、従って、細胞周期のS期中の転写および複製を阻害する。
これらは主として結腸直腸癌の治療に用いられる。これらの化合物の主な有害事象は骨髄抑制、好中球減少、嘔吐、脱毛症およびコリン作動性症候群である。
代謝拮抗剤:
これらは主として栄養膜癌、乳癌、卵巣癌、急性白血病、骨肉腫、リンパ腫等の治療に用いられる。これらの化合物の主な有害事象は骨髄抑制、粘膜炎、皮膚毒性、下痢、嘔吐等である。
1948年にファーバーは葉酸類似体が小児白血病において緩解を誘発することができることを証明した。次いで、主要な酵素反応を阻害するその他の類似体も合成された。代謝拮抗剤は、新しいDNAの作成(細胞周期のS期)に必要な代謝経路を含む、正常な代謝経路に干渉する。白血病、リンパ腫、乳癌、頭頸部癌、肉腫、大腸癌、膀胱癌および絨毛癌に対する活性を用いた癌治療で最も広く用いられている葉酸代謝拮抗薬は、DNA合成に必要とされる重要な酵素(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)を阻害するメトトレキセートである。
DNA合成を妨げるのに広く用いられている別の代謝拮抗剤は、ピリミジン類似体5−フルオロウラシルであり、これはフルオロデオキシウリジン一リン酸塩(5−FdUMP)に形質転換され、このフルオロデオキシウリジン一リン酸塩はピリミジン塩基(CおよびT)の内因性合成に必要な酵素チミジル酸合成をブロックする。大腸癌の治療のために一般式(I)のトリアシル化化合物と、5−フルオロウラシルとを組み合わせた実施例を以下に示す。この化合物は大腸癌、乳癌、頭頸部癌、膵癌、胃癌、肛門癌、食道癌および肝癌を含む広範囲の活性を有する。しかし、5−フルオロウラシルは酵素ジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)によって代謝され、ごく一部の患者では発現しない。このような患者はこの化学療法剤が投与されると、急性の強い毒性を受ける(骨髄抑制、重症GI毒性、および、発作さらには昏睡が挙げられる神経毒性)。カペシタビンは同様の副作用の可能性を持つ経口プロ5−フルオロウラシル化合物である。プレメトレクステッド(Premetrexed)はEli Lilly and Company社が製造する細胞複製を妨害する注射用の葉酸代謝拮抗抗悪性腫瘍薬(アリミタ、Alimta、登録商標)である。
DNA合成およびDNA修復を阻害するその他の代謝拮抗剤としてはシタラビン、ゲムシタビン(Gemzar、登録商標)、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンおよびクラドリビンが挙げられる。
尿細管に作用する薬剤(例えばアルカロイドおよびトキソイド)
ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンのようなアルカロイドは細胞質蛋白質であるチューブリンと結合し、紡錘体の形成を妨害し且つ中期の有糸***をブロックする。
ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビンはニチニチソウ(Vinca rosea)の葉から抽出される。これらは主として悪性の血液疾患(ホジキンを含む)、空気消化器癌、腎芽腫、乳癌等の治療に用いられる。
これらの化合物の主な有害事象は骨髄抑制、吐き気、嘔吐、脱毛症、腐食性、神経障害および神経毒性である。
1963年に太平洋いちい(Taxus brevifolia)の樹皮から初めて単離されたタキサンは細胞周期のM期に特異的である。この科としてはパクリタキセルおよびドセタキセルが挙げられる。タキサンは高親和性で微小管と結合し、その正常な機能を阻害する。これらは乳癌、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、膀胱癌、食道癌、胃癌および前立腺癌に対して効果がある。しかし、これらの薬剤は血球の数を低下させる。
これらの化合物の主な有害事象は骨髄抑制(好中球減少)およびリンパ浮腫である。
チロシンキナーゼ抑制剤
チロシンキナーゼ抑制剤のゲフィティニブ(Gefitinib)(イレッサ、Iressa、登録商標、AstraZeneca)は、米国で最も多い肺癌の型である進行性非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に用いられる。
ゲフィティニブ(Gefitinib)はある種の肺癌の細胞に対するEGF受容体の作用をブロックし、これらの癌に対してある程度効果を示している。
イレッサ(Iressa、登録商標)でよく見られる副作用としては、特に下痢、発疹、ニキビ、乾燥肌、吐き気、嘔吐、かゆみ、食欲不振、脱力感、および、体重減少が挙げられる。
チロシンキナーゼ抑制剤のイマチニブメシレート(Imatinib Mesylate)(グリーベック(Gleevec、登録商標、Novartis)は、手術不能の陽性の患者および/または転移性の悪性胃腸間質性腫瘍(GIST)を有する患者の治療、および、慢性骨髄性白血病(CML)の治療で承認されている。
イマチニブメシレート(Imatinib Mesylate)はチロシンキナーゼの活性を標的にすることによって作用するシグナル伝達系阻害剤である。c−kitとして知られるこれらのチロシンキナーゼの一種の活性は、大部分のGISTの成長および***を促進すると考えられている。イマチニブ(Imatinib)は血小板由来成長因子(PDGF)および幹細胞因子(SCF)、c−kitのための受容体チロシンキナーゼの阻害剤であり、PDGFおよびSCF媒介細胞現象を阻害する。インビトロでは、イマチニブ(Imatinib)は増殖を阻害し、GIST細胞のアポトーシスを誘発し、GIST細胞は活性化c−kit変異を発現する。
臨床試験でグリーベック(Gleevec、登録商標)を投与された患者の大部分は副作用、例えば吐き気、体液うっ滞(眼の周りおよび脚の腫脹)、筋痙攣、下痢、嘔吐、出血、筋痛および骨痛、皮膚発疹、頭痛、疲労感、関節痛、消化不良および息切れを体験した。
その他の化学療法剤
ブレオマイシンはStreptomyces verticillus菌から単離した小ペプチドである。この作用機序はアントラサイクリンと同様である。遊離した活性酸素が生成され、それによってDNAが破損し、癌細胞が死ぬ。この薬剤は単独で用いられることは稀で、むしろ他の化学療法剤とコンジュゲートして用いられる。ブレオマイシンは精巣癌およびホジキンリンパ腫の療法における活性剤である。この薬剤の最もよく見られる副作用は酸素遊離基の生成に起因する肺毒性である。
アスパラギナーゼはアスパラギン酸中のアスパラギンおよびアンモニウムの加水分解を触媒するので、アスパラギン合成酵素(リンパ球およびリンパ系起源の細胞)の欠如に敏感な癌細胞を殺すことができる。アスパラギナーゼは血液疾患(急性白血病、非ホジキンリンパ腫等)の治療に用いられる。この薬剤の主な有害事象は肝毒性、吐き気およびいくつかのアナフィラキシーショックである。
生物学的治療
この生物学的治療法はモノクローナル抗体、サイトカインおよび細菌性薬剤による免疫刺激の3つの部分に分かれる。本発明の化合物はこのクラスに属する薬剤である。
モノクローナル抗体
マウス、キメラ、ヒト化およびヒトモノクローナル抗体(huMoAb)はヒトの癌の治療に用いられる(下記文献参照)。
Untch M, Ditsch N, Hermelink K., Immunotherapy: 乳癌治療での新しい選択肢、Expert Rev Anticancer Ther.2003 Jun;3(3):403-8)
2010年までに約20個の抗体が実際の臨床に用いられると推定される。モノクローナル抗体の使用には腫瘍細胞の表面に位置する抗原に対して特異的な抗体を発生することを含む。患者の腫瘍細胞のサンプルをとって処理し、腫瘍関連抗原に特異的な抗体を産生する。この方法を有効にするためには腫瘍細胞に特有の抗原が十分な量で存在していなければならない。さらに、抗体反応を引き起こすために、腫瘍抗原は正常細胞によって生成された抗原とは十分に異なっていなければならない。
これらの(癌細胞を認識する)抗体は治療または診断のいずれかの目的で、癌細胞を殺すのに、単独で用いるか、その他の物質のキャリアとして用いることができる。例えば、化学療法剤はモノクローナル抗体と結合して、高濃度のこれらの有毒物質を直接腫瘍細胞に送達することができる。この方法は正常組織に送達される有毒な薬剤が減少するので、理論上は、通常の化学療法よりも毒性が低く且つより有効である。
エルビタックス(セテュキマブ)は上皮成長因子受容体(EGFR)を標的にするモノクローナル抗体で、細胞増殖を制御する。エルビタックスはEGFRと結合することによって癌細胞の成長に干渉して、内因性上皮成長因子が結合且つ細胞の成長を刺激できないようにすると考えられている。エルビタックスは転移性大腸癌または直腸癌の治療に用いられる。エルビタックスの注入は重大な副作用を引き起こすことがあり、例としては、呼吸困難および低血圧が挙げられ、これらは通常、最初の治療中に認められる。間質性肺疾患(ILD)も稀に報告される。エルビタックス治療で多く見られるその他の副作用は発疹(ニキビ、発疹、乾燥肌)、疲労感/脱力感、発熱、便秘、および、腹痛である。
リテュキマブ(抗CD20)は濾胞性リンパ腫の治療用に、最初に登録されたMABである。CHOP化学療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)と一緒になって、濾胞性および高悪性度のリンパ腫においてめざましい結果がみられた。
その他の市販されているモノクローナル抗体は、アレムチュザマブ(Compath、登録商標)、リンパ腫瘍上で発現するCDw52を標的にする)、ゲムチュジュマブ−オゾガマイシン(Mylotarg、登録商標)、骨髄性白血病芽球上で発現するCD33を標的にする)およびトシチュマブ(Bexxar、登録商標)。
サイトカイン
癌の治療を試験した主なサイトカインはインターロイキン−2およびインターフェロンである。
インターロイキン−2
インターロイキン−2(IL−2)はリンパ球によって産生される物質である。IL−2はT細胞に必須の成長因子であるだけでなく、種々のNKおよびT細胞の機能を増大させる。IL−2はまた、リンホカイン活性化キラー(LAK)を活性化させる。LAK細胞は腫瘍細胞を破壊し、ある種の免疫不全状態にある免疫機能の回復を早める。腎細胞癌、黒色腫および非ホジキンリンパ腫を有する患者はIL−2治療にいくつかの応答を示す。
最も強い毒性は毛細血管透過性を増大させるIL−2の能力によって生じるものである。これは低血圧、腹水、全身性体浮腫および肺水腫を引き起こすことがある。IL−2の投与から数時間以内に悪寒および発熱も高い頻度で起こる。頭痛、倦怠感およびその他のインフルエンザに似た症状もよく見られる。胃腸の副作用としては吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢および粘膜炎が挙げられる。
インターフェロン
インターフェロン(IFN)はウイルス複製を阻害し且つ細胞(T細胞)免疫応答を促進する低分子蛋白質である。現在、主として3つの型すなわちα、β、γが存在する。各型は生物学的応答を変更するための似ているが特徴的な能力を有する。α−IFNは主にC型肝炎の治療に用いられるが、現在はさらに有毛細胞白血病およびAIDS関連カポジ肉腫の治療にも用いられている。α−IFNはさらに、低悪性度ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫のような血液病に対するいくつかの治療有効性も示している。α−IFNはさらに、いくつかの固形腫瘍、例えば腎細胞癌にいくらか有効である。
βインターフェロンは現在、多発性硬化症の治療に用いられている。
IFN治療で最もよく見られる副作用の一つはインフルエンザに似た症状である。この症状には発熱、悪寒、頻脈、筋痛、倦怠感、疲労感、頭痛がある。
その他に多いIFNの副作用としては白血球数の減少、貧血(長期治療)、血小板の減少がある。食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢のような胃腸症状があることもある。中枢神経系毒性は軽い錯乱および眠気から発作に及ぶ。稀ではあるが急性腎不全が起こることがある。脱毛も問題となることがある。
細菌性薬剤による免疫刺激
60年代の動物実験で有望な結果が得られた後、研究者達はコリネバクテリウムパルバム(C.パルバム)およびウシ型弱毒結核菌ワクチン(BCG)のような細菌性薬剤を用いて癌患者の免疫系を刺激する大規模な臨床試験を開始したが、残念なことにこれらの初期の免疫療法試験の結果は思わしくなく、免疫賦活薬を用いた癌治療自体は失速した。
外因性免疫賦活薬はその毒性によって癌患者への使用が非常に制限された。1976年にはMorales達によって表在性膀胱癌の治療にウシ型弱毒結核菌ワクチン(BCG)が導入された(下記文献参照)。
Morales et al, 1976, rediscussed in J Urol. 2002 Feb;167(2 Pt 2):891-3; discussion 893-5
表在性膀胱癌の非特異的な免疫療法であるBCGはヒトの全ての免疫療法の中で最も有効な治療法とみなすことができる(最近の検討では下記文献を参照)。
Boyd, Urol Nurs.2003 Jun;23(3):189-91,199;quiz 192
リポ多糖(LPS)の抗腫瘍効果は確立されている。19世紀にColeyが細菌毒素を基にした癌治療を開発した(下記文献参照)。
Coley WB, the Practitioner, November 1909)
1940年代には細菌性リポ多糖(LPS)がコレイ(Coley)の毒素で観察される抗腫瘍活性に少なくとも部分的に関与していることが示された。つい最近の出版物では動物モデルにおけるLPSの抗腫瘍効果が示され、極く限られた数の試験がヒトにも実施されている。LPSは猛毒性であり、内毒素性ショックを引き起こすことがあるため、治療濃度域はごく小さいように思われる。患者はごく少量のLPSを用いて治療することしかできず、この量は所望の有益な効果を得るには過度に少ないことが多い。
LPSの生物学的および有毒の活性は脂質(リピド)Aとよばれるその脂質部分と関連がある。種々の細菌種が種々の脂質A構造を合成し、これらの細菌種の毒性の度合いは様々である。これは、未処置の細菌性脂質Aの構造を変更することによって、弱毒化されているが有益な生物学的活性は保持している誘導体を調製することができる可能性があることを示唆する。種々の脂質A誘導体は癌の動物モデルで試験され、いくつか成功した例がある。
本発明は構造式(III)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体、OM−174を用いた免疫刺激が体の免疫系を助け、上記従来の化学療法剤によって最初または同時に明らかにさた場合に腫瘍関連抗原に対する非特異的および特異的な応答を協調的に組み合わせることができることを証明した。
最初の化学療法が一旦実施した場合、最初の非特異的宿主防衛をブーストするために炎症反応を開始する必要がある。次いで、明らかにされた腫瘍関連抗原の存在によって特異的免疫応答が誘発される。これらの特異的記憶応答は一般に体液性免疫(Bリンパ球によって産生される抗体によって与えられる免疫)と細胞性免疫(Tリンパ球によって与えられる免疫)とに分けられる。その他の重要な細胞はマクロファージのような抗原呈示細胞(APC)およびナチュラルキラー(NK)細胞である。マクロファージは抗原と結合し、抗原を未処置のT細胞に「呈示」する。今度はこれらのT細胞が活性化され、成熟したリンパ球を産生する。NK細胞は腫瘍細胞およびウイルス感染細胞にとって細胞傷害性である。
計画されたトリアシル化脂質−A誘導体を用いる併用療法
本発明の抗癌治療戦略の目標は、最初に標準的化学療法剤または実験段階の化学療法剤で癌細胞を攻撃して「現場で、インシシチュウ(in situ)で」癌抗原を明らかにし、次いで免疫系をブーストして適切な免疫学的応答を引き起こすことである。変形例では化学療法ではなく放射線治療を用いることもできる。さらに、エキソビボまたはインビボでヒト単球由来の樹状細胞の成熟および活性化を高めるために免疫刺激サイトカイン(例えばαインターフェロン)とトリアシル化脂質−A誘導体とを相乗的に用いることもできる(下記文献参照)。
B.Veran J.,M.Mohty B.Gaugler,C.Chiavaroli and D.Olive.2004, Immunobiology 209:67
「現在の技術」と比較した本発明の目的は、任意の構造式(III)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体を上述の任意の標準的な化学療法剤と併用すること、および、標準的化学療法剤または実験段階の化学療法剤としてのこれら2種の非特異的薬剤と免疫賦活薬とを用いて(化学療法によって明らかにされた抗原に)有効な特異的抗癌治療を行うことにある。本出願人の知る限り、これらに関する動物実験は全く知られていない。
本発明は、トリアシル化脂質−A誘導体を下記の化合物および薬剤と組み合わせるか、放射線治療と組み合わせて、治療で用いて多くの型の癌を治療するものである。
ヒトにおけるトリアシル化脂質−A誘導体OM−174
この薬剤は癌患者の体内で良好な耐容性を示した。静注による1mgOM−174/m2以上の投与量で非血液学的グレードIIIおよび血液学的グレードIV NCI共通毒性基準に従って許容不可能な毒性を用いずに到達できた。
分析サイトカイン(TNF−α、IL−1b、IL−1ra、IL−6、IL−8、sTNF−RI、sTNF−RII、IL−10、IL−2、IL−2sRa、IFN−γ)は脂質−A誘導体と一致する分泌分布を示した。分泌は全ての段階で起こり、「用量」に依るというよりむしろ「患者」に依るように見えた。
この単回投与試験の結果から、第Ib相研究で用いられる反復静注(5〜15回の注射)のために3種の投与量(0.6、0.8、1.0mgのOM−174/m2)が選択された。
OM−174に関するヒトの薬物動態学的データ(クリアランス、分配量、半減期)は[表1]にまとめてある。
Figure 2008507499
本発明化合物と組み合わされる可能性が高い薬剤のリスト
アレムツザマブ(Alemtuzamab);アルレタミン(Alretamine);アサクリン(Asacrin);アスパラギナーゼ(Elspar、登録商標);あなすとロゾル(Anastrozole)(アリミデックス(Arimidex、登録商標)、ベバシズマブ(Bevacizumab)(アバスチン(Avastin、登録商標);ビカルタミド(Bicalutamide)、カソデックス(Casodex、登録商標);ブレオマイシン(ブレオキサン、登録商標);ボルテゾミブ(Bortezomib)(ベルカデ(Velcade、登録商標);ブスルファン(マイルラン);カペシタビン(Xeloda、登録商標);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);セチュキマブ(エルビタックス、登録商標);チロラムブシル(Chlorambucil)(ロイケラン、Leukeran);チリオルメチン(Chliormethin);シスプラチン(プラチノール、Platinol、登録商標);クラドリビン;シクロホスファミド(シトクサン、Cytoxan、登録商標)(ネオザール、Neosar、登録商標);シタラビン(シトザール、Cytosar-U、登録商標)(Ara-C);ダカルバジン(DTIC-Dome);ダクチノマイシン(Cosmegen(登録商標));ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標));デクスラゾクサン(Dexrazoxane)(ジネカード、Zinecard、登録商標);ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Rubex));エルビタックス(セチュキマブ)、エリプチニウム(Elliptinium)酢酸塩;エピルビシン;エストラムスチン(Estramustin);エトポシド(VePesid、登録商標)(VP-16、登録商標);クエン酸フェンタニール(Actiq);フロクスウリジン(FUDR、登録商標)(フルオロデオキシウリジン));フォテムスチン(Fotemustin);フルダラビン(Fludara、登録商標);フルオロウラシル(Adrucil(5-FU));フルタミド(Eulexin、登録商標);フルベストラント(Fulvestrant)(ファスロデックス、Faslodex、登録商標);ゲフチンブ(Gefitinib)(イレッサ、Iressa、登録商標)、ゲムシタビン(Gemzar、登録商標);ゲムツズマブ(Gemtuzumab);ゲセロリン(Goserelin)酢酸塩インプラント(Zoladex、登録商標);ヒドロキシ尿素(Hydrea、登録商標);イダルビシン(Hydrea、登録商標);イホスファミド(IFEX、登録商標);Imatinib Mesylate(Gleevec(STI-571));イリノテカン(Camptosar、登録商標)(CPT-11);ロイコボリン;デポー製剤懸濁液用のロイプロリド酢酸塩(Lupron、登録商標);ロムスチン(CCNU)(CeeNU、登録商標);マホスファミド;Mechlorethamine(Mustargen、登録商標)(ナイトロジェンマスタード));メルファラン(Alkeran、登録商標)(L-PAM));メルカプトプリン(Purinethol、登録商標)(6-MP));MTX(MTX);マイトマイシン(マイトマイシンC(Mutamycin));ミトーテン(Sodren);ミトキサントロン(Novantrone);Nilutamide(Nilandron、登録商標);オキサリプラチン(Eloxin、登録商標);パクリタキセル(タキソール);パミドロネート(Aredia);ペントスタチン(Nipent);ピラルビシン;プリカマイシン(Mithracin(ミトラマイシン));Premexetred(Alimta、登録商標);プロカルバジン(Mutalane);PROCRIT(Epoetin alfa);カルムスチンインプラント(GLIADEL、登録商標)を有するPolifeprosan 20;Rituximab(Rituxan、登録商標);ストレプトゾシン(Zanosar);タモキシフェン(Nolvadex、登録商標);テニポシド(Vumon);Tepotecan;チオグアニン(6-TG(チオグアニンTabloid、登録商標)、チオテパ(Thioplex);Tositumomab(Bexxar、登録商標);トキサリプラチン(Elotaxin、登録商標);Vinbiastine(Velban);ビンクリスチン(オンコビン);ビンデシン;Vinorelbine(ナベルビン)。
本発明化合物は下記文献に記載の方法で合成できる。
国際特許出願第WO 95/14026号公報
本発明化合物は、温血動物およびヒトに注射するのに適した酸性型または任意の型の許容可能な塩にすることができる。本発明化合物は標準的な放射線治療または従来の化学療法剤または実験段階の化学療法剤を含む予備治療の後で(または任意の適した製剤と一緒に)非経口投与(好ましくは静注)することができる。
ヒトでは最初に公知の化学療法剤または実験段階の化学療法剤または放射線治療法を用いて従来通りに腫瘍を治療し、患者の腫瘍抗原を明らかにする。次いで(または同時に)、本発明化合物を用いた免疫刺激(好ましくは1〜7回の注射/週および少なくとも5回の非経口投与)を実施する。次いで、通常の治療サイクルを、必要に応じて投与量を減らしながら、実施する。
上記国際特許出願第WO 95/14026号に記載の研究から、OM−174は免疫治療剤としてそれ自体が癌のBDIX/ProB大腸モデルにおいて腫瘍誘発から最大14日後に治療が開始した時でも強い治療活性を示すことが知られている。この治療で治癒すなわち腫瘍の発達を強く阻害する。完全寛解の場合には、動物は腫瘍に対して特異的に免疫化され、再移植は拒絶される。OM−174の反復注射から成る治療ではこの薬剤の治療効果に対する投与量よりも投与計画のほうが重要である。
以下では、免疫療法の効果(例えばOM−174(登録商標)によって誘発された)と、化学療法または放射線治療の効果との組み合わせが潜在的に大きな利点を有することを示す。すなわち、例えば化学療法による癌の初期治療(シスプラチン類似体またはシクロホスファミドのようなアルキル化剤または5−FUのような代謝拮抗剤)は腫瘤および生存度を減少させ、腫瘍細胞を損傷し、これらをより免疫原性にすることもできる。この初期の非特異的治療後に本発明化合物による非特異的免疫療法を行うことができ、この免疫療法は初期化学療法によって有効性がより高まる。免疫療法は免疫系によって残りの腫瘍細胞の特異的拒絶、全ての腫瘍の再成長および、転移成長の防止につながる。
本発明の併用療法は以下の実施例が示すように潜在的に非常に強い抗癌法を提供する。抗癌剤および癌の型の数を考えた場合、本発明のインパクトは広範である。セカンドフースの試験での臨床モデルには、OM−174、その他のトリアシル誘導体の投与(大量瞬時投与+注入)を化学療法または放射線治療のと同時または後に行うことが含まれる。
特定の治療による利点および改良点は以下の実施例および添付の請求の範囲から明らかになろう。
実施例1
黒色腫B16モデルにおけるOM−174によるシクロホスファミドの治療効果の増強
序論
構造式(II)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体のOM−174を本明細書に記載の標準的な化学療法剤と併用した時の効果に関する実証研究を記載した文献は知られていない。
この実施例では、OM−174自体が腫瘍の進行を部分的に阻害し([図1])、B16黒色腫実験モデルのマウスの生存時間をわずかに延ばすことがわかる([図2])。実験で用いた条件では、OM−174の抗腫瘍活性は対照の細胞***停止剤であるシクロホスファミド(CY)の抗腫瘍活性とほぼ同等である。
CYの単回投与(200mg/Kg腹腔内)後にOM−174を5回注射する(1mg/Kg腹腔内)ことからなる本発明の手順でこれらの2種の薬剤を併用することによって著しい効果が得られるということは重要である([図1]および[図2]参照)。
投与マウスと対照マウスの免疫学的研究からOM−174の単独でまたはCYと組み合わせた抗腫瘍活性はナチュラルキラー(NK)およびキラーTリンパ球(CTL)の応答の刺激、および、NK1.1、CD4およびCD8陽性細胞の絶対数の著しい増加によって媒介されることが明らかになった。従って、OM−174は周知の化学療法剤であるシクロホスファミドの抗癌効果を強めるヒト癌の治療における化学療法と組合わされる候補である。
動物および腫瘍細胞
生後4〜6週のC57BL/6マウスをCharles River(Calco,Corno,Italy)から購入した。B16黒色腫腫瘍細胞を同質遺伝子的なマウスに連続的に皮下(s.c.)に通した。0日に、2×105B16黒色腫細胞をマウスの右側腹部に皮下注射した。各マウス毎に腫瘍成長をノギスを用いて毎日測定し、一日当たりの平均腫瘍径を計算した。腫瘍注射の7日後には、約2〜3mm径の皮下腫瘍を有する全てのマウスを種々の実験群すなわちリン酸緩衝食塩水(PBS)を注射した対照3、CY、OM−174またはCY+OM−174に分けた。
薬剤および治療
シクロホスファミド(Sigma,St.Louis,MO)を使用直前にPBSに20mg/mlで溶かし、マウス一匹当たり0.2mlを腹腔内注射した。7日目に各投与マウスに200mg/Kgの単一用量を投与した。この投与量はこの系統のマウスにおいて観察可能な毒性がみられなかった最も有効な先行実験に基づいて選択されたものである。
免疫賦活薬OM−174はE.coli由来の精製水に溶けるジホスホリル化およびトリアシル化脂質−Aである。腫瘍成長および生存の研究のために、各マウス(20/群)にOM−174(1mg/kg)を腫瘍接種の接種後、8、13、18、23、28日目に腹腔内注射した。腫瘍注射、すなわちOM−174を2回(8および13日目)の投与後、14日目に、脾臓細胞の細胞毒性および各実験群のリンパ球サブセットを分析した。
脾臓細胞の準備
腫瘍接種後14日目にマウスを頸椎脱臼で犠牲にした。RPMI1640(Flow Laboratories,Irvine, Ayrshire, U.K.)で個々の脾臓を丁寧に裂いて脾臓細胞を得た。細胞を10μmのNytexメッシュで濾過し、2回洗浄し、完全培地(CM)、すなわちRPMI1640に10%ウシ胎児血清(FBS)、200mM L−グルタミン、25mM HEPES、ペニシリン50U/mlおよびストレプトマイシン50μml(全てFlow Laboratoriesから)を添加したものの中に再懸濁した。
細胞毒性評価測定
インビトロ継代YAC−1細胞(A/SN起源のモロニーウイルス誘発マウスT細胞リンパ腫)およびインビボ継代B16黒色腫細胞をクロム遊離測定における標的細胞として用いた。B16黒色腫細胞を細胞培養フラスコ(Falcon,Becton Dickinson and Co., Plymouth, England)内で接種された担癌マウスから入手し、CM中での培養後、一週間以内に用いた。B16およびYAC−1株細胞は研究室の収集品から入手し、これらは米国組織培養収集(ATCC)から入手したものである。
個々のマウスから採取した効果細胞の細胞毒性を標準的な4時間51Cr−遊離測定によって測定した。手短に言えば、標的細胞を培養地から収集し、2回洗浄し、0.9mlのCM中で5×106細胞で再懸濁し、次いで、5%CO2インキュベーター内で37℃で1時間、100μCi(51Cr)クロム酸ナトリウム(New England Nuclear,Boston,MA)で標識化した。標識化後、細胞をRPMI1640中で3回洗浄し、U字型96穴のマイクロタイタープレート(Flow Laboratories)で、1×104細胞/穴で播種した。効果細胞懸濁液を四つ組の穴に添加して一穴当たり200μlの最終量で3つのE/T比(すなわち100:1、50:1、25:1)が得られるようにする。次いで、プレートを5%CO2インキュベーター内で37℃で4時間インキュベートし、100μlの上澄みを各穴から採取し、ガンマ計数器を用いて放射能を測定した。全平均細胞毒性±S.E.Mを個々の脾臓からの四つ組のcpm値から計算した。
脾臓細胞サブセットの免疫蛍光染色および流動細胞計測法
個々のマウスからの脾細胞を流動細胞計測法によって分析した。脾臓細胞サブセットの二重蛍光分析では下記のモノクローナル抗体を用いた:フルオレセイン(FITC)結合抗マウスNK1.1PE(PharMingen, San Diego,CA)、PE結合抗マウスCD4(PharMingen)、FITC結合抗マウスCD8(PharMingen)。約1×106脾臓細胞を50mlのCM中に再懸濁し、4℃で30分間染色を実施した。次いで、細胞を0.02%のアジ化ナトリウムを含むPBS中で2回洗浄し、FACスキャン流動細胞計(Becton Dickinson)を用いて流動細胞計測を実施した。
15mWの空冷アルゴンイオンレーザーからの488nmの励起波長を用いて蛍光データを収集した。発光を585/42nmの帯域通過フィルターを通して収集した。各サンプルにつき、最低5,000の事象を収集し、ヒューレットパッカード9000コンピュータによってリスト方式で得た。死細胞、細胞片、非リンパ球、細胞凝集体を除外するために、データ収集を前方および側面角度の散乱によって生きている脾臓リンパ球に導く。データは数えた総細胞数に対する陽性細胞のパーセンテージとして表される。
統計分析
カプラン・マイヤー法を用いて生存機能を推定し、4つの群(対照、CY、OM−174、CY+OM−174)での生存機能の均一性を試験するためにLog−rank試験を行った。
腫瘍成長は対応のないデータのためのT検定によって分析した。
他の実験での平均対照値を分析するためにスチューデントT検定を用いた。0.05以下の値を有意とみなした。
結果
腫瘍成長
[図1]に示すように、CYとOM−174の両者は単独で用いた場合には未治療対照と比べてB16腫瘍成長をわずかではあるが有意に阻害した。しかし、OM−174とCYとの組合せの方が腫瘍成長阻害率が良い。この腫瘍成長阻害率は単独の治療で得られるものより有意に良いことが重要である。
生存時間
CYとOM−174の両者は単独で用いた場合には未治療対照と比べてマウスの平均生存時間(MST)をわずかではあるが有意に延長した。しかし、OM−174とCYとの併用療法の方がマウスの生存結果が良い。この生存結果は対照マウスだけでなくCYまたはOM−174を単独で投与したマウスのものより有意に高い。[図2]は全観察期間中に各投与群で生存している動物のパーセンテージを示している。
NK活性
腫瘍細胞除去はNK細胞の細胞毒性によって部分的に媒介されることは知られている。従って、NK感受性(YAC−1)腫瘍細胞に対する脾細胞の細胞毒性が測定される。脾臓細胞を正常マウスまたはPBS、CY、OM−174またはCYとOM−174との組合わせを投与した担癌マウスから得た。結果は[表2]にまとめて示してある。
Figure 2008507499
腫瘍注射14日目に、一つの群につき5匹のマウスを殺し、NKおよびCTLの細胞毒性を「材料および方法」で述べたように測定した。結果は一つの群につき個々に試験した5匹から得られる、平均パーセンテージ細胞毒性±S.Eで表した。#p<0.001対正常対照マウス/*p<001対B16黒色腫腫瘍を投与したその他全ての群のマウス。
正常マウスではOM−174の投与によって未治療対照と比べてNK細胞活性が劇的に増大した。これと同じNK細胞活性の劇的な増大がB16黒色腫注射マウスにおいても観察された。14日目に対照マウスとCY投与担癌マウスでは未治療正常マウスと比べてNK活性の減少がみられた。OM−174は常にNK活性を未治療正常対照でみられるレベル以上に完全に回復できた。T+CY+OM−174の場合p<0.001対その他全ての群のマウス。
自己腫瘍細胞に対する細胞毒性
キラーTリンパ球(CTL)はまた、腫瘍細胞の除去で重要な役目をしている。自己腫瘍細胞に対して特異的な細胞毒性をインビボ継代B16黒色腫細胞を標的として用いて正常および担癌マウスからの脾臓細胞で試験した。これらの実験結果は[表2]に示してある。予想通り、正常マウスからの脾臓細胞はB16細胞に対する検出可能な細胞毒性を示さなかった。それとは逆に、担癌マウスからの脾細胞は自己腫瘍細胞に対する相当の細胞毒性を示した。この細胞毒性はCY投与では増大しないように見えた。OM−174の投与は担癌マウスにおけるCTL活性の著しい刺激(2倍増)を誘発することができた。OM−174とCYとの組合せを投与したマウスでは、自己腫瘍細胞に対する最高レベルの細胞毒性が、腫瘍対照の4倍およびOM−174を単独投与した腫瘍マウスの2倍増加することが示されたことは興味深い。
脾臓細胞サブセットの分析
実験マウスのリンパ球サブセットに対する各種治療の影響およびこの影響と腫瘍成長で得られた結果との相関を評価するために、生存時間および細胞毒性、CD4、CD8およびNK1.1を発現する脾臓細胞のパーセンテージを測定した。
[表3]に示すように担癌マウスは正常対照と比べて試験した脾臓細胞サブセット全てで有意な低下を示した。OM−174の投与によって、CD4+、CD8+およびNK1.1陽性細胞のパーセンテージが正常マウスと担癌マウスの両者で増加した。他の分析したパラメータのところで既に述べたように、CD4+、CD8+およびNK1.1陽性細胞の最高のパーセンテージはCY+OM−174を投与したマウスでみられ、この値は正常マウスでみられる値以上であった。
Figure 2008507499
腫瘍注射14日目にマウスを殺し、個々に処理した脾臓から得られた細胞をFACS分析のためにモノクローナル抗体で染色した。結果は個々に試験した5匹のマウスから得られる、陽性細胞の平均パーセンテージ対全脾臓細胞±S.E.Mで表した。
*p<005対B16黒色腫腫瘍を投与したその他全ての群のマウス。
結論
結論として、併用治療の本発明の手順はB16黒色腫のモデルにおいて極めて有効であるように思われ、脂質−A誘導体を用いる免疫化学療法手順の有効性が確かめられた。実際に、脾臓細胞の細胞毒性(非特異的NKおよび癌特異性CTL)の刺激で得られた結果と、OM−174を単独またはCYと組合わせて投与した後のNK、CD4+、CD8+表現型の増加で得られる結果は腫瘍成長の遅延および生存時間の延長と相関している。
これらの結果に基づき、構造式(II)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体は、臨床レベルでの癌の治療における化学療法と組合わせることができる候補とみなすことができる。
実施例2
BDIXラットの進行PROb皮下大腸腫瘍に対する腹腔内シクロホスファミドと組み合わせた腫瘍内OM−174の抗腫瘍活性
ここでは、癌細胞の結腸直腸モデルにおける併用継続治療の効果を研究した。この治療では、最初によく認識された化学療法剤であるシクロホスファミドを用いて腫瘍誘発免疫抑制を低下させた後、トリアシル化脂質−A誘導体OM−174を用いて非特異的腫瘍内免疫刺激を行った。CpGまたはBCGのような他の免疫賦活薬で得られる結果とは対照的に、ここではこの標準的治療後にOM−174の腫瘍内注射を行ったときにシクロホスファミドの抗腫瘍活性が非常に高まることが証明された。
材料、方法、統計
動物
生後4〜6ヶ月、重さ200〜150gの雌BDIX近交系ラットを温度、湿度、人工光照射が一定の条件で繁殖した。
化学薬品および薬剤
OM−174はオーエムファルマから、シクロホスファミド(CY)はSigma Aldrich(L'Isle d'Abeau,France)、皮内BCG(BCGワクチン)はPasteur Vaccine(Lyon, France)からのものである。CpG(合成ポリヌクレオチド)はProf Chauffert(Dijon, France)の研究室で内部的に合成したものである。
DHD/K12細胞はBD IXラットのジメチルヒドラジン誘発大腸腫瘍に由来する。PRObクローンは同質遺伝子的ラットに注射したときのその規則的腫瘍形成能で選んだ。PROb細胞は10%ウシ胎児血清を添加したハムのF10培地で培養下に維持した。細胞はトリプシンおよびEDTAで剥離し、ウシ胎児血清を含む完全培地の存在下で遠心分離してトリプシンを阻害した。細胞(2×106/ラット)を血清を含まない0.1mlのハムのF10培地中で懸濁し、次いで、麻酔下のラットの前胸部に皮下接種した。
動物の治療
雌BDIXラットの治療は、PROb癌細胞の接種後、36日目に開始した。このときの腫瘍容積は約1cm3であった。実験は、8つのラット群(各群に6匹のラット)で構成された。対照群には投与しなかった。その他の群には、腹腔内経路によるCYの単回投与(5mlの滅菌NaCl溶液中に25mg/kg)、または、43日目に開始する腫瘍内(i.t.)経路による免疫賦活薬の投与、または、36日目の腹腔内CPMと43日目に開始する免疫賦活薬の腫瘍内投与との組合せを実施した。43日目および50日目にBCG(腫瘍内注射ごとに、100μlの還元溶液+100μlのNaCl)の注射をした。CpG(200μlのNaCl中に100μg/注射)およびOM−174(200μlのNaCl中に200μg/注射)を週に3回、4週間注射した(12回の注射)。週に一度ノギスで腫瘍径を測定した。
結果および考察
このような大きい確立したPROb腫瘍には、腫瘍内免疫賦活薬(OM−174、BCG、CpG)単独では、未治療動物と比べて抗腫瘍効果がない([図3])。対照的に、腹腔内シクロホスファミドは皮下腫瘍の過渡的退行を引き起こした後、全ての動物で成長が再開した。これはPROb細胞のアルキル化剤に対する周知な化学感受性(Chauffert et al,1992)に合致していた。
PROb細胞のアルキル化剤に対する周知な化学感受性(Chauffert et al,1992)
しかし、CPM単独では動物を治すことはできなかった。BCGはCYと併用すると、CY単独の場合よりも活性が低かったので、有害事象がみられた。CpGはCY活性を変更しなかった。OM−174はその他の免疫賦活薬とは対照的に、CYの抗腫瘍効果を強く促進した。CYを単独で投与した動物よりも全ての腫瘍が大きく退行し、この群の4/6の動物で完全且つ持続する腫瘍退行が得られた([表4]参照)。
Figure 2008507499
結論として、これらの結果はラットの進行皮下腫瘍に対するシクロホスファミドの抗腫瘍効果をOM−174が強めたことを証明している。本発明の実験ではそれ以外の2種の免疫賦活薬、BCGおよびCpGはシクロホスファミド単独の効果を弱めるか、または、全く高めなかった。
実施例3
OM−174と組み合わせる化学療法剤シスプラチンの抗癌効果の増強
序論
ラットの腹膜癌腫症のBDIX/ProBモデルにおける免疫賦活薬OM−174の抗腫瘍効果は過去に何度も証明されている(例えば、下記文献参照)。
Onier et al.,Clin Exp Metastasis.1999 Jun;17(4):299-306
その有益な効果は癌細胞(同質遺伝子的なProb細胞)の注射から14日後に治療を開始したときに、実に最大(90%の完全緩解)であることがわかっている。それとは対照的に、この薬剤の効力は治療の開始がD21、またはD28で低下し、さらにD35で消失する。ヒトに応用可能な治療を見付けるためにここではOM−174自体が最適に活性でない実験条件を選択することによって、OM−174と、白金抗癌アルキル化剤シスプラチンとの組合せを試験した。以下で示すように、シスプラチン(3mg/kg、静注)をD21に投与したときに、OM−174は依然として極めて有効であり、D21またはD28でも、さらには時間が経ったD35に初めて注射したときでも依然として極めて有効である。この結果はシスプラチン/OM−174の組合せがヒトにおける治療効果を有する可能性があることを示唆している。
次いで下記の手順を実行した
癌細胞
大腸癌PROb細胞は1,2−ジメチルヒドラジンによって誘発されたBDIXラットの腫瘍から得たものである。ラットのBDIX株はH.Druckreyによって1937年に確立された。今日では、これらのラットはIffa-Credo(L'Asbresle, France)からくる。
実験の初めに4ヶ月±1ヶ月のBDIXラット7匹/群に、培養した同質遺伝子的なProb細胞(腹腔内)を腹腔内注射し、この日を0日目とした。シスプラチン(3mg/kg)を21日目に静注し、OM−174投与を28日目または35日目に開始した(1mg/kg、5回の陰茎静脈内への注射を5日ごと)。本明細書では72日まで生存した。
結果
OM−174自体は腫瘍接種後2週間以内に治療(1mg/kg、2日ごとに最大15回の静注)を開始したときに抗癌効果を十分に示すが、治療の開始が遅れたとき([図4]に示すように28日目または35日目)は抗癌効果が失われる。このような好ましくない条件のほうが多くの癌患者が直面する現実の臨床状況に近い。
この実施例ではシスプラチン(3mg/kg静注)を21日目に投与する。OM−174を用いた追加の免疫刺激治療(1mg/kg、5回の静注を5日ごと)を28日目または35日目に開始する。生存曲線は[図4]に示してある。
結論
OM−174とシスプラチンとの組合せは上記の極めて不利な環境においてそれぞれの単独投与よりもはるかに強い抗腫瘍活性を示した。
シスプラチン治療は本明細書に示すように一部の効力しか発揮しないが、OM−174免疫賦活薬によってブーストされると強力な抗腫瘍効果を発揮する。
実施例4
OM−174と組み合わせる化学療法剤5−フルオウラシル(5−FU)の抗癌効果の増強
序論
代謝拮抗剤は、新しいDNAの作成(細胞周期のS期)に必要な代謝経路を含む、正常な代謝経路に干渉する。このクラスの分子は癌治療に用いられることが多い。
DNA合成を妨げる臨床的効果のある代謝拮抗剤は少なくとも40年間用いられている5−FUである(下記文献参照)。
Rich et al., 2004
5−FUは大腸癌、乳癌、頭頸部癌、膵癌、胃癌、肛門癌、食道癌および肝癌を含む広範囲の活性を有する。
最初に、癌細胞を小さくし、殺す(従って潜在的に腫瘍関連抗原を明らかにする)5−FUのようなよく知られた化学療法剤を用いて適切および適時に制御された臨床的併用療法を行い、次いで、トリアシル化脂質−A誘導体を用いて非特異的免疫刺激を実施することで高い確実性で抗癌剤の効力を高め、免疫学的(特異的)記憶の獲得を可能にし、腫瘍関連抗原を含む細胞を除去でき、さらに、例えば化学療法剤の投与回数および/または投与量を減らすことができ、観察される副作用のレベルを制限できる。この実験は大腸癌のラットモデルにおける5−FUとOM−174との組合せの効力を調べることを目的としている。
材料および方法
下記の手順を実施した:
薬剤:OM−174DPを下記に示すように5−FUと組み合わせてまたは組み合わさずに試験した。
0日目(D0)に、各ラットに106PROb細胞を腹腔内注射した。7日目および14日目に5−FUを30mg/kgの用量で投与した。21日目からはOM−174を1mg/kgの投与量で週3日、合計10回静注した。
読み出し
全てのラット(対照群および投与群)を61日目にCO2で犠牲にした。治療の有効性を生存率([図5])、小結節の数および寸法に依存する所定の癌のクラス測度および腹水の測定値で読み出した。癌腫症は無分別に評価した。癌腫症の容積が測定不可能な場合にはそれらは小結節の数と直径に従って分類した。
クラス0:目に見える小結節はない
クラス1:直径が0.1〜0.3cmの小結節がいくつか数えられる、
クラス2:直径が0.1〜0.3cmの小結節が無数にある
クラス3:直径1cmのいくつかの小結節が腹腔に侵入している
クラス4:数cmの腫瘤が腹腔に完全に侵入している。
腹水の量はラットの二倍の重さで測定した。
結果
結果は[表5]と[図5]に示してある。
Figure 2008507499
クラスに関して
マンホイットニー検定で対照とOM−174群との間の有意差および対照と5−FU+OM−174群との間の有意差を示している。5−FUと対照群との間に有意差はみられなかった。対照群とOM−174−DPおよび5−FU+OM−174−DP群(DPはジホスホリル化誘導体を意味する)の両者との間には中央値で有意差があった。
対応する生存曲線が[図5]に示してある。
結論
OM−174+5−FUの組合せは癌腫症クラスおよび生存時間の点でこの癌モデルに両薬剤を単独で投与した場合よりも良い。
実施例5
放射線治療と組み合わせるOM−174
発達が不十分な脈管構造および血管の散発性閉塞のために正常組織よりも低い酸素レベルで固形腫瘍を与えた(下記文献参照)。
van der Berge et al.,2001
低酸素誘発放射線抵抗性は癌治療の主な障壁として認められている(下記文献参照)。
Dachs and Stratford, 1996
一酸化窒素基(NO、放射線によるDNA損傷を修復する気体)を誘発することができる免疫賦活薬によって低酸素腫瘍細胞を放射線増感する可能性を以下に示す。OM−174誘発NOはマウスEMT−6腫瘍細胞中で、低酸素状態で直接的に、および、マクロファージによって放出されたサイトカインの活性化によって間接的に、強力な放射線増感剤となることがわかる。
A)EMT−6乳癌細胞に対するOM−174の直接的効果
癌細胞EMT−6に対するOM−174の直接的放射線防護効果を、最初に、正常(21%)と低酸素(1%)の両者の酸素状態でインビトロで試験した。低酸素状態は癌細胞が毛細血管から数マイクロメートル離れたところに位置する状況が実際に反映している。これらの細胞を除去するためには、より高線量の放射量を必要とするので、腫瘍内注射または静注されるOM−174のような薬剤が興味深い。
マウス乳腺癌EMT−6細胞をプラスチックフラスコ内のPRMI培地+10%子ウシ血清中で培養した。初期集密まで成長したEMT−6単層培養をOM−174に両条件(21%および1%酸素)で16時間暴露させた。OM−174の投与後に、従来のグリース法を用いて亜硝酸塩測定を実施した。値は一穴当たり、200,000細胞で規準化した。
次いで、細胞をトリプシン処理によって収集し、放射線応答を既に述べた方法で推定した(van der Berge et al.,2001)。簡単に言えば、300gで5分間の遠心分離によって円錐管中でマイクロペレット(0.5×106細胞)を製造した。照射前に37℃で3分間インキュベートすることによってマイクロペレット内の代謝酸素欠乏を誘発した。マイクロペレットを毎分2Gyの照射率で直線加速器で照射し、5、10、15、20Gy後の生存率(SF)を8日間コロニー形成法によって測定した。
結果
[図6]に示すように、EMT−6細胞は正常な酸素濃度(21%酸素)でOM−174によって刺激されたときは少量のNOを製造した。これとは対照的に、低酸素(1%酸素)状態ではNOの産生増加が検出された。直接クローン原性法([図7])から、OM−174が低酸素状態でのみ癌細胞のために直接放射線を増感する薬剤であることがわかることは重要である(癌細胞の90%を殺すのに必要な放射線量はOM−174がない場合よりも1.67ポンント低い)(3または30mg/mlのいずれかで)。Whistarラット由来のM−174誘発馴化培地(CM)を介した間接的な放射線増感効果は[図8]に示してある。これらの条件では、試験した高用量(3μg/ml)のほうが0.3μg/mlの用量よりも明らかに放射線増感作用が強い。
結論
これらの結果は、OM−174は直接的および間接的の両方の放射線増感特性を示し、従って、構造式(II)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体は放射線治療と組み合わせるのにふさわしい候補であることを示唆している。
総合的な結論
要約すれば、以上の結果は有望であり、構造式(II)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体、特に良好な耐容性を示す化合物OM−174は、よく知られた抗癌治療または実験段階の抗癌治療法、特に従来の化学療法および放射線治療によって得られる抗癌効果を高める強い潜在力を有することを示唆している。
構造式(II)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体を任意の製剤、投与量、投与回数で用いる免疫療法は非経口、好ましくは静注または腫瘍内経路でヒトに反復して適用できる。化学療法および/または放射線治療から選択される好ましい治療法は標準的技法(製剤、投与量、投与回数および経路)に従って毎回、免疫療法前、免疫療法と同時または免疫療法後に適用される。式(II)の化合物の必要な投与量はヒトの場合、0.05〜100mg/m2、好ましくは0.1〜20mg/m2の範囲である。
腫瘍の進行度を示す図。 生存率の変化を示す図。 腫瘍容積の変化を示す図。 実施例3での生存率の変化を示す図。 実施例4での生存率の変化を示す図。 実施例5でのOM−174の量とNOの製造量との関係を示す図。 実施例5で用いた直接クローン原性法の結果を示す図。 実施例5でのWhistarラット由来のM−174誘発馴化培地(CM)を介した間接的な放射線増感効果を示す図。

Claims (23)

  1. 増殖性疾患を有するヒトを含む温血動物を治療するための医薬組成物であって、有効成分として、一般式(I):
    Figure 2008507499
    (ここで、
    A−Bは二糖類構造であり、
    XおよびYは荷電した官能基または中性の官能基であり、
    1およびR2は脂肪族酸でアシル化可能なヒドロキシアシル基である)
    の荷電した官能基または中性の官能基を有する非特異的免疫モジュレータと、放射線治療法およびアルキル化剤、代謝拮抗剤、尿細管作用薬、チロシンキナーゼ抑制剤から成る群の中から選択される一種または複数の化学療法剤から成る群の中から選択される公知の抗悪性腫瘍手段とを一緒に含み、さらに、薬学的に許容される無毒な不活性希釈液またはキャリアとコンジュゲートまたは混合したことを特徴とする医薬組成物。
  2. 一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有するジアシル化化合物が無機塩基または有機塩基の付加塩の形をしている請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 上記ジアシル化化合物がヒドロキシドデカノイル単位とエステル化されている請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 上記の抗悪性腫瘍薬が薬学的に許容される付加塩の形をしている請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 有効成分が下記一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有するジアシル化物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物:
    Figure 2008507499
    〔ここで、
    A−Bは下記式(II)のリピドAの中心β(1,6)結合ジグルコースアミン二糖類主鎖である:
    Figure 2008507499
    (ここで、
    1およびR2は直鎖または分岐した2〜24の炭素原子を有する飽和または不飽和のカルボン酸鎖に由来するアシル基を表し、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アシロキシ、アミノ、アシルアミノ、アシルチオおよびアルキルチオ基から成る群の中から選択される一つまたは一つ以上の置換基を有していてもよく、
    Xはジヒドロキシホスホリルオキシ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ヒドロキシル、カルボキシアルコキシ、カルボキシアルキルチオ、カルボキシアシルオキシ、カルボキシアミノアシルオキシまたはジアミノアシルオキシ、アミノアシルオキシ中から選択される中性の基または荷電した基を表し、
    Yはジヒドロキシホスホリルオキシ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ヒドロキシル、カルボキシアルコキシ、カルボキシアルキルチオ、カルボキシアミノアルコキシ、アミノアルコキシの中から選択される中性の基または荷電した基を表し、
    波線はα配向またはβ配向を表す)
  6. 有効成分が下記構造式(III)のトリアシル化ジホスホリル化脂質−A誘導体である請求項1に記載の医薬組成物:
    Figure 2008507499
  7. 抗悪性腫瘍手段が下記のクラスの一つに属する請求項1に記載の医薬組成物:
    (a)化学療法剤
    (b)電離放射線
  8. 上記化学療法剤がアルキル化剤または代謝拮抗剤である請求項6に記載の医薬組成物。
  9. アルキル化剤がカルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)から成る群の中から選択される請求項6に記載の医薬組成物。
  10. 代謝拮抗剤が葉酸代謝拮抗薬(antifolic agents)、プリン類似体(purine analogs)およびピリミジン類似体(pyrimidine analogs)から成る群の中から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. プリン類似体およびピリミジン類似体がカペシタビン(Capecitabine)、クラドリビン(Cladribine)、シタラビン(Cytarabine)、フルダラビン(Fludarabine)、フルオロウラシル(Fluoro uracile)(5−FU)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、メルカプトプリン(Mercapto purine)、メトトレキセート(Methotrexate)、チオグアニン(Thioguanine)等から成る群の中から選択される請求項9に記載の医薬組成物。
  12. 請求項1に記載の免疫賦活薬を用いた治療が周知または実験段階の抗癌電離放射線治療と一緒か、その後に行われる請求項6に記載の組成物。
  13. 請求項1に記載の化合物の混合物の治療に有効な量と薬学的に許容されるキャリア、賦形剤または製剤と一緒に組み合わせたものを経口、非経口、経直腸、局所、経皮または経粘膜の経路で投与するヒトを含む温血動物の癌を治療する方法。
  14. 有効成分が一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有するトリアシル化物であり、確立または実験段階の抗癌治療が
    (a)化学療法剤、
    (b)電離放射線
    のクラスに属する治療であり、上記トリアシル化物の投与と抗癌治療とを同時に行う請求項13に記載の方法。
  15. 一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有する医薬品の投与と下記クラスに属する確立または実験段階の抗癌治療が順番に行われる請求項13に記載の方法:
    (a)化学療法剤、
    (b)電離放射線。
  16. 一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有する医薬品の投与と下記のクラスに属する確立または実験段階の抗癌治療とを癌組織に局所的に適用する請求項13に記載の方法:
    (a)化学療法剤、
    (b)電離放射線。
  17. 一般式(I)の荷電した官能基または中性の官能基を有する医薬品の投与と下記のクラスに属する確立または実験段階の抗癌治療とを徐放性キャリアまたは持効性キャリアに適用する請求項13に記載の方法:
    (a)化学療法剤、
    (b)電離放射線。
  18. 増殖性癌疾患が肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、肝癌、子宮頚癌、食道癌、頭頸部癌、膀胱癌、悪性非ホジキンリンパ腫(malignant non-Hodgkin lymphomas)、白血病、前立腺癌、精巣癌、膵癌、卵巣癌、腎臓癌、子宮体癌、神経系癌、黒色腫、甲状腺癌、咽頭癌、ホジキン病癌(Hodgkin disease cancer)、扁平上皮癌、神経膠腫、骨髄腫、その他の固形癌またはリンパ腫から成る群に属する請求項13〜17のいずれか一項に記載の治療方法。
  19. 抗癌剤がカルボプラチン(carboplatin)およびオキサリプラチン(oxaliplatin)のような白金錯体の中から選択され、増殖性癌疾患が精巣癌、膀胱癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌および卵巣癌である請求項13に記載の方法。
  20. 抗癌剤がシクロホスファミド誘導体(cyclophosphamide derivatives)の中から選択され、増殖性疾患が慢性リンパ球性白血病、リンパ腫、卵巣癌および膀胱癌である請求項13に記載の方法。
  21. 抗癌剤が5−フルオロウラシル5−FUおよび5−FU誘導体であり、増殖性疾患が腸癌、乳癌、胃癌、および、食道癌である請求項13に記載の方法。
  22. 式(I)の活性化合物またはこの化合物の塩と抗悪性腫瘍薬とが単一容器中に存在する請求項1に記載の医薬組成物。
  23. 式(I)の活性化合物またはこの化合物の塩と抗悪性腫瘍薬とがそれぞれ別個の容器に入れられた請求項1に記載の医薬組成物。
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