以下、様々な実施形態及び添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
図1を参照して、本発明の様々な実施形態を適用することができる通信システムの一例について考える。本発明は、様々なワイヤレス通信システムに適用可能なものである。かかる通信システムの1つの例は、UMTS(ユニバーサル移動電話システム)無線アクセスネットワークである。UMTSは、WCDMA(ワイドバンドCDMA)技術を含み、かつ、リアルタイム式の回路交換サービス及びパケット交換サービスを提供することもできる無線アクセスネットワークである。しかしながら、本明細書で示す実施形態は、例として列挙されたシステムに限定されるものではなく、必須の性質を備えた他の無線通信システムにも当業者が適用することができるものである。
当業者には、本発明に係る方法が異なる変調方式又はエアインタフェイス規格を利用したシステムにも適用可能であるということが、明らかである。
図1は、本発明に係る解決法を適用可能なディジタルデータ送信システムを簡略化して示している。これは、ユーザ端末106及び108に対する双方向無線リンク102及び104を有する基地局(又はノードB)100を備えた携帯電話無線システムの一部分を示す。これらのユーザ端末は、固定されたもの、車載型のもの、又は、ポータブルなものとすることができる。基地局は、例えば送受信器を含む。基地局の送受信器からは、ユーザ端末に対する双方向無線リンクを確立するアンテナユニットへの接続が設けられている。基地局は、さらに、制御装置110、すなわち、これらの端末に対する接続をネットワークの他の部分に送信する無線ネットワーク制御装置(RNC)にも接続される。無線ネットワーク制御装置は、さらにコアネットワーク110(CN)に接続される。システムに依存して、CN側における対応物(counterpart)は、MSC(Mobile services Switching Center)、MGW(Media Gateway)、又は、SGSN(Serving General Packet Radio Service)とすることができる。
上記携帯電話無線システムは、公衆交換電話網(PSTN)又はインターネットといったような他のネットワークと通信することもできる。
次に、通信システムにおける受信器のためのデータ受信方法の一実施形態についてさらに詳細に説明する。本実施形態は、特にPIC受信器に好適であるが、チャネル等化といったような様々な種類の受信器の機能に対しても適用可能なものである。
ここで、PIC受信器の原理について簡潔に説明する。
典型的には通常のRAKE受信器である第1段階において、送信されたシンボルの試験的な(一時的な)(tentative)決定値が生成される。ユーザ固有の受信された広帯域信号が、試験的な決定値と推定されたチャネル係数とを掛け合わせること、及び、取得された信号を再拡散することにより、再生成される。
次の段階において、選択された他のユーザの再拡散された広帯域信号が、受信され遅延した広帯域信号から減算される。通常のRAKE受信器を用いて、残存した信号からの検出が実行される。
誤った決定値による影響を減少させることもまた、試験的な決定値に対してその決定値の信頼性に基づいた重み付けを施すことにより、すなわち、決定値の信頼性が低ければ低いほど重みを小さくするということにより、可能である。
UTRANでは、高いレイヤにおいて生成されたデータは、異なる物理チャネル上にマッピングされたトランスポートチャネルを用い無線インタフェイスを介して搬送される。物理レイヤは、可変ビットトランスポートチャネルをサポートして、バンド幅オンデマンドサービスを提供し、かつ、幾つかのサービスを同一の無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)接続に多重することができるようになっている。
符号化及び多重化ユニットからの出力データストリームは、CCTrCH(Coded Composite Transport CHannel)と称される。一般的に、1以上のCCTrCHが存在するものとすることができるが、1つの接続では1つの物理制御チャネルしか送信されない。各トランスポートチャネルについては、任意の送信時間インターバル(TTI)において、物理レイヤは、1組のトランスポートブロック及び対応するトランスポートフォーマット識別子(Transport Format Indicator;TFI)を上位レイヤから受信する。
レイヤ1は、異なるトランスポートチャネルから受信されたTFI情報を結合させてトランスポートフォーマット結合識別子(Transport Format Combination Indicator;TFCI)とする。このTFCIは、トランスポートチャネルが現在の無線フレームにおいてアクティブとなっている受信器を通知するために、物理制御チャネルにより送信される。TFI情報によれば、符号化、変調及びサービスパラメータの質といったような適用された属性を取得することができる。
本実施形態では、送信された信号を推定するために、試験的なシンボルの決定値が利用される。本実施形態では、リピートされたシンボルの信号電力が、集められて、ノイズが平均化されている場合の検出にも用いられる。信号は、例えば循環符号化(リピティション符号化)(repetition coding)においてリピートすることができる。
本実施形態はブロック200から開始する。ブロック202において、循環符号化されたデータが受信される。
例えばパンクチャリングに加えてレートマッチングにおいて、循環符号化が用いられている。以下、送信器において実行される従来技術に係るレートマッチングの一例について、さらに詳細に説明する。
レートマッチングは、送信しようとするビット数を、個別物理チャネル(DPCH)上の単一のフレームにおいて利用可能なビット数にマッチングさせるために、用いられる。これは、パンクチャリング又は繰返し(リピティション;repetition)のいずれかによって達成される。各サービスについてのリピティション/パンクチャリングの量は、サービスの組み合わせ及びQoS(Quality of Service)要求に依存する。アップリンク方向では、通常はリピティションが好まれる。パンクチャリングは、典型的には、マルチコード送信を避けるために用いられるか、又は、ユーザ端末の送信器又は基地局の受信器に制限が生じるときに用いられる。
アップリンクのレートマッチングは、フレームごとに実行する(frame-by-frame)という原則によって変化しうる動的な動作である。例えば、2つのトランスポートチャネルのうちの1つがある瞬間についてゼロレート(zero-rate)を有している場合には、レートマッチングは、(拡散要素が同一のままであると仮定すると)すべてのアップリンクチャネルのシンボルが用いられる量にまで他のサービスのシンボルレートを増加させる。
レートマッチングは、問題となっているフレームにおけるアクティブなトラフィックチャネルのビット数を考慮する。RNCにおけるアドミッション制御(admission control)は、異なるトラフィックチャネル間における相対的なレートマッチングを制御するためのレートマッチング属性を設けている。このレートマッチング属性は、同一のフレームについて幾つかのトラフィックチャネルを多重するときにレートマッチング値を計算するために用いられる。
このレートマッチング属性及びトランスポートフォーマット結合識別子(TCFI)により、受信器は、用いられるレートマッチングパラメータを計算することができ、逆の動作(inverse operation)を実行することができる。レートマッチング属性を調整することにより、RNCのアドミッション制御は、すべてのサービスについてシンボル電力レベル要求に等しい値又はこれに近い値に到達するように、異なるサービスの質を適合させることができる。
ブロック204において、シンボル情報が、受信されレートマッチングされたデータから、典型的には、RAKE受信器を用いたシンボルレベル検出によって、生成される。いくつかのケースでは、MMSEタイプの受信器を用いることも可能である。
ブロック206において、所定の期間におけるシンボル情報が記憶される。このシンボル情報は、典型的にはバッファに記憶される。ブロック204において、検出されたシンボルは、どのシンボルが互いのコピー(繰り返された)であるかを見つけるために、主に逆リピティション(de-repetition)符号化のために記憶され、したがって、互いに結合することができるものである。繰り返されたシンボルは、必ずしも途切れのないシーケンスを形成するとは限らないが、互いに或る距離をおいて配置することができるものである。所定のバッファリング期間は、例えば、送信フレーム又は送信時間インターバル(TTI)とすることができる。
リピティション符号化されたブロック全体が受信された後、いくつかのリピティション機能、例えば、第2の逆インタリーブ、送信チャネル逆多重(de-multiplexing)及び逆レートマッチング(de-rate matching)といったような機能が、典型的には実行される。
UTRAN送信では、第2のインタリーブが、時にはインフラフレームインタリーブ(infra-frame interleaving)と称される無線フレームインタリーブを実行する。この第2のインタリーブを実行するインタリーバの出力から、物理チャネル上にビットがマッピングされる。
3GPPでは、標準的なレートマッチングが、各トランスポートチャネルについて別々に実行され、第2のインタリーブが、トランスポートチャネルの多重及びレートマッチングの後に実行される。したがって、3GPP標準が用いられる場合には、典型的には、逆インタリーブ、トランスポートチャネルの逆多重及び逆レートマッチングが、繰り返されたシンボルの位置を見付けるためのシンボル情報バッファリングの後に、受信器において実行される。これらの機能は、受信器の同一のブロックであって復号化処理において用いられるブロック以外のブロックを用いることにより、実行することができる。
3GPP以外のいくつかの他のシステムにおいても可能であり、繰り返されたシンボルの一を見つけるために、シンボル情報の記憶後、第2の逆インタリーブ、トランスポートチャネルの逆多重及び逆レートマッチングといった動作のうちの少なくとも1つを実行することが好ましい。
ブロック208において、記憶されたシンボル情報を結合することにより、試験的なシンボル決定値が生成される。1つのシンボルの1又はそれ以上のレプリカも存在しうる。所定の期間(典型的には、送信時間インターバル又は送信フレーム)についてシンボル情報が記憶されているので、繰り返されたシンボルの信号電力もまた、結合されて、決定動作において用いられる。換言すれば、繰り返されたシンボルは、S/N比を最大化するために結合される。このことが、試験的な決定値の質を向上させる。試験的なシンボル決定値は、送信されたデータの推定のために利用される。
1つの実施形態では、RAKEバンク(bank)を用いることにより、各ユーザについて試験的なシンボル決定値が生成される。チャネル推定は、典型的には、RAKEステージにおいても実行される。試験的な決定のための決定装置は、ソフト又はハードの決定装置とすることができる。決定装置は、例えば、ハードの決定値についてはサイン関数(sign functions)を用いることに基づくことができ、ソフトの決定値については双曲線サイン関数(hyperbolic sign function)を用いることに基づくことができる。このように、決定動作の信頼性が考慮に入れられる。
ゼロゾーン(zero zone)重み付け及び線形重み付けといったような重み付け手法も存在する。ゼロゾーン重み付けでは、決定変数が小さいときには、決定値は、−1又は+1ではなく0である。線形重み付けでは、決定変数が小さいときには、決定値は、決定変数に線形に従い、決定変数が−1又は+1であるときには、決定値は、信頼性のあるものと考えられる。
本実施形態は、ブロック210において終了する。矢印212は、本実施形態を繰り返す可能性を描いている。
図3において、上述したデータ送信方法に係るPIC受信器の1つの実施形態が示されている。当業者には、この受信器の構造が実装に従ってある程度の範囲にまで変更可能である、ということが明らかである。例えば、ユーザの数(RAKEブランチの数)は変化するものとすることができる。本実施形態は、明確化を目的として、2つのユーザのみについて描かれている。いくつかのRAKE受信器の構造は、RAKEバンク(bank)とも称される。
ブロック300は、第1のユーザのRAKE受信器を含む。RAKE受信器のブロック300は、典型的には、ユーザデータを逆拡散及び積分するためのコード生成器及び相関器を含む。RAKE受信器のブロック300は、典型的には、チャネル推定器及びチャネル補償器をも含む。チャネル推定を実行するチャネル推定器は、パイロットシンボルに基づいて、チャネル状態を推定する。チャネル補償器は、チャネル推定の複素共役をシンボルに乗ずることにより、チャネルの影響(channel effects)を補償する。RAKE結合器は、チャネル補償がされたシンボルの総和を取り、これにより、フェージングに対するマルチパスダイバーシティをもたらす。RAKE受信器は、通常、チャネルの現在のマルチパス遅延プロファイルを決定し更新するための、マッチドフィルタを含む。
本発明の実施形態に係るRAKE受信器のブロックは、図2に示した実施形態に係る試験的なシンボル決定値を生成するための手段をも含む。したがって、RAKE受信器のブロック300はまた、例えば、メモリ構成要素と、シンボル情報を生成するための手段と、を含む。この例では、チャネル推定は、RAKEステージにおいて実行される。
RAKE受信器のブロック302は、第2のユーザのためのものである。
試験的なシンボル決定値が、チャネル推定に関する多重アクセス干渉(MAI)推定ブロック304、306において用いられる。MAI推定器304、306は、受信された広帯域の信号の推定値(すなわち、チャネル推定値を乗ぜられた後、再拡散され総和を取られた、試験的なシンボル決定値)を計算する。MAI推定値は、総和構成要素308、310に送られて、第1のユーザの信号からのMAI推定値が、第2のユーザの第2のRAKEステージについてより信頼性のある信号を取得するために、受信された信号から差し引かれる。第2のユーザの信号から生成されたMAI推定値は、第1のユーザの第2のRAKEステージについてより信頼性のある信号を取得するために、受信された信号から差し引かれる。
実際には、1つの広帯域信号のみを第2のステージに送らなければならないような残余の構造(residual structure)が、ユーザ固有の広帯域信号が第2のステージに送られるような上述した原則的な構造に代えて用いられる。よって、残余の構造は、バスリソースをより経済的に利用する。
第2のRAKEステージブロック312、314は、典型的には、ユーザデータを逆拡散して積分するためのコード生成器及び相関器を含む。実際には、第2のステージのRAKE受信器は、通常、チャネル推定動作又はインパルス応答測定動作を含まない。RAKE結合器は、チャネル補償がされたシンボルの総和を取り、これにより、フェージングに対するマルチパスダイバーシティをもたらす。RAKE受信器は、通常、チャネルの現在のマルチパス遅延プロファイルを決定し更新するためのマッチドフィルタを含む。
逆インタリーブブロック316、318及び復号化ブロック320、322が存在しており、これらの後には、両方のユーザ信号について、干渉が除去された最終的なビット決定値が得られる。マルチステージ干渉除去受信器を用いることも可能である。このような受信器の一例を図4に表現されている。当業者には、この受信器の構造が実装に従ってある程度にまで変化しうる、ということが明らかである。例えば、ステージの数は変化するものとすることができる。
受信された信号は、第1の最大比合成(MRC)及びシンボル情報ブロック400に送られ、ここで、チャネルの影響が補償される。チャネル補償の後に得られたシンボルは、総和をとって、遅延位置間のエネルギー(energy across delay positions)を回復することができる。
本発明の実施形態に係るMRCブロック400はまた、図2に示した実施形態に係る第1の試験的なシンボル決定値を生成するための手段を含む。したがって、MRCブロック400はまた、例えば、メモリ構成要素と、シンボル情報を生成するための手段と、をも含む。この例では、チャネル推定は、MRCステージにおいて実行される。
第1の試験的なシンボル決定値が、チャネル推定に関する第1の多重アクセス干渉推定ブロック402において用いられる。MAI推定器402は、受信された広帯域信号の推定値(すなわち、チャネル推定値を乗ぜられた後、再拡散され総和が取られた試験的なシンボル決定値)を計算する。MAI推定値は、第1の干渉除去ブロック404に送られる。
第1の干渉除去ブロック404の後には、第2のMRC推定ブロック及びシンボル情報ブロック406、第2のMAI推定ブロック408、第2の干渉除去ブロック410が続いており、受信された信号がこれらに対して送られる。第2の試験的な決定値は、チャネル推定に関する第2のMAI(多重アクセス干渉)推定ブロック408に送られる。MAI推定値は、第2の干渉除去ブロック410に送られる。第2のステージの後、この例では、第3のMRCステージ412(シンボル情報生成手段のない)、逆インタリーブブロック414、及び、復号化ブロック416が存在しており、これらの後には、干渉が除去された最終的なビット決定値が得られる。
本発明の実施形態についての開示された機能は、好ましくは、ソフトウェア手段によって実装することができるものである。他の実装手法、例えば、別々のロジック構成要素による回路、又は、1又はそれ以上のクライアント仕様の集積回路(特定用途向けIC;ASIC)等の様々なハードウェア実装もまた可能である。これらの実装を混ぜ合わせることもまた実行可能である。
以上のように添付図面に係る一例を参照して発明を説明してきたが、本発明は、こういった例に限定されず、添付した特許請求の範囲の技術的範囲内において幾つかの方法により変更することが可能なものである、ということが明らかである。