JP2008309254A - トロイダル型無段変速機の組み立て方法およびトロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受の内輪を動力伝達部材に圧入する圧入工程と、軸受の外輪をハウジングの軸孔に挿入する挿入工程とを、異なる時期におこなうことの可能なトロイダル型無段変速機の組み立て方法を提供する。
【解決手段】動力伝達部材11を用意し、内輪23,26及び外輪24,27の間に転動体25,28を介在させた軸受21,22を用意し、外輪24,27を保持する支持機構29を用意し、内輪23,26を動力伝達部材11の外周に圧入する圧入工程と、外輪24,27を支持機構29の軸孔33,34に挿入する挿入工程と、外輪24,27に軸線A1に沿った方向の荷重を与えて予圧を付与する予圧付与工程とをおこなうトロイダル型無段変速機の組み立て方法において、支持機構29とは別部品として構成され、かつ、外輪24,27に荷重を与える荷重付与部材37を用意し、圧入工程をおこなった後に挿入工程をおこなう。
【選択図】図1
【解決手段】動力伝達部材11を用意し、内輪23,26及び外輪24,27の間に転動体25,28を介在させた軸受21,22を用意し、外輪24,27を保持する支持機構29を用意し、内輪23,26を動力伝達部材11の外周に圧入する圧入工程と、外輪24,27を支持機構29の軸孔33,34に挿入する挿入工程と、外輪24,27に軸線A1に沿った方向の荷重を与えて予圧を付与する予圧付与工程とをおこなうトロイダル型無段変速機の組み立て方法において、支持機構29とは別部品として構成され、かつ、外輪24,27に荷重を与える荷重付与部材37を用意し、圧入工程をおこなった後に挿入工程をおこなう。
【選択図】図1
Description
この発明は、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを介在させた無段変速部を2組有するトロイダル型無段変速機およびその組み立て方法に関するものである。
従来、車両、運搬機械、産業機械などにおいて、動力源から出力されたトルクの伝達経路に設けられる変速機として、トロイダル型無段変速機が知られている。このトロイダル型無段変速機の組み立て方法の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたトロイダル型無段変速機は、入力ディスクおよび出力ディスクの間にパワーローラを介在させた無段変速部を2組有する無段変速機、つまり、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機である。このトロイダル型無段変速機は、円筒部材と一体回転する2個の出力ディスクが設けられており、2個の出力ディスクは円筒部材に対して、軸線方向に移動可能である。また、円筒部材の外周には出力歯車が連続して形成されており、円筒部材の外周における2個の出力ディスクの間、具体的には出力歯車の両側には、アンギュラ軸受が2個設けられている。
アンギュラ軸受けは内輪と外輪との間に転動体を介在させたものであり、内輪は円筒部材に圧入され、外輪は中間壁の軸孔に挿入される構成を有している。そして、ボルト形状の予圧付与治具の軸部を円筒部材内に挿入し、軸部にナットを取り付けて締め付けると、ナットおよび予圧付与治具の頭部により、前記2個の出力ディスクが軸線に沿った方向で挟み付けられる。すると、出力ディスクが、アンギュラ軸受の内輪に押し付けられる一方、内輪に伝達された荷重は転動体を経由して外輪に伝達され、その外輪に伝達された荷重は中間壁で受け止められる。このようにして、転動体を外輪及び内輪に押し付ける予圧が付与される。なお、アンギュラ軸受に関する発明は、特許文献2ないし4にも記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているトロイダル型無段変速機の組み立て方法においては、アンギュラ軸受に予圧を付与する場合に、アンギュラ軸受の内輪を円筒部材の外周に圧入する工程と、アンギュラ軸受の外輪を中間壁の軸孔に挿入する工程とを同時におこなう必要があり、組み立て作業が複雑になる虞があった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、軸受の内輪を動力伝達部材に圧入する圧入工程と、軸受の外輪をハウジングの軸孔に挿入する挿入工程とを、異なる時期におこなうことの可能なトロイダル型無段変速機の組み立て方法およびトロイダル型無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、パワーローラを挟持するディスクが一体回転可能に取り付けられる動力伝達部材を用意し、内輪および外輪の間に転動体を介在させた軸受を用意し、前記外輪を保持する支持機構を用意するとともに、前記内輪を前記動力伝達部材の外周に圧入する圧入工程と、前記外輪を前記支持機構の軸孔に挿入する挿入工程と、前記外輪に軸線に沿った方向の荷重を与えることにより、前記転動体を外輪および内輪に押し付ける予圧を付与する予圧付与工程とをおこなうトロイダル型無段変速機の組み立て方法において、前記支持機構とは別部品として構成され、かつ、前記外輪に荷重を与える荷重付与部材を用意し、前記圧入工程をおこなった後に前記挿入工程をおこなうとともに、前記圧入工程が開始されてから、前記挿入工程が終了するまでの間に、前記予圧付与工程をおこなうことを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動力伝達部材に駆動歯車が形成され、前記軸受が2個用意されるとともに、前記圧入工程で、2個の軸受の内輪は、前記軸線に沿った方向で前記駆動歯車の両側に圧入されるとともに、前記予圧付与工程では、前記軸線に沿った方向で2個の軸受の外輪により前記荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で前記2個の軸受の外輪同士を、前記軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられることを特徴とするものである。
前記予圧付与工程では、前記軸線に沿った方向で2個の軸受の外輪により前記荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で前記2個の軸受の外輪同士を、前記軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記軸線に沿った方向で2分割され、かつ、それぞれ軸孔を有する構成片を備えた支持機構を用意するとともに、前記挿入工程では、前記2個の軸受の外輪が、前記2個の構成片の軸孔にそれぞれ挿入されることを特徴とするものである。
請求項4発明は、パワーローラとの間で動力伝達をおこなうディスクが一体回転可能に取り付けられる動力伝達部材と、この動力伝達部材の外周に圧入される内輪を有し、かつ、この内輪と外輪との間に転動体を介在させた軸受と、前記外輪が挿入される軸孔を有する支持機構とを備えており、前記外輪に軸線に沿った方向の荷重が与えられて、前記転動体を外輪および内輪に押し付ける予圧が付与されている構成のトロイダル型無段変速機において、前記支持機構とは別部品として構成され、かつ、前記外輪に荷重を与える荷重付与部材を備えていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記ディスクが出力ディスクであり、動力源の動力が伝達され、かつ、出力ディスクと同軸上に配置される入力ディスクが設けられており、この入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラが挟持される構成を有しており、これらの入力ディスクおよび出力ディスクおよびパワーローラを有する無段変速部が2組設けられており、前記動力伝達部材に駆動歯車が形成され、前記軸受は、前記軸線に沿った方向で前記駆動歯車の両側に取り付けられる2個の軸受であるとともに、前記2個の軸受の外輪により前記荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で前記2個の軸受の外輪同士を、前記軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられるように構成されていることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の構成に加えて、前記支持機構は、前記軸線に沿った方向に2分割され、かつ、それぞれ軸孔を有する2個の構成片を備えているとともに、前記2個の軸受の外輪が、前記2個の構成片の軸孔にそれぞれ挿入されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項5または6の構成に加えて、前記荷重付与部材は前記軸線を中心として環状に構成されており、前記荷重付与部材には、前記駆動歯車に噛合する従動歯車が配置される開口部が形成されていることを特徴とするものである。
請求項1または4の発明によれば、内輪を前記動力伝達部材の外周に圧入する圧入工程と、外輪と支持機構の軸孔とを芯合わせし、かつ、外輪を軸孔に挿入する挿入工程と、外輪に軸線に沿った方向の荷重を与えることにより、転動体を外輪及び内輪に押し付ける予圧を付与する予圧付与工程とがおこなわれる。また、圧入工程をおこなった後に挿入工程がおこなわれ、圧入工程が開始されてから、圧入工程が終了するまでの間に、予圧付与工程をおこなう。したがって、圧入工程と挿入工程とを異なる時刻、もしくは異なるタイミングでおこなうことができ、トロイダル型無段変速機の組み付け作業を簡略化できる。
請求項2の発明によれば請求項1の発明と同様の効果を得られ、請求項5の発明によれば請求項4の発明と同様の効果を得られる他に、請求項2または5の発明によれば、圧入工程で、2個の軸受の内輪が、軸線に沿った方向で駆動歯車の両側に圧入される。また、予圧付与工程では、軸線に沿った方向で2個の軸受の外輪により荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で2個の軸受の外輪同士を、軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られ、請求項6の発明によれば請求項5の発明と同様の効果を得られる他に、請求項3または6の発明によれば、挿入工程では、2個の軸受の外輪が、2個の構成片の軸孔にそれぞれ挿入される。
請求項7の発明によれば、請求項5または6の発明と同様の効果を得られる他に、駆動歯車と従動歯車が噛合され、この従動歯車の一部が開口部に配置される。したがって、従動歯車の回転が荷重付与部材により阻害されることを防止できる。
この発明のトロイダル型無段変速機は、車両、産業機械、工作機械、運搬機械、建設機械などに用いることができる。この発明において、トロイダル型無段変速機の入力軸には動力源の動力が伝達される。動力源は、被駆動部材に伝達する動力を発生する装置であり、動力源としては、エンジン、電動機、油圧モータ、フライホイールなどが挙げられる。被駆動部材とは、車両における車輪、工作機械における刃物などが挙げられる。この発明において、ディスクおよび動力伝達部材は軸線を中心として回転可能に配置される。前記動力伝達部材は、ディスクの動力を他の回転要素に伝達する機構もしくは要素であり、動力伝達部材には、例えば、回転軸または回転軸に取り付けられる円筒部材、スリーブなどが含まれる。この発明においては、ディスクとパワーローラとが潤滑油を介在させた状態で潤滑油がガラス遷移化し、トラクション伝動によりディスクとパワーローラとの間で動力伝達がおこなわれる。さらに、この発明におけるディスクは、動力の伝達方向において、パワーローラよりも上流に配置される入力ディスク、または、パワーローラよりも下流に配置される出力ディスクのいずれであってもよい。また、支持機構は、軸受を介して動力伝達部材を支持する機構であり、支持機構は動力伝達部材を、軸線を中心として半径方向に位置決めする機構である。この支持機構としては、フレーム形状、枠組み形状、トラス構造、ブロック形状などが挙げられる。この発明における軸受は、自動調心機能を備えていないアンギュラ軸受である。
この発明における動力伝達部材は、出力ディスクと一体回転可能に設けられる動力伝達部材であり、動力伝達部材に軸受が取り付けられる。荷重付与部材は、支持機構とは別部品として構成される。すなわち、トロイダル型無段変速機の製造過程において、別の工程で、かつ、別の材料で製造・加工されたものである。なお、製造工程は同じ時間または異なる時間のいずれでもよい。この発明において、荷重付与部材は外力により弾性変形し、その反力(弾性復元力)で予圧を発生させる機構であり、荷重付与部材としては、例えば金属材料を用いることが可能である。また、荷重付与部材は、単一の部品で構成されていてもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。ここで、荷重付与部材を複数の部品で構成する場合、軸線に沿った方向に分割された複数の部品を用いることが可能である。また、荷重付与部材を複数の部品で構成する場合、軸線を中心とする円周方向に分割された複数の部品を用いることも可能である。この発明において、動力源からの動力の伝達経路で、上流に駆動歯車が配置され、その下流に従動歯車が配置される。各歯車は「平歯車」または「はすば歯車」のいずれでもよい。この発明において、軸孔は軸受の外輪を配置するための構成(空間)である。
(具体例1)
つぎに、トロイダル型無段変速機1の具体例1を、図2に基づいて説明する。この図2には、トロイダル型無段変速機1が組み立て完了状態で模式的に示されている。このトロイダル型無段変速機1は、例えば、車両の駆動力源(図示せず)から車輪(図示せず)に至る動力伝達経路に配置される。ここで、駆動力源は、車輪に伝達される動力を出力する装置であり、動力の発生原理が異なる複数種類の駆動力源、または単数の駆動力源のいずれでもよい。用いることの可能な駆動力源としては、内燃機関(エンジン)、電動機、モータ・ジェネレータ、油圧モータ、フライホイールシステムなどが挙げられる。トロイダル型無段変速機1は、ケーシング2の内部に配置されており、軸線A1を中心として回転可能な入力軸3を有している。前記軸線A1は水平に配置されており、前記駆動力源の動力が駆動軸4を経由して入力軸3に伝達されるように構成されている。また、駆動軸4および入力軸3は同軸上に配置されている。前記入力軸の外周には、2個の入力ディスク5および2個の出力ディスク6が取り付けられている。入力ディスク5にはトロイダル面7が形成され、出力ディスク6にはトロイダル面8が形成されている。
つぎに、トロイダル型無段変速機1の具体例1を、図2に基づいて説明する。この図2には、トロイダル型無段変速機1が組み立て完了状態で模式的に示されている。このトロイダル型無段変速機1は、例えば、車両の駆動力源(図示せず)から車輪(図示せず)に至る動力伝達経路に配置される。ここで、駆動力源は、車輪に伝達される動力を出力する装置であり、動力の発生原理が異なる複数種類の駆動力源、または単数の駆動力源のいずれでもよい。用いることの可能な駆動力源としては、内燃機関(エンジン)、電動機、モータ・ジェネレータ、油圧モータ、フライホイールシステムなどが挙げられる。トロイダル型無段変速機1は、ケーシング2の内部に配置されており、軸線A1を中心として回転可能な入力軸3を有している。前記軸線A1は水平に配置されており、前記駆動力源の動力が駆動軸4を経由して入力軸3に伝達されるように構成されている。また、駆動軸4および入力軸3は同軸上に配置されている。前記入力軸の外周には、2個の入力ディスク5および2個の出力ディスク6が取り付けられている。入力ディスク5にはトロイダル面7が形成され、出力ディスク6にはトロイダル面8が形成されている。
さらに、図2に示す例では、軸線A1に沿った方向で所定間隔をおいて2個の入力ディスク5が配置されている。さらに、軸線A1に沿った方向で、2個の入力ディスク5同士の間に、2個の出力ディスク6が配置されている。そして、トロイダル面7とトロイダル面8とが向き合うように設けられている。前記入力ディスク5は環状に構成されており、入力ディスク5の軸孔9に入力軸3が挿入されるとともに、入力ディスク5と入力軸3とが一体回転するように連結、例えばスプライン結合により連結されている。つまり、前記入力軸3と入力ディスク5とが、軸線A1に沿った方向に相対移動可能に構成されているとともに、軸線A1を中心とする半径方向(以下、「半径方向」と略記する)で相対的に位置決めされている。そして、入力軸3、より具体的には軸線A1に沿った方向における入力軸3の一端部と、ケーシング2との間に軸受10が設けられており、この軸受10により、入力軸3が回転可能に支持されている。この軸受10は、ラジアル荷重を受ける機能を備えている。
また、前記軸線A1に沿った方向で、前記入力ディスク5同士の間にスリーブ(動力伝達部材)11が配置されており、そのスリーブ11の軸孔12に入力軸3が配置されている。そして、2個の出力ディスク6がスリーブ11と一体回転するように接続、例えばスプライン結合、またはセレーション結合されている。図1は、後述するアンギュラ軸受が取り付けられたスリーブ11の構成を示す断面図であり、軸線A1に沿った方向でスリーブ11の両端には外歯13が形成されている。そして、出力ディスク6の内周に形成された内歯(図示せず)が外歯13に噛合されて、出力ディスク6がスリーブ11と一体回転するように連結されている。そして、出力ディスク6は、スリーブ11に対して軸線A1に沿った方向に相対移動可能である。また、軸線A1に沿った方向で、出力ディスク6の一部はスリーブ11の配置領域から外れており、そのスリーブ11の配置領域から外れた部分に相当する出力ディスク6と入力軸3との間にニードル軸受100が介在されている。
さらに、このスリーブ11の外周に連続して外向きフランジ14が形成されており、その外向きフランジ14の外周に歯車15が形成されている。具体的には、前記軸線A1に沿った方向で、前記外歯13同士の間に外向きフランジ14が形成されている。また、スリーブ11の外周には、全周に亘って圧入面17,18が形成されている。この圧入面17,18は、後述する軸受の内輪が圧入される部位であり、圧入面17と圧入面18とが、軸線A1に沿った方向で異なる位置に配置されている。具体的には、軸線A1に沿った方向で、前記外向きフランジ14と、一方の外歯13との間に圧入面17が配置され、前記外向きフランジ14と、他方の外歯13との間に圧入面18が配置されている。また、スリーブ11の外周における圧入面17と外向きフランジ14との間には、段部19が形成されている。この段部19は、スリーブ11の全周に亘って形成されている。つまり、段部19は、軸線A1に対して垂直な端面である。さらに、スリーブ11の外周における圧入面18と外向きフランジ14との間には、段部20が形成されている。この段部20は、スリーブ11の全周に亘って形成されている。つまり、段部20は、軸線A1に対して垂直な端面である。
そして、スリーブ11を回転可能に支持する軸受として、2個のアンギュラ軸受21,22が2個設けられている。このアンギュラ軸受21,22は、軸線A1に沿った方向で異なる位置に配置されている。具体的には、圧入面17にアンギュラ軸受21が取り付けられ、圧入面18にアンギュラ軸受22が取り付けられている。一方のアンギュラ軸受21の構成を具体的に説明すると、環状の内輪23と、この内輪23の外側を取り囲むように配置された環状の外輪24と、内輪23と外輪24との間に転動可能に配置された転動体25とを有している。他方のアンギュラ軸受22の構成を具体的に説明すると、環状の内輪26と、この内輪26の外側を取り囲むように配置された環状の外輪27と、内輪26と外輪27との間に転動可能に配置された転動体28とを有している。転動体25,28はボールまたはローラのいずれでもよい。このアンギュラ軸受21,22は、外径及び内径が同一に構成されている。そして、内輪23が圧入面17に圧入され、内輪26が圧入面18に圧入されている。つまり、内輪23と圧入面17とが「しまり嵌め」で固定され、内輪26と圧入面18とが「しまり嵌め」で固定されている。また、内輪23が圧入面17に圧入された状態で、内輪23の一方の端面が、スリーブ11の段部19に接触している。さらに、内輪26が圧入面18に圧入された状態で、内輪26の端面が、スリーブ11の段部20に接触している。
一方、ケーシング2には中間壁29が固定、具体的にはボルトの締め付けなどにより固定されている。この中間壁29は、前記軸線A1に沿った方向で前記出力ディスク6同士の間に配置されている。この中間壁29は、板形状の壁片30,31を2枚重ね合わせてその間に空間32を形成したものである。また、壁片30には軸孔33が形成されており、この軸孔33内に外輪24が配置されている。壁片30と外輪24との嵌め合いは「高精度のすきま嵌め」である。つまり、外輪24は壁片30により支持されて、半径方向に位置決めされているとともに、外輪24と壁片30とが、軸線A1に沿った方向に相対移動可能に構成されている。また、壁片31には軸孔34が形成されており、軸孔33,34は内径が同一に構成されている。さらに軸孔33,34は同軸上に配置されている。そして、この軸孔34内に外輪27が配置されている。壁片31と外輪27との嵌め合いは「高精度のすきま嵌め」である。つまり、外輪27は壁片31により支持されて、半径方向に位置決めされているとともに、外輪27と壁片31とが、軸線A1に沿った方向に相対移動可能に構成されている。
さらに、前記外輪24の外周には、全周に亘って切欠部35が形成されており、前記外輪27の外周には、全周に亘って切欠部36が形成されている。この切欠部35,36は、軸線A1を中心として同一円周上に配置されている。切欠部35,36の最小径は、歯車15の外径よりも大きく構成されている。また、前記空間32内にはリング37が配置されている。このリング37は、前記外輪24,27に対して、軸線A1に沿った方向の荷重を与える部品であり、金属材料を環状に一体成形したものである。前記壁片30には係止溝38が設けられている。そして、図6に示すように、リング37の外周には回り止め39が形成されており、回り止め39が係止溝38内に配置されている。このように、トロイダル型無段変速機1の組み立てが完了した状態では、リング37と中間壁29とが相対回転することを防止している。前記切欠部35,36はリング37を保持する機構である。すなわち、前記リング37は軸線A1に沿った方向に延ばされた円筒部40を有しており、軸線A1に沿った方向で、円筒部40の両端が切欠部35,36に配置されている。円筒部40における両端の内径は、切欠部35,37の最小径よりも大きく構成され、かつ、外輪24,27の外径よりも小さく構成されている。
そして、アンギュラ軸受21を圧入面17に取り付け、かつ、アンギュラ軸受22を圧入面18に取り付けた状態において、アンギュラ軸受21においては、外輪24と転動体24との接触点B1と、内輪23と転動体25との接触点B2が、軸線A1に沿った方向で異なる位置に形成される。また、アンギュラ軸受21においては、外輪27と転動体28との接触点C1と、内輪26と転動体28との接触点C2が、軸線A1に沿った方向で異なる位置に形成される。また、接触点B1と接触点B2とを結ぶ線分(直線)B3と、接触点C1と接触点C2とを結ぶ線分(直線)C3との関係を説明すると、軸線A1に沿った方向の平面内で、線分B3,C3同士は非平行となっている。具体的には、アンギュラ軸受21,22の外周側であるほど、線分B3と線分C3との距離が短くなる向きに、線分B3と軸線A1とのなす角度、線分C3と軸線A1とのなす角度が決定されている。つまり、線分B3と軸線A1とのなす角度は直角ではなく、線分C3と軸線A1とのなす角度は直角ではない。なお、線分B3と線分C3との距離は、軸線A1に沿った方向の距離を意味している。
そして、アンギュラ軸受21,22は自動調心機能を有していないため、次のようにして予圧が付与される。アンギュラ軸受21,22がスリーブ11に固定されて、軸線A1に沿った方向で、外輪24,27から円筒部40を挟み付ける荷重が加えられると、この荷重により、前記リング37が弾性変形するとともに、リング37に加えられた荷重の反力が生じる。すると、軸線A1に沿った方向で、外輪24と外輪27とを相互に離れさせる向きの荷重が生じて、アンギュラ軸受21では、転動体25が内輪23及び外輪24に押し付けられ、アンギュラ軸受22では、転動体28が内輪26及び外輪27に押し付けられる。このようにして、アンギュラ軸受21,22で予圧が発生する。また、リング37の反力で外輪24,27に荷重が伝達された場合に、その外輪24に伝達された荷重が転動体25を経由して内輪23に伝達され、かつ、外輪27に伝達された荷重が転動体28を経由して内輪26に伝達された場合に、内輪23,26がスリーブ11で軸線A1に沿った方向に摺動することのない摩擦力を確保できるように、内輪23,36とスリーブ11との嵌め合い寸法が構成されている。
一方、円筒部40には、円周方向の一部を円弧状に切り欠いた開口部41が設けられている。この開口部41は、リング37を半径方向に貫通している。このように、リング37は、図1において、回り止め39を通過する線分(図示せず)を中心として線対称に構成されている。なお、前記線分は、図1において軸線A1と直交する。さらに、ケーシング2の内部には出力軸42が設けられており、その出力軸42は、ケーシング2に取り付けられた軸受43、および中間壁29に取り付けられた軸受44により回転可能に支持されている。この出力軸42と一体回転する歯車45が設けられており、この歯車45が前記空間32に配置されている。この歯車45は、回転・停止に関わりなく、その一部が開口部41を通過してリング37内に到達しており、歯車15,45同士が噛合されている。このようにして、入力軸3と出力軸42とが歯車伝動装置により動力伝達可能に接続されている。また、出力軸42は、終減速機(図示せず)を介して車輪(図示せず)に動力伝達可能に連結されている。
一方、前記入力ディスク5および出力ディスク6の間には、パワーローラ46が配置されている。このパワーローラ46は円板形状に構成されており、中心線(図示せず)を基準として回転可能に、かつ、前記軸線A1と平行な平面に沿って直線状に往復移動可能となるように、支持機構であるトラニオン(図示せず)により支持されている。このトラニオンは、前記平面における回転中心線を中心として回転(傾転)可能である。このようにして、1個の入力ディスク5および1個の出力ディスク6およびパワーローラ46を1組とする無段変速部(バリエータ)47が、2組形成されている。つぎに、入力ディスク5および出力ディスク6に対するパワーローラ46の接触圧力を制御する機構について説明する。前記入力軸3の外周において、前記軸受10と1個の入力ディスク5との間には、ストッパ48が取り付けられている。このストッパ48は、入力ディスク5に伝達される軸線A1に沿った方向の荷重を受ける機構であり、ストッパ48は入力軸3に対して、軸線A1に沿った方向には移動不可能に固定されている。
さらに、前記駆動軸4の端部には加圧機構49が設けられている。この加圧機構49は、前記2個の入力ディスク5および2個の出力ディスク6に対して軸線A1に沿った方向の荷重を与える機構であり、加圧機構49としては、油圧により荷重を発生させるアクチュエータ、空気圧により荷重を発生させるアクチュエータ、カム機構により荷重を発生させるアクチュエータなどを用いることができる。この実施例では、加圧機構49から、図2で左側に示された入力ディスク5に対して軸線A1に沿った方向の荷重が加えられるように構成されている。この入力ディスク5に加えられた荷重は、図2の左側に示すパワーローラ46を経由して、図2で左側に示された出力ディスク6に伝達される。この出力ディスク6に伝達された荷重は、スリーブ11を経由して、図2で右側に示された出力ディスク6に伝達される。この出力ディスク6に伝達された荷重は、図2で右側に示されたパワーローラ46を介して、図2で右側に示された入力ディスク5に伝達される。この入力ディスク5に伝達された荷重は、前記ストッパ48および入力軸3を経由して軸受10に伝達され、その軸受10に伝達された荷重がケーシング2で受け止められる。
上記のトロイダル型無段変速機1における動力の伝達原理、およびトロイダル型無段変速機1における変速比の制御について説明する。前記トロイダル面7,8にはトラクションオイル(潤滑油)が供給される。また、エンジンまたは電動機などの駆動力源のトルクが、駆動軸4を経由して入力軸5に伝達される。さらに、前記加圧機構49により、入力ディスク5および出力ディスク6に対して軸線A1に沿った方向の荷重が加えられ、入力ディスク5および出力ディスク6に対するパワーローラ46の接触圧力が高められる。すると、トラクションオイルが加圧されることによりガラス遷移化し、それに伴う大きい剪断力によって、入力ディスク5の動力がパワーローラ46を経由して出力ディスク6に伝達される。出力ディスク6のトルクは、歯車15,45を経由して出力軸42に伝達される。その出力軸42のトルクは車輪に伝達される。上記のようなトルクの伝達時において、軸受21,22によりスリーブ11が支持される。また、パワーローラ46を軸線A1と平行な平面に沿って直線状に動作させることにより、パワーローラ46とトロイダル面7,8との接触点でサイドスリップ力が生じて、パワーローラ46が傾転する。このようにして、パワーローラ46と入力ディスク5との接触点の半径と、出力ディスク6とパワーローラ46との接触点の半径とに応じて、各ディスク5,6の回転数(回転速度)が異なり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
次に、図1および図2に示されたトロイダル型無段変速機1の組み立て方法を、図3ないし図5に基づいて説明する。まず、歯車15が形成されたスリーブ11を用意し、かつ、アンギュラ軸受21を別個に用意する。この時点では、スリーブ11に対してアンギュラ軸受21は取り付けられていない。そして、スリーブ11とアンギュラ軸受21とを同軸上に配置するとともに、軸線A1に沿った方向に相対移動させて近づけ、図3に示すように、アンギュラ軸受21の内輪23を、スリーブ11の圧入面17に圧入し、内輪23の端面が段部19に接触した時点で、スリーブ11に対するアンギュラ軸受21の取り付け工程が終了する。
そして、アンギュラ軸受21の外輪24とリング37とを同軸上に配置する。ついで、リング37を軸線A1に沿った方向で外輪24に近づけ、図4に示すように、リング37を切欠部35に取り付ける。さらに、アンギュラ軸受22を用意し、アンギュラ軸受22とスリーブ11とを同軸上に配置する。そして、アンギュラ軸受22をスリーブ11に近づけるように、軸線A1に沿った方向に相対移動させ、図5に示すように、アンギュラ軸受22の内輪26を、スリーブ11の圧入面18に圧入する。このようにして、内輪26を圧入面18に圧入する過程で、リング37が切欠部36に取り付けられる。また、内輪26の端面が段部20に接触する前の段階で、外輪24,27によりリング37の円筒部40が挟み付けられ、軸線A1に沿った方向の圧縮荷重が加えられる。そして、内輪26の端面が段部20に接触した時点で、スリーブ11に対するアンギュラ軸受22の取り付け工程が終了する。
このようにして、アンギュラ軸受21,22が共にスリーブ11に取り付けられた状態において、リング37には軸線A1に沿った方向の荷重が加えられており、その荷重によりリング37が弾性変形し、その反力で外輪24,27の間隔を拡大する向きで、外輪24,27に対して軸線A1に沿った方向の押し付け力が生じる。このような原理により、アンギュラ軸受21,22で予圧が発生する。このように、スリーブ11に対して、アンギュラ軸受21,22を組み付け、かつ、アンギュラ軸受21,22にリング37を取り付けたサブアッセンブリ(中間組立体)が組み立てられる。その後、壁片30,31を用意し、その壁片30,31を軸線A1に沿った方向に近づけて、図1に示すように、軸孔33内にアンギュラ軸受21を位置させ、軸孔34内にアンギュラ軸受22を位置させる。また、前記歯車15と歯車45とを噛合させるとともに、壁片30,31同士をボルト(図示せず)などで固定する。ついで、壁片30,31をケーシング1に固定して、トロイダル型無段変速機1の組み立て工程が完了する。
このように、図1ないし図5に示されたトロイダル型無段変速機1およびその組み立て方法において、内輪23,26を共にスリーブ11に圧入する工程が「圧入工程」である。また、軸孔33内に外輪24を挿入し、かつ、軸孔34内に外輪27を挿入する工程が「挿入工程」である。この挿入工程では、軸孔と外輪とが、高精度にすきま嵌めされる。また、内輪23の圧入工程が開始されてから、内輪26の圧入工程が終了するまでの間に、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する。このように、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する工程が、「予圧付与工程」である。この予圧付与工程において、外輪24,27とリング37との嵌め合い関係は、「低精度のすきま嵌め」である。このように、圧入工程と挿入工程とを異なる時期におこなうことができ、トロイダル型無段変速機1の組み付け作業を簡略化できる。また、トロイダル型無段変速機1の組み立てが完了した場合は、歯車45の一部が開口部36に配置される。したがって、歯車45の回転が阻害されることを防止できる。また、回り止め39によりリング37の回転が防止されているため、歯車45とリング37とが接触することを確実に防止できる。
この具体例1で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、トロイダル型無段変速機1が、この発明のトロイダル型無段変速機に相当し、軸線A1が、この発明の軸線に相当し、出力ディスク6が、この発明のディスクおよび出力ディスクに相当し、入力ディスク5が、この発明の入力ディスクに相当し、パワーローラ27が、この発明のパワーローラに相当し、無段変速部47が、この発明の無段変速部に相当し、スリーブ11が、この発明の動力伝達部材に相当し、内輪23,26がこの発明の内輪に相当し、外輪24,27がこの発明の外輪に相当し、転動体25,28が、この発明の転動体に相当し、アンギュラ軸受21,22が、この発明の軸受に相当し、中間壁29が、この発明の支持機構に相当し、リング37が、この発明の荷重付与部材に相当し、歯車15が、この発明の駆動歯車に相当し、歯車45が、この発明の従動歯車に相当し、壁片30,31が、この発明の構成片に相当し、軸孔33,34が、この発明に軸孔に相当し、開口部41が、この発明の開口部に相当する。
(具体例2)
つぎに、アンギュラ軸受21,22に予圧を与える荷重付与部材の他の具体例を、図7に基づいて説明する。図7は、トロイダル型無段変速機1の組み立てが完了した状態における部分的な断面図である。この具体例2の構成において、具体例1の場合と同様の構成部分については、具体例1と同じ符号を付してある。この具体例2においては、リング37が、円筒部40と、円筒部40における軸線A1に沿った方向の一端に連続して形成された内向きフランジ部50とを有している。この内向きフランジ部50は、壁片30の内部に配置されており、内向きフランジ部50の内周端が、外輪24の切欠部35に配置されている。また、軸線A1に沿った方向で、円筒部40における他方の端部には切欠部51が形成されている。この切欠部51は、軸線A1を中心として環状に構成されている。また、円筒部40における切欠部51が形成された部分の内径は、歯車15の外径よりも大きく構成されている。
つぎに、アンギュラ軸受21,22に予圧を与える荷重付与部材の他の具体例を、図7に基づいて説明する。図7は、トロイダル型無段変速機1の組み立てが完了した状態における部分的な断面図である。この具体例2の構成において、具体例1の場合と同様の構成部分については、具体例1と同じ符号を付してある。この具体例2においては、リング37が、円筒部40と、円筒部40における軸線A1に沿った方向の一端に連続して形成された内向きフランジ部50とを有している。この内向きフランジ部50は、壁片30の内部に配置されており、内向きフランジ部50の内周端が、外輪24の切欠部35に配置されている。また、軸線A1に沿った方向で、円筒部40における他方の端部には切欠部51が形成されている。この切欠部51は、軸線A1を中心として環状に構成されている。また、円筒部40における切欠部51が形成された部分の内径は、歯車15の外径よりも大きく構成されている。
このようにして、外輪27の切欠部36の外側に切欠部51が配置されている。そして、軸線A1を中心とする半径方向で、外輪27と円筒部40との間に皿ばね52が取り付けられている。この皿ばね52は、軸線A1を中心として環状に構成されている。そして、皿ばね52における内周端が切欠部36に配置され、かつ、皿ばね52における外周端が切欠部51に配置されている。さらに、内輪23,26をスリーブ11に圧入した状態で、内輪23,26から軸線A1に沿った方向の圧縮荷重が、前記皿ばね52およびリング37に加えられている。そして、軸線A1に沿った方向の圧縮荷重に対して、皿ばね52の方がリング37よりも剛性低く構成されている。このため、皿ばね52の弾発力で外輪24,27が軸線A1に沿った方向に押し広げる向きの力が生じる。このようにして、アンギュラ軸受21,22で予圧が加えられている。なお、この具体例2においては、軸孔33,34の内径は歯車15の外径よりも小さく構成されている。
つぎに、具体例2におけるトロイダル型無段変速機1の組み立て方法を、図7および図8および図9に基づいて説明する。まず、スリーブ11およびアンギュラ軸受21およびリングを用意する。この時点では、スリーブ11およびアンギュラ軸受21およびリング37は組み立てられていない。そして、図8に示すように、外輪24の切欠部35に、リング37の内向きフランジ部50の内周端を配置する。この場合、内向きフランジ部50の内周端と外輪24とが「すきま嵌め」され、軸線A1を中心とする半径方向の位置決め(芯合わせ)は低精度で済む。ついで、アンギュラ軸受21およびリング37を、スリーブ11に対して軸線A1に沿った方向に近づける。すると、歯車15がリング37の内部に挿入され、ついで、内輪23が圧入面17に圧入される。
そして、図9に示すように、皿ばね52の外周端をリング37の切欠部51に配置する。さらに、アンギュラ軸受22をスリーブ11と同軸上に配置して、アンギュラ軸受22とスリーブ11とを近づけて、内輪26を圧入面18に圧入する。さらに、内輪26の端面が段部20に接触する前の段階で、外輪27が皿ばね52の内周端に接触し、外輪24と外輪27とにより、皿ばね52およびリング37が挟み付けられる。このため、皿ばね53に対して、軸線A1に沿った方向の圧縮荷重が加えられる。そして、内輪26の端面が段部20に接触した時点で、スリーブ11に対する内輪26の圧入が終了する。このようにして、スリーブ11に内輪23,26を共に圧入する「圧入工程」が終了する。この具体例2においても、圧入工程の途中で、アンギュラ軸受21,22に予圧が与えられる。上記のような圧入工程の終了後に、壁片30,31を同軸上に配置し、かつ、壁片30,31同士を軸線A1に沿った方向に近づけて、図7に示すように外輪24を軸孔33に挿入し、かつ、外輪27を軸孔34内に挿入する、「挿入工程」がおこなわれる。このようにして、壁片30に外輪24が高精度にすきま嵌めされ、壁片31に外輪27が高精度にすきま嵌めされる。さらに、壁片30,31をケーシング2に固定して、トロイダル型無段変速機1の組み立てが完了する。
この具体例2においても、圧入工程の終了後に、挿入工程がおこなわれるため、具体例1と同様の効果を得られる。また、具体例2において、具体例1と同様の構成部分については、具体例1と同様の作用効果を得られる。この具体例2においては、リング37および皿ばね52が、この発明における荷重付与部材に相当する。つまり、具体例2においては、荷重付与部材が、複数、具体的には2個の部品により構成されている。この具体例2におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、具体例1の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(具体例3)
図2に示されたトロイダル型無段変速機2において、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する構成の具体例3を、図10に基づいて説明する。この具体例3の構成において、具体例1と同様の構成部分については、具体例1と同様に構成されている。具体例3においては、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する荷重付与部材として、リング37が設けられており、このリング37は、軸線A1に沿った方向に2分割された構成片60,61を有している。そして、回り止め39Aが構成片60に設けられ、回り止め39Bが構成片61に設けられている。また、係止溝38Aが壁片30に設けられ、係止溝38Bが壁片31に設けられている。係止溝38A,39Bは、軸線A1を中心とする円周上で同一位置に配置されている。そして、回り止め39Aが係止溝38Aに配置され、かつ、回り止め39Bが係止溝38Bに配置されて、リング37の回転が防止されている。さらに、構成片60には内向きフランジ部62が形成され、構成片60には内向きフランジ部63が形成されている。そして、内向きフランジ部62の内周端が切欠部35に配置され、内向きフランジ部63の内周端が切欠部36に配置されている。さらに、構成片60,61の両方に亘り開口部41が形成されている。この開口部41は、構成片60,61を切り欠いて、リング37を半径方向に貫通したものである。このように、構成片60,61は、図10において左右対称に構成されており、構成片60,61が接触され、かつ、同軸上に配置された状態で、外輪24と外輪27との間に配置されている。具体的には、内輪23,26をスリーブ11に圧入した状態で、外輪24,27からリング37に対して軸線A1に沿った方向の圧縮荷重が加えられ、その圧縮荷重でリング37が弾性変形し、具体例1と同様にアンギュラ軸受21,22に予圧が与えられる。
図2に示されたトロイダル型無段変速機2において、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する構成の具体例3を、図10に基づいて説明する。この具体例3の構成において、具体例1と同様の構成部分については、具体例1と同様に構成されている。具体例3においては、アンギュラ軸受21,22に予圧を付与する荷重付与部材として、リング37が設けられており、このリング37は、軸線A1に沿った方向に2分割された構成片60,61を有している。そして、回り止め39Aが構成片60に設けられ、回り止め39Bが構成片61に設けられている。また、係止溝38Aが壁片30に設けられ、係止溝38Bが壁片31に設けられている。係止溝38A,39Bは、軸線A1を中心とする円周上で同一位置に配置されている。そして、回り止め39Aが係止溝38Aに配置され、かつ、回り止め39Bが係止溝38Bに配置されて、リング37の回転が防止されている。さらに、構成片60には内向きフランジ部62が形成され、構成片60には内向きフランジ部63が形成されている。そして、内向きフランジ部62の内周端が切欠部35に配置され、内向きフランジ部63の内周端が切欠部36に配置されている。さらに、構成片60,61の両方に亘り開口部41が形成されている。この開口部41は、構成片60,61を切り欠いて、リング37を半径方向に貫通したものである。このように、構成片60,61は、図10において左右対称に構成されており、構成片60,61が接触され、かつ、同軸上に配置された状態で、外輪24と外輪27との間に配置されている。具体的には、内輪23,26をスリーブ11に圧入した状態で、外輪24,27からリング37に対して軸線A1に沿った方向の圧縮荷重が加えられ、その圧縮荷重でリング37が弾性変形し、具体例1と同様にアンギュラ軸受21,22に予圧が与えられる。
つぎに、具体例3におけるトロイダル型無段変速機1の組み立て工程を説明する。まず、スリーブ11、およびアンギュラ軸受21,22、および構成片60,61を用意する。そして、外輪24の切欠部35に、構成片60の内向きフランジ部62の内周端を配置するとともに、外輪27の切欠部36に、構成片61の内向きフランジ部63の内周端を配置する。ここで、外輪24と構成片60とが低精度にすきま嵌めされ、外輪27と構成片61とが低精度にすきま嵌めされる。そして、構成片60を保持するアンギュラ軸受21の内輪23を、圧入面17に圧入し、構成片61を保持するアンギュラ軸受22の内輪26を、圧入面18に圧入する。このように、内輪23,26をスリーブ11に圧入する過程で、構成片60と構成片61とが接触し、その後、内輪23,26の圧入段階の進行に伴い、外輪24,27からリング37を軸線A1に沿った方向で圧縮する荷重が加えられる。このようにして、リング37が弾性変形し、その反力で外輪24,27を軸線A1に沿った方向で押し広げる向きの荷重が発生する。
さらに、図11に示すように、内輪23の端面が段部19に接触し、内輪26の端面が段部20に接触した時点で、内輪23,26をスリーブ11に圧入する「圧入工程」が終了する。このような作用により、具体例3においても圧入工程で、アンギュラ軸受21,22に予圧が付与される。ついで、壁片30,31を同軸上に配置して近づけ、図10に示すように軸孔33内に外輪24を挿入し、かつ、軸孔34内に外輪27を挿入する。このように、軸孔33内に外輪24を挿入し、かつ、軸孔34内に外輪27を挿入する工程が、「挿入工程」である。また、具体例3においても、外輪24と壁片30との関係、外輪27と壁片31との関係は、「高精度のすきま嵌め」である。そして、壁片30と壁片31とが接触した時点で、「挿入工程」が終了し、中間壁29をケーシング2に固定する。このように、具体例3においても、「圧入工程」の終了後に「挿入工程」をおこなうため、具体例1と同様の効果を得られる。また、具体例3において、具体例1と同様の構成部分については、具体例1と同様の効果を得られる。この具体例3においては、リング37が、この発明の荷重付与部材に相当する。そして、リング37は、軸線A1に沿った方向で2個に分割された構成片60,61を有している。
なお、各具体例において、トロイダル型無段変速機1の組立工程の終了(完了)とは、スリーブ11に対してアンギュラ軸受21,22を取り付け、かつ、アンギュラ軸受21,22に対して予圧を与え、かつ、軸孔33に外輪24を挿入し、かつ、軸孔34に外輪27を挿入し、かつ、中間壁29をケーシング2に固定する工程の終了することの意味、図2に示された全ての部品の組立が完了することの意味の両方を含む。また、各具体例において、「高精度のすきま嵌め」および「低精度のすきま嵌め」は、共に具体的なすき間量を意味する用語ではなく、「低精度」の場合に比べて「高精度」の場合の方が、軸線A1を中心とする「半径方向のすき間量」が少なく構成されるという、すき間量の相対的関係(多・少)を意味する。また、各具体例において、トロイダル型無段変速機1の組み立て作業は、軸線A1をほぼ垂直にした状態、またはほぼ水平にした状態のいずれでも、実行可能である。また、各具体例において、スリーブとしては、軸受機械構造用合金鋼、機械構造用炭素鋼などを用いることが可能である。リングに用いる金属材料としては、圧延鋼板を用いることが可能である。さらに、軸受に用いる金属材料としては、ホワイトメタル、アルミ合金、バビッドメタルなどが挙げられる。
1…トロイダル型無段変速機、 3…入力軸、 5…入力ディスク、 6…出力ディスク、 11…スリーブ、 15,45…歯車、 21,22…アンギュラ軸受、 23,26…内輪、 24,27…外輪、 25,28…転動体、 29…中間壁、 37…リング、 30,31…壁片、 33,34…軸孔、 41…開口部、 52…皿ばね、 60,61…構成片、 A1…軸線。
Claims (7)
- パワーローラとの間で動力伝達をおこなうディスクが一体回転可能に取り付けられる動力伝達部材を用意し、内輪および外輪の間に転動体を介在させた軸受を用意し、前記外輪を保持する支持機構を用意するとともに、
前記内輪を前記動力伝達部材の外周に圧入する圧入工程と、
前記外輪を前記支持機構の軸孔に挿入する挿入工程と、
前記外輪に軸線に沿った方向の荷重を与えることにより、前記転動体を外輪および内輪に押し付ける予圧を付与する予圧付与工程と
をおこなうトロイダル型無段変速機の組み立て方法において、
前記支持機構とは別部品として構成され、かつ、前記外輪に荷重を与える荷重付与部材を用意し、前記圧入工程をおこなった後に前記挿入工程をおこなうとともに、前記圧入工程が開始されてから、前記挿入工程が終了するまでの間に、前記予圧付与工程をおこなうことを特徴とするトロイダル型無段変速機の組み立て方法。 - 前記動力伝達部材に駆動歯車が形成され、前記軸受が2個用意されるとともに、
前記圧入工程で、2個の軸受の内輪は、前記軸線に沿った方向で前記駆動歯車の両側に圧入されるとともに、
前記予圧付与工程では、前記軸線に沿った方向で2個の軸受の外輪により前記荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で前記2個の軸受の外輪同士を、前記軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の組み立て方法。 - 前記軸線に沿った方向で2分割され、かつ、それぞれ軸孔を有する構成片を備えた支持機構を用意するとともに、
前記挿入工程では、前記2個の軸受の外輪が、前記2個の構成片の軸孔にそれぞれ挿入されることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組み立て方法。 - パワーローラとの間で動力伝達をおこなうディスクが一体回転可能に取り付けられる動力伝達部材と、この動力伝達部材の外周に圧入される内輪を有し、かつ、この内輪と外輪との間に転動体を介在させた軸受と、前記外輪が挿入される軸孔を有する支持機構とを備えており、
前記外輪に軸線に沿った方向の荷重が与えられて、前記転動体を外輪および内輪に押し付ける予圧が付与されている構成のトロイダル型無段変速機において、
前記支持機構とは別部品として構成され、かつ、前記外輪に荷重を与える荷重付与部材を備えていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記ディスクが出力ディスクであり、動力源の動力が伝達され、かつ、出力ディスクと同軸上に配置される入力ディスクが設けられており、この入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラが挟持される構成を有しており、これらの入力ディスクおよび出力ディスクおよびパワーローラを有する無段変速部が2組設けられており、
前記動力伝達部材に駆動歯車が形成され、前記軸受は、前記軸線に沿った方向で前記駆動歯車の両側に取り付けられる2個の軸受であるとともに、
前記2個の軸受の外輪により前記荷重付与部材が挟み付けられ、その反力で前記2個の軸受の外輪同士を、前記軸線に沿った方向で離れさせようとする向きの予圧が与えられるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のトロイダル型無段変速機。 - 前記支持機構は、前記軸線に沿った方向に2分割され、かつ、それぞれ軸孔を有する2個の構成片を備えているとともに、前記2個の軸受の外輪が、前記2個の構成片の軸孔にそれぞれ挿入されていることを特徴とする請求項5に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記荷重付与部材は前記軸線を中心として環状に構成されており、前記荷重付与部材には、前記駆動歯車に噛合する従動歯車が配置される開口部が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載のトロイダル型無段変速機。
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ID=40237038
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---|---|---|---|
JP2007157887A Pending JP2008309254A (ja) | 2007-06-14 | 2007-06-14 | トロイダル型無段変速機の組み立て方法およびトロイダル型無段変速機 |
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JP (1) | JP2008309254A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101026005B1 (ko) * | 2010-01-29 | 2011-03-30 | 최정용 | 자전거용 무단변속장치 |
KR101035207B1 (ko) | 2009-11-12 | 2011-05-17 | 최정용 | 무단 변속장치 |
-
2007
- 2007-06-14 JP JP2007157887A patent/JP2008309254A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101035207B1 (ko) | 2009-11-12 | 2011-05-17 | 최정용 | 무단 변속장치 |
KR101026005B1 (ko) * | 2010-01-29 | 2011-03-30 | 최정용 | 자전거용 무단변속장치 |
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