JP2008308760A - ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、Si:0.3%以上1.2%以下、Fe:0.7%以上2.0%以下、Mn:0.2%以上0.8%以下、Zn:0.1%以上1.0%以下を含有し、ろう付前のアルミニウム合金材特性が、組織に占める繊維状組織の割合が90%以上もしくは10%以下とされ、電気伝導度が43〜53%であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×102〜5×104個/mm2の範囲であるとともに、ろう付後の合金材特性が、組織が再結晶状態とされ、電気伝導度が45〜55%であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×103〜5×105個/mm2の範囲とされている。
【選択図】なし
Description
まず、特許文献1〜3に記載のアルミニウム合金材では、例えば、板厚が0.1mm以下に薄肉化されてフィン材に用いられた場合、フィン材の成形性や溶融ろうによるエロージョンが発生するという問題がある。
また、自動車熱交換器用のフィン材は、通常、コルゲート成形によって波形に成形され、チューブ材にろう付されて用いられる。フィン材が薄肉化されると、コルゲート加工後のフィン材の山高さが不揃いになりやすく、また、ろうによる侵食が顕著になるので、例えば、ろう侵食がフィン材を貫通すると、熱交換器として必要な強度が得られず、ひいては熱交換器としての構造を保持するのが困難になるという問題がある。
即ち、本発明は以下に関する。
質量%で、Si:0.3%以上1.2%以下(より好ましくは0.8%以上1.0%以下)、Fe:0.7%以上2.0%以下(より好ましくは1.0%以上1.8%以下)、Mn:0.2%以上0.8%以下(より好ましくは0.4%以上0.6%以下)、Zn:0.1%以上1.0%以下(より好ましくは0.3%以上1.0%以下)を含有し、残部Alと不可避不純物からなる自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材であって、ろう付前のアルミニウム合金材特性が、組織に占める繊維状組織の割合が90%以上もしくは10%以下とされ、電気伝導度が43〜53%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×102〜5×104個/mm2の範囲であるとともに、ろう付後のアルミニウム合金材特性が、組織が再結晶状態とされ、電気伝導度が45〜55%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×103〜5×105個/mm2の範囲であることを特徴とする、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
(2)請求項2に記載の発明
質量%で、さらに、Sc:0.0001%以上1.0%以下(より好ましくは0.01%以上0.1%以下)、Cu:0.05%以上0.8%以下(より好ましくは0.05%以上0.20%以下)、Mg:0.01%以上0.5%以下(より好ましくは0.02%以上0.2%以下)、Zr:0.001%以上0.3%以下(より好ましくは0.05%以上0.2%以下)、Ti:0.01%以上0.25%以下(より好ましくは0.05%以上0.2%以下)、Cr:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)、V:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)、Ni:0.01%以上2.0%以下(より好ましくは0.2%以上0.5%以下)の内の1種又は2種以上を含有したことをと特徴とする、請求項1に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
質量%で、Si:0.3%以上1.2%以下(より好ましくは0.8%以上1.0%以下)、Fe:0.7%以上2.0%以下(より好ましくは1.0%以上1.8%以下)、Mn:0.2%以上0.8%以下(より好ましくは0.4%以上0.6%以下)、Zn:0.1%以上1.0%以下(より好ましくは0.3%以上1.0%以下)を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造圧延法によって板厚2〜12mmの板材に鋳造した後、直ちにコイル状に巻回する熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法であって、前記コイル状に巻回される直前のアルミニウム合金材の温度を530℃以下とし、前記コイル状に巻回したアルミニウム合金材を15℃/hr以上の平均冷却速度で冷却した後、巻回状態を解き、少なくとも2回以上の冷間圧延、及び、少なくとも2回以上の焼鈍を行うことにより、0.1mm以下の最終板厚とすることを特徴とする、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
質量%で、さらに、Sc:0.0001%以上1.0%以下(より好ましくは0.01%以上0.1%以下)、Cu:0.05%以上0.8%以下(より好ましくは0.05%以上0.20%以下)、Mg:0.01%以上0.5%以下(より好ましくは0.02%以上0.2%以下)、Zr:0.001%以上0.3%以下(より好ましくは0.05%以上0.2%以下)、Ti:0.01%以上0.25%以下(より好ましくは0.05%以上0.2%以下)、Cr:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)、V:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)、Ni:0.01%以上2.0%以下(より好ましくは0.2%以上0.5%以下)の内の1種又は2種以上を含有したアルミニウム合金溶湯を用いることをと特徴とする、請求項3に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
前記アルミニウム合金溶湯を用いてアルミニウム合金材を鋳造する際の凝固速度を15〜1000℃/sec(より好ましくは100〜250℃/sec)の範囲とすることを特徴とする、請求項3又は4に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
(6)請求項6に記載の発明
前記コイル状に巻回されたアルミニウム合金材を冷却した後、180〜550℃の温度で前記焼鈍を行ない、最終工程が終了した後のアルミニウム合金材のろう付前の組織を繊維状組織として形成するとともに、ろう付後の結晶粒径を300μm以上として形成することを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
(7)請求項7に記載の発明
前記焼鈍を1〜10hrの時間で行なうことを特徴とする、請求項6に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
(8)請求項8に記載の発明
前記冷間圧延及び焼鈍を行なった後、最終工程として前記焼鈍を行なうことを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
(9)請求項9に記載の発明
前記冷間圧延及び焼鈍を行なった後、最終工程として前記冷間圧延を50%以下(より好ましくは10〜35%)の最終圧延率で行うことを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
請求項3〜9の何れか1項に記載の製造方法で得られる、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
(11)請求項11に記載の発明
請求項1〜2又は請求項10の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材が用いられてなる自動車熱交換器。
上記構成により、アルミニウム合金材の強度特性や耐エロージョン性を向上させることが可能となり、また、このようなアルミニウム合金材を用い、ろう付によって自動車熱交換器用部材を構成することにより、例えばフィン材等を薄肉に構成した場合であっても、溶融ろうが侵食するのが抑制され、孔食が生じにくくなり、熱交換器の腐食が進行した際の耐久強度も格段に向上する。
上記方法でアルミニウム合金材を製造することにより、アルミニウム合金材組織中の晶出物の成長を抑制することができ、また、析出の進行も抑えることができるので、強度特性や耐エロージョン性を向上させることが可能となる。このようなアルミニウム合金材を用い、ろう付によって自動車熱交換器用部材を製造することにより、例えばフィン材等を薄肉に構成した場合であっても、溶融ろうが侵食するのが抑制され、孔食が生じにくくなり、熱交換器の腐食が進行した際の耐久強度も格段に向上する。
従って、高い強度特性と耐エロージョン性、成形性を併せ持つ自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材が得られる。
本発明の自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材は、質量%で、Si:0.3%以上1.2%以下(より好ましくは0.8%以上1.0%以下)、Fe:0.7%以上2.0%以下(より好ましくは1.0%以上1.8%以下)、Mn:0.2%以上0.8%以下(より好ましくは0.4%以上0.6%以下)、Zn:0.1%以上1.0%以下(より好ましくは0.3%以上1.0%以下)を含有し、残部Alと不可避不純物からなる自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材であって、ろう付前のアルミニウム合金材特性が、組織に占める繊維状組織の割合が90%以上もしくは10%以下とされ、電気伝導度が43〜53%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×102〜5×104個/mm2の範囲であるとともに、ろう付後のアルミニウム合金材特性が、組織が再結晶状態とされ、電気伝導度が45〜55%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×103〜5×105個/mm2の範囲とされ、概略構成されている。
以下、本発明で規定するアルミニウム合金材の成分組成の数値限定理由について詳述する。
ケイ素(Si)は、Mnと共存してAl−Mn−Si系化合物として分散あるいはマトリックスに固溶することにより、アルミニウム合金材の強度を向上させる効果を有する。
Siの含有量は、質量%で0.3%以上1.2%以下の範囲とすることが好ましく、0.8%以上1.0%以下の範囲とすることがより好ましい。
Siの含有量が1.2%を超えると、アルミニウム合金材の融点が低下し、ろう付処理工程において溶融してしまう虞があるとともに、熱伝導性が低下する。
Siの含有量が0.3%未満だと、上述の強度向上効果が充分に得られなくなる。
鉄(Fe)は、金属間化合物として晶出又は析出し、ろう付後のアルミニウム合金材の強度を向上させる効果を有する。また、Al−Mn−Fe、Al−Fe−Si、Al−Mn−Fe−Si系化合物を形成して、マトリックス中のMnやSi固溶度が低下するため、ろう付後の電気伝導度が低下することなく強度を向上させることができ、マトリックスの融点を上昇させることができる。
Feの含有量は、質量%で0.7%以上2.0%以下の範囲とすることが好ましく、1.0%以上1.8%以下の範囲とすることがより好ましい。
Feの含有量が2.0%を超えると、アルミニウム合金材の腐食速度が速くなりすぎるとともに、巨大晶出物を出現させ、鋳造性や圧延性を低下させてしまう虞がある。
Feの含有量が0.7%未満だと、上述のような強度向上及び融点上昇の効果が充分に得られなくなる。
マンガン(Mn)は、金属間化合物として晶出又は析出し、ろう付後のアルミニウム合金材の強度を向上させる効果を有する。また、Al−Mn−Si系化合物を形成してマトリックス中のSi固溶度を低下させ、マトリックスの融点を上昇させることができる。
Mnの含有量は、質量%で0.2%以上0.8%以下の範囲とすることが好ましく、0.4%以上0.6%以下の範囲とすることがより好ましい。
Mnの含有量が0.8%を超えると、アルミニウム合金材の鋳造性や加工性(圧延性)が低下する虞が有る。
Mnの含有量が0.2%未満だと、上述のような上述のような強度向上及び融点上昇の効果が充分に得られなくなる。
亜鉛(Zn)は、アルミニウム合金材の電位を卑(マイナス)にすることにより、アルミニウム合金材を用いてフィン材を構成した際に、チューブ材に対する犠牲陽極効果を向上させる。
Znの含有量は、質量%で0.1%以上1.0%以下の範囲とすることが好ましく、0.3%以上1.0%以下の範囲とすることがより好ましい。
Znの含有量が1.0%を超えると、腐食速度が速くなりすぎて自己耐食性が低下する。
Znの含有量が0.1%未満だと、上述のような犠牲陽極効果が充分に得られなくなる。
スカンジウム(Sc)は、ろう付熱処理によって固溶したScがアルミニウム合金材の強度を向上させるとともに、微細なAl3Scが時効析出することにより、ろう付後のアルミニウム合金材の強度を向上させる。また、ろう付熱処理の際の昇温過程において、再結晶粒径が粗大化するため、溶融ろうによるエロージョンを抑制することができる。
Scの含有量は、質量%で0.0001%以上1.0%以下の範囲とすることが好ましく、0.01%以上0.1%以下の範囲とすることがより好ましい。
Scの含有量を、1.0%を超えて添加しても、上述したろう付後の強度向上効果及びエロージョン抑制効果が飽和する。
Scの含有量が0.0001%未満だと、上記効果が不充分となる。
銅(Cu)は、マトリックス中に固溶してアルミニウム合金材の強度を向上させる効果を有する。
Cuの含有量は、質量%で0.05%以上0.8%以下の範囲とすることが好ましく、0.05%以上0.20%以下の範囲とすることがより好ましい。
Cuの含有量が0.8%を超えると、アルミニウム合金材の電位が貴(プラス)となり、犠牲陽極効果が低下するとともに、アルミニウム合金材の融点が低下することにより、ろう付処理時に溶融してしまう虞がある。
Cuの含有量が0.05%未満だと、上述のような強度向上効果が不充分となる。
マグネシウム(Mg)は、マトリックスに固溶してアルミニウム合金材の強度を向上させる効果を有する。
Mgの含有量は、質量%で0.01%以上0.5%以下の範囲とすることが好ましく、0.02%以上0.2%以下の範囲とすることがより好ましい。
Mgの含有量が0.5%を超えると、ろう付性が阻害される。
Mgの含有量が0.05%未満だと、上記強度向上の効果が充分に得られなくなる。
「Ti:0.01%以上0.25%以下(より好ましくは0.05%以上0.2%以下)」
「Cr:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)」
「V:0.01%以上0.1%以下(より好ましくは0.01%以上0.05%以下)」
ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)は、アルミニウム合金材に添加することにより、ろう付後に微細な金属間化合物として分散し、強度を向上させる効果を有する。
Zrの含有量は、質量%で0.001%以上0.3%以下の範囲とすることが好ましく、0.05%以上0.2%以下の範囲とすることがより好ましい。
Tiの含有量は、質量%で0.01%以上0.25%以下の範囲とすることが好ましく、0.05%以上0.2%以下の範囲とすることがより好ましい。
Crの含有量は、質量%で0.01%以上0.1%以下の範囲とすることが好ましく、0.01%以上0.05%以下の範囲とすることがより好ましい。
Vの含有量は、0.01%以上0.1%以下の範囲とすることが好ましく、0.01%以上0.05%以下の範囲とすることがより好ましい。
ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)の各成分をアルミニウム合金材に添加する場合、添加量が上記上限を超えると、自己耐食性が低下するとともに、加工性が低下する。また、添加量が上記下限未満だと、上述のようなろう付後の強度向上効果が充分に得られなくなる。
以上のように、Zr,Ti,Cr,Vは、何れも、ろう付後のアルミニウム合金材の強度を向上させる元素なので、これらの内の1種又は2種以上の元素を添加すれば良い。
ニッケル(Ni)は、アルミニウム合金材に添加することにより、金属間化合物として晶出又は析出し、ろう付後の強度を向上させる効果を有する。
Niの含有量は、質量%で0.01%以上2.0%以下の範囲とすることが好ましく、0.2%以上0.5%以下の範囲とすることがより好ましい。
Niの含有量が2.0%を超えると、自己耐食性が低下する。
Niの含有量が0.01%未満だと、ろう付後の強度向上効果が充分に得られなくなる。
本発明のアルミニウム合金材は、ろう付前及びろう付後のアルミニウム合金材特性を以下のように規定している。
アルミニウム合金材がろう付される前の組織としては、合金材組織に占める繊維状組織の割合が90%以上もしくは10%以下繊維状組織とされていることが好ましい。これにより、アルミニウム合金材の成形性を向上させることができ、例えば、このようなアルミニウム合金材を用いて自動車熱交換器のフィン材を成形した場合には、フィンの山高さ等の寸法や形状が均一になる等の効果が得られる。
アルミニウム合金材がろう付される前の、組織に占める繊維状組織の割合が10%超90%未満の範囲だと、合金材組織内に再結晶組織及び繊維状組織の両方が少なからず混在する状態となるため、成形性が低下する。例えば、このような繊維状組織の割合が10%超90%未満の範囲とされたアルミニウム合金材を用いて自動車熱交換器のフィン材を成形した場合には、フィンのコルゲート成形(波型+ルーバー加工)時に、加工形状がミクロ的に不均一となり、フィンの山高さが不揃いになりやすくなる。このように、フィンの山高さが不揃いになると、フィン材のろう付接合率が低下し、ひいては熱交換器のコアの強度や耐久寿命が低下してしまう。
アルミニウム合金材がろう付される前の電気伝導度は、43〜53%(IACS:International Annealed Copper Standerd)の範囲であることが好ましい。電気伝導度を上記範囲として合金材の固溶度を高く保持することにより、ろう付熱処理時に微細な析出物を合金材内に分散させることができ、ろう付後の強度を向上させる効果がある。
また、アルミニウム合金材がろう付された後の電気伝導度は、45〜55%(IACS)の範囲とする。本発明のアルミニウム合金材では、成分組成を上述の範囲に規定することにより、ろう付熱処理時に元素の析出が進行するので、ろう付後に高い電気伝導度が得られ、アルミニウム合金材が用いられる熱交換器の性能を向上させることが可能となる。
本発明では、アルミニウム合金材がろう付される前の、該合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が、3×102〜5×104個/mm2の範囲であることが好ましい。
また、アルミニウム合金材がろう付された後の、該合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が、3×103〜5×105個/mm2の範囲とされていることが好ましい。
ろう付前の析出物(分散粒子)の大きさと数は、ろう付熱処理時の合金材の再結晶粒径に影響する。本発明では、ろう付前及びろう付後の合金材表面における、円相当径0.1〜5μmの分散粒子の数を上記範囲とすることにより、再結晶の核を制御でき、また、再結晶粒成長時のピン止め効果等により、粗大な結晶粒径を得ることが可能となる。
上記構成により、アルミニウム合金材の強度特性や耐エロージョン性を向上させることが可能となり、また、このようなアルミニウム合金材を用い、ろう付によって自動車熱交換器用部材を構成することにより、例えばフィン材等を薄肉に構成した場合であっても、溶融ろうが侵食するのが抑制され、孔食が生じにくくなり、熱交換器の腐食が進行した際の耐久強度も格段に向上する。
本発明のアルミニウム合金材の製造方法は、質量%で、Si:0.3%以上1.2%以下(より好ましくは0.8%以上1.0%以下)、Fe:0.7%以上2.0%以下(より好ましくは1.0%以上1.8%以下)、Mn:0.2%以上0.8%以下(より好ましくは0.4%以上0.6%以下)、Zn:0.1%以上1.0%以下(より好ましくは0.3%以上1.0%以下)を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造圧延法によって板厚2〜12mmの板材に鋳造した後、直ちにコイル状に巻回する製造方法であり、前記コイル状に巻回される直前のアルミニウム合金材の温度を530℃以下とし、前記コイル状に巻回したアルミニウム合金材を15℃/hr以上の平均冷却速度で冷却した後、巻回状態を解き、少なくとも2回以上の冷間圧延、及び、少なくとも2回以上の焼鈍を行うことにより、0.1mm以下の最終板厚とする方法である。
本発明のアルミニウム合金材の製造方法では、連続鋳造圧延法による鋳造後の板厚を、2〜12mmとすることが好ましい。
鋳造後のアルミニウム合金材の板厚が2mm未満だと、実質的に安定的な板形状となる合金材が得られなくなる虞がある。
鋳造後のアルミニウム合金材の板厚が12mmを超えると、詳細を後述する凝固速度が低下するとともに、コイル状に巻回する前に冷却するのが困難となる。
「平均冷却速度:15℃/hr以上」
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、コイル状に巻回する直前のアルミニウム合金材の温度を530℃以下とすることが好ましく、500℃以下とすることがより好ましく、460℃以下とすることが最も好ましい(図1を参照)。
また、コイル状に巻回したアルミニウム合金材の平均冷却速度は、15℃/hr以上とすることが好ましく、20℃/hr以上とすることがより好ましく、25℃/hr以上とすることが最も好ましい。
連続鋳造圧延法は、溶湯を急速に凝固させる方法であるが、従来の方法では、鋳造によって板状とした後、コイル状に巻回する際の温度が非常に高く、また、巻回された後の冷却速度が遅いために、アルミニウム合金材の組織中に微細に晶出又は析出させた金属間化合物が粗大化してしまう。このため、ろう付後の強度が低下したり、また、ろう付処理時の再結晶においてピン止め効果が作用せず、結晶粒径が細かくなって耐エロージョン性が低下する等の問題がある。
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、上述のように、コイル状に巻回する直前のアルミニウム合金材の温度を530℃以下とし、コイル状に巻回したアルミニウム合金材の平均冷却速度を15℃/hr以上とすることにより、晶出物サイズの成長を抑制できるとともに、析出の進行も抑えることができ、強度や耐エロージョン性を向上させることができる。
アルミニウム合金溶湯を急冷して鋳造する際の凝固速度は、15〜1000℃/secの範囲とすることが好ましい。
凝固速度が15℃/sec未満だと、晶出物が粗大化する虞がある。一方、凝固速度を1000℃/sec超とした場合でも、その効果が飽和する。
また、凝固速度は、100〜250℃/secの範囲とすることがより好ましい。
本発明のアルミニウム合金材の製造方法では、コイル状に巻回されたアルミニウム合金材を冷却した後、180〜550℃の温度で焼鈍を行なうことが好ましい。
本発明では、晶出物や析出物の大きさを制御するため、鋳造〜巻取り(巻回)〜冷却後の板材(コイル)に対する熱処理(焼鈍)温度の上限を550℃とした。
また、中間焼鈍温度が180℃未満だと、アルミニウム合金材がほとんど軟化せず、焼鈍を行なっても圧延性がほとんど向上しないため、下限を180℃とした。
また、アルミニウム合金材に対して上記温度範囲の焼鈍を施す処理時間は、1〜10hrの範囲とすることが好ましい。
本発明の製造方法では、アルミニウム合金材を冷間圧延する際、途中の各板厚において、適宜、180〜550℃の上記温度範囲で焼鈍を行う。そして、少なくとも2回以上の冷間圧延、及び、少なくとも2回以上の焼鈍を行うことにより、最終的に、0.1mm以下の板厚とする。
ここで、本発明では、焼鈍温度の上限を550℃とし、コイル状に巻回する直前の温度の上限である530℃に比べて高い温度としているが、これらの上限温度は、各工程における金属間化合物の析出挙動が異なることに基づいて規定している。つまり、巻回直前の温度を高くした場合には、材料中に歪み(転位)が少なく析出のサイトが限定されるため、金属間化合物が粗大化しやすくなる一方、焼鈍時には材料中に転位が存在することから、これが析出サイトとなって金属間化合物のサイトが増加するため、焼鈍温度が高い場合であっても、金属間化合物の粗大化を抑制することができる。従って、コイル状に巻回する直前の温度よりも、焼鈍温度を高くすることが可能となる。
本発明のアルミニウム合金材の製造方法では、上記各条件によって圧延又は焼鈍が行われる最終工程の後のアルミニウム合金材の組織、つまり、アルミニウム合金材を用いて自動車熱交換器部材をろう付によって製造する前の、組織に占める繊維状組織の割合を90%以上もしくは10%以下としている。また、アルミニウム合金材をろう付した後の組織の結晶粒径を300μm以上としている。
アルミニウム合金材のろう付前の組織において、繊維状組織の割合を90%以上もしくは10%以下とすることにより、アルミニウム合金材によって構成されるフィン材等の自動車熱交換器部材の圧延性及び成形性を確保することができる。また、アルミニウム合金材のろう付前の組織内に再結晶組織が含まれる場合には、再結晶粒の大きさを2000μm以下、より好ましくは1000μm以下、最も好ましくは750μm以下とすることにより、優れた成形性を得ることが可能となる。
本発明のアルミニウム合金材の製造方法では、最終工程として冷間圧延処理を行なう場合、この冷間圧延処理(最終冷間圧延処理)による最終圧延率を50%以下とすることが好ましい。
最終圧延率は、フィン材等、アルミニウム合金材からなる熱交換器用部材の成形性等を考慮しながら、適宜調整することが可能であるが、最終圧延率が50%を超えると強度が高くなりすぎる虞がある。
また、板厚が0.1mm以下の材料において、焼鈍後の圧延率を10%未満とすることは実質的に困難であること等から、最終圧延率を10〜35%の範囲とすることがより好ましい。
また、本発明のアルミニウム合金材の製造方法では、最終工程として、冷間圧延処理(最終冷間圧延処理)を行なわずに、焼鈍(最終焼鈍)を行なう方法とすることもでき、適宜採用することが可能である。
上記方法でアルミニウム合金材を製造することにより、アルミニウム合金材組織中の晶出物の成長を抑制することができ、また、析出の進行も抑えることができるので、強度特性や耐エロージョン性を向上させることが可能となる。このようなアルミニウム合金材を用い、ろう付によって自動車熱交換器用部材を製造することにより、例えばフィン材等を薄肉に構成した場合であっても、溶融ろうが侵食するのが抑制され、孔食が生じにくくなり、熱交換器の腐食が進行した際の耐久強度も格段に向上する。
従って、高い強度特性と耐エロージョン性、成形性を併せ持つ自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材が得られる。
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、上述の方法によって晶出部や析出物を微細化することにより、フィン材中に微細な孔食の起点が増加し、孔食が生じにくくなるので、熱交換器の腐食進行後の耐久強度も格段に向上する。
図2に、本発明の自動車熱交換器用アルミニウム合金材が用いられる一例として、アルミニウム合金材からなるフィン材が備えられた自動車用のラジエータ(熱交換器)10の分解斜視図を示す。
図2において、符号1はフィン材、符号12はチューブ、符号13はヘッダ、符号14はサイドサポートである。図1に示すラジエータ10は、ろう付接合によってチューブ12、フィン1およびヘッダ13が各々一体化され、更に樹脂タンクが機械的接合(かしめ加工)により取り付けられて製造される。
本実施形態のラジエータ10は、本発明に係るアルミニウム合金材が用いられてなるフィン材1を使用するものなので、耐久強度に優れたものとなる。
以下に、アルミニウム合金材の作製工程及び評価試験項目について説明する。
本実施例では、下記表1に示す成分組成のアルミニウム合金を用い、下記表2に示す製造条件でアルミニウム合金材を作製した。
まず、各成分組成のアルミニウム合金を溶解し、得られたアルミニウム合金溶湯に、脱ガスやフィルターによる介在物除去等の溶湯処理を施した。そして、ロール径が600mm(直径)の双ロール式連続鋳造圧延機を用い、アルミニウム合金溶湯を幅1000mmの板材に鋳造した。この際の凝固速度は、図1に示すような水冷ロール34内の水の流量によって制御した。
また、図1の概略図に示すように、鋳造後の板材の巻取り装置31までの間に、空冷ファン32及びミスト供給部33を設置し、巻回される前の板材の温度を制御した。
また、巻回後の冷却速度としては、500kgの板材を巻き取った後、巻取り装置31からコイル状の巻回アルミニウム合金材30を取り外し、ファンで空冷することにより、150℃までの平均冷却速度を制御した。
そして、0.05mmの板厚まで冷間圧延を行なった後に最終工程として焼鈍を実施するか、あるいは、最終工程として10〜40%の最終圧延率で0.05mmの板厚まで冷間圧延を実施することにより、各実施例及び比較例のアルミニウム合金材サンプルとした。
なお、ろう付後の結晶粒径は、短冊状に切り出した上記フィン材に600℃×3minのろう付相当熱処理を施した後、50℃の5%NaOH水溶液中でエッチングし、切断法によって圧延方向の結晶粒径を測定した。
上記作製工程で得られた本発明に係るアルミニウム合金材からなるフィン材、及び従来のフィン材(比較例)を用い、以下のような評価試験を行った。
上記フィン材単体にろう付熱処理を施した後、引張試験を行うことにより、フィン材の強度を測定した。このフィン材は、JIS5号引張試験片(幅25mm×長さ60mm)であり、これを試験片として用い、引張試験機として島津社製:AG−GI 10kNを使用して、引張速度2mm/分で引張試験を行うことにより、ろう付後の引張強度(耐力:MPa)を測定した。
フィンの山高さ9mm、フィンピッチ1.8mmとしてアルミニウム合金材(板材)をコルゲート成形し、フィンの山高さのばらつき度で評価した。フィンの山高さのばらつき度は、成形定常域の内、連続するフィン10山分の標準偏差σによって評価した。
上述のようにして得られたフィン材を、以下に示す仕様のブレージングシート(チューブ材)のろう材面に組み付け、フラックスを塗布した後、高純度窒素ガス雰囲気中においてろう付相当熱処理を行った。この、ろう付相当熱処理は、590〜600℃の温度で5分間保持して行った。
上記ろう付処理後に、コア(フィン材/チューブ材)断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、ろうによる最大侵食深さを測定し、耐エロージョン性を評価した。
(1)板厚:0.30mm
(2)クラッド率:ろう材…10%、芯材…90%
(3)調質:H14
以下に示すような仕様のチューブ材用合金、ヘッダプレート用合金、サイドサポート用合金をそれぞれ成形し、フィン材と組み合わせた後、フラックスを塗布して、高純度窒素ガス雰囲気中においてろう付処理を行った。そして、樹脂製のタンクと組み合わせることにより、チューブ幅が16mm、コアサイズが320mm(L)×350mm(W)とされたラジエータを作製した。
このラジエータについて、ろう付処理の後、特に何も処理を施さなかったサンプル、及び、20日間の腐食試験SWAAT(ASTM G85−02)を施したサンプルに対し、それぞれ繰り返し耐圧試験を行い、破断が生じるまでの回数の低下率を測定した。なお、耐圧試験は、水圧によって繰り返し圧力を付加できる耐圧試験装置を用い、水圧を0〜1.8kg/cm2の範囲、圧力の繰り返し付加周期を0.1Hzとして行なった。
(1)チューブ材
a.合金:Al−10%Si(4045)/Al−1%Mn−0.15%Cu(3003)/Al−1%Zn(7072)
b.板厚:0.30mm
c.クラッド率:ろう材…10%、芯材…80%、犠牲材…10%、
d.調質:H14
(2)ヘッダプレート材
a.合金:Al−10%Si(4045)/Al−1%Mn−0.15%Cu(3003)/Al−1%Zn(7072)
b.板厚:1.6mm
c.クラッド率:ろう材…10%、芯材…80%、犠牲材…10%、
d.調質:O材
(3)サイドサポート材
a.合金:Al−10%Si(4045)/Al−1%Mn−0.15%Cu(3003)
b.板厚:1.2mm
c.クラッド率:ろう材…10%、芯材…90%
d.調質:O材
ろう付前及びろう付後のアルミニウム合金材特性について、以下の方法によって測定した。
まず、ろう付前の繊維状組織の割合については、15%HCl:15%HNO3:5%HFの各々を混合した水溶液を用いてアルミニウム合金材をエッチングし、この際の組織を、8倍の実体顕微鏡写真を計10視野(視野合計800mm2)撮影した後、画像回析装置を用いて繊維状組織の比率を求めた。
また、ろう付後の組織の再結晶については、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法を用い、粒界を含むパターンを認識できなかった点数の割合が10%以下である場合について、再結晶しているものとして評価した。
また、電気伝導度については、アルミニウム合金材を所定板厚まで圧延後、ダブルブリッジ法を用いてろう付前の電気伝導度を測定し、また、合金材単体でろう付相当熱処理を施した後、同様にして電気伝導度を測定した。
また、ろう付前後のアルミニウム合金材表面における分散粒子の大きさ及び数については、2000倍のSEM観察写真を計10視野(視野合計0.035mm2)撮影し、画像回析装置を用いて分散粒子粒径(円相当径)分布を測定することにより求めた。
表3に示すように、本発明で規定する成分組成を有するアルミニウム合金溶湯を用い、本発明で規定する製造条件で作製した実施例1〜13のアルミニウム合金材は、ろう付後の引張強さが全て137MPa以上であり、また、フィン山高さばらつき度の標準偏差σが全て0.15以下であった。また、ろう侵食深さが全て20μm以下であり、コア耐久性低下率が全て40%以下であった。
比較例2のアルミニウム合金材は、Siの含有量が多すぎ、また、鋳造板厚及び凝固速度が本発明の規定範囲外であるため、ろう付前の合金材の繊維状組織が少なく、また、分散粒子個数が規定範囲外となっている。この結果、ろう付後の引張強さ、フィン山高さばらつき度及びろう侵食深さの評価が劣っている。
比較例4のアルミニウム合金材は、Feの含有量が多すぎ、本発明の規定範囲外であるため、ろう付前の合金材の分散粒子個数が規定範囲外となっている。この結果、ろう侵食深さ及びコア耐久性低下率の評価が劣っている。
比較例6のアルミニウム合金材は、Mnの含有量が多すぎ、本発明の規定範囲外となっているため、圧延時に表面にクラックが入り、その後の評価が出来なかった。
比較例8のアルミニウム合金材は、Niの含有量が多すぎ、本発明の規定範囲外であるため、ろう付後の合金材の分散粒子個数が規定範囲外となっている。この結果、コア耐久性低下率の評価が劣る結果となっている。
比較例10のアルミニウム合金材は、Znの含有量が少なく、本発明の規定範囲外となっているため、チューブに穴あきが生じる結果となった。
比較例13のアルミニウム合金材は、ろう付前の繊維状組織の割合が20%であり、本発明の規定範囲外となっているため、フィンの山高さばらつき度の評価、及びコア耐久性低下率が劣る結果となっている。
Claims (11)
- 質量%で、
Si:0.3%以上1.2%以下、
Fe:0.7%以上2.0%以下、
Mn:0.2%以上0.8%以下、
Zn:0.1%以上1.0%以下
を含有し、残部Alと不可避不純物からなる自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材であって、
ろう付前のアルミニウム合金材特性が、組織に占める繊維状組織の割合が90%以上もしくは10%以下とされ、電気伝導度が43〜53%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×102〜5×104個/mm2の範囲であるとともに、
ろう付後のアルミニウム合金材特性が、組織が再結晶状態とされ、電気伝導度が45〜55%(IACS)の範囲であり、アルミニウム合金材表面における円相当径0.1〜5μmの分散粒子が3×103〜5×105個/mm2の範囲であることを特徴とする、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。 - 質量%で、さらに、
Sc:0.0001%以上1.0%以下、
Cu:0.05%以上0.8%以下、
Mg:0.01%以上0.5%以下、
Zr:0.001%以上0.3%以下、
Ti:0.01%以上0.25%以下、
Cr:0.01%以上0.1%以下、
V:0.01%以上0.1%以下、
Ni:0.01%以上2.0%以下
の内の1種又は2種以上を含有したことをと特徴とする、請求項1に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。 - 質量%で、
Si:0.3%以上1.2%以下、
Fe:0.7%以上2.0%以下、
Mn:0.2%以上0.8%以下、
Zn:0.1%以上1.0%以下
を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造圧延法によって板厚2〜12mmの板材に鋳造した後、直ちにコイル状に巻回する熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法であって、
前記コイル状に巻回される直前のアルミニウム合金材の温度を530℃以下とし、
前記コイル状に巻回したアルミニウム合金材を15℃/hr以上の平均冷却速度で冷却した後、巻回状態を解き、少なくとも2回以上の冷間圧延、及び、少なくとも2回以上の焼鈍を行うことにより、0.1mm以下の最終板厚とすることを特徴とする、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。 - 質量%で、さらに、
Sc:0.0001%以上1.0%以下、
Cu:0.05%以上0.8%以下、
Mg:0.01%以上0.5%以下、
Zr:0.001%以上0.3%以下、
Ti:0.01%以上0.25%以下、
Cr:0.01%以上0.1%以下、
V:0.01%以上0.1%以下、
Ni:0.01%以上2.0%以下
の内の1種又は2種以上を含有したアルミニウム合金溶湯を用いることをと特徴とする、請求項3に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。 - 前記アルミニウム合金溶湯を用いてアルミニウム合金材を鋳造する際の凝固速度を15〜1000℃/secの範囲とすることを特徴とする、請求項3又は4に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記コイル状に巻回されたアルミニウム合金材を冷却した後、180〜550℃の温度で前記焼鈍を行ない、最終工程が終了した後のアルミニウム合金材のろう付前の組織を繊維状組織として形成するとともに、ろう付後の結晶粒径を300μm以上として形成することを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記焼鈍を1〜10hrの時間で行なうことを特徴とする、請求項6に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記冷間圧延及び焼鈍を行なった後、最終工程として前記焼鈍を行なうことを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記冷間圧延及び焼鈍を行なった後、最終工程として前記冷間圧延を50%以下の最終圧延率で行うことを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材の製造方法。
- 請求項3〜9の何れか1項に記載の製造方法で得られる、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
- 請求項1〜2又は請求項10の何れか1項に記載の、ろう付によって製造される高強度自動車熱交換器用部材に用いられる、成形性と耐エロージョン性に優れた自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材が用いられてなる自動車熱交換器。
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