以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施の形態に係わる画像処理装置は、原稿画像を読み取って各種の画像処理を施す機能を備えた複合機と称される装置である。画像処理装置は、原稿を読み取り位置へ自動搬送する自動原稿搬送装置を備えており、この自動原稿搬送装置で複数枚の原稿が重なって搬送される重送の有無の判定し、その発生箇所(ページ位置)を特定してリカバリする機能を有している。
図1は、本発明の実施の形態に係わる自動原稿搬送装置20の構成を示している。
図1(a)は、画像処理装置10の外観の模式図を示している。図中斜線で塗りつぶした自動原稿搬送装置20は、画像処理装置10の本体10aの上面をなす原稿読取面を覆うようにして取り付けられている。
図1(b)は、自動原稿搬送装置20と原稿を読み取る画像読取部30との概略構成を説明するための断面図を示している。
自動原稿搬送装置20は、載置トレイ21に積載された複数枚の原稿束の最上部から原稿1を1枚ずつ順に繰り出す給紙ローラ22と、原稿の読取位置となるコンタクトガラス31上に原稿1を密着させながら通過させるための密着ローラ23と、給紙ローラ22によって送り込まれた原稿1を密着ローラ23に沿って案内する案内ローラ24とを備えている。さらに、コンタクトガラス31を通過した原稿1の進行方向を切り替える切替爪25と、両面原稿の表裏を反転させるための反転ローラ26と、読み取りの完了した原稿1が排出される排紙トレイ27とを備えている。
搬送される原稿1が両面原稿の場合は、密着ローラ23に送られてコンタクトガラス31上を通過した後、一対の反転ローラ26の間を通るように切替爪25によって案内される。原稿1の後端部分が反転ローラ26に到達する直前に反転ローラ26の回転方向が反転し、かつ切替爪25が変位して、今度は密着ローラ23の上側に向けて原稿1が送り出される。これにより原稿1の表裏が反転する。
密着ローラ23に送られてコンタクトガラス31上を再び通過した原稿1は再度反転された後、切替爪25によって排紙トレイ27に向けて案内されて排出される。原稿1が片面原稿の場合には、載置トレイ21から繰り出された原稿1は密着ローラ23に沿ってコンタクトガラス31上を通過した後、そのまま排紙トレイ27に向けて案内され、排出される。
画像読取部30は、自動原稿搬送装置20によって送り込まれた原稿1の読取位置となるスリット状のコンタクトガラス31と、ユーザの手で載置された原稿1の読取位置となるプラテンガラス32とを上面に備えている。コンタクトガラス31およびプラテンガラス32の下方には、光源33とミラー34とからなる露光走査部35が設けてある。露光走査部35は、図示省略の駆動手段によりプラテンガラス32の下面に沿って移動可能に構成されている。光源33は、コンタクトガラス31やプラテンガラス32を通じて原稿1を照射し、ミラー34は原稿1からの反射光を受け、その進路をプラテンガラス32と略平行にする機能を果たす。
さらに、画像読取部30は、原稿1からの反射光を受光し、その光強度に応じたアナログ画像信号を出力するラインイメージセンサ36と、原稿1からの反射光をラインイメージセンサ36へ集光する集光レンズ37と、露光走査部35のミラー34からの反射光をラインイメージセンサ36へ導くための光学経路を形成する各種のミラー38とを備えている。ラインイメージセンサ36は、原稿1を主走査方向に走査する機能を有し、たとえば、多数のCCD(Charge Coupled Device)素子で構成される。
自動原稿搬送装置20を用いた場合には、流し読み方式で原稿が読み取られる。流し読み方式では、露光走査部35をコンタクトガラス31の真下で停止させた状態で、コンタクトガラス31の上を通過するように原稿1を移動させることで副走査方向の相対移動を行なって原稿1の画像を読み取るようになっている。自動原稿搬送装置20の載置トレイ21に原稿面を上向きにしてセットされた原稿1は、その先端(図1(b)に向かって左端)から給紙ローラ22に引き込まれた後、密着ローラ23に沿って反転給紙されてコンタクトガラス31上の読取位置を通過する。
このように、画像読取部30は、自動原稿搬送装置20を用いた場合にはコンタクトガラス31が原稿1の読取位置となる。また、ユーザの手で原稿1が載置された場合はプラテンガラス32が読取位置となる。したがって、自動原稿搬送装置20により複数枚の原稿1が重なって搬送される重送の有無を判定する本実施の形態における読取位置には、コンタクトガラス31が該当する。
さらに自動原稿搬送装置20には、アンテナ50と、原稿センサ51とが設置されている。
アンテナ50は、原稿1に付された情報記憶媒体としてのRFID(Radio Frequency IDentification)タグと無線通信を行なう機能を果たす。
ここで、RFIDとは、微小な無線チップ(RFIDタグ)を利用してモノを識別・管理する仕組みである。具体的には、情報を記憶可能なRFIDタグが識別・管理の対象となるモノに予め付されている。このRFIDタグとアンテナ50との間で無線通信により読み書きされる情報に基づいて、RFIDタグの付されたモノが識別・管理される。本実施の形態では、各原稿1に付されているRFIDタグを利用して、画像の読み取り対象となる原稿1が管理される。
アンテナ50は、自動原稿搬送装置20内の原稿1が1枚ずつ搬送される搬送経路中の所定位置に設置されている。アンテナ50の通信領域は、載置トレイ21や排紙トレイ27にある原稿1のRFIDタグを検知せずに、搬送中の原稿1に付されたRFIDタグのみを検知するように設定されている。
原稿センサ51は、搬送されている原稿1の先端と後端とが自動原稿搬送装置20内の所定の位置を通過したことを検知する機能を果たす。原稿センサ51は、たとえば、自動原稿搬送装置20内の原稿1が搬送される搬送面上に、搬送方向に対して斜め前方に飛び出した押し下げ可能なレバーと、このレバーが搬送面下に没入した位置でオンとなる図示省略のスイッチとから構成されている。
自動原稿搬送装置20で搬送中の原稿1の先端が原稿センサ51のレバーに到達すると、原稿1の押圧でレバーが徐々に押し下げられ、搬送面下に没入してスイッチがオンとなる。これにより、搬送中の原稿1の先端が原稿センサ51の位置を通過したことが検知される。
そのまま原稿1が搬送されて、原稿1の後端が原稿センサ51のレバーを通過すると、レバーは原稿1の押圧から開放されて元の状態に戻り、スイッチがオフとなる。これにより搬送中の原稿1の後端が原稿センサ51の位置を通過したことが検知される。
次に、画像処理装置10が有する機能について説明する。
本実施の形態に係わる画像処理装置10は、公衆回線を介して画像データを送受信するファクシミリ機能、原稿を読み取ってその複製画像を記録紙上に形成する複写機能、読み取った画像データを外部へ出力するスキャナ機能、受信した印刷データに基づいて印刷するプリンタ機能など複数種類の画像処理機能を備えた複合機として構成されている。
画像処理装置10では、作業単位としてのジョブ毎に、ファクシミリ機能による送信ジョブや受信ジョブ、複写機能による複写ジョブ、スキャナ機能によるスキャンジョブやプリンタ機能によるプリントジョブなどが実行される。たとえば、送信ジョブにおいて「自動原稿搬送装置を用いて原稿束を自動的に読み取り、この画像データをユーザから受け付けた電話番号が示す相手先に公衆回線を介して送信する」という作業が指示された場合に、これらの一連の作業が1つのジョブとして扱われる。
各ジョブは、送信部数や印刷部数、解像度、拡大縮小などの各種設定項目により動作条件が規定されている。これらの動作条件は、その標準的な値がデフォルトのジョブ情報として予め登録されている。ユーザは、ジョブ投入時に電話番号などの必要な情報を入力したり、デフォルトのジョブ情報を適宜変更したりすることにより自己の希望に合った動作条件でジョブを実行させることができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係わる画像処理装置10の電気的構成を示している。
画像処理装置10は、その動作を統括制御する制御部としてのCPU(中央演算処理装置)11と、ROM(リード・オンリ・メモリ)12とRAM(ランダム・アクセス・メモリ)13とを主要部とした回路で構成されている。
ROM12は、CPU11が実行するプログラムや各種固定データを記憶している。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリや、回転処理などを施すために、画像データを少なくとも1ページ分格納するページメモリとして機能する。
さらに、CPU11には、LCD(Liquid Crystal Display)40と、入力部41と、画像読取部30と、画像処理部42と、プリンタ部43と、通信部44と、自動原稿搬送装置20と、無線制御部52と、原稿センサ51と、不揮発メモリ55とが接続されている。
LCD40は、ユーザに各種の案内表示や状態表示を行なう機能を果たす液晶ディスプレイである。
入力部41は、各種の操作スイッチとLCD40の表面を覆うタッチパネルとで構成され、ユーザから各種の操作を受け付ける機能を果たす。
画像読取部30のラインイメージセンサ36から出力されたアナログ画像信号はA/D(アナログ/デジタル)変換され、デジタルの画像データとしてCPU11に取り込まれている。
画像処理部42は、画像データを拡大縮小する機能や、画像を回転させる機能などを果たす。
プリンタ部43は、画像データに対応する画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して印刷出力する機能を果たす。プリンタ部43は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有するいわゆるレーザープリンタとして構成されている。
通信部44は、ファクシミリ機能による画像データの送受信や、PC(Personal Computer)との間で各種データの送受信をするための機能を有している。ファクシミリ機能により画像データを送受信する場合は、公衆回線を介して各種制御信号と画像データとを相手先端末との間でやり取りする機能を果たす。これらのデータ通信は、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication standardization sector:国際電気通信連合電気通信標準化セクタ)が勧告T.30で通信規格を定めたG3(Group3)ファクシミリの伝送制御手順に基づいて実行される。PCとの間で各種データの送受信をする場合は、ネットワークを介して電子メール機能などによりデータ通信を行なう機能を果たす。
自動原稿搬送装置20による原稿1の搬送は、CPU11からの指示に基づいて実行される。
無線制御部52には、図1に示したアンテナ50が接続されている。無線制御部52は、このアンテナ50を介して原稿1に付されているRFIDタグと情報を送受信したり、RFIDタグに非接触電力伝送による電力供給をしたりするための制御を行なう機能を果たす。
RFIDタグと情報の送受信を行なう場合には、無線制御部52は検知読出手段53としての機能と、書込手段54としての機能とを果たす。検知読出手段53は、自動原稿搬送装置20で搬送中の原稿1にRFIDタグが付されているか否かを検知する検知手段としての機能と、RFIDタグに記憶されている情報を読み出す読出手段としての機能とを果たす。また、書込手段54は、CPU11から情報を取得し、搬送中の原稿1に付されたRFIDタグに該情報を書き込む機能を果たす。
原稿センサ51が原稿1の先端や後端を検知したことを示す信号はCPU11に入力されている。
不揮発メモリ55は、電源をオフにしても記憶内容が保持される書き替え可能なメモリである。不揮発メモリ55は、半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)などにより構成される。不揮発メモリ55は、画像データや各ジョブに関するジョブ情報などを記憶する機能を果たす。
CPU11は、さらに、判定手段56と、切替設定手段57と、再処理手段58と、警告手段59としての機能を有している。
判定手段56は、自動原稿搬送装置20で複数枚の原稿1が重なって搬送される重送の有無を判定する機能と、重送をリカバリするための情報を書込手段54に提供する機能とを果たす。重送の有無は、検知読出手段53が原稿1に付されたRFIDタグを検知した結果に基づいて判定するようになっている。
重送をリカバリするための情報には、重送された原稿であることを示す重送情報と該原稿に対して行なわれていたジョブの内容を示すジョブ情報とがある。
重送された原稿1に対するジョブは、多種類のジョブ情報によりその内容が規定されている。これらのうち判定手段56から提供されるジョブ情報は、種別情報と相手先情報とである。種別情報は、ジョブの種別を示す情報である。相手先情報は、送信ジョブにおいて相手先ファクシミリ装置の電話番号を表す情報である。
判定手段56から提供されるジョブ情報は、実行中のジョブが複写ジョブやスキャンジョブ、プリントジョブの場合は、種別情報のみから構成される。送信ジョブの場合は、種別情報と相手先情報とから構成される。
なお、送信ジョブの種類は、例示したファクシミリ機能による場合に限定されない。たとえば、IP(Internet Protocol)ファクシミリ機能やインターネットファクシミリ機能、スキャン・トゥ・Eメール機能などによりネットワークを介して画像データを送信してもよい。この場合は、それぞれの機能に応じてIP電話番号やメールアドレスなどが相手先情報となる。また、相手先名などを相手先情報としてもよい。相手先名に対応付けて電話番号などを記憶させておけば、これらの情報に基づいて送信ジョブを実行することができる。
切替設定手段57は、ジョブの実行中に重送があったと判定された場合に、その後該ジョブに対してどのような動作を行なうかについてのモード切替をする機能を果たす。モード切替は、LCD40に表示される図示省略のタッチパネルを介して、ユーザからの指示に基づいて行なわれる。
切替可能なモードには、保留モードと強制実行モードとがある。保留モードは、重送が発生したと判定された場合に、重送と判定されなかった他の原稿1の画像読取は継続し、読み取った画像データを不揮発メモリ55に保存してから実行中のジョブを一旦終了させ、該ジョブに係わる残りの処理の実行を保留にするモードである。
強制実行モードは、重送が発生したと判定された場合に、重送と判定されなかった他の原稿1についての画像読取は継続し、そのとき読み取った画像だけで実行中のジョブを継続して完了させるモードである。
再処理手段58は、以前に重送された原稿1を再読み取りする際の動作(以下、再処理動作という。)に係わる制御を行なう機能を果たす。再処理動作には、原稿束の中から以前に重送された原稿1を峻別してその画像を読み取る動作(以下、再読取動作という。)と、読み取った画像を用いてジョブを実行する動作(以下、再実行動作という。)とが含まれる。
詳細には再読取動作は、載置トレイ21に再載置された原稿束を1枚ずつ搬送する動作と、搬送中の原稿1に付されているRFIDタグ内の情報を読み出す動作と、重送情報が読み出された原稿1から画像を読み取る動作とから構成される。重送情報が保存されていない原稿は搬送されるのみで、画像の読み取りを行なう必要はない。
再実行動作は、重送発生時に設定されていたモードに応じてその内容が異なる。保留モードの場合には、再読取動作で読み取った画像を、保留中のジョブの画像として補充する動作と、保留中のジョブの残りの処理を実行する動作とから構成される。画像の補充は、不揮発メモリ55に保存されている画像データが属するジョブと同一のジョブに、再読取動作で読み取った画像データを関係付けることにより行なわれる。
強制実行モードの場合には、重送されなかった原稿1については、画像を読み取ってそのままジョブが完了している。そこで、再実行動作は、その完了したジョブにおいて重送されずに読み取られた原稿1の画像に対して実行された処理と同一の処理を、重送された原稿、すなわち再読取動作で読み取った画像に対して実行するという動作で構成される。
警告手段59は、ジョブの実行中に重送があったと判定された場合に、その旨の警告を発する機能を果たす。警告は、画像処理装置10のLCD40への警告表示や、通信部44の電子メール機能を利用した所定端末への警告メッセージの送信などにより行なわれる。電子メール機能による場合は、予め登録された電子メールアドレスを使ってユーザ認証時などに特定されたユーザに対して警告が送信される。警告は、このほか音声やLED(Light Emitting Diode)ランプの点灯などによって行なってもよく所定の手法に限定されない。
図3は、原稿1にRFIDタグ2が付されている位置の代表的な例を示している。RFIDタグ2は、外部から電磁的に電力の供給を受けて動作するIC(Integrated Circuit)チップとアンテナとを内蔵しており、無線制御部52と通信して非接触で情報の読み書きができる。また、衝突回避技術を利用して同じ通信領域内の複数のRFIDタグ2に対して、それぞれ独立に情報を読み書きできる。
本実施の形態では、各原稿1のRFIDタグ2は図中斜線で塗りつぶした右上部分の位置に1つずつ付されている。このほか、図中破線で例示したRFIDタグ2a〜2dの位置でもかまわないし、そのほかの位置でもよい。
図4は、RFIDタグ2に記憶される情報の内容を示している。
図4(a)は、RFIDタグ2に記憶されるRFIDデータ60のデータ構造の一例を示している。RFIDデータ60は、ページ番号領域61と、重送情報領域62と、ジョブ情報領域63と、予備領域64とから構成される。
ページ番号領域61は、所定の原稿束における各原稿1のページ番号が予め記憶されている領域である。ページ番号は16進法で記憶されている。
ページ番号は、再処理動作で読み取った画像を、重送により保留中のジョブ(保留モード)の正しいページ位置へ補充するのに利用される。ここでは、各原稿1の画像読取時に読み出されたページ番号は、対応する原稿1の画像データと関連付けて不揮発メモリ55に保存される。
なお、原稿束によっては、ページ番号が記憶されていないRFIDタグ2や、ページ番号領域61自体を有さないRFIDタグ2があってもよい。この場合は、再処理動作で読み取った画像は、たとえば、保留中のジョブの画像の最終ページに続けて補充される。
重送情報領域62は、重送情報が書き込まれる領域である。「00」は重送情報が書き込まれていない状態を表し、「FF」は重送情報が書き込まれた状態を表している。
ジョブ情報領域63は、ジョブ情報(種別情報と相手先情報)が書き込まれる領域である。種別情報は、コード化して表してあり、「43」が複写ジョブを表し(アスキーコードで「Copy Job」の頭文字「C」に相当)、「53」がスキャンジョブを表し(同じく「Scan Job」の「S」)、「50」がプリントジョブを表し(同じく「Print Job」の「P」)、「54」が送信ジョブを表している(同じく「Transmission Job」の「T」)。
相手先情報は、相手先ファクシミリ装置の電話番号の各桁の数字をアスキーコードで表している。
ジョブ情報領域63には、ジョブ情報が種別情報、相手先情報の順番で記憶され、末尾に「0d0a」の改行コード(アスキーコードで改行を意味する「CR LF」に相当)が付されるようになっている。
予備領域64は、通常はデータの読み書きが行なわれない予備の記憶領域であり、上記以外の新たな情報の書き込みに利用できる。
図4(b)は、重送されなかった原稿1に付されているRFIDタグ2に記憶されているRFIDデータ60aの一例を示している。ページ番号領域61の「0A」は、ページ番号の「10ページ目」を表し、重送情報領域62の「00」は、重送情報が書き込まれていないことを表している。また、ジョブ情報領域63にジョブ情報は記憶されていない。
図4(c)は、重送された原稿1に付されているRFIDタグ2に記憶されているRFIDデータ60bの一例を示している。ページ番号領域61の「0D」は、ページ番号の「13ページ目」を表し、重送情報領域62の「FF」は、重送情報が書き込まれていることを表している。また、ジョブ情報領域63の行頭2桁の「54」は、「送信ジョブ」を表し、これに続く改行コードまでの数字は、外線発信番号「0」を加えた相手先ファクシミリ装置の電話番号「046(260)9291」を表している。
次に、判定手段56が、原稿1に付されているRFIDタグ2の検知結果に基づいて重送を判定する2つの手法について説明する。
図5は、検知読出手段53がRFIDタグ2を検知した時間差に基づいて重送の有無を判定する第1の判定手法の原理を示している。
図5(a)は、重送の発生していない状態で、第1原稿1Aと第2原稿1Bとが自動原稿搬送装置20で搬送される様子を模式的に示している。第1原稿1Aには第1RFIDタグ2Aが付され、第2原稿1Bには第2RFIDタグ2Bが付されている。本図では、すべての原稿が同一サイズであり、RFIDタグが同じ位置となるように各原稿の向きが整えられており、また、原稿束は横置きで載置されている。
図5(a)の検知領域3は、アンテナ50でRFIDタグを検知可能な範囲を示している。検知領域3は、自動原稿搬送装置20の搬送経路内にある。検知領域3は、たとえば、搬送方向に対して原稿を直角に横切る細長い形状になっている。検知領域3は、搬送されてくる最大サイズの原稿の全幅をカバーできるように設定されている。
第1の判定手法では、第1原稿1Aの第1RFIDタグ2Aが検知領域3を通過した時刻T1と、第2原稿1Bの第2RFIDタグ2Bが検知領域3を通過した時刻T2との時間差ΔSを基準の時間差と比較して重送の判定を行なう。重送がなければ、時間差ΔSは、自動原稿搬送装置20が原稿を繰り出す時間間隔とほぼ等しくなる。ここで、検知領域3の幅が充分狭ければ、RFIDタグが検知された時刻はRFIDタグの通過時刻とみなせる。なお、検知領域3の幅が広い場合には、RFIDタグが検知され始めた時刻と検知されなくなった時刻との中間の時刻を通過時刻とすればよい。
一方、図5(b)のように重送された場合は、原稿同士の重なりの分だけRFIDタグ2A、2B相互間の距離が短くなるので、時間差ΔSが原稿を繰り出す時間間隔より短くなる。
上記のように、RFIDタグが検知される時間差ΔSは重送の有無によって変動する。重送がない場合のΔSは原稿の繰り出し時間とほぼ等しくなる。そこで、第1の判定手法では、時間差ΔSと対比する基準の時間差ΔS0を原稿の該繰り出し時間に設定している。そして、ΔS0>(ΔS+α)のとき重送が発生したと判定している。ここで、αは許容誤差時間である。なお、該当の時間差ΔSに関係する両方の原稿が共に重送原稿と判定される。
たとえば、基準の時間差ΔS0は、縦置き/横置きを含めた原稿サイズ別に、A4(縦置き)が0.91秒、A4R(横置き)が1.29秒、A3が1.83秒などと設定されている。これらの値は、ROM12などに予め記憶してある。判定手段56は、ジョブの開始時などに検知された原稿サイズに応じて基準の時間差ΔS0を選択し、これを判定の基準に使用している。
なお、3枚の原稿が重送される場合であっても、重送の判定手法は変わらない。まず、1枚目の原稿と2枚目の原稿とについて重送の有無を判定する。同様に、2枚目と3枚目とについての判定をする。それぞれで重送が発生したと判定された場合は、1〜3枚目すべてが重送された原稿となる。原稿の枚数がさらに多い場合も同様である。
また、原稿のサイズとRFIDタグの位置とが統一されていれば、原稿内のどの位置にRFIDタグが付されていても、重送なしに搬送される原稿同士のRFIDタグ間の相対距離は一定となる。したがって、原稿のサイズとRFIDタグの位置とが統一される条件下では、原稿内のRFIDタグの取り付け位置にかかわらず、原稿サイズ毎に一定の基準の時間差ΔS0を採用することができる。
また、原稿に複数のRFIDタグが付されていてもよい。この場合は、たとえば、ページ番号が同一の複数のRFIDタグの中の1つを、該ページ番号の原稿を代表する重送判定用のRFIDタグに特定すればよい。そして、原稿毎に特定したRFIDタグ相互の時間差ΔSを基準に重送の有無を判定する。なお、重送情報の書き込みは、特定した1つのRFIDタグに対して行なってもよいし、同一ページ番号のすべてのRFIDタグに対して行なってもよい。
以上のように、判定手段56は、透過光の光量や搬送ベルトを押す圧力を基準にする従来の判定方法とは異なり、情報記憶媒体であるRFIDタグ2の検知結果に基づいて重送の有無を判定するので、精度よく重送を判定することができる。
特に、第1の判定方法では、隣接するRFIDタグ2を検知する時間差を基準に重送の有無を判定する、すなわち、時間差Sが所定の時間より短いとき重送があったと判断するので、原稿の繰り出しタイミングや搬送中の原稿の絶対的な位置を検知するセンサなどを必要とせず、簡単な構成で重送の有無を判定できる。
次に、第2の判定手法について説明する。
図6は、第2の判定手法の原理を示している。第2の判定手法では、原稿センサ51で原稿を検知した時刻を基準にして自動原稿搬送装置20が送り出した原稿が検知領域3を通過する絶対的な期間(予定の期間)を割り出し、その期間内におけるRFIDタグ2の検知状況に基づいて重送の有無を判定するようになっている。
図6(a)は、重送の発生していない状態で、原稿1が搬送される様子を模式的に示している。図中の横軸は時間軸4を示している。載置トレイ21から繰り出された原稿1aは、時刻T1に原稿センサ51に検知される。その後、時間αの経過後の時刻T2(=T1+α)に同原稿1bの先端が検知領域3に到達する。原稿が検知領域3に到達するまでの時間αは、原稿センサ51から検知領域3までの距離と原稿の搬送速度とから絶対的に定まる。
さらに、時間βの経過後の時刻T3(=T1+α+β)に同原稿1cの後端が検知領域3を通過する。原稿が検知領域3を通過するまでの時間βは、検知領域3の幅が充分狭ければ、原稿サイズと原稿の搬送速度とから絶対的に定まる。
ここで、時刻T1に原稿センサ51で検知された原稿1のRFIDタグ2は、原稿1のどの位置に配置されていたとしても、原稿1の先端が検知領域3に到達した時刻T2から、原稿1の後端が検知領域3を通過し終える時刻T3までの期間に検知される。したがって、「時刻T2〜時刻T3」までの期間は、この原稿1の「RFIDタグ2が検知される予定の期間」に相当する。たとえば、図6(a)では、該期間中に1個のRFIDタグ2が検知されている。
一方、図6(b)のように重送された場合は、該期間中に第1原稿1Aと第2原稿1Bとについての2個のRFIDタグ2A、2Bが検知されている。さらに、3枚以上の原稿が重送された場合には、同様に3個以上のRFIDタグが検知される。
上記のように、「RFIDタグが検知される予定の期間」中に検知されるRFIDタグの個数は、重送の有無によって変化する。そこで、第2の判定手法では、搬送中の各原稿を原稿センサ51で検知した時刻を基準にして「RFIDタグが検知される予定の期間(時刻T2〜時刻T3)」を割り出し、この期間中に検知されたRFIDタグの個数に基づいて重送の有無を判定する。該期間中に複数枚分(1枚の原稿に付されているRFIDタグの個数より多い個数)のRFIDタグが検知されれば、それらのRFIDタグが付されている原稿はすべて重送原稿と判定される。
原稿が検知領域3に到達するまでの時間αは、ROM12などに予め記憶してある。同様に、原稿が検知領域3を通過する時間βも、縦置き/横置きを含めた原稿サイズ別に記憶してある。たとえば、判定手段56は、ジョブの開始時などに検知された原稿サイズに応じて時間βを選択する。また、1枚分の原稿に付されているRFIDタグの個数も予め記憶されており、その個数と実際に各原稿から検知されたRFIDタグの個数とを対比して重送の有無を判定する。
また、原稿サイズに基づいて定まる時間βを利用する代わりに、原稿センサ51で原稿の後端を検知した時刻に一定時間αを加えた時刻をその原稿の後端が検知領域3を通過し終える時刻T3としてもよい。このほか、次の原稿の直前の位置を先の原稿の後端とみなしてもよい。このとき、自動原稿搬送装置20が次の原稿を繰り出し始めた時刻に一定時間αを加えた時刻を、先に繰り出された原稿の後端が検知領域3を通過し終える時刻T3とすることができる。
任意の原稿につき、該原稿に付されているRFIDタグが検知される予定の期間は、原稿サイズに応じて絶対的に定まるので、原稿束に含まれる原稿のサイズや各原稿に付されたRFIDタグの位置がばらばらでも、正しく重送の有無を判定することができる。
また、RFIDタグの検知結果に基づいて、重送の有無を判定する手法は、これまで説明した第1、第2の判定手法を用いる場合に限定されない。たとえば、原稿の先端と後端とに分けて配置したRFIDタグにより重送の有無を判定してもよい。詳細には、その原稿の対角線上の2つの頂点にそれぞれRFIDタグを付し、双方に各原稿の識別情報を記憶させておく。そして、1枚目の原稿の識別情報を「A」、2枚目を「B」とする。重送が発生していなければ、搬送中の原稿の識別情報は「A(先端)、A(後端)、B(先端)、B(後端)、…」という順番で読み出される。一方、重送された場合は「A(先端)、B(先端)、A(後端)…」の順番で読み出される。このように、1枚の原稿の識別情報が読み出される順番は、重送の有無によって変化する。そこで、「重送が無ければ、同じ識別情報が2つずつ連続して読み出される」という規則を予め記憶しておき、この規則とは異なる順番で識別情報が読み出された場合には重送が発生したと判定してもよい。なお、対角線上の2頂点にRFIDタグを付すことによって、原稿を載置する際に上下方向が逆であっても、また、縦置き/横置きのどちらにも対応できる。
図7は、画像処理装置10を利用したシステム構成の一例を示している。該システムは、本実施の形態に係わる画像処理装置10と、公衆回線を介して画像処理装置10に接続されたファクシミリ装置9と、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続されたPC8とから構成される。
ファクシミリ装置9は、送信ジョブに係わる画像データの受信先としての機能を果たす。ファクシミリ装置9は、ファクシミリ機能により画像データの受信ジョブを実行可能な複合機として構成してもよい。
PC8は、電子メールを利用した重送が発生した旨の警告メッセージを受信する所定端末としての機能を果たす。PC8は、警告の対象となるジョブの実行を依頼したユーザのPCとするほか、画像処理装置10の管理者のPCとしてもよい。
図8は、第1の実施の形態に係わる画像処理装置10がジョブの実行中に重送の有無を判定して、そのジョブを継続または保留する動作の流れを示している。判定手段56は、第1の判定手法と第2の判定手法とのいずれの手法で重送の有無を判定してもかまわない。
ジョブがスタートすると、画像処理装置10は自動原稿搬送装置20で原稿1を1枚ずつ搬送しながら画像を読み取る(ステップS101)。RFIDタグ2にページ番号が記憶されている場合は、ここでページ番号を読み出す(ステップS101)。
次に、重送が発生しているか否かを判定し(ステップS102)、重送が発生していなければ(ステップS102;N)その原稿1についての画像の読み取りを完了する(ステップS109)。
そして、RFIDタグ2からページ番号を読み出したか否かを確認し(ステップS110)、読み出していれば(ステップS110;Y)読み取った画像データをページ番号と関連付けて保存し(ステップS111)、載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS106)。ページ番号を読み出していなければ(ステップS110;N)、読み取った画像データのみを保存し(ステップS112)、載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS106)。
また、重送が発生したと判定された場合は(ステップS102;Y)、重送された原稿について読み取った画像データを破棄する(ステップS103)。そして、RFIDタグ2にジョブ情報を書き込み(ステップS104)、さらに、重送情報を書き込んで(ステップS105)、載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS106)。
載置トレイ21上に原稿1が残っていれば(ステップS106;Y)これまでの動作を繰り返す(ステップS101〜S106、S109〜S112)。
載置トレイ21上に原稿1が残っていなければ(ステップS106;N)、原稿の読取中に重送が発生したか否かを確認し(ステップS107)、重送が発生していなければ(ステップS107;N)そのままジョブを実行し、保存した画像データやページ番号を削除して(ステップS108)動作を終了する(エンド)。
原稿の読取中に重送が発生していれば(ステップS107;Y)、読み取った画像データに実行中のジョブに関するジョブ情報を関連付けて保存し(ステップS113)、現在の設定が保留モードか否かを確認する(ステップS114)。強制実行モードとなっている場合は(ステップS114;N)、重送された原稿以外の原稿1から読み取った画像だけでジョブを実行し、保存した画像データを削除して(ステップS115)ジョブの実行中に重送が発生した旨の警告を行ない(ステップS117)動作を終了する(エンド)。
設定が保留モードとなっている場合は(ステップS114;Y)、そのままジョブを保留して(ステップS116)ジョブの実行中に重送が発生した旨の警告を行ない(ステップS117)動作を終了する(エンド)。
重送された原稿1のRFIDタグ2に重送情報を書き込むことで、どの原稿1で重送が発生したのかを後から特定することができる。これにより、重送の発生した位置をユーザに知らせるために重送発生時点で原稿1の読取動作を中断する必要がなくなる。
また、実行中であったジョブに関するジョブ情報を重送された原稿1のRFIDタグ2に書き込むことで、後からこれらの情報を読み出して再度の設定操作なしに同じ内容のジョブを実行するのに利用することができる。
図9は、第1の実施の形態に係わる画像処理装置10が実行する再処理動作の流れを示している。
警告などにより重送の発生を知ったユーザから実行指示を受け付けると再処理動作をスタートする。画像処理装置10は、載置トレイ21に載置された原稿1を自動原稿搬送装置20で搬送しながら、RFIDタグ2内の情報を読み出す(ステップS201)。このとき、原稿1ページ毎に重送情報が読み出されたか否かを確認し(ステップS202)、重送情報がなかった場合には(ステップS202;N)、載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS206)。
重送情報が読み出された場合は(ステップS202;Y)、搬送中の原稿1の画像を読み取って保存し、RFIDタグ2内の重送情報やジョブ情報を消去する(ステップS203)。RFIDタグ2から読み出した情報にページ番号が含まれていない場合は(ステップS204;N)、載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS206)。
一方、ページ番号を読み出した場合は(ステップS204;Y)、読み取った画像データにページ番号を対応付けて(ステップS205)載置トレイ21上の原稿1の有無を確認する(ステップS206)。
載置トレイ21上に原稿1が残っていれば(ステップS206;Y)これまでの動作を繰り返す(ステップS201〜S206)。
載置トレイ21上に原稿1が残っていなければ(ステップS206;N)、これまでの動作で画像を読み取ったか否かを確認し(ステップS207)、画像を読み取っていなければ(ステップS207;N)そのまま動作を終了する(エンド)。
画像を読み取った場合には(ステップS207;Y)、読み取った画像が保留中のジョブに係わるものであるか否かを確認する(ステップS208)。重送発生時の設定が強制実行モードである場合には(ステップS208;N)、そのままジョブを実行する(ステップS211)。
保留ジョブに係わる画像である場合は(ステップS208;Y)、ステップS205の動作で読み取った画像データがページ番号と対応付けられているか否かを確認する(ステップS209)。ページ番号と対応付けられていない場合は(ステップS209;N)、ジョブ保留時に保存しておいた画像の最後のページに続けて今回読み取った画像を補充して(ステップS212)ジョブを実行する(ステップS211)。
ページ番号と対応付けられている場合は(ステップS209;Y)、今回読み取った画像をページ番号に基づく正しいページ位置に補充して(ステップS210)ジョブを実行する(ステップS211)。
以上のステップの動作が完了したら、重送が発生した際に設定されていたモードに応じてジョブを実行して(ステップS211)動作を終了する(エンド)。
図10は、第1の実施の形態に係わる画像処理装置10が再処理動作時にジョブを実行する動作の流れ(図9のステップS211に相当する。)を示している。
再処理動作のジョブがスタートすると、読み取った原稿1の重送発生時の設定が強制実行モードであったか保留モードであったかを判断する(ステップS301)。強制実行モードであった場合は、(ステップS301;N)、再処理動作で読み取った画像に対してその原稿1に付されていたRFIDタグ2から読み出したジョブ情報に基づいてジョブを実行し(ステップS302)動作を終了する(エンド)。
たとえば、重送発生時に実行中のジョブが送信ジョブであれば、再処理動作で読み取った画像のみがファクシミリ送信される。また、複写ジョブであれば、再処理動作で読み取った画像のみが印刷される。
また、読み取った原稿1の重送発生時の設定が保留モードであった場合は(ステップS301;Y)、再処理動作で読み取った画像の補充が完了した画像に対して、RFIDタグ2から読み出したジョブ情報に基づいてジョブを実行し(ステップS303)、動作を終了する(エンド)。
保留モードでは、再処理動作で読み取った画像が保留になっているジョブの画像として補充される。これにより、たとえば、重送発生時に実行中のジョブが送信ジョブであれば、重送された原稿1を含む原稿束全体の画像がファクシミリ送信される。また、複写ジョブであれば、重送された原稿1を含む原稿束全体の画像が印刷される。
以上の動作の流れのまとめとして、重送が発生してから再処理動作が完了するまでに原稿1や画像に対してなされる処理の内容をモード別に説明する。
図11は、保留モードにおける各原稿1とその画像とに対する処理の内容を模式的に示している。図11では、5枚の原稿1から画像「A、B、C、D、E」を読み取って任意のジョブを実行する際に、画像「C、D」を有する原稿1の間で重送が発生した場合について説明する。
図11(a)は、重送発生時の処理内容を示している。原稿の読取動作実行中に重送が発生すると、重送された原稿1(図中、斜線で塗りつぶして表示)のRFIDタグ2には、それぞれ重送情報とジョブ情報とが書き込まれる。これらの原稿1に対応する画像データ「C、D」は、画像処理装置10内に保存されない。一方、重送された原稿以外の原稿1に対しては、画像の読み取りや、RFIDタグ2からのページ番号の読み出しが継続される。そして、読取動作で得た画像データ「A、B、E」や、それぞれの画像に対応するページ番号が画像処理装置10内部に保存され、ジョブの実行が保留される。
図11(b)は、再処理動作時の処理内容を示している。再処理動作が開始すると、重送情報に基づいて重送に係わる原稿1が峻別され画像データ「C、D」やそのページ番号が取得される。一方、画像処理装置10内には、保留中のジョブに係わる画像データ「A、B、E」が保存されている。再処理動作で読み取られた画像は、この保留中のジョブに係わる画像データとして補充される。画像がページ番号と関連付けられている場合には、再処理動作で読み取った画像データは、ページ番号に基づくページ位置に補充される。補充の完了した画像データに対して、ジョブ情報に基づいて保留されていたジョブが実行されて処理が完了する。
保留モードでは、重送の発生後も原稿1の読取動作を最後まで継続してジョブを一旦終了させる。これにより、重送が発生しても画像処理装置10を他のユーザに開放することができる。また、重送の発生した不完全な状態のままではジョブを実行せずに保留しておき、重送のあった原稿1の画像が補充されてからジョブを実行する。これにより、原稿画像の印刷や送信などの出力処理が1回にまとめて実行される。
また、原稿束の中から以前の画像読取時に重送が発生していた原稿1を自動的に峻別してそれらを読み取り直す。これにより、どの原稿が重送されたのかの確認作業をユーザ自身が行なわずに済む。さらに、重送発生時と同じ内容のジョブを再度の設定操作なしに実行することができ、利便性が向上する。
RFIDタグ2にページ番号が記憶されている場合は、再処理動作で読み取った原稿1の画像を、ページ番号に基づくページ位置に補充する。これにより、重送が発生せず正常に原稿束全体の読取動作が完了した場合とページの並び順を含めて同じ状態でジョブが実行され、ページ順序を並べ直す手間がかからない。
図12は、強制実行モードにおける各原稿1とその画像とに対する処理の内容を模式的に示している。前提条件は、図11に例示したものと同じである。
図12(a)は、重送発生時の処理内容を表わしている。原稿の読取動作実行中に重送が発生すると、重送された原稿1(図中、斜線で塗りつぶして表示)のRFIDタグ2に重送情報とジョブ情報とが書き込まれる。画像「C、D」は、画像処理装置10内に保存されない。一方、重送原稿以外の原稿1に対しては、画像の読み取りが継続される。そして、正常に読み取られた画像「A、B、E」に対してジョブが実行されて処理が完了する。
図12(b)は、再処理動作時の処理内容を示している。再処理動作が開始すると、重送情報に基づいて重送に係わる原稿1が峻別され画像「C、D」が読み取られる。同時に、重送原稿1のRFIDタグ2からジョブ情報が読み出される。そして、再処理動作で読み取られた画像に対して、ジョブ情報に基づくジョブが実行される。これにより、重送発生時に正常に読み取られた画像に対して実行された処理と同一の処理が実行される。
強制実行モードでは、原稿束の中から以前の画像読取時に重送された原稿1を自動的に峻別してそれらを読み取り直す。そして、重送発生時に該原稿1に対して実行されなかったジョブを自動的に実行する。これにより、どの原稿で以前に重送が発生していたのかの確認作業をユーザ自身で行なわずに済む。また、以前に重送のあった原稿1に対してのみジョブを実行するので、処理時間の短縮や印刷出力を伴うジョブでは紙やトナーの省資源に役立つ。
なお、RFIDタグ2に記憶された重送情報やジョブ情報を利用すれば、別の場所の画像処理装置10からでも、重送されたときと同じジョブを再度の設定操作なしに実行できる。たとえば、自社からの送信ジョブが重送により失敗した場合に、出張先の同じ機能を有する画像処理装置10で重送された原稿1の画像だけを送信することもできる。
図13は、ファクシミリ操作画面70に警告表示がされている状態の一例を示している。
ファクシミリ操作画面70は、ファクシミリ機能による送信ジョブの操作を受け付けるタッチパネル画面である。警告メッセージ71は、ジョブの実行中に重送が発生したことをユーザに通知するための警告表示である。警告メッセージ71は、重送が発生時のジョブのジョブ番号や、再処理動作を促す案内メッセージから構成されている。
重送ジョブ再処理釦72は、画面表示をユーザから再処理動作の実行指示を受け付ける画面に切り替える釦である。重送ジョブ再処理釦72は、重送発生をユーザに通知する警告表示としての機能も果たしている。重送ジョブ再処理釦72は、重送が発生したと判定された場合にのみファクシミリ操作画面70に表示される。
なお、スキャンジョブなどの他のジョブについての図示省略の操作画面にも同様に警告メッセージ71や重送ジョブ再処理釦72が表示される。これにより各ジョブの実行中に重送が発生した旨の警告がなされる。また、警告を所定の端末へ送信する場合には、たとえば、警告メッセージ71と同じ内容の警告が送信される。
図14は、基本画面73に重送ジョブ再処理釦72が表示されている状態の一例を示している。基本画面73は、ジョブを受け付けていない状態でデフォルト表示される複写ジョブの操作を受け付けるタッチパネル画面である。重送ジョブ再処理釦72は、重送が発生後に再処理動作が行なわれていないことを警告する警告表示としての機能を果たしている。図13のような警告があったにもかかわらず、再処理動作が行なわれない場合には、画面が切り替わっても重送ジョブ再処理釦72表示がされ続ける。
図15は、ユーザから再処理動作の実行指示を受け付ける受付画面74の一例を示している。受付画面74は、ファクシミリ操作画面70などに表示される重送ジョブ再処理釦72を押すと切替表示される画面である。受付画面74は、ジョブ情報表示75と実行釦76となどから構成される。ジョブ情報表示75は、重送発生時のジョブを識別するためのジョブ情報を通知する機能を果たす。実行釦76は、ユーザから再処理動作の実行指示を受け付ける機能を果たす。ユーザが実行釦76のタッチパネルを押すと再処理動作が実行され、図示省略のキャンセルスイッチを押すと再処理動作の実行がキャンセルされて基本画面73に戻る。
このように、ジョブの実行中に重送が発生した旨の警告がなされるので、ユーザはこの警告に基づいて必要な善後策を講じることができる。また、この警告をPC8などの所定端末へ送信することができるので、ユーザは遠隔からでも重送の発生を知ることができる。
続いて、重送が発生した原稿1を特定するための情報を画像処理装置80側に記憶する第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、原稿1に付されたRFIDタグ2が重送情報やジョブ情報を書き込む領域を有していない。これに代えて各RFIDタグ2固有の識別情報を記憶している。識別情報は、RFIDタグ2が付された原稿1を他の原稿から峻別するための指標としての機能を果たす。
図16は、第2の実施の形態に係わる画像処理装置80の電気的構成を示している。画像処理装置80は、図1に示した第1の実施の形態に係わる画像処理装置10と基本構成は同様である。以下、第1の実施の形態と相違する点を説明する。
第2の実施の形態では、RFIDタグ2に重送情報やジョブ情報を書き込む領域がない。したがって、無線制御部52は検知読出手段53の機能のみを有している。
不揮発メモリ55は、重送された原稿1の識別情報を実行中のジョブに係わるジョブ情報と関連付けて記憶する記憶手段としての機能を果たす。さらに、重送されなかった原稿1の画像データを識別情報やジョブ情報と関連付けて保存する機能も有している。
判定手段56は、図5、図6で説明した手法に基づいて、重送された原稿1の有無を判定する機能を有する。この点は、第1の実施の形態と同じである。さらに、判定手段56は、重送が発生したと判定した際に、重送された原稿1のRFIDタグ2から読み出された識別情報を不揮発メモリ55に提供する機能と、実行中のジョブに関するジョブ情報を上記の識別情報と関連付けて不揮発メモリ55に提供する機能とを有している。
図17は、第2の実施の形態に係わる画像処理装置80がジョブの実行中に重送の有無を判定して、そのジョブを継続または保留する動作の流れを示している。画像処理装置80は、RFIDタグ2から識別情報を読み出して重送された原稿1を後から特定するための情報とする。たとえば、図8のステップS104〜S106の各動作は、図17のステップS404に示す動作に置き替えられる。すなわち、重送が発生したと判定したら(ステップS402;Y)、その原稿の画像データを破棄し(ステップS403)、重送された原稿1のRFIDタグ2から読み出した識別情報を記憶する(ステップS404)。
また、画像処理装置10は、この識別情報を正常に読み取った原稿1の画像データや実行中のジョブ情報と関連付けて保存する(ステップS412)。強制実行モードであれば(ステップS413;N)、正常に読み取った画像でジョブを実行した後、この画像データのみを削除する(ステップS414)。これにより、重送された原稿1の識別情報とジョブ情報とのみが保存される。また、保留モードでは(S413;Y)、そのままジョブを保留する(ステップS415)。
図18は、第2の実施の形態に係わる画像処理装置80が実行する再処理動作の流れを示している。画像処理装置80は、装置内に保存した識別情報を用いて、重送された原稿1を峻別する。たとえば、各原稿1のRFIDタグ2から読み出した識別情報を、画像処理装置80内に記憶されている識別情報と照合して、これらの情報が一致する場合に重送された原稿1であると判断して画像の読み取りを行なう(ステップS502)。そして、読み取った画像を、画像処理装置80内に記憶されているジョブ情報と関連付ける(ステップS503)。
なお、ステップS511で実行される動作は、図10で示した動作の流れとほぼ同一である。強制実行モードでは、再処理動作で読み取った画像に対するジョブが、画像処理装置80内に保存されているジョブ情報に基づいて実行される点のみが異なっている。
第2の実施の形態では、重送と判定された原稿1を識別する識別情報をRFIDタグ2から読み出し、重送と判定された原稿1を特定するための情報として記憶しておく。これにより、重送の発生した位置をユーザに知らせるために重送発生時点で原稿の搬送動作を停止させ、画像処理装置80を重送発生時の状態のまま保留しなくて済む。また、ジョブ情報を、識別情報と関連付けて記憶しておけば、後から読み取った画像に対して再度の設定操作なしに重送時と同じ内容のジョブを実行することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、原稿1に付する情報記憶媒体は、磁気カードなどの接触式のものであってもよい。
また、実施の形態では重送情報とジョブ情報とを別々の情報として構成したが、ジョブ情報が重送情報を兼ねていてもよい。たとえば、強制実行モードでの再読取動作時にRFIDタグ2からジョブ情報が読み出された場合に、その原稿1を重送に係わるものと峻別してもよい。
また、再処理動作を行なわない画像処理装置であってもよい。たとえば、判定手段56で重送が発生したことを検知したら、重送の発生した旨を警告し、ユーザ自身にジョブを再実行するように要請してもよい。
また、実施の形態では複数枚が同時に搬送されたすべての原稿を重送と判定するようにしたが、重送の判定結果はこの例に限定されない。たとえば、コンタクトガラス31に接している面の原稿を正常に搬送された原稿と判定して、その背面にある2枚目以降の原稿を重送された原稿と判定するようにしてもよい。
また、重送に係わる複数のジョブを管理するように構成してもよい。この場合は、重送が発生したジョブを識別するジョブ番号などを利用するとよい。そして、このジョブ番号を重送が発生した原稿のRFIDタグ2に記憶させたり、画像処理装置80内の識別情報と関連付けて記憶したりすれば、重送が発生した複数のジョブを区別して管理することができる。
また、RFIDタグ2に書き込まれるジョブ情報は、種別情報や相手先情報に限定されない。送信部数や印刷部数、解像度、拡大縮小などに関するジョブ情報を必要に応じて書き込むようにすれば、重送発生時に実行していたジョブのより詳細な内容の動作を再度の設定操作なしに実行させることができる。
また、再処理動作を実行する際にRFIDタグ2に書き込まれた重送情報やジョブ情報を消去せずに何度も利用できるようにしてもよい。たとえば、再処理動作が正常に完了したことを確認してから、別途ユーザからのマニュアル指示によりこれらの情報を消去してもよい。
また、ユーザの実行指示を待って再処理動作を開始するのではなく、自動的に再処理動作を開始するように構成してもよい。たとえば、載置トレイ21にRFIDタグ2に記憶されている情報を読み出すためのアンテナを設置しておく。そして、載置された原稿束の中に重送情報や、重送と判定された識別情報と一致する識別情報を記憶しているRFIDタグ2が含まれていることを認識したら自動的に再処理動作を開始するようにしてもよい。
また、第2の実施の形態においても、重送情報やジョブ情報を書き込み可能なように画像処理装置80やRFIDタグ2を構成してもよい。RFIDタグ2に重送情報やジョブ情報を書き込んでおけば、第1の実施の形態に係わる再処理動作を実行可能な他の画像処理装置10を利用して、重送された原稿1に対して実行されなかったジョブを再度実行させることができる。
さらに、再処理動作中に再度同じ原稿1で重送が発生した場合にも対応することもできる。たとえば、このような事態が生じた原稿1については再処理動作失敗と判定して新たな警告を行なうようにすればよい。