JP2008304030A - クラッチ機構の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】応答性の低下を抑制しつつ実伝達トルクのピーク値を低下させることのできるクラッチ機構の制御装置を提供する。
【解決手段】この装置は、クラッチ機構を備えている。クラッチ機構は、エンジンと変速機との間に介在されるとともにクラッチペダルに連結され、同クラッチペダルの動作位置(クラッチ開度CRA)の変化に連動して作動態様が変化する。実行条件が成立したときに、エンジンの運転状態に基づいて定常時伝達トルクTtの1/2強を伝達可能なクラッチ開度CRAを所定開度A1として求め、同クラッチ開度CRAを、所定開度A1まで変化させて(S204)、所定期間T1にわたり所定開度A1で保持した後(S205,206)、再度変化させる(S207)。所定期間T1としては、実伝達トルクの変化に伴って発生する同トルクの周期的な変動についての変動周期の1/2に相当する期間が設定される。
【選択図】図6

Description

本発明は、原動機と変速機との間に設けられるクラッチ機構の制御装置に関するものである。
車載内燃機関等の原動機から変速機への動力伝達を断接するために、それら原動機と変速機との間にはクラッチ機構が介在されている(特許文献1参照)。このクラッチ機構は一般に、原動機の出力軸に取り付けられるフライホイールと変速機の入力軸に取り付けられるクラッチディスクとを有して構成されており、車室内に設けられたクラッチペダルに液圧配管やケーブルを介して連結されている。また、クラッチペダルはスプリングの付勢力によって未踏み込み位置側に常時付勢されている。
そして、クラッチペダルが踏み込まれていないときには、上記クラッチディスクがフライホイールに押し付けられ、このとき上記クラッチディスクとフライホイールとの間に生じる摩擦力によってクラッチ機構がいわゆる接続された状態(継合状態)となり、原動機から変速機へと動力伝達が行われる。
一方、クラッチペダルが踏み込まれているときには、上記押し付け力が開放されて上記摩擦力が減少し、クラッチディスクとフライホイールとが離れることによってクラッチ機構がいわゆる切断された状態(非継合状態)となり、原動機から変速機への動力伝達が切断される。
特開平7−27217号公報
ここで前述したように、クラッチ機構は運転者によるクラッチペダルの踏み込み操作と連動して作動する。そのため、クラッチペダルが踏み込まれている状態で、例えばクラッチペダルを踏み外したり、車幅方向に足をずらすことによってクラッチペダルの踏み込みを解除したりすることによって、クラッチペダルが未踏み込み位置まで急速に戻る状況になると、クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態へと急速に移行するようになる。
また、クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態に移行した直後の過渡時においては、変速機の入力軸に伝達されるトルク(実伝達トルク)が、次のように変化する。すなわち先ず、実伝達トルクは、同トルクが一定の値で安定した定常時において変速機の入力軸に伝達されるトルク(定常時伝達トルク)を一旦オーバシュートした後に、所定周期をもって減少と増加とを繰り返すようになる。そして、この増減に伴って実伝達トルクの振幅が徐々に小さくなり、やがては同実伝達トルクが上記定常時伝達トルクと一致するようになる。
こうした過渡時においては、クラッチ機構の作動状態の移行速度(クラッチ機構の継合速度)が大きいときほど、実伝達トルクが定常時伝達トルクをオーバシュートする量、言い換えれば、実伝達トルクのピーク値が大きくなる。そのため、上述したようにクラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態へと急速に移行するようになると、実伝達トルクのピーク値がごく大きくなる。変速機を含む駆動系の耐久性を確保するためには、そうした実伝達トルクのピーク値に合わせて同駆動系の強度を設定せざるを得ず、これが駆動系の特性設定についての自由度を低下させる一因となっている。
なお、クラッチ機構の最大継合速度が小さいシステムを採用することにより、実伝達トルクのピーク値を小さくすることは可能である。しかしながら、この場合には、上述した状況以外のときにもクラッチ機構の継合速度が低下してしまうために、同クラッチ機構の応答性の不要な低下を招いてしまう。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、応答性の低下を抑制しつつ実伝達トルクのピーク値を低下させることのできるクラッチ機構の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、原動機と変速機との間に介在されるとともにクラッチ操作部材に連結され、同クラッチ操作部材の動作位置の変化に連動して作動態様が変化するクラッチ機構の制御装置において、「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が非継合状態となる位置であり、且つ前記クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定の開始速度以上になったこと」との実行開始条件を含む実行条件が成立したときに、前記原動機の運転状態に基づいて、前記クラッチ機構の作動状態が継合状態になったときであり且つ同クラッチ機構を通じて原動機から変速機に伝達される実伝達トルクが一定の値で安定した定常状態になったときの定常時伝達トルクの1/2強を伝達可能な前記動作位置を所定位置として求め、前記動作位置を前記所定位置まで所定速度で変化させて、前記実伝達トルクの変化に伴って発生する同トルクの周期的な変動についての変動周期の1/2に相当する所定期間にわたって前記動作位置を前記所定位置で保持した後、前記動作位置を前記所定速度で再度変化させる動作位置変更手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、実行条件の成立時、言い換えれば、クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行するおそれのあるときに、実伝達トルクの周期的な変動として位相の正負が逆で振幅が略等しい二つの変動(具体的には、クラッチ操作部材の動作位置を所定位置まで変化させることによって生じる変動(第1の変動)、および同動作位置を再度変化させることによって生じる変動(第2の変動))を生じさせることができる。そのため、それら変動を干渉させてその変動を相殺することにより、実伝達トルクのピーク値を抑えることができる。しかも、実行条件の未成立時においては、クラッチ機構の作動速度を制限しないことにより、クラッチ機構の応答性の低下を抑制することができる。
前述したように実伝達トルクは、定常時伝達トルクを一旦オーバシュートした後における増減に伴って振幅が徐々に小さくなり、やがては定常時伝達トルクと一致するようになる。そのため、第1の変動は、その振幅が若干減衰された後に、第2の変動と干渉するようになる。仮に、第1の変動および第2の変動の発生当初の振幅を等しくすると、それら変動が干渉する際に、第1の変動の振幅が第2の変動の振幅より大きくなってしまう。実伝達トルクのピーク値を抑える上では、それら変動が干渉するときにおける各変動の振幅が一致していることが望ましい。
この点、上記構成によれば、定常時伝達トルクの1/2強を伝達可能な前記動作位置が所定位置として求められるために、第1の変動の発生当初の振幅を第2の変動の発生当初の振幅より大きくすることができる。そのため、第1の変動と第2の変動とが干渉する際に、それら変動の振幅をほぼ一致させることができ、それら変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
なお、上記所定速度としては、実行条件の未成立時における開度(最大変化速度)より小さい開度を採用することの他、最大変化速度を採用することもできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が継合状態となる位置であり、且つ前記継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定の停止速度未満になったこと」および「前記クラッチ操作部材が操作されている状態であること」のうちの一方が満たされること、との実行停止条件を含むことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が継合状態となる位置であり、且つ前記継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定速度未満になったこと」との実行停止条件を含むことをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材が操作されている状態であること」との実行停止条件を含むことをその要旨とする。
「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が継合状態となる位置であり、且つ前記継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定速度未満になったこと」をもって、クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行する状況、言い換えれば、実伝達トルクのピーク値を抑えるべくクラッチ機構の最大作動速度を抑制する処理を実行することが望ましい状況を脱したことを判断することができる。
一方、「クラッチ操作部材が操作されていること(言い換えれば、クラッチ操作部材が運転者の身体に触れているとき)」をもって、このときクラッチ操作部材の動作速度が運転者によって比較的低く抑えられているとして、上記処理を実行することが望ましい状況を脱したことを判断することができる。
この点、請求項2〜4の何れか一項に記載の発明の構成によれば、上記処理を実行することが望ましい状況を脱したことをもって、同処理の実行を適切なタイミングで停止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記変速機はその内部へのオイルの供給を通じて潤滑を行うオイル潤滑系を有してなり、前記動作位置変更手段は前記オイルの粘度に応じて前記所定位置を変更することをその要旨とする。
変速機は入力軸の軸受け部分などの摺動部分を有しており、この摺動部分においては摩擦力が生じている。そして、そうした摩擦力が大きいときほど、実伝達トルクの変動についての減衰の度合いが大きくなり、第1の変動の振幅が早期に小さくなる。そのため、第1の変動の振幅と第2の変動の振幅とを的確に一致させるためには、上記摩擦力が大きいときほど上記所定位置を継合状態側の位置にして、第1の変動の発生当初における振幅を大きくすることが望ましい。なお、上記摺動部分において生じる摩擦力は変速機内部の潤滑用のオイルの粘度が高いときほど大きい。
上記構成によれば、摺動部分に作用する摩擦力に応じて所定位置を変更することによって第1の変動の振幅と第2の変動の振幅とを的確に一致させることができるようになり、実伝達トルクのピーク値をより好適に抑えることができるようになる。
なお、請求項6によるように、前記オイルの温度が高いときほど同オイルの粘度が低いと判断することができ、また請求項7によるように、前記オイルの劣化度合いが大きいときほどオイルの粘度が低いと判断することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記動作位置変更手段は、前記原動機の発生トルクの大きさに応じて前記所定位置を変更することをその要旨とする。
前述した摺動部分において生じる摩擦力は実伝達トルクの大きさに応じて変化し、実伝達トルクは原動機の発生トルクの大きさに応じて変化する。上記構成によれば、摺動部分に作用する摩擦力に応じて所定位置を変更することによって第1の変動の振幅と第2の変動の振幅とを一致させることができるようになり、実伝達トルクのピーク値をより好適に抑えることができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記変速機の出力軸の回転を強制的に停止させるための摩擦式ブレーキ機構を備え、前記動作位置変更手段は、前記ブレーキ機構の作動の有無に応じて前記所定期間を変更することをその要旨とする。
摩擦式ブレーキ機構の作動によって変速機の出力軸の回転が強制停止されると、このとき実伝達トルクが伝わる経路(トルク伝達経路)の剛性が高くなり、これに伴って前記過渡時において実伝達トルクが変動する周期も短くなる。
上記構成によれば、ブレーキ機構の作動状態に応じて前記所定期間を上記過渡時における実伝達トルクの実際の変動周期の上記1/2に相当する期間に設定することが可能になり、上記二つの変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記動作位置変更手段は、前記定常時伝達トルクを前記クラッチ機構によって伝達することが可能になる位置に前記クラッチ操作部材の動作位置が変化してから前記原動機の出力軸の回転速度と前記変速機の入力軸の回転速度とが一致するまでの未一致期間においてはそれら回転速度の差が小さいときほど前記動作位置の変化速度を小さく設定し、前記原動機の出力軸の回転速度と前記変速機の入力軸の回転速度とが一致した後においては前記動作位置を最大速度で変化させることをその要旨とする。
定常時伝達トルクをクラッチ機構によって伝達することが可能になる位置までクラッチ操作部材の動作位置が変化した場合であっても、その後においてクラッチ機構の作動状態を継合状態に移行させる際に、原動機の出力軸と変速機の入力軸との回転速度差が大きい状態でクラッチ機構の作動状態を急速に移行させると、原動機や変速機が振動するなどといったショックが発生するおそれがある。
この点、上記構成によれば、原動機の出力軸の回転速度と変速機の入力軸の回転速度とが一致するまでの期間においては、クラッチ操作部材の動作位置を徐々に変化速度が低くなるように変化させることにより、上記ショックの発生を抑制することができる。しかも、それら原動機の出力軸の回転速度と変速機の入力軸の回転速度とが一致した後においては、クラッチ操作部材の動作位置を最大速度で変化させることにより、クラッチ機構の作動状態を速やかに継合状態に移行させることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のクラッチ機構の制御装置において、
前記動作位置変更手段は、前記定常時伝達トルクが小さい値であるときほど、前記未一致期間における前記動作位置の変化速度を大きくすることをその要旨とする。
クラッチ操作部材の動作位置が前記定常時伝達トルクをクラッチ機構によって伝達することが可能になる位置まで変化した後に、同定常時伝達トルクによることなくクラッチ操作部材を同一の態様で変更した場合、定常時伝達トルクが小さいときにおいて、クラッチ機構の作動状態が継合状態に移行するまでに要する時間(移行時間)が不要に長くなるおそれがある。また、定常時伝達トルクが大きいときにおいては、移行時間が不要に短くなってショックが発生するおそれがある。
この点、上記構成によれば、定常時伝達トルクが小さいときにはクラッチ機構の作動状態を継合状態に速やかに移行させて上記移行時間の長期化を抑制するとともに、定常時伝達トルクが大きいときにはクラッチ機構の作動状態の移行速度を小さくしてショックの発生を抑制するといったように、クラッチ操作部材の動作位置を変更することができる。
なお、請求項1〜11の何れか一項に記載の発明にかかる構成は、請求項12によるように、前記変速機として複数の変速段が選択的に切り替えられる多段式のものが設けられる装置に適用することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のクラッチ機構の制御装置において、
前記動作位置変更手段は、高速側の変速段が選択されているときほど、前記クラッチ機構の作動速度を大きくすることをその要旨とする。
多段式の変速機が設けられた装置では、高速側の変速段が選択されているときほど、クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態に移行する際にショックが生じにくくなる。
上記構成によれば、低速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構の作動状態の移行速度を小さくして上記ショックの発生を抑制することができ、高速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構の作動状態を継合状態に速やかに移行させて上記移行時間の短縮を図ることができる。したがって、クラッチ機構の作動状態の継合状態への移行に伴うショック発生の抑制と同作動状態の継合状態への速やかな移行との両立を図ることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記動作位置変更手段は、選択されている変速段に応じて前記所定期間を変更することをその要旨とする。
多段式の変速機にあっては、選択される変速段に応じて前記トルク伝達経路の剛性が変化し、これに伴って前記過渡時において実伝達トルクが変動する周期も変化する。また前述したように、クラッチ操作部材の動作位置を保持する所定期間を上記実伝達トルクの変動周期の1/2に相当する期間に設定することにより、実伝達トルクの周期的な変動として位相の正負が逆の二つの変動を生じさせることができる。
上記構成によれば、上記過渡時における実伝達トルクの変動周期の変化に応じて前記所定期間を実際の変動周期の1/2に相当する期間に設定することが可能になり、上記二つの変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記クラッチ機構と前記クラッチ操作部材とは、前記クラッチ機構に当接するレリーズシリンダと前記クラッチ操作部材に当接するマスターシリンダと前記レリーズシリンダの液室および前記マスターシリンダの液室を連通する配管とからなるとともに内部にクラッチ液が封入されてなる油圧作動系を介して連結され、前記配管は、その通路断面積を変更するための制御弁が設けられてなり、前記動作位置変更手段は、前記制御弁の開度を変更することによって、前記動作位置の変化速度を制御するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、クラッチ操作部材とクラッチ機構とが配管を介して連結されたシステムにおいて、同液圧配管を通過するクラッチ液の流量を制限することにより、クラッチ操作部材の動作位置の変化速度を制御することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、前記原動機は車載内燃機関であり、前記変速機は駆動軸を含む車両駆動系の一構成をなすものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、車両駆動系の必要強度を低く抑えることができ、同系の特性設定についての自由度を高くすることができる。
以下、本発明にかかるクラッチ機構の制御装置を具体化した一実施の形態について説明する。
ここでは先ず、図1を参照して、本実施の形態が適用される車両の概略構成について説明する。
同図1に示されるように、車両10には原動機としてエンジン11が搭載されている。エンジン11の出力軸であるクランク軸12には、フライホイール13が一体回転可能に取付けられている。フライホイール13には、クラッチ機構14を介して変速機15が接続されている。このクラッチ機構14は、クランク軸12の回転トルクを変速機15に伝達したり、そのトルク伝達を遮断したりするためのものである。なお、このクラッチ機構14の具体的な構造は後に詳述する。
変速機15としては、例えば前進5段、後進1段の平行歯車式の手動変速機が採用されている。この変速機15は入力軸17および出力軸(図示略)を備えている。変速機15の入力軸17は、前述したようにクラッチディスク18に連結されている。また変速機15の出力軸は、駆動軸としてのドライブシャフト19、ディファレンシャルギヤ20、車軸21等を介して駆動輪22に接続されている。そして、変速機15の出力軸の回転は、それら各部材19,20,21を通じて駆動輪22に伝達される。このように、変速機15は、車両駆動系の一部を構成している。なお、各駆動輪22には摩擦式ブレーキ機構(図示略)が設けられている。この摩擦式ブレーキ機構はブレーキペダル27の踏み込み操作に伴って作動して車両駆動系の各部(変速機15の出力軸や、ドライブシャフト19、車軸21、駆動輪22など)の回転を強制的に停止させるためのものである。
また変速機15は、複数対の変速ギヤ列(変速段)と複数個のスリーブとを備えている。車両10の運転席の近傍には、変速機15の変速段を切り替えるためのシフト装置24が組み付けられている。このシフト装置24は、シフトゲート(図示略)に沿って変位可能に設けられたシフトレバー25を備えている。そして、このシフトレバー25の操作により、変速機15ではスリーブが出力軸の軸方向に移動される。この移動によりギヤが噛合い、特定の変速ギヤ列における動力伝達が可能となる。また、各スリーブが対の変速ギヤ列における中間(ニュートラル)位置に移動されると、各変速ギヤ列での動力伝達が遮断される。
一方、車両10には、その運転状態やエンジン11の運転状態を検出するために各種のセンサやスイッチが設けられている。車両10の運転席には、アクセルペダル26の踏み込み量(アクセル開度ACC)を検出するためのアクセルセンサ31や、ブレーキペダル27の踏み込みの有無を検出するためのブレーキスイッチ32、クラッチペダル28への運転者の足の接触の有無を検出するための接触センサ33などが設けられている。また車両10には、クラッチペダル28の踏み込み量(クラッチ開度CRA(具体的には、後述するレリーズシリンダ52のピストンの動作位置))を検出するためのクラッチセンサ34が設けられている。エンジン11には、燃焼室内に吸入される空気の量(吸入空気量GA)を検出するための空気量センサ35や、クランク軸12の回転速度(機関回転速度NE)を検出するためのクランクセンサ36などが設けられる。変速機15には、その内部に潤滑のために供給されるオイルの温度THOを検出するためのオイル温度センサ37や、選択されている変速段を検出するための変速段センサ38、入力軸17の回転速度(インプット回転速度NI)を検出するための回転速度センサ39などが設けられている。
他方、本実施の形態の装置は、電子制御装置30を備えて構成されている。電子制御装置30はマイクロコンピュータを中心として構成されており、この電子制御装置30には上記各センサや各スイッチの検出信号がそれぞれ取り込まれている。電子制御装置30は、それら信号に基づいて各種の演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。
ここで、本実施の形態では、上記クラッチ機構14として、周知の乾式単板式摩擦クラッチが用いられている。
以下、このクラッチ機構14の具体的な構造について、図2を参照して説明する。
図2に示されるように、上記クランク軸12に取り付けられたフライホイール13にはクラッチカバー41が一体回転可能に取付けられている。一方、変速機15の入力軸17にはクラッチディスク18がスプライン結合されている。このため、クラッチディスク18は入力軸17と一体回転しつつ、軸方向(図2の左右方向)にスライド可能である。
クラッチディスク18とクラッチカバー41との間にはプレッシャプレート42が配置されている。プレッシャプレート42は、ダイヤフラムスプリング43の外端部によってフライホイール13側へ押し付けられている。この押し付けにより、クラッチディスク18とプレッシャプレート42との間、およびフライホイール13とクラッチディスク18との間でそれぞれ摩擦力が発生する。これらの摩擦力により、クラッチ機構14がいわゆる接続(継合)された状態となり、フライホイール13、クラッチディスク18およびプレッシャプレート42が一体となって回転する。このようにクラッチ機構14を介してエンジン11から変速機15に回転トルクが伝達され、このトルク(実伝達トルク)の大きさによって動力伝達の程度を表すことが可能である。
一方、変速機15の入力軸17には、レリーズベアリング44が軸方向へのスライド可能に装着されている。このレリーズベアリング44は、前記動力伝達の程度を調整したり、動力伝達を遮断したりするものとして機能するものである。また、レリーズベアリング44の近傍にはレリーズフォーク45が軸46により回動可能に支持されており、その一端部(図2の下端部)がレリーズベアリング44に当接している。
このクラッチ機構14は油圧作動系を介してクラッチペダル28(図1)に連結されており、同クラッチペダル28の踏み込み操作に連動して、非継合状態と継合状態とが切り替えられるようになっている。なお、クラッチペダル28の近傍には同クラッチペダル28を未踏み込み位置側に常時付勢するスプリング(図示略)が設けられている。
クラッチペダル28の近傍にはマスターシリンダ51が設けられている。このマスターシリンダ51はピストンと液室(シリンダ部)とにより構成されており、そのピストンの先端がクラッチペダル28に連結されている。マスターシリンダ51は、クラッチペダル28の操作に伴い、そのピストンがシリンダ部に対して出没するようになっている。
また、クラッチ機構14の近傍にはレリーズシリンダ52が設けられている。このレリーズシリンダ52はピストンと液室(シリンダ部)とにより構成されており、そのピストンの先端がレリーズフォーク45の他端部(図2の上端部)に連結されている。
マスターシリンダ51のシリンダ部とレリーズシリンダ52のシリンダ部とはクラッチ配管53を介して連通されている。そして、それらマスターシリンダ51のシリンダ部、レリーズシリンダ52のシリンダ部、およびクラッチ配管53の内部にはクラッチ液が充填されている。
また、クラッチ配管53の途中には制御弁54が設けられている。この制御弁54は、その開度制御を通じて、クラッチ配管53の通路断面積を変更するためのものである。制御弁54が最大開度(全開状態)になるとクラッチ配管53の通路断面積が最大になり、この場合にはクラッチ開度CRAの最大速度での変化が許容される。一方、制御弁54が最小開度(全閉状態)になるとクラッチ配管53の通路断面積が最小(=0)になり、クラッチ配管53を通じたレリーズシリンダ52のシリンダ部とマスターシリンダ51のシリンダ部との連通が遮断されて、クラッチ開度CRAが変化しなくなる。なお、そうした制御弁54の開度制御は電子制御装置30により実行される。
上記クラッチ機構14は、次のように動作する。
先ず、クラッチペダル28が踏み込まれると、マスターシリンダ51のピストンがシリンダ部に進入し、これに伴ってレリーズシリンダ52のピストンがシリンダ部から脱出するようになる。これにより、レリーズフォーク45(図2)が回動し、レリーズベアリング44がフライホイール13側へ押されて、同方向にレリーズベアリング44が移動することにより、ダイヤフラムスプリング43の内端部が同方向へ弾性変形する。その結果、ダイヤフラムスプリング43のプレッシャプレート42を押し付ける力が弱まり、上記摩擦力が減少する。このように本実施の形態にかかるクラッチ機構14にあっては、クラッチペダル28(図1)の踏み込み操作に応じて上記摩擦力が変化するようになっている。
クラッチ機構14の作動状態は、便宜的に、継合状態、半クラッチ状態および非継合状態の3つに分けられる。
継合状態であるときには、摩擦力が「大」となってプレッシャプレート42、クラッチディスク18およびフライホイール13が一体となって回転し、エンジン11から変速機15への動力伝達が行われる。このときには実伝達トルクが最大となる。
半クラッチ状態であるときには、摩擦力が「中程度」となって、フライホイール13、クラッチディスク18およびプレッシャプレート42が滑りながら接続された状態となる。このときには、実伝達トルクは前記継合領域での値よりも小さくなる。
非継合状態であるときには、摩擦力が「小」となり、クラッチ機構14が切断されてフライホイール13の回転がクラッチディスク18に伝わらず、エンジン11から変速機15への動力伝達が遮断される。このときには実伝達トルクが前記半クラッチ領域での値よりもさらに小さくなる。
ここで前述したように、クラッチペダル28が踏み込まれている状態で、例えばクラッチペダル28を踏み外したり、車幅方向に足をずらすことによってクラッチペダル28の踏み込みを解除したりすることによって、クラッチペダル28が未踏み込み位置まで急速に戻る状況になると、直後の過渡時における実伝達トルクのピーク値がごく大きくなる。車両駆動系の耐久性を確保するためには、そうした実伝達トルクのピーク値に合わせて同車両駆動系の強度を設定せざるを得ず、これが車両駆動系の特性設定についての自由度を低下させる一因となる。
この点をふまえて本実施の形態では、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態へと移行するに際してその移行速度が大きいときに、制御弁54の開閉制御を通じて実伝達トルクのピーク値を抑えるための処理(ピーク抑制処理)を実行するようにしている。なお本実施の形態では、このピーク抑制処理が、動作位置変更手段として機能する。
図3に示すように、ピーク抑制処理は実行条件が成立したことを条件に(ステップS101:YES)実行される(ステップS102)。一方、実行条件が未成立であるときには(ステップS101:NO)、ピーク抑制処理は実行されず、制御弁54が開弁状態のまま維持される(ステップS103)。
上記実行条件は、以下の実行開始条件が成立した後に実行停止条件が成立していないことをもって、成立していると判断される。
実行開始条件は、以下の(条件イ)および(条件ロ)が共に成立していることをもって、成立していると判断される。詳しくは、図4にクラッチペダル28の操作領域を示すように、クラッチペダル28の操作領域が同図中に「A」で示す領域になったことをもって、実行開始条件が成立したと判断される。
(条件イ)クラッチ開度CRAが、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態となる開度であること。具体的には、クラッチ開度CRAが所定の開始開度(クラッチペダル28の最大踏み込み位置より若干未踏み込み位置側の位置に相当する開度)以上であること。
(条件ロ)クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向(クラッチペダル28の戻り方向)へのクラッチ開度CRAの変化速度が所定の開始速度以上になったこと。具体的には、クラッチ開度CRAの減少速度が所定の開始速度(クラッチ開度CRAの最大変化速度より若干低い速度)以上であること。
こうした実行開始条件が成立したことにより、その後においてクラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行するおそれのある状況、言い換えれば、ピーク抑制処理を実行することが望ましい状況になったことを判断することができ、同判断をもってピーク抑制処理の実行が開始されるようになる。
一方、実行停止条件は、以下の(条件ハ)および(条件ニ)が共に成立していること(クラッチペダル28の操作領域が図4中に領域「B」で示す領域になったこと)または(条件ホ)が成立していることをもって、成立していると判断される。
(条件ハ)クラッチ開度CRAがクラッチ機構14の作動状態が継合状態となる開度であること。具体的には、クラッチ開度CRAが所定の停止開度(クラッチペダル28の未踏み込み位置より若干最大踏み込み位置側の位置に相当する開度)以下であること。
(条件ニ)クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向へのクラッチ開度CRAの変化速度が所定の停止速度未満になったこと。具体的には、クラッチペダル28の戻り方向への操作位置の変化速度が所定の停止速度(「0」より若干大きい速度)未満であること。
(条件ホ)クラッチペダル28が操作されていること。具体的には、クラッチペダル28が運転者の身体に触れていること。
こうした実行停止条件によれば、(条件ハ)および(条件ニ)が共に成立したことをもって、クラッチ機構14の作動状態が既に継合状態になっているとして、ピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したと判断することができる。また、(条件ホ)が成立したことをもって、このときクラッチ開度CRAの変化速度が運転者によって比較的低く抑えられているとして、ピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したことを判断することができる。そして本実施の形態では、そうした判断をもとにピーク抑制処理の実行が適切なタイミングで停止されるようになる。
一方、(条件ホ)が成立したことをもって、このときクラッチペダル28の戻り方向への動作速度が運転者によって比較的低く抑えられているとして、上記処理を実行することが望ましい状況を脱したことを判断することができる。
なお上記各条件における所定の開始開度や、所定の開始速度、所定の停止開度、並びに所定の停止速度は、適切な値が求められて予め電子制御装置30に記憶されている。
以下、ピーク抑制処理の実行手順について説明する。
図5および図6は、ピーク抑制処理の具体的な実行手順を示すフローチャートである。
なお図5および図6のフローチャートに示す一連の処理は、上記ピーク抑制処理の処理手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の処理として、電子制御装置30により実行される。
図5に示すように、この処理では先ず、アクセル開度ACCおよび機関回転速度NEに基づいて、定常時伝達トルクTtが算出される(ステップS201)。この定常時伝達トルクTtは、クラッチ機構14の作動状態が継合状態になり且つ実伝達トルクが一定の値で安定した定常状態になったときにおいて、クラッチ機構14を通じてエンジン11のクランク軸12から変速機15の入力軸17に伝達されるトルクである。本実施の形態では、アクセル開度ACCおよび機関回転速度NEに定まるエンジン11の運転状態と同運転状態に見合う定常時伝達トルクTtとの関係が実験結果などに基づき予め求められ、電子制御装置30に記憶されている。
その後、定常時伝達トルクTtに基づいて、所定開度A1,A2がそれぞれ算出される(ステップS202)。所定開度A1は、クラッチ機構14の作動状態が半継合状態となる開度であり、定常時伝達トルクTtの1/2強(例えば定常時伝達トルクTtを「100%」とした場合における52%)のトルクを同クラッチ機構14によって伝達することが可能になる開度である。本実施の形態では、この所定開度A1が所定位置に相当する。所定開度A2は定常時伝達トルクTtと等しいトルクを同クラッチ機構14によって伝達することが可能になる開度である。
また、ブレーキペダル27の踏み込みの有無とこのとき選択されている変速段とに基づいて、所定期間T1が算出される(ステップS203)。所定期間T1は、実伝達トルクの変化に伴って発生する同実伝達トルクの周期的な変動についての変動周期の1/2に相当する時間である。なお、この変動周期は、基本的には、クラッチ機構14や車両駆動系(例えば変速機15やクラッチディスク18、ドライブシャフト19など)の剛性によって定まる。ただし、実伝達トルクが伝わる経路(トルク伝達経路)の剛性はブレーキペダル27の踏み込みの有無(詳しくは、前記摩擦式ブレーキ機構の作動の有無)や選択されている変速段に応じて変化するため、そうした剛性の変化に伴って上記変動周期も変化してしまう。そのため本実施の形態では、上記所定期間T1として、ブレーキペダル27の踏み込みの有無や変速段に応じた時間が算出される。本実施の形態では、そうしたブレーキペダル27の踏み込み状況や選択されている変速段と上記変動周期の1/2に相当する所定期間T1との関係が実験結果などに基づき予め求められ、電子制御装置30に記憶されている。なお、ブレーキペダル27が踏み込まれているときには、ブレーキペダル27が踏み込まれていないときと比較して、所定期間T1として短い期間が設定される。
次に、図6に示すように、クラッチ開度CRAが所定開度A1と等しくなったか否かが判断される(ステップS204)。そして、クラッチ開度CRAが所定開度A1より大きいときには(ステップS204:NO)、制御弁54が全開状態のまま維持される。このときにはクラッチ開度CRAが最大速度で変化する。
そして、クラッチ開度CRAが所定開度A1と等しくなると(ステップS204:YES)、制御弁54が全閉状態となるように閉弁駆動される(ステップS205)。その後、所定期間T1にわたり制御弁54は全閉状態のまま維持される(ステップS206:NO)。このときクラッチ開度CRAは変化しない。
そして、制御弁54が全閉状態になってから所定期間T1が経過すると(ステップS206:YES)、制御弁54が全開状態になるように開弁駆動される(ステップS207)。これにより、その後においてクラッチ開度CRAが最大速度で移行するようになる。
次に、クラッチ開度CRAが所定開度A2と等しくなったか否かが判断される(ステップS208)。そして、クラッチ開度CRAが所定開度A2より大きいときには(ステップS208:NO)、制御弁54が全開状態のまま維持される。
そして、クラッチ開度CRAが所定開度A2と等しくなると(ステップS208:YES)、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが等しくなるまでの期間(未実施期間)にわたり、以下の処理(ステップS209〜S211)を通じて制御弁54の開度が制御される。
すなわち先ず、インプット回転速度NI、機関回転速度NE、選択されている変速段、定常時伝達トルクTtに基づいて、制御弁54の開度についての制御目標値(目標開度Tvl)が算出される(ステップS209)。この目標開度Tvlとしては、インプット回転速度NIと機関回転速度NEとの差が大きいほど、選択されている変速段が高速側の変速段であるほど、また定常時伝達トルクTtが小さいほど、大きい開度が設定される。そして、そうした目標開度Tvlと制御弁54の実際の開度とが一致するように、制御弁54の開度制御が実行される(ステップS210)。
その後、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致したか否かが判断される(ステップS211)。ここでは機関回転速度NEとインプット回転速度NIとの差がほぼ「0」になったことをもって、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致したと判断される。機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが未だ一致していない場合には(ステップS211:NO)、ステップS209,S210の処理が繰り返し実行される。
そして、本処理が繰り返し実行されて機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致すると(ステップS211:YES)、制御弁54が全開状態になるように同制御弁54が開弁駆動された後(ステップS212)、本処理は終了される。
以下、こうしたピーク抑制処理を実行することによる作用について説明する。
図7は、ピーク抑制処理の実行態様の一例を示している。
同図7に示すように、時刻t11においてピーク抑制処理の実行が開始されると、先ずクラッチ開度CRA(同図(a))の所定開度A1までの変化が許容される(時刻t11〜t12)。その後、制御弁54が所定期間T1にわたって一時的に全閉状態になり、クラッチ開度CRAが所定開度A1で保持される(時刻t12〜t13)。さらにその後、制御弁54が全開状態になり、クラッチ開度CRAの所定開度A2までの変化が許容される(時刻t13〜t14)。
そのため同図(b)に示すように、クラッチ開度CRAが所定開度A1まで変化するときに、これに伴う実伝達トルクの変化により、同実伝達トルクの周期的な変動(第1の変動)が発生するようになる。これに加えて、同図(c)に示すように、クラッチ開度CRAが所定開度A1から所定開度A2まで再度変化するときにも、これに伴う実伝達トルクの変化により、同実伝達トルクの周期的な変動(第2の変動)が発生するようになる。
本実施の形態では、上記所定期間T1(クラッチ開度CRAの変化を一時的に停止させる期間)として、そうした周期的な変動についての変動周期の1/2に相当する時間が設定されている。そのため、上記第1の変動および第2の変動は、位相の正負がほぼ逆になる二つの変動となる。したがって、それら第1の変動および第2の変動を干渉させてその変動の一部を相殺することができ、これにより実伝達トルクのピーク値が抑えられるようになる。
なお、摩擦式ブレーキ機構の作動によって車両駆動系の各部の回転が強制停止されると、このとき前記トルク伝達経路の剛性が高くなり、これに伴って前記変動周期が短くなる。そのため本実施の形態では、摩擦式ブレーキ機構が作動しているときに(具体的には、ブレーキペダル27が踏み込まれているときに)、同摩擦式ブレーキ機構が作動していないときと比較して、所定期間T1として短い期間が設定される。これにより、ブレーキ機構の作動状態に応じて上記所定期間T1が実際の変動周期の1/2に相当する期間に的確に設定されて、実伝達トルクの周期的な変動として位相の正負がほぼ逆の二つの変動(第1の変動および第2の変動)を的確に生じさせることができるようになる。
また、多段式の変速機15では、選択される変速段に応じて前記トルク伝達経路の剛性が変化し、これに伴って上記変動周期も変化する。そのため本実施の形態では、そのときどきにおいて選択されている変速段に応じたかたちで所定期間T1が設定される。これにより、上記所定期間T1が実際の変動周期の1/2に相当する期間に設定されて、実伝達トルクの周期的な変動として位相の正負がほぼ逆の二つの変動を的確に生じさせることができるようになる。
このように所定期間T1を設定することにより、上記二つの変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値が好適に抑えられるようになる。
ここで、前述したように実伝達トルクは、定常時伝達トルクを一旦オーバシュートした後における増減に伴って振幅が徐々に小さくなり、やがては定常時伝達トルクと一致するようになる。そのため上記第1の変動は、その振幅が若干減衰された後に、第2の変動と干渉するようになる。仮に、第1の変動および第2の変動の発生当初の振幅を等しくすると、それら変動が干渉する際に、第1の変動の振幅が第2の変動の振幅より大きくなってしまう。実伝達トルクのピーク値を抑える上では、それら変動が干渉するときにおける各変動の振幅が一致していることが望ましい。
この点をふまえて、本実施の形態では、上記所定開度A1として、定常時伝達トルクの1/2強をクラッチ機構14によって伝達することが可能になるクラッチ開度CRAと等しい開度が設定されている。これにより、第1の変動の発生当初の振幅が第2の変動の発生当初の振幅より大きくなる。
また本実施の形態では、第1の変動と第2の変動とが干渉する際にそれら変動の振幅がほぼ一致するようになる開度が上記所定開度A1として算出される態様で、上記ピーク抑制処理(具体的には、ステップS202の処理における所定開度A1の算出)が実行される。そのため、第1の変動と第2の変動とが干渉する際に、それら第1の変動の振幅および第2の変動の振幅の大部分が相殺されるようになり、実伝達トルクのピーク値が好適に抑えられるようになる。
そして、このように実伝達トルクのピーク値が低く抑えられるために、車両駆動系の必要強度を低く抑えることができるようになり、例えばコストダウンを図ることが可能になるなど、車両駆動系の特性設定についての自由度を高くすることができる。
さらに、時刻t14においてクラッチ開度CRAが所定開度A2になると、その後において機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致するまでの未一致期間(時刻t14〜t15)において、クラッチ開度CRAの変化速度が抑えられる。具体的には、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとの差が小さいときほど、選択されている変速段が低速側の変速段であるときほど、また定常時伝達トルクTtが大きいときほど、制御弁54の開度として小さい開度が設定されて、クラッチ開度CRAの変化速度が小さくなる。
そして、時刻t15において機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致すると、制御弁54が全開状態になって、クラッチ開度CRAが未踏み込み位置に対応する開度まで最大速度で変化する。
ところで、クラッチ開度CRAが所定開度A2(定常時伝達トルクをクラッチ機構14によって伝達することが可能になる開度)まで変化した場合であっても、その後においてクラッチ機構14の作動状態を継合状態に移行させる際に、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとの差が大きい状態でクラッチ機構14の作動状態を急速に移行させると、エンジン11や変速機15が振動するなどといったショックが発生するおそれがある。
本実施の形態では、上記未一致期間において、徐々に変化速度が低くなるようにクラッチ開度CRAが変化するために、上記ショックの発生が抑制されるようになる。しかも、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致した後においては、クラッチ開度CRAが最大速度で変化するために、クラッチ機構14の作動状態が速やかに継合状態に移行されるようになる。
また、クラッチ開度CRAが所定開度A2まで変化した後、定常時伝達トルクTtによることなくクラッチ開度CRAを同一の態様で変更した場合、定常時伝達トルクTtが小さいときにおいて、クラッチ機構14の作動状態が継合状態に移行するまでに要する時間(移行時間)が不要に長くなるおそれがある。また、そうした場合に、定常時伝達トルクTtが大きいときには、上記移行時間が不要に短くなってショックが発生するおそれがある。
本実施の形態では、定常時伝達トルクTtが小さいときほど、制御弁54の開度が大きい開度に設定される。そのため、定常時伝達トルクTtが小さいときにはクラッチ機構14の作動状態を継合状態に速やかに移行させて上記移行時間の長期化を抑制するとともに、定常時伝達トルクTtが大きいときにはクラッチ機構14の作動状態の移行速度を小さくしてショックの発生を抑制するといったように、クラッチ開度CRAを変更することができる。
さらに多段式の変速機15では、高速側の変速段が選択されているときほど、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態に移行する際にショックが生じにくくなることが知られている。この点をふまえて本実施の形態では、選択されている変速段が低速側の変速段であるときほど、制御弁54の開度が小さい開度に設定される。そのため、低速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構14の移行速度を小さくして上記ショックの発生を抑制することができ、そうしたショックの生じにくい高速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構14の作動状態を継合状態に速やかに移行させて上記移行時間の短縮を図ることができる。したがって、クラッチ機構14の作動状態の継合状態への移行に伴うショック発生の抑制と同作動状態の継合状態への速やかな移行との両立を図ることができる。
図8に、ピーク抑制処理の実行中における実伝達トルクの推移を求めた結果を示す。
同図8に実線で示すように、ピーク抑制処理を実行する本実施の形態にかかる装置によれば、同図中に一点鎖線で併せ示すクラッチ開度CRAを未踏み込み位置に対応する開度まで最大速度で変化させる装置と比較して、実伝達トルクのピーク値が抑えられるようになる。
ちなみに、クラッチ配管に絞りを設ける等してクラッチ開度CRAの最大変化速度を小さくしたシステムを採用することによっても、実伝達トルクのピーク値を小さくすることは可能である。ただし、この場合には、実伝達トルクのピーク値が比較的小さいときにもクラッチ開度CRAの変化速度(クラッチ機構14の作動状態の移行速度)が低下してしまうために、同クラッチ機構14の応答性の不要な低下を招いてしまう。
この点、本実施の形態によれば、実伝達トルクのピーク値が大きくなるおそれのあるときにはピーク抑制処理を実行して同ピーク値を抑える一方、実伝達トルクのピーク値が比較的小さいときにはピーク抑制処理を実行せずにクラッチ開度CRAを最大変化速度で変化させてクラッチ機構14の応答性の低下を回避するといったように、実伝達トルクのピーク値の抑制とクラッチ機構14の応答性の維持との両立を図ることができる。
また、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行すると、エンジン11から車両駆動系に大トルクが伝達されることに起因して車両10がその前後方向に揺さぶられる現象、いわゆるしゃくり現象が発生することがある。本実施の形態では、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行することが抑制されるために、そうしたしゃくり現象の発生についてもこれを抑制することができるようになる。
さらに車両10の発進に際して、クラッチペダル28を踏み外したり、車幅方向に足をずらすことによってクラッチペダル28の踏み込みを解除したりする等、敢えて未踏み込み位置まで急速に戻るようにクラッチペダル28を操作することにより、エンジン11のストールを回避しつつスムーズで速やかな車両発進を実現することなども可能になる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)実行条件の成立時、言い換えれば、クラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態に急速に移行するおそれのあるときに、実伝達トルクの周期的な変動として位相の正負が逆で振幅が略等しい二つの変動(第1の変動および第2の変動)を生じさせることができる。そのため、それら変動を干渉させてその変動を相殺することにより、実伝達トルクのピーク値を抑えることができる。しかも、実行条件の未成立時においては、クラッチ機構14の作動速度を制限しないことにより、クラッチ機構14の応答性の低下を抑制することができる。また、定常時伝達トルクTtの1/2強を伝達可能なクラッチ開度CRAを所定開度A1として求めるようにしたために、第1の変動と第2の変動とが干渉する際に、それら変動の振幅をほぼ一致させることができ、それら変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
(2)実行条件として、(条件ハ)〜(条件ホ)によって構成される実行停止条件を設定するようにした。そのため、(条件ハ)および(条件ニ)が共に成立したことをもって、クラッチ機構14の作動状態が既に継合状態になっているとして、ピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したと判断することができる。また、(条件ホ)が成立したことをもって、このときクラッチ開度CRAの変化速度が運転者によって比較的低く抑えられているとして、ピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したことを判断することができる。そして、そうした判断をもとにピーク抑制処理の実行を適切なタイミングで停止することができる。
(3)ブレーキペダル27の踏み込みの有無に応じて所定期間T1を変更するようにした。そのため、ブレーキ機構の作動状態に応じて所定期間T1を前記過渡時における実伝達トルクの実際の変動周期の1/2に相当する期間に設定することができ、第1の変動および第2の変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
(4)クラッチ開度CRAが所定開度A2まで変化してから機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致するまでの未一致期間においては、それら回転速度の差が小さいときほどクラッチ開度CRAの変化速度を小さく設定した。そのため、クラッチ開度CRAを徐々に変化速度が低くなるように変化させて、前記ショックの発生を抑制することができる。また、機関回転速度NEとインプット回転速度NIとが一致した後においてはクラッチ開度CRAを最大速度で変化させるようにしたために、クラッチ機構14の作動状態を速やかに継合状態に移行させることができる。
(5)定常時伝達トルクTtが小さいときほど、前記未一致期間におけるクラッチ開度CRAの変化速度を大きくするようにした。そのため、定常時伝達トルクTtが小さいときにはクラッチ機構14の作動状態を継合状態に速やかに移行させて前記移行時間の長期化を抑制するとともに、定常時伝達トルクTtが大きいときにはクラッチ機構14の作動状態の移行速度を小さくしてショックの発生を抑制するといったように、クラッチ開度CRAを変更することができる。
(6)高速側の変速段が選択されているときほど、クラッチ開度CRAの変化速度を大きくするようにした。そのため、低速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構14の作動状態の移行速度を小さくして上記ショックの発生を抑制することができ、高速側の変速段の選択時においてはクラッチ機構14の作動状態を継合状態に速やかに移行させて上記移行時間の短縮を図ることができる。したがって、クラッチ機構14の作動状態の継合状態への移行に伴うショック発生の抑制と同作動状態の継合状態への速やかな移行との両立を図ることができる。
(7)選択されている変速段に応じて所定期間T1を変更するようにした。そのため、前記過渡時における実伝達トルクの変動周期の変化に応じて所定期間T1を実際の変動周期の1/2に相当する期間に設定することが可能になり、第1の変動および第2の変動の振幅を的確に相殺して実伝達トルクのピーク値を好適に抑えることができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・クラッチ開度CRAに相当する値として、レリーズシリンダ52のピストンの動作位置を検出することに代えて、マスターシリンダ51のピストンの動作位置や、クラッチペダル28の動作位置、レリーズフォーク45の動作位置、レリーズベアリング44の動作位置などを検出するようにしてもよい。要は、クラッチペダル28と連動して動作する部分の動作位置であれば、これをクラッチ開度CRAに相当する値として検出してピーク抑制処理に用いることができる。また、クラッチ配管53にクラッチ液の流量を検出する流量センサを設け、同流量センサによって検出されるクラッチ液の流量に基づいてクラッチ開度CRAを求めるようにしてもよい。
・接触センサ33としては、クラッチペダル28に踏み込み方向に荷重がかかったことを判断することの可能なセンサであれば、例えば荷重センサや歪センサなど、種々のセンサを採用することができる。また接触センサ33に代えて、運転者がクラッチペダル28に触れたときに、オン/オフが切り替わるスイッチを設けることなども可能である。
・前記所定開度A1を、変速機15のオイル潤滑系に用いられるオイル、すなわち変速機15の内部に潤滑のために供給されるオイルの粘度に応じて変更するようにしてもよい。具体的には、上記オイルの粘度が高いときほど、所定開度A1を未踏み込み位置側の開度に設定するようにしてもよい。
ここで、変速機15は入力軸17の軸受け部分などの摺動部分を有しており、この摺動部分においては摩擦力が生じている。そして、そうした摩擦力が大きいときほど、実伝達トルクの変動の減衰の度合いが大きくなり、第1の変動の振幅が早期に小さくなる。そのため、同振幅と第2の変動の振幅とを的確に一致させるためには、上記摩擦力が大きいときほど上記所定開度A1を未踏み込み位置側の開度にすることが望ましい。なお、上記摺動部分において生じる摩擦力は変速機15の内部に供給されるオイルの粘度が高いときほど大きい。
上記構成によれば、上記摺動部分に作用する摩擦力に応じて所定開度を変更することによって第1の変動の振幅と第2の変動の振幅とを的確に一致させることができるようになり、実伝達トルクのピーク値をより好適に抑えることができるようになる。
なお、オイル温度THOが高いときほど同オイルの粘度が低いと判断することができ、またオイルの劣化度合いが大きいときほどオイルの粘度が低いと判断することができる。
・前記所定開度A1を、エンジン11の発生トルクの大きさに応じて変更するようにしてもよい。ここで、上述した摺動部分において生じる摩擦力は実伝達トルクの大きさに応じて変化し、実伝達トルクはエンジン11の発生トルクの大きさに応じて変化する。上記構成によれば、そうしたエンジン11の発生トルクに応じて、言い換えれば、上記摺動部分に作用する摩擦力に応じて所定開度A1を変更することができるようになる。そして、これによって第1の変動の振幅と第2の変動の振幅とを的確に一致させることができるようになり、実伝達トルクのピーク値をより好適に抑えることができるようになる。なお、エンジン11の発生トルクは吸入空気量GAや機関回転速度NE等に基づいて求めることができる。
・選択されている変速段に応じて前記所定期間T1を変更する構成を省略してもよい。
・摩擦式ブレーキ機構の作動の有無に応じて所定期間T1を変更する構成を省略してもよい。
・未一致期間においてクラッチ開度CRAを徐々に変更する構成を省略してもよい。この場合には、未一致期間において、例えば制御弁54の開度を最大開度で保持するなどすればよい。その他、未一致期間において、制御弁54の開度を所定の中間開度(<最大開度)で保持するようにしてもよい。
・(条件イ)や(条件ロ)は任意に変更可能である。要は、クラッチ開度CRAがクラッチ機構14の作動状態が非継合状態となる開度であり、且つクラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向へのクラッチ開度CRAの変化速度が所定の開始速度以上であることを判断することができればよい。
・(条件ハ)や(条件ニ)は任意に変更可能である。要は、クラッチ開度CRAがクラッチ機構14の作動状態が継合状態となる開度であり、且つクラッチ機構14の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向へのクラッチ開度CRAの変化速度が所定の停止速度未満であることを判断することができればよい。
・(条件ニ)を省略することが可能である。こうした構成によっても、(条件ハ)あるいは(条件ホ)を通じてピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したと判断することができる。また、(条件ハ)および(条件ニ)を共に省略するようにしてもよい。同構成によっても、(条件ホ)を通じてピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したと判断することができる。
・(条件ホ)は、クラッチペダル28が運転者によって操作されている状態であることを判断することのできる条件であれば、任意に変更可能である。
・(条件ホ)を省略するようにしてもよい。こうした構成によっても、(条件ハ)や(条件ニ)を通じてピーク抑制処理を実行することが望ましい状況を脱したと判断することができる。
・ピーク抑制処理においてクラッチ開度CRAを所定開度A1まで変化させるとき、および所定開度A1から所定開度A2まで変化させるときに、同ピーク抑制処理の未実行時と比較して制御弁54の開度を小さくするようにしてもよい。同構成によれば、クラッチ配管53を通過するクラッチ液の流量を制限することによってクラッチ開度CRAの変化速度を低下させることができ、これによる実伝達トルクのピーク値の低減効果を得ることも可能になる。
・クラッチ開度CRAが所定開度A2まで変化する間に、第1の所定開度A11になったときと第2の所定開度A12になったときとにおいてそれぞれ制御弁54を一時的に閉弁駆動して、クラッチ開度CRAを第1の所定開度A11(あるいは第2の所定開度A12)で保持するようにしてもよい。また、そうした制御弁54の一時的な閉弁駆動を三回以上実行するようにしてもよい。こうした構成によっても、クラッチ開度CRAが変化する度に実伝達トルクの周期的な変動を発生させることができ、それら変動を互いに干渉させて相殺させることによって、実伝達トルクのピーク値を抑えることができる。
・本発明は、クラッチ機構とクラッチペダルとがケーブルやリンク機構によって連結された車両にも適用することができる。この場合、クラッチペダルの動作位置の変化を停止させるための構成、あるいはクラッチペダルの動作位置の変化速度を低下させるための構成を新たに設け、同構成の作動を制御することによってクラッチペダルの動作位置を制御するようにすればよい。
・運転者が足によって操作するクラッチペダルが設けられた車両に限らず、運転者が手によって操作するクラッチレバーが設けられた車両にも本発明は適用することができる。
・本発明は、車両に搭載されるクラッチ機構の制御装置に限らず、原動機と変速機との間に介在されるとともにクラッチ操作部材に連結され、同クラッチ操作部材の動作位置の変化に連動して作動態様が変化するクラッチ機構の制御装置であれば、適用可能である。
本発明を具体化した一実施の形態にかかるクラッチ機構の制御装置が適用される車両の概略構成を示す略図。 同車両に搭載されるクラッチ機構の側面断面構造を示す側面断面図。 ピーク抑制処理の実行態様を示すフローチャート。 クラッチペダルの作動領域と実行条件との関係を示す略図。 ピーク抑制処理の具体的な実行手順を示すフローチャート。 ピーク抑制処理の具体的な実行手順を示すフローチャート。 ピーク抑制処理の実行態様の一例を示すタイミングチャート。 ピーク抑制処理の実行中における実伝達トルクの推移の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
10…車両、11…エンジン、12…クランク軸、13…フライホイール、14…クラッチ機構、15…変速機、17…入力軸、18…クラッチディスク、19…ドライブシャフト、20…ディファレンシャルギア、21…車軸、22…駆動輪、24…シフト装置、25…シフトレバー、26…アクセルペダル、27…ブレーキペダル、28…クラッチペダル、30…電子制御装置、31…アクセルセンサ、32…ブレーキスイッチ、33…接触センサ、34…クラッチセンサ、35…空気量センサ、36…クランクセンサ、37…オイル温度センサ、38…変速段センサ、39…回転速度センサ、41…クラッチカバー、42…プレッシャプレート、43…ダイヤフラムスプリング、44…レリーズベアリング、45…レリーズフォーク、46…軸、51…マスターシリンダ、52…レリーズシリンダ、53…クラッチ配管、54…制御弁。

Claims (16)

  1. 原動機と変速機との間に介在されるとともにクラッチ操作部材に連結され、同クラッチ操作部材の動作位置の変化に連動して作動態様が変化するクラッチ機構の制御装置において、
    「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が非継合状態となる位置であり、且つ前記クラッチ機構の作動状態が非継合状態から継合状態になる継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定の開始速度以上になったこと」との実行開始条件を含む実行条件が成立したときに、
    前記原動機の運転状態に基づいて、前記クラッチ機構の作動状態が継合状態になったときであり且つ同クラッチ機構を通じて原動機から変速機に伝達される実伝達トルクが一定の値で安定した定常状態になったときの定常時伝達トルクの1/2強を伝達可能な前記動作位置を所定位置として求め、
    前記動作位置を前記所定位置まで所定速度で変化させて、前記実伝達トルクの変化に伴って発生する同トルクの周期的な変動についての変動周期の1/2に相当する所定期間にわたって前記動作位置を前記所定位置で保持した後、前記動作位置を前記所定速度で再度変化させる動作位置変更手段を備えることを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  2. 請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が継合状態となる位置であり、且つ前記継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定の停止速度未満になったこと」および「前記クラッチ操作部材が操作されている状態であること」のうちの一方が満たされること、との実行停止条件を含む
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  3. 請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材の動作位置が前記クラッチ機構の作動状態が継合状態となる位置であり、且つ前記継合方向への前記クラッチ操作部材の動作位置の変化速度が所定速度未満になったこと」との実行停止条件を含む
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  4. 請求項1に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記実行条件は、「前記クラッチ操作部材が操作されている状態であること」との実行停止条件を含む
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  5. 前記変速機はその内部へのオイルの供給を通じて潤滑を行うオイル潤滑系を有してなり、
    前記動作位置変更手段は前記オイルの粘度に応じて前記所定位置を変更する
    請求項1〜4の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置。
  6. 請求項5に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、前記オイルの温度が高いときほど同オイルの粘度が低いと判断する
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  7. 請求項5または6に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、前記オイルの劣化度合いが大きいときほど同オイルの粘度が低いと判断する
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、前記原動機の発生トルクの大きさに応じて前記所定位置を変更する
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記変速機の出力軸の回転を強制的に停止させるための摩擦式ブレーキ機構を備え、
    前記動作位置変更手段は、前記ブレーキ機構の作動の有無に応じて前記所定期間を変更する
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、前記定常時伝達トルクを前記クラッチ機構によって伝達することが可能になる位置に前記クラッチ操作部材の動作位置が変化してから前記原動機の出力軸の回転速度と前記変速機の入力軸の回転速度とが一致するまでの未一致期間においてはそれら回転速度の差が小さいときほど前記動作位置の変化速度を小さく設定し、前記原動機の出力軸の回転速度と前記変速機の入力軸の回転速度とが一致した後においては前記動作位置を最大速度で変化させる
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  11. 請求項10に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、前記定常時伝達トルクが小さい値であるときほど、前記未一致期間における前記動作位置の変化速度を大きくする
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記変速機は複数の変速段が選択的に切り替えられる多段式のものである
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  13. 請求項12に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、高速側の変速段が選択されているときほど、前記クラッチ機構の作動速度を大きくする
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  14. 請求項12または13に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記動作位置変更手段は、選択されている変速段に応じて前記所定期間を変更する
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  15. 請求項1〜14の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記クラッチ機構と前記クラッチ操作部材とは、前記クラッチ機構に当接するレリーズシリンダと前記クラッチ操作部材に当接するマスターシリンダと前記レリーズシリンダの液室および前記マスターシリンダの液室を連通する配管とからなるとともに内部にクラッチ液が封入されてなる油圧作動系を介して連結され、
    前記配管は、その通路断面積を変更するための制御弁が設けられてなり、
    前記動作位置変更手段は、前記制御弁の開度を変更することによって、前記動作位置の変化速度を制御するものである
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
  16. 請求項1〜15の何れか一項に記載のクラッチ機構の制御装置において、
    前記原動機は車載内燃機関であり、
    前記変速機は駆動軸を含む車両駆動系の一構成をなすものである
    ことを特徴とするクラッチ機構の制御装置。
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