JP2008303449A - 成形加工用アルミニウム合金板および成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板および成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼付硬化性が優れ、製造後の常温での経時的な変化が少ないという性能バランスを最適に構築できる成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金圧延板に対し人工予備時効処理によってクラスタIIの量と質を適切なレベルに調整することによって、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とし、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が240MPa以上で、塗装焼付による増加分が80MPa以上であるとりわけ高い塗装焼付強度を実現することができる。
【選択図】なし

Description

この発明は、成形加工用アルミニウム合金板とその製造方法に関し、特に用途に応じて成形加工や塗装焼付を施して使用されるAl−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系の成形加工用アルミニウム合金板とその製造方法に関するものである。
従来、自動車のボディシートとしては、主として冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化等の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用することが多くなっている。ところで自動車のボディシートはプレス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れていること、また成形加工時におけるリューダースマークが発生しないことが要求される。
また高強度を有することも必須であって、通常は塗装焼付を施して使用されるため、塗装焼付(ベークとも呼ぶ)後に高強度が得られる特性(焼付硬化性、すなわちBH性)が要求される。
そしてまたプレス成形性、形状凍結性、ヘム加工性などの成形性及び焼付硬化性をバランスよく満足させるためには、素材を製造してから成形するまでの材料の常温経時変化、すなわち自然時効による性能劣化、特に塗装焼付後の強度低下を抑制することが非常に重要である。
従来このような自動車用ボディシート向けのアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金のほか、塗装焼付前の成形加工時においては比較的強度が低くて成形性が優れている一方、塗装焼付時の加熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点を有するほか、リューダースマークが発生しにくい等の長所を有する時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金が主として使用されている。
この時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金の成形性及び焼付硬化性を向上し、常温経時変化を抑制することを検討した特許文献1は、溶体化処理後できるだけ短時間の常温時効を経てからある温度域(50℃〜150℃)に保持する熱処理を提案する。
また、特許文献2には保持処理もしくは再加熱処理によって安定なクラスタが形成されやすくなり、クラスタの安定性を向上させ、板製造後の経時変化を抑制して、良好な成形加工性を確保するとともに充分な焼付硬化性を得る安定化処理を施すことによって板製造後の常温での経時変化が少なくなるとともに、塗装焼付でのβ”相が細かくなり、焼付硬化性を向上させたアルミニウム合金板の製造方法が開示された。
この特許文献2に開示された方法における安定なクラスタの形成量を増やすことが、溶質元素の過飽和度の減少を意味し、β”相の形成量を減少させてしまうという問題に着目し、特許文献3には、溶体化処理・空冷後の放置時間中の自然時効によって形成されるクラスタを再固溶させて溶質元素量を再度確保させるための復元処理を放置時間に応じた温度範囲で行い、成形加工性および塗装焼付硬化性に優れた、自動車ボディ用として好適なアルミニウム合金板が開示された。
一方、特許文献4及び特許文献5には溶体化(高温)処理及び焼入れ後に安定化処理を施す汎用の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法が開示された。
特許第3207413号(特開平04−147951) 特開平6−272000号公報 特開平9−143645号公報 特許第2613466号(特開平02−205660) 特許第3359428号(特開平08−049052)
最近では、自動車用ボディシート向けの時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板については材料の薄肉化及びコストダウンを図るために、今まで以上に高い強度レベルが要求され、また同時に常温経時を経ても強度劣化の可及的に少ない材料であることが求められ、加えて塗装焼付については、焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向が強まっている。
係る自動車用ボディシート向けニーズは、温暖化対策をはじめとする環境品質が自動車に対する最大の要求品質になっている社会的背景との関係で、きわめて先鋭かつ緊急の課題となっており、係る課題の達成に向けて実証データを根拠とするだけではなく材料の物性的挙動に着目して精密に合目的化した材料設計が必要とされており、特に高い焼付硬化性(BH性)が重視されるだけでなく、常温経時変化による塗装焼付後強度劣化の抑制という要請に応え、これを合理的なコストで最適な性能バランスで実現することが求められる。
この観点で検討すると特許文献1〜特許文献5に開示された製造方法によって得られた時効性Al−Mg−Si系、Al−Mg−Si−Cu系合金板では、製造直後(常温経時1ヶ月未満)状態において塗装焼付後に0.2%耐力240MPa以上、その増加分80MPa以上の高強度が得られても、一旦長時間(1ヶ月以上)常温に放置すると、常温時効によってその後の塗装焼付後に強度劣化(0.2%耐力の増加分80MPa未満)が生じ、焼付硬化性(BH性)と常温経時変化の抑制を以上のニーズに応じたレベルで十分に両立させることができてはいない。
例えば特許文献2、特許文献3に開示された製法では、アルミニウム合金マトリックスに生成されるクラスタに着目した検討が行われてはいるものの、合理的なコストで適切な特性を実現するという要請を具体的に満足するものではなかった。
また、例えば特許文献4に開示されたアルミニウム合金板の製造方法によれば溶体化(高温)処理後、50〜130℃の温度域に焼入れてそのまま50〜150℃で1〜96時間保持する安定化処理を施すことによって強度・成形性を良好にするとしているが、その特許文献4の表3に示されたNo.10では、100℃以上×48時間の安定化処理を行ってはいるものの、焼付後耐力は22.3kg/mm(218.7MPa)以下であり、塗装焼付後に0.2%耐力240MPa以上というニーズを充足するものではない。
さらに、特許文献5に開示された成形加工用アルミニウム合金板は、溶体化処理を施して、100℃/min以上で50〜80℃の温度域に冷却し、その温度域で5秒以上かつ合金の耐力が100N/mm 以下になるような範囲内の時間保持し、続いて85〜150℃にて0.5〜50時間安定化処理を施すとしているが、焼入温度を60℃とし、100℃×18時間の安定化処理を行った表2及び表3に示す製造番号1(合金記号A1)は、製造後の常温時効による耐力の経時変化が小さいが、しかも製造後1日目、40日目における180℃×30minの焼付後素材の0.2%耐力はそれぞれ211N/mm、209N/mmであり、やはり塗装焼付後に0.2%耐力240MPa以上というニーズを充足することはできない。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、焼付硬化性が優れ、製造後の常温での経時的な変化が少ないという性能バランスを最適に構築できる成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
前述のような課題を解決するべくこの発明者等が検討を重ねた結果、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金の最終板の組織として、予め高温予備時効によって材料組織中にクラスタIIを十分に生成させるように調整することによって、高い塗装焼付強度を有するアルミニウム合金板を得ることができることを見出し、この発明をなすに至った。
ここで、クラスタは一般にクラスタIとクラスタIIの2種類に分けられる。その特徴として、クラスタIは、おもに70℃未満の保持温度にて形成されるMg、Siの原子集団であり、これは塗装焼付温度でも安定的に存在する。
クラスタIIは、クラスタIと同様なMg、Si原子集団であるが、塗装焼付温度にて強度向上に有効な析出物へと変化する。
すなわち本発明の成形加工用アルミニウム合金板は、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、溶体化処理後、人工予備時効処理によって予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とし、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が240MPa以上で、塗装焼付による増加分が80MPa以上であることを特徴とする。
また本発明の成形加工用アルミニウム合金板は、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、溶体化処理後、人工予備時効処理によって予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とし、かつ、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)による計測で、最大の発熱ピークの高さを0.09W/g以下とし、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において、材料の塗装焼付後の0.2%耐力が240MPa以上で、塗装焼付による増加分が90MPa以上の高い塗装焼付強度を有することを特徴とする。
クラスタIIの構造、構成は必ずしも一定ではなく、クラスタIIの構造、構成の如何によって材料の焼付け硬化性及び成形性に影響が生じる。
したがってDSC計測で最大の発熱ピークの高さを0.09W/g以下に規制することによってクラスタIIの構造、構成を調整して高性能の焼付け硬化性と成形性の劣化防止効果を得ることができる。
480℃以上の溶体化処理を行ってから80℃以上150℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、80℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させる処理でクラスタIIを生成することができる。
材料を80℃以上150℃以下の温度域で滞留させることによって強度に寄与する因子であるクラスタIIの生成量が支配的となり、クラスタIIの生成によって組織中に整合歪みがもたらされ、強度が上昇する。
また、その生成量が一定以上に達すると、クラスタIIと空孔との相互作用で、常温経時変化が抑えられ、常温経時による塗装焼付後強度の劣化を最小限に食い止めることができる。
480℃以上の溶体化処理を行ってから70℃以上90℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、70℃以上90℃未満の温度域で10分間以下の滞留をさせる処理によって比較的低温で生成するクラスタIIによって成形性の劣化を防止することができる。
この滞留時間が10分以上では、高性能の焼付け硬化性が得られないおそれがある。
次に、改めて90℃以上150℃以下の温度域に再加熱する。その昇温速度は10℃/min以上の昇温速度とするのがよい。
90℃以上150℃以下の比較的に高温域での滞留によって材料の0.2%耐力を140MPa以上としてより安定なクラスタII構造・構成が得られる。
またDSC計測で最大の発熱ピークの高さが0.09W/g以下となる様に調整すれば、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において材料の塗装焼付後の0.2%耐力を240MPa以上とし、その増加分が90MPa以上となる高い塗装焼付強度を得ることができる。
また、さらなる高強度を重視する場合、その最大の発熱ピークの高さが0.06W/g以下になるように、予備時効の温度を高温側に調整することが好ましい。また、成形性の劣化防止を重視する場合、人工予備時効温度130℃以下にすることが好ましい。
成形加工用アルミニウム合金は、Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Fe0.03〜1.0%、0.0001%〜0.0500%のBを伴うことが許容されるTi0.005〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金とすることができる。また、さらに、Zn0.03〜2.5%、Cu0.05〜1.5%の1種又は2種を含有しても良い。
薄肉自動車用ボディシート用に焼付硬化性(BH)、成形性及び経時変化性を総合的に調整されてなるようにすることができる。
[作用]
この発明の成形加工用アルミニウム合金板によれば、人工予備時効処理によってクラスタIIの量と質を適切なレベルに調整することによってとりわけ高い塗装焼付強度を実現することができる。
この発明による成形加工用アルミニウム合金板は、成形性と強度のバランスにおいて特に強度が重視され、焼付硬化性が優れ、塗装焼付後の強度が高く、また常温での経時変化も少なく、常温経時による塗装焼付硬化性の劣化が少ないという優れた性能を奏する。
またこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、上述のように優れた性能を有する成形加工用アルミニウム合金板を、量産的規模で確実かつ安定して製造することができる。
したがって本発明の成形加工用アルミニウム合金板は、焼付硬化性(BH)、成形性及び経時変化性が総合的に調整されて薄肉自動車用ボディシート用に好適である。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法におけるアルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金であれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではない。
通常はMg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Fe0.03〜1.0%、0.0001%〜0.0500%のBを伴うことが許容されるTi0.005〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材とすることが好ましい。また、さらに、Zn0.03〜2.5%、Cu0.05〜1.5%の1種又は2種を含有しても良い。
以下にこの素材合金の成分限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄与する。Mg量が0.2%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するβ”相の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5%を越えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、成形性、特に曲げ加工性が低下するから、Mg量は0.2〜1.5%の範囲内とした。最終板の成形性、特に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内が好ましい。
Si:
Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。したがってSi量は0.3〜2.0%の範囲内とした。プレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.3%の範囲内が好ましい。
Mn、Cr、Zr、V
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付硬化性)の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。
Mnの含有量が0.03%未満、もしくはCrの含有量が0.01%未満、またはZrの含有量が0.01%未満、Vの含有量が0.01%未満、では、上記の効果が充分に得られず、一方Mnの含有量が0.6%を越えるか、あるいはCr、Zr、Vの含有量がそれぞれ0.4%を越えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特にヘム曲げ性に悪影響を及ぼすおそれがあり、したがってMnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zr、Vはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とした。
Fe
Feは強度向上と結晶粒微細化に有効な元素である。
その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られず、一方1.0%を越えれば、成形性、特に曲げ加工性が低下するおそれがあり、したがってFe量は0.03〜1.0%の範囲内とした。
Ti
鋳塊組織を微細にするためにTi0.005%〜0.200%を単独であるいはB0.0001%〜0.0500%とともに添加してもかまわない。Ti添加量が0.200%を超え、かつB添加量が0.0500%を超えると粗大な晶出物が生じ、成形性が低下するおそれがある。一方、Tiが0.005%未満で、かつB0.0001%未満である場合には、鋳塊の組織微細化の効果が少ない。また、Tiが0.200%を超えると粗大な晶出物が生じ成形性を害し、Bが0.05%を超えると同じく粗大な金属間化合物が生じ成形性を害する。したがって0.0001%〜0.0500%のBを伴うことが許容されるTi0.005〜0.2%を添加することができる。
更に、鋳塊組織の微細化にはScの添加も効果があり、0.01〜0.2%の範囲内であればScを添加しても特に支障はない。
Zn
Znは時効性向上を通じて強度向上に寄与するとともに表面処理性の向上に有効な元素である。
Znの添加量が0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を越えれば成形性と耐食性が低下するから、Znを添加する場合の添加量は0.03〜2.5%の範囲内とした。
Cu
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素である。この強度向上および成形性向上の目的からCuを添加する場合の添加量は0.05%以上とする。
しかし、その量が1.5%を越えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が劣化するから、Cuの含有量は1.5%以下に規制することとした。なお、より耐食性の改善を図る必要がある場合はCu量は1.0%以下が好ましく、さらに特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
また時効性Al−Mg−Si系合金、時効性Al−Mg−Si−Cu系合金においては、高温時効促進元素あるいは常温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがある。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板でも微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.3%以下であれば特に所期の目的を損なうことはない。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
次にこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では前述のような成分組成の合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法等の通常の鋳造法によって鋳造する。
次に得られた鋳塊に対して、例えば下記のいずれかの工程で熱処理、圧延が施され、所要の板厚とされる。
1.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒冷間圧延工程⇒中間焼鈍工程⇒冷間圧延工程
2.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒焼鈍工程⇒冷間圧延工程
3.均質化処理工程⇒熱間圧延工程⇒冷間圧延工程
すなわちこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、鋳塊を所要の板厚とする工程については、常法に従えば良く、その条件が特に限定されるものではない。
一般的には、均質化処理温度480℃以上、保持時間1h以上48h以下、必要に応じて3℃/min以上の冷却速度で冷却して熱間圧延工程に供する。熱間圧延の開始温度250℃以上590℃以下、終了温度150℃以上350℃以下、昇温と冷却速度(およそ5〜60℃/hr)の遅いバッチ方式の中間焼鈍では、焼鈍温度300〜450℃、保持時間1h〜24h、昇温と冷却速度(およそ2〜100℃/sec)の大きい連続焼鈍ライン(CAL方式)では、焼鈍温度400〜590℃、保持時間0秒〜10分などの工程が実施される。
また後述するように、この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では溶体化処理が高温で行われることから最終的に得られる成形加工用アルミニウム合金板の塗装焼付硬化性や成形性への前工程の影響は非常に小さくなる。
次に鋳塊を所要の板厚とした後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。
この溶体化処理は、Mg2Si、単体Si等をマトリックスに固溶させ、これによって焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。またこの工程は、Mg2Si、単体Si粒子等の固溶によって第2相粒子の分布密度を低下させて、延性と曲げ性を向上させるためにも寄与し、さらには再結晶によって最終的に所要の結晶方位を得て、良好な成形性を得るためにも重要な工程である。
溶体化処理温度が480℃未満の場合、常温での経時変化の抑制に対しては有利と考えられるが、その場合Mg2Si、Siなどの固溶量が少なくなって、充分な焼付硬化性が得られなくなるばかりでなく、延性と曲げ性も著しく悪化するから、溶体化処理温度は480℃以上とする必要がある。なお特に溶体化効果を重視する場合は、溶体化処理温度は540℃以上とすることが好ましい。一方溶体化処理温度の上限は特に規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大化等を考慮して、通常は590℃以下とすることが望ましい。また溶体化処理の時間は特に規制しないが、通常は5分を越えれば溶体化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶粒の粗大化のおそれもあるから、溶体化処理の時間は5分以内が望ましい。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、溶体化処理後100℃/min以上の冷却速度で、80以上150℃以下の温度域に冷却することもできる。
ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/min未満では、冷却中にMg2Siあるいは単体Siが粒界に多量に析出してしまい、成形性、特にヘム加工性が低下すると同時に、焼付硬化性が低下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。
また、80℃未満の温度域に冷却された場合、クラスタIあるいは低温クラスタIIが形成され、焼付け硬化性が低下するおそれがある。また、150℃越えて材料を滞留した場合、粒界析出が起こりやすく、成形性、ヘム加工性が低下するおそれがある。さらに常温経時による焼付け硬化性の低下も懸念されるため、150℃以下にした。成形性と焼付け硬化性のバランスから130℃以下が好ましい。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、溶体化処理後、人工予備時効処理によって予め材料の0.2%耐力を140MPa以上にすることができる。
溶体化処理を行ってから80℃以上150℃以下の温度域に100℃/min以上の冷却速度で冷却し、その80℃以上150℃以下の温度域で材料を滞留させる処理で金属組織中にクラスタIIと言われる析出物を生成させる。
材料を80℃以上150℃以下の温度域で滞留させることによってクラスタIIの生成によって組織中に整合歪みがもたらされ、強度が上昇する。また、その生成量(密度)が一定以上に達すと、短時間の焼付け硬化性が格段に向上し、一般製法で得られない高い塗装焼付強度を得ることができる。また、高密度のクラスタIIと空孔との相互作用および過飽和度の低減によって、常温経時変化が抑えられ、常温経時による塗装焼付後強度の劣化を最小限に食い止めることができる。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法では、480℃以上の溶体化処理を行ってから70℃以上90℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却することもできる。
この冷却速度の冷却によって粒界析出を防ぎ、成形性、ヘム加工性の低下を抑えることができる。
70℃未満に焼入れした場合、焼付け硬化性の低下が大きくなるおそれがある。一方、直接に90℃以上の温度域に焼入れした場合、成形性の低下が大きくなるおそれがある。 なお、滞留時間が10分を超える場合には高性能の焼付け硬化性が得られなくなるおそれがある。
さらに改めて90℃以上150℃以下の温度域で0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させる処理を施す。
より高性能の焼付け硬化性を得るために、第1段の比較低温の予備時効を行なった後、さらに高温の第2段予備時効を行う。
上述のように予備時効温度が高温ほど、より安定なクラスタII構造、構成が得られ、これらは塗装焼付時に強度に寄与するβ”相へ移行しやくなるため、塗装焼付後に高強度が得られる。
また、0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させる結果として多量の安定なクラスタIIが存在し、DSC計測では220℃と350℃の間に最大の発熱ピークが認められ、その高さは0.09W/g以下になるという特徴がある。その結果、多量の安定なクラスタIIと空孔の相互作用および過飽和度の低減によって、常温経時による焼付け硬化性の劣化を最小限に食い止めることができ、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において材料の塗装焼付後の0.2%耐力が240MPa以上、その増加分が90MPa以上の高い塗装焼付強度を得ることができる。成形性とのバランスを重視する場合、第2段の予備時効は90〜130℃の処理が好ましい。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板では便宜上、代表的な条件として、「材料を2%ストレッチした後、170℃×20分で塗装焼付」した場合の耐力値等で規定する。しかし、係る規定はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板がその塗装焼付条件だけで用いられると言うことを意味するものではない。すなわち0〜5%の範囲のストレッチ後に140〜230℃で10分〜120分程度の塗装焼付という一般的条件の範囲内ならいずれが適用されてもかまわない。無論、その場合、それぞれの塗装焼付条件に対応する耐力値を実験的に求める必要がある。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセスおよび条件がこの発明の技術的範囲を制限するものではない。以下の実施例はその効果を示す一例である。
表1に示すこの発明成分組成(mass%)範囲内の合金記号A1〜A4の合金について、それぞれ常法に従って溶製し、DC鋳造法によってスラブに鋳造した。
Figure 2008303449
得られた各スラブに対して530℃、5hの条件で均質化処理を施した。均質化処理後、熱間圧延工程、冷間圧延工程で1mm厚さの板とした。その後、得られた素材に対して表2に示す製造条件でこの発明の処理を施した。なお、表2に示す溶体化処理後の80〜150℃温度域、あるいは70〜90℃温度域に冷却する平均冷却速度は500℃/minである。また、実施例2の時効処理1の温度から時効処理2の温度への昇温時間は5分以内である。
表2に示す製造条件においては製造番号1、製造番号2、製造番号3、製造番号4、製造番号5は発明例、製造番号6、製造番号7、製造番号8は比較例である。
Figure 2008303449
以上のようにして得られた各板について、各種特性評価を行った。
特性評価に当たっては、常温経時変化を考慮して常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値(YS1)、塗装焼付後の強度として0.2%耐力値(ABYS1)を測定した。さらにその後、常温(25℃)に90日放置した後、機械的強度として0.2%耐力値を測定し(YS2)、塗装焼付後の強度として0.2%耐力値(ABYS2)を測定した。YS2−YS1によって経時変化評価の指標とした。ABYS1−YS1、ABYS2−YS2によって塗装焼付後の0.2%耐力の増加分を評価した。
さらにその常温(25℃)に放置した各板につき、成形性評価として、張出し高さを測定した。
張出し試験:
200mm×200mmの大きさの1mm板の両面にマスキングフィルムを貼り、さらに潤滑を高めるため、ワックスを塗った状態で張出し試験に供し、最大張出し高さを調べた。なおポンチとしては球頭ポンチ径100mmのものを使用した。
さらにその後、常温(25℃)に10日、90日放置した各板につき、それぞれ2%ストレッチ後、170℃×20minの塗装焼付処理を施し、その焼付後の各板について引張試験を行なって、機械的強度として0.2%耐力値を測定し焼付硬化性(BH性)評価の指標とした。
塗装焼付処理は具体的には2%ストレッチを加えた材料を用いて常温(0℃から45℃まで、通常20℃)から170℃のオイルバスにて通常約80℃/分の平均昇温速度で170℃になるように加熱し、この温度で20分保持したのち、オイルバスから取出し、常温環境(約20℃)で50℃以下になるまで自然空冷(通常約50℃/分の降温)して行った。
ここで、塗装焼付処理にあたって2%ストレッチを施したのは、自動車メーカーで素材が滞留し、常温経時後、プレス−組立−塗装という製造工程に供される際のプレス後に生じる歪を実験的に模擬したものである。
素材の状態及び塗装焼付条件によって耐力値が変ることから自動車メーカーにおける塗装焼付対象となる素材の状態に一般的に近似させるために、塗装焼付処理にあたってストレッチを施すことが必要となる場合が多い。
以上の各種評価の結果を表3に最終板の材料性能として示す。
Figure 2008303449
表3のDSC測定はパーキンエルマー社製Diamond DSCを使用し、サンプル重量約50mg、リファレンス(基準物質)には99.99%高純度アルミニウムを使用し、昇温速度を40℃/minとし、測定温度範囲を20℃〜500℃として、発熱、吸熱ピーク高さを、リファレンスを使って測定したベースラインを基準(発熱、吸熱ピークなし)にして測定した。横軸を温度に、縦軸を発熱、吸熱の熱エネルギー指標(W/g)で表示した。
表1〜表3に示される様に、製造番号1〜製造番号5は、いずれも合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件もこの発明で規定する範囲内に設定されて、製造番号1〜製造番号5の成形加工用アルミニウム合金板は焼付硬化性が高く、塗装焼付時に充分な焼付硬化性を示し、さらに3ヶ月の材料強度(耐力)の経時変化も最大で製造番号4の12MPaであって小さい。
したがってこれらの製造番号1〜製造番号5のものは焼付硬化性(BH)と成形性が重視される自動車ボディシート用に好適に利用することができる。
具体的には製造番号1は、製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が142MPa(常温経時10日)であり、常温経時90日の0.2%耐力が152MPaであり、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とするというの条件を充足する。また材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力{以下、「焼付硬化性(BH)」とする。}が250(90日経時、10日経時)MPaであって、240MPa以上とする条件を充足し、塗装焼付による耐力の増加が108MPa(10日経時)、98MPa(90日経時)と大きく、増加分が80MPa以上とするこの発明の条件を充足する。また張り出し高さが36.7(90日経時)〜36.9(10日経時)mmであり十分な成形性を示した。また常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、常温(25℃)に90日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が10MPaと極めて小さく経時変化性が良好であった。
またこの製造番号1は560℃以上の溶体化処理を行ってから平均冷却速度を500℃/minとして冷却され、時効処理1の滞留温度を102℃として製造された。
したがって製造番号1は480℃以上の溶体化処理を行ってから80℃以上150℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、80℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させるという条件を充足して製造された。
480℃以上の溶体化処理を行ってから80℃以上150℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、80℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させるという条件を充足して製造された。
したがって製造番号1はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
また製造番号2では製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が151MPa(常温経時10日)であり、常温経時90日の0.2%耐力が152MPaであり、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とするという条件を充足する。また90日経時のDSC計測結果において測定温度範囲を20℃〜500℃としたときの最大発熱ピークの高さが0.045W/gであり、最大の発熱ピークの高さを0.09W/g以下とする条件を充足する。さらに2%ストレッチ後の170℃×20minの塗装焼付後の焼付硬化性(BH)が258(90日経時)〜259(10日経時)MPaであり、3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において材料の塗装焼付後の0.2%耐力が240MPa以上とする条件を充足する。また塗装焼付による耐力の増加が108MPa(10日経時)、98MPa(90日経時)と大きく、増加分が80MPa以上とするこの発明の条件を充足し、さらに増加分が90MPa以上とするこの発明条件を充足する。
また製造番号2では張り出し高さが37.1(90日経時)〜37.3(10日経時)mmであり十分な成形性を示した。また常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、常温(25℃)に90日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が9MPaと極めて小さく経時変化性が良好であった。
またこの製造番号2は溶体化処理後の時効処理1の滞留温度は81℃であって、かつ滞留時間が0.03時間であることから、80℃以上150℃以下の温度域で滞留させるという条件が履行され、同時に70℃以上90℃未満の温度域で10分間以下の滞留をさせるという条件が履行された。さらに時効処理1後の時効処理2も温度103℃、滞留時間が12時間とされて90℃以上150℃以下の温度域で滞留をさせるという条件が履行された。
さらに製造番号3では、製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が159MPa(常温経時10日)であり、常温経時90日の0.2%耐力が162MPaであり、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とするという条件を充足する。また材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が242(90日経時、10日経時)MPaであって、240MPa以上とする条件を充足し、塗装焼付による耐力の増加が83MPa(10日経時)、80MPa(90日経時)と大きく、増加分が80MPa以上とするこの発明の条件を充足する。
また張り出し高さが37.3(90日経時)〜37.6(10日経時)mmであり十分な成形性を示した。また常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、常温(25℃)に90日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が3MPaと極めて小さく経時変化性が良好であった。
またこの製造番号3は560℃以上の溶体化処理を行ってから平均冷却速度を500℃/minとして冷却され、溶体化処理後の時効処理1の滞留温度83℃、滞留時間42hとして製造され、80℃以上150℃以下の温度域で滞留させるという条件が履行された。
したがって製造番号3はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
さらに製造番号4では、製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が155MPa(常温経時10日)であり、常温経時90日の0.2%耐力が167MPaであり、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とするという条件を充足する。また材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が260MPa(10日経時)及び261MPa(90日経時)であって、240MPa以上とする条件を充足し、塗装焼付による耐力の増加が105MPa(10日経時)、94MPa(90日経時)と大きく、増加分が80MPa以上とするこの発明の条件を充足する。
また張り出し高さが36.5(90日経時)〜36.7(10日経時)mmであり十分な成形性を示した。また常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、常温(25℃)に90日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が12MPaと小さく経時変化性が良好であった。
またこの製造番号4は560℃以上の溶体化処理を行ってから平均冷却速度を500℃/minとして冷却され、溶体化処理後120℃から1℃/hで80℃まで徐冷されて80℃以上150℃以下の温度域で滞留させるという条件を充足して製造され、この製造番号4はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法を実施して製造され、自動車ボディシート用に好適に利用できるこの発明の成形加工用アルミニウム合金板に該当する。
さらに製造番号5では、製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が160MPa(常温経時10日)であり、常温経時90日の0.2%耐力が168MPaであり、予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とするという条件を充足する。また材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が249MPa(10日経時)及び248MPa(90日経時)であって、240MPa以上とする条件を充足し、塗装焼付による耐力の増加が89MPa(10日経時)、80MPa(90日経時)であり、増加分が80MPa以上とするこの発明の条件を充足する。
また張り出し高さが36.9(90日経時)〜37.2(10日経時)mmであり十分な成形性を示した。また常温(25℃)に10日放置した後、引張試験を行なって0.2%耐力値を測定した(YS1)と、常温(25℃)に90日放置した後0.2%耐力値を測定した(YS2)として得られた数値によって経持変化評価の指標とした(YS2−YS1)値が8MPaと小さく経時変化性が良好であった。
またこの製造番号5は560℃以上の溶体化処理を行ってから平均冷却速度を500℃/minとして冷却され、溶体化処理後88℃から02℃/hで80℃まで徐冷されて80℃以上150℃以下の温度域で滞留させるという条件を充足して製造され、この製造番号5はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施に該当する。
一方、製造番号6、製造番号7についても合金の成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、かつ製造プロセス条件も、時効処理1が行われた。しかし、製造番号6では溶体化処理後の時効処理1の滞留温度が70℃であって80℃以上150℃以下の温度域で滞留させるという条件は履行されておらず、したがって製造番号6はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法実施には該当しない。
また、事前に十分安定な高温クラスタII生成処理が履行されていないことからも、バランスを失って焼付硬化性(BH)が226MPaと低下を生じこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の条件を充足せず、したがって、焼付硬化性(BH)が重視される自動車ボディシート用には不適切である。
一方、製造番号7では溶体化処理後の時効処理1として15〜30℃の常温でそのまま放置する処理が行われ、80℃以上150℃以下の温度域で滞留させる処理は行われず、したがって製造番号7はこの発明の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法の実施には該当しない。その結果、クラスタIが多量に生成され、焼付硬化性(BH)が136MPaと大きな低下を生じ、この発明の成形加工用アルミニウム合金板の条件を充足せず、したがって、焼付硬化性(BH)が重視される自動車ボディシート用には不適切である。
これに対し製造番号8は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であり、溶体化処理後の時効処理1の滞留温度が90℃であって80℃以上150℃以下の温度域で滞留させる処理が行われてはいる。しかし、製造後、塗装焼付前の0.2%耐力が128MPa(常温経時10日)であり、80℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させるとするこの発明の条件は充足されていない。
また製造番号8は焼付硬化性(BH)が215MPaであり170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が240MPa以上とするこの発明の条件も充足しない。したがって、焼付硬化性(BH)が重視される自動車ボディシート用に適用することはできない。
この発明の成形加工用アルミニウム合金板および成形加工用アルミニウム合金板の製造方法は、塗装焼付前の素材強度が常温経時の短い期間中(例えば製造後15日)において通常の材料に比べて高いことから、自動車ボディシート材の成形許容範囲にあり、特に塗装焼付け後の強度を重視する自動車用ボディシートに最適である。

Claims (7)

  1. Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるアルミニウム合金鋳塊から圧延工程と昇温と冷却を含む熱処理工程を経て所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、溶体化処理後、人工予備時効処理によって予め材料の0.2%耐力を140MPa以上とし、少なくとも3ヶ月以内の常温(0〜45℃)経時期間中において、材料を2%ストレッチした後、170℃×20minの塗装焼付後0.2%耐力が240MPa以上であることを特徴とする成形加工用アルミニウム合金板。
  2. 塗装焼付による0.2%耐力増加分が80MPa以上である請求項1記載の成形加工用アルミニウム合金板。
  3. 示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)による計測で、最大の発熱ピークの高さを0.09W/g以下とし、塗装焼付による増加分が90MPa以上の高い塗装焼付強度を有する請求項1記載の成形加工用アルミニウム合金板。
  4. Mg0.2〜1.5%(mass%、以下同じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、かつMn0.03〜0.6%、Cr0.01〜0.4%、Zr0.01〜0.4%、V0.01〜0.4%、Fe0.03〜1.0%、0.0001%〜0.0500%のBを伴うことが許容されるTi0.005〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の成形加工用アルミニウム合金板。
  5. Zn0.03〜2.5%、Cu0.05〜1.5%のうちの1種又は2種を含む請求項1〜請求項4のいずれか一に記載の成形加工用アルミニウム合金板。
  6. 480℃以上の溶体化処理を行ってから80℃以上150℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、80℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させる請求項1記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
  7. 480℃以上の溶体化処理を行ってから70℃以上90℃以下の温度域に100℃/min(分)以上の冷却速度で冷却後に、70℃以上90℃未満の温度域で10分間以下の滞留をさせて改めて90℃以上150℃以下の温度域で合金板の0.2%耐力が140MPa以上になるように滞留させる請求項3記載の成形加工用アルミニウム合金板の製造方法。
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