JP2008297554A - サブスタンスp増加抑制剤 - Google Patents

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純一 細井
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Abstract

【課題】本発明は血中サブスタンスPの増加を抑制し、特に鎮痒効果を発揮する香料組成物の提供を課題とする。
【解決手段】1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン(DMMB)及びメチル2−ペンチル−3−オキソシクロペント−1−イルアセテート(ヘジオン)が血中サブスタンスPの増加を効果的に抑制し、鎮痒効果を発揮することが見出された。
【選択図】図1

Description

本発明は、血中サブスタンスPの増加を抑制する香料組成物に関する。より詳しくは、本発明は1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン及び/又はヘジオンの化合物を含有する、特に鎮痒効果を与える香料組成物に関する。これらの化合物は鎮痒効果を有し、これを香料に配合することにより鎮痒効果を与えることができる。従って、この化合物を含有する香料組成物を香水、コロン、シャンプー・リンス類、スキンケア、ボディシャンプー、ボディリンス、ボディパウダー類、芳香剤、消臭剤、浴剤などに用いて鎮痒効果を発現させることができる。また、本発明は鎮痒活性を有する香料をスクリーニングする方法も提供する。
現代病の一つとして精神性ストレスが、現代人の日常生活を蝕んでいることは避けられない現実である。ストレスは不定愁訴、自律神経失調症等の心身症の原因となるのみならず、皮膚や頭皮の痒みの原因ともなる。
ストレスが原因となる心身症の治療方法として、近年手軽に利用でき、副作用が比較的少ないアロマテラピー(芳香療法)に対する関心が高まっている。多様な香料が様々な症状改善のためのアロマ療法剤として存在し、中には、皮膚バリアー機能回復促進を図るなど、皮膚の改善に対して有効とされる香料も存在する(特開2000-159666号公報)。しかしながら、香料の効果は多分に経験的判断に基づく漠然としたものが多く、通常の薬剤のように、はっきりした特定の薬理効果の知られている香料は少なく、まして鎮痒効果を発揮するのに有効な薬剤としての提供はなされていない。
痒みはマスト細胞の異常活性化によるヒスタミン、セロトニン、LTB4等のケミカルメディエーターの遊離の亢進の結果引き起こされることで知られている。一般にマスト細胞の活性化はアレルゲン等がマスト細胞の特異的レセプターに結合することで引き起こされるが(アトピー反応)、ストレスによってもマスト細胞の活性化が誘導されるものと考えられている(Singh L.K., Xinzhu P., Alexacos N., Letourneau R, Theoharides T.C. ”Acute immobilization stress triggers skin mast cell degranulation via corticotropin releasing hormone, neurotensin, and substance P: a link to neurogenic skin disorders.“Brain Behavior and Immunity 13:225-239, 1999)。しかしながら、ストレスがどのような作用機序を介してマスト細胞の活性化を誘導するかは明確には解明されていない。
一方、ストレスは血中サブスタンスP濃度を増加させるとも考えられている。サブスタンスPは神経組織、消化管から抽出される11個のアミノ酸(H-Arg-Pro-Lys-Pro-Gln-Gln-Phe-Phe-Gly-Leu-Met-NH2)から成る活性ペプチドであり、血圧降下作用、唾液分泌亢進作用、催涙作用、回腸収縮作用等の他、マスト細胞の活性化を促進し、マスト細胞からのヒスタミン放出作用を有することで知られている。
本発明者はサブスタンスPのヒスタミン放出効果に着目し、ストレスとサブスタンスPとの関係について検討したところ、ストレスが血中サブスタンスPを増加させ、またマスト細胞の活性化を促進することを確認した。
本発明者は以上の事実に基づき、香料がストレスによる血中サブスタンスPの増加に対して及ぼす影響を鋭意検討した。その結果、本発明者は、数ある香料の中から、ジメトキシメチルベンゼン及びヘジオンが血中サブスタンスPの増加を抑制し、ストレスを原因とする痒みの軽減に有効であることを見出した。
従って、第一の態様において、本発明は1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン(DMMB)及び/又はメチル2−ペンチル−3−オキソシクロペント−1−イルアセテート(ヘジオン)を有効成分として含有する、血中サブスタンスPの増加を抑制する香料組成物を提供する。
好ましくは、上記香料組成物は鎮痒効果を与えるものである。
更に、上記香料組成物は血中サブスタンスPの増加を抑制することで、血圧降下、唾液分泌亢進、催涙、回腸収縮を抑制する効果も発揮する。
第二の態様において、本発明は上記香料組成物を吸入させることにより哺乳動物の皮膚又は頭皮の痒みを軽減する方法を提供する。
第三の態様において、本発明は鎮痒活性を有する香料をスクリーニングする方法であって、
動物に対する血中サブスタンスP濃度の上昇をもたらすストレスの負荷、及び
当該動物の候補香料に対する暴露、
を実施し、そして
当該動物の血中サブスタンスP濃度を測定し、血中サブスタンスP濃度の上昇を抑制する香料を当該鎮痒活性を有する香料として選定する;
ことを特徴とする方法を提供する。
本発明は更に、上記方法により選定した鎮痒活性を有する香料に関する。
1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン(DMMB)はハイブリット・ティ種を代表とする現代バラの花の開花時に多く含有され、しっとりとした新鮮なグリーンノートを持ち、落ち着いた感じの匂いがする香料である。この化合物は香料原料として使用されるローザ・ダマセナ種やローザ・センチフォリア種のバラには含まれないが、現代種のバラの香気成分として数%から70%前後含まれていることは知られている(Shoji Nakamura; Perfumer & Flavorist; 12, June/July, 43-45(1987))。しかし、この化合物について鎮痒効果が確認されたことは未だない。
メチル2−ペンチル−3−オキソシクロペント−1−イルアセテート(別名ヘジオン又はジヒドロジャスモン酸メチル)は、天然においては、中国産秀英花、ジャスミン、紅茶等に存在する香料であり、香水からトイレタリー製品用香料まで広い範囲で使用されている。ヘジオンについても鎮痒効果が確認されたことは未だない。
前記したように、本発明は血中サブスタンスPの増加を抑制する効果、特に鎮痒効果を与える成分としてDMMB及び/又はヘジオンを配合した香料組成物に関し、この香料組成物は必要に応じて補助成分と組み合わせて香水、コロン、シャンプー・リンス類、スキンケア、ボディシャンプー、ボディリンス、ボディパウダー類,芳香剤、消臭剤、浴剤、ローション、クリーム、石鹸、歯磨剤、エアゾール製品等の化粧料、その他の香料一般に用いられるいずれの形態であってもよい。さらに吸入薬などの医薬品にも用いることができる。なお、香料組成物中におけるDMMB及び/又はヘジオンの配合量は使用目的などを考慮して適宜決定すればよいが、通常は0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%が適当である。DMMB及び/又はヘジオンの含有量が0.01重量%以上において、有効な血中サブスタンスPの増加を抑制する効果、特に鎮痒効果を発現することができる。尚、本発明に係る香料組成物を入浴剤として調製する場合、使用時に通常100〜1000倍程度に希釈されるので、配合はそれを加味した高濃度で処方されるのが好ましい。また、DMMB及び/又はヘジオンは穏やかでしっとりした匂いであり、他の香料と混合しても、その香質,香調に特に影響を与えることがない。
本発明に従う香料組成物は、特に痒みを抑制するための皮膚疾患等の処置に適する。本発明の香料組成物は単に鼻吸入することによりその効果を発揮することができる。鼻吸入は適宜行なえばよく、定期的に、又は痒みが生じたときに行なってもよく、1日におけるその回数に特に制限はない。本発明の香料組成物は副作用の問題なく連用することができる。
鎮痒活性を有する香料は、以下の通りにしてスクリーニングすることができる。まず、適当な哺乳動物、例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等を候補香料に暴露させる。また、哺乳動物の血中サブスタンスP濃度を上昇させるため、この動物にストレスを負荷する。ストレスの負荷の開始時は、香料への暴露の開始前、開始と同時、又は開始後であってもよい。次いで、当該動物の血中サブスタンスP濃度を測定し、血中サブスタンスP濃度の上昇を抑制する香料を当該鎮痒活性を有する香料として選定する。
動物の香料への暴露方法は、動物による香料の吸入を可能とするあらゆる方法が採られる。ヒトの場合、例えば面接試験を課すことで実施することができる。また、マウス等の動物を使用する場合、動物を飼育するかごの中に香料を染み込ませた濾紙を入れることで暴露実験を実施することができる。
ストレスの負荷も、動物の血中サブスタンスP濃度を上昇させる手段であればいかなる方法でもよく、動物の種に依存して当業者は適当なストレス負荷手段を適宜選定することができるであろう。本発明者は、マウスを金網に拘束させることによりストレスを負荷したが、かかる方法に制限されるものではない。
上記動物の血液を採取し、血漿中のサブスタンスPを測定する。サブスタンスPの測定は当業界周知の方法、例えば、免疫測定方法、例えば酵素ラベルを利用するELISA法、放射性ラベルを利用するRIA法、抗体と抗原との反応で生ずる濁りの吸光度の変化から抗原量を定量する免疫比濁法、抗原と抗体感作ラテックスビーズもしくは抗体感作赤血球との反応によって生ずる凝集反応の度合いから抗原量を測定するラテックス凝集法や赤血球凝集法等、様々な方法が挙げられる。免疫測定法の方式には競合法やサンドイッチ法が挙げられる。他に、電気泳動法、等電点電気泳動法、クロマトグラフィー法、例えばゲル濾過クロマトグラフィー法、イオン交換クロマトグラフィー法、逆相クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法、ウェスタンブロット法、等により実施することができる。本発明において、好ましくはサブスタンスPの測定はELISA(例えばELISAキット(Cayman社、USA))により実施する。
上記免疫測定方法において使用するサブスタンスPに特異的な抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。モノクローナル抗体が特に好ましい。モノクローナル抗体やポリクローナル抗体の作成は当業者に周知である。
このようにして血中サブスタンスP濃度を測定し、その濃度の上昇を有意に抑制する香料を鎮痒活性を有する香料として選定することができる。血中サブスタンスP濃度の上昇の抑制が有意であるか否かは、例えばストレス負荷は施したが、香料に対し暴露していない動物の血中サブスタンスP濃度を対照とし、決定することができる。例えば、対照と比較して血中サブスタンスP濃度の上昇を10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、最も好ましくは50%以上抑制する香料を、鎮痒活性を有する香料と定義し、選定することができる。
以下に実施例および試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
試験1.ヒトサブスタンスPのストレスと香料(DMMB)による調節
20代前後の健常女性を対象にして、香料を染み込ませた綿又は染み込ませていない綿を鼻下に添付し、10分間模擬面接を課すことでストレスを負荷した。その前後で採血し、血漿中のサブスタンスP量をELISAによって測定し、血中サブスタンスP濃度に及ぼすストレス負荷の影響の確認及び香料が及ぼす血中サブスタンスPに対する効果を検討した。
(1)被験者
19歳から27歳の健康な女性で、大学生もしくは大学院生とし、のべ24名とした。実験当日が生理期間中にあたらないよう被験者が選定された。実験の目的、採血、ストレス負荷法について事前に説明を行い、承諾を得た。嗅覚に以上がないことをアンケートで事前に確認しておいた。
(2)香料吸入法
香料DMMB((株)高砂香料)を小さな綿に染み込ませ、ストレス負荷直前に鼻の下に添付した。対照となる無香料の被験者には、香料を染み込ませていない綿を添付した。
(3)ストレス負荷法
ストレス負荷は、ドイツのKirschbaumら(Neuropsychobiology 28:76-81, 1993)が発表した模擬面接方法を用いた。案内人が模擬面接直前に被験者に対し、模擬面接の状況を説明し、最適志願者であるように振舞うことが目的と説明した。
ビデオカメラが設置され、3人の試験官が座っている別室に入れて、着席させた。前半5分間は、質疑応答なしで被験者自らに話させた。後半5分間は、1022から13を次々に引いていく暗算を課した。
(4)採血・血漿の分離
1回におよそ5mlの血液を肘窩の皮静脈より採取し、1日に3回行なった。採血は、熟練した看護婦が滅菌使い捨ての針付きシリンジを用いて行なった。採取された血液をヘパリン・EDTAを含む真空管に移し、4℃、3000rpmで5分間遠心分離し後、プロテアーゼ阻害剤を含むマイクロ遠心管に血漿を分注してドライアイスで凍結した。
(5)サブスタンスPの測定
血漿中のサブスタンスPは、ELISAキット(Cayman社、USA)を用いて測定した。
結果を図1に示す。この図を参照することにより明らかな通り、香料を嗅がせなかった対照群(図中の「香料なし」)ではストレス負荷により血中サブスタンスP量が増加するが、香料吸入群(図中の「香料あり」)ではその増加が抑えられ、その差は統計学的に有意であった。このことから、ストレス負荷により血中サブスタンスP濃度が増加することが確認され、そして香料DMMBを嗅ぐことによりストレスによる血中サブスタンスP濃度の増加を抑えることができることが明らかとなった。
試験2.マウス血中サブスタンスPのストレスと香料による調節
Balb/cマウスを各種香料に24時間暴露し、その最後の2時間拘束ストレスを負荷し、血漿中のサブスタンスP量をELISAによって測定することで、血中サブスタンスP濃度に及ぼすストレス負荷の影響の確認及び各種香料の血中サブスタンスPに対する効果を検討した。
(1)香料吸入
雌のBalb/cマウス(7〜9週齢、星野実験動物より購入)を香料に24時間暴露させた。香料の動物への吸入は、ケージ内に設置した金網で覆ったペトリ皿(直径10cm)に各種香料を吸収させた濾紙を入れることによって行なった。尚、対照は、香料未吸収の濾紙を使用した。使用した香料は以下の通りである:
DMMB
ヘジオン((株)高砂香料)
ローズP((株)高砂香料)
(2)ストレス負荷
上記動物の24時間香料暴露の最後の2時間、金網に拘束させることによりストレスを負荷した。
(3)サブスタンスPの測定
上記動物の血液を採取し、血漿中のサブスタンスPをELISAキット(Cayman社、USA)を用いて測定した。
その結果を図2に示す。この図の「ストレスなし」と「ストレスのみ」とを比較することにより明らかな通り、血漿中のサブスタンスPはストレス負荷によって有意に増加した。そしてその増加はDMMB及びヘジオンの香料吸入によって有意に抑えられたが、ローズPにはこの効果がほとんどないと考えられた。★はストレスなしとの間に、*はストレスのみとの間に統計的な有意差があることを示す。
試験3.血中サブスタンスP増加によるマウス皮膚マスト細胞の活性化の促進
Balb/cマウスの尾静脈にサブスタンスPを注射し、皮膚を採取してマスト細胞の活性化について検討した。
Balb/cマウスの尾静脈にサブスタンスP(Peninsula社、USA)を注射し(8ng/mlを25μl)、一定時間(1〜48時間)経過後に皮膚を採取し、アセトン固定した後、パラフィン切片を作製し、酸性条件下でトルイジンブルー染色を行った。顕微鏡下で陽性細胞を観察し、活性化細胞数をカウントした。
図3はサブスタンスPの尾注射により、マスト細胞の活性化が促進されることを示す。尚、48時間目でのサブスタンスPの血中最終濃度は100pg/lとなった(ヒト正常血清レベルの2倍)。この図の結果から明らかな通り、マスト細胞100個当たりの活性化細胞数は注射後1時間から有意に増加した。
図4はサブスタンスPの濃度を変えて注射した場合の2時間後の活性化細胞数をカウントした結果を示す。その結果が示す通り、サブスタンスPの最終血中濃度が200ng/mlのとき、対照の生理食塩水と比べ、活性化細胞数が最も顕著に増加した。
図3及び4の結果から、サブスタンスPがマスト細胞の活性化を促進させることが確認された。
試験4.ストレスと香料によるマスト細胞活性化の調節
Balb/cマウスに香料・ストレス負荷を行い、皮膚を採取してマスト細胞の活性化について検討した。
雌のBalb/cマウス(7−9週齢、星野実験動物より購入)を香料に24時間暴露させた。香料の動物への吸入は、ケージ内に設置した金網で覆ったペトリ皿(直径10cm)にDMMBあるいはヘジオンを吸収させた濾紙を入れることによって行った。なお、対照として、香料未吸収の濾紙を使用した。
上記動物の最後の2時間、金網に拘束させることにより、ストレスを負荷した。
皮膚を採取してアセトンで固定し、パラフィン切片を作製してトルイジンブルー染色を行った後、陽性細胞数を計数した。
その結果を図5に示す。ストレス負荷により、活性化マスト細胞が増加し、DMMBあるいはヘジオンを吸入することによってその増加が抑えられた。★はストレスなしとの間に、*はストレスのみとの間に統計的な有意差があることを示している。
以上の結果は、ストレスが血中サブスタンスPの増加を介してマスト細胞の活性化を促進し、痒みの誘導刺激に対する閾値を低下させ、さらにDMMB及びヘジオンの特定の香料がストレスによる血中サブスタンスP濃度の上昇を抑制し、その結果としてマスト細胞の活性化を誘導する血中サブスタンスP濃度の上昇を抑え、ストレスによる痒みを軽減することを明らかにする。
本発明に係るDMMBやヘジオンは各種調合香料、例えばジャスミン調香料やフローラル系調香料に添加してから、各種剤型に配合することで、血中サブスタンスPの増加を抑制する効果を発揮し得る。以下に各種剤型の処方例を示す。
1)ジャスミン調調合香料の処方
ビーワックス・アブソリュート 1
ベンジルアセテート 19
ベンジルアルコール 4
シス−3ヘキセニルベンゾエート 1
シス−ジャスモン 2
オイゲノール 1
ゲラニールリナロール 5
インドール 1.5
イソフィトール 10
リナノール 8
ベンジルベンゾエート 10
フィトール 34
エチルアルコール 1.5
DMMB又はヘジオン 2
100重量部
フローラル系調調合香料(I)の処方
n−ノナナール 10% 0.1
ベンジルベンゾエート 1
シトロネロール 10
シトロネリールアセテート 0.2
シトロネリールフォメート 0.1
オイゲノール 0.5
ゲラニオール 12.5
ゲラニールアセテート 0.3
シス−3−ヘキセノール 0.2
ネロール 2.5
フェニルエチルアルコール 68
フェニルエチルアセテート 1.5
ローズオキサイド 0.1
DMMB又はヘジオン 2
100重量部
フローラル系調調合香料(II)の処方
アルデヒドベース 4
アミルサリシレート 2.5
ベンジルアセテート 1.5
ベンジルサリシレート 9.6
ベルガモットオイル 6
カーネーションベース 3
クマリン 0.2
1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−
4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−
ガンマ−2−ベンゾピラン 4
グリーンベース 6
ジャスミンベース 10
メチルイオノン 5.5
ミューゲベース 9.7
ムスクケトン 4.5
フェニルエチルアルコール 4
ローズベース 4
サンタレックスT
(高砂香料工業株式会社製) 2.5
イランイランオイル 2.5
ジプロピレングリコール 19
DMMB又はヘジオン 2
100重量部
実施例1
浴剤の調製
炭酸水素ナトリウム 70 重量部
無水硫酸ナトリウム 28.8
香料(DMMB又はヘジオン) 1
(フローラル系調調合香料(I))
色素Y−202−1 0.2
100 重量部
香料を除いた成分をV型ミキサーにて均一になるまで攪拌した後、DMMB又はヘジオンを2%含有する上記フローラル系調調合香料(I)を加え、さらに均一になるまで十分に攪拌して浴剤を得た。
実施例2
芳香剤(ゲルタイプ)の調製
カラギーナン 3 重量部
プロピレングリコール 2
プロピルパラベン 0.3
香料(DMMB又はヘジオン) 5
(ジャスミン調調合香料)
色素Y−202−1 89.7
100 重量部
カラギーナン、プロピレングリコール(保留剤)およびプロピルパラベン(防腐剤)を混合して攪拌しながら水を加え、これを緩やかに攪拌しながら約80℃になるまで加熱した。その後、約65℃とし、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて3000回転(rpm)で攪拌しながらDMMB又はヘジオンを2%含有する上記ジャスミン調調合香料を加えて均一な相にしたのち、所定の容器に流し込み、自然冷却して芳香剤(ゲルタイプ)を得た。
実施例3
芳香剤(リキッドタイプ)の調製
95%エタノール 25 重量部
界面活性剤 5
香料(DMMB又はヘジオン) 2
(フローラル系調調合香料(II))
67
100 重量部
水を除く各成分を混合し、緩やかに攪拌しながら水を加え、均一にして芳香剤(リキッドタイプ)を得た。なお、界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルEO−13を用いた。
実施例4
消臭剤(リキッドタイプ)の調製
消臭原液FS-500M 5 重量部
(白井松新薬株式会社)
95%エタノール 10
界面活性剤 10
1%のDMMB又はヘジオン 10
(フタル酸ジエチル溶液)
65
100 重量部
水以外の各成分を混合し、緩やかに攪拌しながら水を加えて消臭剤(リキッドタイプ)を得た。なお、界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルEO−10を用いた。
実施例5
消臭剤(エアゾールタイプ)の調製
消臭原液FS-500M 5 重量部
(白井松新薬株式会社)
95%エタノール 20
1%のDMMB又はヘジオン 10
(フタル酸ジエチル溶液)
水 40
液化石油ガス(4.0kg/cm2 20℃)25
100 重量部
液化石油ガス以外の各成分を混合、攪拌して均一とし、所定の量をエアゾール容器に入れてバルブを取付けた後、液化石油ガスを注入して消臭剤(エアゾールタイプ)を得た。
DMMB及びヘジオンは血中サブスタンスPの増加を抑制する効果を発揮することで、過剰なサブスタンスPの分泌により生ずる血圧の低下、唾液・涙腺分泌の亢進、腸蠕動の亢進などを軽減させることができる。また、ストレス時のマスト細胞の活性化によるヒスタミン等の放出が促進されることを防ぐことで、痒みの閾値の低下を防ぐことができ。
面接ストレス負荷による血中サブスタンスPの増加と香料によるかかる増加の調節を示す。 マウス拘束ストレス負荷による血中サブスタンスPの増加と香料によるかかる増加の調節を示す。 サブスタンスPの尾静脈注射によるマスト細胞活性化の促進を示す。 サブスタンスPの量を変えて尾静脈注射した際のマスト細胞活性化の促進を示す。 ストレス負荷によるマスト細胞の活性化及び香料によるかかる活性化の調節を示す。

Claims (4)

  1. 1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン(DMMB)及び/又はメチル2−ペンチル−3−オキソシクロペント−1−イルアセテート(ヘジオン)を有効成分として含有する、血中サブスタンスPの増加を抑制する香料組成物。
  2. 鎮痒効果を与える、請求項1記載の香料組成物。
  3. 請求項2記載の香料組成物を吸入させることにより哺乳動物の皮膚又は頭皮の痒みを軽減する方法。
  4. 鎮痒活性を有する香料をスクリーニングする方法であって、
    動物に対する血中サブスタンスP濃度の上昇をもたらすストレスの負荷、及び
    当該動物の候補香料に対する暴露、
    を実施し、そして
    当該動物の血中サブスタンスP濃度を測定し、血中サブスタンスP濃度の上昇を抑制する香料を当該鎮痒活性を有する香料として選定する;
    ことを特徴とする方法。
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