JP2008288293A - 半導体受光素子 - Google Patents

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学 満原
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具就 佐藤
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康洋 近藤
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Abstract

【課題】具体的にはInGaAsN光吸収層の膜厚が薄い場合であっても、大きな量子効率が得られ、加えて暗電流の少ない半導体受光素子を提供する。
【解決手段】InP基板1上に形成されたInGaAsN層を光吸収層5とし、信号光をInP基板1とは反対側から入射させる半導体受光素子において、InP基板1とInGaAsN光吸収層5の間に信号光を反射するための半導体多層膜反射鏡2を設置し、さらにInGaAsN光吸収層5に対してInP基板1の反対側には半導体多層膜2により反射された光をさらに反射するような反射鏡(例えばp−InGaAs層7と空気の界面で反射する反射鏡)を設置し、信号光をこの2つの反射鏡の間で共振させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体受光素子に関するものである。
波長1.7ミクロンメータ(μm)より長い近赤外から中赤外の波長域には、多くの分子の吸収線が存在している。分子は、その種類に応じて固有の波長の光を吸収するために、分子の吸収線に対する分光計測を用いれば、混合ガス中における特定のガスの濃度や物質中の特定の分子の濃度を測定することが可能となる。
半導体を用いた光受光素子では、その光吸収層は信号光の波長よりも長いバンドギャップ波長が必要である。しかしながら、光吸収層としては、半導体受光素子における暗電流と受光感度を考慮すると、測定する光の波長よりも極端に長いバンドギャップ波長の材料は相応しくない。これは、半導体を用いた受光素子では、光吸収層のバンドギャップ波長が長くなるに従い、暗電流の増加が顕著になることに加えて、入射させる光の波長を短くしていった場合の光吸収層における吸収係数は、光吸収層のバンドギャップ波長付近では急激に増加するもののその後は落ち着いてくるため、光吸収層のバンドギャップ波長を著しく長波長にしても吸収に対する利点が小さくなるためである。上記の理由により、波長1.7から3.2μm付近の光の検出には、これまで主としてバンドギャップ波長が3.4μmであるPbSの光導電効果を用いた受光素子が用いられてきた。
しかしながら、一般に光導電効果を用いた受光素子は、光起電力効果を用いた受光素子に対し、応答時間が遅い。このため、近年、このPbSを用いた光導電検出器に代わり、光起電力効果を用いた拡張型InGaAs受光素子と呼ばれる受光素子が開発され、実用化されている。図3は、拡張型InGaAs受光素子の層構成を模式的に示した図である。図3には、InP基板21上に組成を段階的に変化させたInAsPバッファ層22、InGaAs光吸収層23、InAsP窓層24からなる拡張型InGaAs受光素子の層構造が示されている。InGaAsは、InPに格子定数が一致する条件ではIn組成比が0.53、バンドギャップ波長が1.67μmであり、波長1.7μm以上の光の検出は困難である。InGaAsは、そのIn組成比が増加するにしたがってバンドギャップ波長が増加するため、波長1.7μm以上の光を測定するためには、InGaAs吸収層のIn組成比を0.53以上に増加させる必要がある。図3の拡張型InGaAs受光素子では、InGaAs光吸収層23のIn組成比を増加させるための工夫がなされている。
具体的にはInP基板21上において、As組成比を段階的に増加させたInAsPバッファ層22をエピタキシャル成長により形成していき、InAsPバッファ層22の最後の層の格子定数をInGaAs光吸収層23と一致させるようにする。このようなAs組成を段階的に増加させたInAsPバッファ層22を用いることで、InGaAs光吸収層23のIn組成比を0.53以上にすることができ、そのバンドギャップ波長を1.67μm以上にしても、下のInAsPバッファ層22で発生した転位がInGaAs光吸収層23に伝播することを抑制することができる。拡張型InGaAs受光素子では、InGaAs光吸収層23のIn組成比が0.8を超え、波長2.6μm付近まで受光可能な受光素子が開発されている。
図3のような拡張型InGaAs受光素子における問題は、InAsPバッファ層22の層構成や作製方法を工夫することによりInGaAs光吸収層23に伝播する転位をある程度は低減することができても、格子不整合による欠陥の影響を完全に無くすことは極めて困難であり、欠陥密度をInPに格子整合する結晶と同程度にすることは不可能に近い。光吸収層23における欠陥の増加は、半導体受光素子における量子効率を低減させ、暗電流を増加させる。半導体受光素子の性能向上のためには、結晶欠陥の発生を抑制することが極めて重要である。
このため、InPに格子整合させつつ、そのバンドギャップ波長を1.7μmよりも長くすることができるInGaAsNが期待されている。通常、III-V 族化合物半導体では一般に格子定数が小さくなるに従ってバンドギャップ波長が減少するが、InGaAsNでは逆に窒素(N)組成比の増加に伴い、格子定数が小さくなるにも関わらずバンドギャップ波長が増加するという特徴を持つ。
図4は、InPに格子整合し、N組成比が3.5%であるInGaAsNの吸収スペクトルを示したものである。図4において、横軸は入射光の波長であり、縦軸は吸収係数である。図4から明らかなようにInGaAsNのバンドギャップ波長は2.2μmを超えており、さらにN組成比を増加させればバンドギャップ波長を増大させることができる。InGaAsSbにNを加えたInGaAsNSbでも、InGaAsNと同様に結晶内への窒素の導入に伴うバンドギャップ波長の増加が確認されており(例えば、下記、非特許文献1を参照)、InGaAsNSbを用いても、InPに格子整合しバンドギャップ波長が1.7μmを超える受光素子の吸収層とすることが可能である。
V. Gambin et al., "GaInNAsSb for 1.3-1.6-μm-long wavelength lasers grown by molecular beam epitaxy, IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics Vol.8, No.4,2002, pp.795-800 M. Herrera et al.,"Compositon modulation in GaInNAs quantum wells:Comparison of experiment and theory", Journal of Applied Physics, Vol.97,2005,p.73705 T.Okada et al., "The role of strain and composition on the morphology of InGaAsP layers grown on <001> InP substrates", Journal of Crystal Growth, Vol.179,1997,pp.339-348 K, Kishino et al.,"Resonant cavity-enhanced (RCE) photodetectors ", IEEE Journal of Quantum Electronics,Vol.27, No.8, 1991, pp.2025-2034 Q. Han et al.,"1.55μm GaInNAs resonant-cavity-enhenced photodetector grown on GaAs ", Applied physics Letters, Vol.87, 2005, p.11105 S. Jouba et al.,"2μm resonat cavity enhanced InP/InGaAs single quantum well photo-detector", Electronics Letters, Vol.35, No.15, 1999, pp.1272-1274 D. Vignaud et al.,"Free-carrier absorption and growth temperature of highly Be-doped InGaAs in molecular beam epitaxy",Journal of Crystal Growth, Vol.291, 2006, pp.107-111
ところで半導体を吸収層に用いる受光素子で一般的な構造は、アンドープの吸収層をp型ドープ層とn型ドープ層で挟んだいわゆるPIN型の層構造である。図5は、InGaAsNを吸収層に用いたPIN型受光素子の層構造を模式的に示した図である。
図5には、InP基板25上にn−InPバッファ層26、InGaAsN光吸収層27、p−InGaAsコンタクト層28からなる光受光素子の基本的な層構造が示されている。受光素子における光から電気への変換効率の指標としては、量子効率を目安とすることが一般的であり、波長1.7から3.2μm付近の分光計測では光源の光強度が弱いために高い量子効率が望ましい。量子効率を増大させるための一般的な手段は、光吸収層の膜厚の増大である。光吸収層の信号光に対する吸収係数は一般に1000から10000インバースセンチ(cm-1)程度である。吸収係数を5000cm-1とすると、量子効率を5%にするだけでも0.2μm程度の膜厚が必要となる。
しかしながら、InGaAsNは、材料の特徴として均一な組成の膜を得ることが困難であり、成長方向に対して横方向でInとNの組成比が揺らぐことが知られている(例えば、上記、非特許文献2を参照)。このような組成変調がある場合、膜厚増加に伴い組成変調が大きくなるため、大きな膜厚の結晶を得ることは困難である(例えば、上記、非特許文献3を参照)。このため、InPに格子整合し、そのバンドギャップ波長が1.7μm以上のInGaAsNを光吸収層として半導体受光素子に用いる場合、光吸収層の膜厚を大きくできないため、高い量子効率が得られないという問題がある。また、光吸収層の膜厚を大きくした場合、組成変調による結晶欠陥が発生するため、暗電流の増加や量子効率の低下が懸念されることになる。
本発明は、上述のInGaAsNを光吸収層に用いた半導体受光素子に関して従来技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであり、具体的にはInGaAsN光吸収層の膜厚が薄い場合であっても、大きな量子効率が得られ、加えて暗電流の少ない半導体受光素子を提供することを目的としている。
上記目的を達成する第1発明の半導体受光素子は、半導体基板上に光吸収層として窒素を含む半導体層を有し、前記光吸収層に対して信号光を前記半導体基板とは反対方向から入射し、前記信号光から電気信号を取り出す半導体受光素子において、前記半導体基板と前記光吸収層の間に前記信号光を反射するような半導体多層膜を備えたことを特徴とするものである。
また、第2発明の半導体受光素子は、第1発明の半導体受光素子において、前記半導体基板はInPであり、前記光吸収層はバンドギャップに対応する波長が1.7ミクロンメータ以上であるInGaAsN層又はInGaAsNSb層の何れかであることを特徴とするものである。
また、第3発明の半導体受光素子は、第1発明または第2発明の半導体受光素子において、前記半導体基板はInPであり、前記半導体多層膜は、InPに格子整合することが可能な半導体材料であって、In、Ga、Alのうち1つ以上、かつ、As、Pのうち1つ以上を構成元素として含み、前記半導体多層膜のバンドギャップに対応する波長が0.83ミクロンメータから1.67ミクロンメータであることを特徴とするものである。
また、第4発明の半導体受光素子は、第1発明乃至第3発明の何れかの半導体受光素子において、前記光吸収層に対して、前記半導体基板の反対側には前記半導体多層膜により反射された光をさらに反射するための反射鏡が形成されており、前記半導体多層膜と前記反射鏡との間が前記信号光に対して共振器構造となっていることを特徴とするものである。
また、第5発明の半導体受光素子は、第4発明の半導体受光素子において、前記反射鏡は、半導体と気体の界面、または誘電体多層膜、または半導体多層膜を用いることを特徴とするものである。
上記の如く本発明に係る半導体受光素子では、InP基板などの半導体基板上に形成されたInGaAsNなどの窒素を含む半導体層を光吸収層とし、信号光を半導体基板(InP基板)とは反対側から入射させる半導体受光素子において、半導体基板(InP基板)とInGaAsNなどの光吸収層の間に信号光を反射するための半導体多層膜(反射鏡)を設置し、さらにInGaAsNなどの光吸収層に対して半導体基板(InP基板)の反対側には半導体多層膜により反射された光をさらに反射するような反射鏡を設置し、信号光をこの2つの反射鏡の間で共振させる。このような共振器構造を持つ半導体受光素子にすることで、1度の通過では光吸収層に吸収されなかった信号光を、反射鏡の間で共振させながら吸収させるようにできるため、量子効率を飛躍的に増加させることができる。その結果として、InGaAsN光吸収層の膜厚が小さい場合には高い量子効率が得られないという従来の問題は解決される。また、InGaAsN光吸収層の膜厚増加を抑えることができるため、InGaAsN光吸収層における欠陥の発生を抑制することが可能であり、その結果として暗電流の増加も回避することができる。
上記のような共振器構造を持つ半導体受光素子は、これまで主としてGaAs基板上の受光素子の構造として検討されてきた(例えば、上記、非特許文献4、および非特許文献5を参照)。この共振器構造を持つ受光素子において量子効果を増大させるためには、検出光に対して入射側の反射鏡の反射率は30%以上であれば問題ないが、吸収層に対して基板側に配置される半導体多層膜反射鏡の反射率は70%以上であることが望まれる(上記、非特許文献4を参照)。半導体多層膜は、これを構成する2つの材料の屈折率差が大きいほど、所望の波長に対してその反射率を大きくすることができる。
しかしながら、InPに格子整合することが可能な半導体材料(In,Ga,Al,As,Pを構成元素とする材料が用いられることが一般的)では、光ファイバ通信に用いられる波長1.3μmや1.55μmの光に対して、材料間で大きな屈折率差を持たせることが困難であり、その結果として高い反射率の半導体多層膜の作製が難しい。このことが、InP基板上で共振器構造を持つ半導体受光素子の作製を困難にしている一因である。一方で、InPに格子整合する材料でも、そのバンドギャップ波長よりも十分に長い波長の光の場合、半導体多層膜による吸収が問題にならず、その結果として高い反射率の半導体多層膜を得ることが容易になる。実際にバンドギャップ波長が2μm程度のInGaAs単一量子井戸層の光吸収層と、InPに格子整合したInGaAsとInPとで構成した半導体多層膜反射鏡とを組み合わせた半導体受光素子において、量子効率を増大させた例が報告されている(上記、非特許文献6を参照)。InGaAsNのバンドギャップ波長は、InPに格子整合するIn,Ga,Al,As,Pからなる材料のバンドギャップ波長(0.83μm〜1.67μm)よりも長い1.7μm以上にすることができるため、InGaAsNを光吸収層に用いることで半導体多層膜反射鏡における吸収の問題がなく、高い反射率差が得られる2つの半導体材料を組み合わせた半導体多層膜を作製することが可能となる。
なお、InGaAsNはN組成比の増大に伴い、そのバンドギャップ波長を長波長化することができるため、InGaAsNのバンドギャップ波長には長波長側に対する制約はない。しかしながら、半導体受光素子全体で考えた場合、波長4μm以上の光ではコンタクト層等の他の層において価電子帯内での吸収が起こり(例えば、上記、非特許文献7を参照)、InGaAsNへの入射光量が減少する。共振器構造を用いた半導体光受光素子では、共振器内でのすべての層の吸収が問題となるため、実質的な波長の上限は4μm程度である。
[作用]
InPを基板としInGaAsNを光吸収層とする受光器(半導体受光素子)において、InGaAsN光吸収層の上下に共振器構造となるような反射鏡を設けることにより、所望の波長の信号光に対して量子効率を増加させることができる。このため、膜厚を増加させることの難しいInGaAsNを光吸収層に用いても、その光吸収層の膜厚が小さくても高い量子効率を得ることができ、さらに暗電流の低減も可能である。
以上説明したように本発明を用いれば、InP基板上の半導体受光素子において、吸収層の膜厚が小さくても波長1.7μm以上の信号光に対する量子効率を大きくすることができる。これにより、近赤外から中赤外の波長域において、高感度で暗電流の小さい半導体受光素子を作製でき、高感度な分光計測に応用できるという効果がある。
以下、本発明の好適な実施の形態例を、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態例]
図1は、本発明の第1の実施の形態例に係る半導体受光素子のウェハの層構造を示す断面図である。
まず、本実施の形態例に係る半導体受光素子の構成を説明する。図1に示すように、本実施の形態例に係る半導体受光素子は、n−InP基板1と、n−InP基板1上に形成された半導体多層膜反射鏡2と、半導体多層膜反射鏡2上に形成されたバンドギャップ波長が1.3μmとなるn型ドープInGaAsP層3と、n型ドープInGaAsP層3上に形成されたバンドギャップ波長が1.3μmとなるInGaAsP層4と、InGaAsP層4の上に形成された光吸収層となるInGaAsN層5と、InGaAsN層5上に形成されたInGaAsP層6と、InGaAsP層6上に形成されたp型ドープInGaAs層7とで構成されている。本半導体受光素子では、図1中に矢印で示す如く、InGaAsN光吸収層5に対して信号光を、n−InP基板1とは反対方向から入射し、前記信号光から電気信号を取り出す。
ここで、InGaAsN光吸収層5は、窒素組成比が0.035、Inの組成比が0.63であり、そのバンドギャップ波長は2.2μm、膜厚は115nmである。また、半導体多層膜反射鏡2は、n型ドープInGaAs層(膜厚148nm)とn型ドープInP層(膜厚163nm)を1つのペアとし、これを13ペア分積層させ、波長2.05μmの光に対する反射率が約90%になるようにした。信号光の入射側の反射鏡には、p型ドープInGaAs層7と空気の界面での反射(反射率30%)を用いた。
比較のため、図1の層構造において、半導体多層膜反射鏡2がなく、その他の層構造が同じウェハも作製した。
次に、本実施の形態例に係る半導体受光素子の製造方法を説明する。エピタキシャルウェハの成長には、III 族原料がトリエチルガリウム(TEGa)とトリメチルインジウム(TMIn)、V族原料がアルシン(AsH3)とフォスフィン(PH3)と窒素(N2)、ドーパント原料がスズ(Sn)とベリリウム(Be)である有機金属分子線エピタキシー法を用いた。InGaAsN層5の製造時には、窒素ガスを高周波プラズマ源の内部において原子状の窒素に分解してから基板へと供給した。成長時の基板温度は、InGaAsN層5で470℃、これ以外の層では500℃である。各層における原料供給量は、図1の半導体受光素子を構成する半導体各層においてInPに対する格子定数差が0.1%未満になるように調整した。直径400μmの円形メサを形成後、窒素シリコン膜8を蒸着させた。このメサ部中央部の窒素シリコン膜8を除去した後、外径370μm、内径250μmのリング状のp型電極9を形成した。最後に、InP基板1を研磨しn型電極10を形成した。
このようにして作製した半導体受光素子は、光電流のピーク波長が2.053μmであり、ピーク波長における量子効率が26%であった。一方、比較のために作製した半導体多層膜反射鏡2がない半導体受光素子では、光電流のピーク波長が2.057μmにおいて量子効率が約3%であった。上記のように半導体多層膜反射鏡2があることにより、量子効率は5倍以上増大した。このことから、前述したようにInGaAsN層5を含む2つの反射鏡間の層が共振器として動作したことにより、量子効率が著しく増加することが分かった。一方、3倍以上の量子効率の増大が見られたのは、信号光の波長が2.01μmから2.08μmの範囲であり、10nm近い波長範囲で量子効率を増大していることが確認された。
暗電流に関しては、半導体多層膜反射鏡2の有無によらず、バイアス電圧−1Vにおいて720±50nAであった。一方、同じ成長条件で作製したInGaAsN光吸収層5(膜厚1μm)を有し、半導体多層膜反射鏡2がない構造の半導体受光素子では、量子効率18%が得られたものの、バイアス電圧−1Vにおける暗電流は10μAであった。半導体多層膜反射鏡2を有する半導体受光素子で暗電流が10分の一程度であるのは、InGaAsN光吸収層5の膜厚が小さく、結晶欠陥の発生を抑制できるためである。
なお、上記実施の形態例では、吸収ピーク波長が2.05μm付近で量子効率が増加する半導体受光素子について説明したが、吸収ピーク波長が2.05μm付近に限られるものではなく、InPに格子整合するIn,Ga,Al,As,Pからなる材料のバンドギャップ波長より長い1.7μm以上の波長を持つ信号光に対しては、図1における半導体多層膜反射鏡及びその他の層の組成ならびに膜厚を調整することにより、受光素子の吸収ピーク波長を変えることができ、上記の実施例と同様の効果が得られるのは明らかである。また、光吸収層としては、InPに格子整合し、1.7μmより長いバンドギャップ波長を持つ材料であれば良く、前述のようにInGaAsNSbを光吸収層に用いても、同様の効果が得られるのは明らかである。
また、上記実施の形態例では、半導体多層膜反射鏡がInGaAsとInPから構成される場合を示したが、InGaAsとInAlAsから構成される多層膜、あるいはInGaAlAsとInPから構成される多層膜など、InPに格子整合可能な材料でドーピングが可能な半導体材料であれば、同様の効果が得られるのは明らかである。また、ここでInPに格子整合可能な材料とは、InPに完全に格子定数が一致する必要はなく、若干の格子定数の差を有する材料を含み、格子定数の差に起因した格子緩和が発生しない程度であれば構わない。
また、上記実施の形態例では、InP基板としてn型にドープされたInPを用いたが、半絶縁性基板を用い、p型電極とn型電極の両方を表面から取る構造を用いた場合でも、本構造の特徴を活かすことができるため、同様の効果が得られるのは明らかである。
また、上記実施の形態例では、作製方法として有機金属分子線エピタキシー法を用いた場合について説明したが、InGaAsN層が作製可能な成長方法で有れば良く、分子線エピタキシー法、ガスソース分子線エピタキシー法、有機金属気相エピタキシー法等の成長方法でも同様の効果が得られることは明らかである。
[第2の実施の形態例]
図2は、本発明の第2の実施の形態例に係る半導体受光素子のウェハの層構造を示す断面図である。
まず、本実施の形態例に係る半導体受光素子の構成を説明する。図2に示すように、本実施の形態例に係る半導体受光素子は、n−InP基板11と、n−InP基板11上に形成された半導体多層膜反射鏡12と、半導体多層膜反射鏡12上に形成されたバンドギャップ波長が1.3μmとなるn型ドープInGaAsP層13と、n型ドープInGaAsP層13上に形成されたバンドギャップ波長が1.3μmとなるInGaAsP層14と、InGaAsP層14の上に形成された光吸収層となるInGaAsN層15と、InGaAsN層15上に形成されたInGaAsP層16と、InGaAsP層16上に形成されInP層17とで構成されている。本半導体受光素子では、図2中に矢印で示す如く、InGaAsN光吸収層5に対して信号光を、n−InP基板11とは反対方向から入射し、前記信号光から電気信号を取り出す。
ここで、InGaAsN光吸収層15は、窒素組成比が0.035、Inの組成比が0.63であり、そのバンドギャップ波長は2.2μm、膜厚は150nmである。また、半導体多層膜反射鏡12は、n型ドープInGaAs層(膜厚145nm)とn型ドープInP層(膜厚159nm)を1つのペアとし、これを10ペア分積層させ、波長2μmの光に対する反射率が約80%になるようにした。上記のエピタキシャルウェハの成長には、前述の有機金属分子線エピタキシー法を用いた。このエピタキシャルウェハの上面の直径300μmの円形領域に、図1に示すような亜鉛(Zn)の熱拡散プロセスを行なった。さらに表面に電子ビーム蒸着法を用い、波長2μmの光に対する反射率が約75%となるような酸化シリコン(SiO2)とシリコン(Si)から構成される反射鏡18を形成した。その後、外径300μm、内径220μmのリング状の境域において反射鏡18を除去し、この領域にp型電極19を形成した。最後に、InP基板11を研磨しn型電極20を形成することにより、プレーナ型の受光素子を作製した。
このようにして作製した半導体受光素子は、光電流のピーク波長が1.996μmであり、ピーク波長における量子効率は42%であった。計算より求めた量子効率は、多層膜反射鏡12がない構造で2.2%であるのに対し、半導体多層膜反射鏡12がある構造で49.3%あり、本実施の形態例の結果からほぼ設計通りの量子効率が得られていることが確認された。信号光がこのピーク波長から離れると急激に量子効率は低下するものの、波長が1.993μmから1.997μmの範囲では10%以上の量子効率が確認された。以上のことから、共振器構造を構成する2つの反射鏡の反射率を大きくすることで、量子効率の増大が見られる波長域は減少するものの、顕著な増幅が見られることが分った。また、暗電流に関しても、バイアス電圧−1Vでは120±16nAと良好な特性が得られた。
なお、上記実施の形態例では、上部の反射鏡として酸化シリコンとシリコンから構成される反射鏡18を用いた半導体受光素子について説明したが、高い反射率が得られる反射鏡ならば、他の種類の誘電体を用いた多層膜や半導体を用いた多層膜でも良く、上記の実施例と同様の効果が得られるのは明らかである。
本発明の第1の実施の形態例に係る半導体受光素子の層構成を模式的に説明するための断面図である(実施例1)。 本発明の第2の実施の形態例に係る半導体受光素子の層構成を模式的に説明するための断面図である(実施例2)。 拡張型InGaAs受光器の層構造を模式的に説明するための断面図である。 InPと格子整合したInGaAsNにおける吸収スペクトルを示した図である。 InGaAsN光吸収層を用いた光受光器の層構造を模式的に説明するための断面図である。
符号の説明
1 n−InP基板
2 半導体多層膜反射鏡(n−InGaAs/n−InP)
3 n−InGaAsP
4 InGaAsP
5 InGaAsN
6 InGaAsP
7 p−InGaAs
8 窒化シリコン
9 p型電極
10 n型電極
11 n−InP基板
12 半導体多層膜反射鏡(n−InGaAs/n−InP)
13 n−InGaAsP
14 InGaAsP
15 InGaAsN
16 InGaAsP
17 InP
18 Si/SiO2反射鏡
19 p型電極
20 n型電極
21 n−InP基板
22 組成を段階的に変化させたInAsPバッファ層
23 InGaAs
24 InAsP
25 n−InP基板
26 n−InP
27 InGaAsN
28 p−InGaAs

Claims (5)

  1. 半導体基板上に光吸収層として窒素を含む半導体層を有し、前記光吸収層に対して信号光を前記半導体基板とは反対方向から入射し、前記信号光から電気信号を取り出す半導体受光素子において、
    前記半導体基板と前記光吸収層の間に前記信号光を反射するような半導体多層膜を備えたことを特徴とする半導体受光素子。
  2. 前記半導体基板はInPであり、
    前記光吸収層はバンドギャップに対応する波長が1.7ミクロンメータ以上であるInGaAsN層又はInGaAsNSb層の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の半導体受光素子。
  3. 前記半導体基板はInPであり、
    前記半導体多層膜は、InPに格子整合することが可能な半導体材料であって、In、Ga、Alのうち1つ以上、かつ、As、Pのうち1つ以上を構成元素として含み、
    前記半導体多層膜のバンドギャップに対応する波長が0.83ミクロンメータから1.67ミクロンメータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体受光素子。
  4. 前記光吸収層に対して、前記半導体基板の反対側には前記半導体多層膜により反射された光をさらに反射するための反射鏡が形成されており、前記半導体多層膜と前記反射鏡との間が前記信号光に対して共振器構造となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体受光素子。
  5. 前記光吸収層に対し前記半導体基板とは反対側に設置された前記反射鏡は、半導体と気体の界面、または誘電体多層膜、または半導体多層膜を用いることを特徴とする請求項4に記載の半導体受光素子。
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