JP2008281977A - 耐熱遮光フィルムとその製造方法、及びそれを用いた絞り又は光量調整装置 - Google Patents

耐熱遮光フィルムとその製造方法、及びそれを用いた絞り又は光量調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのレンズシャッターなどのシャッター羽根または絞り羽根やプロジェクタの光量調整装置の絞り羽根などの光学機器部品として用いられ、遮光性、耐熱性、摺動性、低光沢性、導電性に優れた耐熱遮光フィルムとその製造方法を提供する。
【解決手段】155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として結晶性の金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムであって、遮光膜(B)は、厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムなどによって提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐熱遮光フィルムとその製造方法、及びそれを用いた絞り又は光量調整装置に関し、より詳しくは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのレンズシャッターなどのシャッター羽根または絞り羽根や、車載モニターのレンズユニット内の固定絞りや、プロジェクタの光量調整装置の絞り羽根などの光学機器部品として用いられ、遮光性、耐熱性、摺動性、低光沢性、導電性に優れた耐熱遮光フィルムとその製造方法、及びそれを用いた絞り又は光量調整装置に関する。
現在、カメラ用のシャッター羽根や絞り羽根は、シャッタースピードが高速化し、極めて短時間に動作と停止を行うので、軽量化かつ高摺動性である必要がある。また、フィルムなどの感光材、CCDなどの撮像素子の前面を覆って光を遮るものなので、基本的に遮光性を必要とする。更に、光学機器用の羽根は、複数枚が互いに重なり合って動作するので滑らかな動作のために潤滑性が必要となる。また、各羽根間の漏れ光を防ぐために表面の反射率は低いことが望まれる。使用環境によっては、カメラ内部が高温となる場合があり、耐熱性が求められている。
一方、プレゼンテーション、ホームシアターなどの映像観賞用の投影装置である液晶プロジェクタの光量調整用絞り羽根として使用される遮光フィルムにおいても、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラと同様な特性が求められ、特に耐熱性に関しては、カメラ以上の特性が求められている。
一般的に、上記遮光フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルムやSUS、SK材、Al等の金属薄板を基材としたものが実用化されている。カメラでは、基材が金属性の遮光フィルムをシャッター羽根、絞り羽根として用いる場合、羽根材を開閉する際に、金属板同士が擦れあって大きな騒音が発生する。また、液晶プロジェクタでは、映像が変化するときに各画像の輝度変化を和らげるために羽根を高速で移動する必要があり、羽根同士が擦れの騒音を繰り返すことになる。また、この騒音を低減するためには羽根を低速で動作することになり、この場合、画像の変化に光量調整が追いつかず、画像が不安定となるという問題があった。
前記問題や軽量化の観点から、近年の遮光フィルムの構成は、プラスチックフィルムを基材に用いることが主流となってきている。更に、発塵性の点から導電性も求められている。上記から、遮光フィルムの必要特性は、高遮光性、耐熱性、低光沢性、摺動性、導電性、低発塵性であるとされている。このような遮光フィルムの特性を満足するために、従来からさまざまな材料、フィルム構造を用いたものが提案されている。
例えば、特許文献1には、遮光性、低光沢性、導電性の点からランプ光源等から発せられる光を吸収させるためにカーボンブラック、チタンブラック等の導電性黒色微粒子をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの樹脂フィルムに含浸させ遮光性及び導電性を持たせ、更に遮光フィルムの片面または両面をマット処理し、低光沢性とした遮光フィルムが開示されている。
特許文献2では、樹脂フィルム上に、遮光性と導電性を有するカーボンブラックなどの黒色顔料や潤滑剤、艶消し剤を含有した熱硬化性樹脂層を塗布し、遮光性、導電性、潤滑性、低光沢性を付与した遮光フィルムが開示されている。
特許文献3では、アルミニウム合金などの金属製羽根材料の表面に硬質炭素膜を形成した遮光材が開示されている。
特許文献4では、遮光羽根の剛性を高めるためプラスチック基材の両面に炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂のプリプレグシートで強化した遮光羽根の構造が開示されている。
遮光フィルムは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、液晶プロジェクタ等の光学機器用遮光羽材として広く使用されている。近年、液晶プロジェクタではリビングルームといった明るい環境下でも鮮やかなハイコントラストな映像が楽しめるように高画質化の要求が高まっている。したがって、画質の高輝度化によりランプ光源が高出力となるため、光量調整用の絞り装置内の温度が高くなる傾向にある。光量を調整する遮光フィルムへ高出力な光が照射されるため、遮光フィルムが熱変形しやすい環境となっている。
遮光フィルムの基材、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を基材とした遮光フィルムは、比重も軽いので広く使用されているが、ランプ光源が高出力となる場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)は熱変形温度が低く、引張弾性率などの機械的強度が弱いため、走行中もしくは制動時に発生する振動や衝撃などで遮光羽根が歪んでしまう可能性がある。
また、遮光フィルムで低光沢性や摺動性を発揮させるためにサンドブラスト法によるマット処理が行われている。この処理は、更に、入射光を散乱させ表面の光沢性を低下させ、視認性を向上させる効果がある。上記処理により、遮光フィルムが接触しても遮光フィルム同士の接触面積が大きくならず摺動性の低下も防止できるものと考えられる。
デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、液晶プロジェクタでは、遮光フィルムをシャッター羽根、絞り羽根等として必ず複数枚近接し、かつ重なり合って使用するようになってきているため、有機成分の遮光材、潤滑剤、艶消し剤を使用している遮光フィルムでは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラや液晶プロジェクタが暴露される温度、湿度といった使用環境がより厳しくなっている。車載に搭載されるモニター用のレンズユニットに使われる固定絞りは、100〜155℃の高温下でも使用される。特に、液晶プロジェクタでは、上記したように、近年の画像の高輝度化に伴うランプ光源の高出力化により、装置(光量調整用装置、絞り装置)内の温度が200°C付近まで上昇するようになってきている。このような厳しい環境下で、上記のような従来の遮光フィルムを使用すると、変形したり、変色したりするなど、耐久性の面で好ましくなく、実用上問題があった。
さらに、遮光フィルムの155°C以上での高温度環境下での熱変形によって、前記表面に微細な凹凸構造を有する遮光フィルムであっても熱変形が大きくなり、遮光フィルム同士の接触により、高速の動作ができなくなり、不規則に擦れる度合いが多くなることで摺動性、光沢性の劣化が起こるなどして、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、液晶プロジェクタ本来の機能が得られなくなってしまう可能性もあった。
また、上記の基材のプラスチックフィルムのマット処理は、基材のプラスチックフィルムに微細な凹凸を形成することで基材とその基材直上の塗布膜との密着力を上げ、表面の光沢性を低減する効果があるものの、サンドブラスト法では、フィルムの表面粗さはショット材の材質、粒度、吐出圧力等に依存するので、粒径の大きいショット材は、水洗浄やブラッシング等の洗浄でフィルム表面から除去できるが、粒径が1μm未満と小さい粒子は洗浄後においてもフィルム上に少なからず部分的に残存してしまい、完全には除去しきれない。ショット材が残存すると、遮光フィルムが晒される高温度環境下では、ショット材とフィルム上に成膜された金属合金遮光膜等の膜とで熱膨張係数が異なるため、熱応力の差により膜が剥がれてしまい、ショット材がフィルムから脱落してしまい、その周囲の部品に悪影響を及ぼし、本来の機能が得られなくなってしまうという問題も発生する。
特開平1−120503号公報 特開平4−9802号公報 特開平2−116837号公報 特開2000−75353号公報
したがって、本発明の目的は、高温に晒される液晶プロジェクタの光量調整用羽根や、加工時に高温に晒されるデジタルカメラのシャッター羽根や固定絞りとして用いる、基材フィルム表面に微細な凹凸構造をもたせた遮光フィルムにおいて、摺動性、光沢性の劣化も無く、変形したり、変色したりすることがない優れた耐久性を有し、膜剥がれ及びショット材の脱落が発生することのない、導電性に優れた耐熱遮光フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上述した従来の技術の課題を解決するため、表面に微細な凹凸を有する耐熱性の樹脂フィルムを基材として、155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム(A)を用いて、その樹脂フィルム基材(A)表面の温度が155℃以上に維持された状態で、スパッタリング法で、特定の厚さを有する結晶性の金属炭化物膜(明細書中、MeCと記す場合がある)を遮光膜(B)として形成することで、155℃以上の高温度環境下、基材の種類によっては200℃程度の高温度環境下でも変形せず、特性(遮光性、低光沢性、摺動性、色味、低反射性)が維持できる耐熱遮光フィルムが得られ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、液晶プロジェクタなどの絞りの部材として利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として結晶性の金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムであって、遮光膜(B)は、厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、樹脂フィルム基材(A)が、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アラミド、ポリフェニレンサルファド、又はポリエーテルサルフォンから選ばれた1種類以上で構成されていることを特徴とした耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、樹脂フィルム基材(A)の耐熱性が、200℃以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、樹脂フィルム基材(A)の厚さが、5〜200μmであることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
一方、本発明の第5の発明によれば、第1〜4の発明において、樹脂フィルム基材(A)の表面粗さが、0.2〜2.2μm(算術平均高さRa)であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5の発明において、遮光膜(B)の膜厚が110〜550nmであることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6の発明において、金属炭化物膜(MeC)が、炭化シリコン、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化二オブ、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ジルコニウム又は炭化ハフニウムから選ばれた1種類以上の材料を主成分とすることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7の発明において、金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.5以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8の発明において、金属炭化物膜(MeC)中の含有酸素量(O)が、全金属元素(Me)に対する酸素元素(O)の原子数比(O/Me)として、0.5以下であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
本発明の第10の発明によれば、第1〜9の発明において、遮光膜(B)の波長380〜780nmにおける光反射率が10%以下であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1〜10の発明において、遮光性の指標である光学濃度が、波長380〜780nmにおいて4以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)の両面に、組成と膜厚が同じ金属炭化物膜(MeC)が形成されていることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第1〜12の発明に係り、155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムの製造方法であって、表面粗さが0.2〜2.2μm(算術平均高さRa)の樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、金属炭化物ターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気下でスパッタリング法により、該樹脂フィルム基材(A)上に厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上である結晶性の金属炭化物膜(MeC)を形成することを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第14の発明によれば、第13の発明において、金属炭化物膜(MeC)が形成された耐熱遮光フィルムを、さらに、スパッタリング装置に供給し、スパッタリングによって樹脂フィルム基材(A)の金属炭化物膜(MeC)が形成されていないもう一方の面に金属炭化物膜(MeC)を形成することを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
本発明の第15の発明によれば、第13又は14の発明において、遮光膜(B)を成膜する時のスパッタリングガス圧が0.2〜1.0Paであることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第13〜15のいずれかの発明において、遮光膜(B)を成膜する時の樹脂フィルム基材(A)の表面温度が、180℃以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第17の発明によれば、第13〜16のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされ、巻き出し部から巻き取り部に、巻き取られる時に、スパッタリング法で成膜されることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第18の発明によれば、第13〜17のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされ、巻き出し部から巻き取り部に搬送される時に、スパッタリング法で成膜され、成膜中の樹脂フィルム基材(A)が冷却されず、成膜室内でフローティングの状態で成膜されることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第19の発明によれば、第1〜12のいずれかの発明において、耐熱遮光フィルムを加工して得られる耐熱性に優れた絞りが提供される。
また、本発明の第20の発明によれば、第1〜12のいずれかの発明において、耐熱遮光フィルムを用いた光量調整装置が提供される。
本発明の耐熱遮光フィルムは、算術平均高さRaで0.2〜2.2μmの表面粗さを有する耐熱性の樹脂フィルム基材上に、特定厚さの金属炭化物膜が形成されるので、低光沢性、低反射性、導電性を有する耐熱遮光フィルムを実現できる。また、該金属炭化物膜はスパッタリング法で成膜されるため、従来の塗膜工程で得られる遮光フィルムに比べ、緻密な表面状態とすることができ、表面の耐磨耗性、耐摩擦性に優れる。また、本発明の耐熱遮光フィルムは、155°C以上の耐熱性をもつ樹脂フィルム基材に遮光膜として結晶性の金属炭化物膜が形成されているので、該金属炭化物材料は155〜300℃での高温度環境下や高湿度環境下において、酸化されにくく遮光性が変化しないため、従来の酸化しやすい金属膜を遮光膜として用いた耐熱遮光フィルムと比べて耐熱性に優れている。また、本発明の耐熱遮光フィルムは、金属炭化物膜が耐熱性樹脂フィルムを中心に対称型である膜構造を有していることから、成膜時の膜応力による遮光フィルムの変形を生じないので生産性に優れている。
また、本発明の金属炭化物膜のスパッタリング法による成膜条件を最適化することで、前記金属炭化物膜は緻密な膜とすることができ、この緻密な最表面の膜によって、155〜300℃の高温度環境下に晒されても、該耐熱遮光フィルムが用いられた遮光羽根の動作時に該膜の剥がれがないので、基材フィルムのマット処理、具体的には、サンドブラスト法によるフィルム表面処理に伴い付着残留したショット材の脱落は起こらない。
本発明の光量調整装置は、前記耐熱遮光フィルムを加工して作製した遮光羽根を用いており、従来の金属箔板に耐熱塗料を施した耐熱遮光フィルムを加工して作製した遮光羽根を用いた光量調整装置に比べ、遮光羽根が樹脂フィルムを基材として作製されて軽量化されているので、絞り羽根等に搭載された時の摺動性が向上し、更には駆動モーターの小型化が可能となり、低コスト化につながる。
したがって、本発明の耐熱遮光フィルムは、特に耐熱性が求められている液晶プロジェクタの光量調整装置の絞り羽根材や車載モニターレンズユニット内の固定絞り材として有用である。また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのシャッター羽根などにも利用可能であり工業的に極めて価値の高い。
以下、本発明の耐熱遮光フィルムとその製造方法、光量調整装置や絞りの用途について、図を参照しながら説明する。
1.耐熱遮光フィルム
本発明の耐熱遮光フィルムは、155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として結晶性の金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムであって、遮光膜(B)は、厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上であることを特徴とする。
上記のような表面粗さを有する遮光膜を形成したり、もしくは、該遮光膜の表面上を金属炭化物で被覆し該表面で同様な表面粗さを有するようにすることで、耐熱遮光フィルムの低光沢性、低反射性を実現でき、デジタル撮影機器の固定絞りや機械的シャッター装置の絞り羽根、もしくは、液晶プロジェクタの光量絞り装置の羽根材として用いたときに、光学系内で反射光によって発生する迷光の出現を回避できる。
図1と図2は、本発明にかかる耐熱遮光フィルムの構成を示す模式的な図である。本発明の耐熱遮光フィルムは、基材としての樹脂フィルム基材1と、その表面に形成された金属炭化物膜2から構成されている。そして、金属炭化物膜2の表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)、より好ましくは、0.2〜2.0μm、最も好ましくは、0.3〜1.9μmである。0.1μm未満であると低光沢性の点で、また2.1μmを超えると表面欠陥が付きやすいという点で好ましくない。
上記金属炭化物膜2は、図1に示すように樹脂フィルム基材の片面に形成されていてもよいが、図2に示すように両面に形成されている方が好ましい。両面に形成される場合は、各面の膜の材質と厚みが同じで、樹脂フィルム基材を中心として対称の構造であることが、より好ましい。基板の上に形成された薄膜は、基板に対して応力を与えるため、変形の要因となる。応力による変形は成膜直後の耐熱遮光フィルムでも見られる場合があるが、特に155〜300℃程度に加熱されると変形が大きくなり顕著となりやすい。しかし、上記のように基板の両面に形成する金属炭化物膜の材質、膜厚を同じにして、基板を中心として対称の構造にすることで、加熱条件下でも応力のバランスが維持され、フラットな耐熱遮光フィルムを実現しやすい。
(A)樹脂フィルム基材
本発明の耐熱遮光フィルムで用いる樹脂フィルム基材(A)は、155℃以上の耐熱性を有する耐熱樹脂フィルム基材であれば特に限定されないが、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アラミド、ポリフェニレンサルファド、又はポリエーテルサルフォンから選ばれた1種類以上で構成されている材質が好ましい。その中でもポリエチレンナフタレートの耐熱性は約200℃であり、155〜200℃の環境下で利用することができ、非常に安価であり、工業材料として有用である。また、ポリイミドフィルム、アラミド、ポリフェニレンサルファド、又はポリエーテルサルフォンは、耐熱性が200℃以上であり、200℃以上の環境下でも利用できる。特に、ポリイミドは最も耐熱温度が300℃以上と高く、最も好ましいフィルムである。
また、基材として用いる樹脂フィルムは、透明樹脂で構成されていても顔料を練り込んだ着色樹脂で構成されていても構わないが、155℃以上の耐熱性を有するものでなければならない。ここで、155℃以上の耐熱性を有するフィルムとは、ガラス転移点が155℃以上であるフィルムであり、またガラス転移点の存在しない材料については、155℃以上の温度にて変質しないことを意味する。樹脂材料の材質としては量産性を考慮した場合、スパッタリングによるロールコーティングが可能となるような可撓性を有する材料であることが望ましい。
樹脂フィルム基材の厚みは、5〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜150μm、最も好ましくは20〜125μmである。5μmより薄いものでは、ハンドリングが悪いとフィルムに傷や折れ目などの表面欠陥が付きやすくなり、200μmより厚いと小型化が進む絞り装置や光量調整用装置へ遮光羽根を複数枚搭載することができないからである。
また、本発明の耐熱遮光フィルムの基材である樹脂フィルムは、その表面の算術平均高さRaが0.2〜2.2μmであることが好ましい、特に0.3〜2.1μmの微細な凹凸構造を有することが好ましい。Raが0.2μmより小さいと、フィルム表面に形成した金属炭化物膜の密着性が得られず、十分な低光沢性や低反射性も得られない。また、Raが2.2μmを超えると、フィルム表面の凹凸が大きすぎて凹部で金属炭化物膜の成膜ができず、フィルム表面を被覆し十分な遮光性を得ようとすれば金属炭化物膜の膜厚が厚くなってしまうためコスト高となり好ましくない。
算術平均高さとは、算術平均粗さとも言われ、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均した値である。
樹脂フィルム表面の凹凸は、フィルム表面を表面処理して形成する。例えば、ナノインプリンティング加工やショット材を使用したマット処理加工によって所定の表面凹凸を形成することができる。マット処理の場合は、ショット材に砂を使用したマット処理加工が一般的であるが、ショット材はこれに限定されない。フィルムを搬送しながらフィルム表面に凹凸を形成することができるが、最適なRa値の凹凸は、マット処理中のフィルム搬送速度とショット材の種類、大きさに依存するので、これらの条件を最適化してフィルム表面の算術平均高さRa値が0.2〜2.2μmとなるように表面処理を行う。マット処理後のフィルムは、洗浄してショット材を除去した後、乾燥する。フィルムの両面に金属炭化物膜を形成する場合は、フィルムの両面をマット処理する。
(B)遮光膜(金属炭化物膜)
本発明の耐熱遮光フィルムは、155℃の高温度環境下でも十分な耐熱性を有している。これは、樹脂フィルム基材が耐熱性を有しているとともに、遮光性の金属炭化物膜も耐熱性を有していることに依る。
一般に金属膜は酸化されると透明度が増加するため、金属膜を遮光膜として用いる場合、耐酸化性を付与しなければならない。本発明の耐熱遮光フィルムに用いる遮光膜の材料は、通常の金属膜と比べて、耐酸化性に優れた金属炭化物膜を採用している。
本発明の金属炭化物膜(MeC)は、炭化シリコン、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化二オブ、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ジルコニウム又は、炭化ハフニウムからなる群から選ばれた1種類以上の材料が主成分であることが好ましい。これらの金属炭化物膜は、従来の金属膜(シリコン、チタン、アルミニウム、二オブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム)と比べて、155〜300℃での耐酸化性を有しているだけでなく、硬質材料であるため耐摩耗性にも優れている。これに対して、従来の金属膜(シリコン、チタン、アルミニウム、二オブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム)を遮光膜として利用する場合には、上記の高温下での耐酸化性や硬質性が十分でないため、その表面に保護膜として耐酸化性や硬質性を有する他の材料(金属酸化物やDLCなど)を施す必要があり、複雑な構造となってしまい、コスト高になる。
また、本発明で用いる金属炭化物膜(MeC)の組成は、膜中の全金属元素(Me)に対する炭素元素(C)の割合が、C/Me原子数比で0.3以上であり、好ましくは0.5以上、特に0.7以上である。C/Me原子数比が0.3未満であると、155〜300℃の高温加熱下での耐酸化性が得られないからである。
樹脂フィルム上に形成される遮光膜としての金属炭化物膜は、結晶膜であることが必要である。結晶膜の方が樹脂フィルム基板に対して強固な密着性を発揮するからである。非晶質膜であると、高温環境下で使用したときに、膜の結晶化が進行する。膜の結晶化が進むと変色が起きるだけでなく、結晶化が進んだ部分で膜応力が発生するため、耐熱遮光フィルムの応力バランスが崩れて変形しやすくなり、問題となる。
金属炭化物(MeC)膜は、その金属成分(Me)結晶中に炭素(C)が侵入してできた材料であるので、その金属成分(Me)の金属膜と比べると結晶化しにくい。また金属成分の結晶中に炭素が侵入することで、各元素間の結合は共有結合性の割合が多くなり、炭素を含まない金属結合性で構成された金属材料と比べて結晶化しにくくなるのである。耐熱性を発揮するC/Me原子数比が0.3以上の膜になると、特に結晶化しにくくなる。なお、金属炭化物膜は、結晶膜であるかどうかは、X線回折測定により回折ピークの有無を調べ、あるいは膜断面をTEM観察して結晶粒の有無を調べることで評価できる。結晶度が高ければ、図6のような明確な回折ピークが存在する。
また、上記したように、本発明の金属炭化物膜(MeC)の表面粗さは0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であることが必要である。より好ましくは、0.2〜2.0μm、最も好ましくは、0.3〜1.9μmである。0.1μm未満であると低光沢性の点で、また2.1μmを超えると表面欠陥が付きやすいという点で好ましくない。
また、本発明の金属炭化物膜(MeC)の膜厚は、110〜550nmであり、好ましくは110〜400nm、より好ましくは110〜300nmである。膜厚が110nm未満であると、膜の光通過が生じて十分な遮光機能を持たないので好ましくない。ただし、膜厚が厚くなると遮光性が良くなるが、550nmを超えると、材料コストや成膜時間の増加による製造コスト高につながり、また膜の応力も大きくなって変形しやすくなる。上記のような金属炭化物膜の膜厚とすることにより、十分な遮光性と低膜応力、低製造コストを達成することができる。
さらに、このような金属炭化物膜を形成し、表面粗さRaを0.1〜2.1μmとする必要がある。これにより、波長380〜780nmにおける光反射率を10%以下に低減することができる。遮光性は、光学濃度が4以上であるか、または、透過率が1%以下、特に0%であることが好ましい。
なお、上記の金属炭化物膜には、窒素が含まれていても構わない。金属炭化物膜への窒素の導入は、金属炭化物膜を成膜する時のスパッタリングガス中に窒素ガスを含む添加ガスを導入してスパッタリング成膜することで可能であるが、上記のような添加ガスを用いなくても、ターゲット中に窒素を含有させることでも、これらの元素を導入することができる。
また、本発明で用いる金属炭化物膜には、酸素はなるべく含まないほうが、樹脂フィルムとの高い密着性や高い遮光性を維持するためには好ましい。しかし、ターゲット内に含有する酸素や、成膜室に残留する酸素などが、成膜中に、金属膜の一部、或いは全体に取り込まれて含有されていても、金属性や高い遮光性や樹脂フィルムとの高い密着性を損なわない程度であれば構わない。
このような金属炭化物膜(MeC)中に不可避分として含まれている酸素は、含有量が、全金属元素(Me)に対する含有酸素元素(O)の割合として、O/Me原子数比で0.5以下、更に好ましくは0.1以下であることが好ましい。これは、含有酸素元素(O)が、O/Me原子数比で0.5を超えていると、波長380〜780nmにおける透過率が高くなり(光学濃度が小さくなり)、十分な遮光機能が得られないからである。O/Me原子数比が0.5以下であれば110〜400nm以下の薄い膜厚でも十分な遮光性を発揮できるため製造コストの低減につながる。しかし、O/Me原子数比が0.5を超えた場合でも、0.8以下であれば、膜厚を400〜550nmに厚くすることで十分な遮光性を持たすことができる。
金属炭化物膜中のO/Me原子数比は、例えばXPS(X線光電子分光分析)にて測定できる。膜の最表面は酸素量が多く結合されているため、真空中で20〜30nmの深さまでスパッタリングで除去した後に測定して膜中のO/Me原子数比を定量化することができる。
本発明の耐熱遮光フィルムの金属炭化物膜は、組成(金属元素の含有量や種類、炭素含有量、窒素含有量、酸素含有量)の異なった複数種類の金属炭化物膜の積層膜で構成されていてもかまわない。光学定数の異なった複数種類の金属炭化物膜を積層することで、光干渉効果をもたらし、反射特性を制御することもできる。
なお、本発明の耐熱遮光フィルムは、上記金属炭化物膜の表面に、潤滑性や低摩擦性を有する他の薄膜(例えば、フッ素含有の有機膜など)を薄く塗布して利用しても、本発明の特徴を損なわなければ構わない。
2.耐熱遮光フィルムの製造方法
本発明の耐熱遮光フィルムの製造方法は、155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムの製造方法であって、表面粗さが0.2〜2.2μm(算術平均高さRa)の樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、金属炭化物ターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気下でスパッタリング法により、該樹脂フィルム基材(A)上に厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上である結晶性の金属炭化物膜(MeC)を形成することを特徴とする。
金属炭化物膜の成膜法としては、CVD、PVDなどの気相合成が好ましいが、その中でもスパッタリング法やイオンプレーティング法が、緻密で良質の膜が、大面積に均一に成膜できるため工業的にはより好ましい。スパッタリング法やイオンプレーティング法で成膜されていると、インクの塗布法や真空蒸着法に比べて膜の緻密性がよく、下地(基板や膜)との密着性が良好であるという特徴がある。
この性質は、耐熱遮光フィルムを155〜300℃の高温度環境下で使用したときに顕著である。インクの塗布法で形成したときは、膜剥がれや、膜の酸化による色味の変化が見られるが、本発明のようにスパッタリング法で膜を形成した場合はこのような恐れが少なく好ましい。
スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料の膜を基材上に形成する場合や精密な膜厚制御が必要となる時に有効な薄膜形成方法である。一般的に、約10Pa以下のアルゴンガス圧のもとで、基材を陽極とし、膜の原料となるスパッタリングターゲットを陰極として、この間にグロー放電を起こさせてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のスパッタリングターゲットに衝突させてスパッタリングターゲット成分の粒子を弾き飛ばし、この粒子を基材上に堆積させて成膜する方法である。
上記スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分けられ、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法である。また、マグネトロンスパッタリング法は、スパッタリングターゲットの裏側に磁石を配置し、アルゴンプラズマをスパッタリングターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法である。
金属炭化物膜をスパッタリング法で得る方法として、金属炭化物ターゲットを用いる方法と、金属ターゲットを用いてスパッタガス中に炭素源として炭化水素ガスなどを導入してスパッタ成膜を行う方法がある。また、金属ターゲットと炭素ターゲットを同時にスパッタ成膜して、基板上に金属成分と炭素成分を堆積させ金属炭化物膜を得る方法もある。この中でも、金属炭化物ターゲットを用いる方法は、膜組成や特性が安定しており、純アルゴンガス中でスパッタリング成膜できるため、簡便であり好ましい。
樹脂フィルム上に金属炭化物膜をスパッタリング法で成膜するには、例えば、図3に示した巻き取り式スパッタリング装置を用いることができる。この装置は、ロール状の樹脂フィルム基材1が巻き出しロール5にセットされ、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ6で成膜室である真空槽7内を排気した後、巻き出しロール5から搬出されたフィルム1が途中、冷却キャンロール8の表面を通って、巻き取りロール9で巻き取られていく構成をとる。冷却キャンロール8の表面の対向側にはマグネトロンカソード10が設置され、このカソードには膜の原料となるターゲット11が取り付けてある。なお、巻き出しロール5、冷却キャンロール8、巻き取りロール9などで構成されるフィルム搬送部は、隔壁12でマグネトロンカソード10と隔離されている。
まず、ロール状の樹脂フィルム基材1を巻き出しロール5にセットし、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ6で真空槽7内を排気する。その後、巻き出しロール5から樹脂フィルム基材1を供給し、途中、冷却キャンロール8の表面を通って、巻き取りロール9で巻き取られていくようにしながら、冷却キャンロール8とカソード間で放電させて、冷却キャンロール表面に密着搬送されている樹脂フィルム基材1に成膜する。なお、樹脂フィルム基材は、スパッタリング前にガラス転移温度前後の温度で加熱し、乾燥しておくことが望ましい。
本発明の耐熱遮光フィルムにおいて、金属炭化物膜層は、例えばアルゴン雰囲気中において金属炭化物のスパッタリングターゲットを使用した直流マグネトロンスパッタリング法により樹脂フィルム基材上に成膜形成される。
樹脂フィルム上に形成される遮光膜としての金属炭化物膜は、前記のとおり結晶膜であることが必要である。金属炭化物(MeC)膜は、その金属成分(Me)結晶中に炭素(C)が侵入してできた材料であるので、その金属成分(Me)の金属膜と比べると結晶化しにくい。また金属成分の結晶中に炭素が侵入することで、各元素間の結合は共有結合性の割合が多くなり、炭素を含まない金属結合性で構成された金属材料と比べて結晶化しにくくなるのである。耐熱性を発揮するC/Me原子数比が0.3以上の膜になると、特に結晶化しにくくなる。
さらに、薄膜の結晶成長は、基板の種類や表面形状にも大きく依存する。金属炭化物膜のような無機膜を成長させる場合、金属酸化物などの無機材料の基板上よりも、有機物の基板上へ成膜する方が、結晶性の良い膜を作製することが難しくなる。また、基板表面は平坦性が良いほど、基板に到達したスパッタリング粒子のマイグレーションによる結晶配列が容易となるが、本発明の場合のように表面凹凸の大きい基板表面には、入射するスパッタリング粒子のマイグレーションによる結晶配列がしにくくなり、結晶性の良い薄膜が得られにくくなる。
表面凹凸の大きな耐熱性樹脂フィルムの表面に、いかに結晶性のよい金属炭化物膜を緻密に形成するかによって、本発明の耐熱性、耐久性に優れた耐熱遮光フィルムを実現できるかが左右される。
本発明においては、金属炭化物ターゲットから、表面凹凸の大きな耐熱性樹脂フィルムの表面に、スパッタリング法で結晶性が良好で緻密な金属炭化物膜を得るために、以下に詳述するように、スパッタリングガス圧、成膜時のフィルム表面温度の制御が特に重要となる。
一般には、スパッタリング成膜は10Pa以下のガス圧の不活性ガスにてプラズマを発生させて成膜を行うが、耐熱遮光フィルムの遮光膜に有用な、結晶性の良好な金属炭化物膜を得るには、特定のガス圧にて成膜することが好ましい。結晶性の良好な金属炭化物膜を成膜する時の成膜時のガス圧は、装置の種類などによっても異なるので一概に規定できないが、1.0Pa以下、例えば、0.2〜1.0Paにすることが好ましい。これにより、基板(樹脂フィルム)に到達するスパッタ粒子が高エネルギーとなるため、結晶性の金属炭化物膜が耐熱樹脂フィルム基板上に形成され、膜とフィルムとの間に強い密着性が発現される。
よって、ショット材が樹脂フィルム基材上に微量残存していても、155〜300℃の高温度環境下で、ショット材、金属炭化物膜の熱膨張差があったとしても膜が剥がれることはなくなる。成膜時のガス圧が0.2Pa未満であると、ガス圧が低いためスパッタリング法でのアルゴンプラズマが不安定となり、成膜した膜の膜質が悪くなる。また0.2Pa未満であると、反跳アルゴン粒子が基板上に堆積した膜を再スパッタする機構が強くなり、緻密な膜の形成を阻害しやすくなる。また、成膜時のガス圧が1.0Paを超えた場合では、基板に到達するスパッタ粒子のエネルギーが低いため膜が結晶成長しにくく、金属炭化物膜の粒が粗くなり、高緻密な結晶性の膜質でなくなるので樹脂フィルム基材との密着力が弱くなり、膜が剥がれてしまう。このような膜は耐熱性用途の遮光膜に用いることはできない。
また、成膜時のフィルム表面温度は、金属炭化物膜の結晶性に影響を及ぼす。成膜時のフィルム表面温度が高温ほど、スパッタ粒子の結晶配列が行いやすくなり、結晶性が良好となる。しかし、耐熱樹脂フィルムの加熱温度にも限界があり、最も耐熱性の優れたポリイミドフィルムでも表面温度は400℃以下で成膜する必要がある。樹脂フィルムに対して高密着な金属炭化物膜を得ることができる。よって、高温環境下で使用できる耐熱遮光フィルムを得る際には特に重要である。成膜時の最適なフィルム表面温度は、用いるフィルム基材の種類によって異なるので一概に規定できないが、例えば、100〜155℃の環境下で使用する耐熱遮光フィルムを得るためには、155℃以上とすることが好ましい。
これにより、100〜155℃の環境下でも、フィルムに対して密着性が優れて緻密で結晶性に優れた膜質の金属炭化物膜で構成された耐熱遮光フィルムが得られる。この場合は、当然ながら155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルムが用いられる。また、155℃を超えた温度、特に200〜300℃程度の高温環境下でも使用する耐熱遮光性フィルムを得るためには、成膜時のフィルム表面温度は180〜220℃、或いは220℃以上でフィルムの耐熱温度以下の高温度とすることが望ましい。これにより200℃以上の耐熱性を有するフィルムとの密着性の優れた、緻密な膜質の耐熱遮光フィルムが得られる。
ただし、室温〜130℃の温度で利用する遮光フィルムを得るためには、成膜時のフィルム表面温度は50〜100℃でも十分である。しかし、フィルム表面温度が50〜100℃では、結晶性の金属炭化物膜は特に得られにくく、スパッタガス圧を0.2〜1.0Paの範囲内で成膜することが必要不可欠となる。これにより、室温〜130℃の環境下でもフィルムに対して密着性に優れた金属炭化物膜で構成された耐熱遮光フィルムを得ることができる。
また、成膜中には樹脂フィルム基材はプラズマから自然加熱される。ガス圧とターゲットへの投入電力やフィルム搬送速度を調整することで、ターゲットから基材に入射する熱電子やプラズマからの熱輻射によって成膜中の樹脂フィルム基材の表面温度を155〜220℃に維持することは容易である。ガス圧は低いほど、投入電力は高いほど、フィルム搬送速度は遅いほどプラズマからの自然加熱による加熱効果は高くなる。成膜時のフィルムが冷却キャンに接触させている場合でも、自然加熱の影響でフィルム表面の温度は冷却キャン温度よりはるかに高い温度となる。しかし、図3の装置では、自然加熱によるフィルム表面の温度は、フィルムが冷却キャンで冷却されながら搬送されるため、キャンの温度にも大きく依存し、なるべく成膜時の自然加熱の効果を利用するのであれば、冷却キャンの温度を高めにして搬送速度を遅くすることが効果的である。
金属炭化物膜の膜厚は、成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力で制御され、搬送速度が遅いほど、またターゲットへの投入電力が大きいほど厚くなる。
また図4には、上記とはフィルムの搬送形態が異なる装置を示している。この装置によれば、冷却キャンでフィルムが冷却されずスパッタリング成膜される成膜方法(フローティング法)であるために、自然加熱効果を有効に利用することができる。この方法は、ターゲットから離れた二本の支持ロール13でフィルムを支持しており、ターゲット11に対向するフィルムは背後で冷却されず、成膜室(真空槽7)内でフローティングの状態で成膜が行われる。成膜室は真空であるため、ターゲットやプラズマから照射されてフィルムに溜まった熱は逃げにくく、効果的に加熱されるため、実質270℃以上の自然加熱効果も容易に実現可能である。
成膜中の基材表面の温度は、放射温度計で測定することも可能であり、また予めフィルム表面にサーモラベルを貼り付けておいて、成膜後にラベルの色の変化を見て達した温度を知ることができる。
これにより、樹脂フィルム基材の片面に金属炭化物膜が高密着で形成された耐熱遮光フィルムを得ることができる。両面に、金属炭化物膜が形成された耐熱遮光フィルムを得るには、さらに、上記スパッタリング装置に供給し、同様にして、スパッタリングによって樹脂フィルム基材の裏面に金属炭化物膜を順次形成する。
なお、金属炭化物膜を成膜するのに、フィルム巻き取り式スパッタリング装置を例示し、連続的に成膜する方法について詳述したが、本発明は、これに限定されることなく、成膜時に基材フィルムを移動させずに行う回分式成膜方法を採用することもできる。この場合は、雰囲気ガスの切り替え、フィルム搬入、停止という操作が加わり煩雑となる。さらに、基材フィルムは、ロール状のものでなくとも、所定の大きさに切断された状態で装置内に固定してもよい。
3.耐熱遮光フィルムの用途
上記製造方法で得られた本発明の耐熱遮光フィルムは、端面クラックが生じないように特定の形状に打ち抜き加工を行って、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラの固定絞りや機械的シャッター羽根や、一定の光量のみ通過させる絞り(アイリス)、更には液晶プロジェクタの光量調整用装置(オートアイリス)の絞り羽根として利用できる。
特に、車載用のデジタルビデオカメラのレンズユニット内の固定絞りは、夏場の太陽光による加熱が顕著であり、また液晶プロジェクタの光量調整装置はランプ光の照射による加熱が顕著である。そのため、本発明の耐熱遮光フィルムを加工して得た耐熱遮光性の大きい絞り羽根は有用である。また、リフローで光学部材を組み込むような製造工程を採用している場合においても、本発明の耐熱遮光フィルムを加工して得た固定絞りや機械的シャッター羽根は、工程中の加熱環境下でも特性が変化しないため有用である。
図5は、打ち抜き加工を施した耐熱遮光羽根14を搭載した光量調整装置の絞り機構を示す模式的な図である。耐熱遮光羽根14には、ガイド孔15、駆動モーターと係合するガイドピン16と遮光羽根の稼働位置を制御するピン17を設けた基板18に取り付けるための孔19が設けている。また、基板18の中央にはランプ光が通過する開口部20があるが、絞り装置の構造により遮光羽根は、さまざまな形状であってもよい。更には、本発明の耐熱遮光フィルムは、樹脂フィルムを基材としているので、軽量化となり、遮光羽根を駆動する駆動部材の小型化と消費電力の低減が可能となる。
次に、本発明について、実施例、比較例を用いて具体的に説明する。なお、得られた耐熱遮光フィルムの評価は以下の方法で行った。
(光学濃度、反射率)
得られた耐熱遮光フィルムの光学濃度、反射率は、分光光度計を使用し、波長380nm〜780nmの可視光域の遮光性と反射率(正反射率)を測定した。遮光性の指標である光学濃度は、分光光度計で測定される透過率(T)を次式により換算した。光学濃度は4以上、最大反射率は10%未満であることが必要である。
光学濃度=Log(1/T)
(表面光沢度)
得られた耐熱遮光フィルムの表面光沢度は、光沢度計でJIS Z8741に基づき測定した。表面光沢度は、3未満であれば光沢性が良好である。
(摩擦係数)
得られた耐熱遮光フィルムの静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS D1894に基づき測定した。静摩擦係数及び動摩擦係数が0.3以下の場合は良好と判断した。
(表面粗さ)
得られた耐熱遮光フィルムの算術平均高さRaを表面粗さ計((株)東京精密製、サー
フコム570A)で測定した。表面粗さは、0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)にならなければならない。
(遮光膜の結晶性)
遮光膜の結晶性は、X線回折測定にて評価した。X線回折装置は、X‘PertPROMPD(PANalytical社製)を用い、測定条件は広域測定で、CuKα線を用い、電圧45kV、電流40mAで測定を行った。X線回折ピークの有無から膜の結晶性を評価した。また膜断面のTEM観察からも結晶粒の有無から結晶性を評価した。
(遮光膜の組成)
遮光膜の組成(C/Me原子数比)は、XPSおよびEPMA(電子線マイクロアナライザー)による定量分析にて決定した。また遮光膜中の酸素量(O/Me原子数比)は、XPSで定量分析した。XPSによる組成分析は、真空中で20〜30nmの深さまでスパッタリングで除去した後に測定を行った。C/Meは、0.3以上であり、O/Meは、0.5以下でなければならない。
(耐熱性)
得られた耐熱遮光フィルムの耐熱特性を以下の手順で評価した。所定の加熱温度(130、155、250℃)に加熱セットしたオーブン(アドバンテック社製)に、作製した耐熱遮光フィルムを24時間放置した後、取り出した。評価は、反りや膜の変色が無い場合は良好(○)とし、反りもしくは膜の変色がある場合は不十分(×)とした。
(密着性)
得られた耐熱遮光フィルムの密着性は、耐熱試験後の膜をJIS C0021に基づき評価した。評価は膜剥がれがない場合は良好とし、膜剥がれがあるものは不十分とした。
(導電性)
得られた耐熱遮光フィルムの導電性は、表面抵抗値をJIS K6911に基づき測定した。
(実施例1)
図3に示した巻き取り式スパッタリング装置を用いて200℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材に金属炭化物膜の成膜を行った。まず、冷却キャンロール8の表面の対向側にマグネトロンカソード10が設置された装置のカソードに膜の原料となるターゲット11を取り付けた。巻き出しロール5、冷却キャンロール8、巻き取りロール9などで構成されるフィルム搬送部は、隔壁12でマグネトロンカソード10と隔離されている。次に、ロール状の樹脂フィルム基材1を巻き出しロール5にセットした。
樹脂フィルム基材には、サンドブラストによる表面加工を行って算術平均高さRaが0.5μmの表面凹凸を有する厚み75μmのポリイミド(PI)フィルムを用いた。このポリイミド(PI)フィルムは、スパッタリング前に200℃以上の温度で加熱して十分に乾燥した。
次に、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ6で真空槽7内を排気した後、冷却キャンロール8とカソード間で放電させて、樹脂フィルム基材1を冷却キャンロール表面に密着搬送しながら成膜を行った。成膜前の真空槽内の到達真空度は2×10−4Pa以下であった。
まず、炭化チタン焼結体ターゲット(C/Ti原子数比が0.8)をカソードに設置し、このカソードから直流スパッタリング法で炭化チタン膜を成膜した。炭化チタン膜はスパッタリングガスに純アルゴンガス(純度99.999%)を用いてスパッタガス圧0.6Paにて成膜を行った。成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力を制御することで炭化チタン膜の膜厚を制御した。巻き出しロール5から搬出された樹脂フィルム基材1は、途中、冷却キャンロール8の表面を通って、巻き取りロール9で巻き取った。
炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で、巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度であった。
厚み75μmのポリイミド(PI)フィルムの両面に、膜厚200nmの炭化チタン膜をスパッタリング成膜して、耐熱遮光フィルムを作製した。このポリイミド(PI)フィルムの表面は、所定の吐出時間、吐出圧力、搬送速度でサンドブラスト加工してあり、両面とも算術平均高さがRa0.5μmの微細な凹凸が形成されている。フィルムの両面に片面ずつ、このような成膜を実施して、ポリイミド(PI)フィルム基材を中心に対称構造の遮光フィルムを製造した。
次に、作製した耐熱遮光フィルムを前記の方法で評価した。この結果、得られた炭化チタン膜の組成は、XPSおよびEPMAによる定量分析から、ターゲット組成と同じ(C/Ti原子数比が0.8)であることを確認した。また膜内部の酸素量をXPSで定量分析すると、O/Me原子数比で0.3であった。
膜の結晶性をX線回折で測定した結果、図6に示すようなパターンが得られ、TiC結晶構造に起因する回折ピークが観察され、結晶性に優れた膜であることがわかった。また膜の断面をTEM観察すると、結晶粒で構成された膜であることがわかった。
また、可視域(波長380〜780nm)における光学濃度は4以上で最大反射率は7%であった。また、表面光沢度は3%未満であった。静摩擦係数及び動摩擦係数は、0.3以下となり、良好であった。また、表面抵抗値は、98Ω/□(オーム・パー・スクエアと読む)であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであった。
加熱後の耐熱遮光フィルムには、反りは発生せず、変色もなかった。膜剥がれはなく、良好であった。遮光性、反射特性、光沢度、摩擦係数も加熱前と変化なかった。これらの評価結果を表1に示す。
得られた耐熱遮光フィルムは、光学濃度、反射率、表面光沢度、耐熱性、摩擦係数、導電性のすべてについて良好であり、よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができることがわかる。
(実施例2)
成膜中のフィルム搬送速度を変えて、炭化チタン膜の膜厚のみを110nmに変えた以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚み、表面粗さは実施例1と同じである。また成膜前の真空槽内の到達真空度は6×10−5Pa以下であった。遮光膜の含有炭素量は実施例1と同じであった。膜内部の酸素量をXPSで定量分析すると、O/Me原子数比で0.4であった。遮光膜のX線回折測定から、膜は結晶性に優れたTiC膜であることがわかった。また断面TEM観察からも、結晶粒で構成された緻密な膜になっていることがわかった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると180〜200℃の温度となっていた。
可視域での光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、190Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例3)
実施例2の成膜条件で、成膜前の真空槽内の到達真空度が8×10―4Paであることと、フィルム基材に5回成膜を行って550nmの炭化チタン膜をフィルム両面に成膜した以外は、実施例2と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚み、表面粗さは実施例1と同じである。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると180〜200℃の温度であった。
遮光膜の含有炭素量は実施例1と同じであった。XPSで分析した膜内部の酸素量(O/Ti原子数比)は、0.8であり実施例1〜2の膜と比べて若干多めであった。膜のX線回折測定から、膜は結晶性に優れたTiC膜であることがわかった。また断面TEM観察からも、結晶粒で構成された緻密な膜で構成されていることがわかった。
可視域での光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、80Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.3μmであることを確認した。また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
実施例3の膜の酸素量が実施例1〜2の膜と比べて多いのは、成膜中の真空槽内の真空度が悪いからである。つまり真空槽内の残留酸素ガスがスパッタによって膜中に取り込まれたためであると思われる。このような酸素量の多い膜は、透過率が若干高くなるため、膜厚を400nm未満にすると十分な遮光性が得られない。しかし実施例3のように膜厚を550nmとすることで光学濃度4以上の十分な遮光性を確保できた。
また、同様の実験で、O/Ti原子数比で0.9の膜の場合は、膜厚450nm、500nmでも光学濃度4以上の遮光性を達成できることを確認した。
このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(比較例1)
フィルムの搬送速度を変えて炭化チタンの膜厚を90nmに変えた以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚み、表面粗さは実施例1と同じである。遮光膜の組成(含有炭素量、含有酸素量)、結晶性も実施例1の膜と同じであった。表2に評価結果を示す。
フィルムの両面に90nmの炭化チタンを成膜した耐熱遮光フィルムを実施例1と同様の方法、条件で評価(光学特性、耐熱性)した。その結果、光学濃度は3であり、十分な遮光性を有していないことがわかった。よって、このような遮光フィルムを液晶プロジェクタの絞り部材に用いると、光漏れが生じるため十分に機能しない。
(実施例4)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが0.2μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。遮光膜の組成(含有炭素量、含有酸素量)、結晶性も実施例1の膜と同じであった。特性を表1にまとめた。
その結果、光学濃度、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、105Ω/□で、表面の算術平均高さRaは0.1μmであることを確認した。可視域の最大反射率は10%であった。250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例5)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが0.8μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。遮光膜は実施例1と同様に結晶性に優れ、膜中の炭素含有量や酸素含有量も実施例1とほぼ同じであることを確認した。特性を表1にまとめた。
その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、90Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.7μmであることを確認した。また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(比較例2)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが0.1μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度であった。
フィルムの両面に炭化チタン膜を作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。遮光膜は実施例1と同様に結晶性に優れ、膜中の炭素含有量や酸素含有量も実施例1と同じであることを確認した。特性を表1にまとめた。その結果、光学濃度は4以上で実施例1と同じものが得られたが、反射率は最大で33%、光沢度は70%を示し、実施例2と比べて反射率と光沢度の大きい耐熱遮光フィルムであった。また、表面抵抗値は110Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.05μmであることを確認した。250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、反りや膜剥がれはなかった。
このような反射率や光沢度の値の大きい耐熱遮光フィルムを、シャッター羽根などに用いると表面反射の影響を受けるため利用することができない。
(比較例3)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した算術平均高さRaが2.3μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例2と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例2と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
フィルムの両面に110nmの炭化チタン膜を作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。遮光膜は実施例2と同様に結晶性に優れ、膜中の炭素含有量や酸素含有量も実施例2と同じであることを確認した。特性を表2にまとめた。その結果、最大反射率は4%で光沢度は3%以下であり、実施例2と同じものが得られたが、光学濃度は2.0と低く、遮光性の不十分な耐熱遮光フィルムであった。また、表面抵抗値は、86Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、2.2μmであることを確認した。250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、反りや膜剥がれはなかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表2にまとめた。
よって、このような光学濃度の低い耐熱遮光フィルムは、実施例とくらべると、かなり光を通すため、液晶プロジェクタの絞りの部材だけでなく多くの光学系用途に利用できない。
(実施例6〜8)
炭素含有量の異なるターゲットを用いて、炭化チタン膜のC/Ti原子数比を0.3(実施例6)、0.5(実施例7)、1.1(実施例8)と変えた以外は、実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。
ポリイミドの種類、厚み、表面粗さ、炭化チタン膜の膜厚は実施例1と同じである。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1に記した。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、90〜115Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。遮光膜のX線回折から、C/Ti量が多くなると回折ピークが弱くなる傾向がみられたが、何れの膜も良好な結晶性を示していた。また同様のTEM観察からも、何れの膜が結晶膜となっていることを確認した。XPSで膜中の酸素量を定量分析すると、O/Ti原子数比で0.2〜0.4であった。
また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(比較例4)
炭素含有量の異なるターゲットを用いて、炭化チタン膜のC/Ti原子数比を0.15と変えた以外は、実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ポリイミドの種類、厚み、表面粗さ、炭化チタン膜の膜厚は実施例1と同じである。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1に記した。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、86Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。膜の結晶性は良好であり、膜中の酸素量はO/Ti原子数比で0.4であった。
また、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りはなかったが膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。膜の断面をTEMで観察すると、遮光膜の表面とポリイミド側の膜は酸化していた。このことにより膜の密着性の低下や色味変化が生じたものと思われる。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができない。
(比較例5)
Tiターゲットを用いて、炭素を含まないチタン膜を遮光膜として使った以外は、実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ポリイミドの種類、厚み、表面粗さ、遮光膜の膜厚は実施例1と同じである。
作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表2に記した。
実施例1と同様にチタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、86Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
しかし、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りはなかったが膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とポリイミド側の膜は酸化していた。このことにより膜の密着性の低下や色味変化が生じたものと思われる。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができない。
(実施例9)
図4に示す巻き取り式スパッタリング装置を用いて、樹脂フィルム基材の片面にフローティングの状態で実施例1と同じ炭化チタン膜を形成した。樹脂フィルム基材には200μmの厚みのポリイミドフィルムを用いた。フィルムの成膜面は、あらかじめサンドブラスト加工してあり、実施例1と同等の表面粗さの表面を有している。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると270〜310℃の温度となっており、実施例1と比べて、プラズマから受けるフィルム表面の自然加熱効果は顕著であった。
成膜面側の、可視域における光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、95Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。膜の結晶性は良好であり、膜中の炭素量と酸素量は実施例1と同じであった。
また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例10〜12、比較例6〜7)
実施例6〜8、比較例4〜5と同様に、炭素量の異なる炭化タングステン膜を遮光膜として用いて耐熱遮光フィルムを試作した。樹脂フィルム基材は、厚みが50μmのポリイミドフィルムであり、両面とも算術平均高さがRa0.5μmの微細な凹凸が形成されている。実施例6〜8、比較例4〜5と同様の条件で、炭素含有量の異なる炭化タングステンターゲット又はタングステンターゲットを用いて、フィルムの表面に炭素量の異なる炭化タングステン膜又はタングステン膜を150nmほど成膜した。実施例1と同様に炭化タングステン膜又はタングステン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると190〜203℃の温度となった。
作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1、表2にまとめた。膜中の酸素量をXPSで分析すると、O/Me原子数比で0.05〜0.1であった。遮光膜のX線回折から、C/W量が多くなると回折ピークが弱くなる傾向がみられたが、何れの膜も良好な結晶性を示していた。また同様のTEM観察からも、何れの膜が結晶膜となっていることを確認した。
可視域における光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、83〜123Ω/□と導電性を示し、表面の算術平均高さRaは0.4μmであった。
250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、膜のC/W原子数比が0.3(実施例10)、0.6(実施例11)、0.9(実施例12)は、色味の変化や密着試験の際の膜剥離が見られなかったが、膜のC/W原子数比が0.1(比較例6)、0(比較例7)は密着性試験で膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。
比較例6と比較例7の膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とポリイミドと接触する側の膜の一部は酸化していたが、実施例10〜12では酸化は見られなかった。よって、比較例6と比較例7の膜の密着性の低下や色味変化は、膜の酸化が原因と思われる。
よって、実施例10〜12のような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができるが、比較例6、7は高温度環境下では利用できない。
(実施例13〜15、比較例8〜9)
実施例6〜8、比較例4〜5と同様に、炭素量の異なる炭化シリコン膜を遮光膜として用いて耐熱遮光フィルムを試作した。樹脂フィルム基材は、厚みが125μmのポリイミドフィルムであり、両面とも算術平均高さがRa0.4μmの微細な凹凸が形成されている。実施例6〜8、比較例4〜5と同様の条件で、炭素含有量の異なる炭化シリコンターゲット又はシリコンターゲットを用いて、フィルムの両面に炭素量の異なる炭化シリコン膜又はシリコン膜を270nmほど成膜した。実施例1と同様に炭化シリコン膜又はシリコン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると205〜213℃の温度となった。
作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1、表2にまとめた。膜中の酸素量をXPSで分析すると、O/Si原子数比で0.1〜0.2であった。遮光膜のX線回折から、C/Si量が多くなると回折ピークが弱くなる傾向がみられたが、何れの膜も良好な結晶性を示していた。また同様のTEM観察からも、何れの膜が結晶膜となっていることを確認した。
可視域における光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、105〜156Ω/□と導電性を示し、表面の算術平均高さRaは0.3μmであった。
250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、膜のC/Si原子数比が0.35(実施例13)、0.5(実施例14)、0.95(実施例15)は、色味の変化や密着試験の際の膜剥離が見られなかったが、膜のC/Si原子数比が0.2(比較例8)、0(比較例9)は密着性試験で膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。比較例8と9の膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とポリイミド側の膜は酸化していたが、実施例13〜15の膜では酸化は見られなかった。よって、比較例8と比較例9の膜の密着性の低下や色味変化は、膜の酸化が原因と思われる。
よって、実施例13〜15のような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができるが、比較例8、9は高温度環境下では利用できない。
(実施例16〜18、比較例10〜11)
実施例6〜8、比較例4〜5と同様に、炭素量の異なる炭化アルミニウム膜を遮光膜として用いて耐熱遮光フィルムを試作した。樹脂フィルム基材は、厚みが20μmのポリイミドフィルムであり、両面とも算術平均高さがRa0.6μmの微細な凹凸が形成されている。実施例6〜8、比較例4〜5と同様の条件で、炭素含有量の異なる炭化アルミニウム又はアルミニウムターゲットを用いて、フィルムの両面に炭素量の異なる炭化アルミニウム膜又はアルミニウム膜を230nmほど成膜した。実施例1と同様に炭化アルミニウム膜又はアルミニウム膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となった。
作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1、表2にまとめた。膜中の酸素量をXPSで分析すると、O/Al原子数比で0.1〜0.2であった。遮光膜のX線回折から、C/Al量が多くなると回折ピークが弱くなる傾向がみられたが、何れの膜も良好な結晶性を示していた。また同様のTEM観察からも、何れの膜が結晶膜となっていることを確認した。
可視域における光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、82〜125Ω/□と導電性を示し、表面の算術平均高さRaは0.5μmであった。
250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、膜のC/Al原子数比が0.3(実施例16)、0.7(実施例17)、1.0(実施例18)は、色味の変化や密着試験の際の膜剥離が見られなかったが、膜のC/Al原子数比が0.1(比較例10)、0(比較例11)は密着性試験で膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。比較例10と11の膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とポリイミド側の膜は酸化していたが、実施例16〜18の膜では酸化は見られなかった。よって、比較例10と比較例11の膜の密着性の低下や色味変化は、膜の酸化が原因と思われる。
よって、実施例16〜18のような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができるが、比較例10、11は高温度環境下では利用できない。
(実施例19)
膜構成、膜厚、組成が、炭化チタン膜(膜厚200nm、C/Ti原子数比:0.8)/炭化シリコン膜(膜厚20nm、C/Si原子数比:0.5)である、二層構造の遮光膜を用いて耐熱遮光フィルムを作製した。図3の巻き取り式スパッタ装置を用いて、実施例1と同じ種類、厚み、表面粗さのポリイミドフィルムの両面に、炭化チタン膜と炭化シリコン膜を順次成膜した。
実施例1と同様に成膜時のフィルム表面温度を測定すると、190〜210℃であった。ポリイミドの種類、厚み、表面粗さは実施例1と同じである。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。積層させた遮光膜の結晶性は良好であることを確認した。また、膜表面をスパッタリングながらXPSによる各層の含有酸素量(O/Me)分析を行ったところ、SiC膜層ではO/Si原子数比は0.1であり、Ti/C膜層ではO/Ti原子数比は0.2であった。
表面抵抗や表面粗さ、可視域での光学濃度や光沢度の特性は実施例1と同等のものが得られていた。可視域の最大反射率は4%であり、炭化シリコン膜を表面に成膜せずに炭化チタン膜のみ用いた実施例1と比べて反射率の低下は顕著であった。これは光学定数の異なる炭化チタン膜と炭化シリコン膜が積層されたことにより、光干渉による反射防止効果が見られて低反射化したのである。
また、250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができ、特にプロジェクタのレンズ近傍の低反射性が要求される部材用途に有用である。
(実施例20)
遮光膜に炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ジルコニニウム、又は炭化ハフニウムを用いて、実施例1〜9、比較例1〜4の炭化チタンの場合と同様に実験を行ったが、同じ傾向であった。C/Nb原子数比、C/Mo原子数比、C/V原子数比、C/Ta原子数比、C/Zr原子数比、C/Hf原子数比が0.3以上のとき、耐熱性に優れた遮光フィルムを実現できることを確認した。何れも結晶性の良好な膜であったが、膜中の酸素量はO/Me原子数比で0.5以下のときに膜厚400nm以下で十分な遮光性を示した。
(実施例21)
耐熱樹脂フィルムを厚み25μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムに変えて、成膜時のフィルム表面温度を155〜158℃にした以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、フィルムの表面粗さは、実施例1と同じである。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると155〜158℃の温度となっていた。
可視域での光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、90Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。遮光膜は結晶性の良好な膜であることを同様の方法で確認した。遮光膜中の炭素量、酸素量は実施例1と同じであった。
また耐熱試験については、155℃で24時間、加熱試験を行い膜の密着性評価を同様に行った。その結果、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、100〜155℃で使用される車載用モニターのレンズユニット内の固定絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例22、23)
耐熱樹脂フィルムを厚み6μm(実施例22)、12μm(実施例23)のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムに変えた以外は実施例21と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、フィルムの表面粗さ、成膜条件は、実施例1と同じである。膜の組成や厚みも実施例21と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると155℃の温度となっていた。膜中の炭素量、酸素量を同様の方法で分析すると実施例1とほぼ同じであった。また膜の結晶性は良好であることを確認した。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。
可視域での光学濃度、反射率、光沢度、表面抵抗値、表面粗さなどの特性は実施例21と同等のものが得られていた。
実施例21と同じ耐熱試験を行った結果、反りや膜剥がれはなく、実施例21と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、100〜155℃で使用される車載用モニターにおけるレンズユニット内の固定絞りなどの部材として利用することができる。
(比較例12)
Tiターゲットを用いて、炭素を含まないチタン膜を遮光膜として使った以外は、実施例21と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。フィルムの種類、厚み、表面粗さ、遮光膜の膜厚は実施例21と同じである。
作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表2に記した。
実施例21と同様に遮光膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると155〜158℃の温度となり、実施例21と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例21と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度、表面抵抗値、表面の算術平均高さRaなどの特性は実施例21と同等のものが得られていた。遮光膜の結晶性は良好であった。
しかし、実施例21と同じ耐熱試験条件である155℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りはなかったが膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とフィルム側の膜は酸化していた。このことにより膜の密着性の低下や色味変化が生じたものと思われる。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、155℃でも使用される車載用モニターにおけるレンズユニット内の固定絞りなどの部材として利用することができない。
(比較例13〜16)
遮光膜として、Al(比較例13)、Cr(比較例14)、Ni(比較例15)、Nb(比較例16)を用いた以外は、比較例12と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度、表面抵抗値、表面の算術平均高さRaなどの特性は実施例21と同等のものが得られていた。
しかし、実施例21と同じ耐熱試験条件である155℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りはなかったが膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。膜の断面をTEMで観察すると、膜の表面とフィルム側の膜は酸化していた。このことにより膜の密着性の低下や色味変化が生じたものと思われる。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、155℃でも使用される車載用モニターにおけるレンズユニット内の固定絞りなどの部材として利用することができない。
(実施例24)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが2.2μmのポリイミド(PI)フィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。特性を表1にまとめた。
その結果、光学濃度、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、120Ω/□で、表面の算術平均高さRaは2.1μmであることを確認した。可視域の最大反射率は3%であった。遮光膜の結晶性、含有炭素量、含有酸素量は実施例1と同等であった。
250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。可視域の正反射率が最大で3%であり、低反射性を示した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例25)
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが1.6μmのポリイミド(PI)フィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ターゲットの種類や、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると200〜210℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。特性を表1にまとめた。
その結果、光学濃度、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、110Ω/□で、表面の算術平均高さRaは1.5μmであることを確認した。可視域の最大反射率は4%であった。遮光膜の結晶性、含有炭素量、含有酸素量は実施例1と同等であった。
250℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。可視域の正反射率が最大で4%であり、低反射性を示した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
(実施例26)
実施例1〜25で作製した耐熱遮光フィルムに打ち抜き加工を施し、20mm×30mmの遮光羽根を作製した。遮光羽根1枚の重量は、0.01〜0.03gとなった。遮光羽根2枚を絞り装置に搭載し、耐久試験を行った。
耐久試験では、ランプ光を照射しながら遮光羽根の作動範囲での最大及び最小の開口径となる範囲を数万回繰り返し遮光羽根を稼動し、その時の遮光羽根の耐熱性、耐摩耗性を評価した。
試験による磨耗による遮光羽根の外観変化はなく、絞り装置内に磨耗による異物の付着は見られなかった。したがって、摩擦、磨耗や騒音が小さいこと、及び樹脂フィルムを基材とすることで軽量化され、遮光羽根を駆動するモーターの駆動トルクを小さくすることができ、摺動性が良好であった。
(比較例17)
遮光羽根を金属製のSUS箔板に替えた以外は、実施例26と同じようにSUS箔板を打ち抜き加工し、SUS箔板を基材とした20mm×30mmの遮光羽根を作製し、実施例26と同様の評価を実施した。遮光羽根の重量は、0.2〜0.5gであった。
試験による磨耗による遮光羽根の外観変化はなく、絞り装置内に磨耗による異物の付着は見られなかった。しかし、遮光羽根の重量が大きいので、遮光羽根を駆動するモーターの駆動トルクが大きくなり、摺動性が悪かった。
(実施例27)
成膜時のフィルム表面温度を50〜100℃に変えた以外は同じ製造条件で実施例1の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。このようなフィルム表面の温度は、冷却キャンの温度を−20〜20℃の範囲とすることで調整した。遮光膜は結晶膜であり、膜中の炭素量と酸素量は実施例1と同じであった。
得られた耐熱遮光フィルムは、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りや反射率の変化による色味変化はなかったが、膜剥がれが生じた。155℃で24時間の加熱試験でも同じであった。
しかし、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、何れも反りや膜の変色も見られず、膜剥がれもなかった。プレス打ち抜き加工を実施した後のサンプルに対しても、130℃で24時間の加熱試験を行ったが、加工端部での膜剥がれは発生しなかった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、常温や130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材として利用できる。
(実施例28)
成膜時のフィルム表面温度を50〜100℃に変えた以外は同じ製造条件で実施例21〜23の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。このようなフィルム表面の温度は、冷却キャンの温度を−20〜20℃の範囲とすることで調整した。遮光膜は結晶膜であり、膜中の炭素量と酸素量は実施例21と同じであった。
得られた耐熱遮光フィルムは、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りや反射率の変化による色味変化はなかったが膜剥がれが生じた。155℃で24時間の加熱試験でも同じであった。
しかし、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、何れも反りや膜の変色も見られず、膜剥がれもなかった。プレス打ち抜き加工を実施した後のサンプルに対しても、130℃で24時間の加熱試験を行ったが、加工端部での膜剥がれは発生しなかった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、常温や130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材として利用できる。
(実施例29〜31)
成膜時のガス圧を0.2Pa(実施例29)、0.8Pa(実施例30)、1.0Pa(実施例31)に変えた以外は同じ製造条件で実施例28の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。遮光膜は何れも結晶膜であり、膜中の炭素量と酸素量は実施例21と同じであった。
得られた耐熱遮光フィルムは、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りや反射率の変化による色味変化はなかったが膜剥がれが生じた。155℃で24時間の加熱試験でも同じであった。
しかし、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、何れも反りや膜の変色も見られず、膜剥がれもなかった。プレス打ち抜き加工を実施した後のサンプルに対しても、130℃の加熱試験後の加工端部での膜剥がれは発生しなかった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、常温や130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材として利用できる。
(比較例18〜19)
成膜時のガス圧を1.3Pa(比較例18)、1.8Pa(比較例19)に変えた以外は同じ製造条件で実施例28の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。遮光膜は何れも非晶質膜であり実施例28〜31とは異なった。膜中の炭素量と酸素量は、何れも実施例21と同じであった。
得られた耐熱遮光フィルムに対して、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、反りや反射率の変化による色味変化は生じてしまい、膜剥がれも顕著であった。
80℃で24時間、または、100℃で24時間の耐熱性試験を行っても同じであった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材としても利用できない。
(実施例32)
成膜中のアルゴンガス圧を1.0Paに変えて、成膜時のフィルム表面温度を50〜100℃に変えた以外は、実施例11と同じ製造条件で実施例11の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。このようなフィルム表面の温度は、冷却キャンの温度を−20〜20℃の範囲とすることで調整した。遮光膜は図7に示すように結晶膜であり、膜中の炭素量と酸素量は実施例11と同じであった。
得られた耐熱遮光フィルムは、250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りや反射率の変化による色味変化はなかったが膜剥がれが生じた。155℃で24時間の加熱試験でも同じであった。
しかし、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、何れも反りや膜の変色も見られず、膜剥がれもなかった。プレス打ち抜き加工を実施した後のサンプルに対しても、130℃の加熱試験後の加工端部での膜剥がれは発生しなかった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、常温や130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材として利用できる。
(比較例20)
成膜時のガス圧を1.5Paに変えた以外は同じ製造条件で実施例32の構造の耐熱遮光フィルムを製造した。膜中の炭素量と酸素量は、実施例11と同じであった。遮光膜についてX線回折測定を行ったところ回折ピークは見られず非晶質膜であり、実施例11や実施例32とは異なった。
得られた耐熱遮光フィルムに対して、130℃で24時間の耐熱性試験を実施したが、反りや反射率の変化による色味変化は生じてしまい、膜剥がれも顕著であった。
80℃で24時間、または、100℃で24時間の耐熱性試験を行っても同じであった。よって、このような耐熱遮光フィルムは、130℃以下の比較的低温で利用されるデジタルスチルカメラなどの固定絞りなどの光学部材としても利用できない。
(比較例21)
遮光膜のスパッタガス圧を1.5Paに変えた以外は実施例11と同じ条件で実施例1の構造の耐熱遮光フィルムを作製した。ポリイミドの種類、厚み、表面粗さ、炭化タングステン膜の膜厚は実施例11と同じである。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1に記した。
実施例1と同様に炭化チタン膜のスパッタリング時の、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると185〜195℃の温度となり、実施例11と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。膜中の炭素量、酸素量は実施例11と同じであった。しかし、遮光膜のX線回折測定では回折ピークが観察されず非晶質構造であることがわかった。
250℃で24時間加熱試験後の膜を評価すると、反りはなかったが膜剥がれが生じ、反射率の変化による色味変化も顕著であった。膜の断面をTEMで観察すると、遮光膜の表面とポリイミド側の膜は酸化していた。このことにより膜の密着性の低下や色味変化が生じたものと思われる。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高温度環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができない。
Figure 2008281977
Figure 2008281977
本発明の基材片面に金属炭化物膜を形成した耐熱遮光フィルムの断面図である。 本発明の基材両面に金属炭化物膜を形成した耐熱遮光フィルムの断面図である。 本発明の耐熱遮光フィルムを製造するのに用いる巻き取り式の基材冷却式スパッタリング装置の一例を示す模式図である。 本発明の耐熱遮光フィルムを製造するのに用いる巻き取り式のスパッタリング装置(フローティング法)の一例を示す模式図である。 本発明の耐熱遮光フィルムを使用した絞り機構の模式図である。 本発明の方法で製造した耐熱遮光フィルムの遮光膜(炭化チタン膜)のX線回折パターンである。 本発明の方法で製造した耐熱遮光フィルムの遮光膜(炭化タングステン膜)のX線回折パターンである。
符号の説明
1 樹脂フィルム基材
2 金属炭化物膜
5 巻き出しロール
6 真空ポンプ
7 真空槽
8 冷却キャンロール
9 巻き取りロール
10 マグネトロンカソード
11 ターゲット
12 隔壁
13 支持ロール
14 耐熱遮光羽根
15 ガイド孔
16 ガイドピン
17 ピン
18 基板
19 孔
20 開口部

Claims (20)

  1. 155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として結晶性の金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムであって、
    遮光膜(B)は、厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルム。
  2. 樹脂フィルム基材(A)が、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アラミド、ポリフェニレンサルファド、又はポリエーテルサルフォンから選ばれた1種類以上で構成されていることを特徴とした請求項1に記載の耐熱遮光フィルム。
  3. 樹脂フィルム基材(A)の耐熱性が、200℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱遮光フィルム。
  4. 樹脂フィルム基材(A)の厚さが、5〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  5. 樹脂フィルム基材(A)の表面粗さが、0.2〜2.2μm(算術平均高さRa)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  6. 遮光膜(B)の膜厚が110〜550nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  7. 金属炭化物膜(MeC)が、炭化シリコン、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化二オブ、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ジルコニウム、又は炭化ハフニウムから選ばれた1種類以上の材料を主成分とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  8. 金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.5以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  9. 金属炭化物膜(MeC)中の含有酸素量(O)が、全金属元素(Me)に対する酸素元素(O)の原子数比(O/Me)として、0.5以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  10. 遮光膜(B)の波長380〜780nmにおける光反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  11. 遮光性の指標である光学濃度が、波長380〜780nmにおいて4以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  12. 樹脂フィルム基材(A)の両面に、組成と膜厚が同じ金属炭化物膜(MeC)が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
  13. 155℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面に、遮光膜(B)として金属炭化物膜(MeC)が形成されている耐熱遮光フィルムの製造方法であって、
    表面粗さが0.2〜2.2μm(算術平均高さRa)の樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、金属炭化物ターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気下でスパッタリング法により、該樹脂フィルム基材(A)上に厚さが100nm以上、表面粗さが0.1〜2.1μm(算術平均高さRa)であり、かつ金属炭化物膜(MeC)中の炭素元素(C)が、全金属元素(Me)に対する原子数比(C/Me)として、0.3以上である結晶性の金属炭化物膜(MeC)を形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  14. 金属炭化物膜(MeC)が形成された耐熱遮光フィルムを、さらに、スパッタリング装置に供給し、スパッタリングによって樹脂フィルム基材(A)の金属炭化物膜(MeC)が形成されていないもう一方の面に金属炭化物膜(MeC)を形成することを特徴とする請求項13に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  15. 遮光膜(B)を成膜する時のスパッタリングガス圧が0.2〜1.0Paであることを特徴とする請求項13又は14に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  16. 遮光膜(B)を成膜する時の樹脂フィルム基材(A)の表面温度が、180℃以上であることを特徴とする請求項13〜15に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  17. 樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされ、巻き出し部から巻き取り部に、巻き取られる時に、スパッタリング法で成膜されることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  18. 樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされ、巻き出し部から巻き取り部に搬送される時に、スパッタリング法で成膜され、成膜中の樹脂フィルム基材(A)が冷却されず、成膜室内でフローティングの状態で成膜されることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
  19. 請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムを加工して得られた耐熱性に優れた絞り。
  20. 請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムを用いた光量調整装置。
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