JP2008268864A - 電子写真機器用導電性ロール - Google Patents

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秀一 江川
Shoji Arimura
昭二 有村
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泰秀 渡邊
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Abstract

【課題】表層の塗工シワの発生を抑えるとともに、耐久性に優れる電子写真機器用導電性ロールを提供すること。
【解決手段】導電性シャフト12の外周面に弾性層14が形成され、弾性層14の外周面に、メラミン樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を含有する樹脂組成物よりなる表層16が形成され、その表層16中に微粒子20aが含有されている電子写真機器用導電性ロール10aとする。微粒子20aは、略球状に形成され、ゴム状ポリマーよりなる内層22と、内層22を覆うガラス状ポリマーよりなる外層24とを備える二層構造を有している。微粒子20aは、上記樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜70重量部含有されていることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真機器用導電性ロールに関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が広く使用されるようになってきている。通常、電子写真機器の内部には、感光ドラムが組み込まれており、その周囲には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールが配設されている。
この種の電子写真機器では、プリント画像の高画質化の要求に伴い、トナー帯電性を十分に確保することが求められている。そのため、例えば、導電性ロール表面の改良を図ることによって、トナー帯電性を向上させる試みがなされている。
導電性ロール表面の改良によりトナー帯電性を向上させる方法としては、例えば、導電性ロールの表層材料に配合する荷電制御材の種類や配合量などを調整する方法や、導電性ロールの表層を形成する樹脂の種類を変更する方法などが一般的である。このうち、樹脂の種類を変更する方法は、比較的簡便で帯電性向上効果が高いことから良く用いられている。
最近、この種の電子写真機器では、接触現像方式が主流になってきている。接触現像方式では、層形成ブレードを用いて、現像ロールの表面にトナー層を形成し、このロール表面を、感光ドラム表面に直接接触させ、または、非接触状態にして、感光ドラム表面の潜像にトナーを付着させている。接触現像方式においては、非磁性一成分トナー(負帯電性トナー)が良く用いられる。
負帯電性トナーの帯電性を向上させるためには、通常、導電性ロールの表層を形成する樹脂に、メラミン樹脂やアクリル樹脂などの樹脂が用いられる。
例えば、現像ロールに関する文献であるが、特許文献1には、メラミン樹脂を含有する材料よりなる表層を有する現像ロールについて開示されている。
特開2001−34060号公報
しかしながら、メラミン樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を用いると、導電性ロールの表層は硬度が高くなる。そのため、ロール表面と接触する相手部材やトナーのストレスの原因となり、耐久時の画像が悪化して、耐久性が低下するという問題があった。
また、メラミン樹脂やアクリル樹脂などの樹脂で形成された高硬度の表層は、表層の下層に位置する低硬度の弾性層との間で、弾性率などの物性差が大きくなる。そのため、塗工により表層を厚く形成すると、表層に塗工シワが発生しやすくなるという問題があった。導電性ロールの表層に塗工シワが発生すると、画像が悪化する。
一方、導電性ロールの表層に塗工シワが発生するのを防止するために、塗工により表層を薄く形成すると、今度は表層が削れてしまい、耐久性が低下するという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、塗工シワの発生を抑えるとともに、耐久性に優れる電子写真機器用導電性ロールを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用導電性ロールは、軸体の外周に、少なくとも、弾性層と、樹脂組成物よりなる表層とが順に積層され、前記表層中には、多層構造を有する微粒子が含有され、前記微粒子は、多層構造の内層に位置する少なくとも1層がゴム状ポリマーよりなり、多層構造の外層はガラス状ポリマーよりなることを要旨とする。
この場合、前記微粒子は、前記樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜70重量部含有されていることが望ましい。
前記ガラス状ポリマーは、ガラス転移点が60℃以上であると良い。
また、前記微粒子に占める前記ゴム状ポリマーよりなる内層の割合は、40〜90重量%の範囲内にあることが望ましい。
前記微粒子の平均粒径は、0.1〜1μmの範囲内にあると良い。
このとき、前記表層は、メラミン樹脂および/またはアクリル樹脂を含有する樹脂組成物よりなると良い。
前記表層の厚みは、3〜10μmの範囲内にあることが望ましい。
本発明に係る電子写真機器用導電性ロールは、樹脂組成物よりなる表層を備え、その表層中には、多層構造を有する微粒子が配合されている。この多層構造の外層はガラス状ポリマーよりなるため、微粒子同士の凝集が抑えられ、表層中に微粒子が分散性良く配合される。そして、多層構造の内層に位置する少なくとも1層がゴム状ポリマーよりなるため、トナー帯電性を十分に確保するために導電性ロールの表層が比較的硬い樹脂を含んでいる場合であっても、表層に配合された微粒子が表層の硬度を和らげて硬度を低くする。これにより、ロール表面と接触する相手部材やトナーのストレスは低減され、ロール表面へのトナー融着が抑えられて耐久時の画像は良好になり、耐久性に優れる。
また、表層の硬度が低くなると、表層と表層の下層に位置する低硬度の弾性層との間で、弾性率などの物性差が小さくなる。そのため、塗工により表層を厚く形成したときに、表層に塗工シワが発生するのを抑えることができる。これにより、塗工シワに起因する画像の悪化を防止することができる。
さらに、塗工により表層を厚く形成しても塗工シワが発生しにくいので、塗工により表層を厚く形成することができる。これにより、表層は削れにくくなり、耐久性に優れる。
この場合、前記微粒子が、前記樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜70重量部含有されていると、上記効果と、トナー帯電性に優れる効果とのバランスが良い。
また、前記ガラス状ポリマーのガラス転移点が60℃以上であると、微粒子は、表層を形成する樹脂との相溶性に優れる。これにより、表層への微粒子の分散性が高まる。さらに、表層の耐ヘタリ性が向上する。
また、前記微粒子に占める前記ゴム状ポリマーよりなる内層の割合が、40〜90重量%の範囲内にあると、表層の硬度を低くする効果に優れる。
そして、前記微粒子の平均粒径が、0.1〜1μmの範囲内にあると、表層に配合される微粒子が表面粗さに与える影響は少ない。そのため、あらかじめ設計された表面粗さが微粒子の配合により変更されるおそれは少ない。
このとき、前記表層が、メラミン樹脂および/またはアクリル樹脂を含有する樹脂組成物よりなると、トナー帯電性に優れる。
さらに、前記表層の厚みが、3〜10μmの範囲内にあると、表層は削れにくくなり、耐久性に優れる。
次に、本発明の実施形態に係る電子写真機器用導電性ロール(以下、導電性ロールということがある。)について、図を参照しつつ、詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る導電性ロールを表す周方向断面図である。
図1(a)に示すように、一実施形態に係る導電性ロール10aは、軸体を形成する導電性シャフト12の外周面に沿って弾性層14が形成され、その外周面に表層16が形成されてなる。導電性ロール10aは、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に組み込まれる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールであり、電子写真機器の内部に組み込まれる感光ドラムの周囲に配設される。
導電性シャフト12は、アルミニウム、ステンレス等の金属製の中実体よりなる芯金、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体、またはこれらにめっきが施されたものなどが挙げられる。必要に応じて、導電性シャフト12の外周面に、接着剤やプライマーなどを塗布して、接着層を形成しても良い。接着剤やプライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
導電性シャフト12の外周面に形成される弾性層14の形成材料としては、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム(ECO、CO)、ウレタン系エラストマー、天然ゴム(NR)などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
上記ポリマーとしては、低へたり性、導電性、柔軟性などの観点から、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、ウレタン系エラストマーなどが好ましい。
弾性層14の形成材料には、必要に応じて、導電剤、充填剤、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤が適宜添加される。導電剤としては、カーボンブラックなどの電子導電剤や第4級アンモニウム塩などのイオン導電剤など、一般的な導電剤を用いることができる。
弾性層14は、発泡体であっても良いし、非発泡体であっても良い。弾性層14の厚みは、0.1〜10mmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、1〜5mmの範囲内にすると良い。
弾性層14の外周面に形成される表層16は、ロール表面を保護する。表層16は、塗工層であると良い。
表層16は、樹脂組成物よりなる。樹脂組成物中には、バインダー樹脂や、イソシアネート、ジイソシアネートなどのポリマー成分が含有されている。樹脂組成物中には、ポリマー成分以外にも、各種添加剤が含有されていても良い。
樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイド(変性ポリフェニレンエーテル)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリルエーテルニトリルなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。これらのうち、負帯電性トナーの帯電性に優れる、耐摩耗性に優れるなどの観点から、メラミン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを好適に用いることができる。
トナー帯電性、耐摩耗性などの観点から、表層16がメラミン樹脂やアクリル樹脂などの比較的硬い樹脂を含んでいる場合、表層16の硬度は高くなりやすい。表層16の硬度が高いと、ロール表面の硬度が高くなり、ロール表面と接触する相手部材やトナーのストレスの原因となりやすい。
そこで、本発明においては、表層16の樹脂組成物中に、多層構造を有する微粒子が含有されている。表層16にこの微粒子が含有されていることで、表層16が比較的硬い樹脂を含んでいる場合にも、表層16の硬度が和らいで硬度が低くなる。すなわち、導電性ロール10aでは、トナー帯電性と耐久性とを両立させることができる。
また、表層16の硬度が低くなると、表層16と、表層16の下層に位置する低硬度の弾性層14との間で、弾性率などの物性差が小さくなる。表層16と弾性層14との物性差が小さくなると、塗工により表層16を比較的厚く形成したときにも、塗工シワが発生しにくくなる。また、塗工シワが発生しにくくなれば、表層16を比較的厚く形成できるので、耐摩耗性にも優れる。耐摩耗性に優れると、ロールの耐久性がさらに向上する。
そして、このように表層16の硬度を低くすると、ロール表面の硬度を低下させることができる。そうすると、接地部分の線圧を低くすることができるため、ロール表面と接触する相手部材やトナーのストレスが低減され、ロール表面へのトナー融着が抑えられる。これにより、ロールの耐久性を向上させることができる。なお、例えば粗さ形成粒子を配合するなどの方法によりロール表面を粗くすることによってもトナー融着の発生を低減させることができる。
このような微粒子としては、例えば、微粒子20aを示すことができる。図2(a)に示すように、微粒子20aは、略球状に形成され、ゴム状ポリマーよりなる内層22と、内層22を覆うガラス状ポリマーよりなる外層24とを備える二層構造を有している。微粒子20aは、内層22がコア層となり、外層24がシェル層となる、いわゆるコア・シェル構造よりなる。
内層22は、ゴム状ポリマーよりなるため、柔軟性を有しており、微粒子20a全体を柔軟性に優れる粒子にする。表層16を形成する樹脂組成物にこの微粒子20aを配合すれば、表層16の硬度を低くすることができる。この観点から、微粒子20aに占める内層22の割合は、40〜90重量%の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、60〜90重量%の範囲内である。また、ゴム状ポリマーとしての柔軟性を備えるという観点から、内層22を形成するゴム状ポリマーのガラス転移点は、室温以下であることが好ましい。
内層22のゴム状ポリマーを形成するモノマーとしては、例えば、共役ジエンまたはアルキル基の炭素数が2〜8であるアルキルアクリレートまたはこれらの混合物が好ましい。共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを例示することができる。また、アルキルアクリレートとしては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどを例示することができる。これらのうち、ブタジエン、ブチルアクリレートなどがより好ましい。
上記共役ジエン、アルキルアクリレートまたはこれらの混合物とともに、共重合可能なモノマーを共重合させることができる。例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのモノマーや、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を有するモノマー、ジビニル化合物やジ(メタ)アクリレートなどの架橋モノマーなどを共重合させることができる。
内層22のゴム状ポリマーとしては、例えば、アクリルゴムやその共重合ポリマーなどが好適である。
内層22を覆っている外層24は、ガラス状ポリマーよりなる。すなわち、微粒子20aの表面は、ガラス状ポリマーよりなる。微粒子20aは、ガラス状ポリマーで覆われているので、表層16を形成する塗工液に微粒子20aを配合したときに、微粒子同士の凝集が抑えられる。仮に、微粒子20aの表面がゴム状ポリマーよりなると、微粒子同士が凝集しやすく、塗工液への分散性は悪くなる。微粒子同士の凝集が抑えられると、塗工液への分散性は良くなり、表層16を形成する樹脂組成物中に微粒子20aを高分散させることができる。
また、表層16を形成する樹脂組成物中への微粒子20aの分散性をさらに高めるためには、微粒子20aが、表層16を形成する樹脂と相溶性に優れていると良い。この観点から、外層24を形成するガラス状ポリマーのガラス転移点は、60℃以上であることが好ましい。また、外層24を形成するガラス状ポリマーのガラス転移点が60℃以上であると、表層16の耐ヘタリ性も向上する。
ガラス転移点は、JIS C 6481に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて測定される。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、例えば、TAインストルメンツ製のM−DSCなどが挙げられる。
外層24のガラス状ポリマーを形成するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレートまたはスチレンと、これらと共重合可能なモノマーを好適に用いることができる。メチルメタクリレートまたはスチレンと共重合可能なモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アクリロニトリルなどのモノマーを例示することができる。共重合可能なモノマーとしては、エチルアクリレート、アクリロニトリルなどがより好ましい。
また、共重合可能なモノマーとして、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を有するモノマー、ジビニル化合物やジ(メタ)アクリレート化合物などの架橋モノマーなどを共重合させることができる。官能基を有するモノマーを共重合させれば、表層16を形成する樹脂との相溶性をさらに高めることができる。
外層24のガラス状ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル−スチレンポリマー、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ポリマー、水酸基含有ポリマーなどが好適である。
微粒子20aに占める外層24の割合は、特に限定されるものではないが、60〜10重量%の範囲内にあることが好ましい。外層24の割合が高くなりすぎると、微粒子20aの柔軟性は低下しやすくなる。外層24は、微粒子20aの凝集を抑える程度に、比較的薄く形成されていることが好ましい。
微粒子20aを形成するには、例えば、多段階のシード乳化重合法を用いると良い。まず、乳化重合によって種粒子を調製し、次いで、種粒子を肥大化するシード重合により内層22を形成し、さらにこの粒子を核とするシード重合により外層24を形成する。なお、3層以上の多層構造を有する場合、シード重合を繰り返すことにより形成することができる。
重合開始剤には、過硫酸塩系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、有機過酸化物系重合開始剤など、一般的な重合開始剤を用いることができる。このとき、界面活性剤を併用しても良い。
この微粒子20aの含有量は、表層18を形成する樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して、5〜70重量部の範囲内にあることが好ましい。5重量部未満では、表層18に塗工シワが発生するのを抑える効果が低下しやすい。一方、70重量部を超えると、トナー帯電性を向上させる効果が低下しやすい。上記特定範囲内にあれば、これらの効果のバランスに優れる。また、10〜60重量部の範囲内にあれば、一層優れる。さらに、20〜50重量部の範囲内にあれば、より一層優れる。
微粒子20aの平均粒径は、0.1〜1μmの範囲内にあることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満では、粒子が細かすぎて、扱いにくく、平均粒径が1μmを超えると、表面粗さに与える影響が大きくなりやすい。仮に、表層16に配合される微粒子20aが表面粗さに大きく影響すると、粗さ形成用粒子の配合などによりあらかじめ設計されている表面粗さが変更されやすい。平均粒径が上記特定範囲内にあれば、粒子の取り扱いも容易になり、表層に配合される微粒子が表面粗さに与える影響は少ない。より好ましくは、微粒子20aの平均粒径が0.1〜0.8μmの範囲内にあると良い。
平均粒径は、粒度測定器により測定することができる。粒度測定器としては、例えば、日機装(株)製のマイクロトラックUPA−ST150などが挙げられる。
表層16に含有される微粒子は、微粒子20aに限定されるものではない。例えば、図2(b)に示すように、略球状に形成され、ガラス状ポリマーよりなる内層26と、内層26を覆うゴム状ポリマーよりなる内層22と、内層22を覆うガラス状ポリマーよりなる外層24とを備える三層構造を有している微粒子20bであっても良い。内層26と外層24は、ともにガラス状ポリマーよりなるが、これらは同じ材料で形成されていても良いし、異なる材料で形成されていても良い。
また、微粒子20aにおいて、内層22と外層24との間に、他の層を1層または2層以上備えていても良い。また、微粒子20bにおいて、内層22と外層24との間、内層26と内層22との間、内層26の内層などに、他の層を1層または2層以上備えていても良い。他の層は、ゴム状ポリマーよりなる層であっても良いし、ガラス状ポリマーよりなる層であっても良い。
表層16に含有される微粒子は、微粒子20aのみ、微粒子20bのみ、または、微粒子20aまたは微粒子20bにおいて他の層を備える微粒子のみであっても良いし、これらの1種または2種以上の混合物であっても良い。
微粒子の具体例としては、例えば市販のものでは、ガンツ化成(株)製のスタフィロイドAC3355、スタフィロイドAC3816、スタフィロイドAC3832、スタフィロイドAC4030、スタフィロイドAC3364、スタフィロイドIM101、スタフィロイドIM203、スタフィロイドIM301、スタフィロイドIM401、スタフィロイドIM601、ガンツパールGBM55、ガンツパールGM1005Hなどを例示することができる。
微粒子を含有することにより、表層16の表面硬度は、40〜90N/mmの範囲内になることが好ましい。微粒子を含有しない場合には、表層の表面硬度は100N/mm程度になる。
表層16の表面硬度は、PETフィルム上に30μm厚で表層材料をシーティング(バーコートにて膜形成)し、微小硬度計(フィッシャーマイクロスコープHS100)を用い、ビッカース圧子にて押し込み荷重5mNで測定されたマルテンス硬さ(任意の3箇所を測定した平均値)により表される。
このような微粒子を含有している表層16には、微粒子以外にも、必要に応じて、導電剤(電子導電剤および/またはイオン導電剤)、粗さ形成剤(粗さ形成粒子など)、可塑剤、レベリング剤などの各種添加剤が1種または2種以上含まれていても良い。
粗さ形成粒子は、表層16に添加されると、ロール表面の粗さを形成する。平均粒径は、例えば、現像ロールにおいて、トナー帯電性やトナー搬送性などに優れる観点から、1〜50μmの範囲内にあることが好ましい。粗さ形成粒子の形成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。これらは、1種または2種以上併用することができる。なかでも、現像ロールにおいて、トナーの高帯電化が可能なシリカを好適に用いることができる。
粗さ形成粒子の配合量は、例えば、現像ロールにおいて、トナー帯電性やトナー搬送性などに優れる観点から、表層16を形成する樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜50重量部とすることが好ましい。
なお、ロール表面の粗さを形成するには、粗さ形成粒子を添加する方法以外にも、例えば、微細な凹凸形状を有する金型を用い、ロール表面に凹凸形状を転写する方法などを用いても良い。
表層16の形成材料は、表層16を形成する上記樹脂などの各成分を有機溶剤等に溶解、懸濁などさせた塗工液とすることが好ましい。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは1種または2種以上併用することができる。特に、上記樹脂などの各成分の溶解性などの観点で、MEKが好ましい。塗工液の濃度は、塗工性などの観点で、5〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
表層16は、3〜10μmの厚さに形成されることが好ましい。表層16の厚みが3μm未満になると、耐摩耗性やトナー帯電性などの向上効果が低下しやすい。また、表層16の厚みが10μmを超えると、塗工を繰返し行なう回数が多くなり、工程が煩雑になりやすい。
本発明に係る導電性ロールは、導電性ロール10aに限定されるものではない。例えば、図1(b)に示すように、弾性層14と表層16との間に、薄い中間層18を形成したものであっても良い。導電性ロール10bにおいては、表層16中に微粒子20a、20bなどが含有されている必要がある。
中間層18の形成材料としては、例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの樹脂、ニトリルゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴムなどのゴム、これら樹脂やゴムをシリコーン、フッ素などで変性した変性物などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。中間層を形成するポリマーは、表層を形成するポリマーと同じであっても良いし、異なっていても良い。
中間層18は、導電剤(電子導電剤および/またはイオン導電剤)を含有していると良い。また、必要に応じて、粗さ形成剤(粗さ形成粒子)、可塑剤、レベリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上適宜含有していても良い。導電性ロール10bが粗さ形成粒子を含む場合、粗さ形成粒子は、表層16および中間層18のいずれに含有されていても良い。中間層18は、3〜20μmの厚さに形成されることが好ましい。
次に、本発明に係る導電性ロールの製造方法の一例について説明する。
まず、弾性層14を形成する各成分をニーダー等の混練機で混練し、弾性層14形成材料を調製する。また、表層16を形成する各成分を有機溶剤に溶解し、ホモジナイザーなどで分散させて、表層16形成材料(塗工液)を調製する。
次いで、円筒状金型の中空部に導電性シャフト12をセットし、円筒状金型と導電性シャフト12との空隙部に、弾性層14形成材料を注型した後、金型に蓋をし、加熱して、弾性層14形成材料を架橋させる。その後、上記円筒状金型から脱型することにより、導電性シャフト12の外周面に弾性層14が形成される。
次いで、弾性層14の外周面に、表層16を形成する塗工液を塗工する。塗工方法は、特に制限されるものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法などの一般的な方法を適用することができる。塗工後、乾燥、加熱架橋処理して、表層16を形成する。このようにして、導電性ロール10aを作製することができる。
導電性ロール10bを作製する場合には、上記弾性層14を形成後、上記表層16を形成する方法に準じて、中間層18を形成した後、中間層18の外周面に表層16を形成すれば良い。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、以下では、本発明を現像ロール、帯電ロールに適用した場合について例示する。ここでは、導電性シャフトの外周に、弾性層、中間層、被膜状の表層をこの順に積層した現像ロールと、導電性シャフトの外周に、弾性層、被膜状の表層をこの順に積層した現像ロールを作製した。また、導電性シャフトの外周に、弾性層、中間層、被膜状の表層をこの順に積層した帯電ロールを作製した。
(現像ロール)
(実施例1G)
<導電性シャフト>
外径6mm、長さ250mmの鉄製で、表面にNiめっきが施されている中実円柱状の導電性シャフトを準備した。
<弾性層組成物の調製>
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X34−270A/B」)をスタティックミキサにて混合し、弾性層組成物<1>を調製した。
<中間層組成物の調製>
架橋系ウレタン樹脂(三菱化学(株)製、「PTMG1000」を100重量部、日本ポリウレタン(株)製、「ミリオネートMT」を50重量部)と、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、「デンカブラックHS−100」)10重量部と、ウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径15μm、根上工業製、「C400」)30重量部とをボールミルにより混練した後、MEK400重量部を加えて混合、攪拌することにより、中間層組成物<1>を調製した。
<表層塗工液の調製>
メラミン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、「スーパーベッカミンL−145」)65重量部と、ジイソシアネート(大日本インキ化学工業(株)製、「バーノックDN955」)35重量部と、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、「デンカブラックHS−100」)10重量部とをボールミルにより混練した後、微粒子<1>(ガンツ化成(株)製、「スタフィロイドIM−601」、平均粒径0.3μm)10重量部とMEK400重量部とを加えて、ホモジナイザーで撹拌(10000rpm×10min.)して、表層塗工液<1>を調製した。
<現像ロールの作製>
その内部に導電性シャフトを同軸にセットした円筒状金型内に、弾性層組成物<1>を注入し、190℃で30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性シャフトの外周に厚さ3mmの弾性層を有するロール体を作製した。次いで、このロール体の表面に、中間層組成物<1>を、ロールコーティング法により塗工した後、乾燥(硬化)させ、厚さ5μmの中間層を形成した。次いで、この中間層の表面に、表層塗工液<1>を、ロールコーティング法により塗工した後、乾燥(硬化)させ、厚さ7μmの表層を形成した。以上のようにして、実施例1Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例2G〜6G)
実施例1Gの表層塗工液の調製において、微粒子<1>の配合量を表1の配合量とした点以外は、実施例1Gと同様にして、実施例2G〜6Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例7G)
実施例1Gの表層塗工液の調製において、さらに、ウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径15μm、根上工業(株)製、「C400」)30重量部を配合し、実施例1Gにおいて、中間層を形成しないでロール体の表面に表層を形成した点以外は、実施例1Gと同様にして、実施例7Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例1G)
実施例1Gの表層塗工液の調製において、微粒子<1>を配合しなかった点以外は、実施例1Gと同様にして、比較例1Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例2G)
<表層塗工液の調製>
メラミン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、「スーパーベッカミンL−145」)35重量部と、シリコーン変性アクリル樹脂45重量部と、ジイソシアネート(大日本インキ化学工業(株)製、「バーノックDN955」)20重量部と、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、「デンカブラックHS−100」)10重量部とをボールミルにより混練した後、MEK400重量部を加え、混合撹拌して、表層塗工液<3>を調製した。
なお、上記シリコーン変性アクリル樹脂には、下記の式(1)で表される繰返し単位から構成された、Tg=−20℃のジメチルシリコーン変性アクリル樹脂(変性率:50重量%)を用いた。
<現像ロールの作製>
実施例1Gにおいて、表層塗工液<1>に代えて表層塗工液<3>を塗工して厚さ4μmの表層を形成した点以外は、実施例1Gと同様にして、比較例2Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例3G)
実施例1Gの表層塗工液の調製において、微粒子<1>に代えて微粒子<3>(シリコーンパウダー、信越化学工業(株)製、「X−52−7030」、平均粒径0.8μm)30重量部を配合した点以外は、実施例1Gと同様にして、比較例3Gに係る現像ロールを作製した。
<各現像ロールの評価>
実施例および比較例に係る各現像ロールについて、塗工性、耐摩耗性を評価した。また、各現像ロールをプリンターに組み込んで、初期と耐久後のトナー帯電量をそれぞれ測定し、初期のトナー帯電量と、帯電量低下率の観点から、製品評価をした。
(塗工性)
各現像ロール表面を光学顕微鏡((株)ナカデン製、マイクロスコープMx−1200E)で観察し、塗工シワが発生しているか確認した。さらに、各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下で、ハーフトーン画像出し(1枚)を行ない、画像評価をした。ロール表面に塗工シワが発生せず、ハーフトーン画像での濃度むらがなく、細線のとぎれや色むら、スジ画像がなかったものを「◎」とし、ロール表面に塗工シワが発生しているが、画像に影響しない程度であったものを「○」とし、ロール表面に塗工シワが発生し、濃度むらが生じたものを「×」とした。
(耐久性)
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、32.5℃×80%RHの環境下で、画像出しを通紙1000枚(A4サイズ)行ない、その後のロール外観を上記光学顕微鏡で拡大して観察した。中間層または表層に粗さ形成用粒子が存在する粒子トップ部の削れやクラックの発生がなく、画像の乱れがなかった場合を合格「○」とし、粒子トップ部の削れやクラックが発生しており、画像に乱れが生じた場合を不合格「×」とした。
(トナー帯電量および帯電量低下率)
いわゆる吸引式ファラデーゲージ法を用いて、トナー帯電量の測定を行なった。すなわち、各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下でベタ黒画像出し中にプリンターを停止する。
次いで、図5に示す吸引式の静電電荷量測定装置30の吸引口32を現像ロールに押し当てながら、現像前の現像ロール上にあるトナーを吸引し、内筒34内のフィルタ36にトナーを回収する。内筒34は、外部から静電的にシールドされている。
接続されたエレクトロメータ38(KEITHLEY社製、「6517A」)で、フィルタ36に蓄積されたトナーの電荷量Q(−μC)を測定する。また、フィルタ36の重量増加分より、吸引されたトナーの重量M(g)を算出する。これらの値を基に、トナーの比電荷Q/M(−μC/g)を算出し、トナーの比電荷を、トナー帯電量(−μC/g)とした。
初期のトナー帯電量は、最初のベタ白画像出しにおけるトナー帯電量とし、耐久後のトナー帯電量は、ベタ白画像出し3000回実施後のトナー帯電量とした。帯電量低下率は、初期のトナー帯電量に対する耐久後のトナー帯電量(%)で表されている。初期のトナー帯電量(−μC/g)は、40以上を「◎」、30以上40未満を「○」、30未満を「×」とした。帯電量低下率(%)は、85以上を「◎」、80以上85未満を「○」、80未満を「×」とした。
表1に、各現像ロールの配合組成、評価結果をまとめたものを示す。また、一例として、図3、4に、実施例3および比較例1に係る現像ロール表面をそれぞれ上記光学顕微鏡で撮影して得られた画像を示す。
表1によれば、各比較例に係る現像ロールは、塗工性、耐久性のいずれかに劣っていることが分かる。
表層に微粒子<1>を配合しなかった比較例1Gに係る現像ロールは、図4に示すように、ロール表面に塗工シワが発生し、画像に濃度むらが生じた。また、耐久試験で表層にクラックが発生した。
表層に微粒子<1>を配合せず、表層の厚みを4μmに薄くした比較例2Gに係る現像ロールは、ロール表面に塗工シワは発生しなかったが、耐久試験で、中間層に粗さ形成用粒子が存在する表層トップ部の削れが顕著であった。
微粒子<1>に代えて微粒子<3>を表層塗工液に配合した比較例3Gでは、微粒子<3>の分散性が悪く塊状になり、表層を塗工することができなかった。
これに対し、表層に微粒子<1>を配合した各実施例に係る現像ロールは、塗工性および耐久性に優れることを確認できた。
一例として、図3に、実施例3Gに係る現像ロール表面の撮影画像を示している。このように、各実施例に係る現像ロール表面には、塗工シワが発生していないか、発生していても画像に影響しない程度であり、塗工性に優れている。そして、塗工シワが発生しにくいので、表層を厚く形成することができ、耐久性にも優れている。すなわち、各実施例に係る現像ロールによれば、塗工シワの発生が抑えられ、耐久性に優れることを確認できた。
なお、実施例7Gは、弾性層の外周面に中間層を備えていないため、表層に粗さ形成粒子を配合しているが、実施例1G〜6Gと同様に、塗工性および耐久性に優れている。
さらに、各実施例に係る現像ロールをプリンターに組み込んで、製品評価をしたところ、初期のトナー帯電量および帯電量低下率に優れており、製品性能にも問題がないことを確認できた。
(帯電ロール)
(実施例1T)
<導電性シャフト>
外径6mm、長さ252.5mmの鉄製で、表面にNiめっきが施されている中実円柱状の導電性シャフトを準備した。
<弾性層組成物の調製>
EPDM(三井化学(株)製、「EPT4045」)100重量部と、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC)20重量部と、酸化亜鉛5重量部と、ステアリン酸1重量部と、プロセスオイル(出光化学製、「ダイアナプロセスPW380」)30重量部と、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(発泡剤)15重量部と、硫黄1重量部と、ジベンゾチアゾールジスルフィド(架橋促進剤)2重量部と、テトラメチルチウラムモノサルファイド(架橋促進剤)1重量部とを配合し、弾性層組成物<2>を調製した。
<中間層組成物の調製>
ヒドリンゴム(ダイソー製、「エピクロマーCG102」)100重量部と、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート1重量部と、シリカ(日本シリカ工業製、「Nipsil ER」)10重量部と、酸化亜鉛(三井金属工業製)5重量部と、ステアリン酸(花王製、「ルナックS−30」)1重量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業製、「ノクセラーDM」)0.5重量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業製、「ノクセラーTT」)0.5重量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業製、「ノクセラーTRA」)0.5重量部とを配合し、ロールを用いて混練することにより、中間層組成物<2>を調製した。
<表層塗工液の調製>
フッ素化オレフィン系樹脂(アトフィナジャパン製、「カイナーSL」)100重量部と、導電性酸化チタン(石原テクノ製、「タイペークET−300W」)100重量部とをMEK200重量部に加えこれらをサンドミルで分散させた後、微粒子<1>(ガンツ化成(株)製、「スタフィロイドIM−601」、平均粒径0.3μm)10重量部を加えてホモジナイザーで撹拌(10000rpm、10min.)し、表層塗工液<2>を調製した。
<帯電ロールの作製>
導電性シャフトの外周に接着剤を塗布した後、押出機を用いてこの表面に弾性層組成物<2>および中間層組成物<2>を共押出成形した。次いで、これを金型内で同時架橋・発泡させた。これにより、導電性シャフトの外周に弾性層(厚み2.5mm)が形成され、弾性層の外周に中間層(厚み0.5mm)が形成されたロール体を作製した。次いで、このロール体の表面に表層塗工液<2>をロールコーティング法により塗工し、乾燥させた後、150℃×60分の条件で加熱架橋を行なって、厚さ10μmの表層を形成した。以上のようにして、実施例1Tに係る帯電ロールを作製した。
(実施例2T〜6T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>の配合量を表2の配合量とした点以外は、実施例1Tと同様にして、実施例2T〜6Tに係る帯電ロールを作製した。
(実施例7T〜8T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、さらに、ウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径6μm、根上工業(株)製、「C800」)20重量部を配合し、微粒子<1>の配合量を表2の配合量とした点以外は、実施例1Tと同様にして、実施例7T〜8Tに係る帯電ロールを作製した。
(実施例9T〜14T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>に代えて微粒子<2>(ガンツ化成(株)製、「スタフィロイドAC−3355」)、平均粒径0.5μm)を表2の配合量で配合した点以外は、実施例1Tと同様にして、実施例9T〜14Tに係る帯電ロールを作製した。
(実施例15T〜16T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>に代えて微粒子<2>を表2の配合量で配合し、さらに、ウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径6μm、根上工業(株)製、「C800」)20重量部を配合した点以外は、実施例1Tと同様にして、実施例15T〜16Tに係る帯電ロールを作製した。
(比較例1T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>を配合しなかった点以外は、実施例1Tと同様にして、比較例1Tに係る帯電ロールを作製した。
(比較例2T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>を配合しなかった点およびウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径6μm、根上工業(株)製、「C800」)20重量部を配合した点以外は、実施例1Tと同様にして、比較例2Tに係る帯電ロールを作製した。
(比較例3T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>を配合しなかった点および表2に示す表層の厚みとした点以外は、実施例1Tと同様にして、比較例3Tに係る帯電ロールを作製した。
(比較例4T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>を配合しなかった点、ウレタン粒子(粗さ形成粒子、平均粒径6μm、根上工業(株)製、「C800」)20重量部を配合した点、および、表2に示す表層の厚みとした点以外は、実施例1Tと同様にして、比較例4Tに係る帯電ロールを作製した。
(比較例5T)
実施例1Tの表層塗工液の調製において、微粒子<1>に代えて微粒子<3>(シリコーンパウダー、信越化学工業(株)製、「X−52−7030」、平均粒径0.8μm)10重量部を配合し、表2に示す表層の厚みとした点以外は、実施例1Tと同様にして、比較例5Tに係る帯電ロールを作製した。
<各帯電ロールの評価>
実施例および比較例に係る各帯電ロールについて、塗工性、耐久性を評価した。耐久性は、ロール表面のクラックや剥がれ、およびロール表面のトナー融着の観点から評価した。
(塗工性)
各帯電ロール表面を光学顕微鏡((株)ナカデン製、マイクロスコープMx−1200E)で観察し、塗工シワが発生しているか確認した。さらに、各帯電ロールを市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下でハーフトーン画像出し(1枚)を行ない画像評価をした。ロール表面に塗工シワが発生せず、ハーフトーン画像での濃度むらがなく、細線のとぎれや色むら、スジ画像がなかったものを「○」とし、ロール表面に塗工シワが発生し、濃度むらが生じたものを「×」とした。
(耐久性1)
各帯電ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、32.5℃×80%RHの環境下で、画像出しを通紙1000枚(A4サイズ)行ない、20℃×50%RHの環境下で画像評価を行なった。また、その後のロール外観を上記光学顕微鏡で拡大して観察した。ロール表面にクラックや剥がれが発生せず、画像の乱れがなかった場合を合格「○」とし、ロール表面にクラックや剥がれが発生しており、画像に乱れが生じた場合を不合格「×」とした。
(耐久性2)
各帯電ロールを、φ30の金属ロール上で荷重2kgを軸端に載せ12時間空回転させた後に、20℃×50%RHの環境下で画像評価を行なった。また、その後のロール外観を上記光学顕微鏡で拡大して観察した。ロール表面にクラックや剥がれが発生せず、画像の乱れがなかった場合を合格「○」とし、ロール表面にクラックや剥がれが発生しており、画像に乱れが生じた場合を不合格「×」とした。
(耐久時トナー融着)
各帯電ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、32.5℃×80%RHの環境下で画像出しを通紙5000枚(A4サイズ)行ない、20℃×50%RHの環境下で画像評価を行なった。ロール表面にトナー融着が発生していない、または画像の乱れがなかった場合を合格「○」とし、ロール表面にトナー融着が発生しており画像に乱れが生じた場合を不合格「×」とした。
表2に、各帯電ロールの配合組成、評価結果をまとめたものを示す。表2によれば、各比較例に係る帯電ロールは、塗工性、耐久性のいずれかで劣っていることが分かる。
比較例1T、2Tでは、表層に本発明に係る微粒子を配合していない。そのため、ロール表面に塗工シワが発生し、画像に濃度むらが生じて塗工性で劣っている。また、ロールの表面硬度が高くなり、耐久時にトナー融着が発生し、画像に乱れが生じて耐久性でも劣っている。
比較例3Tでは、表層に本発明に係る微粒子を配合していないが、表層の厚みを薄くしたため、塗工シワは発生せず、塗工性に問題はなかった。しかしながら、表層の厚みを薄くしたために、耐久性1および耐久性2で劣っている。同様に、比較例4Tでは、耐久性2で劣っている。
比較例5Tでは、微粒子<1>に代えて微粒子<3>を表層塗工液に配合している。そのため、微粒子<3>の分散性が悪く塊状になり、表層を塗工することができなかった。
これに対し、各実施例に係る帯電ロールは、塗工性および耐久性に優れることが確認できた。これは、実施例において表層に本発明に係る微粒子を配合した結果、表層の硬度が低下して表層とその下層との間の物性差が小さくなり、表層における塗工シワやクラック、剥がれが抑えられたためと考えられる。また、表層の硬度が低下してロール表面の硬度が低下した結果、耐久時トナー融着も抑えられたためと考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロールを表す周方向断面図である。(a)は、導電性シャフトの外周に弾性層と表層とが形成された導電性ロールであり、(b)は、導電性シャフトの外周に弾性層と中間層と表層とが形成された導電性ロールである。 一実施形態に係る微粒子を表す断面図である。(a)は、2層構造の微粒子であり、(b)は、3層構造の微粒子である。 実施例3に係る現像ロール表面を光学顕微鏡で撮影した画像である。 比較例1に係る現像ロール表面を光学顕微鏡で撮影した画像である。 吸引式ファラデーゲージ法による測定装置を表す模式図である。
符号の説明
10a、10b 電子写真機器用導電性ロール
12 導電性シャフト
14 弾性層
16 表層
18 中間層
20a、20b 微粒子
22 内層(ゴム状ポリマー層)
24 外層(ガラス状ポリマー層)
26 内層(ガラス状ポリマー層)

Claims (7)

  1. 軸体の外周に、少なくとも、弾性層と、樹脂組成物よりなる表層とが順に積層され、
    前記表層中には、多層構造を有する微粒子が含有され、
    前記微粒子は、多層構造の内層に位置する少なくとも1層がゴム状ポリマーよりなり、多層構造の外層はガラス状ポリマーよりなることを特徴とする電子写真機器用導電性ロール。
  2. 前記微粒子は、前記樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜70重量部含有されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  3. 前記ガラス状ポリマーは、ガラス転移点が60℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  4. 前記微粒子に占める前記ゴム状ポリマーよりなる内層の割合は、40〜90重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真機器用導電性ロール。
  5. 前記微粒子の平均粒径は、0.1〜1μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子写真機器用導電性ロール。
  6. 前記表層は、メラミン樹脂および/またはアクリル樹脂を含有する樹脂組成物よりなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子写真機器用導電性ロール。
  7. 前記表層の厚みは、3〜10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子写真機器用導電性ロール。
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