JP2008268086A - 力学量検出装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】変位部がベース層に貼り付くことが防止されているとともに、検出感度が高い力学量検出装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】力学量検出装置を製造する方法であって、積層基板の格子状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を犠牲層に達するまでエッチングする活性層エッチング工程と、活性層を除去した部分から犠牲層を等方性エッチングする犠牲層エッチング工程を有しており、活性層エッチング工程では、4つの微小領域で囲まれる囲み部分の中心から微小領域までの最短距離が、一部の囲み部分において長く、他の囲み部分において短いという関係を満足しており、犠牲層エッチング工程では、拡大囲み部分の裏面ではベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が残存するとともに、拡大囲み部分以外の変位部と梁の裏面では犠牲層が除去されるエッチング時間で犠牲層をエッチングする。
【選択図】図4
【解決手段】力学量検出装置を製造する方法であって、積層基板の格子状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を犠牲層に達するまでエッチングする活性層エッチング工程と、活性層を除去した部分から犠牲層を等方性エッチングする犠牲層エッチング工程を有しており、活性層エッチング工程では、4つの微小領域で囲まれる囲み部分の中心から微小領域までの最短距離が、一部の囲み部分において長く、他の囲み部分において短いという関係を満足しており、犠牲層エッチング工程では、拡大囲み部分の裏面ではベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が残存するとともに、拡大囲み部分以外の変位部と梁の裏面では犠牲層が除去されるエッチング時間で犠牲層をエッチングする。
【選択図】図4
Description
本発明は、力学量検出装置に関する。
犠牲層を介してベース層に固定されている基部と、基部から伸びているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している梁と、梁の先端部に接続されているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している変位部を備えている力学量検出装置が知られている。この力学量検出装置に加速度、角速度、角加速度、外力、圧力等の力学量が作用すると、変位部がベース層に対して変位する。力学量検出装置は、変位部の変位量を検出する機能を備えており、検出された変位量によって力学量検出装置に作用した力学量を検出することができる。
このような力学量検出装置は、ベース層と犠牲層と活性層がその順序で積層されている積層基板を用いて製造される。
まず、積層基板の、前記梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、前記変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。これによって、活性層に梁と変位部の外形を形成する。それと同時に、変位部となる範囲内において格子状に配列されている多数の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。これによって、変位部となる範囲内の活性層に、多数の細孔を形成する(活性層エッチング工程)。
次に、前記活性層エッチング工程で活性層を除去した部分から犠牲層を等方性エッチングする。これによって、活性層を除去した部分の犠牲層を除去する。また、等方性エッチングであるので、活性層を除去した部分から前記変位部と前記梁の裏面の犠牲層へもエッチングが進行する。これによって、前記変位部と前記梁の裏面の犠牲層を除去する(犠牲層エッチング工程)。活性層エッチング工程で、変位部となる範囲内の活性層に多数の細孔を形成することで、変位部の裏面の犠牲層を除去する時間を短縮化することができる。
まず、積層基板の、前記梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、前記変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。これによって、活性層に梁と変位部の外形を形成する。それと同時に、変位部となる範囲内において格子状に配列されている多数の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。これによって、変位部となる範囲内の活性層に、多数の細孔を形成する(活性層エッチング工程)。
次に、前記活性層エッチング工程で活性層を除去した部分から犠牲層を等方性エッチングする。これによって、活性層を除去した部分の犠牲層を除去する。また、等方性エッチングであるので、活性層を除去した部分から前記変位部と前記梁の裏面の犠牲層へもエッチングが進行する。これによって、前記変位部と前記梁の裏面の犠牲層を除去する(犠牲層エッチング工程)。活性層エッチング工程で、変位部となる範囲内の活性層に多数の細孔を形成することで、変位部の裏面の犠牲層を除去する時間を短縮化することができる。
力学量検出装置の製造時または使用時等に、変位部がベース層側に撓んで、変位部とベース層が接触することがある。変位部がベース層に接触すると、変位部がベース層に貼り付いて、変位部がベース層に対して変位できなくなってしまう。
この問題を解決するために、特許文献1に、変位部がベース層に貼り付くことを防止する技術が開示されている。この技術では、犠牲層エッチング工程において、変位部のうち幅が広い部分(中心から細孔までの最短距離が長い部分)の裏面に犠牲層を残存させる。このとき、エッチング時間を調整することによって、残存する犠牲層をベース層から突出するとともに変位部に達しない突出形状に成形する。このようにして犠牲層の一部を残存させると、変位部がベース層側に撓んだときに、突出形状の犠牲層(以下では、突出部という)によって変位部がベース層に貼り付くことが防止される。
この問題を解決するために、特許文献1に、変位部がベース層に貼り付くことを防止する技術が開示されている。この技術では、犠牲層エッチング工程において、変位部のうち幅が広い部分(中心から細孔までの最短距離が長い部分)の裏面に犠牲層を残存させる。このとき、エッチング時間を調整することによって、残存する犠牲層をベース層から突出するとともに変位部に達しない突出形状に成形する。このようにして犠牲層の一部を残存させると、変位部がベース層側に撓んだときに、突出形状の犠牲層(以下では、突出部という)によって変位部がベース層に貼り付くことが防止される。
変位部となる範囲内の活性層に多数の細孔を形成する場合、通常、4つの細孔で囲まれる囲み部分での活性層の幅が最も広くなる。すなわち、囲み部分の活性層の中心から細孔までの最短距離が長くなる。したがって、上述した突出部を、囲み部分と対向するベース層上に形成することができる。
上述したように、変位部となる範囲内の活性層に多数の細孔を形成する場合、囲み部分と対向するベース層上に突出部を形成することができる。変位部となる範囲内の活性層には多数の囲み部分が存在するので、ベース層上に多数の突出部が形成される。しかしながら、このように多数の突出部が変位部とベース層の間に存在すると、変位部とベース層の間の空間において空気の流れが遮られてしまう。すると、変位部とベース層の間の空気によるダンピング効果が大きくなり、変位部がベース層に対して変位し難くなる。したがって、力学量検出装置の検出感度が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、変位部がベース層に貼り付くことが防止されているとともに、検出感度が高い力学量検出装置を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の力学量検出装置の製造方法では、ベース層と犠牲層と活性層がその順序で積層されている積層基板から、力学量検出装置を製造する。本発明の製造方法で製造する力学量検出装置は、犠牲層を介してベース層に固定されている基部と、基部から伸びているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している梁と、梁の先端部に接続されているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している変位部を備えている。
本発明の製造方法は、前記積層基板のうち、梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層と、変位部となる範囲内において格子状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする活性層エッチング工程を備えている。さらに、活性層エッチング工程で活性層を除去した部分から、犠牲層を等方性エッチングする犠牲層エッチング工程を備えている。活性層エッチング工程によって4つの微小領域で囲まれる囲み部分が変位部内に複数個形成されるところ、下記の関係が実現する条件に設定されている。
・囲み部分の中心から微小領域までの最短距離が、一部の囲み部分において長く、他の囲み部分において短い;
・囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、梁の幅のいずれよりも、前記の最短距離が長い拡大囲み部分での前記最短距離の2倍長の方が長い;
犠牲層エッチング工程で、拡大囲み部分の裏面ではベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が残存するとともに、拡大囲み部分以外の変位部と梁の裏面では犠牲層が除去されている状態が得られる。本発明では、この状態が得られるエッチング時間で犠牲層をエッチングする。
なお、「囲み部分の中心」とは、囲み部分内の位置のうち、その位置から囲み部分を囲む4つの微小領域のそれぞれまでの距離(4つの距離)のばらつきが最も小さくなる点をいう。また「最短距離」とは、前記4つの距離のうち、最も短い距離をいう。
本発明の製造方法は、前記積層基板のうち、梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層と、変位部となる範囲内において格子状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする活性層エッチング工程を備えている。さらに、活性層エッチング工程で活性層を除去した部分から、犠牲層を等方性エッチングする犠牲層エッチング工程を備えている。活性層エッチング工程によって4つの微小領域で囲まれる囲み部分が変位部内に複数個形成されるところ、下記の関係が実現する条件に設定されている。
・囲み部分の中心から微小領域までの最短距離が、一部の囲み部分において長く、他の囲み部分において短い;
・囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、梁の幅のいずれよりも、前記の最短距離が長い拡大囲み部分での前記最短距離の2倍長の方が長い;
犠牲層エッチング工程で、拡大囲み部分の裏面ではベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が残存するとともに、拡大囲み部分以外の変位部と梁の裏面では犠牲層が除去されている状態が得られる。本発明では、この状態が得られるエッチング時間で犠牲層をエッチングする。
なお、「囲み部分の中心」とは、囲み部分内の位置のうち、その位置から囲み部分を囲む4つの微小領域のそれぞれまでの距離(4つの距離)のばらつきが最も小さくなる点をいう。また「最短距離」とは、前記4つの距離のうち、最も短い距離をいう。
この製造方法では、活性層エッチング工程において、上記の関係を満足させるように活性層をエッチングする。すなわち、変位部と梁となる活性層のうち、拡大囲み部分の中心が活性層を除去する領域から最も遠い位置に存在することとなる。したがって、犠牲層エッチング工程においては、前記拡大囲み部分の中心の裏面の犠牲層が最もエッチングされ難い位置関係となる。したがって、犠牲層エッチング工程のエッチング時間を調整することで、前記拡大囲み部分の裏面にのみ突出部を残存させることができる。従って、ベース層上に必要以上に多数の突出部が形成されない。この結果、製造される力学量検出装置の変位部とベース層の間の空間において空気の流れが遮られることが抑制され、変位部がベース層に対して変位し易くなる。また、突出部を必要な位置に選んで形成することができるので、変位部がベース層に貼り付くことを防止することができる。すなわち、この製造方法によれば、変位部がベース層に貼り付くことが防止されているとともに、検出感度が高い力学量検出装置を製造することができる。
上述した製造方法においては、前記拡大囲み部分以外の囲み部分の前記最短距離をWAとし、前記拡大囲み部分の前記最短距離をWBとし、前記犠牲層の厚みをTとしたときに、
であり、かつ、前記囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、前記変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離WAの2倍長の方が長いという関係を満足していることが好ましい。
このような構成によれば、犠牲層エッチング工程において、前記拡大囲み部分以外の囲み部分の裏面の犠牲層を完全に除去したとき(すなわち、変位部及び梁の裏面の犠牲層のうち、前記拡大囲み部分の裏面以外の犠牲層を完全に除去したとき)に、前記拡大囲み部分の裏面の犠牲層が活性層から離れていない状態(すなわち、犠牲層が拡大囲み部分とベース層を接続している状態)となる。少なくともその状態が得られるまで犠牲層エッチング工程を継続すれば、その後は犠牲層のエッチング工程の終了タイミングを自由に設定することができる。突出部の高さを自由に変更することができる。
このような構成によれば、犠牲層エッチング工程において、前記拡大囲み部分以外の囲み部分の裏面の犠牲層を完全に除去したとき(すなわち、変位部及び梁の裏面の犠牲層のうち、前記拡大囲み部分の裏面以外の犠牲層を完全に除去したとき)に、前記拡大囲み部分の裏面の犠牲層が活性層から離れていない状態(すなわち、犠牲層が拡大囲み部分とベース層を接続している状態)となる。少なくともその状態が得られるまで犠牲層エッチング工程を継続すれば、その後は犠牲層のエッチング工程の終了タイミングを自由に設定することができる。突出部の高さを自由に変更することができる。
上述した製造方法では、拡大囲み部分以外の囲み部分を囲む微小領域を矩形形状とし、拡大囲み部分を囲む微小領域を前記矩形形状から拡大囲み部分側の頂点が後退した形状とすることが好ましい。
このような構成によれば、突出部以外の犠牲層を除去するのに要する時間を短縮化することができる。
このような構成によれば、突出部以外の犠牲層を除去するのに要する時間を短縮化することができる。
上述した製造方法においては、前記最短距離が長い拡大囲み部分を、前記変位部内において略均等に分散させることが好ましい。
このような構成によれば、変位部がベース層に貼り付くことをより好適に防止することができる。
このような構成によれば、変位部がベース層に貼り付くことをより好適に防止することができる。
本発明は、新たな力学量検出装置をも提供する。この力学量検出装置は、ベース層と犠牲層と活性層がその順序で積層されている積層基板から形成されており、犠牲層を介してベース層に固定されている基部と、基部から伸びているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している梁と、梁の先端部に接続されているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している変位部を備えている。その変位部内には、格子状に配列された複数の細孔と、4つの細孔で囲まれている囲み部分の複数個が形成されている。一部の囲み部分では、囲み部分の中心から細孔までの最短距離が、他の囲み部分における最短距離よりも長く形成されている。囲み部分以外において隣接する細孔を分離している距離と、変位部の外周とその内側に位置する細孔を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離が長い拡大囲み部分での最短距離の2倍長の方が長い。前記拡大囲み部分と対向するベース層上には、ベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が形成されている。
この力学量検出装置では、突出部によって変位部がベース層に貼り付くことが防止される。また、拡大囲み部分と対向するベース層上にのみ突出部が形成されているので、変位部とベース層の間の空間において空気の流れが遮られることが抑制される。
この力学量検出装置では、突出部によって変位部がベース層に貼り付くことが防止される。また、拡大囲み部分と対向するベース層上にのみ突出部が形成されているので、変位部とベース層の間の空間において空気の流れが遮られることが抑制される。
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(特徴1)活性層エッチング工程では、変位部となる範囲内において、第1方向及び第1方向と直交する第2方向に沿って略等間隔にマトリクス状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。
(特徴2)拡大囲み部分以外の囲み部分を囲む微小領域は、第1方向と第2方向に伸びる辺を有する正方形形状であり、拡大囲み部分を囲む微小領域は、前記正方形形状から拡大囲み部分側の頂点が後退した形状である。
(特徴1)活性層エッチング工程では、変位部となる範囲内において、第1方向及び第1方向と直交する第2方向に沿って略等間隔にマトリクス状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする。
(特徴2)拡大囲み部分以外の囲み部分を囲む微小領域は、第1方向と第2方向に伸びる辺を有する正方形形状であり、拡大囲み部分を囲む微小領域は、前記正方形形状から拡大囲み部分側の頂点が後退した形状である。
本発明を角速度検出装置の製造方法に適用した実施例を図面を参照しながら説明する。最初に、本実施例の製造方法で製造する角速度検出装置について説明する。図1は角速度検出装置10の上面図を示している。なお、以下の説明において、図1の左右方向をX方向、上下方向をY方向という。
図1に示すように、角速度検出装置10は、略長方形のベース層12を備えている。ベース層12上には、詳しくは後記する固定構造体と振動構造体が形成されている。
図2(a)は、固定構造体200の部分断面図を示しており、図2(b)は振動構造体220の部分断面図を示している。図示するように、固定構造体200は、犠牲層14を介してベース層12に固定されている活性層16によって構成されている。図1においては、固定構造体200を斜線模様で示している。図2(b)に示すように、振動構造体220は、ベース層12上に浮いた状態で支持されている活性層16によって構成されている。すなわち、活性層16とベース層12の間に犠牲層14が無く、空間が形成されている。図1においては、振動構造体220を点模様で示している。振動構造体220を構成している活性層16は、その一端が固定構造体200を構成する活性層16に接続されているために、ベース層12上に浮いた状態で支持されている。
図2(a)は、固定構造体200の部分断面図を示しており、図2(b)は振動構造体220の部分断面図を示している。図示するように、固定構造体200は、犠牲層14を介してベース層12に固定されている活性層16によって構成されている。図1においては、固定構造体200を斜線模様で示している。図2(b)に示すように、振動構造体220は、ベース層12上に浮いた状態で支持されている活性層16によって構成されている。すなわち、活性層16とベース層12の間に犠牲層14が無く、空間が形成されている。図1においては、振動構造体220を点模様で示している。振動構造体220を構成している活性層16は、その一端が固定構造体200を構成する活性層16に接続されているために、ベース層12上に浮いた状態で支持されている。
ベース層12と活性層16は、シリコンによって構成されている。犠牲層14は酸化シリコンによって構成されている。したがって、活性層16はベース層12から絶縁されている。活性層16のシリコン結晶中には不純物が拡散されており、その抵抗は低い。
図1に示すように、振動構造体220は、振動子20、メインフレーム22a、22b及びサブフレーム24a、24bを備えている。
振動子20のY方向の一端は、梁26a、26bによってメインフレーム22aに接続されている。メインフレーム22aは、梁28a〜28dによってサブフレーム24aに接続されている。サブフレーム24aは、梁30a〜30dによって、ベース層12に固定されているアンカー50a〜50dに接続されている。
振動子20のY方向の他端は、梁26c、26dによってメインフレーム22bに接続されている。メインフレーム22bは、梁28e〜28hによってサブフレーム24bに接続されている。サブフレーム24bは、梁30e〜30hによって、ベース層12に固定されているアンカー50e〜50hに接続されている。
振動子20のY方向の一端は、梁26a、26bによってメインフレーム22aに接続されている。メインフレーム22aは、梁28a〜28dによってサブフレーム24aに接続されている。サブフレーム24aは、梁30a〜30dによって、ベース層12に固定されているアンカー50a〜50dに接続されている。
振動子20のY方向の他端は、梁26c、26dによってメインフレーム22bに接続されている。メインフレーム22bは、梁28e〜28hによってサブフレーム24bに接続されている。サブフレーム24bは、梁30e〜30hによって、ベース層12に固定されているアンカー50e〜50hに接続されている。
アンカー50a〜50hは、犠牲層14を介してベース層12上に固定されている固定構造体200である。上述した振動構造体220の梁30a〜30hが、アンカー50a〜50hに接続されている。これによって、振動構造体220は、ベース層12上に浮いた状態で支持されている。図示するように、梁30a〜30hは、Y方向に長く伸びるとともにX方向の幅が細く形成されており、X方向に撓むことができる。また、梁28a〜28hも、Y方向に長く伸びるとともにX方向の幅が細く形成されており、X方向に撓むことができる。したがって、振動子20とメインフレーム22a、22bは、ベース層12に対してX方向に変位することができる。
アンカー50eは、配線部58によって電極60に接続されている。
アンカー50eは、配線部58によって電極60に接続されている。
梁26a〜26dは、X方向に長く伸びるとともにY方向の幅が細く形成されており、Y方向に撓むことができる。したがって、振動子20は、メインフレーム22a、22bに対してY方向に変位することができる。
振動子20は、胴体部20aと、胴体部20aから延出されているアーム20b〜20eを備えている。アーム20bの先端及び基端の近傍には、X方向に伸びる4つの板状部32aが形成されている。各板状部32aと対向する位置には、ベース層12に固定されている板状部52aがそれぞれ形成されている。すなわち、4つの板状部32aと4つの板状部52aによってコンデンサ80aが形成されている。板状部52aは、配線部54aによって電極56aに接続されている。
同様にして、アーム20cの近傍には、4つの板状部32bと4つの板状部52bによってコンデンサ80bが形成されている。板状部52bは、配線部54bによって電極56bに接続されている。
同様にして、アーム20dの近傍には、4つの板状部32cと4つの板状部52cによってコンデンサ80cが形成されている。板状部52cは、配線部54cによって電極56cに接続されている。
同様にして、アーム20eの近傍には、4つの板状部32dと4つの板状部52dによってコンデンサ80dが形成されている。板状部52dは、配線部54dによって電極56dに接続されている。
同様にして、アーム20cの近傍には、4つの板状部32bと4つの板状部52bによってコンデンサ80bが形成されている。板状部52bは、配線部54bによって電極56bに接続されている。
同様にして、アーム20dの近傍には、4つの板状部32cと4つの板状部52cによってコンデンサ80cが形成されている。板状部52cは、配線部54cによって電極56cに接続されている。
同様にして、アーム20eの近傍には、4つの板状部32dと4つの板状部52dによってコンデンサ80dが形成されている。板状部52dは、配線部54dによって電極56dに接続されている。
メインフレーム22aのX方向の一端には、X方向に伸びる複数個の板状部34aが形成されている。各板状部34aと対向する位置には、ベース層12に固定されている板状部62aが形成されている。これによって、コンデンサ82aが形成されている。板状部62aは、配線部64aによって電極66aに接続されている。
同様にして、メインフレーム22aのX方向の他端には、複数の板状部34bと複数の板状部62bによってコンデンサ82bが形成されている。板状部62bは、配線部64bによって電極66bに接続されている。
同様にして、メインフレーム22bのX方向の一端には、複数の板状部34cと複数の板状部62cによってコンデンサ82cが形成されている。板状部62cは、配線部64cによって電極66cに接続されている。
同様にして、メインフレーム22bのX方向の他端には、複数の板状部34dと複数の板状部62dによってコンデンサ82dが形成されている。板状部62dは、配線部64dによって電極66dに接続されている。
同様にして、メインフレーム22aのX方向の他端には、複数の板状部34bと複数の板状部62bによってコンデンサ82bが形成されている。板状部62bは、配線部64bによって電極66bに接続されている。
同様にして、メインフレーム22bのX方向の一端には、複数の板状部34cと複数の板状部62cによってコンデンサ82cが形成されている。板状部62cは、配線部64cによって電極66cに接続されている。
同様にして、メインフレーム22bのX方向の他端には、複数の板状部34dと複数の板状部62dによってコンデンサ82dが形成されている。板状部62dは、配線部64dによって電極66dに接続されている。
図1には示していないが、振動構造体220のうち、幅細部(梁26a〜26d、梁28a〜28h、梁30a〜30h、板状部32a〜32d、板状部34a〜34d)を除く部分は、格子形状に形成されている。図3は、振動構造体220の一部の拡大図を示している。図示するように、振動構造体220には、振動構造体220の上面と下面を連通する連通孔100が多数、形成されている。連通孔100は、X方向及びY方向に略等間隔を隔ててマトリクス状に形成されている。連通孔100は、略正方形の断面形状を有している。したがって、振動構造体220は、X方向に伸びる複数の第1梁102と、Y方向に伸びる複数の第2梁104とが交差した格子形状となっている。但し、第1梁102と第2梁104の交点(すなわち、4つの連通孔100に囲まれた囲み部分)のうち一部の交点108の周囲の連通孔100は、正方形から交点108側の頂点が退避した形状となっている。これによって、交点108の幅(対角方向の幅)Wbが広くなっている。以下では、対角方向の幅が広い交点を幅広部108といい、対角方向の幅が狭い交点を交点106という。振動構造体220には、複数の幅広部108が略均等に分散して形成されている。第1梁102と第2梁104の幅Wcは、約4.0μmとなっている。したがって、交点106の幅(対角方向の幅)Wa(≒√2×WC)は、約5.7μmとなっている。また、幅広部108の幅(対角方向の幅)Wbは、約7.0μmとなっている。
図3の点106aは、交点106の中心を示している。交点106の中心106aから連通孔100までの距離(最短距離)WAは、幅Waの半分である。図3の点108aは、幅広部108の中心を示している。幅広部108の中心108aから連通孔100までの距離(最短距離)WBは、幅Wbの半分である。距離WAと距離WBは、以下の関係を満たしている。
なお、上式の符号Tは、犠牲層14の厚さを意味している。本実施例では、犠牲層14の厚さTは約2.0μmである。
また、図示するように、振動構造体220の外周端面221と外周端面221に最も近い連通孔100との間の幅は、第1梁102及び第2梁104と同じ幅Wcとなっている。
図3の点106aは、交点106の中心を示している。交点106の中心106aから連通孔100までの距離(最短距離)WAは、幅Waの半分である。図3の点108aは、幅広部108の中心を示している。幅広部108の中心108aから連通孔100までの距離(最短距離)WBは、幅Wbの半分である。距離WAと距離WBは、以下の関係を満たしている。
また、図示するように、振動構造体220の外周端面221と外周端面221に最も近い連通孔100との間の幅は、第1梁102及び第2梁104と同じ幅Wcとなっている。
上述した幅細部(梁26a〜26d、梁28a〜28h、梁30a〜30h、板状部32a〜32d、板状部34a〜34d)の幅は、第1梁102及び第2梁104の幅Wc以下となっている。
図4は、図3のIV−IV線における角速度検出装置10の断面図を示している。図4に示すように、振動構造体220は、ベース層12から浮いた状態で支持されている。図示するように、幅広部108の下部には、犠牲層14によって構成されているスパイク120(突出部の一例)が形成されている。スパイク120は、ベース層12から突出しており、基端から先端に向かうにつれて細くなる先細り形状を備えている。スパイク120の先端は、幅広部108に対して非接触となっている。一方、交点106の下部には、犠牲層14が存在していない。図示していないが、幅広部108の下部のスパイク120を除いて、振動構造体220の下部には犠牲層14は存在していない。幅広部108の下部にスパイク120が形成されていることによって、振動構造体220がベース層12側に撓んだときに、振動構造体220がベース層12に貼り付くことが防止されている。
次に、角速度検出装置10の動作について説明する。角速度検出装置10を使用するときには、電極66a−66c間に所定周波数の交流電圧V1を印加する。それと共に、電極66b−66d間に、交流電圧V1と同じ周波数の交流電圧V2を印加する。これによって、コンデンサ82a〜82dで電荷の充放電が繰り返される。すると、振動構造体220は、コンデンサ82a〜82dで充放電される電荷の静電気力によって、X方向に振動する力を受ける。上述したように、振動構造体220は、ベース層12に対してX方向に変位可能に支持されている。したがって、振動構造体220は、電荷の静電気力によってX方向に振動する。
振動構造体220がX方向に振動している状態において、角速度検出装置10が所定の角速度(図1の紙面に対して垂直な軸回りの角速度)で移動されると、振動子20にY方向にコリオリ力が作用する。コリオリ力の大きさと方向は、振動構造体220のX方向の振動に応じて変動する。また、上述したように、振動子20は、メインフレーム22a、22bに対してY方向に変位可能に支持されている。したがって、振動子20は、コリオリ力の変動によってY方向に振動する。振動子20のY方向の変位量は、角速度と、振動構造体220のX方向の振動に応じた量となる。振動子20がY方向に振動すると、コンデンサ80a〜80dの容量が変化する。したがって、電極60−56a間、電極60−56b間、電極60−56c間、電極60−56d間でコンデンサ80a〜80dの容量を検出することで、振動子20のY方向の変位量を検出することができる。すなわち、コンデンサ80a〜80dの容量を検出することで、角速度検出装置10が移動されている角速度を検出することができる。
次に、角速度検出装置10の製造方法について説明する。角速度検出装置10は、図5に示す断面構造を有する積層基板300から製造される。積層基板300は、ベース層12と、ベース層12上に積層されている犠牲層14と、犠牲層14上に積層されている活性層16を備えている。
最初に、活性層16を反応性イオンエッチング(RIE)によりエッチングする(活性層エッチング工程)。活性層エッチング工程は、活性層16(すなわち、シリコン)がエッチングされ、犠牲層14(すなわち、酸化シリコン)がエッチングされない方法により行う。活性層エッチング工程は、活性層16上にエッチングマスクを形成する等して、エッチング領域を選択して行う。活性層エッチング工程では、活性層16のうち、固定構造体200及び振動構造体220となる領域を除く領域(図1においてハッチングされていない領域)をエッチングする。また、振動構造体220となる領域のうち、図3の連通孔100に相当する微小領域をエッチングする。これらのエッチング領域を、犠牲層14に到達するまでエッチングする。RIEによれば、活性層16に対して略垂直にエッチングが進行する。これによって、振動構造体220となる領域に連通孔100が形成され、振動構造体220となる領域が図3に示す格子形状に成形される。すなわち、積層基板300の図4の断面に対応する箇所は、図6に示すように形成される。また、固定構造体200及び振動構造体220となる領域を除く領域の活性層16が除去される。
活性層エッチング工程が終了したら、犠牲層14をウェットエッチング(等方性エッチング)する(犠牲層エッチング工程)。犠牲層エッチング工程は、犠牲層14(すなわち、酸化シリコン)がエッチングされ、活性層16及びベース層12(すなわち、シリコン)がエッチングされない方法により行う。犠牲層エッチング工程では、積層基板300の上面にエッチング液を塗布して犠牲層14をエッチングする。活性層エッチング工程で活性層16を除去した領域では、犠牲層14が上面に露出しているので、その領域の犠牲層14はエッチング液と接触する。したがって、その領域から犠牲層14のエッチングが進行する。活性層16を除去した領域では、エッチングが犠牲層14の厚み方向に進行する。また、活性層16を除去していない領域では、活性層16を除去した領域から活性層16の下側に回りこむようにエッチングが進行する。図7は、所定時間、犠牲層エッチング工程を実施したときの図6に対応する断面を示している。図7においては、連通孔100内の犠牲層14は完全に除去されている。また、交点106及び幅広部108の下部では、連通孔100に近い側の犠牲層14が除去されているが、交点106と幅広部108の中央の下部では犠牲層14が残っている。上述したように、エッチングは等方的に進行するので、交点106と幅広部108の下部では、活性層16の端部下端16aから距離が等しい位置までの犠牲層14が除去されている。したがって、交点106と幅広部108の下部に残っている犠牲層14は、ベース層12側で太く、活性層16側ほど細くなっている。
図7の状態からさらにエッチングを継続すると、図8に示す状態となる。図8は、犠牲層エッチング工程を開始してから時間taを経過したときの状態を示している。時間taは、
と略等しい時間である。なお、上式の記号eは、犠牲層エッチング工程のエッチングの進行速度を示している。
また、図8の直線400は、交点106の中央の真下のベース層12の表面と、交点106の端部下端16aとを接続した直線である。したがって、直線400の長さWLは、
となっている。上記のエッチング時間taは、エッチングが距離WLだけ進行する時間である。したがって、交点106の下部では犠牲層14が完全に除去されている。
一方、幅広部108の距離WBは上記の(数1)の関係、すなわち、WB>WLの関係を満たしている。したがって、幅広部108の下部では、犠牲層14が活性層16とベース層12の両方に接触した状態で残っている。
また、図8の直線400は、交点106の中央の真下のベース層12の表面と、交点106の端部下端16aとを接続した直線である。したがって、直線400の長さWLは、
一方、幅広部108の距離WBは上記の(数1)の関係、すなわち、WB>WLの関係を満たしている。したがって、幅広部108の下部では、犠牲層14が活性層16とベース層12の両方に接触した状態で残っている。
図8の状態からさらにエッチングを継続すると、図4に示す状態となる。すなわち、幅広部108の下部の犠牲層14が、幅広部108と非接触となり、ベース層12から突出した状態で残存する。すなわち、幅広部108の下部にスパイク120が形成される。犠牲層エッチング工程は、犠牲層14が図4に示す状態となるようにエッチング時間を調整して行う。
犠牲層14が図4の状態となるまでエッチングをすると、スパイク120以外の犠牲層14が完全に除去される。したがって、振動構造体220がベース層12に対して変位可能となる。
また、固定構造体200及び振動構造体220以外の領域(図1においてハッチングされていない領域)の犠牲層14も完全に除去される。
また、固定構造体200においては、その外周端部においては犠牲層14が若干除去される。しかしながら、固定構造体200の幅は十分に広いため、大部分の犠牲層14は除去されない。すなわち、固定構造体200は犠牲層14によってベース層12に固定された状態が維持される。
以上のようにして、ベース層12上に、固定構造体200と振動構造体220が形成される。
犠牲層14が図4の状態となるまでエッチングをすると、スパイク120以外の犠牲層14が完全に除去される。したがって、振動構造体220がベース層12に対して変位可能となる。
また、固定構造体200及び振動構造体220以外の領域(図1においてハッチングされていない領域)の犠牲層14も完全に除去される。
また、固定構造体200においては、その外周端部においては犠牲層14が若干除去される。しかしながら、固定構造体200の幅は十分に広いため、大部分の犠牲層14は除去されない。すなわち、固定構造体200は犠牲層14によってベース層12に固定された状態が維持される。
以上のようにして、ベース層12上に、固定構造体200と振動構造体220が形成される。
犠牲層エッチング工程を終了したら、従来公知の技術によって、電極56a〜56d、電極60、電極66a〜66dを形成する。これによって、角速度検出装置10が完成する。
以上に説明したように、本実施例の角速度検出装置10の製造方法では、振動構造体220となる活性層16に連通孔100を形成し、その後、犠牲層14を等方性エッチングする。したがって、振動構造体220となる活性層16の下部の犠牲層14を迅速に除去することができる。
また、上述の製造方法では、振動構造体220となる活性層16の交点(4つの連通孔100によって囲まれている囲み部分)のうち、一部の交点に幅広部(拡大囲み部分)108を形成する。したがって、犠牲層エッチング工程で、幅広部108の下部にのみスパイク120を形成することができる。したがって、ベース層12と振動構造体220の間に必要以上に多くのスパイク120が形成されることがない。これによって、ベース層12と振動構造体220の間の空間における空気の流れが遮られることが抑制される。すなわち、ベース層12と振動構造体220の間の空間の空気によるダンピング効果が抑制され、振動構造体220が振動し易くなる。したがって、この製造方法によれば、より感度の高い角速度検出装置10を製造することができる。また、この製造方法では、幅広部108を略均等に分散して形成するので、ベース層12上に略均等に分散してスパイク120が形成される。したがって、振動構造体220がベース層12に貼り付くことを好適に防止することができる。
また、このように幅広部を形成することによって、振動構造体220の格子形状の強度を向上させることもできる。
また、このように幅広部を形成することによって、振動構造体220の格子形状の強度を向上させることもできる。
また、上述した製造方法では、幅広部108の中心から連通孔100までの最短距離WBが、上記の(数1)の関係を満たす幅となっている。したがって、エッチング時間を調整することによって、スパイク120の高さを自由に設定することができる。
例えば、距離WBが交点106の距離WAに対してそれほど長くない場合、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときに、幅広部108の下部の犠牲層14は幅広部108から離れてしまう(すなわち、スパイク120が既に形成されている状態となる)。この場合、スパイク120をそれ以上に高く形成することができない。
しかしながら、上述した製造方法では、幅広部108の距離WBが上記の(数1)の関係を満たす幅となっている。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときにも、幅広部106の下部では犠牲層14が幅広部108と接触している状態となる。したがって、エッチング時間を調整することによって、スパイク120の高さを自由に設定することができる。
例えば、距離WBが交点106の距離WAに対してそれほど長くない場合、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときに、幅広部108の下部の犠牲層14は幅広部108から離れてしまう(すなわち、スパイク120が既に形成されている状態となる)。この場合、スパイク120をそれ以上に高く形成することができない。
しかしながら、上述した製造方法では、幅広部108の距離WBが上記の(数1)の関係を満たす幅となっている。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときにも、幅広部106の下部では犠牲層14が幅広部108と接触している状態となる。したがって、エッチング時間を調整することによって、スパイク120の高さを自由に設定することができる。
なお、スパイク120の高さ寸法については、それほど高い精度が要求されない場合がある。スパイク120がベース層12から突出さえしていれば、振動構造体220のベース層12への貼り付きを防止することができるからである。この場合、犠牲層14のエッチング時間を、交点106の下部の犠牲層14が完全に除去される時間より長く、幅広部108の下部の犠牲層14(すなわち、スパイク120)が完全に除去される時間より短い時間とすればよい。このような場合にも、幅広部108の距離WBが(数1)の関係を満たしていることによる有利な効果がある。
幅広部108の距離WBが交点106の距離WAに対してそれほど広くない場合、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときに、既にスパイク120の高さが低くなっている。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去してから、スパイク120が完全に除去されるまでの時間が短い。したがって、エッチング時間を正確に管理する必要がある。
一方、幅広部108の距離WBが(数1)の関係を満たしていると、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときにも、幅広部108の下部では犠牲層14が幅広部108から離れない。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去してから、スパイク120が完全に除去されるまでの時間が長い。すなわち、エッチング時間をそれほど正確に管理する必要がなく、角速度検出装置10を容易に製造することが可能となる。
幅広部108の距離WBが交点106の距離WAに対してそれほど広くない場合、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときに、既にスパイク120の高さが低くなっている。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去してから、スパイク120が完全に除去されるまでの時間が短い。したがって、エッチング時間を正確に管理する必要がある。
一方、幅広部108の距離WBが(数1)の関係を満たしていると、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去したときにも、幅広部108の下部では犠牲層14が幅広部108から離れない。したがって、交点106の下部の犠牲層14を完全に除去してから、スパイク120が完全に除去されるまでの時間が長い。すなわち、エッチング時間をそれほど正確に管理する必要がなく、角速度検出装置10を容易に製造することが可能となる。
また、上述した製造方法では、交点106を囲む連通孔100を、X方向とY方向に伸びる辺を有する正方形形状に形成し、幅広部108を囲む連通孔100を、前記正方形形状から幅広部108側の頂点が後退した形状に形成する。したがって、交点106の距離WAが小さくなり、交点106の裏面の犠牲層を除去するのに要するエッチング時間を短くすることができる。
なお、幅広部108は、距離WBが、交点106の距離WAに比べて長く形成されていれば、何れの形状に形成されていてもよい。例えば、図9、図10に示す形状に幅広部108が形成されていても良い。
また、上述した実施例では、角速度検出装置の製造方法について説明したが、他の力学量を検出する装置においても本発明の製造方法を用いることができる。例えば、加速度検出装置、角加速度検出装置等のベース層から遊離している変位部を有する力学量検出装置の製造に、本発明の製造方法を用いることができる。
なお、本発明の技術を用いない場合(すなわち、幅広部108を形成せず、全ての交点の下部にスパイク120を形成する場合)には、交点の距離WAと第1梁と第2梁の幅Wcが、
の関係を満たすように交点106を形成することが好ましい。このように交点106が形成されていると、スパイク120の高さを自由に設定することができる。
なお、上述の実施例のサブフレーム24aは、梁30a〜30dと梁28a〜28dを接続しており、メインフレーム22aは、梁28a〜28dと梁26a、26bを接続している。したがって、梁30a〜30d、梁28a〜28d及び梁26a、26dを含む梁群は、アンカー50a〜50d(基部の一例)から伸びている梁であるということができる。同様に、梁30e〜30h、梁28e〜28h及び梁26c、26dを含む梁群は、アンカー50e〜50h(基部の一例)から伸びている梁であるということができる。したがって、梁群の先端(梁26a〜26dの先端)に接続されている振動子20は、基部から伸びている梁の先端に接続されている変位部であるということができる。すなわち、アンカー50a〜50hが請求項1の基部に相当し、梁群(梁30a〜30h、28a〜28h、梁26a〜26d)が請求項1の梁に相当し、振動子20が請求項1の変位部に相当する。
また、上述の実施例では、活性層エッチング工程において、活性層16のうち、固定構造体200及び振動構造体220となる領域を除く領域(図1においてハッチングされていない領域)の活性層をエッチングした。このエッチング領域は、梁(すなわち、前記梁群)となる範囲の両サイドに位置する活性層と、変位部(すなわち、振動子20)となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層を含む領域である。すなわち、実施例の活性層エッチング工程は、請求項1の活性層エッチング工程の「前記梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、前記変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層」を犠牲層に達するまでエッチングするという要件を満たしている。
また、上述の実施例では、振動子20に複数の連通孔100が形成されている。これによって、変位部20が第1梁102と第2梁104が交差した格子形状となっている。第1梁102と第2梁104の幅Wcは、交点(囲み部分)以外において隣接する連通孔100を分離している距離である。また、振動子20の外周端面221と外周端面221に最も近い連通孔100との間の幅Wcは、振動子20の外周とその内側に位置する連通孔100を分離している距離である。上述したように、距離Wcは、交点(囲み部分)106の中心から連通孔100までの最短距離WAに対して、2×WA≒√2×Wcの関係を満たしている。すなわち、2×WA>Wcの関係を満たしている。さらに、前記梁群の幅は、幅Wc以下となっている。したがって、実施例の活性層エッチング工程でエッチングされる微小領域(連通孔100に相当する微小領域)は、請求項2に記載されている「前記囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、前記変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離WAの2倍長の方が長いという関係を満足している」という要件を満たしている。
また、上述の実施例では、活性層エッチング工程において、活性層16のうち、固定構造体200及び振動構造体220となる領域を除く領域(図1においてハッチングされていない領域)の活性層をエッチングした。このエッチング領域は、梁(すなわち、前記梁群)となる範囲の両サイドに位置する活性層と、変位部(すなわち、振動子20)となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層を含む領域である。すなわち、実施例の活性層エッチング工程は、請求項1の活性層エッチング工程の「前記梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、前記変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層」を犠牲層に達するまでエッチングするという要件を満たしている。
また、上述の実施例では、振動子20に複数の連通孔100が形成されている。これによって、変位部20が第1梁102と第2梁104が交差した格子形状となっている。第1梁102と第2梁104の幅Wcは、交点(囲み部分)以外において隣接する連通孔100を分離している距離である。また、振動子20の外周端面221と外周端面221に最も近い連通孔100との間の幅Wcは、振動子20の外周とその内側に位置する連通孔100を分離している距離である。上述したように、距離Wcは、交点(囲み部分)106の中心から連通孔100までの最短距離WAに対して、2×WA≒√2×Wcの関係を満たしている。すなわち、2×WA>Wcの関係を満たしている。さらに、前記梁群の幅は、幅Wc以下となっている。したがって、実施例の活性層エッチング工程でエッチングされる微小領域(連通孔100に相当する微小領域)は、請求項2に記載されている「前記囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、前記変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離WAの2倍長の方が長いという関係を満足している」という要件を満たしている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:角速度検出装置
12:ベース層
14:犠牲層
16:活性層
20:振動子
22a、22b:メインフレーム
24a、24b:サブフレーム
50a〜50d:アンカー
80a〜80d:コンデンサ
82a〜82d:コンデンサ
100:連通孔
102:第1梁
104:第2梁
106:交点
108:幅広部
120:スパイク
200:固定構造体
220:振動構造体
300:積層基板
12:ベース層
14:犠牲層
16:活性層
20:振動子
22a、22b:メインフレーム
24a、24b:サブフレーム
50a〜50d:アンカー
80a〜80d:コンデンサ
82a〜82d:コンデンサ
100:連通孔
102:第1梁
104:第2梁
106:交点
108:幅広部
120:スパイク
200:固定構造体
220:振動構造体
300:積層基板
Claims (5)
- ベース層と犠牲層と活性層がその順序で積層されている積層基板から、犠牲層を介してベース層に固定されている基部と、基部から伸びているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している梁と、梁の先端部に接続されているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している変位部を備えている力学量検出装置を製造する方法であって、
前記積層基板の、前記梁となる範囲の両サイドに位置する活性層と、前記変位部となる範囲の外周領域のうちの梁との接続部分を除いた領域の活性層と、前記変位部となる範囲内において格子状に配列されている複数個の微小領域内の活性層を、犠牲層に達するまでエッチングする活性層エッチング工程と、
前記活性層エッチング工程で活性層を除去した部分から犠牲層を等方性エッチングする犠牲層エッチング工程を有しており、
前記活性層エッチング工程では、4つの微小領域で囲まれる囲み部分が前記変位部内に複数個形成されるところ、下記の関係、即ち;
囲み部分の中心から前記微小領域までの最短距離が、一部の囲み部分において長く、他の囲み部分において短く、
前記囲み部分以外において隣接する微小領域を分離している距離と、前記変位部の外周とその内側に位置する微小領域を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離が長い拡大囲み部分での前記最短距離の2倍長の方が長いという関係を満足しており、
前記犠牲層エッチング工程では、前記拡大囲み部分の裏面ではベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が残存するとともに、前記拡大囲み部分以外の前記変位部と前記梁の裏面では犠牲層が除去されるエッチング時間で犠牲層をエッチングすることを特徴とする力学量検出装置の製造方法。 - 前記拡大囲み部分以外の囲み部分を囲む微小領域が、矩形形状であり、
前記拡大囲み部分を囲む微小領域が、前記矩形形状から拡大囲み部分側の頂点が後退した形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の力学量検出装置の製造方法。 - 前記拡大囲み部分を、前記変位部内において略均等に分散させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の力学量検出装置の製造方法。
- ベース層と犠牲層と活性層がその順序で積層されている積層基板から形成されており、犠牲層を介してベース層に固定されている基部と、基部から伸びているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している梁と、梁の先端部に接続されているとともに犠牲層が除去されているためにベース層から遊離している変位部を備えている力学量検出装置であり、
前記変位部内には、格子状に配列された複数の細孔と、4つの細孔で囲まれている囲み部分の複数個が形成されており、
一部の囲み部分では囲み部分の中心から細孔までの最短距離が、他の囲み部分における前記最短距離よりも長く形成されており、
前記囲み部分以外において隣接する細孔を分離している距離と、前記変位部の外周とその内側に位置する細孔を分離している距離と、前記梁の幅のいずれよりも、前記最短距離が長い拡大囲み部分での前記最短距離の2倍長の方が長いという関係を満足しており、
前記拡大囲み部分と対向するベース層上には、ベース層から突出するとともに活性層に達しない突出部が形成されていることを特徴とする力学量検出装置。
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JP2007113411A JP2008268086A (ja) | 2007-04-23 | 2007-04-23 | 力学量検出装置とその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008309657A (ja) * | 2007-06-14 | 2008-12-25 | Toyota Motor Corp | 積層体から製造される構造体とその製造方法 |
JP2010145212A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Denso Corp | 半導体装置 |
JP2013145189A (ja) * | 2012-01-16 | 2013-07-25 | Seiko Epson Corp | ジャイロセンサー及び電子機器 |
-
2007
- 2007-04-23 JP JP2007113411A patent/JP2008268086A/ja active Pending
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JP2008309657A (ja) * | 2007-06-14 | 2008-12-25 | Toyota Motor Corp | 積層体から製造される構造体とその製造方法 |
JP2010145212A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Denso Corp | 半導体装置 |
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