JP2008261933A - 電子写真感光体及び、該感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents

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美知夫 木村
Tetsuya Tone
哲也 利根
Nozomi Tamoto
望 田元
Tomoyuki Shimada
知幸 島田
Chiaki Tanaka
千秋 田中
Hiromi Tada
裕美 多田
Yoshiteru Yanagawa
宜輝 梁川
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Abstract

【課題】長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる電子写真感光体の製造方法を提供すること。
【解決手段】導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体の製造方法において、該表面層に、光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体を、30〜140℃の温度で接触させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、及びその製造方法、該電子写真感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
特許文献1(特開2005−234140号公報)には、感光層と表面層を有する電子写真感光体の感光層が810〜839nmの範囲に吸収極大を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有し、保護層が架橋構造を有する樹脂と電荷輸送能を有する化合物とを含有することにより、感度、帯電性、暗減衰率等の電子写真特性に優れ、かぶりや黒点・白点、ゴーストなどの画質欠陥を生じることなく、優れた画質を長期にわたって得ることが可能な電子写真感光体を提供することが開示されている。
特許文献2(特開2005−234321号公報)には、支持体上に中間層および感光層をこの順に有する電子写真感光体において、電子写真感光体の表面層が硬化性樹脂を含有し、中間層が特定の繰り返し構造単位を有する共重合ポリアミド樹脂および平均一次粒径100nm以下の酸化チタン粒子を含有することにより、表面層に硬化性樹脂を用いた電子写真感光体特有の問題である、顕著な感度低下、ゴーストおよび摺擦メモリーの発生を抑制することが開示されている。
特許文献3(特開2005−345593号公報)には、感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、該連鎖重合性官能基の末端を水素化した化合物に1重量%以上可溶で且つ放射線照射による反応が主鎖切断タイプでそのG値が0.5以上であるポリマー又はオリゴマーとを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有することにより、膜強度を高くすることによって耐摩耗性及び耐傷性を向上させ、かつ耐析出性が良好な電子写真感光体を提供することが開示されている。
特許文献4(特開2006−10757号公報)には、感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を酸素濃度0.001〜2.0vol%の低酸素雰囲気下において光エネルギー照射により硬化した架橋層であることにより、耐摩耗性及び耐傷性が高く安定であり、且つ電気的特性が良好であり、長期間にわたり高画質化を実現した電子写真感光体及び電子写真感光体を提供する製造方法であり、またそれらの長寿命、高性能感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することが開示されている。
特許文献5(特開2006−72162号公報)、特許文献6(特開2005−115353号公報)には、少なくとも電子写真感光体表面に近接配置された非接触方式の帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、前記電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した感光体であり、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成される構造のものであることにより、耐摩耗性の向上と同時に画像ボケ等の異常画像の抑制等を実現し、かつ帯電部材の汚染を軽減することによってそれらの効果をさらに高め、高耐久性を有しかつ画質安定性が高い電子写真装置を提供することが開示されている。
[従来技術の欠点]
しかしながら、上記特許文献1記載の技術においては、保護層が架橋構造を有する樹脂と電荷輸送能を有する化合物で構成されているため、長期間の繰返使用時保護層の摩耗が発生してしまう。また、本文中には、感光層中(電荷発生層中又は/及び電荷輸送層中)に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加する旨の記載があるが保護層中への記載はない。
また、上記特許文献2記載の技術においては、電子写真感光体の表面層が硬化性樹脂、必要に応じて導電性粒子、電荷輸送物質、潤滑性粒子を含有させているが、上記特許文献1記載の技術と同様に長期間の繰返使用時保護層の摩耗が発生してしまう。
また、上記特許文献3記載の技術においては、感光体の表面層(電荷輸送層又は、保護層)は連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、連鎖重合性官能基の末端を水素化した化合物に1重量%以上可溶で且つ放射線照射による反応が主鎖切断タイプでそのG値が0.5以上であるポリマー又はオリゴマーとを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物で、光安定剤の含有に関する記載はなく、長期間の繰返使用時に残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)が発生してしまう。
さらに、上記特許文献4記載の技術においては、感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を酸素濃度0.001〜2.0vol%の低酸素雰囲気下において光エネルギー照射により硬化した架橋層である為、特許文献3記載の技術と同様に光安定剤の含有に関する記載は無く、長期間の繰返使用時に残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)が発生してしまうことがある。
さらにまた、上記特許文献5、特許文献6記載の技術においては、感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とラジカル重合性官能基を有し、且つジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することを特徴とした反応性シリコーン化合物を硬化した架橋層であることの記載は有るが、特許文献3記載の技術と同様に光安定剤の含有に関する記載は無く、長期間の繰返使用時に残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)が発生してしまうことがある。
特開2005−234140号公報 特開2005−234321号公報 特開2005−345593号公報 特開2006−10757号公報 特開2006−72162号公報 特開2005−115353号公報
本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、1)長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、また、2)超臨界圧力が7.3MPa、超臨界温度が31.0℃と比較的容易に超臨界状態を作り出し、有機材料に対する熱ダメージを小さく、かつ、不燃性・低毒性で取り扱いが容易で、環境への影響の少ない電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、また、3)光安定剤を溶解させやすい超臨界流体又は亜臨界流体を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、さらに、4)感光体を構成する有機材料の溶解性が制御された超臨界流体又は亜臨界流体使用の電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、さらに、5)環境に配慮した電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、さらに、6)架橋表面層の熱により変質・分解を低減した30〜140℃の比較的低温の電子写真感光体の製造方法を提供することにあり、さらにまた、7)長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる電子写真感光体を提供することにあり、さらにまた、8)帯電安定性に優れた電子写真感光体を提供することにあり、さらにまた、9)クラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性を有する電子写真感光体を提供することにあり、さらにまた、10)アルミニウム支持体中の鉄、銅に起因して感光体の帯電時に電極側に誘起される逆極性の電荷の感光層への注入により発生する黒ポチ、白ポチ等の画像欠陥の発生を防止すると共に、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込み時に生じるモアレを防止する下引き層を有する電子写真感光体を提供することにあり、さらにまた、11)本発明の感光体ドラムを用いたプロセスカートリッジを搭載し、小型でメンテナンス性に優れた画像形成装置を提供することにある。
即ち、上記課題は本件発明の(1)〜(10)によって解決される。
(1)「導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体の製造方法において、該表面層に、光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体を、30〜140℃の温度で接触させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法」、
(2)「前記超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(3)「前記超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素と他流体との混合物であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(4)「前記他流体が、一酸化炭素、窒素、アンモニア、メタノール、エタノール、エタン、プロパンから選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(5)「前記超臨界流体及び/または亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(6)「導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体において、該表面層が、光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体が30〜140℃の温度で接触させられたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(7)「前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする第(6)項に記載の電子写真感光体」、
(8)「前記表面層の膜厚が5μm〜15μmであることを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の電子写真感光体」、
(9)「支持体と感光層との間にポリアミド樹脂を主成分とする接着層、及び無機顔料を樹脂中に分散した下引き層を有することを特徴とする前記第(6)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(10)「感光体ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段が一体に支持しされ装置本体に着脱自在できるプロセスカートリッジを有する画像形成装置であって、該感光体が前記第(6)項乃至第(9)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置」。
以下の詳細かつ具体的な記載から理解されるように、本発明によれば、1)感光層と表面層を有する/又は最上感光層が表面層である電子写真感光体の表面層に光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体を接触させ、該光安定剤を表面層に注入することにより、長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる電子写真感光体の製造方法が提供される。さらに、超臨界流体及び/または亜臨界流体の温度が30〜140℃であることにより、架橋表面層の熱により変質・分解を低減した電子写真感光体の製造方法が提供される。
また、2)超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることにより、超臨界圧力が7.3MPa、超臨界温度が31.0℃と比較的容易に超臨界状態を作り出せ、有機材料に対する熱ダメージを小さく、さらに不燃性・低毒性で取り扱いが容易で、環境への影響の少ない電子写真感光体の製造方法が提供される。
また、3)超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素と他流体との混合物であることにより、光安定剤を溶解させやすくした電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらに、4)他流体が、一酸化炭素、窒素、アンモニア、メタノール、エタノール、エタン、プロパンから選択される少なくとも一種であることにより、有機材料の溶解性制御電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらに、5)超臨界流体及び/または亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることにより、環境に配慮した電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらにまた、6)導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体を光安定剤含有超臨界流体及び/または亜臨界流体に接触させることにより、長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる電子写真感光体が提供される。
さらにまた、7)光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることにより、帯電安定性に優れた電子写真感光体が提供される。
さらにまた、8)表面層の膜厚が5μm〜15μmであることにより、クラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性を有する電子写真感光体が提供される。
さらにまた、9)支持体と感光層との間にポリアミド樹脂を主成分とする接着層、及び無機顔料を樹脂中に分散した下引き層を有することにより、アルミニウム支持体中の鉄、銅に起因して感光体の帯電時に電極側に誘起される逆極性の電荷の感光層への注入により発生する黒ポチ、白ポチ等の画像欠陥の発生を防止すると共に、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込み時に生じるモアレを防止した電子写真感光体が提供される。
さらにまた、10)感光体ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段が一体に支持しされ装置本体に着脱自在できるプロセスカートリッジであることにより、小型でメンテナンス性に優れた画像形成装置が提供される。
[支持体]
以下、図面に沿って本発明を説明する。
図1に本発明の感光層の断面図を示す。
図1に示すように本発明の電子写真感光体は、導電性基体(21)上に樹脂層(22)、下引き層(23)、電荷発生層(24)、電荷輸送層(25)、表面層(26)を順次積層した構成からなる。又は最上感光層が表面層であってもよい。
電子写真感光体導電性基体支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下のもの、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、ステンレスなどの金属、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を蒸着又はスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン等)もしくは紙等に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらをD.I.,I.I.,押出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理した管、あるいは上記金属を電気メッキなどの方法により、フィルム状もしくは円筒状にしたもの、又、導電性粉体をプラスチックに分散成型してなるフィルム状もしくは円筒状にしたもの等を用いることができる。
この他上記支持体上に、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉あるいはチタンブラック、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物等の導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散し、塗工したものも用いることができる。
また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルガルバゾール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂ないしは光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層はこれらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤例えばテトラヒドロフラン、塩化メチレン、メチレンエチルケトン、トルエン等に分散塗布することにより設けることができる。更に適当な円筒状基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、塩化ビム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性基体として良好に用いることができる。
導電性支持体(21)としてアルミニウムを用いる場合、JIS 3003、JIS 5052等の材質からなるアルミニウムが好ましい。アルミニウム支持体の表面粗さ(Rz)は、加工性、支持体の反射によるモアレ等を考慮すると0.2〜1.5μmが好ましい。これらのアルミニウムには鉄、銅を0.1wt%以上含有させ、機械的強度を向上させて支持体の薄膜軽量化を達成しているが、アルミニウム中に鉄や銅などの金属不純物が存在すると粒界腐食を起しやすいという難点がある。そして、粒界腐食部ではアルミニウム支持体から感光層側へ電荷の注入が起りやすくなり、感光体の繰り返し使用によって、黒ポチ、微小な粒状地汚れ等が発生するという問題がある。このような問題に対して樹脂層(22)は有効である。樹脂層(22)に用いるメトキシメチル化ナイロンは、アルミニウム支持体から感光層側へ電荷の注入を防ぐと共に、感光体の帯電電位を安定化させるために設けられている。
用いられるメトキシメチル化ナイロンとしては限定するものではないが、例えば、6−ナイロンをホルムアルデヒドおよびメタノールと反応させてメトキシメチル化させることにより得られるものであり、反応触媒としてリン酸、リン酸ナトリウム等が用いられ、さらに中和処理にアンモニア等が用いられる。反応後、水洗、乾燥を行ったものを使用するが、樹脂中には、塩素イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン等が残留しており、その量は陰イオンで100〜300ppm、陽イオンで約100ppmである。この残留イオンがメトキシメチル化ナイロンの環境依存性を少なくしている。メトキシメチル化度は、10〜40%、重合度は100〜500が好ましい。
本発明においては、図1のような構成とすることによって黒ポチ、白ポチ、微小な粒状地汚れ等の画像欠陥の発生を防止することが可能になる。
樹脂層(22)の膜厚は、0.5〜1.5μmが好ましい。ここで、アルミニウム支持体の表面粗さ(Rz)、および(Rz)とメトキシメチル化ナイロンからなる樹脂層の膜厚(d)の比(Rz/d)が0.3〜2であることが好ましく、このように制御することによってアルミニウム支持体と樹脂層との接着性を向上させ、また樹脂層を支持体の表面に均一に塗布することができ、繰り返し使用時における塗膜欠陥に起因する黒ポチ、白ポチ等の画像欠陥の発生を防止することができる。
樹脂層(22)に用いるメトキシメチル化ナイロンは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒に溶解して塗布される。さらに、溶媒中に水を0.5〜30wt%添加することにより、樹脂層を形成するための塗布液を安定化させることができる。
[下引き層]
下引き層(23)は、アルミニウム支持体側からの電荷注入防止、接着性の向上、モアレなどの防止、上層(図1では電荷発生層(24))の塗工性改良、残留電位の低減などの目的から設けられる。
下引き層(23)は、熱硬化性樹脂と、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの無機顔料からなる微粉末を単独もしくは二種類以上を適宜選択し、ボールミル、サンドミル、アトライター等により分散調製した塗工液を用いて形成することができる。
無機顔料としては、特に高純度の酸化チタンが好ましい。無機顔料を分散する溶媒としては、樹脂の溶解性、無機顔料の分散性から、ケトン系溶媒、特にシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。これらの溶媒を用いることにより無機顔料を一次粒径迄分散して凝集物のない均一な塗工液を製造することが可能となる。
下引き層(23)に用いられる樹脂としては、下引き層上に設けられる感光層(27)が溶剤を用いて塗布形成されることを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂、例えば、活性水素(−OH基、−NH基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物および/またはエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂が例示される。
ここで、活性水素を複数個含有する化合物としては、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、アルキッド樹脂とアミノ樹脂、例えば、アルキッド樹脂(例えば、オイルフリーアルキド樹脂)とメラミン樹脂(例えば、ブチル化メラミン樹脂)等を熱重合させた熱硬化性樹脂が好ましい。
アルミニウム支持体に設けられた樹脂層上への下引き層(23)の形成は、塗工液を用いてロールコート法、浸漬塗工法、スプレーコート法、ノズルコート法、ブレード塗工法等により行なうことができる。塗工液を塗布した後、形成された塗布膜は乾燥あるいは加熱により硬化される。下引き層(23)の膜厚さは、0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μmとするのが適当である。
下引き層(23)に用いる無機顔料(P)と熱硬化性樹脂(R)の比(P/R)を4/1〜9/1(重量比率)に制御することにより、繰り返し使用時における帯電低下を防止することが可能になる。特に、熱硬化性樹脂としてアルキッド樹脂とメラミン樹脂を組成分に用いることが好ましい。ここで、P/Rが4/1未満では繰り返し使用時の帯電低下を防止する効果が少ない。一方、P/Rが1〜9/1を越えると繰り返し使用時における微小な粒状地汚れ発生防止に対する効果が少ない。
また、下引き層を無機顔料と熱硬化性樹脂をケトン系溶媒中に分散した塗工液により塗布形成し、その塗布膜の乾燥条件を適宜調節し、下引き層中の残留溶媒を10〜1000ppmとすることにより、塗膜欠陥、繰り返し使用時における微小な粒状地汚れの発生を防止することができ、さらに長期間保管時の感光体露光後電位を安定化させることが可能となる。
[電荷発生層]
次に、電荷発生層(24)は、電荷発生物質を主成分とする層であり、必要に応じて結着樹脂(バインダー樹脂)を用いることができる。電荷発生物質としては、無機系材料あるいは有機系材料を用いることができるが環境面からは有機系材料が好ましい。
具体的には、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。例えば、上記各種アゾ顔料に、その他の各種顔料を1種以上含有してもよい。
電荷発生層(24)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
必要に応じて上記電荷発生層(24)に用いられるバインダー樹脂に電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
この場合、電荷発生層(24)の電荷発生材料と樹脂との比率を重量比で1/1〜3/1とすることが好ましく、このように調製することによって感光層と下引層との接着性を向上し、露光後電位を安定化させることができる。
電荷発生層(24)を形成する方法として、主に溶液分散系からのキャスティング法を用いることができる。キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、調製した分散液を適度に希釈して塗布することにより形成することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどにより行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
[電荷輸送層]
次に、電荷輸送層(25)は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層(24)で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。さらに、電荷輸送層(25)は、帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持している帯電電荷において高い表面電位を得ることを達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。
上記要件を満足させるための電荷輸送層(25)は、電荷輸送物質とバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジメトキシメタンなどの環状エーテル系溶剤に溶解して調製した塗工液を電荷発生層(24)上に塗布して形成される。環状エーテル系溶剤を用いることにより、感光層と支持体あるいは下引層との接着性を向上させることができる。電荷輸送層中の残留環状エーテル系溶剤量は、20〜5000ppmが好ましい。20ppm未満では、支持体あるいは下引き層との接着性が低下し、5000ppmを越えると感光体露光後電位が上昇するという不具合が発生してしまう。
塗工液には、必要により電荷輸送物質およびバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。なお、ジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、トリクロロエタン、トリクロロメタンなどの塩素系溶媒は対環境性の面から敬遠されている。
電荷輸送層(25)に用いられる電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、ハイドロキノン系以外のモノフェノール系化合物、高分子フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類等の酸化防止剤も併用して使用してもよい。
上記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。有機燐化合物類としては、例えば,トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
正孔輸送物質としては、以下に示すような電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂として、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
また、必要により用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ビスベンジルベンゼン誘導体など一般に可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
さらに、酸化防止剤としては以下に例示するものが使用される。
〔モノフェノール系化合物〕:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
〔ビスフェノール系化合物〕:2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
〔高分子フェノール系化合物〕:1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
〔パラフェニレンジアミン類〕:N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
〔ハイドロキノン類〕:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
〔有機硫黄化合物類〕:ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
〔有機燐化合物類〕:トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、あるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
[表面層]
次に、本発明の表面層(26)塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(10)で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 2008261933
(ただし、式(10)中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、または−S−基を表わす。)
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(11)で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 2008261933
(ただし、式(11)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式(10)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、アクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中にある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、メタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を2個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは2種類以上併用するのが好ましい。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとしては、表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下する傾向が出てくるため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
また、表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの成分割合は、表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が望めない傾向がある。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気特性の劣化が生じる傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の表面層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の表面層に用いられる電荷輸送性化合物にはラジカル重合性官能基を有するものを用いる。機械的耐久性の向上等の高機能化と電気特性の改善を目的として、ラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを同時に光硬化させる。ラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物としては従来から知られているもの(特開2005−107401号公報、特開2006−011014号公報、特開2006−154796号公報)が良好に用いられるが、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2008261933
Figure 2008261933
{式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 2008261933
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表わされるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 2008261933
で表わされ、Rは水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2008261933
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、を表わす。)
Figure 2008261933
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能のラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造をとりうるものと推測される。
また本発明においては下記一般式(4)で示した特定のアクリル酸エステル化合物もラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物として良好に用いることができる。
Figure 2008261933
Arは置換又は無置換の芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基を表わす。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していても良い。
Arは、少なくとも1個の3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基もしくは少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格からなる一価基または二価基を表わすが、ここで、3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格とは下記一般式(A)で表わされる。
Figure 2008261933
(式中、R13、R14はアシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Arはアリール基を表わす。wは1〜3の整数を表わす。)
13、R14のアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
13、R14の置換もしくは無置換のアルキル基はAr5の置換基で述べたアルキル基と同様である。
13、R14の置換もしくは無置換のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基に加えて下記一般式(B)で表わされる基を挙げることができる。
Figure 2008261933
[式中、Bは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−及び以下の2価基から選ばれる。
Figure 2008261933

(ここで、R21は、水素原子、Arで定義された置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、R22は、水素原子、Ar定義された置換もしくは無置換のアルキル基、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基を表し、iは1〜12の整数、jは1〜3の整数を表わす。)]
21のアルコキシ基の具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
21のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
21のアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
Arのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基を挙げることができる。
Ar、R13、R14は、Arで定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
また、3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジン等のアミン構造を有する複素環化合物が挙げられる。これらは、Arで定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
、Bはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルキル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルコキシ基を表わす。アルキル基、アルコキシ基は、Arで述べたものが同様に適用される。これら、B、とBは、どちらか一方のみが存在し、両方の存在は除外される。
一般式(4)のアクリル酸エステル化合物においてより好ましい構造として前記一般式(5)の化合物を挙げることができる。
Figure 2008261933
式中、R、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子を表わし、Ar、Arは、置換もしくは無置換のアリール基またはアリレン基、置換又は無置換のベンジル基をあらわす。アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子は前記Arで述べたものが同様に適用される。
アリール基は、R13、R14で定義されたアリール基と同様である。アリレン基は、そのアリール基から誘導される二価基である。
〜Bは、一般式(4)におけるB、Bと同様であり、B〜Bの内、どれか一つだけが存在し、二つ以上の存在は除外される。uは0〜5の整数、vは0〜4の整数を表わす。
特定のアクリル酸エステル化合物は次のような特徴を有する。スチルベン型共役構造を有した三級アミン化合物であり、発達した共役系を有している。こういった共役系の発達した電荷輸送性化合物を用いることで、架橋層界面部分での電荷注入性が非常に良好となり、さらに架橋結合間に固定化された場合でも分子間相互作用が阻害されにくく、電荷移動度に関しても良好な特性を有する。また、ラジカル重合性の高いアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基を分子中に1個有しており、ラジカル重合時に速やかにゲル化するとともに過度な架橋歪を生じない。分子中のスチルベン構造部の二重結合が部分的に重合に参加し、しかもアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基よりも重合性が低いために架橋反応に時間差が生じることで歪みを最大に大きくすることがなく、しかも分子中の二重結合を使用する為に分子量当りの架橋反応数を上げることができる為に、架橋密度を高めることができ、耐摩耗性のさらなる向上が実現可能となった。また、この二重結合は、架橋条件により重合度を調整することができ、容易に最適架橋膜を作製できる。この様なラジカル重合への架橋参加は、アクリル酸エステル化合物の特異的な特徴であり、前述したようなα−フェニルスチルベン型の構造では起こらない。
以上のことから、一般式(4)、特に一般式(5)に示したラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を用いることで良好な電気特性を維持しつつ、且つ、クラック等の発生を起さずに架橋密度の極めて高い膜を形成することができ、それにより感光体の諸特性を満足し、且つシリカ微粒子等が感光体に刺さることを防止し、白斑点等の画像欠陥を減らすことができる。
以下に本発明において用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
表面層は長期間の繰返使用時、層中の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が光及び感光層中を通過する電荷による疲労で残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)が発生しやすくなるが層中に光安定剤を添加することによりこれらの減少を低減できる。しかしながら表面層の光硬化前に光安定剤を添加すると、硬化阻害が発生して表面層の耐摩耗性が低下してしまう。本願は電子写真感光体を光硬化後に光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体を接触させることにより長期間の繰返使用時でも残留電位の蓄積、光メモリーによる残像(ゴースト)の発生を低減できる製造方法を提供するものである。
[電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物]
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としては表1−1〜1−12に示すものが挙げられる。
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
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Figure 2008261933
Figure 2008261933
Figure 2008261933
[光安定剤]
光安定剤としては表2−1、表2−2に示すものが挙げられる。その中でもヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
Figure 2008261933
Figure 2008261933
これら化合物自体は、従来公知であり、例えば前記特許文献4、特許文献5に記載されている。また、表面層に注入する光安定剤の添加量は表面層重量の0.01〜5wt%が好ましく、この程度量を表面層に添加するには、当初0.02〜0.5g/超臨界流体1000ml当り存在させることが好ましい。表面層の膜厚は5〜15μが好ましい。
残像は、作像の繰り返しで感光体が光および/または電荷疲労を生じた時、前工程で作像された原稿像が次工程においても消去されずに残り、残像部の電位レベルがハーフトーン電位または黒ベタ電位より低い電位レベルになったときネガ残像になる(反転現像法)。すなわち、前工程の画像部の回復が遅れ、残留電位の蓄積などにより、周囲の画像部電位より前工程で作成された静電潜像の痕跡の電位が低くなった場合である。
[超臨界流体、亜臨界流体]
本願で用いる超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた状態にある流体を指す。超臨界流体の特徴としては、高密度状態において、一般に物質を溶かす能力がその流体の常温での溶解力よりも非常に大きいという特徴を有する。これは流体が高圧力下にあるため、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいためと考えられている。また、温度・圧力による密度の調整によって溶解性の制御ができるため、適用範囲が広いことも特筆すべき特性である。一般には密度0.2g/cm以上の超臨界流体が化学物質に対する溶媒として用いられることが多い。また、超臨界流体は前述の通り、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいことから媒質への拡散が早い。このため一般に用いられる溶媒では多孔質体へ浸透しにくいが、超臨界流体を用いれば比較的容易に多孔質体へ浸透することが知られている。さらに、熱伝導度は液体よりも大きいため、超臨界中で生じた化学反応による反応熱は速やかに除去することが可能である。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、超臨界流体の臨界温度および臨界圧力としては特に制限はない。これらの流体としては、たとえば一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる臨界温度としては、−273〜300℃が好ましく、30〜140℃が特に好ましい。超臨界中に対する媒質が熱により変性するようなものを用いる場合には臨界温度が低いものが好ましい。たとえば、二酸化炭素(臨界温度31.0℃)、エタン(臨界温度32.2℃)、プロパン(臨界温度96.6℃)、アンモニア(臨界温度132.3℃)などが挙げられる。
また、亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度・圧力のうち、いずれか一方が臨界点より僅かに低いが超臨界流体と同様に振るまう流体を挙げることができる。超臨界流体として挙げられる各種材料は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。本発明に対しては超臨界流体または亜臨界流体を単独で使用しても良いし、2種類以上混合して用いても良い。
本発明に記載するような有機材料に対して超臨界流体または亜臨界流体を適用する場合、媒体として二酸化炭素を主媒体として用いることが好ましい。二酸化炭素は超臨界圧力が7.3MPa、超臨界温度が31.0℃と比較的容易に超臨界状態を作り出せ、有機材料に対する熱ダメージが小さいこと、さらに不燃性・低毒性で取り扱いが容易であることが利点として挙げられるため、食品工業の分野では広く用いられている。
超臨界流体および亜臨界流体に対する本発明に記載の有機材料の溶解性を制御するために、超臨界流体または亜臨界流体に有機溶媒をエントレーナーとして添加することができる。一般には超臨界流体または亜臨界流体に溶解させたい溶質、本願発明においては光安定剤に対して親和力が強い溶媒をエントレーナーとして選択することが好ましい。エントレーナー添加によって所望の溶質に対する超臨界流体や亜臨界流体の溶解度を調整することができる。エントレーナーとして用いる溶媒には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。たとえば、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、アンモニア、メラミン、尿素、チオエチレングリコールなどが挙げられるが、これに限定されるわけではない。
図2は、本発明の電子写真装置の模式断面図である。図中、符号(31)は本発明に用いる感光体ドラムである。まず接触帯電装置(32)により、感光体ドラム(31)は、帯電する。感光体ドラム(31)が帯電された後、レーザー光によるイメージ露光(33)を受け、露光された部分で、電荷が発生し、感光体ドラム表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム表面に静電潜像を形成した後、現像手段(34)を介して現像剤と接触し、トナー像を形成する。感光体ドラム表面に形成されたトナー像は、接触転写手段(36)により紙などの転写部材(35)へ転写され、定着手段(39)を通過してハードコピーとなる。感光体ドラム(31)上の残留トナーはクリーニングブレードからなるクリーニング手段(37)により除去され、残留電荷は除電手段(38)で除かれて、次の電子写真サイクルに移る。
接触転写手段(36)は半導電性発泡ポリウレタン等の材質で構成されトナー像を効率良く転写部材(35)に転写できる様工夫されている。接触転写手段(36)の長手方向両端には感光体ドラム(31)との接触圧を一定にするため樹脂製のコロ(図示せず)が設けられている。本発明のコロは感光体ドラム(31)の長手方向両端部で感光層と接触する場合がある。特に電荷輸送層端部がコロと接触する場合、下引き層と電荷輸送層の間に設けられた電荷発生層の樹脂種、または電荷発生層が樹脂を含まない場合電荷輸送層端部が感光体ドラム(31)の繰返使用によって剥離してしまう。
本発明の画像形成装置は帯電手段、現像手段、クリーニング手段等が、一体構成となっているプロセスカートリッジを構成している。プロセスカートリッジにすることにより画像形成装置の小型化、取り付け、取り外しなどが簡便となる。
以下に実施例を示す。「部」は重量部を意味する。
<実施例1>(感光体製造例1)
φ30mm、長さ340mm、厚さ0.75mm、表面粗さ(Rz)1.05μmのJIS 3003系のアルミニウム製(Fe:0.7wt%、Cu:0.2wt%含有、全フレ:50μ)支持体、すなわちアルミドラム上に、以下の手順で、樹脂層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して実施例1の電子写真感光体を作製した。
[樹脂層の形成]
まず、アルミドラム上に、下記組成により調製した樹脂溶液を用いて浸漬塗布し、130℃で10分間乾燥して、膜厚0.75μmの樹脂層を形成した。
<樹脂溶液の組成>
メトキシメチル化ナイロン(FR−101:(株)鉛市製) 10.9部
メタノール 104.4部
ブタノール 28.9部
イオン交換水 14.9部
なお、メトキシメチル化ナイロン(FR−101)中のイオン量は、イオンクロマトグラフによる分析の結果、塩素イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオンが、それぞれ150ppm、50ppm、90ppmであった。
[下引層の形成]
続いて、下記組成からなる混合物をボールミルポットに採り、φ10mmのアルミナボールを使用して120時間ボールミリングし、下引き層用のミリング液を調製した。
<下引層用ミリング液の組成>
酸化チタン(CR−60:石原産業製) 60部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50:
大日本インキ化学工業製;固形分50wt%) 18.5部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60:
大日本インキ化学工業製;固形分60wt%) 10.3部
メチルエチルケトン(関東化学製) 21部
シクロヘキサノン(関東化学製) 9部
調製したミリング液をアルミドラムに形成した樹脂層上に浸漬塗布し、130℃で20分間乾燥して、膜厚3.5μmの下引き層を形成した。ミリング液中の酸化チタンの平均粒径は遠心式粒度分布測定機(CAPA700:堀場製作所製)により測定したところ0.39μmであった。
[電荷発生層の形成]
次に、下記化学式(I)で表わされる電荷発生物質2部、固形分濃度2wt%のポリビニルブチラール樹脂(BX−1:積水化学製)/メチルエチルケトン溶液60部からなる混合物をボールミルポットに採り、φ2mmのYTZボールを使用して24時間ボールミリングを施し、電荷発生層用塗布液を調製した。この塗布液を上記形成した下引き層上に浸漬塗布し、95℃で20分間乾燥し、厚さ0.1μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2008261933
[電荷輸送層の形成]
次いで、下記組成により電荷輸送層用塗工液を調製し、この塗工液を用いて上記形成した電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃で25分間乾燥し、厚さ31μmの電荷輸送層を形成した。
<電荷輸送層用塗工液の組成>
電荷輸送物質(下記化学式(II):リコー製) 7部
Figure 2008261933
ポリカーボネート樹脂(TS−2050:帝人化成製) 10部
シリコーンオイル(KF−50:信越化学製) 0.002部
テトラヒドロフラン(関東化学製) 77.4部
[表面層の形成]
次いで、下記組成により表面層用塗工液を調製し、この塗工液を用いて上記形成した電荷輸送層上にスプレー塗布した後、ウシオ製UVランプシステムを用いて、UV照射時間を120秒とし光硬化を行ない、更に130℃/30分乾燥を行い約10μmの架橋表面架橋層を設けた。
<架橋表面層用塗工液>
トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬製、KAYARAD TMPTA) 5部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬製、KAYARAD DCPA−120) 5部
イルガキュア184(日本化薬製、分子量:204) 1部
テトラヒドロフラン 50部
下記化学式(III)の電荷輸送性化合物 3部
Figure 2008261933
上記の様にして得られた感光体、及び、従来技術では電荷輸送層用塗工液に含有させていた光安定剤LA−77Y(アデカ製)0.1gを内容積が1000mLの耐圧容器内に入れ、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、下記の条件にて循環方式により処理を行った。常温、0.10MPaにて、2〜3℃/分の加温速度、0.2MPa/分の加圧速度で加温及び加圧を行い、40℃、7MPaとした。ここで、流量を5.0L/分(標準状態換算値)として、2〜3℃/分の加温速度、10MPa/分の加圧速度で加温及び加圧を行い、80℃、30MPaの超臨界流体とした。流量を5.0L/分(標準状態換算値)を保ったまま20分間処理を行った。その後、流量を1.0〜3.0L/分(標準状態換算値)にして、2〜3℃/分の冷却速度、3〜5MPa/分の減圧速度で冷却減圧し、常温、0.1MPa(1気圧)まで戻した。以上のように実施例1の電子写真感光体を得た。
表面層における光安定剤の注入量は0.1wt%であった。この注入量は、「注入量」=「超臨界流体への添加量」−「超臨界処理後の超臨界流体中の残存量」によるものであり、具体的には、減圧により二酸化炭素を除去後装置内を有機溶媒にて溶解洗浄、回収し溶媒を除去後、処理後の前記残存量から求めたものである。
<実施例2>
実施例1において超臨界流体を二酸化炭素/メタノール=8/2に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0.15wt%であった。
<実施例3>
実施例1において超臨界流体を二酸化炭素/メタノール=7/3に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0.2wt%であった。
<実施例4>
実施例1において光安定剤LA−77Y(アデカ製)をLA−52(アデカ製)に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0.1wt%であった。
<比較例1>
実施例1において超臨界流体による光安定剤の注入処理を行わなかった以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0wt%である。
<比較例2>
実施例1において超臨界流体による光安定剤の注入処理温度を150℃、30MPaの超臨界流体とした以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は5.2wt%であった。
<比較例3>
実施例1において超臨界流体による光安定剤の注入処理温度を20℃、30MPaとした以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0.005wt%であった。
<実施例5>
実施例1において光安定剤LA−77Y(アデカ製)をLA−32(アデカ製)に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。表面層における光安定剤の注入量は0.1wt%であった。
この様にして作成した電子写真感光体を反転現像方式のデジタル複写機(当社製イマジオ250)の露光部を波長665nmレーザー露光に改造し、現像ローラをはずして電位計のプローブを取り付けたユニットで初期の帯電電位、露光後電位を測定した後、現像ローラを取り付けた現像ユニットを用いて白紙画像、ハーフトーン画像、黒ベタ画像を印字した。
続いて文字パターンを30万枚印字した。印字後、帯電電位、露光後電位の測定、及び白紙画像、ハーフトーン画像、黒ベタ画像を印字した。
なお、黒ポチの評価はカラーイメージプロセッサーSPICCA(日本アビオニクス社製)を用いて白紙画像中の黒ポチの大きさと個数を測定し、φ0.05mm以上の黒ポチの1cm当たりの個数により判定した。残像はハーフトーン画像、黒ベタ画像を目視にて評価した。黒ポチ、残像の判定基準を表3に示す。なお、判定における◎、○、△は実用上特に問題のないことを、×の場合は実用に適さないことを意味する。
これらの結果を表4に示す。
Figure 2008261933
Figure 2008261933
本発明の感光層の断面図を示す図である。 本発明の電子写真装置の模式断面図である。
符号の説明
21 導電性基体
22 樹脂層
23 下引き層
24 電荷発生層
25 電荷輸送層
26 表面層
27 感光層
31 感光体ドラム
32 接触帯電装置
33 イメージ露光手段
34 現像手段
35 転写部材
36 接触転写手段
37 クリーニング手段
38 除電手段
39 定着手段

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体の製造方法において、該表面層に、光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体を、30〜140℃の温度で接触させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記超臨界流体及び亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素と他流体との混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記他流体が、一酸化炭素、窒素、アンモニア、メタノール、エタノール、エタン、プロパンから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記超臨界流体及び/または亜臨界流体のいずれかもしくは両方が、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 導電性支持体上に感光層、少なくとも2種以上の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化した架橋層からなる表面層を有する電子写真感光体において、該表面層が、光安定剤を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体が30〜140℃の温度で接触させられたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項6記載の電子写真感光体。
  8. 前記表面層の膜厚が5μm〜15μmであることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子写真感光体。
  9. 支持体と感光層との間にポリアミド樹脂を主成分とする接着層、及び無機顔料を樹脂中に分散した下引き層を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 感光体ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段が一体に支持しされ装置本体に着脱自在できるプロセスカートリッジを有する画像形成装置であって、該感光体が請求項6乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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