JP2008258675A - 音像定位処理装置等 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な信号処理にてサラウンドシステムをフロントスピーカにて実現するとともに、複数の聴取者に対して同様な側方定位効果を与えることが可能な音像定位処理装置を提供する。
【解決手段】音像定位処理装置100は、入力された複数の音響信号に基づいて聴取者の前方左右に配置された2つのスピーカFR、FLを拡声させ、複数の前記聴取者に対して臨場感のある音場空間を提供する音像定位処理装置100であって、1の前記聴取者の聴取位置に対して右方向から聴取させる音響信号を示す右信号および左方向から聴取させる音響信号を示す左信号の位相をコントロールして当該1の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理手段200と、前記信号処理された音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割手段200と、前記分割された周波数帯域毎に他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記右信号又は左信号の位相をコントロールして当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正手段200と、を具備する。
【選択図】図1

Description

本願は、音像の位置を変化させて再生する音像の定位処理に関し、特に、複数の聴取者に対する音像の定位処理の技術分野に関する。
一般的に、5.1chサラウンド方式と称されるサラウンドシステムが実用に供されている。当該サラウンドシステムは、聴取者の前方に配置されるセンタースピーカと、その左右に配置されるフロントスピーカと、当該聴取者の左右側方、または後方に配置されるサラウンドスピーカとして機能するリアスピーカと、低域を専用に拡声するサブウーファーと、を含んで構成されている。そして当該サラウンドシステムは、各スピーカに入力される音声信号を遅延制御するなどして聴取者に対して音像の位置を変化させて、当該聴取者は音像が側方に定位する側方定位効果を得られるようになっている。
一方、最近では、上記サラウンドスピーカ(リアスピーカ)を用いずに聴取者の前方左右に配置されたフロントスピーカのみで聴取者に対して音像の位置を変化させることが可能なものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されているサラウンドシステムは、5.1chサラウンドシステムにおいて聴取者の左右側方、または後方に配置されるサラウンドスピーカに供給すべき左右サラウンド信号(音声信号)を混合した後、信号処理によってモノラル信号として2つの信号に分割し、一方のモノラル信号をセンタースピーカ、他方のモノラル信号を左右フロントスピーカにそれぞれ入力するように構成されている。
特開2000−577859号公報
しかしながら、上述のサラウンドシステムにあっては、伝達関数を利用したフィルタ処理を用いることによってサラウンドシステムを実現している。両耳までの伝達関数を用いる処理は演算量が多く、また複数席の聴取者に対しての再生処理に応用する場合には、席ごとにそれらフィルタ処理を逐次用意する必要性が生じ、ターゲットの席を変更する際のチューニングに不向きであるなど、実用的に対応させるための問題が多い。
また、上述のサラウンドシステムにあっては、両サラウンド信号を一度モノラル信号に変換してしまうので、サラウンド信号の定位を元信号のように再現することができない。
さらに、一般的なフロントスピーカのみで側方定位効果を得ることが可能なサラウンドシステムは、複数の聴取者が存在する場合、中央席の聴取者は音像が側方に定位する側方定位効果を得られるものの、その効果を体感できるエリアは狭く、他の聴取者はその効果を有効に体感することができないという問題がある。
本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例としては、簡易な信号処理にてサラウンドシステムをフロントスピーカにて実現するとともに、複数の聴取者が同様な側方定位効果を得られる音像定位処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の音像定位処理装置(100)は、入力された複数チャンネルの音響信号に基づいて聴取者の前方左右に配置された2つのスピーカを拡声させ、複数の前記聴取者に対して音像を側方に定位させる音像定位処理装置であって、一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理手段(200)と、信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割手段(200)と、前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正手段(200)と、を具備することを特徴とする。
また、請求項6に記載の音像定位処理方法は、入力された複数チャンネルの音響信号に基づいて聴取者の前方左右に配置された2つのスピーカを拡声させ、複数の前記聴取者に対して音像を側方に定位させる音像定位処理方法であって、一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理工程と、信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割工程と、前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正工程と、を具備することを特徴とする。
また、請求項7に記載の音像定位処理プログラムは、請求項1に記載の音像定位処理装置に含まれるコンピュータを、一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理手段、信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割手段、前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正手段、として機能させることを特徴とする。
以下、添付図面に基づいて、本願の実施形態について説明する。本実施形態の音像定位処理装置100は、聴取者の前方左右に配置された2つのフロントスピーカ132を用いて、複数の聴取者の側方に音像を定位させる装置である。
図1は本実施形態の音像定位処理装置の構成を示すブロック図であり、図2は本実施形態の音像定位処理装置における各スピーカの配置と聴取者の座席位置の関係を説明するための一例を示す図、図3は信号処理部における側方定位処理の説明図である。
本実施形態の音像定位処理装置100は、図1及び図2に示すように、リスニングルーム10、すなわち、聴取者に対して再生される音を提供するための音場空間に設置される。この音像定位処理装置100は、図1に示すように、記録メディアなどの音源を再生することにより、または、テレビジョン信号など外部から音源を取得することにより、各スピーカに対応するチャンネル毎に当該各チャンネルに対応する音声信号を出力する音源出力装置110と、当該音源出力装置110から出力された複数チャンネルのそれぞれに対応する音声信号毎に信号処理を行う信号処理装置120と、チャンネル毎に信号処理された音声信号が入力されるスピーカシステム130と、を含んで構成される。
図2に示すように、リスニングルーム10には、スピーカシステム130として、フロントスピーカ132が配置されている。当該フロントスピーカ132は、聴取者側から見て、前方右側のフロントスピーカFR(以下、FRスピーカと称する。)と、前方左側のフロントスピーカFL(以下、FLスピーカと称する。)と、を備えて構成されている。当該フロントスピーカ132は、所定の間隔を有して並べて配置されており、その出力方向の前方には、聴取者が座るための座席15が設けられている。当該座席15は、例えば、FLスピーカとFRスピーカまでの距離が等しく設定されて配置されている中央席15aと、その両脇に配置される右席15b及び左席15cと、を備えている。
そして、この音像定位処理装置100は、当該フロントスピーカ132によって、聴取者の側方又は後方にサラウンドスピーカ135と称されるスピーカから発せられる音によって聴取者の両耳に生じる音圧レベルの差を再現することによって、聴取者があたかも側方から音が聞こえてくるような現象を作りだしている。
例えば、中央席15aの聴取者に対して、当該聴取者の側方に音像を定位させる側方定位効果を与える場合、音像定位処理装置100は、信号処理装置120の信号処理部200によって、サラウンドスピーカ135から発せられる音によって聴取者の両耳に生じる音圧レベルの差を再現すべく、サラウンドスピーカ135に入力されるべきサラウンド信号の位相をコントロールするための制御信号を生成し、当該サラウンド信号に制御信号を加えてフロントスピーカ132に入力するようになっている。
また、中央席15aから右席15bに聴取者が移動した場合には、聴取者はFRスピーカに近づきFLスピーカから遠ざかり、聴覚上は、左耳より右耳にて聴取される音のレベルが大きくなる。よって、音像定位処理装置100は、信号処理装置120の信号処理部200によって、FRスピーカから出力されるべき音声信号を一定時間遅らせ、音圧レベルを減衰させる制御信号を生成し、音声信号に制御信号を加えてフロントスピーカに入力するようになっている。これにより、右席15bで音を聞いている状態と中央席15aで音を聞いている状態とは等価となる。
一方、中央席15aから左席15cに聴取者が移動した場合には、中央席15aから右席15bに移動した場合と対照的な処理を行えばよい。すなわち、音像定位処理装置100は、信号処理装置120の信号処理部200によって、FLスピーカから出力されるべき音声信号を一定時間遅らせ、音圧レベルを減衰させる制御信号を生成し、音声信号に制御信号を加えてフロントスピーカに入力するようになっている。これにより、左席15cで音を聞いている状態と中央席15aで音を聞いている状態とは等価となる。
しかしながら、側方定位効果を体感することが出来るエリアは狭く、複数人(例えば、中央席、右席、左席に座る各聴取者)に対して同時にその効果を体感させることは難しい。
ここで、中央席、右席、左席のそれぞれに聴取者が存在し、それぞれの聴取者に対して側方定位効果を与える場合について検討する。
上記に示すように、各席の聴取者の側方に音像を定位させるために生成される制御信号をそれぞれ加算することで複数の聴取者に対して同時に側方定位効果を生じさせようとすると、当該制御信号同士が干渉するとともに、フロントスピーカ132から出力される音声信号の位相が変化するため、通常は、どの席の聴取者に対しても音圧レベルの差を生じさせることができず、各聴取者に対して十分な側方定位効果を与えることができない。
そこで、本実施形態の音像定位処理装置100は、図3に示すように、左右のサラウンドスピーカ135に入力されるべき音声信号(サラウンド信号)が、各聴取者の側方に音像が定位するように側方定位処理されて出力される。具体的には、音像定位処理装置100は、信号処理装置120の信号処理部200によって、左右のサラウンドスピーカ135に入力されるべきサラウンド信号を所定の帯域毎に分割して、当該帯域毎に複数の聴取者のそれぞれを割当て、当該帯域毎に各聴取者が側方定位効果を得られるようにサラウンド信号の位相をコントロールする制御信号を生成し、サラウンド信号に制御信号を加えて出力するようになっている。なお、当該制御信号が加えられたサラウンド信号は、フロントスピーカ132に入力される。
この音像定位処理装置100によれば、サラウンド信号の帯域毎に制御信号が加えられているため、制御信号同士は干渉し合わない。よって、帯域毎に割当てられた聴取者に対して、その聴取者は、割当てられた帯域で側方定位効果を得ることが可能となっている。
また、一般に音楽信号のような広帯域の信号の場合、音を帯域ごとに分離して聞き分けることは困難であり、割当てられた帯域での側方定位効果によって、全ての周波数帯で音像が側方に定位しているように感じられる。
このように本実施形態の音像定位処理装置100によれば、サラウンド信号の帯域毎に各聴取者を割当てて、各聴取者がその帯域において側方定位効果が得られるように制御信号を生成し、サラウンド信号に当該制御信号を合成して、サラウンド信号の位相をコントロールすることにより、複数の聴取者は側方定位効果を十分体感できるようになっている。
ここで、複数の聴取者に対して側方定位効果をバランスよく与えるために、サラウンド信号を帯域分割した後の各席(中央席、左席、右席)の割当て手法について検討する。
まず、音声信号に対して、所定の周波数帯域ごとに時間変動が多く生じると定位感が弱くなり、聴取者は、音像の定位効果をあまり感じなくなってしまう傾向があるので、各席に割当てる周波数帯域の幅は広いほうが良い。
また、聴取者の左側方に音像を定位させる左サラウンド信号と、聴取者の右側方に音像を定位させる右サラウンド信号にそれぞれ右席と左席を割当てた場合、両者は対照的な処理であるため、特に左サラウンド信号と右サラウンド信号の相関が高い場合、両処理が打ち消しあってしまうと考えられるので、同じ周波数帯域には、同じ席を割当てるほうが良い。
また、右席、左席を低域に割当てた場合、聴取者は、頭部の回り込みの影響を受け易く、また、一方の制御信号の経路が長くなり、部屋の反射の影響を受け易くなり、制御信号が所望の波形とは異なって耳に到達するため側方定位効果が弱くなってしまうことが考えられるので、左席又は右席を低域(例えば、400Hz以下)に割当てるべきではなく、中央席を割当てるほうが良い。
さらに、右席、左席を高域に割当てた場合、高域はレベル差が定位に大きな影響を与えることが一般的に知られているため、異なる席において側方定位効果を著しく下げる要因となりうると考えられるので、各席のバランスを考慮すると高域(例えば、2500Hz以上)は中央席を割当てるほうが良い。
次に、サラウンド信号を所定の帯域毎に分割して当該帯域毎に各席を割当てる際の具体的なカットオフ周波数の設定について図4を用いて検討する。図4はスピーカの設置位置と聴取者の座席位置の関係を示す一例である。
まず、フロントスピーカと聴取者の聴く位置との関係について検討する。
フロントスピーカ132から出力される周波数帯域の音は波長の波として聴取者の聴く位置に到達する。この時、中央席15aの聴取者に対して側方定位効果を与える場合、サラウンド信号と制御信号との干渉を利用して音圧のディップを両耳の側方に生じさせるようになっている。そのため、周波数毎に考えれば、この音圧のディップがサラウンド信号と制御信号との時間差が信号の周期の整数倍となるような位置に周期的に現れる(式1参照)。よって、周期が座席のずれによる到達時間のずれと一致すれば、座席の位置が異なっていても聴取者は同様な側方定位効果が得られる。
一方、サラウンド信号と制御信号との時間差が信号の周期の整数倍+半周期となる位置は、音声信号同士が打ち消し合い、音圧のディップは生じないため、聴取者は側方定位効果が得られない(式2参照)。
例えば、図4に示すように、聴取者が中央席、右席、左席に並んで座っている状況で効果を体感する状況を想定し、中央席での処理が、それ以外の席に与える影響について検討する。なお、D、Dは、それぞれ右席からフロントスピーカFR、FLまでの距離である。
右席におけるそれぞれのフロントスピーカから発せられるサラウンド信号と制御信号との時間差は、音速をcとおくと、
|D−D|/c
で表わせる。この値が周期の整数倍となる周波数は、右席でも側方定位効果を得ることができると考えられることから、
|D−D|/c=1/f×n (n=1,2,3,・・・) (式1)
を満たす周波数は右席でも側方定位効果を得られ、且つ、対称性より左席でも効果を得られる。
さらに、右席あるいは左席の側方定位処理を行った場合でも、同様の計算によって他の席全てで側方定位効果が得られる。
一方、
|D−D|/c=1/f×(n+1/2) (n=0,1,2,3,・・・) (式2)
を満たす周波数は、互いに音を打ち消し合うように作用し、右席や左席では効果を得られない。これらの周波数はその周期から、座席の位置で考えた場合、一つおきの席で効果を得られることとなるため、中央席での処理を行わずに、右席(あるいは左席)での処理を行うと、中央席での効果が得られない代わりに左席(あるいは右席)での効果を得られる。よって、これらの周波数帯は右席(あるいは左席)の処理を行ったほうがより多くの席で効果を与えることができると考えられる。
次に、上記に示したフロントスピーカと聴取者の聴く位置との関係の考え方を基に、具体的なカットオフ周波数の設定例について図4を用いて説明する。図4は、中央席、右席、左席にそれぞれ聴取者が存在している。ここで、例えば、帯域をLPF(ローパスフィルタ)、BPF(バンドパスフィルタ)、HPF(ハイパスフィルタ)によって4つの帯域に分割する際のカットオフ周波数の設定例を検討する。
式1により、周波数はn=1の場合、1000Hzと算出される。ここで、n=1,2,3,・・・であるため、例えば、1000Hz、2000Hz周辺ではどの席の処理を行っても良いことがわかる。
一方、式2により、周波数はn=0の場合、500Hzと算出される。ここで、n=0,1,2,3,・・・であるため、例えば、500Hz、1500Hz周辺では右席または左席の処理を行った方が良いことがわかる。
また、低域及び高域は中央席、中域は右席又は左席を割当てることがよいと考えられるため、2つのBPFの中心周波数は、500Hz、1500Hzに設定するのが良く、この条件で2つのBPFが等しいオクターブバンド幅となるようにそれぞれのフィルタのカットオフ周波数を設定すればより効果的であると考えられる。
次に、本実施形態における音像定位処理装置の各装置の具体的な構成及び処理について図1を用いて説明する。
音源出力装置110は、例えば、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)などのメディア再生装置またはデジタルテレビジョン放送を受信する受信装置から構成され、CDなどの音源を再生することにより、または、放送された音源を取得することにより、5.1chに対応するチャンネル毎のオーディオ信号をデジタル信号によって信号処理装置120に出力するようになっている。
信号処理装置120には、音源出力装置110から出力されたチャンネル毎のオーディオ信号が入力されるようになっている。この信号処理装置120は、音源出力装置110から入力されるオーディオ信号を受信する入力処理部121と、当該オーディオ信号をチャンネル毎に信号処理する信号処理部200と、チャンネル毎に信号処理されたデジタル信号からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換するD/A変換器122FL、122FRと、チャンネル毎にアナログ信号に変換されたオーディオ信号を増幅する電力増幅器123FL、123FRと、を含んで構成されている。
信号処理部200は、システム制御部125の制御の下、サラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号の位相をコントロールし、聴取者の側方に音像を定位させるための制御信号を生成し、サラウンド信号に制御信号を加えて出力するようになっている。なお、当該制御信号が加えられたサラウンド信号は、FRスピーカ、FLスピーカに入力すべく、D/A変換器122FL、122FRにそれぞれ入力される。
また、電力増幅器123は、システム制御部125の制御の下、操作部124によって指定された音量の指示に基づいてチャンネル毎のオーディオ信号の信号レベルを増幅し、当該増幅された各オーディオ信号を各チャンネルに対応するFRスピーカ及びFLスピーカに出力するようになっている。
操作部124は、各種確認ボタン、選択ボタン及び数字キーなどの多数のキーを含むリモートコントロール装置または各種キーボタンにより構成されている。
システム制御部125は、FRスピーカ及びFLスピーカよりオーディオ信号を拡声して複数の視聴者に対して音象定位処理を行うための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
なお、チャンネルとは、音源出力装置110から出力されるオーディオ信号の信号伝送路をいい、各チャンネルは、他のチャンネルと基本的には異なるオーディオ信号を伝送するようになっている。
以下に、具体的な信号処理部における側方定位処理について説明する。
[第1実施形態]
―実施例1―
次に、聴取者が中央席と右席に存在する場合の信号処理部の実施例について、図5及び図6を用いて説明する。図5は本実施例1における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図、図6は本実施例1における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。
本実施例は、サラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号を低域と高域の帯域に分割して、当該分割されたそれぞれの帯域に中央席と右席とを割当て、各帯域において割当てられた各席の聴取者に対して側方定位処理を行うようになっている。なお、本実施例では、低域を中央席に割当て、高域を右席に割当てている。
本実施例の信号処理部200では、まず、図5に示すように、本願の左信号として機能する左側のサラウンドスピーカ135に出力されるべき左サラウンド信号SLが、FLスピーカに入力されるサラウンド信号(以下、左スピーカ入力用サラウンド信号SLLと称する。)と、FRスピーカに入力されるサラウンド信号(以下、右スピーカ入力用サラウンド信号SLR)とに分岐される。
左スピーカ入力用サラウンド信号SLLは、LPF及びHPFにより、低域と高域とに周波数帯域が分割された後、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、高域に対応するサラウンド信号はレベル補正(調整)される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRは、各周波数帯で適切な時間差を生じさせ、各周波数の振幅値を変えずに位相のみを変化させることが可能なオールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF及びHPFにより、低域と高域とに周波数帯域が分割され、高域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、高域に対応するサラウンド信号は、帯域をフラットにするために音圧レベルが均等となるようにレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。なお、位相制御処理は、帯域分割フィルタバンクと遅延素子との組み合わせなどによって行っても構わない。
また、信号処理部200では、図6に示すように、本願の右信号として機能する右側のサラウンドスピーカ135に出力されるべき右サラウンド信号SRが、FRスピーカに入力されるべきサラウンド信号(以下、右スピーカ入力用サラウンド信号SRRと称する。)と、FLスピーカに入力されるべきサラウンド信号(以下、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLと称する)とに分岐される。
右スピーカ入力用サラウンド信号SRRは、LPF及びHPFにより、低域と高域とに周波数帯域が分割された後、高域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、高域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、周波数帯域の異なるサラウンド信号を合成して出力されるようになっている。
一方、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLは、中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF及びHPFにより、低域と高域に周波数帯域が分割され、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、高域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、周波数帯域の異なるサラウンド信号を合成して出力されるようになっている。
なお、右スピーカ入力用サラウンド信号SLR及びSRRは、合成されて右サラウンド信号としてFRスピーカに入力され、左スピーカ入力用サラウンド信号SLL及びSRLは、合成されて左サラウンド信号としてFLスピーカに入力されるようになっている。
本実施例は、中央席の聴取者が低域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が高域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を体感できるようになっている。
なお、本実施例では、左サラウンド信号と右サラウンド信号とにおいて帯域分割される周波数帯域は同じであるが、当該周波数帯域を異ならせるようにしても構わない。例えば、左サラウンド信号側で帯域分割される周波数を400Hzに設定し、右サラウンド信号側で帯域分割される周波数を1kHzに設定すればよい。
―実施例2―
次に、聴取者が中央席、右席、左席のそれぞれに存在する場合の信号処理部の実施例について図7及び図8を用いて説明する。図7は本実施例2における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図、図8は本実施例2における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。
本実施例は、サラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号を低域、中域、高域の帯域に分割して、当該分割されたそれぞれの帯域に中央席と右席と左席とを割当て、各帯域において割当てられた各席の聴取者に対して側方定位処理を行うようになっている。なお、本実施例では、低域を中央席15aに割当て、中域を右席15bに割当て、高域を左席15cに割当てている。
本実施例の信号処理部200では、まず、図6に示すように、左側のサラウンドスピーカに出力されるべき左サラウンド信号SLが、左スピーカ入力用サラウンド信号SLLと、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRと、に分岐される。
左スピーカ入力用サラウンド信号SLLは、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割された後、高域に対応するサラウンド信号に対して左席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域と高域に対応するサラウンド信号はレベル補正(調整)される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理した後、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割され、中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域と高域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
また、信号処理部200では、図7に示すように、右側のサラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号SRが、右スピーカ入力用サラウンド信号SRRと、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLと、に分岐される。
右スピーカ入力用サラウンド信号SRRは、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割された後、中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域と高域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理した後、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割され、高域に対応するサラウンド信号に対して左席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域と高域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
なお、右スピーカ入力用サラウンド信号SLR及びSRRは、合成されて右サラウンド信号としてFRスピーカに入力され、左スピーカ入力用サラウンド信号SLL及びSRLは、合成されて左サラウンド信号としてFLスピーカに入力されるようになっている。
本実施例は、中央席の聴取者が低域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が中域において側方定位効果が得られ、左席の聴取者が高域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を体感できるようになっている。
―実施例3―
次に、聴取者が中央席と右席に存在する場合の信号処理部の実施例について、図9及び図10を用いて説明する。図9は本実施例3における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図、図10は本実施例3における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。
本実施例は、サラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号を低域、中域、高域の帯域に分割して、低域と高域に中央席を割当て、中域に右席を割当て、各帯域において割当てられた各席の聴取者に対して側方定位処理を行うようになっている。
本実施例の信号処理部200では、まず、図9に示すように、左側のサラウンドスピーカに出力されるべき左サラウンド信号SLが、左スピーカ入力用サラウンド信号SLLと、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRと、に分岐される。
左スピーカ入力用サラウンド信号SLLは、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割された後、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割され、中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
また、信号処理部200では、図10に示すように、右側のサラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号SRが、右スピーカ入力用サラウンド信号SRRと、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLと、に分岐される。
右スピーカ入力用サラウンド信号SRRは、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割された後、中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF、BPF、及びHPFにより、低域、中域、高域に周波数帯域が分割され、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
なお、右スピーカ入力用サラウンド信号SLR及びSRRは、合成されて右サラウンド信号としてFRスピーカに入力され、左スピーカ入力用サラウンド信号SLL及びSRLは、合成されて左サラウンド信号としてFLスピーカに入力されるようになっている。
本実施例は、低域及び高域は中央席、中域は右席又は左席を割当てることが効果的であることを考慮して、中央席の聴取者が低域及び高域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が中域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を十分に体感できるようになっている。
―実施例4―
次に、聴取者が中央席、右席、左席のそれぞれに存在する場合の信号処理部の実施形態について図11及び図12を用いて説明する。図11は本実施例4における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図、図12は本実施例4における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。
本実施例は、サラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号を低域、2つの中域、高域の帯域に分割して、低域と高域に中央席を割当て、2つの中域に右席と左席とをそれぞれ割当て、各帯域において割当てられた各席の聴取者に対して側方定位処理を行うようになっている。なお、本実施例では、周波数帯域が低い側の中域を右席に割当て、周波数帯域が高い側の中域を左席に割当てている。
本実施例の信号処理部200では、まず、図11に示すように、左側のサラウンドスピーカに出力されるべき左サラウンド信号SLが、左スピーカ入力用サラウンド信号SLLと、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRと、に分岐される。
左スピーカ入力用サラウンド信号SLLは、LPF、BPF1、BPF2、及びHPFにより、低域、2つの周波数帯域からなる中域、高域に周波数帯域が分割された後、周波数帯域が高い側の中域に対応するサラウンド信号に対して左席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、周波数帯域が異なる2つの中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、右スピーカ入力用サラウンド信号SLRは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF、BPF1、BPF2、及びHPFにより、低域、2つの周波数帯域からなる中域、高域に周波数帯域が分割され、周波数帯域が低い側の中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、周波数帯域が異なる2つの中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
また、信号処理部200では、図12に示すように、右側のサラウンドスピーカに入力されるべきサラウンド信号SRが、右スピーカ入力用サラウンド信号SRRと、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLと、に分岐される。
右スピーカ入力用サラウンド信号SRRは、LPF、BPF1、BPF2、及びHPFにより、低域、2つの周波数帯域からなる中域、高域に周波数帯域が分割された後、周波数帯域が低い側の中域に対応するサラウンド信号に対して右席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び減衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、周波数帯域が異なる2つの中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
一方、左スピーカ入力用サラウンド信号SRLは、オールパスフィルタにより中央席の聴取者の側方に音像が定位するように位相制御処理された後、LPF、BPF1、BPF2、及びHPFにより、低域、2つの周波数帯域からなる中域、高域に周波数帯域が分割され、周波数帯域が高い側の中域に対応するサラウンド信号に対して左席の聴取者の側方に音像が定位するように遅延及び衰処理される。なお、帯域をフラットにするとともに音圧レベルが均等となるように、周波数帯域が異なる2つの中域に対応するサラウンド信号はレベル調整される。そして、帯域分割されたサラウンド信号がそれぞれ合成されて出力されるようになっている。
なお、右スピーカ入力用サラウンド信号SLR及びSRRは、合成されて右サラウンド信号としてFRスピーカに入力され、左スピーカ入力用サラウンド信号SLL及びSRLは、合成されて左サラウンド信号としてFLスピーカに入力されるようになっている。
本実施例は、低域及び高域は中央席、中域は右席又は左席を割当てることが効果的であることを考慮して、中央席の聴取者が低域及び高域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が周波数が高い側の中域において側方定位効果が得られ、左席の聴取者が周波数が低い側の中域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を十分に体感できるようになっている。
なお、本願は上述した実施形態に限られず、種々の形態にて実施できる。例えば、周波数帯域を分割する際の中域の幅は、左右のエネルギーバランスを整えている限りにおいて自由に設定でき、この帯域を実施例よりも更に細かくオクターブバンドフィルタで分割し、右席と左席とを交互に割当てるようにしてもよい。また、右席、左席の聴取者に対する音像の定位は、当該聴取者の座る位置でかなり異なるため、遅延及び減衰処理を聴取者側で自由に設定できるようにしても構わない。また、本実施の形態で説明した音像定位処理装置は、ホームシアターシステム、PDP等の薄型テレビ、PC、ポータブルDVD等のパーソナルサラウンドシステムに適用することが可能である。
[第2実施形態]
[聴取者が左右スピーカから等距離(中央席)に存在しない実施例]
以上説明してきた実施例1乃至4においては、聴取者が左右のスピーカの中央にいる(存在する)場合について説明してきた。しかし、以降の実施例5乃至7においては、2人の聴取者が中央席にいない場合について説明する。以下、図13乃至図22を用いて、聴取者が左右のスピーカの中央にいない場合について説明する。
図13は、実施例1乃至4を実施するサラウンドシステムの構成に加えて、実施例5乃至7を実施するために必要なサラウンドシステムのハードウェアの構成を説明するブロック図である。
図13におけるサラウンドシステムは、システム制御部125、アンプ140、アンプ141、スピーカFL(左スピーカ)、スピーカFR(右スピーカ)、マイク142、入力装置143を含む構成となっている。
システム制御部125には、テスト信号生成部126、解析部127、メモリ128、制御部129が含まれる。
テスト信号生成部126は、マイク142から各スピーカまでの楽曲音の到達時間を測定するためのテスト信号SG1を生成する部分である。テスト信号SG1はアンプ140において増幅され、スピーカFLまたはスピーカFRから放音される。また、テスト信号生成部126は、テスト信号SG1に関する送信タイミング(送信時刻)等の情報を含むテスト情報信号SG2を解析部127へ出力する。
解析部127は、テスト信号生成部126において生成されたテスト情報信号SG2と、スピーカFLまたはスピーカFRから放音された音を受信したマイク142からアンプ141を介して入力された受信信号SG3と、を比較して、スピーカFLおよびスピーカFRからマイク142までの距離演算(距離の測定)を行なう。演算結果は、内部バスまたは外部から接続された信号線を介して、図1に記載された信号処理部200に伝送される。
メモリ128は、解析部127の演算における途中経過または演算結果を記憶する。
制御部129は、テスト信号生成部126にテスト信号SG1およびテスト情報信号SG2を生成するように制御し、解析部127にスピーカFLおよびスピーカFRからマイク142までの距離演算をするように制御し、入力装置143に入力された情報に基づいて制御を行なう。
マイク142は、前述したようにスピーカFLまたはスピーカFRから放音されるテスト音を受信し、アンプ141へ受信したテスト音を送信する(アンプ141の出力信号を前述したように受信信号SG3と称する。)。
入力装置143は、スピーカFLまたはスピーカFRからマイク142までの距離の測定の開始指示、終了指示およびスピーカFLとスピーカFRとの設置距離を入力指示するため等に使用される。
なお、図13のテスト信号生成部126、解析部127、メモリ128、制御部129は、図1におけるシステム制御部125内に設けられる構成としたが、これに限定されるわけではなく、システム制御部125外に設けられる構成とすることもできる。また、入力装置143は、図1における操作部124と共用することが可能である。さらに、スピーカFLおよびスピーカFRを図1におけるスピーカ132と共用または内蔵させる構成とすることもできる。
また、アンプ140を図1における電力増幅器123FLと共用または電力増幅器123FLに内蔵させる構成とすることもできる。さらにアンプ141を図1における電力増幅器123FRと共用または電力増幅器123FRに内蔵させる構成とすることもできる。
次に、図14および図15を用いて、スピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音を聴取者が聴取する位置にマイク142を設置した場合の、スピーカFLおよびスピーカFRからマイク142までの距離を演算する処理動作についてフローチャートを用いて説明する。
ステップS1において、聴取者は、入力装置143から、スピーカFLとスピーカFRとのスピーカ間の距離を入力する。
ステップS2において、聴取者はスピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音を聴取する位置にマイク142を設置する。
ステップS3において、聴取者は入力装置143にスピーカFLおよびスピーカFRとマイク142間の距離を測定する指示情報を入力する。指示情報は制御部129に送信され、制御部129はテスト信号生成部126にテスト信号SG1をスピーカFLおよびスピーカFRから放音するように制御する。また、テスト信号SG1を発生させるタイミング情報等含むテスト情報信号SG2をテスト信号生成部126から解析部127へ出力するように制御する。各スピーカ(スピーカFLとスピーカFRからそれぞれ別々のタイミングでテスト信号SG1が放音される。)から放音された音をマイク142は受信し、アンプ141から出力される受信信号SG3が解析部127に入力される。
ステップS4において、解析部127は、テスト信号生成部126において生成されたテスト情報信号SG2と、スピーカFLまたはスピーカFRから放音された音を受信したマイク142からアンプ141を介して入力された受信信号SG3と、を比較して、スピーカFLおよびスピーカFRからマイク142までの距離を演算する。
ステップS5において、制御部129は解析部127に、ステップS4において演算した各スピーカからマイク142までの距離情報をメモリ128に記憶するように制御する。
ステップS6において、制御部129は、聴取者が入力装置143へ測定の終了指示情報を入力したか否かを判断する。制御部129が測定の終了指示情報が入力されたと判断した(ステップS6:Yes)場合にはステップS8に進む。制御部129が測定の終了指示情報が入力さていないと判断した(ステップS6:Yes)場合にはステップS8に進む。次にステップS7に進む。
ステップS7において、聴取者は、同時に他の座席で他の聴取者がスピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音を聴取する場合に、他の聴取者が聴取する他の座席位置にマイク142を設置する。
ステップS8において、システム制御部125は、メモリ128に対してステップS4において演算したスピーカFLおよびスピーカFRからマイク142が設置された位置(聴取者がスピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音を聴取する位置)までの距離を演算した結果値をメモリ128から出力するように制御し、ステップS9以降の各ステップにおける演算に使用する。
ステップS9において、聴取者がスピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音を聴取する場合に、各聴取者が聴取する位置におけるスピーカFLおよびスピーカFRから放音される楽曲音のタイムアライメント値(聴取者の聴取位置におけるスピーカFLとスピーカFRから放音された音の時間差を計算し、より早く到達する信号にその差分の遅延を加える場合の遅延値である。)を演算する。また、聴取位置は、測定されたデータから演算される各スピーカから聴取位置までの距離と、聴取者が最初にステップS1において入力したスピーカ間隔から確定できる。各スピーカから聴取位置までの距離は、信号の到達時間に音速を乗じることによって演算される。
ステップS10において、システム制御部125は、2人の聴取者が楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からそれぞれ反対側にいるか(一人の聴取者が各スピーカ間の中央位置からスピーカFL側に近づいた位置で聴取し、もう一人の聴取者が各スピーカ間の中央位置からスピーカFR側に近づいた位置で聴取する場合。(ステップS10:YES))否か(二人の聴取者とも各スピーカ間の中央位置からスピーカFL側またはスピーカFR側に近づいた位置において聴取する場合。(ステップS10:NO))を判断する。2人の聴取者が楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からそれぞれ反対側にいる場合(ステップS10:YES)の場合には、ステップS11に進む。また、2人の聴取者が楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央から同じ側にいる場合(ステップS10:NO)の場合には、ステップS12に進む。次にステップS11に進む。
ステップS11において、システム制御部125は実施例5に説明する各スピーカから放音される楽曲音の帯域の振り分けを行なう。
ステップS15において、システム制御部125は実施例5に説明する処理を行なう。
ステップS13において、システム制御部125は、二人の聴取者が共にスピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からスピーカFL側にいるか否かを判断する。二人の聴取者が共にスピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からスピーカFL側にいる場合(ステップS13:YES)の場合にはステップS14に進む。二人の聴取者が共にスピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からスピーカFR側にいる場合(ステップS13:NO)の場合にはステップS16に進む。次にステップS14に進む。
ステップS14において、システム制御部125は実施例6に説明する各スピーカから放音される楽曲音の帯域の振り分けを行なう。
ステップS15において、システム制御部125は実施例6に説明する処理を行なう。次にステップS16に進む。
ステップS16において、システム制御部125は実施例7に説明する各スピーカから放音される楽曲音の帯域の振り分けを行なう。
ステップS17において、システム制御部125は実施例7に説明する処理を行なう。
次に実施例5乃至7について順番に説明する。
−実施例5−
2人の聴取者がスピーカから放音される楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央からそれぞれ反対側にいる場合についてのスピーカから放音される音の周波数分割について図16および図17を用いて説明する。図16は、スピーカFLとスピーカFRとの位置関係と、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。図17は、左サラウンド信号SL_inの処理方法および右サラウンド信号SR_inの処理方法を説明する図である。
最初に、図16を用いて、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲の周波数の振り分け方法の一例について説明する。
図16(a)は実施例5におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。
図16(a)において、聴取者Aは、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央線位置CLRからスピーカFLに近い位置(スピーカFL側)においてスピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音を聴取しようとしていることが示されている。また、聴取者Bは、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央線位置CLRからスピーカFRに近い位置(スピーカFR側)においてスピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音を聴取しようとしていることが示されている。
図16(b)は実施例5における左サラウンド信号SL_inと右サラウンド信号SR_inの周波数の振り分け方法の一例を示す図である。
前述したように本願の技術に効果的な周波数帯域はおよそ500Hz〜およそ2000Hzである。したがって、その音響的な中心である1000Hzを帯域分割(周波数分割)のカットオフ周波数に設定するのことが最も効果的であるので、以下ではこの周波数帯域における周波数分割の方法を説明する。
側方定位処理において、ユーザが聴取する席が両スピーカ間の距離の中心位置から非対称な場合には、帯域によって実施形態1において説明した制御信号の効果が弱くなる場合がある。これは、楽曲音を聴取する聴取者が一方のスピーカに近づくことによって、スピーカから放音される制御信号の経路差が聴取者である各人の左右両耳間で変化するためである。
具体的には、聴取者が近づいたスピーカから放音される制御信号の経路差は、その聴取者の両耳間で小さくなる。聴取者の両耳間の経路差が小さくなると、聴取者の両耳間の位相差も小さくなる。聴取者の両耳間の位相差が小さくなると、聴取者の両耳間の音圧レベル差も小さくなり、両耳間で充分な音圧レベル差が生じなくなる。したがって、側方定位効果も小さくなり、充分なサラウンド効果が得にくくなる。この現象は、特に波長の長い低域周波数帯において顕著となる。
一般に、低域周波数うにおいては、スピーカ間の中央より左の位置では左側方に音像を定位させやすく、右側方に音像を定位させにくい。同様に、スピーカ間の中央より右の位置では右側方に音像を定位させやすく、左側方に音像を定位させにくい。
したがって、聴取者から近くにあるスピーカからは低域周波数の制御信号をなるべく出力しない(したがって、聴取者から近くにあるスピーカからは低域周波数のサラウンド信号をなるべく出力する。)ことが必要である。また、逆に、聴取者から遠くにあるスピーカからは高域周波数の制御信号をなるべく出力しない(したがって、聴取者から遠くにあるスピーカからは高域周波数のサラウンド信号をなるべく出力する。)ことが必要である。
ここで、低域周波数とはおおよそ500Hzからおおよそ1000Hzまでの周波数を意味し、高域周波数とはおおよそ1000Hzからおおよそ2000Hzまでの周波数を意味する。しかし、本願はこれらの周波数に限って高域周波数と低域周波数を区別するものではなく、任意の周波数を高域周波数と低域周波数とに設定することが可能である。特に、高域周波数と低域周波数とを区別する周波数として本実施形態においてはおおよそ1000Hzとしたが、おおよそ1000Hzに限定されるわけではなく、おおよそ500Hzからおおよそ2000Hzまでの任意の値を高域周波数と低域周波数とを区別する周波数とすることができる。これらのことは他の実施形態においても適用できる。
また、周波数(帯)を割り当てる際のカットオフ周波数は、フロントサラウンド効果が最も得られる周波数であるおおよそ500Hzからおおよそ2000Hzの間で、聴取者のスピーカ間の中央位置からの離れ度合いによって変化させてもよい。例えば、スピーカと正対する聴取者の位置においてはおおよそ500Hzとし、スピーカ間の中央位置に聴取者の位置がある場合にはおおよそ2000Hzとし、聴取者がその間(スピーカ間の位置)にいる場合には、周波数を分割する中心周波数おおよそ500Hzからおおよそ2000Hzの間で、スピーカからの距離におうじて変化させてもよい。これらのことも他の実施形態において適用できる。
次に、図16(b)の実施例5において、サラウンド信号中の左側サラウンド信号の入力信号を左サラウンド信号SL_inとし、サラウンド信号中の右側のサラウンド信号入力信号を右サラウンド信号SR_inとして説明する。
図16(a)において、聴取者Aは中央線位置CLRから左側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Aから、聴取者Aがスピーカに向かった場合の左側のスピーカFLから聴取者Aまでの距離は、右側のスピーカFRから聴取者Aまでの距離よりも近い。したがって、前述したように、聴取者Aからより近くにあるスピーカFLからの左サラウンド信号SL_inは低域周波数に設定し、聴取者Aからより遠くにあるスピーカFRからの右サラウンド信号SR_inは高域周波数に設定する。この様子が図16(b)に示されている。
また、図16(a)において、聴取者Bは中央線位置CLRから右側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Bから、聴取者Bがスピーカに向かった場合の右側のスピーカFRから聴取者Bまでの距離は、左側のスピーカFLから聴取者Bまでの距離よりも近い。したがって、聴取者Bからより近くにあるスピーカFRからの右サラウンド信号SR_inは低域周波数に設定し、聴取者Bからより遠くにあるスピーカFLからの左サラウンド信号SL_inは高域周波数に設定する。この様子が図16(b)に示されている。
次に図17(a)を用いて、左サラウンド信号SL_inの処理方法を説明する。
左サラウンド信号SL_inは、まずフロントサラウンド処理が行なわれる。
フロントサラウンド処理において、左側スピーカ(スピーカFL)から出力されるサラウンド信号SL_inLを生成する場合には、実施例1乃至4において説明した、レベル補正、減衰処理などの処理を含む処理がフロントサラウンド処理となる。
また、右側スピーカ(スピーカFR)から出力される制御信号SL_inRを生成する場合には、実施例1乃至4において説明した位相制御処理、レベル補正、減衰処理などの処理を含む処理がフロントサラウンド処理となる。
フロントサラウンド処理において生成されたサラウンド信号SL_inLは、帯域分割処理される。聴取者Aに対しては聴取者A用に低域周波数を割り当て、A用サラウンド信号SL_inLAを生成し、聴取者Bに対しては聴取者B用に高域周波数を割り当て、B用サラウンド信号SL_inLBを生成する。
次に、A用サラウンド信号SL_inLAは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、左側スピーカ(スピーカFL)に入力される信号SL_outとして、A(聴取者A)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、B用サラウンド信号SL_inLBは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、左側スピーカ(スピーカFL)に入力される信号SL_outとして、B(聴取者B)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、フロントサラウンド処理において生成された制御信号SL_inRも、帯域分割処理される。聴取者Aに対しては聴取者A用に低域周波数を割り当て、A用制御信号SL_inRAを生成し、聴取者Bに対しては聴取者B用に高域周波数を割り当て、B用制御信号SL_inRBを生成する。
次に、A用制御信号SL_inRAは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、右側スピーカ(スピーカFR)に入力される信号SR_outとして、A(聴取者A)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、B用制御信号SL_inRBは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、右側スピーカ(スピーカFR)に入力される信号SR_outとして、B(聴取者B)へのタイムアライメント処理部から出力される。
次に図17(b)を用いて、右サラウンド信号SR_inの処理方法を説明する。
右サラウンド信号SR_inは、まずフロントサラウンド処理が行なわれる。
フロントサラウンド処理において、左側スピーカ(スピーカFL)から出力される制御信号SR_inLを生成する場合には、実施例1乃至4において説明した、位相制御処理、レベル補正、減衰処理などの処理を含む処理がフロントサラウンド処理となる。
また、右側スピーカ(スピーカFR)から出力されるサラウンド信号SR_inRを生成する場合には、実施例1乃至4において説明したレベル補正、減衰処理などの処理を含む処理がフロントサラウンド処理となる。
フロントサラウンド処理において生成された制御信号SR_inLは、帯域分割処理される。聴取者Bに対しては聴取者B用に低域周波数を割り当て、B用制御信号SR_inLBを生成し、聴取者Aに対しては聴取者A用に高域周波数を割り当て、A用制御信号SR_inLAを生成する。
次に、B用制御信号SR_inLBは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、左側スピーカ(スピーカFL)に入力される信号SL_outとして、B(聴取者B)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、A用制御信号SR_inLAは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、左側スピーカ(スピーカFL)に入力される信号SL_outとして、A(聴取者A)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、フロントサラウンド処理において生成されたサラウンド信号SR_inRは、帯域分割処理される。聴取者Bに対しては聴取者B用に低域周波数を割り当て、B用サラウンド信号SR_inRBを生成し、聴取者Aに対しては聴取者A用に高域周波数を割り当て、A用サラウンド信号SR_inRAを生成する。
次に、B用サラウンド信号SR_inRBは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、右側スピーカ(スピーカFR)に入力される信号SR_outとして、B(聴取者B)へのタイムアライメント処理部から出力される。
また、A用サラウンド信号SR_inRAは、図15におけるステップS9において生成されたタイムアライメント値に基づいて決定された時間だけ遅延され(時間遅延処理(タイムアライメント処理))、右側スピーカ(スピーカFR)に入力される信号SR_outとして、A(聴取者A)へのタイムアライメント処理部から出力される。
このように、左側スピーカ(スピーカFL)に近い位置にいる聴取者Aの位置では、低域周波数において聴取者Aの左後方に音像を定位させやすく、高域周波数において聴取者Aの右後方に音像を定位させやすい。すなわち、近くのスピーカ(スピーカFL)からは低域周波数での制御信号をなるべく出力しない周波数の帯域分割が有効となる。
したがって、聴取者Aに対してスピーカFLにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
また、聴取者Bに対してスピーカFRにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFLには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Bはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
―実施例6―
次に、2人の聴取者がスピーカから放音される楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央から、2人ともスピーカFL側にいる場合においての各スピーカから放音される音の周波数分割について図18および図19を用いて説明する。図18は、スピーカFL、スピーカFR、聴取者Aおよび聴取者Bとの位置関係と、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。図19は、左サラウンド信号SL_inの処理方法および右サラウンド信号SR_inの処理方法を説明する図である。
最初に、図18を用いて、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音の周波数の振り分け方法の一例について説明する。
図18(a)は実施例6におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。
聴取者Aおよび聴取者Bの両者とも中央線位置CLRよりも図18(a)において左に位置している。この場合にはどちらの席においても、低域周波数において左側方に音像を定位させやすく、高域周波数において右側方に音像を定位させやすい傾向にある。したがって、実施例5において説明した周波数の割り当て(周波数の分割方法)をすると聴取者Aに側方定位効果が集中してしまい、聴取者Bにおいて充分な側方定位効果を得ることが困難になってしまう。そこで、本実施例6においては、聴取者Aまたは聴取者Bへの側方定位効果の集中を防ぐために、よりの中央線位置CLR(両スピーカからの距離が同じ位置)に近い位置にいる聴取者に対して低域周波数を割り当て、聴取者の一人への側方定位効果の集中を防いでいる。
図18(a)において、聴取者Aは中央線位置CLRから左側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Aから、聴取者Aがスピーカに向かった場合の左側のスピーカFLから聴取者Aまでの距離は、右側のスピーカFRから聴取者Aまでの距離よりも近い。また、聴取者Bも中央線位置CLRから左側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Bから、聴取者Bがスピーカに向かった場合の左側のスピーカFLから聴取者Bまでの距離は、右側のスピーカFRから聴取者Bまでの距離よりも近い。
ここで聴取者Aと聴取者Bとの位置関係に注目すると、聴取者Bの方が聴取者Aよりもより中央線位置CLRに近い位置にいる。したがって、前述したように中央線位置CLRより遠い位置にいる聴取者Aの方が聴取者Bよりも低域周波数において音像を側方に定位させる効果が減少してしまう。そこで、スピーカFLおよびスピーカFRからの低域周波数におけるサラウンド信号は聴取者Bに割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRからの高域周波数におけるサラウンド信号を聴取者Aに割り当てることによって効率よく聴取者Aおよび聴取者Bに対して側方定位効果を発揮することができる。
したがって、図18(b)に示したように、中央線位置CLRからより近くにいる聴取者Bに対してはスピーカFLからのサラウンド信号SLおよびスピーカFRに入力される左サラウンド信号SRを低域周波数に設定する。また、中央線位置CLRからより遠くにいる聴取者Aに対しては、低域周波数での側方定位効果が減少してしまうので、スピーカFLからのサラウンド信号SLおよびスピーカFRに入力される左サラウンド信号SRを高域周波数に設定する。
次に図19(a)を用いて、左サラウンド信号SL_inの処理方法を説明する。図17(a)と同様の処理については説明を省略する。
図17(a)と異なる処理は、帯域分割処理である。左サラウンド信号SL_inにおけるA用サラウンド信号SL_inLAに対して高域周波数を割り当て、B用サラウンド信号SL_inLBに対して低域周波数を割り当てる。また、制御信号SL_inRにおけるA用制御信号SL_inRAに対して高域周波数を割り当て、B用制御信号SL_inRBに対して低域周波数を割り当てる。さらに、Aへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Aの位置によって異なる。同様に、Bへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Bの位置によって異なる。
次に、図19(b)に、右サラウンド信号SR_inの処理方法を図示しているが、Aへのタイムアライメント処理およびBへのタイムアライメント処理を除いて、図17(b)と同様の処理を行なっている。Aへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Aの位置によって異なり、同様に、Bへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Bの位置によって異なる。
このように、両スピーカの中央線位置CLRから遠い位置にいる聴取者Aの位置では、低域周波数において音像を定位させにくくなる。また、高域周波数において聴取者Aの位置では音像を定位させやすい。
したがって、聴取者Aに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として高域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRおよびスピーカFRには制御信号として低域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
また、聴取者Bに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Bはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
―実施例7―
次に、2人の聴取者がスピーカから放音される楽曲音を聴取する位置が、スピーカFLとスピーカFRとの間の距離の中央位置から、2人ともスピーカFR側にいる場合においての各スピーカから放音される音の周波数分割方法について図20および図21を用いて説明する。図20は、スピーカFL、スピーカFR、聴取者Aおよび聴取者Bとの位置関係と、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。図21は、左サラウンド信号SL_inの処理方法および右サラウンド信号SR_inの処理方法を説明する図である。
最初に、図20を用いて、スピーカFLとスピーカFRとから放音される楽曲音の周波数の振り分け方法の一例について説明する。
図20(a)は実施例7におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。
図20(a)において、聴取者Aは中央線位置CLRから右側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Aから、聴取者Aがスピーカに向かった場合の左側のスピーカFLから聴取者Aまでの距離は、右側のスピーカFRから聴取者Aまでの距離よりも遠い。また、聴取者Bは中央線位置CLRから右側において楽曲音を聴取しようとしているので、聴取者Bから、聴取者Bがスピーカに向かった場合の左側のスピーカFLから聴取者Bまでの距離は、右側のスピーカFRから聴取者Bまでの距離よりも遠い。
ここで聴取者Aと聴取者Bとの位置関係に注目すると、聴取者Aの方が聴取者Bよりもより中央線位置CLRに近い位置にいる。したがって、前述したように中央線位置CLRより遠い位置にいる聴取者Bの方が聴取者Bよりも低域周波数において音像を側方に定位させる効果が減少してしまう。そこで、スピーカFLおよびスピーカFRからの低域周波数におけるサラウンド信号は聴取者Aに割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRからの高域周波数におけるサラウンド信号を聴取者Bに割り当てることによって効率よく聴取者Aおよび聴取者Bに対して側方定位効果を発揮することができる。
したがって、図20(b)に示したように、中央線位置CLRからより近くにいる聴取者Aに対してはスピーカFLからのサラウンド信号SLおよびスピーカFRに入力される左サラウンド信号SRを低域周波数に設定する。また、中央線位置CLRからより遠くにいる聴取者Bに対しては、低域周波数での側方定位効果が減少してしまうので、スピーカFLからのサラウンド信号SLおよびスピーカFRに入力される左サラウンド信号SRを高域周波数に設定する。
次に、図21(a)に、左サラウンド信号SL_inの処理方法を図示しているが、Aへのタイムアライメント処理およびBへのタイムアライメント処理を除いて、図17(a)と同様の処理を行なっている。Aへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Aの位置によって異なり、同様に、Bへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Bの位置によって異なる。
次に図21(b)を用いて、右サラウンド信号SR_inの処理方法を説明する。図17(b)と同様の処理については説明を省略する。
図17(b)と異なる処理は、帯域分割処理である。右サラウンド信号SR_inRにおけるA用サラウンド信号SR_inRAに対して低域周波数を割り当て、B用サラウンド信号SR_inRBに対して高域周波数を割り当てる。また、制御信号SR_inLにおけるA用制御信号SR_inLAに対して低域周波数を割り当て、B用制御信号SR_inLBに対して高域周波数を割り当てる。さらに、Aへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Aの位置によって異なる。同様に、Bへのタイムアライメント処理を行なう場合の遅延時間は、聴取者Bの位置によって異なる。
このように、両スピーカの中央線位置CLRから遠くにいる聴取者Bの位置では、低域周波数において音像を定位させにくくなる。また、高域周波数において聴取者Bの位置では音像を定位させやすい。
したがって、聴取者Bに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として高域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRおよびスピーカFRには制御信号として低域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Bはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
また、聴取者Aに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
[第3実施形態]
[聴取者が3人いる場合の他の実施例]
次に、聴取者が3人いる場合において、第1実施形態とは異なる周波数の帯域分割を行なう第3実施形態について、図22を用いて説明する。
図22(a)は、スピーカFL並びにスピーカFR、および聴取者A、聴取者B、並びに聴取者Cとの位置関係を示した図である。聴取者Bは、スピーカFLおよびスピーカFRと等距離の位置にいる必要はない(スピーカFLおよびスピーカFRと聴取者Bとの距離は等距離であってもいいし、等距離であってもよい。)。聴取者AはスピーカFLに近い側で聴取し、聴取者CはスピーカFRに近い側で聴取する。
図22(b)は、聴取者A、B、およびCに対する左サラウンド信号SLおよび右サラウンド信号SRの周波数の振り分け方法を示した図である。
本実施形態においては、おおよそ500Hzからおおよそ2000Hzまでの周波数(帯域)を3等分している。そして、聴取者の中央にいる聴取者Bに周波数の中央部分(中間周波数帯域)を割り当てる。また、左側のスピーカFLに近い位置にいる聴取者Aに対しては、左サラウンド信号SLの低域周波数を割り当て、聴取者Aから遠い位置にある右側のスピーカFRに対しては高域周波数を割り当てる。また、右側のスピーカFRに近い位置にいる聴取者Cに対しては、右サラウンド信号SRの低域周波数を割り当て、聴取者Cから遠い位置にある左側のスピーカFLに対しては高域周波数を割り当てる。
このようにサラウンド信号の周波数を割り当てることにより、周波数による側方定位効果の優劣を補いながら、聴取者3人がより側方定位効果を感得することができ、より臨場感のあるサラウンドスピーカを構成することが可能となる。
また本発明は、中央席の聴取者が低域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が高域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を体感できるようになっている。
さらに本発明は、中央席の聴取者が低域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が中域において側方定位効果が得られ、左席の聴取者が高域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を体感できるようになっている。
さらに本発明は、低域及び高域は中央席、中域は右席又は左席を割当てることが効果的であることを考慮して、中央席の聴取者が低域及び高域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が中域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を十分に体感できるようになっている。
さらに本発明は、低域及び高域は中央席、中域は右席又は左席を割当てることが効果的であることを考慮して、中央席の聴取者が低域及び高域において側方定位効果が得られ、右席の聴取者が周波数が高い側の中域において側方定位効果が得られ、左席の聴取者が周波数が低い側の中域において側方定位効果が得られるようにサラウンド信号の位相がコントロールされている。これにより各聴取者は、それぞれの座席位置で側方定位効果を十分に体感できるようになっている。
さらに本発明によれば、左側スピーカ(スピーカFL)に近い位置にいる聴取者Aの位置では、低域周波数において聴取者Aの左後方に音像を定位させやすく、高域周波数において聴取者Aの右後方に音像を定位させやすい。すなわち、近くのスピーカ(スピーカFL)からは低域周波数での制御信号をなるべく出力しない周波数の帯域分割が有効となる。
したがって、聴取者Aに対してスピーカFLにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
さらに、本発明によれば、聴取者Aに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として高域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRおよびスピーカFRには制御信号として低域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
また、聴取者Bに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Bはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
さらに、本発明によれば、聴取者Bに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として高域周波数(帯)を割り当て、スピーカFRおよびスピーカFRには制御信号として低域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Bはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
また、聴取者Aに対してスピーカFLおよびスピーカFRにはサラウンド信号として低域周波数(帯)を割り当て、スピーカFLおよびスピーカFRには制御信号として高域周波数(帯)を割り当てることによって、聴取者Aはフロントサラウンド効果を充分に体感することができる。
さらに本発明によれば、サラウンド信号の周波数を複数人に割り当てることにより、周波数による側方定位効果の優劣を補いながら、聴取者3人またはそれ以上の人数の聴取者がより側方定位効果を感得することができ、より臨場感のあるサラウンドスピーカを構成することが可能となる。
これまで説明してきた実施形態においては、カットオフ周波数は、左サラウンド信号SLと右サラウンド信号SLに対して同じ周波数を割り当ててきたが、本願はこれに限定されるわけはなく、左サラウンド信号SLのカットオフ周波数と右サラウンド信号SLのカットオフ周波数を異なる周波数とすることも可能である。また各サラウンド信号(SL、SR)に対して、聴取者に対して割り当てない周波数帯域を設けることも可能である。
また、本願は聴取者の人数に制限されることなく、聴取者の位置とスピーカとの位置に基づいて、周波数を適宜分割することにより、各聴取者にとってより臨場感のあるフロントサラウンドスピーカを提供することが可能である。
例えば、各スピーカにより近い聴取者に対して、低域周波数を割り当て、そのスピーカから離れる聴取者に対してより高域周波数を割り当てる手法をとることができる。この場合には、割り当てを行なう周波数帯域を聴取者の数だけ等分、または適宜分割することができる。
なお、本願は上述した実施形態に限られず、種々の形態にて実施できる。例えば、周波数帯域を分割する際の中域の幅は、左右のエネルギーバランスを整えている限りにおいて自由に設定でき、この帯域を実施例よりも更に細かくオクターブバンドフィルタで分割し、右席と左席とを交互に割当てるようにしてもよい。また、右席、左席の聴取者に対する音像の定位は、当該聴取者の座る位置でかなり異なるため、遅延及び減衰処理を聴取者側で自由に設定できるようにしても構わない。また、本実施の形態で説明した音像定位処理装置は、ホームシアターシステム、PDP等の薄型テレビ、PC、ポータブルDVD等のパーソナルサラウンドシステムに適用することが可能である。
なお、図1乃至図22における動作手順を、ハードディスク等の記録媒体に予め記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して予め記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該汎用のマイクロコンピュータ等を実施形態に係わるCPUとして機能させることも可能である。
本実施形態のサラウンドシステムの構成を示すブロック図である。 各スピーカの配置と聴取者の座席位置の関係を説明するための一例を示す図である。 信号処理部における側方定位処理の説明図である。 スピーカの設置位置と聴取者の座席位置の関係を示す一例である。 本実施例1における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例1における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例2における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例2における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例3における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例3における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例4における信号処理部の左スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 本実施例4における信号処理部の右スピーカ入力用サラウンド信号の流れを示す構成図である。 第2および第3実施形態を実施するために、第1実施形態のサラウンドシステム構成へ追加する部分を示すブロック図である。 第2および第3実施形態における視聴位置とスピーカとの距離を測定する動作フローチャート図である。 第2実施形態における実施例の選択方法を示すフローチャート図である。 (a)は、実施例5におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。(b)は、実施例5におけるサラウンド信号の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。 (a)は実施例5における左サラウンド信号の処理を示す図である。(b)は、は実施例5における右サラウンド信号の処理を示す図である。 (a)は、実施例6におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。(b)は、実施例6におけるサラウンド信号の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。 (a)は実施例6における左サラウンド信号の処理を示す図である。(b)は、実施例6における右サラウンド信号の処理を示す図である。 (a)は、実施例7におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。(b)は、実施例7におけるサラウンド信号の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。 (a)は実施例7における左サラウンド信号の処理を示す図である。(b)は、実施例7における右サラウンド信号の処理を示す図である。 (a)は、実施形態3におけるスピーカの位置と聴取者との位置関係を示す図である。(b)は、実施形態3におけるサラウンド信号の周波数の振り分け方法の一例を示す図である。
符号の説明
10 リスニングルーム
15 座席
100 音像定位処理装置
132 フロントスピーカ
FL 左側のフロントスピーカ
FR 右側のフロントスピーカ
200 信号処理部

Claims (7)

  1. 入力された複数チャンネルの音響信号に基づいて聴取者の前方左右に配置された2つのスピーカを拡声させ、複数の前記聴取者に対して音像を側方に定位させる音像定位処理装置であって、
    一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理手段と、
    信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割手段と、
    前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正手段と、
    を具備することを特徴とする音像定位処理装置。
  2. 複数の前記聴取者の聴取位置は、前記2つのスピーカと対向して並んで配置され、前記2つのスピーカからの距離が等しい位置から一方の前記スピーカにより近い位置に配置される前記聴取位置と他方の前記スピーカにより近い位置に配置される前記聴取位置を少なくとも一つずつ含んで構成され、
    前記帯域分割手段により分割される周波数帯域は、少なくとも低域、高域に分割され、
    前記信号補正手段は、前記低域において、何れかのスピーカにおいて位相制御された音響信号を出力する場合には当該スピーカが出力する位相制御された音響信号に対応するチャンネルの音響信号に対して当該スピーカまでの距離がより遠い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように前記音響信号の時間遅延を制御し、前記高域において、何れかのスピーカにおいて位相制御された音響信号を出力する場合には当該スピーカが出力する位相制御された音響信号に対応するチャンネルの音響信号に対して当該スピーカまでの距離がより近い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように前記音響信号の時間遅延を制御することを特徴とする請求項1に記載の音像定位処理装置。
  3. 複数の前記聴取者の聴取位置は、前記2つのスピーカと対向して並んで配置され、前記2つのスピーカからの距離が等しい位置から一方の前記スピーカにより近い位置に配置される前記聴取位置を少なくとも二つ含んで構成され、
    前記帯域分割手段により分割される周波数帯域は、少なくとも低域、高域に分割され、
    前記信号補正手段は、前記低域において、前記2つのスピーカまでの距離が等しい位置に近い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように音響信号の時間遅延を制御し、前記高域において、前記2つのスピーカまでの距離が等しい位置から遠い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように音響信号の時間遅延を制御することを特徴とする請求項1に記載の音像定位処理装置。
  4. 複数の前記聴取者の聴取位置は、前記2つのスピーカと対向して並んで配置され、前記2つのスピーカからの距離が略等しい位置に配置される前記聴取位置と、前記2つのスピーカからの距離が等しい位置から一方の前記スピーカにより近い位置に配置される前記聴取位置と他方の前記スピーカにより近い位置に配置される前記聴取位置を少なくとも一つずつ含んで構成され、
    前記帯域分割手段により分割される周波数帯域は、低域、中域、高域に分割され、
    前記信号補正手段は、前記低域において、何れかのスピーカにおいて位相制御された音響信号を出力する場合には当該スピーカが出力する位相制御された音響信号に対応するチャンネルの音響信号に対して当該スピーカまでの距離がより遠い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように前記音響信号の時間遅延を制御し、
    前記高域において、何れかのスピーカにおいて位相制御された音響信号を出力する場合には当該スピーカが出力する位相制御された音響信号に対応するチャンネルの音響信号に対して当該スピーカまでの距離がより近い方の前記聴取位置に側方定位効果が与えられるように前記音響信号の時間遅延を制御し、
    前記中域において、前記2つのスピーカまでの距離が略等しい位置の前記聴取位置に対して側方定位効果が与えられるように音響信号の時間遅延を制御することを特徴とする請求項1に記載の音像定位処理装置。
  5. 前記帯域分割手段により分割される周波数帯域は、前記2つのスピーカの設置位置と前記聴取者の前記聴取位置に基づいて算出される音圧ディップの生じない周波数を中心周波数として設定し、
    前記周波数帯域において、前記右側聴取位置又は前記左側聴取位置に対して側方定位効果が与えられるように前記音響信号の時間遅延が前記信号補正手段により制御されることを特徴とする請求項4に記載の音像定位処理装置。
  6. 入力された複数チャンネルの音響信号に基づいて聴取者の前方左右に配置された2つのスピーカを拡声させ、複数の前記聴取者に対して音像を側方に定位させる音像定位処理方法であって、
    一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理工程と、
    信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割工程と、
    前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正工程と、
    を具備することを特徴とする音像定位処理方法。
  7. 請求項1に記載の音像定位処理装置に含まれるコンピュータを、
    一の前記聴取者の聴取位置に対して一方向から聴取させる音響信号の位相、および前記一の聴取者の聴取位置に対して他の一方向から聴取させる音響信号の位相、を制御して当該一の聴取者の側方に音像を定位させる信号処理手段、
    信号処理された音響信号および信号処理されていない音響信号を所定の周波数帯域毎に分割する帯域分割手段、
    前記分割された周波数帯域毎に前記各聴取者を割当て、他の前記聴取者の聴取位置に対して前記信号処理された前記音響信号の時間遅延を制御して当該他の聴取者の側方に音像を定位させる信号補正手段、
    として機能させることを特徴とする音像定位処理プログラム。
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