JP2008256051A - 樹脂製ナット、および、すべりねじ装置 - Google Patents

樹脂製ナット、および、すべりねじ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ねじ山の偏摩耗を低減させることができ、高面圧条件下でも長寿命である樹脂製ナット、および、該ナットを用いたすべりねじ装置を提供する。
【解決手段】ねじ軸1に螺合され、ねじ軸1と軸方向に相対移動する樹脂製ナット3であって、該樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数が、ナットの軸方向断面においてナットに荷重を加えたときのナットとねじ軸との接触面における軸方向の接触圧力分布を略均一とできる値であり、上記接触圧力分布は、ナットの二次元軸対称モデルを用いて有限要素法による伝熱−構造連成解析により求めたものであり、上記接触圧力分布における接触圧力の最大値が 12 MPa 未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂製ナットおよびこれを用いたすべりねじ装置に関し、特にナットを構成する樹脂材料の熱膨張係数を、構造解析に基づいてねじ接触面での接触圧力の最大値を所定値以下にできる値とした樹脂製ナットおよびこれを用いたすべりねじ装置に関する。
回転運動を直線運動に変換するすべりねじ装置は、ボールねじ装置に較べてコンパクトに設計できるという利点がある。ナットを用いたすべりねじ装置は、ねじ軸を回転駆動して、ナットのフランジに直線駆動力が伝達される移動テーブル等の被駆動体を取り付ける場合が多く、各種産業機械の送り装置や位置決め装置等に多用されている。そのなかで樹脂製ナットを用いたすべりねじ装置は、近年光学測定機器、半導体製造装置、医療機器など用途が拡大するとともに、それぞれの装置に応じた仕様や特性が要求されるようになってきている。
すべりねじ装置用の樹脂製ナットとしては、切削加工や射出成形によって全体が樹脂で形成され、このナットを形成する樹脂として、熱可塑性ポリイミド樹脂を用いたもの(特許文献1参照)、ポリフェニレンサルファイド樹脂を用いたもの(特許文献2参照)、ポリフェニレンサルファイド樹脂に四フッ化エチレン樹脂や高温で非溶融の有機樹脂粉末を配合したもの(特許文献3参照)等が開示されている。
しかしながら、樹脂製ナットは、ねじ山が偏摩耗しやすく位置決め精度が低下するため、高面圧条件下では長寿命化することができなかった。また、このような偏摩耗を材料面から防止しようとする場合、すべりねじ装置では、負荷荷重や摩擦発熱などの多くの条件を考慮しなければならず、その最適物性の選定を実験的に行なうことは困難であった。
特開平6−193701号公報 特開2001−116102号公報 特開2003−239932号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、ねじ山の偏摩耗を低減させることができ、高面圧条件下でも長寿命である樹脂製ナット、および、該ナットを用いたすべりねじ装置を提供することを目的とする。
本発明の樹脂製ナットは、ねじ軸に螺合され、ねじ軸と軸方向に相対移動する樹脂製ナットであって、該樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数が、上記樹脂製ナットの軸方向断面において、該樹脂製ナットに荷重を加えたときの該樹脂製ナットと上記ねじ軸との接触面における軸方向の接触圧力分布を略均一とできる値であり、上記接触圧力は、上記樹脂製ナットの二次元軸対称モデルを用いて有限要素法による解析により求めたものであることを特徴とする。
上記有限要素法による解析は、上記ねじ軸と上記樹脂製ナットとの摺動時における上記ねじ軸と樹脂製ナット内部の温度分布を求めた後、該温度分布と、所定の負荷荷重とを拘束条件として上記接触圧力分布の解析を行なう伝熱−構造連成解析であることを特徴とする。
上記接触圧力分布における接触圧力の最大値が 12 MPa 未満であることを特徴とする。
上記樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数が、軸方向(6.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(5.0〜7.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(7.0〜11.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜7.0)×10-5/℃ かつ径方向(11.0〜20.0)×10-5/℃の範囲内であることを特徴とする。
上記樹脂製ナットは、フランジが形成されていることを特徴とする。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸にナットを螺合して、ナットをねじ軸と軸方向に相対移動させるすべりねじ装置であって、このナットが上記本発明の樹脂製ナットであることを特徴とする。
本発明の樹脂製ナットは、ナット樹脂材料の熱膨張係数(軸方向および径方向)を、所定のモデルを用いた有限要素法による伝熱−構造連成解析により、ナットのねじ山が受けるねじ軸との接触圧力分布を正確に解析し、該解析結果に基づいて上記接触圧力分布が概ね均一化できる値とするので、高面圧条件下でもねじ山の偏摩耗が少なくなり、ナットの長寿命化が図れる。
また、例えば樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数を、軸方向(6.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(5.0〜7.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(7.0〜11.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜7.0)×10-5/℃ かつ径方向(11.0〜20.0)×10-5/℃の範囲内とすることで、接触圧力分布における接触圧力の最大値を 12 MPa 未満とでき、すべりねじ装置の耐荷重の上限の引き上げ、および高面圧条件下での長寿命化を図れる。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸にナットを螺合して、ナットをねじ軸と軸方向に相対移動させるすべりねじ装置において、接触圧力分布における接触圧力の最大値が所定値以下であり、ねじ山の偏摩耗の少ない上記樹脂製ナットを用いるので、高面圧条件下において長寿命となる。
本発明の樹脂製ナットおよびこれを用いたすべりねじ装置を図1および図2に基づいて説明する。図1はすべりねじ装置の斜視図を、図2は樹脂製ナットの軸方向断面図をそれぞれ示す。
すべりねじ装置2は、ねじ軸1と、このねじ軸1のねじ溝に螺合し、このねじ軸上を摺動しながら移動する樹脂製ナット3とから構成され、ねじ軸1の回転運動が樹脂製ナット3の直線運動に変換される。その他に、樹脂製ナット3を同じ位置で回転させることによりねじ軸1に直線運動を付与する使い方もできる。樹脂製ナット3は、樹脂組成物を射出成形等することで成型される。
図2に示すように、樹脂製ナット3の内径面には、ねじ軸1(図1参照)に螺合される雌ねじ3aが形成されている。樹脂製ナット3のフランジ4には、移動テーブル等の被駆動体が取り付けられる。
樹脂製ナット3の内径面の雌ねじ3aは射出成形時の金型によって形成される。また、雌ねじ3aは射出成形後に機械加工で形成することもでき、ねじ山の形状は特に限定されず、台形、ゴシックアーク、三角、矩形等いずれの形状であってもよい。
上述したように樹脂製ナットは、ねじ山が偏摩耗しやすく位置決め精度が低下するという問題があった。この偏摩耗の原因を探るべく、ナットの二次元軸対称モデルを用いて有限要素法による構造解析を行なったところ、ナットの軸方向断面において、ナットの雌ねじと、ねじ軸の雄ねじとの接触面における軸方向の接触圧力分布が摩耗量の偏りに合わせて偏っていることが分かった。これに対し、ナット材料の影響について種々検討・解析した結果、材料の熱膨張係数(軸方向および径方向)の値に大きく依存し、ねじ接触面での上記接触圧力分布が偏り、接触圧力の最大値(最大接触圧力)が大きくなる範囲や、分布の偏りおよび最大接触圧力の低減が可能である範囲があることを見出した。本発明の樹脂製ナットは、構造解析に基づいて使用するナット材質の熱膨張係数を決定するという製造工程において特徴を有するものである。
樹脂製ナット3を形成するための樹脂材料の熱膨張係数は、樹脂製ナット3の軸方向断面(図2参照)において、該樹脂製ナットに荷重を加えたときの樹脂製ナットとねじ軸との接触面における軸方向の接触圧力分布を略均一とできる値であればよい。
本発明において接触圧力分布とは、樹脂製ナット3の任意の軸方向断面において、ピッチ数と同数だけある摩擦接触面の接触圧力(ピーク値)を軸方向に見た分布であり、該接触圧力分布が略均一であるとは、この各接触面における接触圧力(ピーク値)の分布の偏りが小さく略均一であることをいう。
また、本発明における上記略均一とは、接触圧力分布において、各接触面における接触圧力(ピーク値)の最小値(非接触を除く)と最大値との比が 10 以下であることをいう。
また、樹脂製ナット3を形成するための樹脂材料の熱膨張係数は、上記接触圧力分布において、接触圧力の最大値が 12 MPa 未満となる値であることが好ましい。
このような熱膨張係数の範囲としては、(1)軸方向(6.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(5.0〜7.0)×10-5/℃、(2)軸方向(4.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(7.0〜11.0)×10-5/℃、(3)軸方向(4.0〜7.0)×10-5/℃ かつ径方向(11.0〜20.0)×10-5/℃である。樹脂材料において、軸方向および径方向の熱膨張係数が上記(1)〜(3)の範囲をはずれた値となると、接触圧力分布が偏り、接触圧力の最大値が 12 MPa 以上となる。
ナット製造時には、樹脂の選定および添加材を配合することで、熱膨張係数の調整を行なう。
樹脂製ナット3を形成するための樹脂組成物としては、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、およびこれらをブレンドしたもの等を主成分として、四フッ化エチレン(PTFE)樹脂を 10〜40 体積%程度配合した樹脂組成物が挙げられる。なお、PPS樹脂としては、分子の架橋状態により架橋型、半架橋型、直鎖型、分岐型等のものがあるが、いずれも使用でき、これらをブレンドしたものであってもよい。
上記主成分となる樹脂としては、PPS樹脂が好ましい。主成分をPPS樹脂とすることにより、十分実用的で使用温度範囲(摺動部温度が−5℃〜150℃)が広く、かつ安価に樹脂製ナットが得られる。また、PPS樹脂は耐薬品性に優れているため、水中、薬液中などの環境下でも使用可能となる。また、PPS樹脂に、PTFE樹脂を配合することにより、安定した低摩擦特性が得られ、騒音がなく、起動摩擦係数も低くなり、耐摩耗性も向上する。
配合する添加材としては、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタン等の着色剤、黒鉛、金属粉末、金属酸化物粉末、炭素粉末等の熱伝導性向上剤、およびガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ウィスカ等の耐摩耗性向上材などが挙げられる。
上記接触圧力分布を有限要素法により求める手順を以下に説明する。有限要素法による解析手段としては、既存の解析ソフト等を使用できる。以下実施例に示す解析結果等は、米国アンシス社製の解析ソフト「ANSYS」バージョン 8.0 を使用した結果である。
図3に示すような二次元軸対称(図中y軸で対称)のモデルを用いて解析を行なった。該簡略化モデルとしたのは、ナット構造がほぼ軸対称であることと、計算時間を短縮できるためである。簡略化しているため若干実際とは異なる構造部分があるが、全体の構造の中で大きな影響を及ぼす要素であるとは考え難い。また、実際は回転することで接触面に摩擦発熱が生じるのであるが、モデルが二次元のため、回転が考慮できない。そこで、摩擦面については、回転の摩擦によって起こる摩擦熱を算出し、接触面に熱流束という形で熱の供給を設定することで解析を行なった。
樹脂製ナットを用いたすべりねじ装置において、ナットの破断が起きたときの負荷荷重は材料強度のみから想定される荷重より低い値であることが多い。これは、摩擦発熱に起因する温度分布によって、樹脂に熱膨張が生じ、ねじ軸とナットとの接触に特徴が生まれ、その接触形態が、摩擦面の温度や接触圧力の偏りを生むために、小さな荷重でも破断が起きてしまう原因になっていると考えられる。
よって、本発明では有限要素法による解析において、まず、伝熱解析によりねじ軸とナットとの摺動時におけるナット内部等の温度分布を求めた後、構造解析により該温度に起因する温度荷重と、所定の負荷荷重とから接触圧力分布を求める、熱の影響を考慮した伝熱−構造連成解析を行なっている。
[伝熱解析]
以上の解析では、実際にナットがねじ軸を摺動することを想定した解析ができない静的状態での解析となっている。このため、摩擦面に摩擦発熱を与えるのであるが、そのまま解析を行なうと、ねじ軸の固定された位置でナットが摺動しているような条件の解析になる。よって、モデル中、ナットとねじ軸の動かない接触部のみが温度上昇し続け、摩擦面からの熱流入と、熱伝達面からの熱流出が平衡状態となったときに結果として得られる温度分布は、一部のみが実際の温度よりも随分と高い値となってしまう。一方、実機等によれば、ある一定距離以上すべりねじ装置のナットを摺動移動させると、熱流入と熱流出が平衡と考えられる状態となり、ナット、ねじ軸ともに温度が収束する。また、構造解析においてもこの温度平衡状態でのナットとねじ軸の温度分布を利用する。
よって、伝熱解析手順としては、まずねじ軸の温度を導き、その後ねじ軸の温度も用いてナットの温度分布を求める。
[構造解析]
次に構造解析では、以上の伝熱解析の結果の温度分布と、その他負荷等の諸条件を拘束条件として入力して解析を行なう。条件設定を図4に示す
(1)まず伝熱解析より得られたねじ軸とナットの温度分布を、構造解析の条件設定として読み込み、温度拘束条件としてモデルに負荷する。
(2)摩擦によって生じる熱のほかに、移動テーブル等の被駆動体により負荷荷重が加わるため、(1)の温度荷重に加えて、図4に示すようにナットのフランジ部に面圧荷重として負荷する。
(3)以上の二つの荷重を入力し、剛体運動が起こらないように、ねじ軸下部に拘束条件を加えて解析を実行する。結果としては、温度分布による材質の熱膨張による影響と、面圧荷重による影響が組み合わされた構造上の変化を観察できる。
二次元軸対称のモデルを用いて上記伝熱解析および構造解析からなる伝熱−構造連成解析により、以下の諸条件におけるナットとねじ軸間に生じている接触圧力分布を求めた。
ねじ軸は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS303を材質とするステンレス 30 度台形ねじであり、山径が 12.0mm 、谷径が 9.5mm、 ピッチが 2.0mmのものを用いた。
樹脂製ナットはPPS樹脂を材質とし、谷径が12.5mm、山径が 10.0mm、ピッチが 2mmのものを用いた。ナットの移動ストロークは300mmである。外形寸法は、図5に示す形状で解析を行なった。ねじ軸との接触部の形態は、ねじ軸と同じで、成形に容易な30度台形ねじである。SUS303、PPS樹脂の物性値を下記表1に示す。なお、該解析ではヤング率の温度依存性を考慮した。
解析条件は、ナットへ軸方向下方向に図4に示す位置に負荷荷重として 1200 N を与え、ねじ軸の回転数を 100 rpmとした。雰囲気温度は30℃である。
また伝熱解析では、上記各材質の物性値等の他に技術的係数として、それぞれの材質と雰囲気流体との間の熱の受け渡しの大きさを表す値として熱伝達率を入力する必要がある。この値に関しては、明確なものが得られておらず、暫定的な値を入力した。固体表面と自然対流の空気の間の熱伝達率がおよそ 100〜101強 W/m2/K であるので、SUSと空気間は 15 W/m2/K で与えた。PPSと空気間の値については、SUSと空気間のそれよりは小さい値であろうと考え、PPSと空気間は 5 W/m2/K で与えた。
伝熱解析で使用した設定値を下記表2に示す。
以上の解析により得られたナットとねじ軸間に生じている接触圧力分布結果を図6に示す。
図6では接触圧力分布をナット上部から溝に沿って座標軸(x軸)をとり、その座標に沿った圧力を示したもの(y軸)を示す。図6においてx軸は、溝に沿った距離を1ピッチ分の距離で割ってあるため、1ピッチで1増加する表記になっている。また、解析条件のナットは、図6に示すように12ピッチ存在するため、接触圧力のピークも12箇所存在することになる。
図6に示すように、表1に示す熱膨張係数(軸方向および径方向)の場合では、接触圧力の最小値(非接触除く)と最大値との比が 10 以下で略均一化できており、最大接触圧力も 12MPa 未満とできることが分かる。
次に、表1において樹脂材料の熱膨張係数を変えて他の条件は同様に解析を行ない、最大接触圧力が軸方向熱膨張係数および径方向熱膨張係数によりどのような影響を受けるかを検討した。結果を表3に示す。
表3に示すように、点線で囲まれた範囲、具体的には(1)軸方向(6.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(5.0〜7.0)×10-5/℃、(2)軸方向(4.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(7.0〜11.0)×10-5/℃、(3)軸方向(4.0〜7.0)×10-5/℃ かつ径方向(11.0〜20.0)×10-5/℃においては、最大接触圧力が 12 MPa 未満である。また、該範囲外の場合では、最大接触圧力が 12 MPa 以上である。表3に示すように、最大接触圧力は、樹脂材料の熱膨張係数(軸方向および径方向)に大きく依存することがわかる。
接触圧力が大きくなると、その接触面付近で外力を大きな割合で受けることになり、破断につながる応力集中が起きる可能性が高くなると考えられる。また、ねじ山の偏摩耗が発生する。よって、所定の荷重をかけた場合において、生じる接触圧力分布を可能な限り均一にできるすべりねじ構造・材質とすることで、接触圧力の増大に伴う応力集中とその値の増大を和らげることができると考えられる。
本発明の樹脂製ナットでは、上記解析に基づきナット材質の熱膨張係数を、上記(1)〜(3)の範囲内とすることで接触圧力分布を略均一化させるとともに最大接触圧力を低減させ、すべりねじ装置の耐荷重の上限の引き上げ、および高面圧条件下での長寿命化を図っている。
本発明の樹脂製ナットおよびすべりねじ装置は、ねじ山の偏摩耗を低減させることができ、高面圧条件下でも長寿命であるので、光学測定器、半導体製造装置、医療機器等の各種装置等に好適に利用できる。
本発明の樹脂製ナットを用いたすべりねじ装置の斜視図を示す。 本発明の樹脂製ナットの軸方向断面図である。 解析で使用する二次元軸対称のモデルを示す図である。 条件設定例を示す図である。 解析条件(寸法等)の設定を示す図である。 接触圧力分布の解析結果を示す図である。
符号の説明
1 ねじ軸
2 すべりねじ装置
3 樹脂製ナット
4 フランジ

Claims (6)

  1. ねじ軸に螺合され、ねじ軸と軸方向に相対移動する樹脂製ナットであって、
    該樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数が、前記樹脂製ナットの軸方向断面において、該樹脂製ナットに荷重を加えたときの該樹脂製ナットと前記ねじ軸との接触面における軸方向の接触圧力分布を略均一とできる値であり、
    前記接触圧力は、前記樹脂製ナットの二次元軸対称モデルを用いて有限要素法による解析により求めたものであることを特徴とする樹脂製ナット。
  2. 前記有限要素法による解析は、前記ねじ軸と前記樹脂製ナットとの摺動時における前記ねじ軸と樹脂製ナット内部の温度分布を求めた後、該温度分布と、所定の負荷荷重とを拘束条件として前記接触圧力の解析を行なう伝熱−構造連成解析であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製ナット。
  3. 前記接触圧力分布における接触圧力の最大値が 12 MPa 未満であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の樹脂製ナット。
  4. 前記樹脂製ナットを形成する樹脂材料の熱膨張係数が、軸方向(6.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(5.0〜7.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜6.5)×10-5/℃ かつ径方向(7.0〜11.0)×10-5/℃、または、軸方向(4.0〜7.0)×10-5/℃ かつ径方向(11.0〜20.0)×10-5/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の樹脂製ナット。
  5. 前記樹脂製ナットは、フランジが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の樹脂製ナット。
  6. ねじ軸にナットを螺合して、ナットをねじ軸と軸方向に相対移動させるすべりねじ装置であって、前記ナットが請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の樹脂製ナットであることを特徴とするすべりねじ装置。
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