JP2008255549A - メッシュ状織物及び建造物用の複合構成体 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学的安定性に加え、高い引張強度を有するメッシュ状織物とこのメッシュ状織物により製造され、機械的な強度に関して施工後の長期的な安定性を有し、構造欠陥が生じにくい建造物用の複合構成体を提供する。
【解決手段】本発明のメッシュ状織物10は、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組V1〜V6を規則的に配列してなるタテ糸群30と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組W1〜W7を規則的に配列してなるヨコ糸群21、22とを備え、前記ヨコ糸群21、22を隣接配置して前記タテ糸群30と交差させて固着してなるメッシュ体の交差箇所K1〜K42がホットメルトタイプの樹脂で被覆されている。本発明の建造物用の複合構成体は、メッシュ状織物10とモルタルよりなり、前記モルタルはJIS R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaで、JIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5である。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種セメント製品、建物等の構造物の外壁等に使用され、モルタルやコンクリートの補強や亀裂拡大の防止に利用されるメッシュ状織物と、このメッシュ状織物が使用された建造物用の複合構成体に関する。
各種セメント製品や建物の外壁材料、床面材料等として一般に使用されるモルタルは、施工後に乾燥して収縮すると、その施工表面部に亀裂や割れ、欠け等の構造的な欠陥が生じやすいものである。発生したクラック等の欠陥を長期間に亘り放置すると、セメント製品やモルタルの表面部からその内部、さらに裏面に到るまで亀裂が経時的に拡大していく場合がある。このように拡大した亀裂部には、水、汚泥等の侵入によって漏水が発生するという問題があり、また外力に対する耐久性低下に伴う構造物全体の強度が弱体化するという問題もある。このような問題の発生を防止するために、セメント製品や建物の外壁等に使用されるモルタル中に、ガラス繊維等よりなるメッシュ状織物を埋設してセメント製品やモルタル等を補強すると共にクラックの拡大を防止する施工法が従来から行われている。
メッシュ状織物は、織物を構成するガラス繊維がセメント中のアルカリ性物質によって浸食されやすいので、特許文献1では、ガラス繊維の組成を限定することによって改善することができるとする発明がなされている。また、特許文献2では、ガラス繊維の番手に加えて、撚り数についても限定を加えることによって引張強度を改善することができるとする発明が開示されている。さらに、特許文献3では、外観品位の劣化の改善という観点から、ガラス繊維と番手の異なる繊維を使用し、メッシュ目間隔と樹脂付着率を限定することによって対応するという内容が開示されている。また、特許文献4では、軽量セメントモルタルを塗着し、その表面に単位面積あたりの質量が40〜250g/m2で、引張強度が100kgf/mm2以上の網材を押圧して埋設した後、仕上げ施工することにより、モルタル層の耐久性が向上し、モルタル層のひび割れ、剥落を防止できる建築物の外壁の施工方法が開示されている。
特開2000−328391号公報 特開2002−155450号公報 特開2002−302877号公報 特開平10−102720号公報
しかしながら、これまでに行われてきた発明だけでは、高い性能を実現し安定した品位を有するメッシュ状織物とするには充分ではない。すなわちこれまでのメッシュ状織物だけでは、長期に亘り高い安定性を実現し、セメント製品や建物の外壁材料等として使用されるモルタルに生じやすいクラック等の欠陥を完全に抑えることが難しく、クラック等の欠陥が長期間に亘って発生しない建造物用の複合構成体を得ることが難しかった。
また、本発明のメッシュ状織物の適用範囲を拡大し、多様な施工場所に適用するためにも。より安定した強度が実現できるものとするのが好ましく、このような広範囲な適用箇所としては、具体的には住宅、ビル等の建築物の外壁面や基礎面、土間やスラブ等の床面、天井面、道路や鉄道等のトンネル面、河川や湾岸等の防波堤斜面、あるいはその他に様々な柱材や壁材や橋梁等各種公共施設の基礎面等がある。
本発明は、上述したような問題点を解決し、化学的な安定性に加えて高い引張強度を有するメッシュ状織物、及びこのメッシュ状織物を使用して製造され、機械的な強度に関して施工当初ばかりでなく施工後の長期的な安定性をも有し、クラック等の構造欠陥が生じにくい各種の建造物用の複合構成体を提供することを課題とする。
本発明のメッシュ状織物は、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とを備え、前記ヨコ糸群を隣接配置して前記タテ糸群と交差させて固着してなるメッシュ体のタテ糸の組とヨコ糸の組との交差箇所がホットメルトタイプの樹脂により被覆されてなることを特徴とする。
ここで、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とを備え、前記ヨコ糸群を隣接配置して前記タテ糸群と交差させて固着してなるメッシュ体の交差箇所が、ホットメルトタイプの樹脂により被覆されてなるとは、次のようなものである。すなわちこのメッシュ状織物が、1以上の本数のタテ糸を束ねたタテ糸束が一定の秩序をもって配列し、またそれに略直交するように配された1本以上の本数を1つの束とした複数のヨコ糸束が互いに固着されている網目状の外観を呈するメッシュ状織物において、メッシュ体の略直交している交差箇所についてのタテ糸束とヨコ糸束との固着に使用されている接着剤が、常温で気化することがなく、その成分として有害な溶剤や水などを含有せず、100℃から180℃程度に加熱することによって引火することなく軟化、流動することで熱可塑性を有する不燃性の接着剤を使用していることを表している。すなわちメッシュ体の他の部位は別にして、少なくとも交差箇所については、タテ糸束とヨコ糸束には、ホットメルトタイプの樹脂が含浸された状態となっている。
1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とについては、タテ糸群やヨコ糸群を構成する1組の糸の本数は、1本から5本程度までの本数とするのがよく、より好ましくは2本や3本とすることであり、この本数の設定は、糸の太さや配列間隔、さらにメッシュ状織物が適用される場所や使用方法等の用途に応じて適正に変更することができる。
また本発明のメッシュ状織物では、タテ糸群とヨコ糸群とが互いに交差する状態になるように織りこんであるものであるならば、織り方の種類についてはどのようなものでもよい。またホットメルトタイプの樹脂の材質の種類やヨコ糸やタテ糸の材質の種類は、所望の強度性能を実現できる材質であれば、用途に応じて適正なものを選択できる。タテ糸とヨコ糸の材質が異なるものであっても同じものであってもよい。樹脂の材質についても複数の材質を組み合わせたものでも単独材質でもよい。
ただ、本発明に係るホットメルトタイプの樹脂として、特に好ましいものを例示すれば、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、高密度ポリエチレン(高密度PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等がある。このような樹脂は、単独あるいは複数種を適量比で混合して使用することができる。これらの樹脂については、さらに複数の添加剤を併用してもよく、さらに樹脂の性能を改質するため、各種の微量添加剤を添加することも可能である。
ホットメルトタイプの樹脂のタテ糸やヨコ糸よりなるメッシュ織物に対する付着率は、所望の性能が発揮される限りは特に限定されないが、ホットメルトタイプの樹脂が塗布された後のメッシュ状織物の全質量に対して質量百分率表示で3%から30%好ましくは5%から25%の範囲であることがより好ましい。すなわち、樹脂の付着率が3質量%より小さいと目止めの効果が小さくなり、メッシュ状織物の目ズレの危険性が高くなる。また、樹脂の付着率が30質量%を超えると、メッシュ状織物の費用が高価となるとともにメッシュ状織物の開口部、すなわち網の目に過剰量となったホットメルトタイプの樹脂の膜が形成されて開口部が閉ざされた状態となりやすく、このような状態となるとその結果としてモルタルとメッシュ状織物とのなじみ易さが損なわれることになり、複合体を構成した場合に充分な強度を発揮することが困難になるため好ましくない。
タテ糸とヨコ糸の材質については、前記したように所定の性能を有するなら有機材でも無機材でもよいが、特に好ましいものとしては、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、ポリエチレンファイバ、セラミックスファイバ等がある。そしてさらにガラス繊維については、高い強度性能に加えて経済的にも使用し易いものであるので好ましい。ガラス繊維を使用する場合であれば、メッシュ状織物に用いられるガラス繊維が、酸化物換算の質量百分率表示で酸化ジルコニウムとして表記される、すなわちZrO2の含有率が質量百分率表示で14質量%以上の耐アルカリ性ガラス繊維であるなら、これをモルタルに混入してもセメント中のアルカリ性物質によって経時的にガラス繊維の引張強度が低下するのを抑制でき、モルタルに発生する危険のあるクラックなどの各種欠陥を防止する効果を長期間に亘り維持することができるため特に好ましい。
本発明のメッシュ状織物に適用できる好適な耐アルカリ性ガラス繊維の組成を例示すれば、酸化物換算の質量百分率表示でSiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al2O3 0〜2%であり、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%である。RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)と表記したのは、これらの成分を全て含有するという意味ではなく、MgOとCaOとSrOとBaOとZnOの合量をROとして表した場合に酸化物換算の質量百分率表示で0から10%の範囲、より好ましくは0.2質量%から8質量%の範囲であることを意味している。
本発明のメッシュ状織物が酸化物換算の質量百分率表示でSiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al2O3 0〜2%であり、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%であれば、高い強度性能ばかりでなく、化学的な耐久性についても優れた性能を有するものとなるので、さらに安定したものとなる。
本発明のメッシュ状織物は、本発明のメッシュ状織物の性能に大きな影響を及ぼさない範囲で上記に加え必要に応じて各種の成分を添加することができる。本発明のメッシュ状織物の構成成分として使用できるものを具体的に例示するならば、P25、Fe23、Sb23、As23、SO2、Cl2、F2、PbO、La23、WO3、Nb25、Y23、MoO3、希土類酸化物、ランタノイド酸化物等を質量%表示で3%以下の含有量であれば含有することができる。
またこれらの添加物の内、Fe23は少ない方が好ましいため、その上限は酸化物換算の質量%表示で1%以下とする方がよい。
また上述以外にも、微量成分を質量%表示で0.1%まで含有することができる。例えば、OH、H2、CO2、CO、H2O、He、Ne、Ar、N2等の各種微量成分が該当する。
また本発明の強化板ガラスでは、メッシュ状織物の性能に大きな影響がないならば、ガラス中に微量の貴金属元素が含有してもよい。例えばPt、Rh、Os等の白金属元素をppmオーダーまで含有してもよい。
本発明のメッシュ状織物を構成するガラス繊維の形態としては、ヤーン、ロービング、DWR(ダイレクトワインディングロービング)等があるが、特にガラス繊維の形態がヤーンの場合には、ガラス繊維とホットメルトタイプの樹脂とのなじみが良くなり、その結果メッシュ状織物とモルタルとのなじみが良くなり、強固な構造となるので好ましい。
また本発明のメッシュ状織物は、上述に加え、たて方向及びよこ方向のJIS L1096(1999)に従う引張強度が500N/25mm以上であるならば、クラックを防止する効果が高く、高い強度を有する構造を構成することができ、各種の建造物の信頼性を必要とする場合、その強度を向上するために適正な使用方法に従って利用することで長期的に高い安定性を有する建造物を構成することが可能となる。
ここでたて方向及びよこ方向のJIS L1096(1999)に従う引張強度が500N/25mm以上であるとは、1999年に発行された日本工業規格(JIS)の L1096に従う測定方法によってメッシュ状織物のたて方向すなわちタテ糸の製織方向、及びよこ方向すなわちヨコ糸の製繊方向に25mmの寸法で保持した状態でメッシュ状織物に沿った引張力を印加した場合に、その強度が500N以上となることを意味している。
引張強度は、JIS L1096(1999)「一般織物試験方法」に従う方法で、標準分銅により校正された強度試験装置を使用することによって、測定すればよい。
また本発明のメッシュ状織物は、上述に加え糸の表面に、グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物によって、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着しているならば、糸とホットメルトタイプの樹脂とのなじみが良く、メッシュ状織物とモルタルとの付着性能に優れ、クラックを防止する効果が高く、高い強度を有する構造を構成することが可能となる。
ここで、メッシュ状織物を構成する糸の表面に、グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物によって、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着しているとは、糸の表面にグリシジル(glycidyl)基、アミノ(amino)基及びウレイド(ureide)基のいずれか1つ以上の官能基を有する化合物が付着しており、この化合物が乾燥状態の糸の質量に対して質量百分率表示で0.002%から0.2%の範囲内となるように付着しているということを意味している。
グルシジル基を含有する化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが使用可能である。またアミノ基を含有する化合物としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが使用可能である。またウレイド基を含有する化合物としては、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。
本発明のメッシュ状織物は、メッシュ状織物を構成する糸の表面に、グリシジル基、アミノ基、ウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物が、糸に対して質量百分率表示で0.002%以上付着されることにより糸とホットメルトタイプの樹脂とのなじみを良くするという効果が得られ、メッシュ状織物とモルタルとの付着特性が改善されることになるが、付着量が0.002%未満ではこの効果が十分に得られない場合がある。またメッシュ状織物を構成する糸が、グリシジル基、アミノ基、ウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物によって、糸に対しての付着量が質量百分率表示で0.2%を超えるとメッシュ状織物の費用が高価となるため好ましくない。以上の観点からメッシュ状織物を構成する糸は、グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物によって、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着処理されてなることが好ましく、より好ましくは0.005から0.15%の範囲で付着処理されることである。
グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物を、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着させるための方法としては、化合物を水に溶解させ水溶液の状態で糸表面に適量だけアプリケータ等の塗布装置を使用して付着させればよく、糸表面への付着性や結合性などの性状をさらに向上する目的で必要に応じて様々な添加剤を加えてもよい。
グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物であるかどうかを確認する方法としては、例えば赤外吸収スペクトル(IR)や熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)等の計測方法を使用することで確認することができる。
本発明の建造物の複合構成体は、メッシュ状織物とモルタルよりなる建造物用の複合構成体であって、前記メッシュ状織物は本発明のメッシュ状織物であり、前記モルタルはJIS R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaであり、JIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5であることを特徴とする。
ここでメッシュ状織物とモルタルよりなる建造物用の複合構成体であって、前記メッシュ状織物は本発明のメッシュ状織物であり、前記モルタルはJIS R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaであり、JIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5であるとは、次のようなものである。すなわち建造物の複合構造体がその構成材料として、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とを備え、前記ヨコ糸群を隣接配置して前記タテ糸群と交差させて固着してなるメッシュ体の交差箇所がホットメルトタイプの樹脂により被覆されてなるメッシュ状織物と、日本工業規格(JIS) R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaであり、同じくJIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5であるモルタルとの複合構成体であることを表している。
より具体的に、モルタルの曲げ強度は、1997年のJIS R5201「セメントの物理的試験方法」に記載のあるモルタルの曲げ強度試験方法に従い測定することで、その測定結果が本発明の複合構成体に見合う2.0MPaから4.0MPaの範囲内の測定値となることを表している。
またモルタルの単位容積質量については、2000年のJIS A1171「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載のある単位容積質量の試験方法により測定を行うことによって、その測定結果が本発明の複合構成体に見合う1.0から1.5の範囲内の値となることを意味している。
モルタルの曲げ強度が2.0MPaに満たない場合には複合構成体を構成した場合にも、強度が低く、建造物に適用する場合にはクラック等の発生し易くなる虞があるので好ましくない。またモルタルの曲げ強度が4.0MPaを超える場合には、モルタルのみの強度は高いもののメッシュ状織物のクラック防止効果や補強効果が低くなる場合や、メッシュ状織物とモルタルとのなじみが悪くなる場合があるので好ましくない。
モルタルの単位容積質量は、1.0未満の場合には、緻密性が低くなることによってモルタルの強度が弱くなる場合もあり、好ましくない。また逆にモルタルの単位容積質量が1.5を超えると、緻密性は大きくなるものの、メッシュ状織物とのなじみが悪くなる場合があるので好ましくない。
すなわち、建造物の複合構成体の性能を左右するモルタルの性能としては、強度が充分に高く、しかもメッシュ状織物とのなじみ易さという点でも優れたものとすることによって複合構成体としての強度が安定した品位を有するものとでき、両方が満足しないと長期に亘る安定した性能を維持するのは難しくなる。
また、本発明に係るモルタルは、セメントをベースにするものであり、建築土木用材料として一般的に用いられるセメント、細骨材、軽量骨材、水、水性ポリマーディスパージョンを含有するセメントモルタルやポリマーセメントモルタル等が使用可能である。さらに必要に応じて減水剤、AE剤、流動化剤、増粘剤、防水剤、防錆剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、着色剤、急結剤、膨張剤、収縮低減剤および補強繊維などを適量だけ添加してもよい。
本発明の建造物の複合構成体に用いられるメッシュ状織物の目間隔は特に限定されず、その目間隔が小さいほどモルタルのクラックを防止しやすいため好ましいが、目間隔を極端に小さくしようとするとモルタルとメッシュ状織物のなじみが悪く剥離を生じやすいため、3mm以上が好ましい。
また本発明の建造物の複合構成体は、上述に加えメッシュ状織物がモルタル層の表面に貼設されてなるもの、またはかぶり厚を有するモルタル層中に埋設されてなるものであれば、適用箇所に応じて様々なメッシュ状織物の使用方法を採用することができ、メッシュ状織物の長期的に安定した機械的な性能を充分に引き出した使用方法で建造物の複合構成体を構成することができる。
ここでメッシュ状織物がモルタル層の表面に貼設されてなるもの、またはかぶり厚を有するモルタル層中に埋設されてなるものであるとは、メッシュ状織物の建造物用の複合構成体の施工位置をモルタル層の表面にその一部が埋められたように貼り付ける、あるいは複合構成体の内部にある厚み深さのモルタル層の下に埋めた態様とすることによって使用することを表している。
メッシュ状織物をモルタル層の表面に貼設する場合には、予めロール状に巻き取ったメッシュ状織物を未乾燥状態のモルタル層の表面に拡げ、メッシュ状織物の厚み寸法の内、その所定厚み寸法だけモルタル層に埋めるように圧力を加えて押しつけ、その状態で保持してメッシュ状織物をモルタル層の表面に貼設された状態にすることができる。
また、かぶり厚を有するモルタル層中にメッシュ状織物を埋設する場合は、所定厚だけ予めモルタルを打ち込んだ後、その表面に貼設する場合と同様にロール状に巻き取ったメッシュ状織物を未乾燥状態のモルタル層の表面に拡げ、さらにその上からモルタルを所定厚となるように打ち込むことで施工することができる。
また本発明の建造物の複合構成体は、上述に加えかぶり厚がモルタル層の厚み寸法に対して40%を越えない厚み寸法であるならば、モルタル層の表面に発生しやすいクラックを抑制する確実な働き、すなわちクラック防止効果を充分に発揮するものとなるので好ましい。
かぶり厚がモルタル層の厚み寸法に対して40%を越えない厚み寸法であるとは、建造物の複合構成体の全体の厚みを100とすると、クラックの発生を抑制したい表面からの厚みが40%までの深さ寸法となるように、メッシュ状織物を埋め込むことを表している。
また本発明の建造物用の複合構成体は、上述に加え壁材、床材、天井材又はユニット材であるならば、強度に関して様々な問題が生じる部位に本発明を適用することができるので、長期に亘りクラック等の発生し難い建造物を構築することが可能となる。
ここで、複合構成体が、壁材、床材、天井材及びユニット材であるとは、建物、湾岸、河川、鉄道、道路、橋梁、ダム、下水道、用水路、土地造成等の様々な分野で利用される複合構成体として、構造物の壁材、床材や天井材、あるいは予め形成されたモルタルを使用したブロック状物を組み合わせる材料等に使用されるものであることを意味している。
(1)以上のように、本発明のメッシュ状織物は、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とを備え、前記ヨコ糸群を隣接配置して前記タテ糸群と交差させて固着してなるメッシュ体のタテ糸の組とヨコ糸の組との交差箇所がホットメルトタイプの樹脂により被覆されてなるものであるため、目止めが確実に行われた状態となっており、ムラのない安定した強度性能を有するメッシュ状織物であり、メッシュ状織物を施工時に目止めがずれにくいため作業性も良好なものである。
(2)また本発明のメッシュ状織物は、たて方向及びよこ方向のJIS L1096(1999)に従う引張強度が500N/25mm以上であれば、化学的な安定性に加えて高い引張強度を有するため、脆弱な建造物に本発明のメッシュ状織物を使用することによって高い強度性能を発揮するものにすることができ、建造物を効率的に補強することが可能となる。
(3)また本発明のメッシュ状織物はメッシュ状織物を構成する糸の表面に、グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物が、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着しているならば、メッシュ状織物とモルタルとの付着特性に優れ、クラックを防止する効果が高く、高い強度を有する構造を構成することが可能となる。
(4)本発明の建造物用の複合構成体は、メッシュ状織物とモルタルよりなる建造物用の複合構造体であって、前記メッシュ状織物は請求項1又は請求項2に記載のメッシュ状織物であり、前記モルタルはJIS R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaであり、JIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5であるため、モルタルとメッシュ状織物とのなじみがよく、メッシュ状織物とモルタルとの界面の接着性が高いため、メッシュ状織物の補強効果が確実に発揮されるものとなる。
(5)本発明の建造物用の複合構成体は、メッシュ状織物がモルタル層の表面に貼設されてなるもの、またはかぶり厚を有するモルタル層中に埋設されてなるものであれば、様々な施工方法を採用することが可能となり、従来は施工が難しかった各種の建造物でも採用することが可能となるものである。
(6)また本発明の建造物用の複合構成体は、かぶり厚が、モルタル層の厚み寸法に対して40%を越えない厚み寸法であるならば、モルタルとなじみの良好なメッシュ状織物を適所に埋めることで、メッシュ状織物の補強効果を確実に発揮させることが可能となり、複合構成体の表面に発生しやすいクラック等の構造欠陥を抑制することが可能となるものである。
(7)さらに本発明の建造物用の複合構成体は、壁材、床材、天井材又はユニット材であるならば、強度上の問題を有する施工物の強度を効率よく改善することができ、メッシュ状織物の適用される用途を拡げることができるものである。
以下に本発明のメッシュ状織物と、メッシュ状織物を使用して構成される建造物用の複合構成体について、実施例に基づいて説明する。
本発明のメッシュ状織物の一例を図1に示す。図1で10はメッシュ状織物、2はヨコ糸、3はタテ糸、5はメッシュ体、W1〜W7はヨコ糸の組、V1〜V6はタテ糸の組、K1〜K42はヨコ糸の組とタテ糸の組とが交差する目止め箇所をそれぞれ表している。
このメッシュ状織物10は、建物の壁面に発生するクラックを抑止するため、壁面の補強に使用するものであって、そのガラス繊維のガラス組成は酸化物換算の質量百分率表示でそれぞれの含有成分を表示すると、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%の範囲に含まれるものである。
このメッシュ状織物10において、メッシュ体5のヨコ糸群21は、所定の等間隔で配列したヨコ糸の組W4a、W5、W6、W7の各組をまとめたものである。また、ヨコ糸群22は同様に所定の等間隔で配列したヨコ糸の組W4b、W3、W2、W1の各組をまとめたものであるが、このヨコ糸群21と他のヨコ糸群22とは、それぞれW4aとW4bとが互いに隣接した状態となっているので結果としてヨコ糸群21とヨコ糸群22とは隣接配置された状態である。そしてヨコ糸群を構成するヨコ糸の組は、この例では1本または2本のヨコ糸2のガラス繊維により構成されている。例えば、ヨコ糸2の組W7、W6はそれぞれ2本のヨコ糸2のガラス繊維により構成されているが、W5は1本のヨコ糸2のガラス繊維により構成されている。
またヨコ糸2に対して略直交状態となるように交差されて配されているタテ糸3についても1本のタテ糸3及び2本のタテ糸3が1組となった構成であり、タテ糸3の組V1、V2、V3、V4、V5、V6よりなるタテ糸群30は、ヨコ糸2と交差する箇所K1〜K42でホットメルトタイプの接着剤がその表面に被覆された状態となり、互いに目止めされた状態となっている。ホットメルトタイプの樹脂は、ここではエチレン−酢酸ビニル(EVA)系樹脂を使用しているが、その他にも高密度ポリエチレン(高密度PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等を必要に応じて使い分けることができる。
このような構成のメッシュ状織物10は、ヨコ糸2の全組の配列ピッチ(目間隔)は、この実施形態では5mmに設定されているが、例えば3〜20mmの範囲内であればよく、好ましくは、3〜10mmの範囲内に設定される。また、このヨコ糸群2の幅は、この実施例では1000mmに設定されているものである。
またこのメッシュ状織物10の製造方法は、次のようなものとなる。まずたて方向に長尺な一対のタテ糸3が、例えば分速40000mmでたて方向に連続走行している。一方、ヨコ糸の組W4a、W5、W6、W7よりなるヨコ糸群21、あるいはヨコ糸の組W4b、W3、W2、W1よりなるヨコ糸群22は、それぞれ予めホットメルトタイプ樹脂が塗布された状態で、走行する一対のタテ糸3の相互間、すなわちV1、V3、V5等よりなるタテ糸群やV2、V4、V6等よりなるタテ糸群により決まるメッシュ状織物の横幅に対応した長さに切断されつつ間欠的に供給される。そして、タテ糸群30に間欠的に供給されるヨコ糸群21、22は、複数が相互に隣接した状態となるようにタテ糸群30と交差状に配置されていくが、この供給に際しては、ヨコ糸群21、22の端部、つまり一組当たり1本とされている部分が、相互に重なり合うように、V1、V3、V5等よりなるタテ糸群とV2、V4、V6等よりなるタテ糸群等の各タテ糸群30の供給が順々に行われる。この供給の後に、ヨコ糸群21、22が一対のタテ糸群30に挟まれた状態で順次熱処理を受けることにより、タテ糸群30とヨコ糸群21、22との各交差部がホットメルトタイプの樹脂によって固着された状態となり、更にこれが固化することにより目止めされたメッシュ状織物10が得られることになる。
次いで、構成を変えた他の実施例について、実施例2としてまとめて示す。ここでは主にメッシュ状織物の性能とこのメッシュ状織物を埋め込んで製造した建造物の複合構成体の性能について、説明する。
表1は、本発明のメッシュ状織物とそのメッシュ状織物とともに使用されるモルタル、さらにメッシュ状織物とモルタルとによって構成される本発明の建造物用の複合構成体の強度についての評価結果をまとめたものである。
このメッシュ状織物を構成するガラス繊維のガラス組成は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO2 61.0%、ZrO2 19.5%、Li2O 1.5%、Na2O 12.3%、K2O 2.6%、CaO 0.5%、TiO2 2.6%となる耐アルカリ性ガラス繊維である。
この表1のガラス繊維の製造手順は、予め上記の組成となるように各種ガラス原料を調合、混合した均質なバッチ原料を作製し、溶融炉内に投入して均質な状態とした後に、耐熱性ブッシングのノズル口より引き出して急速に冷却してガラス繊維とした後、試料No.4を除いたものについては、耐アルカリ性ガラス繊維の表面に澱粉、潤滑剤、柔軟剤を含む集束剤を塗布し、表1に示す番手のタテ糸とヨコ糸用のヤーンを作製した。試料No.4については、耐アルカリ性ガラス繊維の表面にポリエステル樹脂を含む集束剤を塗布し、表1に示す番手のタテ糸とヨコ糸用のDWRを作製した。
また、試料No.11、No.12については、耐アルカリ性ガラス繊維の表面に澱粉、潤滑剤、柔軟剤を含む集束剤の他に、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを質量百分率表示でそれぞれ0.01%、0.1%の付着率となるようにガラス繊維の表面に塗布したものである。また試料No.13については、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.01%の付着率となるようにガラス繊維の表面に塗布した。試料No.14については、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを0.01%の付着率となるようにガラス繊維の表面に塗布した。
Figure 2008255549
次いでタテ糸群が走行するところに、表1に示すホットメルトタイプの樹脂が付着されたヨコ糸群を交差させて、交差された状態で130℃で加熱溶融し冷却することによって、タテ糸群とヨコ糸群とを互いにホットメルトタイプの樹脂によって固着させ、メッシュ状織物を作製した。なお、ホットメルトタイプ樹脂の付着率については、集束剤との合量の付着率が表1に示す値となるように、予め集束剤の付着量を調査し、メッシュ状織物への塗布量の調整を行った。
表1にあるモルタルの単位容積質量の値は、JIS A1171(2000)「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載のある単位容積質量の試験方法により計測したものである。
またモルタルの曲げ強度の値は、JIS R5201(1997)「セメントの物理的試験方法」に記載のあるモルタルの曲げ強度試験方法に従い測定したものである。
タテ糸の番手は155tex、あるいは310texのガラス繊維を1本または2本組み合わせたものであり、ヨコ糸も同様である。目間隔については、例えば5×5と表記されているのは、たて方向が5mm、よこ方向が5mmということを表している。
またホットメルトタイプの樹脂の種類として「EVA」と表記したものは、エチレン−酢酸ビニル樹脂、「PE」と表記したものは高密度ポリエチレンを使用したものである。
またメッシュ状織物の引張強度試験は、各メッシュ状織物から幅25mm、長さ300mmの試験片をたて方向およびよこ方向の各試料からそれぞれ5枚ずつ採取して、予め校正された島津製作所製のオートグラフ強度試験装置を使用してJIS L1096(1999)「一般織物試験方法」の引張強さ及び伸び率のA法に従いスパン200mm、引張速度200mm/分で評価を行ったことにより得られた平均値である。
また建造物用の複合構成体についてのひび割れ発生荷重と曲げ強度の評価は、次のようにして測定した。まず250×50×20mmの型枠にモルタルを流し込んだ。モルタルを打ち込む際に試料No.1〜No.5、No.8〜No.10では、打ち込み厚が2mm、試料No.6では打ち込み厚が4mm、試料No.7では打ち込み厚が8mmの厚みになるように流し込んだ。その後流し込まれた未硬化のモルタルの上にそれぞれメッシュ状織物を1枚置き、さらにモルタルを流し込んで、厚さ20mmの試験体を成形した。そしてこの試験体を20℃、60%RHの温度湿度を管理した室内にて28日間養生した。このようにして28日間養生した材令28日の試験体と、さらに材令28日から70℃で10日間温水中に浸漬した後の各試験体について、曲げ試験を行った。曲げ試験の測定は、型枠面(ネット埋設面)を下方にし、支点間距離200mmの中央載荷方式で、載荷速度2mm/分で計測を行った。試験に供した試験体の数は、1試験条件につき5体とした。表1中でひび割れ発生荷重として表記したものは、材令28日の曲げ試験時に、目視により試験体にひび割れが発生した時の荷重をニュートン単位で示す。また、表1中には、材令28日と、温水浸漬後の試験体について計測した曲げ強度の測定結果をまとめて示す。温水浸漬後の試験体についての評価は、本発明について、長期経過後の状態を加速的に再現するための促進試験として行うものである。
以上の評価によって、表1からも明らかなように、試験を行った本発明のメッシュ状織物の試料No.1から試料No.14の各試料は、引張強度がたて方向が537N/25mmから779N/25mmの範囲内にあり、よこ方向が560N/25mmから827N/25mmの範囲にあり、いずれも500N/25mm以上にあることが判明した。
また試験を行った本発明のメッシュ状織物を使用して成形した建造物の複合構成体の試料No.1から試料No.10の各試料は、ひび割れ発生荷重が小さいものでも270N、大きいものでは312Nという高い値を示し、曲げ強度についても材令28日が5.9MPaから8.4MPaの範囲内、70℃温水浸漬10日後が5.9MPaから8.3MPaの範囲内の値となり、いずれも充分に高い値となることが判明した。
試料No.11から試料No.14の各試料は、メッシュ状織物を構成する糸が、グリシジル基、アミノ基、ウレイド基のいずれかの一つを含有する化合物によって、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%の付着率となるように処理されているため、ひび割れ発生荷重が349Nから377Nとさらに高い値を示し、曲げ強度についても材令28日が8.8MPaから9.5MPaの範囲内、70℃の温水浸漬10日後の曲げ強度が8.6MPaから9.3MPaの範囲内の値となり、さらに高い曲げ強度を示すことが判明した。
[比較例]次いで建造物用の複合構成体についての比較例として、本発明の実施例と同様の手順により一部の手順を変えることによって、比較例に相当するNo.21〜No.26の各試料を調整した。具体的には、実施例と同様の組成を有する耐アルカリ性ガラス繊維からなるタテ糸とヨコ糸用のヤーンを準備し、比較例の試料No.21とNo.22については、表2に示す目間隔で平織りし、表2に示す各樹脂を浸漬法によって塗布した。次いで各樹脂が含浸された平織り織物を、乾燥して固化することによってメッシュ状織物を作製した。また、比較例の試料No.23〜No.26については、実施例と同様な方法でメッシュ状織物を作製した。このようにして得られたメッシュ状織物と表2に示すモルタルを用いて、実施例と同様の一連の評価を行った。尚、試料No.25については、250×50×20mmの型枠にモルタルを10mmの厚みになるように流し込んだ後、モルタルの上にメッシュ状織物を1枚置くことによって、メッシュ状織物のかぶり厚が50%の位置になるように、試料No.26については、16mmの厚みになるように流し込んだ後、モルタルの上にメッシュ状織物を1枚置くことによって、メッシュ状織物のかぶり厚が80%の位置になるように曲げ試験体を作製した。
Figure 2008255549
評価の結果、比較例の試料No.21、No.22については、実施例の試料No.1と同じタテ糸、ヨコ糸目間隔からなるメッシュ状織物であるにも関わらず、浸漬法によって樹脂が付着されているため、モルタルとのなじみが悪く、モルタルとの付着性に劣り、実施例のNo.1に比べて、ひび割れ発生荷重が低く、曲げ強度も低い値を示した。また、試料No.23については、実施例の試料No.1と同じメッシュ状織物を使用しているにも関わらず、モルタルの単位質量容積が1.0より小さく、モルタルの曲げ強度が2.0MPaよりも低いため、実施例の試料No.1に比べてひび割れ発生荷重、曲げ強度が低い結果となった。比較例の試料No.24については、実施例の試料No.1と同じメッシュ状織物を使用しているにも関わらず、モルタルの単位質量容積が1.5より大きい2.0という値であり、モルタルの曲げ強度が4.0MPaよりも高いため、曲げ強度がモルタルのみの曲げ強度の1.7倍(実施例の試料No.1は2.6倍)と補強効率が悪かった。また、比較例の試料No.25、及びNo.26については、実施例の試料No.1と同じメッシュ状織物を使用しているにも関わらず、メッシュ状織物がモルタル層の厚みに対するメッシュ状織物のかぶり厚が40%を超えた位置に埋設されているため、ひび割れ発生荷重、曲げ強度が低い値を示した。
以上のように、本発明のメッシュ状織物は充分に高い強度を有するものであり、さらにこのメッシュ状織物を所定のモルタルとともに使用することで構成された建造物用の複合構成体は、メッシュ状織物の高い引張強度を適正に活用することによって、機械的な強度に関して施工当初ばかりでなく施工後の長期的な安定性をも有し、クラック等の構造欠陥が生じにくい建造物用の複合構成体となることが明瞭となった。
本発明のメッシュ状織物の部分平面図。
符号の説明
10 メッシュ状織物
2 ヨコ糸
3 タテ糸
5 メッシュ体
21、22 ヨコ糸群
30 タテ糸群
W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7 ヨコ糸の組
V1、V2、V3、V4、V5、V6 タテ糸の組
K1〜K42 目止め箇所(交差箇所)

Claims (7)

  1. 1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のタテ糸の組を規則的に配列してなるタテ糸群と、1本の糸又は2本以上の糸を一組とする複数のヨコ糸の組を規則的に配列してなるヨコ糸群とを備え、前記ヨコ糸群を隣接配置して前記タテ糸群と交差させて固着してなるメッシュ体のタテ糸の組とヨコ糸の組との交差箇所が、ホットメルトタイプの樹脂により被覆されてなることを特徴とするメッシュ状織物。
  2. たて方向及びよこ方向のJIS L1096(1999)に従う引張強度が500N/25mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のメッシュ状織物。
  3. 糸の表面に、グリシジル基、アミノ基及びウレイド基のいずれか一以上を含有する化合物が、糸に対して質量百分率表示で0.002〜0.2%付着していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメッシュ状織物。
  4. メッシュ状織物とモルタルよりなる建造物用の複合構成体であって、
    前記メッシュ状織物は請求項1又は請求項2に記載のメッシュ状織物であり、前記モルタルはJIS R5201(1997)に従う曲げ強度が2.0〜4.0MPaであり、JIS A1171(2000)に従う単位容積質量が1.0〜1.5であることを特徴とする建造物用の複合構成体。
  5. メッシュ状織物がモルタル層の表面に貼設されてなるもの、またはかぶり厚を有するモルタル層中に埋設されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の建造物用の複合構成体。
  6. かぶり厚が、モルタル層の厚み寸法に対して40%を越えない厚み寸法であることを特徴とする請求項5に記載の建造物用の複合構成体。
  7. 壁材、床材、天井材又はユニット材であることを特徴とする請求項4から請求項6の何れかに記載の建造物用の複合構成体。
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