JP2008253364A - 枕 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】その内部にポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる充填材が充填されてなる枕。充填材を構成するポリトリメチレンテレフタレート繊維は短繊維であることが好ましく、袋状の布帛がポリトリメチレンテレフタレート繊維より製編もしくは製織された布帛であることも好ましい構造である。
【選択図】なし
Description
また、ポリウレタンフォームによる低反発枕は、遅延弾性がありフィット感のあるものの、このような特性を出すため、ポリウレタンのセルが非常に小さくかつ連通孔で無いため、夏場使用時は、非常に頭が蒸れるという問題がある。さらに、ポリウレタンフォームのため、リサイクルが難しいものであった。
ここで、本発明の枕においては、上記の充填材を構成するポリトリメチレンテレフタレート繊維が短繊維である構造、上記の袋状の布帛がポリトリメチレンテレフタレート繊維より製編もしくは製織された布帛である構造が好ましい構造として包含される。
本発明の枕においては、袋状の布帛に充填材が充填されてなる点で通常の枕と同様であるが、その充填材がポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる充填材であることが通常の枕と異なっておりかつ重要な点である。
捲縮数が8個/25mm未満では、該繊維から得られる枕の嵩高性が不十分である。一方、35個/25mmを超えると、繊維間の絡合性が高くなりすぎて、繊維の吹込み性などの工程性が悪くなる。
また、繊維処理剤の付着量が0.05重量%未満では、繊維処理剤の付着が不均一となり、好ましい繊維間摩擦を得ることができない、一方、1.0重量%を超えると、繊維処理剤が多すぎるために、繊維を生地に吹き込む工程等でスカムなどが発生したり、汚れの要因となる。
さらに、繊維間静摩擦係数が0.15未満では、繊維間の摩擦が高いため、枕としては反発感が高く、寝心地が悪いものとなり、一方0.35を超えると、繊維間の絡合がないため、底つきを感じるとともに、たよりない感じとなる。ここで、繊維間静摩擦係数は、繊維処理剤の付着量により、容易に調整することができる。
なお、繊維処理剤としては、ポリエステル・ポリエーテル共重合体などのSi原子を含まない有機化合物や、オルガノポリシロキサンを主成分とする処理剤が用いられる。
また、繊維に任意の捲縮を付与および繊維処理剤を付与する方法としては、延伸工程における捲縮を付与して切断する工程において、押し込み加熱ギア法にて捲縮を付与する場合には、クリンパーに入る前の予熱、およびクリンパーのニップ圧、押し込み圧および押し込み量などの適正化により可能であり、さらに繊維処理剤付与および乾燥を経て、最後にカッターで短繊維に切断し作成することができる。
さらに、本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリトリメチレンテレフタレートを1成分とするサイドバイサイドまたは芯鞘構造の複合繊維でもよいが、ポリトリメチレンテレフタレート単独ポリマーからなる繊維が好ましい。
なお、このヒステリシスロス率は、繊維のデニール、繊維間摩擦係数、繊維の充填密度、そして使用布帛の種類などにより調整することができる。
布帛を製編織するための繊維の形態としては、特に限定されるものではなく、紡績糸でもフィラメント糸でもよく、必要に応じて用いることができる。繊度も常用される範囲で適宜設定すればよい。
なお、各特性に関しては下記方法により測定または評価した。
(1)固有粘度:オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)繊度、繊維長、捲縮数、捲縮率:JIS−L1015に記載の方法に準拠して測定した。
(3)繊維間静摩擦係数は、20℃、相対湿度65%下で、レーダー法により測定した。
(4)ヒステリシスロス率:JIS
K−6401の硬さ試験と準じて実施。なお、直径70mmの円形平面状の圧縮端子により、枕の中央部を50mm/分の速度で圧縮し、50Nの荷重になった時点で同速にて元に戻す。この際に得られる図1に示すような「荷重−変位曲線」から、圧縮曲線Xと圧縮回復曲線Yで形成される面積をa1(mm2)、圧縮回復曲線Yと直線ABと直線B0で形成される面積をa2(mm2)とした時に、次式でヒステリシスロス率H(%)を算出した。
H(%)={a1/(a1+a2)}×100
(5)枕風合い:試料繊維を用い枕蒲団を作成し、5人のパネラーにより、低反発ポリウレタンフォーム枕との比較触感検査を実施した。
4点:パネラー全員が低反発ポリウレタンフォーム枕並の低反発の触感とフィット感と判定
3点:過半数のパネラーが低反発ポリウレタンフォーム枕並の低反発の触感とフィット感と判定
2点:過半数のパネラーが低反発ポリウレタンフォーム枕より劣ると判定
1点:全員低反発ポリウレタンフォーム枕より劣ると判定
ポリトリメチレンテレフタレート[固有粘度0.85(o−クロロフェノール中、35℃で測定)、融点225℃]を常法で乾燥後、スクリュウ押出機を装備した溶融紡糸機にて、260℃で溶融し、丸断面用吐出孔を150個穿設した紡糸口金より吐出量480g/分で吐出させたポリマー糸条を冷却固化した後、1,200m/分で引き取り未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を50万デシテックスのトウにした後、55℃および90℃温水浴で総倍率2.10倍に2段延伸した。引き続き、延伸糸を、表1に示す処理剤の3重量%エマルジョン浴に通し、処理剤の付着量が表1に示す重量%となるようにローラーで絞り、押込み型捲縮機で捲縮を付与した後、32mmの繊維長に切断し、140℃で弛緩熱収縮処理を施し、おのおの表1に示す特性を有するポリトリメチレンテレフタレート捲縮繊維を得た。
得られたポリトリメチレンテレフタレート短繊維(繊度1.1dtex、繊維長32mm、捲縮数19個/25mm、捲縮率13%)を得た。上記と同じポリトリメチレンテレフタレートから溶融紡糸および延伸して製造されたポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント(84dtex/36f)を経糸および緯糸に用いて常法により平織物(経糸密度150本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cm)を製織し、これを70cm×51cmの袋状に縫製した。そして、この袋状の布帛の中に、上記のポリトリメチレンテレフタレート短繊維を充填材としてブロアーにより吹き込んで充填密度が表1に示すように充填し、本発明の枕を作製した。
評価結果をまとめて表1に示す。
市販の低反発ポリウレタンフォームを購入し、本発明の比較例とした。なお、密度は、0.054g/cm3であった。この評価結果を表1に示す。
異方冷却により立体捲縮を有する単糸繊度6.6デニール、繊維長38mmの中空ポリエチレンテレフタレートに表1に示す処理剤を付与し、実施例1と同様にして枕を作成した。
*2:ポリエポキシシロキサン
これに対して、比較例1の枕は、ポリウレタンフォームのため、頭に蒸れ感を感じ、また、リサイクルが難しいものであった。また、比較例2の枕は、充填材がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成されていないため、低反発性および使用感が悪かった。
Claims (8)
- その内部に少なくともポリトリメチレンテレフタレート繊維を主体とする充填材が充填されてなることを特徴とする枕。
- 上記ポリトリメチレンテレフタレート繊維がポリトリメチレンテレフタレート単独ポリマーからなる、請求項1に記載の枕。
- 上記のポリトリメチレンテレフタレート繊維が、繊度が0.5dtex〜30dtex、捲縮数が8〜25個/25mm、繊維長が20〜110mmの範囲であるポリトリメチレンテレフタレート短繊維である、請求項1または請求項2に記載の枕。
- ポリトリメチレンテレフタレート繊維に表面処理を施すことにより、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の繊維間摩擦係数を0.15〜0.35以下とした、請求項1〜3のいずれかに記載の枕。
- 充填材の充填密度が、0.01〜0.08g/cm3の範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載の枕。
- 充填材が袋状の布帛に充填されている、請求項1〜5のいずれかに記載の枕。
- 上記の袋状の布帛が、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いて製編もしくは製織された布帛である、請求項6に記載の枕。
- 直径70mmの円形平面状の圧縮端子により、枕の中央部を50mm/分の速度で圧縮し、50Nの荷重圧縮加圧したときのヒステリシスロス率が40〜100%である、請求項1〜8のいずれかに記載の枕。
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