JP2008247553A - エレベータの監視システム及び通信装置、並びに、救出用携帯端末装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】公衆回線を使用することができない場合であっても、複数のエレベータ間における通信を可能にし、救出活動等の必要な動作を迅速に行うことができるようにする。
【解決手段】複数のビルにそれぞれ設けられ、各ビルのエレベータを制御する制御盤101b乃至nbと、各ビルにそれぞれ設けられ、各制御盤101b乃至nbと外部の監視センター3との間で公衆回線網2を利用した通信を行うための通信装置101a乃至naとを備えるとともに、上記各通信装置101a乃至naを、公衆回線網2が所定の正常状態ではない場合に、複数の通信装置101a乃至naのうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワーク4を形成し、自己の制御盤からの所定のエレベータ情報を、アドホック通信によって他の通信装置に対して送信するように構成する。
【選択図】図2
【解決手段】複数のビルにそれぞれ設けられ、各ビルのエレベータを制御する制御盤101b乃至nbと、各ビルにそれぞれ設けられ、各制御盤101b乃至nbと外部の監視センター3との間で公衆回線網2を利用した通信を行うための通信装置101a乃至naとを備えるとともに、上記各通信装置101a乃至naを、公衆回線網2が所定の正常状態ではない場合に、複数の通信装置101a乃至naのうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワーク4を形成し、自己の制御盤からの所定のエレベータ情報を、アドホック通信によって他の通信装置に対して送信するように構成する。
【選択図】図2
Description
この発明は、複数のエレベータを同時に監視するエレベータの監視システム及び各エレベータに設けられた通信装置、並びに、上記監視システムを利用してエレベータの乗客を救出する際に使用される救出用携帯端末装置に関するものである。
現在のエレベータの監視システムには、複数のエレベータを公衆回線網(加入電話回線網等)によって遠隔の監視センターに接続することにより、公衆回線網を通じて各エレベータの稼動状況や故障状況等を集中監視するものがある。このような監視システムでは、エレベータで故障や閉じ込め(缶詰)が発生すると、その情報が公衆回線網を通じて監視センターに報告され、監視センターからそのエレベータや関係会社等に最適な指示が出されるように構成されている。即ち、監視センターでは、迅速且つ安全な救出活動等を実現するため、最適な技術者の選択や派遣を行い、常に合理的な対応を図っている。
なお、エレベータの監視システムに関する従来技術ではないが、災害発生時に携帯電話による通信を可能にし、救助の要請を可能にする通信システムとして、災害発生時に要救出者が保持する携帯電話と多数散布された中継センサとの間でアドホックネットワークを形成することにより、上記携帯電話から発信された救助信号を、中継センサを介してアドホックネットワークによってレスキュー隊員の携行端末まで送信するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
公衆回線網を利用し、監視センターによって集中監視されているエレベータでは、例えば、故障等が発生した場合に、監視センターからの的確な指示によって、かご内に閉じ込められた乗客を迅速に救出することが可能となる。しかし、監視センターは多数のエレベータと接続されているため、地震や火災等の大規模な災害が発生すると、緊急停止した多数のエレベータから救助を要請する情報が同時に送信されてしまう。このため、公衆回線がパンクするような情報が監視センターに集中してしまい、監視センターでは、その対応が不可能な状況に陥ってしまうといった問題があった。かかる場合には、救出者(エレベータの専門技術者)と監視センターとの間の通信も困難になることから、救出者は手探りの中、人力で救出作業を行う必要があり、救出活動が著しく遅延するといった問題が発生していた。
なお、特許文献1記載のものは、大規模地震等によって瓦礫の下敷きになった人等を救出するために構築される通信システムであり、かかる記載内容から、上記問題を解決するための具体的な手段を導くことはできなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、公衆回線を使用することができない場合であっても、複数のエレベータ間における通信を可能にし、救出活動等の必要な動作を迅速に行うことができるエレベータの監視システム及び通信装置、並びに、救出用携帯端末装置を提供することである。
この発明に係るエレベータの監視システムは、複数のビルにそれぞれ設けられ、各ビルのエレベータを制御する制御盤と、各ビルにそれぞれ設けられ、各制御盤と外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための通信装置と、を備え、各通信装置は、公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、複数の通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、自己の制御盤からの所定のエレベータ情報を、アドホック通信によって他の通信装置に対して送信するものである。
この発明に係るエレベータの通信装置は、ビルに設けられたエレベータを制御する制御盤と外部との通信を行うためのエレベータの通信装置であって、制御盤とエレベータを監視する外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、他の複数のビルに設けられた通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、を備えたものである。
また、この発明に係るエレベータの通信装置は、ビルに設けられたエレベータを制御する制御盤と外部との通信を行うためのエレベータの通信装置であって、制御盤とエレベータを監視する外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、他の複数のビルに設けられた通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、外部と通信を行うための手段として、常時は公衆回線用通信手段を選択し、公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、公衆回線用通信手段から切り換えてアドホックネットワーク用通信手段を選択する通信切換手段と、を備えたものである。
この発明に係る救出用携帯端末装置は、アドホックネットワークが構築された複数のエレベータの通信装置のうち、所定の範囲内にあるものとの間でアドホック通信を行うためのアドホック通信部と、外部情報に基づいて、現在の所在位置を算出する位置情報受信処理部と、アドホック通信部によって受信した情報、及び、位置情報受信処理部によって算出された所在位置情報に基づいて、複数のエレベータにおける救出優先順位を演算する演算処理部と、演算処理部の演算結果を表示する表示部と、を備えたものである。
この発明によれば、公衆回線を使用することができない場合であっても、複数のエレベータ間における通信を可能にし、救出活動等の必要な動作を迅速に行うことができるようになる。
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの監視システムの全体構成を説明するための図である。図1において、所定の地域に建築されている複数のビル101乃至n(nはビル番号)には、それぞれエレベータが設置されている。なお、図中、ビル番号にaを付したもの(101a、102a、103a、・・・、(n−1)a、na)は、ビル101乃至nのそれぞれに設置されたエレベータの通信装置を、ビル番号にbを付したもの(101b、102b、103b、・・・、(n−1)b、nb)は、ビル101乃至nのそれぞれに設置されたエレベータの制御盤を示している。
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの監視システムの全体構成を説明するための図である。図1において、所定の地域に建築されている複数のビル101乃至n(nはビル番号)には、それぞれエレベータが設置されている。なお、図中、ビル番号にaを付したもの(101a、102a、103a、・・・、(n−1)a、na)は、ビル101乃至nのそれぞれに設置されたエレベータの通信装置を、ビル番号にbを付したもの(101b、102b、103b、・・・、(n−1)b、nb)は、ビル101乃至nのそれぞれに設置されたエレベータの制御盤を示している。
ビル101乃至nに設置された各エレベータは、公衆回線網2(加入電話回線網等)によって遠隔の監視センター3にそれぞれ接続されており、上記監視センター3により、公衆回線網2を通じて各エレベータの稼動状況や故障状況等が集中監視されている。したがって、あるエレベータで故障や閉じ込め(缶詰)が発生すると、その情報が公衆回線網2を通じて監視センター3に送信され、監視センター3からそのエレベータや関係会社(例えば、そのエレベータを管理する管理会社等)に対して最適な指示が出される。
また、ビル101乃至nに設置されたエレベータの各通信装置101a乃至naは、地震や火災等の大規模災害が発生し、監視センター3との間で公衆回線網2を介した通信ができない或いは不安定になった(所定の正常状態ではない)場合に、所定の範囲(例えば、電波が届く範囲)内に設置されたもの同士の間で、アドホックネットワーク4を形成する機能を備えている。例えば、ビル101に設置されたエレベータの通信装置101aは、上記所定の状態において、他の通信装置102a乃至naのうち、1つ或いは複数のもの(図1に示すものでは、通信装置102a及び通信装置(n−1)a)との間でアドホック通信が可能となる。また、ビル(n−1)に設置されたエレベータの通信装置(n−1)aは、通信装置101a及び通信装置102aとの間でアドホック通信が可能となる。このように、各通信装置101a乃至naは、直接或いは他の通信装置を介することによって相互にアドホック通信が可能となるように構成されている。そして、各通信装置101a乃至naは、公衆回線網2を使用した通信が所定の正常状態ではない場合に、構築されたアドホックネットワーク4を使用して、自己のエレベータに関する所定の情報を他の通信装置に対して送信する。
5は大規模災害発生時等にエレベータに閉じ込められた乗客を救出する救出者であり、各通信装置101a乃至naとの間でアドホック通信が可能な携帯端末6(救出用携帯端末装置)を所持している。なお、救出者5は、一般にエレベータの専門的な技術者であり、常時は、ビル101乃至nに設置された各エレベータの保守や点検を実際に行う者である。即ち、救出者5は、ビル101乃至nに設置されたエレベータを熟知している。
次に、エレベータの通信システムの各構成について具体的に説明する。
図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの監視システムの具体的構成を示す図であり、ビル101に設置されたエレベータの通信装置101aと制御盤101bとの詳細を示したものである。なお、他の通信装置102a乃至naと制御盤102b乃至nbとは、通信装置101a及び制御盤101bの各構成と同様の構成を有するため、その詳細な説明は省略する。
図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの監視システムの具体的構成を示す図であり、ビル101に設置されたエレベータの通信装置101aと制御盤101bとの詳細を示したものである。なお、他の通信装置102a乃至naと制御盤102b乃至nbとは、通信装置101a及び制御盤101bの各構成と同様の構成を有するため、その詳細な説明は省略する。
図2において、通信装置101aは、自己のエレベータを制御する制御盤101bからの情報や付随する他の装置からの情報(例えば、監視カメラの映像やインターホンからの音声信号等)を外部に送信する機能、及び、監視センター3や他の通信装置102a乃至na等から送信される情報を制御盤101bや上記他の装置内等に取り込む機能を有している。上記機能を有するため、通信装置101aには、例えば、公衆回線用通信手段7、アドホックネットワーク用通信手段8、通信切換手段9が備えられている。
公衆回線用通信手段7は、外部(特に監視センター3)との間で公衆回線網2を利用した通信を行うための手段である。アドホックネットワーク用通信手段8は、他のエレベータの通信装置102a乃至naのうち所定の範囲内に存在するもの同士でアドホックネットワーク4を形成し、他の通信装置との間でアドホックネットワーク4によるマルチホップ通信を行うための手段である。
通信切換手段9は、外部との通信方式を切り換えるための手段である。この通信切換手段9は、外部と通信を行うための手段として、公衆回線用通信手段7及びアドホックネットワーク用通信手段8の何れか一方或いは双方を選択する。例えば、上記通信切換手段9は、外部と通信を行うための手段として、常時は公衆回線用通信手段7を選択し、公衆回線網2を利用した通信を行うように通信方式を切り換える。したがって、ビル101内のエレベータで単発的な故障等が発生した場合には、制御盤101bからの故障情報は、公衆回線用通信手段7及び公衆回線網2を介して監視センター3に送信される。
一方、通信切換手段9は、輻輳等の発生により公衆回線網2を利用した通信に障害が生じた場合には、外部と通信を行うための手段としてアドホックネットワーク用通信手段8を選択し、アドホックネットワーク4を利用した通信を行うように通信方式を切り換える。このため、通信切換手段9には、公衆回線網2を利用した通信が所定の正常状態であるか否かを判定する通信状態判定部10が備えられており、通信切換手段9は、通信状態判定部10の判定結果に基づいて、公衆回線網2の通信状態に応じた通信方式の切り換えを行う。
即ち、大規模災害等によって公衆回線網2の遮断、輻輳等が発生した場合には、通信状態判定部10によって、公衆回線網2による通信が所定の正常状態ではないこと(通信不可、或いは、所定の不安定な状態)が判定され、通信切換手段9は、その判定結果に基づいて、外部と通信を行うための手段を、公衆回線用通信手段7からアドホックネットワーク用通信手段8に切り換える。なお、通信切換手段9は、上記手順によってアドホックネットワーク用通信手段8への切り換えを行った場合に、通信方式を切り換えた旨の切換情報を制御盤101bに対して出力する。
一方、エレベータの全体制御を司る制御盤101bには、常時及び大規模災害発生時等の要時に、外部がエレベータを監視するために必要な各種手段、例えば、情報記憶手段11、運行情報検出手段12、送信情報判定手段13が備えられている。
情報記憶手段11は、エレベータを監視するために必要な情報であって、エレベータの運行状況に関わらず不変な情報を記憶するための手段である。上記情報記憶手段11には、例えば、エレベータが設置されたビルのビル番号、そのビルに設置されたエレベータの号機番号等が予め記憶されている。上記ビル番号は各ビルの情報の基本台帳の番号でもあり、各ビルに付けられている。なお、監視センター3や救出者5は、ビル番号を知ることができれば、そのビルの各種情報(例えば、ビルの所有者情報、保守契約の内容、ビルの住所、ビル周辺の地図、ビル内の配置図、ビルの出入口や避難経路、過去の故障履歴等)を全て把握することができる。また、ビル番号から上記ビルの各種情報を簡単に検索できるようなシステムが予め構築されており、救出者5がその地域のエレベータについて詳しくない者であっても、ビルの各種情報を容易に知ることができるようになっている。
運行情報検出手段12は、エレベータを監視するために必要な情報であって、エレベータの運行状況によって変化する情報を検出するための手段である。上記運行情報検出手段12では、例えば、閉じ込め(缶詰)発生信号の有無、故障発生信号の有無、買電(非停電)信号の有無、かご内人数、ドアゾーン信号の有無、かご位置等の各種情報を検出し、それらの情報を一時記憶する。なお、上記かご内人数は、例えば、かごに設けられた秤装置の計測値から算出することが可能であり、かご位置は、巻上機に設けられたパルスエンコーダの出力値から算出することが可能である。また、ドアゾーン信号は、かごがドアゾーン(例えば、かごドアと乗場ドアとが連動して開閉される範囲)内にある場合に出力される。
そして、送信情報判定手段13は、情報記憶手段11に記憶された各種情報と運行情報検出手段12によって検出、記憶された各種情報との中から、外部に出力する必要がある情報を目的に応じて判定し、その必要な情報を通信装置101aに対して出力する。なお、送信情報判定手段13による上記判定は、例えば、常時に外部に出力する情報と要時に外部に出力する情報とを予め設定しておくことによって実施しても良いし、何らかの条件と比較してその条件に該当する情報のみを、外部に出力する必要がある情報と判定するようにしても良い。また、上記送信情報判定手段13は、例えば、通信装置101a内に備えられていても良い。
具体的に、送信情報判定手段13は、図3に示すように、常時即ち公衆回線用通信手段7を介して外部にエレベータ情報を送信する場合には、ビル番号、号機番号、閉じ込め発生信号の有無、故障発生信号の有無、買電信号の有無等の情報を、外部に出力する必要があるエレベータ情報と判定し、通信装置101aの通信切換手段9に対して出力する。なお、地震等の未発生時に上記故障発生信号が監視センター3に送信された場合には、専門の技術者(救出者)がそのビル(エレベータ)に確実に派遣されることになるため、かご内人数の情報等といった詳細な情報を外部に送信しなくても良い。
一方、送信情報判定手段13は、通信切換手段9から切換情報が入力されると、ビル番号、号機番号、閉じ込め発生信号の有無、買電信号の有無、かご内人数、ドアゾーン信号の有無、かご位置の各情報を、外部に出力する必要があるエレベータ情報と判定して、通信装置101aの通信切換手段9に対して出力する。これは、大規模災害発生時等に救出者5に対してより詳細なエレベータ情報を提供することにより、救出者5に、自分が向かうべきビル(エレベータ)をより的確に判断させるためのものである。このため、故障発生信号の有無等といった漠然とした情報は、外部に送信しなくても良い。即ち、上記送信情報判定手段13は、公衆回線用通信手段7とアドホックネットワーク用通信手段8とから、その一部又は全部が異なるエレベータ情報を外部に送信させる機能を有している。
また、図4はこの発明の実施の形態1における救出用携帯端末装置の構成を示すブロック図であり、大規模災害発生時等に救出者5が所持する携帯端末6の詳細を示したものである。なお、この携帯端末6は、各通信装置101a乃至naとの間でアドホック通信を行う機能を有しており、例えば、携帯電話や、携帯式で通信機能付きの電算機(パソコン)、エレベータ保守用の携帯保守端末装置等から構成される。
図4において、携帯端末6には、アドホック通信部14、位置情報受信処理部15、情報入力部16、演算処理部17、表示部18等が備えられている。アドホック通信部14は、アドホックネットワーク4が構築されたエレベータの通信装置101a乃至naのうち、携帯端末6から所定の範囲内にあるものとの間でアドホック通信を行うための手段である。即ち、アドホック通信部14は、上記所定の範囲内にある通信装置101a乃至naの各アドホックネットワーク用通信手段8との間で、情報の送受信を行う機能を有している。
位置情報受信処理部15は、携帯端末6の現在の所在位置を算出するための手段であり、例えば、GPS衛星からの情報(外部情報)に基づいて、携帯端末6の現在の所在位置を計測する。情報入力部16は、携帯端末6を所持する救出者5が、表示部18に表示された内容等に基づいて操作し、選択や決定等の各種情報を入力するための手段である。この情報入力部16は、携帯端末6が携帯電話である場合には、例えば、0乃至9、#、*の各操作釦から、また、携帯端末6がノートパソコン等である場合には、キーボード等から構成される。
演算処理部17は、アドホック通信部14、位置情報受信処理部15、情報入力部16から入力される各種情報に基づいて、必要な演算処理を行うための手段である。なお、その具体的な処理内容については後述する。表示部18は、演算処理部17の演算結果に基づいて、救出者5に各種情報を表示するための手段であり、例えば、携帯電話やノートパソコン等の液晶部によって構成される。
次に、大規模災害等発生時における各種動作を説明する。なお、図5は大規模災害発生時における救出者の動作を説明するためのフローチャート、図6は携帯端末の表示内容の一例を示す図である。
広域地震等によって公衆回線網2で輻輳が発生し、各エレベータの通信装置101a乃至naと監視センター3との通信状態が不安定になると、各通信装置101a乃至naでは、通信状態判定部10によって上記通信が所定の正常状態ではないことが判定され、外部と通信を行うための手段が公衆回線用通信手段7からアドホックネットワーク用通信手段8へと切り換えられる。即ち、通信装置101a乃至na間でアドホックネットワーク4が自立的に構築される。
また、通信切換手段9は、上記通信方式の切り換えを行うとともに、自己の制御盤101b乃至nbに対して切換情報を送信する。制御盤101b乃至nbでは、上記切換情報を受信すると、送信情報判定手段13の判定結果に基づいて、外部に送信するエレベータ情報の再設定を行い、内容を一部変更したエレベータ情報を通信装置101a乃至naに対して出力する。なお、上記エレベータ情報は、各通信装置101a乃至naから所定時間毎に継続して発信される。また、各通信装置101a乃至naは、他のエレベータの通信装置から受信した情報を、アドホック通信が可能な他の通信装置に対して転送する。
一方、エレベータの専門技術者である救出者5は、地震発生後、エレベータに閉じ込められた乗客がいないかを確認するため、また、閉じ込められた乗客がいる場合にはその乗客の救出に向かうため、先ず、携帯端末6等を使用して監視センター3との連絡を試みる。なお、上述の通り、公衆回線網2では輻輳が発生しているため、救出者5はこの時点で監視センター3と連絡を取ることはできない。かかる場合、救出者5は、自分がエレベータの点検や保守を担当している地区(ビル101乃至nがある地区)に、上記構成の携帯端末6を所持して移動する。
救出者5が通信装置101a乃至naの何れかとアドホック通信が可能な位置まで移動すると、携帯端末6は、大規模災害発生後に構築されたアドホックネットワーク4を介して、上記通信装置から各種エレベータ情報を受信する。したがって、救出者5は、その受信した情報、或いは、受信した情報を更に携帯端末6の操作によって処理(条件検索、優先順位付け、各種ソート等)した情報に基づいて、自分が向かうビルを決定し、救出等の必要な行動を取るようにする。以下に、図5に基づき、救出者5が取る具体的な動作及び携帯端末6の動作について説明する。なお、以下においては、携帯端末6が携帯電話である場合を想定して説明する。
先ず、救出者5は、所定の操作等によって通信装置101a乃至naの何れかとアドホック通信が可能なことを確認した後、携帯端末6の*釦或いは#釦を押す(S1、S2)。ここで、*釦を押した場合には、演算処理部17は、アドホック通信部14によって受信した全ての情報、及び、位置情報受信処理部15によって算出された現在の所在位置情報に基づいて、ビル101乃至nの各エレベータにおける救出優先順位を演算する。即ち、救出に最適なビル(救出の優先度)を特定し、表示部18に表示させる。
上記救出優先順位を特定するためのプログラムは予め携帯端末6内に格納されている。例えば、一.救出中でないこと、二.閉じ込めが発生していること、三.買電(ビルの電源)が生きていること、四.救出者5の現在位置からビルが所定の範囲内にあること、五.閉じ込めが発生しているかごの台数が所定数以上であること、六.かごがドアゾーンで停止していること、七.かご内に閉じ込められている乗客が所定数以上であること、八.かごが1階付近で停止していること、の順に検索するようにし、該当するビルを特定する(S3)。なお、上記救出優先順位の演算に際しては、例えば、上記一乃至八の各条件(距離、人数、時間、号機台数等)を数値化し、所定の式に代入することによって求めることができる。また、救出優先順位の演算の結果、同一条件のビルが複数存在する場合には、例えば、救出者5が自分で何れのビルに向かうかを選択し、決定を意味する*釦を押すようにする(S4)。
なお、S1以下の手順は、救出者5がその地区のエレベータを日常的に担当していない技術者である場合に特に有効な手段となる。即ち、*釦を押すことにより、救出を早期に要するビルの順位が表示部18に自動的に表示されるため、救出者5はその表示内容に応じた行動を取れば良い。また、救出者5がその地区に不慣れである場合には、救出者5は携帯端末6の情報入力部16を操作してビル番号を入力することにより、アドホックネットワーク4を介して、そのビルの各種情報を取得することも可能である。
そして、救出するために向かうビルを決定した後、救出者5はそのビルに対して救出中の信号を送信する(S5)。なお、アドホックネットワーク4を介して自己のエレベータが救出中である旨の情報を受信したビル(通信装置)は、救出活動の効率化を図るため、その後、自己のエレベータが救出中である旨の情報をアドホック通信によって他の通信装置に対して送信するようにする。
一方、救出者5が#釦を押した場合(S2)には、演算処理部17は、先ず、アドホック通信部14によって受信した情報と位置情報受信処理部15によって算出された所在位置情報とに基づく各種エレベータ情報のうち、その一部を表示部18に表示させる。そして、情報入力部16からの入力情報に応じて、上記各種エレベータ情報の他部を表示部18に順次追加表示させる。
例えば、S2において救出者5が♯釦を押すことにより、演算処理部17は、先ず、救出中ではなく、閉じ込めの発生しているエレベータの号機番号とそのビル番号とを表示部18に表示させる(S6)。救出者5が、表示部18に表示された情報のみで救出すべきビルを決定できる場合には、救出者5はそのビルを選択して#釦を押し(S7)、救出中の信号をそのビルに対して送信する(S5)。一方、表示部18に表示された情報のみでは救出すべきビルを決定できない場合には、救出者5は、更に1釦を押して(S8)、表示部18に、買電の生きているビルの情報を追加表示させる(S9)。
救出者5が買電情報の追加表示によって救出すべきビルを決定できる場合には、救出者5はそのビルを選択して#釦を押し(S10)、救出中の信号をそのビルに対して送信する(S5)。救出者5が更に他の情報を必要とする場合には、救出者5は2釦を押して(S11)、表示部18に、かご内人数、ドアゾーン、かご位置の各情報を追加表示させる。なお、図6は、S12において全ての情報を携帯端末6の表示部18に表示させた状態を示したものである。そして、救出者5は、表示部18に表示された内容を確認して救出すべきビルを選択し、#釦を押す(S13)。また、救出中の信号をそのビルに対して送信する(S5)。
なお、S2以下の手順は、救出者5がその地区のエレベータを熟知しているようなベテラン技術者である場合に特に有効な手段となる。即ち、携帯端末6の表示部18に表示されないような他の情報も考慮の上、救出すべきビルを決定できるため、より迅速な対応が可能となる。例えば、各エレベータについての特殊な事情や、ビルに到達するまでの交通状態等を考慮して判断できる。
その後、公衆回線網2が復旧した場合には、救出者5は、それまでの情報を携帯端末6から監視センター3に送信し、各種エレベータ情報を監視センター3に一元化させるようにする。
この発明の実施の形態1によれば、公衆回線網2を使用することができない場合であっても、複数のエレベータ間における通信を可能にし、救出活動等の必要な動作を迅速に行うことができるようになる。即ち、広域災害等により公衆回線網2による通信に障害が発生し、その地域全体の通信機能が麻痺した場合であっても、各通信装置101a乃至na間で自立的にアドホックネットワーク4が構築されるため、エレベータ情報の収集が可能となる。特に都市部では、エレベータが設置されているビル間距離が非常に短いため、アドホックネットワーク4の構築には有利である。
また、送信情報判定手段13によって、公衆回線用通信手段7を介して外部に送信するエレベータ情報と、アドホックネットワーク用通信手段8を介して外部に送信するエレベータ情報とを分けることにより、必要な情報を必要な時に外部に送信することができるようになる。
なお、上記構成に加え、救出者5が要時に携帯端末6によって、エレベータかご内に閉じ込められた乗客と通話できるように構成しても良い。また、送信情報判定手段13は、アドホックネットワーク用通信手段8から外部に送信するエレベータ情報として、かごの停止時間(乗客の閉じ込め時間)等を追加しても良い。
また、実施の形態1では、公衆回線網2が所定の正常状態ではない場合のみ、通信装置101a乃至na間にアドホックネットワーク4が形成される場合について説明したが、上記アドホックネットワーク4が常時通信装置101a乃至na間で形成されるように構成しても良い。かかる場合には、救助者5が、携帯端末6によって、公衆回線網2による通信及びアドホックネットワーク4による通信の何れを利用するかを選択できるようにすれば良い。
101〜n ビル番号
101a〜na 通信装置
101b〜nb 制御盤
2 公衆回線網
3 監視センター
4 アドホックネットワーク
5 救出者
6 携帯端末
7 公衆回線用通信手段
8 アドホックネットワーク用通信手段
9 通信切換手段
10 通信状態判定部
11 情報記憶手段
12 運行情報検出手段
13 送信情報判定手段
14 アドホック通信部
15 位置情報受信処理部
16 情報入力部
17 演算処理部
18 表示部
101a〜na 通信装置
101b〜nb 制御盤
2 公衆回線網
3 監視センター
4 アドホックネットワーク
5 救出者
6 携帯端末
7 公衆回線用通信手段
8 アドホックネットワーク用通信手段
9 通信切換手段
10 通信状態判定部
11 情報記憶手段
12 運行情報検出手段
13 送信情報判定手段
14 アドホック通信部
15 位置情報受信処理部
16 情報入力部
17 演算処理部
18 表示部
Claims (10)
- 複数のビルにそれぞれ設けられ、前記各ビルのエレベータを制御する制御盤と、
前記各ビルにそれぞれ設けられ、前記各制御盤と外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための通信装置と、
を備え、
前記各通信装置は、前記公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、前記複数の通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、自己の前記制御盤からの所定のエレベータ情報を、アドホック通信によって他の前記通信装置に対して送信することを特徴とするエレベータの監視システム。 - 各通信装置は、アドホックネットワークを介して自己のエレベータが救出中である旨の情報を受信した後は、自己のエレベータが救出中である旨の情報を、アドホック通信によって他の前記通信装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの監視システム。
- 各通信装置は、
監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、
前記公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、前記複数の通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の前記通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの監視システム。 - 各通信装置は、
監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、
前記複数の通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の前記通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、
外部と通信を行うための手段として、常時は前記公衆回線用通信手段を選択し、前記公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、前記公衆回線用通信手段から切り換えて前記アドホックネットワーク用通信手段を選択する通信切換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの監視システム。 - 公衆回線用通信手段を介して外部に送信するエレベータ情報と、アドホックネットワーク用通信手段を介して外部に送信するエレベータ情報とを判定し、前記公衆回線用通信手段と前記アドホックネットワーク用通信手段とから、少なくともその一部が異なるエレベータ情報を外部に送信させる送信情報判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のエレベータの監視システム。 - ビルに設けられたエレベータを制御する制御盤と外部との通信を行うためのエレベータの通信装置であって、
前記制御盤とエレベータを監視する外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、
前記公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、他の複数のビルに設けられた通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の前記通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータの通信装置。 - ビルに設けられたエレベータを制御する制御盤と外部との通信を行うためのエレベータの通信装置であって、
前記制御盤とエレベータを監視する外部の監視センターとの間で公衆回線網を利用した通信を行うための公衆回線用通信手段と、
他の複数のビルに設けられた通信装置のうち所定の範囲内にあるもの同士でアドホックネットワークを形成し、他の前記通信装置との間でアドホック通信を可能にするアドホックネットワーク用通信手段と、
外部と通信を行うための手段として、常時は前記公衆回線用通信手段を選択し、前記公衆回線網が所定の正常状態ではない場合に、前記公衆回線用通信手段から切り換えて前記アドホックネットワーク用通信手段を選択する通信切換手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータの通信装置。 - 公衆回線用通信手段を介して外部に送信するエレベータ情報と、アドホックネットワーク用通信手段を介して外部に送信するエレベータ情報とを判定し、前記公衆回線用通信手段と前記アドホックネットワーク用通信手段とから、少なくともその一部が異なるエレベータ情報を外部に送信させる送信情報判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のエレベータの通信装置。 - アドホックネットワークが構築された複数のエレベータの通信装置のうち、所定の範囲内にあるものとの間でアドホック通信を行うためのアドホック通信部と、
外部情報に基づいて、現在の所在位置を算出する位置情報受信処理部と、
前記アドホック通信部によって受信した情報、及び、前記位置情報受信処理部によって算出された所在位置情報に基づいて、前記複数のエレベータにおける救出優先順位を演算する演算処理部と、
前記演算処理部の演算結果を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする救出用携帯端末装置。 - 救出者が操作して情報を入力する情報入力部と、
を備え、
演算処理部は、アドホック通信部によって受信した情報と位置情報受信処理部によって算出された所在位置情報とに基づくエレベータ情報のうち、その一部を表示部に表示させるとともに、前記情報入力部からの入力情報に応じて、前記エレベータ情報の他部を前記表示部に順次追加表示させることを特徴とする請求項9に記載の救出用携帯端末装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007090786A JP2008247553A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | エレベータの監視システム及び通信装置、並びに、救出用携帯端末装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007090786A JP2008247553A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | エレベータの監視システム及び通信装置、並びに、救出用携帯端末装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008247553A true JP2008247553A (ja) | 2008-10-16 |
Family
ID=39972970
Family Applications (1)
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JP2007090786A Pending JP2008247553A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | エレベータの監視システム及び通信装置、並びに、救出用携帯端末装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008247553A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR20190007005A (ko) | 2016-06-17 | 2019-01-21 | 미쓰비시 덴키 빌딩 테크노 서비스 가부시키 가이샤 | 엘리베이터의 상태 정보 통신 장치 및 원격 감시 시스템 |
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-
2007
- 2007-03-30 JP JP2007090786A patent/JP2008247553A/ja active Pending
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