JP2008231318A - 樹脂組成物、光学フィルム、位相差フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノルボルネン骨格と芳香環構造とを有する環状オレフィン系モノマーから誘導される構造単位(a)を有するノルボルネン系重合体(A)と、極性基を有し芳香環構造を有さないノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系モノマーから誘導される構造単位(b)を有し、前記構造単位(a)を有さないノルボルネン系重合体(B)とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ノルボルネン骨格と芳香環構造とを有する環状オレフィン系モノマー(A)から誘導される構造単位(a)を有するノルボルネン系重合体(A)と、極性基を有し芳香環構造を有さないノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系モノマー(B)から誘導される構造単位(b)を有し、前記構造単位(a)を有さないノルボルネン系重合体(B)とを含有することを特徴とする。
前記ノルボルネン系重合体(B)は、下記式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物全量中にノルボルネン系重合体(A)を70重量%以上、100重量%未満含有することが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、前記樹脂組成物から形成されることを特徴とする。
本発明の液晶表示装置は、前記フィルムを用いて作製されることを特徴とする。
本明細書において、複屈折との用語は通常の意味で用いられる。また、複屈折の値(これを、Δnとする)とは、重合体から成形されたフィルムを一軸または二軸延伸し、重合体分子鎖を一方向に配向させた延伸フィルムにおいて、延伸方向(二軸延伸においては延伸倍率の大きい方向)をx軸、これに対して面内垂直方向をy軸とし、x軸方向の屈折率をnx、Y軸方向の屈折率をnyとして、下記式:
Δn=nx−ny
で定義される正ないし負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
次に、位相差(Retardation)(以下、「Re」という。)とは、下記式:
Re=Δn×d
(式中、dは、透過光の光路長(nm)であり、通常、上記延伸フィルムの厚さである。)
で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。また、「位相差が1/4λ」とは入射光波長(λ)の1/4に相当する位相差を発現することを意味する。
「位相差の波長依存性が大きい」とは、短波長の入射光に対するReの絶対値と、長波長の入射光に対するReの絶対値との差異が大きいことを意味する。また、「通常の波長分散性」とは入射光波長が長波長になるにしたがい、位相差が小さくなる特性を意味し、「逆波長分散性」とは入射光波長が長波長になるにしたがい、位相差が大きくなる特性を意味する。
本発明の樹脂組成物は、ノルボルネン骨格と芳香環構造とを有する環状オレフィン系モノマー(A)から誘導される構造単位(a)を有するノルボルネン系重合体(A)と、極性基を有し芳香環構造を有さないノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系モノマー(B)から誘導される構造単位(b)を有し、前記構造単位(a)を有さないノルボルネン系重合体(B)とを含有している。本発明の樹脂組成物は、ノルボルネン系重合体(A)を70重量%以上、100重量%未満、好ましくは90重量%以上、100重量%未満含有する。
環状オレフィン系モノマー(A)
環状オレフィン系モノマー(A)は、ノルボルネン骨格と芳香環構造とを有する化合物である。環状オレフィン系モノマー(A)は、分子内に芳香環構造を1つのみ有していてもよく、また2個以上有していてもよい。本発明では、分子内に芳香環構造を1つまたは2つ有する環状オレフィン系モノマーが好適に用いられる。
ここで、前記式(1−1)〜(1−4)中のRについて説明する。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの基中の炭素原子に結合した水素原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
はこれらの2種以上が組み合わさって連なったものが挙げられる。
前記式(1−1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
1−1)〜(1−4)で表される化合物よりなる群から選ばれる一種以上が用いられ、より好ましくは、前記式(1−1)で表される化合物よりなる群から選ばれる一種以上が用いられる。
その他の共重合性モノマー
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(A)は、上述した環状オレフィン系モノマー(A)を1種以上のみを重合して得られる(共)重合体であってもよいが、環状オレフィン系モノマー(A)とともに、必要に応じて環状オレフィン系モノマー(A)以外の共重合性モノマーを共重合して得られる共重合体であってもよい。その他の共重合性モノマーを用いることにより、環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度などを制御することができる。その他の共重合体モノマーとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエンが挙げられる。前記共重合可能な単量体は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
ノルボルネン系重合体(A)
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(A)は、上述した環状オレフィン系モノマー(A)と、必要に応じてその他の共重合性モノマーとを、開環(共)重合あるいは付加(共)重合し、必要に応じて水素添加して製造することができ、これらをいずれも用いることができる。
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(A)は、全構造単位100モル%中、構造単位(a)を10〜50mol%の範囲で含んでいることが好ましく、構造単位(a)を20〜35mol%の範囲で含んでいることがさらに好ましい。
0〜190℃、さらに好ましくは165〜180℃であると、充分な耐熱性を有するとともに、押出し成形等の溶融成形も可能な優れた成形性を有するため望ましい。
ましくは0.2〜5dl/g、より好ましくは0.3〜3dl/g、さらに好ましくは0.4〜0.8dl/gである。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算値)による平均分子量の測定では、前記ノルボルネン系重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、通常、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜300,000、更に好ましくは5,000〜300,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、5,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,000,000、更に好ましくは30,000〜500,000であるのが望ましい。
満であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が5,000未満であると、本発明で用いられる前記ノルボルネン系重合体(A)から得られる成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度(ηinh) が5dl/g以上であるか、数平均分子量(Mn)が500,000以上であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が2,000,000以上であると、前記ノルボルネン系重合体(A)の溶融粘度または溶液粘度が高くなりすぎて、所望の成形品を得ることが困難になる場合がある。
環状オレフィン系モノマー(B)
環状オレフィン系モノマー(B)は、極性基を有し芳香環構造を有さないノルボルネン骨格を有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、下記式(2−1)で表される化合物である。
芳香環以外の環を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。)
式(2−1)において、p=0、mが0または1であり、R5およびR6が水素原子である場合が好ましい。
アミド基、イミノ基(=NH)、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルフィノ基(−SO2H)、カルボキシル基等
が挙げられる。
(式中、R7は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、nは0〜5の整数である。)
上記式(3)において、R7はアルキル基であることが好ましい。
上記式(2m)で表される環状オレフィン系モノマー(B)の具体例としては、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロイソプロピル−6−トリフルオロメチルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロ
メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12
,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。
ロ[4.4.0.12,5.
17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセンは、優れた耐熱性を有する樹脂組成物が得られる点で好ましい。
・不飽和二重結合含有化合物
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(B)は、環状オレフィン系モノマー(B)を1種以上のみを重合して得られる(共)重合体であってもよいが、環状オレフィン系モノマー(B)とともに、必要に応じて環状オレフィン系モノマー(B)以外の共重合性モノマーを共重合して得られる共重合体であってもよい。その他の共重合体モノマーとしては、例えば、炭素数が4〜20、特に5〜12のシクロオレフィンを用いることが好ましく、その具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(B)は、下記一般式で表される構造単位を有し、上記環状オレフィン系モノマー(B)を単独または2種以上で、あるいは環状オレ
フィン系モノマー(B)以外の共重合性モノマーとともに、重合あるいは共重合モノマーとして用いて、付加(共)重合、開環(共)重合、あるいは開環(共)重合後に主鎖中の二重結合を水素添加して得られる。
の環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。Xは独立に、−CH=CH−または−CH2CH2−を表す。複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
前記式中において、p=0、mが0または1であり、R5およびR6は水素原子である場合が好ましい。
また、前記ノルボルネン系重合体(B)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲のものが好適である。
また、本発明で用いる環状オレフィン系樹脂フィルムは、上記ノルボルネン系重合体(B)を含む樹脂組成物から形成されていてもよい。樹脂組成物には、ノルボルネン系重合体(B)の他、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂成分、安定剤や加工性向上剤などの樹脂に配合し得る各種添加剤を配合することができる。
前述したノルボルネン重合体(A)および(B)は上述した各モノマーを用いて下記の方法で製造することができる。
本発明では、反応終了までのモノマー総量のうちの、一部のモノマー(初期重合モノマー)と重合触媒を用いて重合を開始し、その重合反応中に残余のモノマーを供給して重合反応を行う。本発明において、初期重合モノマーとして用いるモノマーの量は、モノマー総量の少なくとも5重量%を用いることが好ましく、より好ましくは10〜95重量%であり、さらに好ましくは20〜90重量%である。初期重合モノマー量が5重量%未満の場合は、重合体中の構造の偏在が生じるために、本発明の効果を得ることができない。初期重合を開始する時のモノマー溶液の温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜180℃である。30℃未満の場合は重合体の収率が低下することがあり、200℃を超える場合は分子量コントロールが困難になることがある。
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(A)および(B)を製造するのに好適に用いることのできる重合触媒としては、ノルボルネンなどの環状オレフィンを重合する場合に用いられる開環重合触媒および付加重合触媒をいずれも用いることができる。
(I)Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。このような触媒としては
、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
Cl3、TiCl4等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
ン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
アミン類等を好適に用いることができ、更に、特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができる。
Bu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh2)[P(C6H11)3]2Cl2等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、付加共重合を行う触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
VO(OR)aXb、またはV(OR)cXd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
種が用いられる。
本発明で用いられるノルボルネン系重合体(A)および(B)の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を調整することによっても行うことができるが、分子量調節剤を共重合の反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレンが好ましく、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この分子量調節剤の使用量は、全モノマー1モル当たり、通常、0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
共重合反応において用いられる溶媒(即ち、単量体、重合触媒、分子量調節剤等を溶解する溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この重合反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全モノマー」の重量比が、通常、1:1〜10:1となる量であり、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
上記共重合により得られるノルボルネン系重合体は、開環重合により製造を行った場合は、オレフィン性不飽和基の構造を有するものである。この重合体は、そのまま使用することができるが、耐熱安定性をより向上させるために、上記オレフィン性不飽和基を水素添加して、水素添加された重合体(水素添加物)として得ることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、共重合により生じる前記オレフィン性不飽和基が水素添加されたものであって、モノマー構造に由来するベンゼン環などの芳香環骨格中の環内共役二重結合は、実質的に水素添加されていないものであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、押出成形および射出成形などの溶融成形、溶液流延法(キャスト法)による成形のいずれによっても好適に所望の形状に成形することができるが、組成物が濾過特性に優れるため、溶液流延法により製膜することが好ましい。
2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ
−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル・3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤;トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、開環共重合体の耐酸化劣化性を向上することができる。また、たとえば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノ
ール]]などの紫外線吸収剤を添加することによって耐光性を向上することもできる。さ
らに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
溶液流延法(溶媒キャスト法)としては、本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させ、該樹脂組成物を適度の濃度で含有するフィルム形成液を調製する。必要に応じて、このフィルム形成液を濾過した後、濾液を適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布することによって流延し、キャリヤー上にフィルム形成液の液相を形成した後、乾燥などにより該液相から溶媒を除去し、得られた膜をキャリヤーから剥離させる方法を好ましい方法として挙げることができる。
)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用することにより、表面
状態の均一性および光学特性の良好なフィルムが得られる。
キャリヤーに塗布されたフィルム形成液中の溶剤を除去するための具体的な方法は、特に限定されず、一般的に用いられる乾燥処理法、たとえば多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法などを利用することができる。乾燥工程において溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、フィルムの特性が著しく低下するので、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程における温度または風量を制御することにより気泡の発生を回避することが好ましい。
本発明の未延伸の上記光学フィルムは、延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより、フィルムを形成する本発明の共重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向し、透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム(位相差フィルム)とすることができる。
ルムの厚みなどを調整することにより制御される。たとえば、延伸倍率については、延伸前の厚みが同じフィルムであっても、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与えるフィルムを得ることができる。また、延伸前のフィルムの厚みについては、延伸倍率が同じであっても、延伸前のフィルムの厚みが大きいほど透過光に与える位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚みを変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。
上述したように延伸して得られた延伸した本発明の光学フィルムにおいて、透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであり、一義的に決定されるものではないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子またはレーザー光学系の波長板に使用する場合には、通常1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、より好ましくは15〜1,000nmである。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。また、室温とは25℃である。
・ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、日本工業規格K7121にしたがって補外ガラス転移開始温度(以下、単に「ガラス転移温度(Tg)」という。)を求めた。
・重量平均分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名:HLC-8020)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ポリスチ
レン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
・重合体分子構造
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR)(Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で1H−NMRを測定し、共重合組成比および水素添加率を算出した。
・位相差、複屈折評価
開環重合体のトルエンまたは塩化メチレン溶液(濃度25%)を平滑なガラス板上にキャストし、乾燥後、厚さ100μm、残留溶媒0.5〜0.8%の無色透明なフィルムを得た。このフィルムのガラス転移温度(Tg)よりも5〜10℃高い温度で、1.2〜2.0倍に一軸延伸した。この延伸フィルムの位相差および複屈折の値を、レターデーション測定器(王子計測機器製、商品名:KOBRA21DH)を用いて測定した。
・対数粘度
ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30
℃で測定した。
・引き裂き強度
株式会社東洋精機製作所製エレメンドルフ引き裂き試験装置3200型を用いて測定した。
・残留溶媒量
サンプルをトルエンに溶解し、島津製作所製GC−14Bガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
水素化リチウムアルミニウム39.0g(1.03mol)をテトラヒドロフラン(THF)1000mL中に分散させ、テトラヒドロフラン600mLに溶解した無水ハイミック酸100g(0.61mol)を反応溶液温度が35℃以下となるように温度を調節ながら滴下した。滴下終了後、反応温度を室温に上げ、そのまま20時間反応させた。反応後、氷冷して水171mL、続いて15%水酸化ナトリウム水溶液39mLを加えた。
がら滴下した。滴下終了後、反応温度を室温に上げ、そのまま15時間反応させた。その後、食塩水140mLを加えて攪拌した後、テトラヒドロフランを減圧留去した。残留物に水300mLを加え、シクロヘキサン300mLで3回抽出した後、抽出液を水1000mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮・乾燥後、塩化メチレンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して黄色固体を得た。この粗体をメタノールで再結晶し、下記構造式で示される白色針状結晶のスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]11g(収率36%)を得た。
3時間反応させた。反応終了後、多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=83,237、分子量分布(Mw/Mn)=4.33であり、対数粘度(ηinh)=0.61、補外ガラス転移開始温度(Tg)=168.0℃、収量80g(収率80%)であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体A、単量体B、および単量体C由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ21、71、および8重量%であった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/L)のトルエン溶液0.62部と、tert−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(tert−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
応を行った。
このようにして得られた共重合体について、
1H−NMRを用いて測定した水素添加率は99.9%、
DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は165℃、
GPC法により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、
23℃における飽和吸水率は0.3%、
30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.78dl/gであった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン227部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン23部とを使用し、1−ヘキセンの添加量を12部としたこと以外は合成例2と同様に水素添加重合体(以下、「共重合体B2」という。)を得た。
1H−NMRを用いて測定した水素添加率は99.9%、
DSC法により測定したTgは133℃、
GPC法により測定した、ポリスチレン換算のMnは21,000、Mwは70,000、Mw/Mnは3.33、
23℃における飽和吸水率は0.18%、
30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.60dl/gであった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン215部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン35部とを使用し、1−ヘキセンの添加量を30部としたこと以外は合成例2と同様に水素添加重合体(以下
、「共重合体B3」という。)を得た。
1H−NMRを用いて測定した水素添加率は99.9%、
DSC法により測定したTgは125℃、
GPC法により測定した、ポリスチレン換算のMnは46,000、Mwは190,000、Mw/Mnは4.15、
23℃における飽和吸水率は0.18%、
30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.53dl/gであった。
合成例1および2で得られた共重合体(A)および共重合体(B1)の乾燥樹脂を用い、10%塩化メチレン溶液を共重合体(A)/共重合体(B1)=100/0(参考例1)、99/1、95/5、90/10、70/30(実施例1)の比率で作製した。得られた溶液を減圧濾過(濾剤:ADVANTEC製GA200)し、平滑な硝子製浴槽(内寸:幅260×奥行380×深さ5mm)にキャストした。このフィルムを浴槽から剥離後、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥してフィルムを得た。得られたフィルム中の残留溶媒量は500ppmであった。このフィルムの引き裂き強度は50gfであった。
合成例1および3で得た共重合体(A)および共重合体(B2)の乾燥樹脂を用い、10%塩化メチレン溶液を共重合体(A)/共重合体(B2)=99/1、95/5、90/10、70/30の比率で作製した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
合成例1および4で得られた共重合体(A)および共重合体(B3)の乾燥樹脂を用い、10%塩化メチレン溶液を共重合体(A)/共重合体(B3)=99/1、95/5、90/10、70/30の比率で作製した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
Claims (8)
- ノルボルネン骨格と芳香環構造とを有する環状オレフィン系モノマー(A)から誘導される構造単位(a)を有するノルボルネン系重合体(A)と、
極性基を有し芳香環構造を有さないノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系モノマー(B)から誘導される構造単位(b)を有し、前記構造単位(a)を有さないノルボルネン系重合体(B)と
を含有することを特徴とする樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物全量中にノルボルネン系重合体(A)を70重量%以上、100重量%未満含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とするフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とする位相差フィルム。
- 請求項5に記載のフィルムを用いて作製されることを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項6に記載の位相差フィルムを用いて作製されることを特徴とする液晶表示装置。
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