JP2008214575A - 樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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賢司 串田
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Abstract

【課題】可視光領域波長の光線透過率が低く、赤外線領域の光線透過率に優れ、さらに耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂(A)および重量平均分子量が5万〜45万かつシンジオタクチシチーが40%以上のメタクリル系樹脂(B)に、ジオキサジン系顔料、モノアゾ染料、アンスラキノン染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン酸性染料、ジスアゾ酸性染料から選ばれる着色剤(C)を1種以上配合してなり、波長900〜1000nmの光線透過率が40%以上であり、波長400〜700nmの光線透過率が20%以下である樹脂組成物であり、好ましくは、メタクリル系樹脂のガラス転移温度が110℃以上であり、ポリ乳酸樹脂およびメタクリル系樹脂の重量比(ポリ乳酸樹脂/メタクリル系樹脂)が90/10〜10/90であり、溶融混練してなるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものであり、詳しくは、可視光領域波長の光線透過率が低く、赤外線領域の光線透過率に優れ、さらに耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
近年では、地球環境保全の見地から、土中や水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目されており、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えばポリヒドロキシブチレートやポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなる脂肪族ポリエステルおよびポリ乳酸樹脂などがよく知られている。
これらの中でも、ポリ乳酸樹脂は、モノマーである乳酸を、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により安価に製造できるようになり、また、透明性を有し、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能なバイオポリマーとして期待されている。また、透明性を有していることから光学部品への応用が期待され、近年の家電製品やコンピュータ、携帯電話では赤外線通信機能を有する電気・電子部品への応用が望まれている。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂はそのガラス転移温度が60℃付近にあり、この温度近傍での熱変形や剛性低下が大きいため、各種成形品として用いる場合には、通常の使用条件においても熱変形しやすく使用することが困難になるという問題点があり、耐熱性に優れたポリ乳酸系材料が望まれていた。
下記非特許文献1には、ポリ乳酸樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂をブレンドすることにより、ガラス転移温度が向上することが記載されているが、この場合にはある程度の耐熱性改良効果は得られるものの、さらなる改良が求められていた。
Polymer,39(26),6891(1998)
本発明は、特定波長の光線透過率および耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
本発明によればかかる課題を解決するために、ポリ乳酸樹脂(A)および重量平均分子量が5万〜45万かつシンジオタクチシチーが40%以上のメタクリル系樹脂(B)に、ジオキサジン系顔料、モノアゾ染料、アンスラキノン染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン酸性染料、ジスアゾ酸性染料から選ばれる着色剤(C)を1種以上配合してなり、得られた組成物を1mm厚の板状としたときに、波長900〜1000nmの光線透過率が40%以上であり、波長400〜700nmの光線透過率が20%以下である樹脂組成物が提供される。
なお、本発明の樹脂組成物においては、
前記メタクリル系樹脂が、ガラス転移温度が110℃以上であるメタクリル系樹脂を少なくとも1種含むものであること、
前記ポリ乳酸樹脂および前記メタクリル系樹脂の重量比(ポリ乳酸樹脂/メタクリル系樹脂)が90/10〜10/90であり、溶融混練してなること、および
前記メタクリル系樹脂が下記条件(a)、(b)を一つ以上満たす2種以上のメタクリル系樹脂であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
(a)ガラス転移温度の差が10℃以上、
(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上。
また、本発明の成形品は、上記の樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明によれば、可視光領域波長の光線透過率が低く、赤外線領域波長の当選透過率に優れ、さらに耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することができる。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂(A)とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。
本発明においては、耐熱性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかまたはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、さらに好ましくは8万以上、特に好ましくは10万以上であるのがよい。上限は特に制限されないが、好ましくは50万以下、さらに好ましくは30万以下、より好ましくは25万以下であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の重量平均分子量である。
ポリ乳酸樹脂の融点については、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを用いることができる。
本発明で用いられるメタクリル系樹脂(B)としては、メタクリル酸メチル成分単位を主成分、好ましくは70%以上含むものであればよく、他のビニル系単量体成分単位を好ましくは30%以下共重合した共重合体でもよい。その他のビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸無水物、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、ジアクリル酸ブタンジオール、ジアクリル酸ノナンジオール、ジアクリル酸ポリエチレングリコール、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ペンタメチルピペリジル、メタクリル酸テトラメチルピペリジル、メタクリル酸ベンジル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられ、これらのビニル系単量体は単独または2種以上を用いることができる。また、耐熱性、低吸湿性、表面硬度の点で、ラクトン環、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物などの環構造単位を主鎖に含有する共重合体が好ましい。さらに、環構造を主鎖に含有する共重合体を用いる場合には、環構造を含有しないメタクリル系樹脂を併用することがより好ましい。
本発明で用いられるメタクリル系樹脂としては、重量平均分子量が5万〜45万かつシンジオタクチシチーが40%以上のメタクリル系樹脂である。
本発明において、メタクリル系樹脂の重量平均分子量は、耐熱性および成形性の点で、7万〜20万が好ましく、9万〜15万がより好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたGPCで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の重量平均分子量である。
本発明において、メタクリル系樹脂のシンジオタクチシチーは、耐熱性の点で、45%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましく、70%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、成形性の点で、90%以下が好ましい。また、耐熱性の点で、ヘテロタクチシチーが45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることが特に好ましい。また、耐熱性の点で、アイソタクチシチーが20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが特に好ましい。ここでいうシンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとは、溶媒として、重水素化クロロホルムを用いた1H−NMR測定による直鎖分岐のメチル基の積分強度比から算出した値である。
本発明において、メタクリル系樹脂のガラス転移温度は、特に限定されないが、耐熱性の点で、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、110℃以上が特に好ましく、120℃以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、成形性の点で、150℃以下が好ましい。ここでいうガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)測定により求めたガラス転移温度の値であり、ガラス転移温度領域における比熱容量変化が半分の値となる温度である。本発明においては、メタクリル系樹脂として、ガラス転移温度が110℃以上であるメタクリル系樹脂を少なくとも1種含むものであることが好ましい。
本発明で用いるメタクリル系樹脂は、230℃の温度かつ37.2Nの荷重でのメルトフローレート(MFR)が、0.1〜40g/10分であることが好ましく、成形加工性の点で、1〜30g/10分であることがより好ましく、2〜20g/10分であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分未満では、成形加工性が低下する傾向にあり、40g/10分を越えると耐熱性向上効果が低下する傾向にある。
本発明において、ポリ乳酸樹脂およびメタクリル系樹脂の配合比は、特に限定されるものではないが、耐熱性および成形性の点で、重量比(ポリ乳酸樹脂/メタクリル系樹脂)が99/1〜1/99であることが好ましく、90/10〜10/90であることがより好ましく、80/20〜20/80であることがさらに好ましく、70/30〜30/70であることが特に好ましく、59/41〜35/65であることが最も好ましい。
本発明のメタクリル系樹脂としては、下記条件を一つ以上満たす2種以上のメタクリル系樹脂を用いることが好ましい。
(a)ガラス転移温度の差が10℃以上、
(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上。
本発明においては、耐熱性および成形性の点で、ガラス転移温度の差が15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度の差が10℃未満であると、耐熱性改良効果が不充分である。また、ガラス転移温度の差の上限は特に限定されないが、透明性の点で、60℃以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)測定により求めたガラス転移温度の値であり、ガラス転移温度領域における比熱容量変化が半分の値となる温度である。
また、本発明において、2種以上のメタクリル系樹脂を用いる場合には、ガラス転移温度領域、すなわち、比熱容量変化領域は、単独で用いる場合よりも広がる傾向にあり、好ましくはガラス転移温度±10℃、より好ましくはガラス転移温度±20℃、さらに好ましくはガラス転移温度±30℃、特に好ましくはガラス転移温度±40℃である。
本発明において、耐熱性および成形性の点で、シンジオタクチシチーの差が5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。シンジオタクチシチーの差が3%未満であると、耐熱性改良効果が不充分である。また、シンジオタクチシチーの差の上限は特に限定されないが、光線透過率の点で、50%以下であることが好ましい。
本発明において、2種以上のメタクリル系樹脂を用いる場合のそれぞれのメタクリル系樹脂の組成は、特に限定されないが、耐熱性および流動性の点で、ガラス転移温度もしくはシンジオタクチシチーが最も高い値を示すメタクリル系樹脂をメタクリル系樹脂1とし、他方をメタクリル系樹脂2として、メタクリル系樹脂1とメタクリル系樹脂2の重量比(メタクリル系樹脂1/メタクリル系樹脂2)が10/90〜90/10であることが好ましく、60/40〜40/60であることがより好ましい。
メタクリル系樹脂の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いることができる。重合時の温度条件は特に限定されないが、メタクリル酸系樹脂の耐熱性の点で、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましく、―10℃以下が特に好ましい。
本発明に用いられる着色剤(C)は、ジオキサジン系顔料、モノアゾ染料、アンスラキノン染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン酸性染料、ジスアゾ酸性染料から選ばれる1種以上の着色剤であって、着色剤(C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とメタクリル系樹脂(B)の合計量を100重量部として0.001〜5重量部であり、さらに0.01〜2重量部であることが好ましい。0.001重量部未満では波長400〜700nmの光線透過率が高く、5重量部を超えると得られた樹脂組成物の強度が低くなり好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、この組成物を1mm厚の板状としたときに、波長900〜1000nmの光線透過率が40%以上であり、波長400〜700nmの光線透過率が20%以下であることが必要である。
本発明の樹脂組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、滑剤、離形剤、難燃剤、核化剤、帯電防止剤などを添加することができる。中でも、機械特性、成形性、耐熱性および透明性などに優れた樹脂組成物が得られるという点から、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、通常熱可塑性樹脂の離型剤に用いられるものを用いることができる。具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーンなどを挙げることができる。離型剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂とメタクリル系樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
また、本発明で用いられる樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、アクリロニトリル・ブタンジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)および軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに配合することができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸樹脂、メタクリル系樹脂、着色剤および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが用いられるが、生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、耐熱性の点で、二軸押出機で均一に溶融混練する方法がより好ましい。
本発明の樹脂組成物について、メルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、成形性の点で、JIS K7210に準じて、190℃、21.2N荷重において測定したMFRが、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましく、7g/10分以下であることが特に好ましく、5g/10分以下であることが最も好ましい。MFRが30g/10分を越えると耐熱性が低下する傾向にある。下限は特に制限されないが、成形加工性の点で0.1g/10分以上であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、飽和吸水率は特に限定されないが、ASTM D570に準じて測定した飽和吸水率が、0.4重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.2重量%以下であることがさらに好ましく、0.1重量%以下であることが特に好ましい。下限は特に制限されない。飽和吸水率が0.4重量%を越えると吸湿による変形が発生しやすく、使用できなくなる可能性が大きくなるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
本発明の樹脂組成物からなる成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、シートなどが挙げられる。また、これら本発明の成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができ、特に赤外線通信機能を有する電気・電子部品に適している。
本発明の樹脂組成物およびそれからなる成形品は、リサイクルすることが可能である。例えば、樹脂組成物およびそれからなる成形品を80℃以上、好ましくは100℃以上で熱処理した後、粉砕し、好ましくは粉末状とした後、アセトンもしくはテトラヒドロフランなどの溶媒を用いて、メタクリル系樹脂を単離し、その後、クロロホルムなどの溶媒を用いて、残留物からポリ乳酸樹脂を単離することができる。単離した樹脂は、それぞれ単独で用いることができ、さらに配合して得られる樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物と同じように使用でき、成形品とすることも可能である。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明する。ここで、実施例中の配合比は重量%を示す。また、使用した原料および表中の符号を以下に示す。
(A)ポリ乳酸樹脂
(A−1)ポリL乳酸樹脂(D体1.2%、Mw15万)
(B)メタクリル系樹脂
(B−1)メタクリル樹脂(住友化学製“スミペックスLG21”Tg105℃、シンジオタクチシチー41%、Mw8万、MFR21g/10分(230℃、37.2N))
(B−2)メタクリル樹脂(クラレ製“パラペット”HR−L、Tg117℃、シンジオタクチシチー56%、Mw9万、MFR2g/10分(230℃、37.2N))
(B−3)メタクリル樹脂(住友化学製“スミペックス”LG35、Tg90℃、シンジオタクチシチー39%、Mw10万、MFR35g/10分(230℃、37.2N))
(C)着色剤
(C−1)ジオキサジン系顔料(C.I.PIGMENT VIOLET 37)
(C−2)モノアゾ染料(Pigment Red 170)
(C−3)アンスラキノン染料(SOLVENT VIOLET 36)
(C−4)フタロシアニン染料(Pigment Blue 15;3)
また、本発明で用いた測定方法および判定方法を以下に示す。
(1)耐熱性(荷重たわみ温度)
ASTM D648(0.46MPa)に準じて測定した。
(2)光線透過率評価
1mm厚の板状試験片を島津製作所製の紫外近赤外分光光度計(UV−3100)にて、検出器には積分球を用いて測定した。赤外線領域波長については波長900〜1000nmの領域を10nm毎に測定し、その平均値を透過率の値とした。可視光領域波長については波長400〜700nmの領域を10nm毎に測定し、その平均値を透過率の値とした。
(3)引張強度
ASTM D638に準じて測定した。
[実施例1〜5、比較例1〜4]
表1に示すようにポリ乳酸樹脂およびメタクリル系樹脂および着色剤を配合し、30mm径の二軸押出機を用い、シリンダー温度200℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行いペレット状の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を住友重工業製射出成形機SG75H−MIVを用い、シリンダー温度200℃、金型温度40℃で射出成形を行い、引張試験用ASTM1号ダンベル成形品、荷重たわみ温度測定用6.4mm厚成形品および5cm×5cm×1mmの板状成形品を得た。
得られた成形品を用いて、各種評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2008214575
表1の結果より以下のことが明らかである。
実施例1〜5と比較例1〜3との比較から、ポリ乳酸、メタクリル系樹脂および着色剤を配合してなる樹脂組成物は、耐熱性、強度に優れていることがわかる。また、実施例1〜5と比較例4との比較から、メタクリル樹脂として、シンジオタクチシチーが多いもの、好ましくは40%以上のものを用いることにより、さらに耐熱性、強度に優れることがわかる。
[実施例6〜9、比較例4]
表2に示すようにポリ乳酸樹脂およびメタクリル系樹脂を配合する以外は、全て実施例1と同様に検討を行った。各種評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2008214575
表2の結果より以下のことが明らかである。
実施例6〜9と比較例4との比較から、ポリ乳酸およびメタクリル系樹脂を配合してなる樹脂組成物であって、メタクリル樹脂として、(a)ガラス転移温度の差が10℃以上、もしくは(b)シンジオタクチシチーの差が3%以上のいずれか一つ以上の条件を満たす2種のメタクリル樹脂を併用することにより、耐熱性に優れていることがわかる。
本発明の樹脂組成物は、特定波長の光線透過率および耐熱性に優れていることから、この樹脂組成物からなる成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができ、特に赤外線通信機能を有する電気・電子部品に適している。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)および重量平均分子量が5万〜45万かつシンジオタクチシチーが40%以上のメタクリル系樹脂(B)に、ジオキサジン系顔料、モノアゾ染料、アンスラキノン染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン酸性染料、ジスアゾ酸性染料から選ばれる着色剤(C)を1種以上配合してなり、得られた組成物を1mm厚の板状としたときに、波長900〜1000nmの光線透過率が40%以上であり、波長400〜700nmの光線透過率が20%以下である樹脂組成物。
  2. 前記メタクリル系樹脂が、ガラス転移温度が110℃以上であるメタクリル系樹脂を少なくとも1種含むものである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリ乳酸樹脂および前記メタクリル系樹脂の重量比(ポリ乳酸樹脂/メタクリル系樹脂)が90/10〜10/90であり、溶融混練してなる請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記メタクリル系樹脂が下記条件を一つ以上満たす2種以上のメタクリル系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    (a)ガラス転移温度の差が10℃以上、
    (b)シンジオタクチシチーの差が3%以上。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形品。
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