JP2008208506A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法において、塗工液中の顔料100重量部当たりレーザー法にて測定した平均粒子径が0.8μm以上のカオリンを20重量部以上含有し、塗工液をスプレー塗工方式で1000m/min以上の塗工速度で塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
【選択図】なし
Description
また、近年製造効率を向上させることを目的として、紙の製造ラインスピードは益々高速化されてきている。それに伴い、塗工技術に関しても高速化が求められている。
また、スプレーコーターはノズルから噴出された塗料が霧状になって塗工原紙上に付着し、拡がることによって塗工層を形成するが、この塗料の拡がりが不十分なまま乾燥されると塗工紙の面感が著しく劣る。先願の手法では、この問題を解決しているとは言い難く、良好な印刷用塗工紙を得ることは困難である。
また、グロス調グレードを生産するためには、カオリンを配合した塗工液を原紙上に塗工する必要がある。カオリンは六角板状の形態をしており、ブレード方式にて塗工を行った場合、カオリンの平らな面が紙の表面に平行になる様にブレードにて配向され、高光沢度を発現する。それに対して、スプレー塗工方式では、このようなカオリン粒子を配向させる工程が無く、ブレード塗工方式にて塗工された紙と比較して大幅に光沢度の発現性に劣る。また、スプレー塗工方式は紙の凹凸に沿った塗工方式であるため、紙の平滑性に劣り印刷物の光沢度が低いといった問題もある。
原紙に用いる填料は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、シリカ、無定型シリケート、酸化チタン、合成樹脂填料、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物等の公知の填料を使用することができるが、紙の軽量化と白紙及び印刷面感の品質のバランスの観点より、無定型シリケート及び/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を配合することが好ましい。配合量は、3〜20重量%程度である。本発明においては、無定型シリケート及び/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を使用することにより、より低密度でポーラスな原紙になるが、本発明ではスプレー塗工をすることにより、塗料の原紙への押し込みが抑えられるため塗料の浸透が従来の塗工方式よりもおさえられる。このため、面感も良好なものとなり、同一厚さでより軽量になるものである。本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物とは、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が好ましく、低密度で、剛度、不透明度のバランスをより良好にするために、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30であることが好ましい。軽質炭酸カルシウムについてはカルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方形状、ロゼッタ型のいずれでも良い。この中でも特にロゼッタ型のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを用いた場合に、特に優れた嵩高、不透明度改善効果が高い軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が得られる。
これら填料は、紙料スラリーの抄紙適性や強度特性を調節する目的で、単独又は2種以上を混合使用してもよい。
原紙については、スプレーコーターにて塗工する前にサイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレード等を用いて、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙等も使用可能である。また、スプレー塗工方式は塗工原紙の輪郭に沿った塗工層を形成する塗工方式であるため、塗工前の原紙の平滑度が重要であり、塗工原紙のPPSラフネスが6.0μm以下であることが好ましい。
塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いられる坪量が25〜200g/m2程度のものが使用され、軽量化と品質のバランスの観点からは、30〜100g/m2を使用することが好ましく、より好ましくは35〜60g/m2である。塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いられる坪量が25〜400g/m2程度のものが使用され、軽量化と品質のバランスの観点からは、30〜180g/m2を使用することが好ましく、より好ましくは35〜80g/m2であり、更に好ましくは35〜60g/m2である。
2層以上の塗工層を設けることも出来る。この場合、スプレー塗工方式で設ける塗工層は最も外側の塗工層である。中間塗工層は、ブレード塗工方式、スプレー塗工方式、カーテン塗工方式、フィルムトランスファー塗工方式などを利用することができる。
塗工紙の坪量は、好ましくは30〜160g/m2、より好ましくは35〜100g/m2
、最も好ましくは40〜70g/m2の範囲の軽量化において、より効果を発揮するもの
である。また、本発明においては、0.50〜1.22g/cm3の密度において、より
効果を発揮するものである。
(評価方法)
(1)塗料粘度: 本発明において、粘度測定には「ウルトラハイシェア粘度計 ACAV-A2」(ACA system社、フィンランド)を使用した。測定装置に低シェアレート測定用キャピラリーユニットを取付け、温度30℃で測定可能な圧力条件下(40 bar以下)において粘度を数点測定、その結果得られるせん断速度と粘度の曲線からせん断速度1.0×104 1/sにおける粘度を読み取った。
(2)クレーの平均粒子径:クレースラリーを、分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法(MALVERN Instruments社製、粒度測定機マスターサイザーS型)で測定した、体積累積分布の50%部を平均粒径とした。
(3)不動化粘度に達する時間:不動化濃度に達する時間の測定は「Physica MCR 301」(BASF社製)を使用した。塗工原紙上に塗料を1ml拡げ、塗料を拡げた面の反対面より0.2MPaで吸引しながら、塗料の粘度の上昇を測定した。塗料粘度が上昇しなくなる濃度を不動化濃度とし、測定開始から不動化濃度に達する時間を不動化濃度に達する時間とした。
(4)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(5)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(6)印刷光沢度:ローランド平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製 ハイユニティM)を用いて印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(7)白紙面感:塗工紙の白紙面感を目視にて評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:若干劣る、×:劣る
(8)印刷物面感:ローランド平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製 ハイユニティM)を用いて印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物の面感を目視にて評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:若干劣る、×:劣る
[実施例1]
(塗工液1)
顔料としてブラジル産カオリン(IMERYS社製エンジニアードカオリン、CapimDG、平均粒子径 1.2μm)100部からなる顔料に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.1部を配合、分散し、濃度70%のクレースラリーを調製した。このクレースラリー30部(固形分)に、重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97)70部(固形分)を添加して、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度−20℃、ゲル含量85%)13部、蛍光染料(ケミラ社製 ブランコファUWリキッド)を加え、さらに水を加えて固形分濃度55%の塗工液1を得た。この時の、せん断速度1.0×104(1/秒)における粘度は18mPa・sである。
この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.0%、不動化濃度に達する時間は4900秒である。
[実施例2]
実施例1のブラジル産カオリン30部、重質炭酸カルシウム70部の代わりに、ブラジル産カオリン70部、重質炭酸カルシウム30部とした以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この時の、塗工液のせん断速度1.0×104(1/秒)における粘度は20mPa・sであり、この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.7%、不動化濃度に達する時間は6100秒である。
[実施例3]
実施例1の塗工用原紙の填料を無定型シリケートとしたこと以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.2%、不動化濃度に達する時間は4500秒である。
[実施例4]
実施例1の塗工用原紙の填料を以下に示す軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物としたこと以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.2%、不動化濃度に達する時間は4500秒である。
〈軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造方法〉
反応容器中に市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名 アルバカー5970 SMI社製)10部を水に分散し、ここにSiO2濃度18.0wt/wt%、Na20濃度6・1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を57部加えた後、水を加え、全量を200部とした。この混合スラリーをアジテータで十分に撹拌しながら加熱し、85℃としたスラリーに、10%硫酸溶液を撹拌しながら添加した。添加方法は、温度一定を保ち、硫酸添加後の最終pHは8・0、全硫酸添加時間は240分間となるように、一定速度で硫酸を添加し、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aスラリーを得た。このときの軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの平均粒子径は3.4μmであり、軽質炭酸カルシウムとシリカの固形分重量比は、50/50であった。
[実施例5]
実施例1の塗工用原紙にパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物である多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物(花王製 KB−110)を原紙重量当たり0.3%含有させた事以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.0%、不動化濃度に達する時間は4100秒である。
[比較例1]
実施例1のブラジル産カオリンをCadam社製 アマゾンプラス(平均粒子径 0.4μm)とした以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この時の、塗工液のせん断速度1.0×104(1/秒)における粘度は18mPa・sである。この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は80.4%、不動化濃度に達する時間は5100秒である。
[比較例2]
実施例1のブラジル産カオリン30部、重質炭酸カルシウム70部の代わりに、重質炭酸カルシウム100部とした以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。この時の、塗工液のせん断速度1.0×104(1/秒)における粘度は17mPa・sである。この塗料と原紙の組み合わせにおける、不動化濃度は81.2%、不動化濃度に達する時間は3900秒である。
[比較例3]
実施例1の塗工速度を700m/minとした以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、塗工液1をスプレーコーターの代わりに、ブレードコーターに変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
Claims (3)
- 原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法において、塗工液中の顔料100重量部当たりレーザー法にて測定した平均粒子径が0.8μm以上のカオリンを20重量部以上含有し、塗工液をスプレー塗工方式で1000m/min以上の塗工速度で塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
- スプレー塗工方式に用いる塗工液の粘度がせん断速度1.0×104(1/秒)において、10〜50mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 原紙上に1mlの塗工液を拡げ0.2MPaの圧力で塗料を拡げた面の反対面から吸引した際に塗工液が不動化濃度に達する時間が4000秒以上となる原紙及び塗工液を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
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