JP2008208250A - 塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】FM4910の難燃性テスト(FMRC)に合格できる難燃性と、常温から低温域に至るまでの良好な耐衝撃性とを併せ持った塩化ビニル系樹脂成形体を提供する。
【解決手段】成形体中の有機成分に占める塩素の比率が50〜64質量%の塩化ビニル系樹脂成形体であって、ガラス転移点が−55℃以下のゴム成分とポリメタクリル酸メチル成分とが共重合した耐衝撃改良剤を、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して8〜15質量部含有させた塩化ビニル系樹脂成形体とする。ポリメタクリル酸メチル成分で耐衝撃改良剤の相溶性を高め、ガラス転移点の低いゴム成分で低温域に至るまで成形体の耐衝撃性を高める。そして、耐衝撃改良剤を15質量部以下に抑え、多量に含まれる塩素で成形体の難燃性を高める。
【選択図】なし

Description

本発明は塩化ビニル系樹脂成形体に関し、特に、難燃性と耐衝撃性を併せ持った塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
塩化ビニル樹脂は成形性が良く、安価であり、耐薬品性も良好であるため、工業用材料をはじめあらゆる分野に広く利用されている。
かかる塩化ビニル樹脂の成形体は、塩素を多量に含むため良好な難燃性を有しているが、火災等により200℃以上の高温に晒されると、熱分解を起こして多量の発煙を生じると同時に、塩素ガスや塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生する。そこで、これを防止するため、従来からリン系難燃剤やハロゲン系難燃剤、或いは、水酸化マグネシウム等の含水化合物を塩化ビニル樹脂に添加して、その難燃性を向上させている。また、本出願人も、塩化ビニル系樹脂に酸化チタンをかなり多量に含有させて難燃性を高めた塩化ビニル系樹脂成形体を既に提案している(特許文献1)。
一方、塩素含有率60〜70質量%の塩化ビニル系樹脂40〜70質量%と、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、AES樹脂の群から選ばれる少なくとも一種の衝撃改良剤10〜40質量部と、スチレン系化合物とシアン化ビニル系化合物との共重合体15〜40質量%と、ヒンダードアミン系光安定剤0.01〜5質量%とからなる組成とし、良好な耐候性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性を付与した塩化ビニル系樹脂組成物も知られている(特許文献2)。
特開2000−313748号公報 特開平6−145450号公報
しかしながら、従来のように難燃剤や含水化合物を塩化ビニル系樹脂に含有させたり、特許文献1のように酸化チタンを塩化ビニル系樹脂に含有させると、難燃性は向上するけれども、機械的強度、特に耐衝撃強度の低下を招くという問題がある。
一方、特許文献2の塩化ビニル系樹脂組成物は、難燃性を付与するために高塩素化度の塩化ビニル系樹脂を用いており、このような高塩素化度の塩化ビニル系樹脂は耐衝撃性に劣るものであるが、これをカバーするためにアクリルゴム、塩素化ポリエチレン、AES樹脂などの衝撃改良剤を加えているので、ASTM D−256に準拠して測定した23℃での耐衝撃強度は悪くない。けれども、0℃以下の低温域における耐衝撃強度の良否は不明であり、衝撃改良剤がどの程度のガラス転移点となるように合成されたものであるかが開示されていないので、低温域での耐衝撃強度の良否を推測することはできない。仮に、衝撃改良剤のガラス転移点がそれほど低くなければ(例えば−20〜−30℃程度であれば)、低温域(例えば−20℃付近)での耐衝撃強度は大幅に低下し、良好な耐衝撃性を期待することはできない。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、FM4910の難燃性テスト(FMRC)に合格できる難燃性と、常温から低温域に至るまでの良好な耐衝撃性とを併せ持った塩化ビニル系樹脂成形体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形体は、成形体中の有機成分に占める塩素の比率が50〜64質量%の塩化ビニル系樹脂成形体であって、ガラス転移点が−55℃以下のゴム成分とポリメタクリル酸メチル成分とが共重合した耐衝撃改良剤を、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して8〜15質量部含有させたことを特徴とするものである。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体においては、耐衝撃改良剤に占めるゴム成分の比率が50質量%を越え、95質量%以下であることが好ましく、耐衝撃改良剤の数平均粒子径は0.10〜0.50μmであることが好ましい。そして、ゴム成分は、−55℃以下のガラス転移点を有するスチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、アクリル酸ブチルゴムのいずれかであることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、良好な難燃性と常温から低温域に至るまでの良好な耐衝撃性を併せ持ち、FM4910の難燃性テスト(FMRC)に基づいて測定した難燃指数FPIが6以下、発煙指数SDIが0.4以下であり、JIS K 7111−1に基づいて測定した23℃でのシャルピー衝撃強さが7kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した0℃でのシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した−20℃でのシャルピー衝撃強さが4kJ/m以上である。
上記のFM4910の難燃性テスト(FMRC)とは、北米を根拠地とする産業相互保険組織(ファクトリー・ミューチアル・システム)が定める評価基準のClass Number4910として挙げられているクリーンルーム材料の難燃性テスト(FMRC Clean Room Materials Flammability Test)のことである。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、含有される耐衝撃改良剤の一方の共重合成分がポリメタクリル酸メチル成分で、耐衝撃改良剤と塩化ビニル系樹脂との相溶性が良いため、耐衝撃改良剤が均等に分散されて含有され、この耐衝撃改良剤の他方の共重合成分であるゴム成分によって耐衝撃性が高められる。特に、このゴム成分はガラス転移点が−55℃以下と低く、0℃以下の低温域(例えば−20℃)においてもゴム弾性が大幅に損なわれることがないため、常温域は勿論、0℃以下の低温域においても、前記のように良好なシャルピー衝撃強さを発揮する。このような作用効果は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して耐衝撃改良剤を8質量部以上含有させた場合に顕著に発揮されるが、15質量部を越えて過剰に含有させると、多量の耐衝撃改良剤によって成形体の耐熱性が低下する傾向が見られるので、15質量部以下とする必要がある。耐衝撃改良剤の含有量が8〜15質量部の範囲内であると、常温から低温域に至るまで充分なシャルピー衝撃強さを発揮できることは、後述する実施例のデータで裏付けられる。また、この塩化ビニル系樹脂成形体は、成形体中の有機成分(全有機成分)に占める塩素の比率(以下、成形体有機成分の塩素含有率という)が50〜64質量%と高いため、多量の塩素によって良好な難燃性が発揮され、しかも、難燃性を低下させる傾向にある耐衝撃改良剤の含有量が15質量部以下に抑えられているので、前記のようにFM4910の難燃性テスト(FMRC)に合格できる難燃性を有している。
特に、耐衝撃改良剤に占めるゴム成分の比率が50質量%を越え、95質量%以下であると、良好な耐衝撃性が発揮される。ゴム成分が50質量%以下と少ない場合は、耐衝撃性を充分高めることが難しく、ゴム成分が95質量%を越える場合は、ポリメタクリル酸メチル成分の不足により耐衝撃改良剤の相溶性が大幅に低下するので、やはり耐衝撃性を高めることが難しくなる。
また、耐衝撃改良剤の数平均粒子径が0.10〜0.50μmであると、耐衝撃改良剤の分散性が良好であり、そのゴム弾性によって外部からの衝撃を充分に吸収できるが、数平均粒子径が0.50μmよりも大きくなると耐衝撃改良剤の分散性が低下し、0.10μmより小さくなると外部からの衝撃を吸収し難くなるので、良好な耐衝撃性を発揮することが困難になる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、板状、棒状、管状、異形状など所望の立体形状に成形されたものであって、塩化ビニル系樹脂を主成分とし、これに耐衝撃改良剤と、必要に応じて種々の添加剤とを適量含有させたものである。
この成形体の主成分となる塩化ビニル系樹脂は、1)塩素化度(「塩素化度」は塩化ビニル樹脂または後塩素化塩化ビニル樹脂単体中に含まれる塩素分の比率を示し、以下も同様とする)が58質量%以上、68%以下の後塩素化塩化ビニル樹脂、2)この後塩素化塩化ビニル樹脂に塩素化度が略56質量%の通常の塩化ビニル樹脂を混合した樹脂、3)これらの後塩素化ビニル樹脂又は混合樹脂に酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂等を混合した樹脂などからなるものであって、この塩化ビニル系樹脂成形体は、成形体中の全有機成分に占める塩素の比率(成形体有機成分の塩素含有率)が50〜64質量%となっている。塩化ビニル系樹脂の重合度は特に限定されないが、後塩素化塩化ビニル樹脂については、500〜1000の重合度、好ましくは600〜800の重合度を有するものが使用され、この後塩素化塩化ビニル樹脂に混合する通常の塩素化度の塩化ビニル樹脂については、500〜1400の重合度、好ましくは700〜1000の重合度を有するものが使用される。
上記のように成形体有機成分の塩素含有率が50〜64質量%であり、その主成分の後塩素化塩化ビニル樹脂やこれに混合する塩化ビニル樹脂が上記の重合度を有するものであると、多量に含まれる塩素によって難燃性が向上し、後述するように耐衝撃改良剤の含有量が15質量%以下に抑えられていることと相俟って、FM4910の難燃性テスト(FMRC)に合格する難燃性を付与することが可能となる。より好ましい成形体有機成分の塩素含有率は52〜60質量%、さらに好ましくは52〜56質量%である。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体に含有させる耐衝撃改良剤は、ガラス転移点が−55℃以下のゴム成分とポリメタクリル酸メチル成分との共重合物であって、ポリメタクリル酸メチル成分によって塩化ビニル系樹脂との相溶性を高めると共に、ゴム成分によって外部からの衝撃を吸収緩和し、成形体の耐衝撃性を向上させるものである。このような耐衝撃改良剤は難燃性と耐衝撃性を両立させる観点から、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して8〜15質量部含有させる必要があり、好ましくは8〜12質量部、更に好ましくは8〜10質量部含有させる。
耐衝撃改良剤のゴム成分は、0℃以下の低温域、例えば−20℃付近の低温域においても良好な耐衝撃強度を発揮させるためには、そのガラス転移点が−55℃以下であることが必要であり、ガラス転移点が−55℃よりも高いゴム成分を共重合成分とする耐衝撃改良剤は、低温域においてゴム成分のゴム弾性がかなり損なわれるため、充分な耐衝撃強度を発揮させることはできない。即ち、低温域での耐衝撃強度は、ゴム成分のガラス転移点が低いほど、大きくなると考えられる。より好ましいゴム成分のガラス転移点は、−58℃以下である。
耐衝撃改良剤のゴム成分としては、−55℃以下のガラス転移点を有する各種のゴム成分を採用できるが、その中でも、ポリメタクリル酸メチル成分と共重合反応しやすく、ゴム弾性に優れ、難燃性に悪影響を及ぼす心配がない、−55℃以下のガラス転移点を有するスチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、アクリル酸ブチルゴムなどが好ましく採用される。これらのゴム成分は、合成する際に成分組成や反応密度(架橋密度)などを調節して、−55℃以下のより好ましいガラス転移点となるように調整してもよい。
耐衝撃改良剤に占めるゴム成分の比率は、50質量%を越えて、95質量%以下であることが好ましい。ゴム成分が50質量%以下と少ない場合は、耐衝撃性を充分に高めることが難しくなり、ゴム成分が95質量%を越える場合は、ポリメタクリル酸メチル成分の不足により耐衝撃改良剤の相溶性が低下するので、やはり耐衝撃性を高めることが難しくなる。ゴム成分のより好ましい比率は60〜92質量%である。
また、耐衝撃改良剤の数平均粒子径は0.10〜0.50μmであることが好ましい。数平均粒子径が0.50μmよりも大きくなると、耐衝撃改良剤の分散性が低下し、0.10μmより小さくなると外部からの衝撃を吸収し難くなるので、いずれの場合も良好な耐衝撃性を発揮することが困難になる。耐衝撃改良剤のより好ましい数平均粒子径は0.15〜0.40μmである。
本発明の成形体は、上記の耐衝撃改良剤を塩化ビニル系樹脂100質量部に対して8〜15質量部均等に含有させるため、後述する実施例のデータによって裏付けられるように、常温域から低温域まで良好な耐衝撃性を発揮し、JIS K 7111−1に基づいて測定した23℃でのシャルピー衝撃強さが7kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した0℃でのシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した−20℃でのシャルピー衝撃強さが4kJ/m以上となる。耐衝撃改良剤の含有量が8質量部より少ない場合は、満足な耐衝撃強度を付与することが困難となり、また、15質量部を越えて過剰に含有させる場合は、成形体の難燃性が低下する傾向が見られるので、いずれの場合も好ましくない。
また、本発明の成形体に適宜含有させる添加剤としては、有機錫系、有機鉛系やカルシウム亜鉛系などの安定剤、アクリル系などの加工助剤、ポリエチレン系やエステル系やアクリル系などの滑剤、炭酸カルシウムや酸化チタンなどの充填剤、金属水和物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)や三酸化アンチモンなどの難燃剤が挙げられる。添加量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、安定剤が1〜10質量部(好ましくは2〜8質量部)、加工助剤が0〜10質量部(好ましくは0.2〜3質量部)、滑剤が0.1〜5質量部(好ましくは0.1〜3質量部)、充填剤が0〜30質量部(好ましくは1〜20質量部)、難燃剤が0〜10質量部(好ましくは2〜7質量部)である。上記の添加剤のうち加工助剤、充填剤、難燃剤は、添加しなくてもよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、前記の塩化ビニル系樹脂100質量部に前記の耐衝撃改良剤を8〜15質量部、前記の各添加剤を前記添加量だけ加えて均等に混練し、これを公知の押出成形法や射出成形法で板状、棒状、管状、異形状など所望の立体形状に成形して製造される。また、公知のカレンダープレス法や連続プレス法によっても製造される。
次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例を説明する。
[実施例1]
塩素化度が64.5質量%、重合度が670の後塩素化塩化ビニル樹脂100質量部に対して、下記のMBS系耐衝撃改良剤Aを10質量部、ブチル錫マレート系安定剤を2.5質量部、アクリル系加工助剤を2.0質量部、エステル系滑剤を0.5質量部、アクリル系滑剤を2.0質量部、充填剤の酸化チタンを0.6質量部含有させた塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製した。この試験片の成形体有機成分の塩素塩素含有率は55.0質量%である。
MBS系耐衝撃改良剤A: スチレンブタジエンゴム(SBR)とポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.19μm、ゴム成分の比率が70質量%、ゴム成分のガラス転移点が−58℃である。
この試験片についてFM4910の難燃性テスト(FMRC)を行い、難燃指数FPIと発煙指数SDIを求めた。その結果を下記の表1に示す。
また、この試験片について、JIS K 7111−1に基づいて23℃でのシャルピー衝撃強さを測定すると共に、JIS K 7111−1に準じて0℃と−20℃のシャルピー衝撃強さを測定した。その結果を下記の表1に示す。
なお、シャルピー衝撃強さの試験片はタイプAのノッチ付きのものを用い、エッジワイズ衝撃、平行衝撃によって測定を行った。
[実施例2]
実施例1のMBS系耐衝撃改良剤Aを下記のシリコン系耐衝撃改良剤Bに変更した以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製し、この試験片について、実施例1と同様にして難燃指数FPIと、発煙指数SDIと、23℃,0℃,−20℃におけるシャルピー衝撃強さを測定した。その結果を下記の表1に併記する。なお、この試験片の成形体有機成分の塩素塩素含有率は55.0質量%である。
シリコン系耐衝撃改良剤B: シリコンゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.30μm、ゴム成分の比率が90質量%、ゴム成分のガラス転移点が−125℃である。
[比較例1〜3]
実施例1のMBS系耐衝撃改良剤Aを、比較例1では下記のMBS系耐衝撃改良剤Cに変更し、比較例2では下記のシリコン系耐衝撃改良剤Dに変更し、比較例3では下記のアクリル系耐衝撃改良剤Eに変更した以外は、実施例1と同様にして比較用の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製し、比較用の各試験片について、実施例1と同様に23℃,0℃,−20℃におけるシャルピー衝撃強さを測定した。そして、比較例2の試験片について、実施例1と同様に難燃指数FPIと発煙指数SDIを求めた。その結果を下記の表1に併記する。
MBS系耐衝撃改良剤C: スチレンブタジエンゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.13μm、ゴム成分の比率が50質量%、ゴム成分のガラス転移点が−58℃である。
シリコン系耐衝撃改良剤D: シリコンゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.30μm、ゴム成分の比率が33質量%、ゴム成分のガラス転移点が−125℃である。
アクリル系耐衝撃改良剤E: アクリル酸ブチルゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.17μm、ゴム成分の比率が90質量%、ゴム成分のガラス転移点が−54℃である。
Figure 2008208250
この表1を見れば、耐衝撃改良剤として、数平均粒子径が0.19μm、ゴム成分がガラス転移点−58℃のスチレンブタジエンゴム、ゴム成分の占める比率が70質量%のMBS系耐衝撃改良剤Aを、塩素化度が64.5質量%の後塩素化塩化ビニル樹脂100質量部に10質量部含有させた実施例1の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片は、FPIが4.08でFM4910の難燃性テスト(FMRC)の合格基準の6以下を満たしており、SDIも0.14で合格基準の0.4以下を満たしていることがわかる。そして、シャルピー衝撃強さも、23℃で46.38kJ/m、0℃で12.19kJ/m、−20℃で7.06kJ/mであり、本発明の目標値(23℃で7kJ/m以上、0℃で5kJ/m以上、−20℃で4kJ/m以上)を満たしていることがわかる。
また、耐衝撃改良剤として、数平均粒子径が0.30μm、ゴム成分がガラス転移点−125℃のシリコンゴム、ゴム成分の占める比率が90質量%のシリコン系耐衝撃改良剤Bを、塩素化度が64.5質量%の後塩素化塩化ビニル樹脂100質量部に10質量部含有させた実施例2の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片も、FPIが4.83、SDIが0.11で、いずれもFM4910の難燃性テスト(FMRC)の合格基準を満たしており、また、シャルピー衝撃強さも、23℃で36.33kJ/m、0℃で11.02kJ/m、−20℃で10.03kJ/mと、本発明の目標値を満たしていることがわかる。
これに対し、耐衝撃改良剤として、ゴム成分(スチレンブタジエンゴム)の占める比率が50質量%と少ないMBS系耐衝撃改良剤Cを含有させた比較例1の試験片は、シャルピー衝撃強さが、23℃で3.74kJ/m、0℃で3.33kJ/m、−20℃で2.95kJ/mであり、いずれも本発明の目標値を満たさないことがわかる。また、ゴム成分(シリコンゴム)の占める比率が33質量%と少ないシリコン系耐衝撃改良剤Dを含有させた比較例2の試験片は、改良剤Dの数平均粒子系が30μmと大きく、ゴム成分のガラス転移点が−125℃と低いので、ゴム成分の占める比率が33質量%と少なくても、23℃と0℃におけるシャルピー衝撃強さは目標値を満たすが、−20℃におけるシャルピー衝撃強さは3.62kJ/mと小さく、目標値を満たすことができない。これらのことから、−20℃付近の低温域で良好なシャルピー衝撃強さを有する塩化ビニル系樹脂成形体を得るためには、ゴム成分の占める比率が50質量%を越える耐衝撃改良剤を使用する必要があることがわかる。
また、耐衝撃改良剤として、ガラス転移点が−54℃のアクリル酸ブチルゴムをゴム成分とするアクリル系耐衝撃改良剤Eを含有させた比較例3の試験片は、耐衝撃改良剤のゴム成分の占める比率が90%と高いため、23℃におけるシャルピー衝撃強さは目標値を満たすが、ゴム成分のガラス転移点が−54℃と高いため、0℃と−20℃におけるシャルピー衝撃強さは、それぞれ4.04kJ/m、3.234kJ/mと小さく、目標値を満たすことができない。このことから、0℃以下の低温域で良好なシャルピー衝撃強さを有する塩化ビニル系樹脂成形体を得るためには、ガラス転移点が−55℃以下のゴム成分を有する耐衝撃改良剤を使用する必要があることがわかる。
また、シリコン系耐衝撃改良剤Dを含有させた比較例2の試験片は、耐衝撃改良剤のゴム成分の占める比率が小さいため、−20℃でのシャルピー衝撃強さの目標値を満たしていないが、実施例1や実施例2の試験片と同様に、FPIやSDIが難燃性テスト(FMRC)の合格基準をクリアしており、このことから、ゴム成分とポリメタクリル酸メチルとを共重合させた耐衝撃改良剤は、ゴム成分が多くても少なくても、耐衝撃改良剤が本発明の含有量の範囲内で含有されている限り、成形体の難燃性を低下させる恐れのないことがわかる。
[実施例3]
塩素化度が64.5質量%、重合度が670の後塩素化塩化ビニル樹脂100質量部に対して、ブチル錫マレート系安定剤を2.5質量部、アクリル系加工助剤を2.0質量部、エステル系滑剤を0.5質量部、アクリル系滑剤を2.0質量部、充填剤の酸化チタンを0.6質量部含有させたものを基本組成物とし、この基本組成物に前記のMBS系耐衝撃改良剤Aをそれぞれ6質量部、8質量部、10質量部、15質量部含有させて、MBS系耐衝撃改良剤Aの含有量が異なる4種類の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製した。
同様に、上記の基本組成物に前記のシリコン系耐衝撃改良剤Bをそれぞれ6質量部、8質量部、10質量部、15質量部含有させて、シリコン系耐衝撃改良剤Bの含有量が異なる4種類の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製し、同様に、上記の基本組成物に前記のMBS系耐衝撃改良剤Cをそれぞれ6質量部、8質量部、10質量部、15質量部含有させて、MBS系耐衝撃改良剤Cの含有量が異なる4種類の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製し、同様に、上記の基本組成物に前記のシリコン系耐衝撃改良剤Dをそれぞれ6質量部、8質量部、10質量部、15質量部含有させて、シリコン系耐衝撃改良剤Dの含有量が異なる4種類の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製し、同様に、上記の基本組成物に前記のアクリル系耐衝撃改良剤Eをそれぞれ6質量部、8質量部、10質量部、15質量部含有させて、アクリル系耐衝撃改良剤Eの含有量が異なる4種類の塩化ビニル系樹脂成形体の試験片を作製した。
上記の各試験片について、実施例1と同様に23℃、0℃、−20℃におけるシャルピー衝撃強さを測定した。その結果を下記の表2に示す。
Figure 2008208250
この表2を見ると、全ての試験片は耐衝撃改良剤の含有量が多くなるほど、23℃、0℃、−20℃のいずれのシャルピー衝撃強さも増大することがわかる。そして、前記のMBS系耐衝撃改良剤A(スチレンブタジエンゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.19μm、ゴム成分の比率が70質量%、ゴム成分のガラス転移点が−58℃であるもの)を含有させた試験片と、前記のシリコン系耐衝撃改良剤B(シリコンゴムとポリメタクリル酸メチルとの共重合体で、数平均粒子径が0.30μm、ゴム成分の比率が90質量%、ゴム成分のガラス転移点が−125℃であるもの)を含有させた試験片は、耐衝撃改良剤の含有量が6質量部である場合には、23℃、0℃、−20℃のいずれのシャルピー衝撃強さも目標値を満たすことはできないが、含有量が8質量部、10質量部、15質量部の場合には全て目標値を満たすことがわかる。これより、常温から低温域において良好な耐衝撃性を発揮させるためには、耐衝撃改良剤を8〜15質量部含有させる必要のあることが裏付けられる。
これに対し、前記のMBS系耐衝撃改良剤Cを含有させた試験片は、スチレンブタジエンゴムの比率が50質量%と低いため、耐衝撃改良剤Cの含有量が6質量部、8質量部、10質量部、15質量部のいずれの場合でもシャルピー衝撃強さの目標値を満たすことができない。そして、前記のシリコン系耐衝撃改良剤Dを含有させた試験片は、シリコンゴムのガラス転移点が−125℃と低いにも拘わらずゴム成分の比率が33質量%と少ないため、耐衝撃改良剤Dの含有量が6質量部、8質量部の場合には、23℃と0℃におけるシャルピー衝撃強度の目標値を満たすことができず、また、−20℃におけるシャルピー衝撃強度の目標値は、6質量部でも8質量部でも10質量部でも満たすことはできない。更に、前記のアクリル系耐衝撃改良剤Eを含有させた試験片は、アクリル酸ブチルゴムのガラス転移点が−54℃であるため、耐衝撃改良剤の含有量が6質量部、8質量部、10質量部、15質量部のいずれの場合でも、−20℃の低温域におけるシャルピー衝撃強さの目標値を満たすことができず、含有量が10質量部と15質量部の場合に23℃のシャルピー衝撃強さの目標値を満たし、含有量が15質量部の場合に0℃のシャルピー衝撃強さの目標値を満たすだけである。このことより、常温から低温域における耐衝撃性を高めるためには、耐衝撃改良剤のゴム成分の占める比率が50質量%を越え、ゴム成分のガラス転移点が−55℃以下であることも必要であることがわかる。

Claims (5)

  1. 成形体中の有機成分に占める塩素の比率が50〜64質量%の塩化ビニル系樹脂成形体であって、ガラス転移点が−55℃以下のゴム成分とポリメタクリル酸メチル成分とが共重合した耐衝撃改良剤を、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して8〜15質量部含有させたことを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 上記耐衝撃改良剤に占める上記ゴム成分の比率が50質量%を越え、95質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 耐衝撃改良剤の数平均粒子径が0.10〜0.50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  4. 上記ゴム成分が、−55℃以下のガラス転移点を有するスチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、アクリル酸ブチルゴムのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  5. JIS K 7111−1に基づいて測定した23℃でのシャルピー衝撃強さが7kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した0℃でのシャルピー衝撃強さが5kJ/m以上、JIS K 7111−1に準じて測定した−20℃でのシャルピー衝撃強さが4kJ/m以上であり、FM4910の難燃性テスト(FMRC)に基づいて測定した難燃指数FPIが6以下、発煙指数SDIが0.4以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
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