JP2008200975A - 多層構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属蒸着層上に無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなる層が積層されてなる多層構造体であって、ガスバリア性、特に高湿度条件下でのガスバリア性に優れる多層構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成される金属および/または金属酸化物からなる第1の層と、該第1の層と隣接してなり、樹脂および無機層状化合物を含む樹脂組成物から形成される第2の層とを有する多層構造体の製造方法であって、以下の工程(1)、(2)を順に含む多層構造体の製造方法。
(1)金属および/または金属酸化物を蒸着処理することにより第1の層を前記基材層上に形成する工程
(2)樹脂、無機層状化合物および液体媒体を含み、pHが7〜14である塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで液体媒体を除去して、第2の層を前記第1の層上に形成する工程
【選択図】なし

Description

本発明は多層構造体の製造方法に関する。
従来、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる成形体は、その優れた力学的性質や耐熱性、透明性等により、食品分野、化粧品分野、農薬分野、医療分野等の多くの分野で、広く包装材料として用いられている。熱可塑性樹脂製成形体を包装材料として用いる場合には、内容物が酸素により劣化することを防ぐため、ガスバリア性が求められることが多い。このようなガスバリア性を有する包装材料として、例えば特許文献1には、金属蒸着基材フィルムの蒸着層上に、無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなるオーバーコート層が積層されてなるガスバリア性フィルムが開示されている。
特開2003−260750号公報
しかしながら前記のように、金属蒸着層上に無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなる層が積層されてなるガスバリア性フィルムは、ガスバリア性、特に高湿度条件下でのガスバリア性が不十分であった。
本発明者らは鋭意検討した結果、オーバーコート層を形成するために用いる塗工液のpHを調整することにより、ガスバリア性、特に高湿度条件下でのガスバリア性に優れる多層構造体が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成される金属および/または金属酸化物からなる第1の層と、該第1の層と隣接してなり、樹脂および無機層状化合物を含む樹脂組成物から形成される第2の層とを有する多層構造体の製造方法であって、以下の工程(1)、(2)を順に含む多層構造体の製造方法である。
(1)金属および/または金属酸化物を蒸着処理することにより第1の層を前記基材層上に形成する工程
(2)樹脂、無機層状化合物および液体媒体を含み、pHが7〜14である塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで液体媒体を除去して、第2の層を前記第1の層上に形成する工程
本発明の多層構造体の製造方法によれば、ガスバリア性、特に高湿度条件下でのガスバリア性に優れる多層構造体を製造することができる。
本発明は、基材層、金属および/または金属酸化物からなる第1の層、樹脂および無機層状化合物を含む樹脂組成物から形成される第2の層が積層されてなる多層構造体の製造方法である。
本発明における第1の層は、金属および/または金属酸化物を蒸着処理することにより、基材層上に形成される層である。第1の層における金属および/または金属酸化物としては特に限定されるものではないが、金属としては、アルミニウム、珪素、チタン、亜鉛等が挙げられ、金属酸化物としては前記した各金属の酸化物が挙げられるが、アルミニウムおよび/または酸化アルミニウムが好ましく用いられる。また金属および/または金属酸化物は2種類以上を併用してもよく、金属酸化物の酸化状態は種々であってよい。
基材層上に第1の層を形成する方法は、金属および/または金属酸化物を蒸着処理する方法であり、具体的には真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。第1の層を形成する方法は、真空蒸着法またはCVD法が好ましい。
本発明における第2の層は、無機層状化合物、樹脂および液体媒体とを含み、pHが7〜14である塗工液を第1の層上に塗工し、次いで液体媒体を除去して形成される。本発明で用いる無機層状化合物とは、液体媒体へ分散させる以前の状態として、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
無機層状化合物の中でも特に溶媒への膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく用いられる。
粘土鉱物は、一般に(i)シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。(i)の2層構造タイプの粘土鉱物としては、カオリナイト族およびアンチゴライト族等の粘土鉱物が挙げられる。(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、およびマイカ族等の粘土鉱物が挙げられる。
これらの粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等が挙げられる。また、これら粘土鉱物を有機化剤でイオン交換等の処理し、分散性等を改良した有機修飾粘土鉱物も、アルカリ金属イオン供与化合物として用いることができる(有機修飾粘土鉱物の種類、製造方法については、例えば前野昌弘、「粘土の科学」、174−181、1993年、日刊工業新聞社を参照)。有機化剤の例としては、ジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やフォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を挙げることができる。
上記粘土鉱物の中でもスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが挙げられる。本発明における無機層状化合物は、モンモリロナイトであることが最も好ましい。また無機層状化合物として、2種類以上を用いてもよい。
第2の層を形成するために用いる無機層状化合物のアスペクト比は、200〜10000の範囲であることが好ましく、200〜5000の範囲であることがより好ましい。このようなアスペクト比の無機層状化合物を用いることにより、よりガスバリア性に優れる多層構造体となる。
無機層状化合物の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。このような平均粒径の無機層状化合物を含む第2の層を有する多層構造体は、ガスバリア性により優れるものとなる。またこのような平均粒径の無機層状化合物を用いることにより、製膜性にも優れる。本発明で得られる多層構造体を特に透明性が求められる用途に用いる場合には、第2の層に含まれる無機層状化合物の平均粒径は1μm以下であることが好ましい。
前記した無機層状化合物のアスペクト比(Z)とは、Z=L/aで定義される値である。ここで、Lは無機層状化合物の平均粒径であり、aは、無機層状化合物の単位厚さ、即ち、無機層状化合物の単位結晶層の厚みを示し、粉末X線回析法(「機器分析の手引き(a)」(1985年、化学同人社発行、塩川二朗監修)69頁参照)により求められる。
本発明における無機層状化合物の平均粒径とは、塗工液に含まれる液体媒体と同じ液体媒体に無機層状化合物を分散させて、回折/散乱法により求めた粒径(体積基準のメジアン径)である。具体的には、無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた分散液に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンから、ミー散乱理論等により、上記回折/散乱パターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することにより、無機層状化合物の平均粒径を求めることができる。例えば粒度分布の測定範囲を適当な区間に分け、それぞれの区間について、代表粒子径を決定し、本来連続的な量である粒度分布を離散的な量に変換させて計算する方法が挙げられる。
第2の層を形成するために用いる無機層状化合物としては、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
本発明で第2の層を形成するために用いる塗工液は、樹脂を含む。該樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ウレタン系樹脂を挙げることができる。
水系の液体媒体に容易に溶解させることができ、取り扱いが容易であることや、得られる多層構造体のガスバリア性の観点から、前記樹脂は、水酸基を有する樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、PVA、EVOH、セルロースを挙げることができる。
多層構造体のガスバリア性の観点から、第2の層を形成するために用いられる樹脂は、(i)一分子中に、水酸基、および該水酸基と反応し得る第2の官能基を有する樹脂、あるいは(ii)水酸基を有する樹脂と、水酸基と反応し得る第2の官能基を有する樹脂との混合物であることが好ましい。以下、(i)の場合と(ii)の場合とをあわせて、「水酸基および第2の官能基を有する樹脂成分」と称することがある。
前記水酸基と反応し得る第2の官能基はカルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、アンモニウム基等の極性基であることが好ましく、該水酸基と該第2の官能基同士が共有結合、あるいはイオン結合をし得ることが好ましい。
一分子中に水酸基と第2の官能基を含む樹脂としては、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体、ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体、アクリル酸−ビニルアミン共重合体、メタアクリル酸−ビニルアミン共重合体等が挙げられる。
水酸基と反応し得る第2の官能基を有する樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアミン、アクリル酸−メタアクリル酸共重合体、ビニルアミン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
第2の層を形成するために用いられる樹脂が、水酸基を有する樹脂と、水酸基と反応し得る第2の官能基を有する樹脂との混合物である場合には、水酸基を有する樹脂がポリビニルアルコールであり、水酸基と反応し得る第2の官能基を有する樹脂がポリアクリル酸および/またはポリメタアクリル酸であることが好ましい。
ポリビニルアルコールとは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として有するポリマーである。このような「ポリビニルアルコール」としては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解して得られるポリマー(正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったものや、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、tert−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等を加水分解して得られるポリマーが挙げられる(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。ポリビニルアルコールにおける「けん化」の程度は、70モル%以上が好ましく、85モル%以上のものがより好ましく、98%モル以上のいわゆる完全けん化品がさらに好ましい。また、重合度は、100以上5000以下、200以上3000以下であることがより好ましい。
本発明におけるポリアクリル酸とは、ポリアクリル酸部分中和物を含む。またポリメタアクリル酸とは、ポリメタアクリル酸部分中和物を含む。ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸の重量平均分子量は、それぞれ2000〜10000000の範囲が好ましく、より好ましくは100000〜5000000である。
ポリアクリル酸部分中和物は、通常、ポリアクリル酸の水溶液にアルカリを添加することにより得ることができる。ポリアクリル酸とアルカリの量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。ここでポリアクリル酸の中和度は、下式にて定義される。ポリアクリル酸部分中和物は、多層構造体のガスバリア性や透明性の点から、中和度が0.1%〜20%であることが好ましい。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基のモル数
B:ポリアクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基のモル数
また、ポリメタアクリル酸中和物についても同様である。
第2の層を形成するために用いられる樹脂が、水酸基および第2の官能基を有する樹脂成分であり、該第2の官能基がカルボキシル基である場合、該樹脂成分に含まれる水酸基とカルボキシル基のモル比は、水酸基:カルボキシル基=30:70〜95:5であることが好ましく、より好ましくは70:30〜95:5である。また得られる多層構造体の高湿度条件下でのガスバリア性の観点から、該樹脂成分の重量を100%とするとき、該樹脂成分に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計重量は30〜60%であることが好ましく、より好ましくは35〜55%である。
前記樹脂成分中の水酸基とカルボキシル基のモル比は、NMR法、IR法等により求めることができる。例えばIR法であれば、水酸基とカルボキシル基のモル比が既知のサンプルを用いて検量線を求め、これを用いて測定サンプルの水酸基とカルボキシル基との個数比を算出することができる。またビニルアルコール単一重合体と、アクリル酸単一重合体および/またはメタアクリル酸単一重合体を用いる場合は、予めその重量から水酸基およびカルボキシル基のモル数を求め、水酸基とカルボキシル基の個数比を算出することができる。また、前記樹脂成分に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計重量測定については、モル比と同様、NMR法、IR法等にて求めることができる。例えばIR法であれば、ポリオールユニット数が既知であるポリオール重合体および、ポリカルボン酸ユニット数が既知であるポリカルボン酸重合体について検量線を求め、これらの検量線を用いて測定サンプルにおける水酸基およびカルボキシル基の合計重量を算出することができる。またビニルアルコール単一重合体と、アクリル酸単一重合体および/またはメタアクリル酸単一重合体を用いる場合は、予めその重量から水酸基およびカルボキシル基の重量を求め、この合計量を求めることができる。
第2の層を形成するために用いられる樹脂が水酸基および第2の官能基を有する樹脂成分であり、該第2の官能基がカルボキシル基である場合、多層構造体の耐水性の点から、第2の層がアルカリ金属イオンを含むことが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。第2の層に含まれるアルカリ金属イオンの重量は、該第2の層に含まれる樹脂の重量を100部とするとき、該樹脂100重量部に対し0.2〜5部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2部である。
前記アルカリ金属イオンは、通常、アルカリ金属イオン供与化合物に由来する。すなわち第2の層に含まれる樹脂が水酸基および第2の官能基を有する樹脂成分であり、該第2の官能基がカルボキシル基である場合、第2の層はアルカリ金属イオン供与化合物を含むことが好ましい。アルカリ金属イオン供与化合物としては、水酸化ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、第2の層に含まれる無機層状化合物がモンモリロナイトである場合には、該モンモリロナイトの層間にナトリウムイオンが含まれるため、モンモリロナイトがアルカリ金属イオン供与化合物として作用する。したがって、第2の層に含まれる無機層状化合物はモンモリロナイトであることがとりわけ好ましい。また2種類以上のアルカリ金属イオン供与化合物を併用してもよい。
第2の層を形成するために用いられる塗工液に含まれる液体媒体は、使用する無機層状化合物を膨潤し劈開させる液体媒体であることが好ましい。無機層状化合物が親水性の膨潤性粘土鉱物の場合には、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、とりわけ水、アルコール、水−アルコール混合物が好ましい。
また、無機層状化合物が有機修飾粘土鉱物の場合には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、メタクリル酸メチル、フタル酸ジオクチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどを塗工液の液体媒体として用いることができる。
第2の層を形成するために用いられる塗工液は、樹脂、無機層状化合物および液体媒体を含む。該塗工液は、以下のような方法で調整することができる。例えば樹脂を液体媒体に溶解させてなる樹脂溶液と、無機層状化合物を予め液体媒体に膨潤し劈開させた無機層状化合物の分散液とを混合する方法、無機層状化合物を予め液体媒体に膨潤し劈開させた無機層状化合物の分散液に樹脂を直接混合する方法、樹脂溶液と無機層状化合物とを混合する方法があげられる。該塗工液を調製する際には、樹脂と無機層状化合物とを含む液に後述するような高圧分散処理してもよいし、予め高圧分散処理した無機層状化合物の分散液と、樹脂とを前記した方法で混合してもよい。
第2の層を形成する塗工液を調整する際には、その分散性の観点から、高圧分散装置を用いて高圧分散処理することが好ましい。高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノマイザー、マントンゴーリン型高圧分散装置、イズミフードマシナリ製ホモゲナイザーが挙げられる。高圧分散処理とは、無機層状化合物を含む液を複数本の細管中に高速通過させた後に合流させて、無機層状化合物を含む液同士あるいは該液と細管内壁とを衝突させることにより、該無機層状化合物を含む液に高剪断および/または高圧を付加する処理方法である。高圧分散処理では、塗工液を管径1μm〜1000μm程度の細管中に通過させ、このとき100kgf/cm2以上の最大圧力が印加されるように処理することが好ましい。最大圧力は500kgf/cm2以上であることがより好ましく、1000kgf/cm2以上であることが特に好ましい。また無機層状化合物を含む液が細管内を通過する際、該液の最高到達速度は100m/s以上であることが好ましく、圧力損失による伝熱速度は100kcal/hr以上であることが好ましい。
第2の層を形成するために用いられる塗工液のpHは7〜14であり、7〜13であることが好ましく、8〜13であることがより好ましい。該塗工液のpHをこの範囲とすることで、ガスバリア性、特に高湿度条件下でのガスバリア性に優れる多層構造体を得ることができる。
前記塗工液のpHを調製する方法としては、公知の方法を用いることができるが、水酸化ナトリウム等の塩基性添加剤を添加する方法、イオン交換樹脂を用いる方法が好ましい。
塗工液に含まれる樹脂が、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等の架橋性反応基を有する樹脂である場合には、該塗工液に架橋剤を添加してもよい。用いられる架橋剤としては、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カップリング剤、カルボジイミド系カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
架橋剤を該塗工液に添加する場合には、通常架橋剤を予めアルコール類等の溶媒に10〜90重量%溶解させた架橋剤溶液を、該塗工液に添加する方法によって調整される。
前記塗工液には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を含有する該塗工液を塗工して層を形成することにより、該層と、それに隣接する層との密着性を向上させることができる。界面活性剤の含有量は、通常、塗工液100重量%中0.001〜5重量%である。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤など、公知の界面活性剤を用いることができる。とりわけ炭素原子数6以上、24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体等のエーテル型の非イオン性界面活性剤(シリコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド化合物等のフッ素型非イオン性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)を使用することが、層同士の密着性向上の観点から好ましい。
本発明で得られる多層構造体を構成する各層は、本発明の効果を損なわない程度に、必要に応じて紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
塗工液に含まれる無機層状化合物と樹脂の割合は、無機層状化合物と樹脂の体積の合計を100%とするとき、無機層状化合物の割合が5〜95%であることが好ましく、5〜50%であることがさらに好ましく、10〜50%であることがより好ましく、20〜50%であることが最も好ましい。樹脂の割合は、5〜95%であることが好ましく、50〜95%であることがさらに好ましく、50〜90%であることがより好ましく、50〜80%であることが最も好ましい。
本発明における基材層を構成する材料は特に限定されるものではなく、金属や、樹脂、木材、セラミック、ガラス等が挙げられる。また基材層の形態も特に限定されるものではなく、紙や、布、不織布、フィルム等が挙げられる。樹脂としては熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。本発明で得られる多層構造体を包装材料として用いる場合には、基材層が熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。用いられる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6(Ny−6)、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレン−アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂としては、公知のフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。本発明で得られる多層構造体がフィルムである場合には、基材層は無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、アミド系樹脂のいずれかからなる二軸延伸フィルムであることが好ましい。また基材層はNy−6/MXD6−Ny/Ny−6やPP/EVOH/PPのような多層フィルムであってもよい。
基材層は、第1の層と隣接して積層されていてもよく、接着層等の他の層を介して積層されていてもよい。第1の層は、基材層の片面あるいは両面に設けられていてもよく、基材層の一部あるいは全面に設けられていてもよい。
アンカーコート層や第2の層を塗工により設ける方法としてはダイレクトグラビア法、リバースグラビア法等のグラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、バーコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法が挙げられる。また後述する追加層や樹脂層も、同様の方法により設けることができる。多層構造体がフィルムである場合には、均一な厚みの層を設けることができることからグラビア法を採用することが好ましい。
本発明で得られる多層構造体を構成する各層の厚みは特に限定されるものではない。第1の層および第2の層の厚みは、ガスバリア性およびコストの観点から通常1nm〜10μmであり、1nm〜1μmであることが好ましく、1nm〜500nmであることがさらに好ましい。本発明で得られる多層構造体は、第1の層および第2の層の厚みが前記したように薄い場合でも、充分なガスバリア性を備えるものである。耐屈曲性の観点から、第2の層の厚みは第1の層の厚みと同等、あるいは第1の層よりも厚いことが好ましい。後述する追加層や樹脂層の厚みも通常1nm〜10μmである。基材層上にアンカーコート層を有する場合には、アンカーコート層の厚みは通常0.01〜5μmである。
本発明で得られる多層構造体は、第1の層、第2の層、基材層以外の層を有していてもよく、第1の層、第2の層と同じ組成の層をそれぞれ複数層有していてもよい。該多層構造体の構成としては、例えば
基材層/第1の層/第2の層(構成1)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層A(構成2)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層B/追加層C(構成3)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層D/追加層E/追加層F(構成4)、
基材層/第1の層/第2の層/樹脂層(構成5)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層B/追加層C/樹脂層(構成6)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層D/追加層E/追加層F/樹脂層(構成7)
が挙げられる。
ここで追加層A、B、C、D、Eは、それぞれ第1の層または第2の層と同じ組成であってもよい。例えば構成2において追加層Aが第1の層と同じ組成であってもよく、構成3において追加層Bが第1の層と、追加層Cが第2の層と同じ組成であってもよい。また構成4において追加層DおよびFが第1の層と同じ組成であり、追加層Eが第2の層と同じ組成であってもよい。
本発明で得られる多層構造体は、使用前に予め100℃以上の温度で水蒸気濃度が50g/m3未満の雰囲気下で保持する乾熱処理を行うことがガスバリア性向上の観点から好ましい。乾熱処理温度は、好ましくは120℃以上、200℃以下である。乾熱処理する時間は通常1秒間〜1時間である。乾熱処理時の水蒸気濃度は、好ましくは0〜40g/m3である。乾熱処理に用いる熱源は特に限定されるものではなく、熱ロール接触、熱媒接触(空気等)、赤外線加熱、マイクロ波加熱等、種々の方法を適用することができる。
また本発明で得られる多層構造体において、第2の層に含まれる樹脂が、水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分である場合は、前記乾熱処理後に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理することが好ましい。該湿熱処理とは、100℃以上の温度で水蒸気濃度が290g/m3超の雰囲気下または80℃以上の水中で保持する処理である。湿熱処理する時間は、通常1秒間〜1時間である。100℃以上の温度で水蒸気濃度が290g/m3超の雰囲気下での処理の場合、温度は120〜200℃の範囲内が好ましく、水蒸気濃度は500〜20000g/m3の範囲内が好ましい。かかる湿熱処理をする前に、前記乾熱処理をした樹脂膜を例えば23℃50%RH条件下でエージングしてもよい。湿熱処理の具体的な処理方法としては、水蒸気雰囲気下でエージングする方法や、該多層構造体を熱水に浸漬する方法が挙げられる。湿熱処理する時間は、通常1秒間〜1時間である。湿熱処理後の乾燥処理とは、湿熱処理により該多層構造体に与えられた水分を除去するために行われる。通常、湿度50%RH以下、温度20〜100℃で1秒間〜24時間樹脂膜を保持する。また乾熱処理した該多層構造体を湿熱処理する前に、例えば23℃50%RH条件下でエージングしてもよい。
本発明で得られる多層構造体としては、タイヤやねじ、液晶ディスプレイ用、有機EL用などフレキシブルディスプレイ用基板あるいは封止材といった光学部品部材、太陽電池あるいは色素増感太陽電池などの基板、封止材のような電子部品部材等が挙げられる。例えば金属製ねじに第1の層および第2の層を積層して得られる被覆ねじは、酸素により劣化されにくい。このように、第1の層および第2の層を有さない従来の各種製品に第1の層および第2の層を積層して本発明で得られる多層構造体とすることにより、従来酸素による劣化が問題となっていた製品の酸素劣化を抑制することができる。また真空断熱材パネルとして使用することもできる。
また本発明で得られる多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素劣化を防ぐことができる。該多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。該多層構造体は、レトルト後バリア性に優れることから、特にレトルト用包装材料として好ましく用いられる。該多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各種物性の測定方法を以下に記す。
〔厚み測定〕
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
〔粒径測定〕
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する塗工液中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、さらに該無機層状化合物のみの希釈液中の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、塗工液中で無機層状化合物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。
〔アスペクト比計算〕
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物の回折測定を粉末法により行い、無機層状化合物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該無機層状化合物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお塗工液を乾燥したものについてもX線回折測定を行い、無機層状化合物の面間隔が広がっていることを確認した。
〔酸素透過度測定〕
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、30℃60%RHおよび23℃90%RHの条件下で測定を行った。
〔塗工液の作製〕
塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)65gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、無機層状化合物含有液(A)を得た。この無機層状化合物含有液(A)に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記含有液の重量を基準とする)を添加し、無機層状化合物含有液(B)を得た。さらにこれを高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理し、無機層状化合物分散液(1)を得た。無機層状化合物分散液(1)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径は560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比は460であった。また、無機層状化合物分散液(1)のpHは6であった。
上記の無機層状化合物分散液(1)を、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において、系のpHが10となるように水酸化ナトリウムで調整しながら徐々に添加することにより、塗工液(1)を調製した。塗工液(1)中のポリビニルアルコールと無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。
塗工液(2)の作製
第1の分散液のpHを8としたこと以外は、塗工液(1)と同様にして、塗工液(2)を作製した。
塗工液(3)の作製
第1の分散液のpHを2としたこと以外は、塗工液(1)と同様にして、塗工液(3)を作製した。
塗工液(4)の作製
高純度モンモリロナイト65gのかわりにポリビニルアルコール130gとしたこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(4)を作製した。
塗工液(5)の作製
高純度モンモリロナイト82gとしたこと以外は無機層状化合物含有液(B)と同様にして、無機層状化合物含有液(C)を作製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量100,0000)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で樹脂成分溶液を作製した。
無機層状化合物含有液(C)2519gと樹脂成分溶液1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより、無機層状化合物分散液(2)を得た。無機層状化合物分散液(2)のpHは6であった。
系のpHが10となるようにイオン交換樹脂で調整し、塗工液(5)を得た。塗工液(5)中のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。
〔実施例1〕
基材層上に蒸着層が設けられた、厚さ12μmのアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(BARRIALOX VM−PET1011HG;東洋メタライジング(株)製、以下VM−PETと称する)の蒸着面に、前述の塗工液(1)をテストコーター(康井精機製)を用いてマイクログラビア塗工法(グラビアロールの線数を150、♯:GM)により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して100℃で乾燥することにより、基材層を含めて3層(基材層/蒸着層/A層)の多層構造体を得た。該A層の厚みは0.2μmであった。該多層構造体の酸素透過度を測定した結果を表1に示した。
〔実施例2〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基材層を含めて3層(基材層/蒸着層/B層)の多層構造体を得た。該B層の厚みは0.2μmであった。該多層構造体の酸素透過度を測定した結果を表1に示した。
〔実施例3〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基材層を含めて3層(基材層/蒸着層/C層)の多層構造体を得た。該C層の厚みは0.2μmであった。得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した結果を表1に示した。
〔比較例1〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基材層を含めて3層(基材層/蒸着層/D層)の多層構造体を得た。該D層の厚みは0.2μmであった。該多層構造体の酸素透過度を測定した結果を表1に示した。
〔比較例2〕
塗工液(1)のかわりに塗工液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基材層を含めて3層(基材層/蒸着層/E層)の多層構造体を得た。該E層の厚みは0.2μmであった。該多層構造体の酸素透過度を測定した結果を表1に示した。
Figure 2008200975

Claims (4)

  1. 基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成される金属および/または金属酸化物からなる第1の層と、該第1の層と隣接してなり、樹脂および無機層状化合物を含む樹脂組成物から形成される第2の層とを有する多層構造体の製造方法であって、以下の工程(1)、(2)を順に含む多層構造体の製造方法。
    (1)金属および/または金属酸化物を蒸着処理することにより第1の層を前記基材層上に形成する工程
    (2)樹脂、無機層状化合物および液体媒体を含み、pHが7〜14である塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで液体媒体を除去して、第2の層を前記第1の層上に形成する工程
  2. 前記第1の層における金属がアルミニウムであり、金属酸化物が酸化アルミニウムである請求項1に記載の多層構造体の製造方法。
  3. 前記第2の層を形成する樹脂組成物における無機層状化合物と樹脂の体積の合計を100%とするとき、該無機層状化合物の割合が5〜95%であり、樹脂の割合が5〜95%である請求項1または2に記載の多層構造体。
  4. 前記第2の層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂が、水酸基を含む樹脂である請求項1〜3いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
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