JP2008196047A - 電解研磨用電解液及び電解研磨方法 - Google Patents

電解研磨用電解液及び電解研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特に半導体製造プロセスにおける基板表面に形成された銅等の導電性物質の研磨において、低い印加電圧で導電性物質に対するより高い加工速度を確保しつつ、高い平坦化特性を有する加工面を得ること、ディッシングやエロージョン、バリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングを生じさせることなく、不要な導電性物質を除去してバリア膜を露出させることができるようにする。
【解決手段】被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨に用いる電解液であって、有機酸またはその塩の1種類以上と、スルホン酸基を有する強酸の1種類以上と、腐食抑制剤と、水溶性高分子化合物を含む水溶液であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、被研磨物表面の導電性物質を電解研磨で研磨する時に使用される電解液及び該電解液を用いた電解研磨方法に係わり、特に、半導体デバイス及びディスプレイ等の電子機器の基板表面に形成された導電性材料や、真空機器及び高圧機器等の高精度の仕上げが要求される金属材料等を電解研磨で研磨する時に使用される電解液及び該電解液を用いた電解研磨方法に関する。
半導体集積回路の配線金属材料として、従来、アルミニウムやアルミニウム合金が一般に使われてきたが、昨今では、電気抵抗が低くエレクロトマイグレーション耐性の高い銅が用いられるようになってきている。銅配線は、基板の絶縁層内に設けたビアホール(接続孔)やトレンチ(溝)にめっきによって銅を埋込み、しかる後、過剰の銅や銅拡散防止用のバリア膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)により除去して平坦化するダマシン法により一般に形成される。この種のCMP装置は、研磨パッド(研磨布)を貼った研磨テーブルと、被研磨物としての半導体ウェーハ等の基板を保持する研磨ヘッドとを有し、研磨ヘッドで保持した基板を研磨テーブルに貼設した研磨パッドに向けて所定の圧力で押圧しつつ、基板及び研磨テーブルを同時に回転させ、両者の摺動面に研磨剤(スラリ)を供給することで、基板の表面を研磨パッドで平坦且つ鏡面状に研磨するようにしている。
図1(a)〜(d)は、銅配線基板の従来の製造方法の一例を工程順に示す。図1(a)に示すように、絶縁膜(層間絶縁膜)10及びハードマスク12の内部に、バリア膜16で包囲された銅からなる下層配線14を形成した後、この上に、Si−Nバリア膜18、第1絶縁膜20及び第2絶縁膜22、及びハードマスク24を順次積層しながら、これらの内部に、例えばリソグラフィー・エッチング技術により、ビアホール26とトレンチ28を形成する。そして、その上にバリア膜30、更にその上に電解めっきの給電層として銅シード膜32を形成する。
銅拡散防止のためのバリア膜30としては、W,Ta/Ta,Ti,W,WSi(X,Yは合金により任意の数値を示す),TaSi,TiSi(X,Y,Zは合金により任意の数値),RuまたはRu/WCNなどの金属材料が一般に用いられる。
そして、図1(b)に示すように、基板Wのビアホール26及びトレンチ28内にめっき等で配線材料としての銅34を充填するとともに、ハードマスク24上に銅34を堆積する。その後、図1(c)に示すように、研磨剤スラリを用いた化学的機械研磨(CMP)により、基板Wの最表面の銅34及びシード膜32を除去し、更に、絶縁膜22上のバリア膜30を除去して研磨工程を終了する。これにより、図1(d)に示すように、絶縁膜20,22の内部に銅34からなる上層配線36を形成する。
半導体産業の分野では、近年の半導体デバイスの高集積化に伴い、絶縁膜(層間絶縁膜)として、従来のCVD−SiO膜よりも誘電率の更に低いLow-k材と呼ばれる有機または無機材料を使用する傾向にある。材料の誘電率を下げるための方法の一つに膜密度を下げる方法があるが、膜密度の低下により、これらのLow-k材は、機械的強度が従来のSiO膜に比べて低い。このため、前述の絶縁膜(層間絶縁膜)20,22として、Low−k材(低誘電率絶縁層)を使用し、化学的機械研磨(CMP)により、基板Wの最表面の銅34及びシード膜32、更にはバリア膜30を除去しようとすると、絶縁膜(Low-k材)22とハードマスク24等とが剥離し易くなるばかりでなく、この時に加えられる押圧力によって、絶縁膜(層間絶縁膜)20,22が容易に破壊される。絶縁膜(層間絶縁膜)20,22の破壊を防止するため、押圧力を低い値に抑えると、研磨速度が低下して生産性に問題が生じる。このため、CMPプロセスの適用は一般に困難である。
この問題を解決する手段として、化学研磨や電解研磨で基板の最表面の銅やシード膜等を研磨することが考えられる。これらの研磨方法は、従来のCMPとは対照的に、機械的な作用を用いることなく基板表面の銅等の導電性物質を化学的または陽極的に溶解させて、研磨面の平滑化及び鏡面化等を行うものである。従って、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、Low−k材等の材料の特性を損なわずに研磨を行うといった課題が達成される。
しかしながら、化学研磨や電解研磨は、一般に、従来のCMPのように、研磨対象物に研磨パッドなどを接触させて加圧することなく、研磨を行うため、次のような不具合が生じる可能性がある。すなわち、これらの方法により、例えば基板内の金属配線となるビアホールやトレンチに埋込むようにめっきなどで成膜された金属(銅)表面を研磨して平坦化する場合、CMPと同等の研磨速度を確保しようとすると、成膜時に形成された金属表面の凹凸の凹部及び凸部が同等の速度で除去される。そのため、研磨を継続しても金属表面が平坦化されず、金属配線の中央部がより薄くなる。換言すれば、断面から配線部を観察すると、皿のように湾曲に過研磨された状態となるディッシングが生じる。
この問題を解決する1つの手段として、電解研磨の一形態である、CMPと電解研磨の原理を組合せた手法である複合電解研磨(電気化学的機械研磨)により、金属表面を平坦化加工する方法がある。この方法は、例えば、研磨パッド(研磨布)を貼った研磨テーブルを陰極、研磨ヘッドに保持された半導体ウェーハ等の基板(被研磨物)表面の金属(銅)を陽極となし、両者の間に電圧を印加しつつ、研磨ヘッドで保持した基板を研磨パッドに対して一定の圧力で押圧しながら両者を回転させ、両者の摺動面に電解液を供給することで、基板表面の金属を電気化学的機械研磨する方法である(例えば、特許文献1〜4参照)。
これらの方法の加工原理は、電解作用によって、基板(被研磨物)の金属表面の酸化及び溶解を促進し、かつ研磨パッドによって基板上の酸化膜の除去を促進することによって、金属表面を平坦化することに基づく。しかし、電気化学的機械研磨を含めた電解研磨では、金属に対するCMPと同程度の加工速度を確保し、かつCMP以上の加工面の平坦性を得るという高い要求をクリアするには一般に困難である。その理由の1つとして、一般に、金属と研磨パッドとの間に印加する電圧を増加させると金属に対する加工速度は上昇するが、それに伴い、加工面が荒れたり、加工面に発生する欠陥が増大したりすることが挙げられる。
特開2004−141990号公報 特表2005−518670号公報 特開2005−340600号公報 米国特許出願公開第2006/0006074号明細書
前述したように、複合電解研磨(電気化学的機械研磨)を含めた電解研磨では、加工速度を上げるために電解電圧を上げると、加工面の荒れが大きくなったり、加工面に欠陥が発生したりするなどの問題が生じる。また、これらの研磨法における最大の問題は、電解研磨時に研磨対象となる銅等の金属(導電性物質)を過剰に溶解(エッチング)してしまい、研磨面にディッシングやエロージョンが生じて十分な平坦性が得られないことである。特に、配線部間(フィールド部及びスペース部)に位置する銅等の金属をエッチング除去して、バリア膜まで露出させるプロセスにおいては、ディッシングや、バリア膜と金属(導電性物質)の界面でエッチングが起こりやすい。これは、電解液中に含まれる保護皮膜形成剤が、高い電圧の印加によって、本来保護すべき部分に対する保護効果を失うからである。したがって、保護皮膜形成剤が効果をもつ低い電解電圧でも、CMPと同等レベルの導電性物質に対する高い加工速度が得られるようになれば、複合電解研磨(電気化学的機械研磨)を含めた電解研磨は、Low−k材等の脆弱材料を有する半導体デバイス等に対するCMPよりダメージが低い加工法として有用となる。
一般に、研磨対象物である銅等の導電性物質(金属)の抵抗率よりもバリア膜の抵抗率の方が高く、また導電性物質よりもバリア膜の方が酸化(溶解)電位が高いことから、電解電圧の制御が難しい。例えば、バルク研磨において、研磨速度を上げるために設定した高い電圧のままで研磨を続けると、保護膜形成剤が本来保護すべき部分に対する保護効果を失ったり、抵抗率が大きく異なる導電性物質とバリア膜との界面に電界が集中したりするため、異常加工が起こりやすい。
表面に存在する凹凸の段差が一般に大きい研磨初期の場合は、研磨パッドが凸部に作用する面圧と凹部に作用する面圧との間に十分な面圧差があるため、凸部に形成された保護膜は研磨パッドで除去され、凹部は保護膜で保護されながら研磨が進む。これによって、表面の凹凸が徐々に解消されていく。しかし、研磨の進行に伴い表面の凹凸の段差が小さくなるにつれ、凹凸に対する面圧差が徐々に小さくなるため、過研磨を抑制したい部分に形成される保護膜は、研磨パッドの研磨に対して耐性のあるものでなければ保護性が十分ではなく、更にバリア膜が露出した場合には、強い保護性が要求される。
ここでいう、電解研磨とは、導電性物質と対向電極との間を電解液で導通させ、電気化学作用によって、導電性物質を加工する研磨方法であり、ここでは、後述の電気化学的機械研磨も含む。また、化学的機械研磨(CMP)は、超LSIデバイスのプラナリゼーション(多層配線の層間膜の平坦化)を目的として開発された、工作物と研磨液の固液反応を利用した湿式のメカノケミカル加工法である。電気化学的機械研磨は、導電性物質と対向電極との間を電解液で導通させ、電気化学作用及び機械的作用によって、導電性物質を加工する研磨方法である。
このように、電解研磨を半導体製造プロセスに適用するにあたり、電解研磨によってバリア膜を露出させようとすると、本来残すべき配線金属等の導電性物質まで過研磨(ディッシング)されるという問題がある。このため、配線金属等の導電性物質に対するこのような過研磨をなくし、研磨により配線部間(フィールド部及びスペース部)のバリア膜が露出したときに、ディッシングやバリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングが起こらない研磨方法が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、特に半導体製造プロセスにおける基板表面に形成された銅等の導電性物質の研磨において、低い印加電圧で導電性物質に対するより高い加工速度を確保しつつ、高い平坦化特性を有する加工面を得ること、ディッシングやエロージョン、バリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングを生じさせることなく、不要な導電性物質を除去してバリア膜を露出させることができるようにした電解研磨用電解液及び電解研磨方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨に用いる電解液であって、有機酸またはその塩の1種類以上と、スルホン酸基を有する強酸の1種類以上と、腐食抑制剤と、水溶性高分子化合物を含む水溶液であることを特徴とする電解研磨用電解液である。
有機酸またはその塩の1種類以上と、スルホン酸基を有する強酸の1種類以上とを共に含む電解液を使用して電解研磨を行うことによって、より低い印加電圧で導電性物質に対する高い加工速度が得られる。これによって、印加電圧を上昇させることなく、導電性物質に対する加工速度を増加させることができるので、加工速度の増加に伴って加工面の荒れが増加することを抑制できる。更に、腐食抑制剤と水溶性高分子化合物を含む電解液を使用して電解研磨を行うことによって、ピット等の表面欠陥の発生を抑制し、かつ平坦性の良好な加工面が得られる。
請求項2に記載の発明は、前記有機酸は、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
カルボキシル基を有する有機酸は、電解反応によって溶解した金属イオンと可溶性錯体を形成しやすく、金属イオンの拡散を容易にする。したがって、カルボキシル基を有する有機酸を使用することで、導電性物質に対する加工速度を増加させることができる。
請求項3に記載の発明は、前記有機酸は、ヒドロキシ基を更に有することを特徴とする請求項2に記載の電解研磨用電解液である。
カルボキシル基とヒドロキシ基の両方を有する有機酸は、電解反応によって溶解した金属イオンと更に可溶性錯体を形成しやすい。したがって、カルボキシル基とヒドロキシ基の両方を有する有機酸を使用することで、導電性物質に対する加工速度を増加させることができる。
請求項4に記載の発明は、前記有機酸は、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、アコニット酸、グリオキシル酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選択されるいずれか1種類または2種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項5に記載の発明は、前記有機酸の濃度が0.1〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項6に記載の発明は、前記スルホン酸基を有する強酸は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、タウリン、システイン酸、アルキル基の総炭素数が1〜6であるアルキルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びフルオロスルホン酸の1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項7に記載の発明は、前記スルホン酸基を有する強酸の濃度が0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項8に記載の発明は、前記腐食抑制剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
ベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる腐食抑制剤は、電解研磨時における加工表面保護膜として効果が高く、ベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる腐食抑制剤を使用することで良好な段差解消性が得られる。ベンゾトリアゾール及びその誘導体としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、及び5−ニトロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
請求項9に記載の発明は、前記腐食抑制剤の濃度が0.001〜5重量%であることを特徴とする請求項8に記載の電解研磨用電解液である。
請求項10に記載の発明は、前記水溶性高分子化合物は、ポリアクリル酸またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、ポリエチレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメトキシエチレン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項11に記載の発明は、前記水溶性高分子化合物の濃度が0.005〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液である。
請求項12に記載の発明は、砥粒を更に含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電解研磨用電解液である。
電解研磨に際して、砥粒を含む電解液を使用することによって、加工速度を増大させ、加工面の欠陥や荒れを抑制することができる。砥粒としては、アルミナ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、酸化ジルコニア、酸化セリウム、酸化チタン、及び酸化マンガンから選ばれる1種類以上が挙げられる。
請求項13に記載の発明は、前記砥粒の濃度が0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項12に記載の電解研磨用電解液である。
請求項14に記載の発明は、界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電解研磨用電解液である。
電解研磨に際して、界面活性剤を含む電解液を使用することによって、砥粒の分散性を向上させ、研磨面の荒れを更に抑制することができる。
請求項15に記載の発明は、導電率が5〜200mS/cmであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電解研磨用電解液である。
電解研磨に際して、異なる導電率を有する電解液を使用することによって、同一の印加電圧で得られる加工速度が異なってくる。したがって、電解液の導電率を調整することによって、ある電圧において、所望の加工速度が得られるように、電解液を調整できる。
請求項16に記載の発明は、pHが2〜10であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電解研磨用電解液である。
電解液のpHを調整することによって、加工速度、段差解消性及び表面荒れそれぞれについて最適な電解液を調製できる。
請求項17に記載の発明は、成分中に前記導電性物質が0.001〜10重量%含まれていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の電解研磨用電解液である。
研磨の対象となる導電性物質を予め電解液中に溶解させておくと、電解液と導電性物質との界面の抵抗が抑制され、研磨時において研磨対象物表面からの導電性物質を含む研磨生成物の電解液中への拡散が促進される。これにより、研磨速度が向上し、かつ研磨面の表面荒れの抑制が可能になる。
請求項18に記載の発明は、被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨に用いる電解液であって、該電解液の組成が全組成物重量に対して、(a)2〜80重量%の有機酸、(b)2〜20重量%のスルホン酸基を有する強酸、(c)0.01〜1重量%の腐食抑制剤、(d)0.01〜1重量%の水溶性高分子化合物、(e)0.01〜2重量%の砥粒、及び(f)0.01〜1重量%の界面活性剤とを備え、pHが2〜10に調整された電解研磨用電解液である。
請求項19に記載の発明は、被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨方法であって、請求項1乃至18のいずれかに記載の電解液の存在下で、研磨パッドで前記導電性物質の表面を擦りつつ、前記導電性物質と前記対向電極との間に電圧を印加することを特徴とする電解研磨方法である。
請求項20に記載の発明は、被研磨物表面のバリア膜上に形成された導電性物質と、該導電性物質と対面する位置に配置された対向電極との間に電解液を存在させて、研磨パッドで前記導電性物質の表面を擦りつつ電圧を印加して、配線用凹部に導電性物質が埋め込まれた配線部以外の導電性物質を除去するのに際し、(a)有機酸またはその塩の1種類以上、(b)スルホン酸基を有する強酸の1種類以上、(c)腐食抑制剤、及び(d)水溶性高分子化合物を含む水溶液からなる電解液を使用し、前記配線部の上部に位置する導電性物質を、該配線部の上部以外に位置する導電性物質よりも遅い速度で研磨して、配線部の上部に位置する導電性物質を配線部の上部以外に位置する導電性物質に対して凸形状とする第1ステップと、該第1ステップによって形成された凸形状の導電性物質を研磨すると同時に、配線部の上部以外に位置する導電性物質をバリア膜が露出するまで研磨する第2ステップを有することを特徴とする電解研磨方法である。
例えば、配線用凹部に導電性物質を埋め込んだ配線部の上部に位置する導電性物質を配線部の上部以外(フィールド部やスペース部を含む配線部間)に位置する導電性物質よりも遅い速度で研磨し、配線部の上部に位置する導電性物質を配線部間に位置する導電性物質に対して凸形状にしてから、配線部間に位置する導電性物質と共に、バリア膜が露出するまで研磨することにより、配線部間に位置する導電性物質が除去されてバリア膜が露出し始めるときのディッシング量を小さくでき、導電性物質(配線金属)の過研磨によるディッシングやバリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングの発生が極力少ない状態で、配線部間の導電性物質を残留させることなく研磨することができる。
請求項21に記載の発明は、前記電解液のpHが3〜4.5に調整されていることを特徴とする請求項20に記載の電解研磨方法である。
これにより、導電性物質表面の初期の凹凸形状において、例えばパッド押圧影響の少ない凹部表面に十分な耐性を有する保護膜を形成しつつ電解研磨を行うことができる。ここで、pHが4.5以上の電解液を使用して電解研磨を行うと、凹部表面に形成される保護膜の強度が不十分であるため、例えば、初期に凹形状であった配線部上部の形状が、研磨中に凸形状にすることが困難になる。一方、pH3より低い電解液を使用して電解研磨を行うと、過剰エッチングにより凹部が凸形状にならないばかりか、段差の解消性が悪く、研磨面の荒れも大きくなる。
請求項22に記載の発明は、前記電解液は、砥粒及び界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項20または21に記載の電解研磨方法である。
砥粒を含む電解液を使用して電解研磨を行うことで、研磨面が荒れたり、研磨面に欠陥が生じたりすることを抑制できる。また、電解液に界面活性剤を更に含むことで、砥粒の分散性を向上させて、研磨面の荒れを更に抑制できる。
請求項23に記載の発明は、前記腐食抑制剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法である。
請求項24に記載の発明は、前記ベンゾトリアゾールの誘導体の群から選択される1種類以上の腐食抑制剤は、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項23に記載の電解研磨方法である。
請求項25に記載の発明は、前記腐食抑制剤は、3−アミノ−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾールであることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法である。
請求項26に記載の発明は、前記腐食抑制剤は、ビスムチオール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法である。
請求項27に記載の発明は、前記腐食抑制剤は、サリチルアルデヒド及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることをあることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法である。
請求項28に記載の発明は、前記導電性物質の残膜厚を渦電流の変化にて検出することを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の電解研磨方法である。
研磨対象物である導電性物質の膜厚の変化やバリア膜の露出の状態は、渦電流の変化をセンシングすることでモニタ可能であり、これをフィードバックして、例えば導電性物質と対向電極との間に印加する電圧を制御することで、バリア膜が露出を開始した後に、トレンチ等に埋込まれた導電性物質(配線金属)が過剰に研磨されることを防止することができる。
本発明の電解加工用電解液によれば、例えば基板表面に形成された銅等の導電性物質を電解研磨(加工)する際に、低押圧で、より速い加工速度で、過剰なエッチングを防止しつつ、平坦化特性よく加工することが可能である。
本発明の電解研磨方法によれば、例えばバリア膜上の余剰な銅等の配線金属(導電性物質)を研磨により除去して配線を形成する際、配線金属の過研磨によるディッシングやバリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングの発生が極力少ない状態で、配線部間の導電性物質を残留させることなく研磨できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。以下の例では、研磨対象物としての基板のバリア膜表面に成膜した、配線材料の銅(及びシード膜)の不要部分を除去して、バリア膜を露出させるようにした例を示す。
図2は、電解研磨装置の一例を示す平面図で、図3は、図2の縦断正面図である。この電解研磨装置は、例えば、図1(b)に示すように、表面に銅めっきを施すことで、配線用凹部としてのビアホール26及びトレンチ28内に配線金属として銅34を充填させるとともに、ハードマスク24上に銅34を堆積させた基板(研磨対象物)Wを用意し、この基板の表面に、研磨処理を施して、ハードマスク24上の導電性物質としての銅34(及びシード膜32)を除去し、これによって、図1(c)に示すように、バリア膜30を露出させるのに使用される。そして、更にハードマスク24上のバリア膜30を除去することで、図1(d)に示すように、絶縁膜20,22の内部に銅34からなる上層配線36が形成される。
図2及び図3に示すように、電解研磨装置には、回転自在な研磨テーブル(ターンテーブル)50と、表面(銅34の形成面)を下向きにして、基板Wを着脱自在に保持する上下動及び回転自在な基板ホルダ(研磨ヘッド)52と、研磨テーブル50及び基板ホルダ52の周囲を囲繞して、研磨時及び研磨後に研磨テーブル50の上面に向けて供給される電解液や純水等の液体の外部への飛散を防止する有底円筒状の加工チャンバ54が備えられている。加工チャンバ54の側部には、内部に溜まった液体を外部に排出する排出口54aが設けられている。基板ホルダ(研磨ヘッド)52は、研磨テーブル50上の所定の研磨位置と、該研磨位置の側方の基板受渡し位置との間を移動自在に構成されている。
研磨テーブル50の上面には、研磨テーブル50のほぼ全域を覆う大きさの円板状の加工電極56が配置され、加工電極56の上面は、その全域に亘って研磨パッド(研磨布)58で覆われており、研磨パッド58の上面が研磨面となっている。研磨パッド58の内部には、上下に貫通する多数の貫通孔58aが設けられている。これにより、研磨テーブル50の上面に供給された電解液等の液体は、研磨パッド58の内部に保持される。そして、研磨の際、研磨パッド58の貫通孔58a内に保持された電解液を通して、加工電極56と基板Wの表面に設けた銅34等の導電性物質とが電気的に接続される。研磨パッド58は、CMP用の研磨パッドを用いることができ、この例では、全面に多数の貫通孔58aを有するニッタ・ハース社製のIC-1000から構成されている。
なお、全面に渡って貫通孔があれば、研磨パッド58全体は、格子状または円環状の溝が形成されたものであってもよい。また、研磨パッド58自体に通液性があれば、必ずしも研磨パッド58に貫通孔が開いていなくてもよい。
研磨テーブル50の上方に位置して、研磨中に研磨テーブル50の上面に向けて電解液を供給する電解液供給ノズル60が配置されている。この電解液供給ノズル60は、電解液を一時的に貯蔵する電解液貯蔵タンク62から延び、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプまたはベローズポンプ等の図示しない電解液供給手段を内部に設けた電解液供給ライン64に接続されている。更に、研磨テーブル50の上方に位置して、研磨後に研磨テーブル50の上面に向けてリンス及び洗浄用の純水を供給する純水供給ノズル66が配置されている。
なお、この例では、沈殿や分解の起こりやすい添加剤成分を電解液貯蔵タンク62と別の貯蔵容器68内に保管しておき、電解液貯蔵タンク62内に貯蔵されている電解液に貯蔵容器68内に保管された添加成分を添加しながら、所定の条件で調製された電解液を電解液供給ノズル60から研磨テーブル50の上面に向けて供給するようにしている。貯蔵容器68を設けることなく、所定の条件で調製されて電解液貯蔵タンク62に貯蔵されている電解液を、電解液供給ノズル60から直接研磨テーブル50の上面に向けて供給するようにしてもよい。
加工チャンバ54内の研磨テーブル50の外側に位置して、上面が研磨パッド58の表面とほぼ面一となるように、円柱状の給電電極70が配置されている。これにより、基板ホルダ52を下降させて、基板ホルダ52で保持した基板Wを研磨パッド58に向けて所定の押圧力で押圧した時に、給電電極70の上面が、基板Wの外周部で銅34等の導電性物質の表面(下面)に接触し、これによって、研磨対象物としての導電性物質に給電するようになっている。給電電極70は、印加する電圧及び電圧波形を制御可能な電源72の陽極に接続され、前記加工電極56は、電源72の陰極に接続される。
次に、図2及び図3に示す電解研磨装置を使用した電解研磨について説明する。先ず、表面を下向きにして基板Wを保持した基板ホルダ52を研磨テーブル50の上方の所定位置に位置させる。次に、研磨テーブル50を回転させながら、この上面に向けて電解液供給ノズル60から電解液を供給し、同時に、基板ホルダ52を基板Wと共に回転させながら下降させて、基板Wを所定の押圧力で研磨パッド58に向けて押圧する。そして、給電電極70が基板Wの表面の銅34に接触した時に、給電電極70を電源72の陽極に、加工電極56を電源72の陰極にそれぞれ接続して、加工電極56と基板Wの表面の銅34との間に所定の電圧を印加する。これによって、陽極となる銅34の表面で電解反応を起こさせて該銅34を研磨する。なお、この時、研磨パッド58に設けた貫通孔58aを通して、加工電極56と基板Wの銅34の表面との間は電解液で満たされる。
つまり、陽極となる基板Wの銅34の表面は、陽極酸化されると同時に、銅34の表面には、電解液中の腐食抑制剤と水溶性高分子化合物により保護膜が形成される。このとき、研磨パッド58に向けて押圧された基板Wの銅34は、基板Wの回転運動と研磨テーブル50の回転運動により、研磨パッド58と相対運動して機械的研磨がなされるが、基板Wの銅34の表面に存在する凹部に形成された保護膜は除去されず、銅34の表面に存在する凸部に形成された保護膜のみに電解研磨が進行することになる。このように、基板Wの銅34の表面に存在する凹凸に形成された保護膜のうち、凸部の保護膜のみを選択的に除去することで、銅34は、その表面を平坦化されながら研磨される。
そして、電解研磨終了後、加工電極56及び給電電極70を電源72から切離し、電解液の供給を停止した後、基板ホルダ52を上昇させ、しかる後、研磨後の基板Wを基板ホルダ52で次工程に搬送する。
次に、この図2及び図3に示す電解研磨装置に使用される電解液について説明する。
電解液は、(1)有機酸またはその塩の1種類以上、(2)スルホン酸基を有する強酸の1種類以上、(3)腐食抑制剤(窒素含有複素環化合物)、(4)水溶性高分子化合物、(5)pH調整剤、(6)砥粒、及び(7)界面活性剤を含んでいる。更に、電解液は、その成分中に、研磨の対象となる(8)導電性物質、例えば銅を含んでいてもよい。
なお、この例では、銅を研磨するようにしているが、研磨の対象となる導電性物質としては、銅の他に、例えば銅合金、銀やその合金、金やその合金、アルミニウムやその合金、タングステンやその合金または窒化物・炭化物・窒素炭化物、チタンやその合金または窒化物・炭化物・窒素炭化物、タンタルやその合金または窒化物・炭化物・窒素炭化物、ルテニウムやその合金、及びこれらの組合せが挙げられる。
電解液に含まれる各成分について以下に説明する。
電解液に含まれる有機酸は、研磨の対象となる銅等の金属(導電性物質)と可溶性錯体を形成する必要がある。つまり、銅等の金属と配位結合して水溶液中に溶解するもので、少なくとも有機酸単独で水に溶解する必要がある。有機酸は、その分子内にカルボキシル基(−COOH)を1個以上有するもの、またカルボキシル基と共にヒドロキシ基(−OH)を1個以上有するものであることが好ましい。また、これら有機酸は、液のpHを安定化させるpH緩衝作用も有している。
電解液に好ましく使用することのできる有機酸である、カルボキシル基を1個有するカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、ソルビン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、レブリン酸、安息香酸、m−トルイル酸、またはアセチルサリチル酸などが挙げられる。また、電解液に好ましく使用することのできる有機酸である、カルボキシル基を2個以上有するカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、α−ケトグルタル酸、アコニット酸、フタル酸、またはピロメリト酸などが挙げられる。
また、電解液に好ましく使用することのできる有機酸である、カルボキシル基と共にヒドロキシ基を1個以上有するカルボン酸としては、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、オキサル酢酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、ゲンチシン酸、プロトカテク酸、没食子酸、グルクロン酸、シアル酸、またはアスコルビン酸などが挙げられる。
これらカルボン酸の塩としては、カリウム塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩またはヒドロキシルアミン塩などが挙げられる。これらの1種を電解液に加えても2種以上の混合物を加えてもよい。
以上に挙げた有機酸の群のうち、特に好ましく使用することのできるものは、マロン酸、コハク酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、または酒石酸である。これらの有機酸を添加した電解液を用いて研磨実験を行うと、比較的速い加工速度で、かつ平滑な加工表面が得られることが確かめられている。
有機酸の濃度は、加工時の温度での飽和溶解度以下である必要がある。何故ならば飽和溶解度を超えると有機酸が電解液中に析出してしまい安定な加工が行えないからである。例えば、マレイン酸の溶解度は、78重量%(25℃)である。一方、逆に有機酸の濃度が0.1%より低いと、溶解する金属と配位結合する有機酸の加工部表面への供給量が不足し、加工が速やかに進まず、加工面が荒れるなどの問題が生じる。また濃度が低いと十分なpH緩衝作用を持たなくなる。以上の理由から、有機酸の濃度は、0.1〜80重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることが更に好ましい。
電解液に含まれるスルホン酸基を有する強酸は、エッチング作用を促進するとともに、電解液の導電率を上げて加工のための電流を流しやすくするためのものである。ここで、強酸とは、酸の強弱を示す第1解離定数の逆数の対数であるpKaが3以下のものをいう。
一般に、強酸を用いると、銅の溶解が始まる電位が低い。すなわち、低い印加電圧で銅の加工が可能となる。しかし、硫酸、硝酸または過塩素酸を用いると、銅のエッチング等により加工面の荒れが激しく、またリン酸は、表面光沢が得られる濃度域では粘度が高いために銅の加工に必要な電圧が比較的高いなどの問題がある。これに対して、例えばメタンスルホン酸を用いた場合は、銅加工に必要な電圧が低く、かつ加工表面も比較的平滑で、良好な加工特性が得られることが確かめられている。
好ましく使用することができるスルホン酸基を有する強酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、タウリン、システイン酸、アルキル基の総炭素数が1〜6であるアルキルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはフルオロスルホン酸などが挙げられ、これら1種類以上を使用することができる。スルホン酸基を有する強酸の濃度は、0.1〜20重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることが更に好ましい。スルホン酸基を有する強酸の濃度が低すぎると電解液の導電率が低くなり、電流が流れにくくなる。このため、スルホン酸基を有する強酸の濃度は、5重量%以上であることが好ましい。また、スルホン酸基を有する強酸の濃度が20重量%を越えると、電解液中の有機酸やその他の成分の飽和溶解度が減じて沈殿を生じるおそれがある。
電解液に含まれる腐食抑制剤は、窒素含有複素環化合物であることが好ましく、加工の対象となる銅等の金属と化合物を形成し、金属表面に保護膜を形成することで、金属の腐食を抑制する化合物として知られているものでよい。このような腐食抑制剤は、過剰な加工を抑制しディッシング等を防止するため平坦化を促進する効果がある。
好ましく使用することのできる腐食抑制剤として、従来から一般に知られている銅の腐食抑制剤であるベンゾトリアゾール及びその誘導体が挙げられる。上記のような平坦化を促進する効果を有するものとして、他に、インドール、2−エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メチルベンゾチアゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンズオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ピリジン、フェナジン、アクリジン、1−ヒドロキシピリジン−2−チオン、2−アミノピリジン、2−アミノピリミジン、トリチオシアヌル酸、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、6−アミノプリン、6−チオグアニン及びこれらの組合せからなる群より選ばれる1種類以上を挙げることができる。
腐食抑制剤は、その濃度が低いと、保護膜形成が不十分となるため、銅等の金属に過剰なエッチングが生じて平坦な加工面が得られない。一方、飽和溶解度以下であっても、腐食抑制剤の濃度が高すぎると、銅等の金属表面に保護性が過剰に形成されて加工速度が低下し、しかも均一に加工ができないため、加工表面の荒れやピットの原因にもなる。以上のことから、腐食抑制剤の濃度は、0.001〜5重量%であることが好ましく、0.02〜2重量%であることが更に好ましい。
電解液に含まれる水溶性高分子化合物は、腐食抑制剤と共に保護膜を形成し、過剰なエッチングを抑制して、銅等の金属表面を平坦化するのに効果がある。また、水溶性高分子化合物を含む電解液にあっては、銅等の金属表面(加工面)表層近傍での電解液粘度が高くなるため、金属表面に存在する微細な凹凸の凹部に粘性皮膜が形成され、微細な凹凸も研磨されて光沢面が得られる。
好ましく使用することのできる水溶性高分子化合物のうち、上記のような効果を有するものとして、ポリアクリル酸またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、ポリエチレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメトキシエチレン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンなどから選ばれる1種類以上を挙げることができる。
これらの水溶性高分子化合物として、質量平均分子量が1,000〜500,000のものを用いることができる。質量平均分子量が500,000を越える場合には、電解液中に溶解せず腐食抑制剤や砥粒と凝集を起こす原因となってしまい、質量平均分子量が1,000未満では銅等の金属表面に十分な保護膜が形成できず平坦化性能が悪化する。水溶性高分子化合物の質量平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜25,000であることが更に好ましい。
水溶性高分子化合物の濃度は、電解研磨の加工速度を低下させず、かつ過剰な加工作用を抑制するため、0.005〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2重量%であることが更に好ましい。
電解液のpHを調整するため、電解液にpH調整剤を添加しても良い。好ましいpH調整剤としては、主にアルカリが用いられ、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアミン、ポリアミン、アルカリ金属化合物(例えば水酸化カリウム)、及びアルカリ土類金属化合物から選ばれる1種類以上が選択できる。アルカリの濃度は、一般には0.1〜20重量%で、被加工物の用途、材料、含有する有機酸または有機酸塩及び強酸の濃度と調整するpHにより適宜決めればよい。
好ましい電解液のpHは2〜10である。電解液のpHが低い場合は、電解研磨装置の材料選定に耐腐食性を考慮しなければならず、また加工速度は高くなる一方、加工面の粗さが増え、銅等の金属の過剰エッチングが進み平坦な加工面が得にくくなる。電解液のpHが高い場合は、腐食抑制剤及び/または水溶性高分子化合物と銅との間における保護膜形成が不十分となり、平坦化作用が不十分となることがある。従って、半導体基板の銅配線プロセスのように、加工速度が高く、表面荒れのない光沢面で平坦化が求められる場合、電解液のpHは3〜6であることが特に好ましい。
電解液には砥粒が含まれることが好ましい。砥粒には銅等の金属を機械的に研磨除去する作用があるが、本発明においては、腐食抑制剤及び水溶性高分子化合物により形成された金属保護膜を適宜機械的に研磨除去する作用もある。この砥粒の作用により、余分な保護膜が除去されて、電解研磨における加工速度が十分速くなる。
電解液として好ましく用いることのできる砥粒としては、アルミナ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、及び酸化マンガンから選ばれる1種類以上を挙げることができる。これらの中でも、アルミナ、コロイダルシリカ、またはヒュームドシリカが好ましく用いられる。
電解研磨として有効に機能させる場合における電解液中の砥粒の濃度は、10重量%以下であることが好ましく、砥粒の効果を出すためには、砥粒の濃度は、0.01重量%以上であることが必要である。一方、電解液中に分散させて使用する砥粒が無くとも研磨パッドのような固定砥粒を使用し、研磨パッドを銅等の金属表面に接触させることで保護膜除去の効果は有効であるので、そのような場合には電解液中に砥粒はなくてもよく、もちろん固定砥粒との併用も可能である。砥粒を使用する場合、砥粒の濃度が10重量%を越えると砥粒粒子の凝集が増加し、電解液の粘性が極端に高くなる場合もあり、加工面への砥粒堆積による電解研磨の阻害やスクラッチ発生の原因となる。このため、最適な砥粒の濃度は、0.05〜2重量%である。
電解液は界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、砥粒の分散性を向上させるものであればよく、カチオン性、アニオン性、両性、及び非イオン性のいずれも使用することができる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アミドスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、またはそのホルマリン縮合物が用いられる。また、カチオン性界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩や脂肪族アンモニウム塩等が用いられる。これらは、砥粒の濃度や電解液のpHにより、適宜選択し用いられる。界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤で、特に好ましくは、アルキルスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物である。
電解液の導電率は、5〜200mS/cmであることが望ましい。電解液の導電率が低いと、加工速度を上げるために印加電圧または電流を高くしなければばらないが、その場合には、酸素発生による研磨に対する電流効率の低下、加工表面のピット発生、保護膜の破壊による平坦化作用への悪影響等がある。したがって、より低い電圧で電解研磨を行うことが望まれ、そのためには、電解液の導電率が5〜200mS/cmであることが好ましい。
電解研磨における研磨速度向上や研磨面の表面荒れを抑制するため、電解液は、その成分に研磨の対象となる導電性物質、例えば銅を含んでいることが望ましい。導電性物質、例えば銅の電解液中の濃度は、0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。これにより、研磨時において研磨対象物表面からの導電性物質、例えば銅、またはこれを含む研磨生成物の電解液中への拡散が促進される。また、導電性物質、例えば銅の電解液中の濃度は、10%以下、好ましくは1%以下である。これは、導電性物質の濃度が1%以上となると、電解液中の導電性物質成分が電解液中の他の電解液成分を消費する可能性が大きいためである。なお、導電性物質が化合物の場合には、その成分比に応じて複数の導電性物質成分を電解液中に含めるようにしてもよい。
電解液の組成の例としては、(1)2〜80重量%の有機酸、(2)2〜20重量%のスルホン酸基を有する強酸、(3)0.01〜1重量%の腐食抑制剤、(4)0.01〜1重量%の水溶性高分子化合物、(5)0.01〜2重量%の砥粒、及び(6)約0.01〜1重量%の界面活性剤を備えている水溶液が挙げられる。電解液の溶媒は、脱イオン水、好ましくは超純水である。
本発明の電解液を用いた電解研磨は、基板等の被研磨物表面に形成された銅等の導電性物質表面に存在する凹凸の凹部を腐食抑制剤により保護しつつ、導電性物質の凸部を優先的に加工して平坦化加工するものであり、研磨パッドで導電性物質の表面を擦りつつ電解研磨する電気化学的機械研磨に特に有効である。すなわち、先ず、導電性物質の表面に、過剰なエッチングを抑制するため腐食抑制剤による保護膜を形成した後、硬度と平坦性のある研磨パッドで導電性物質の表面を擦ることにより、導電性物質の凹部表面に形成された保護膜を残しながら、導電性物質の凸部表面に形成された保護膜を選択的に除去する。そして、続いて電解研磨することにより、導電性物質の凸部を優先的に加工して、導電性物質表面の凹凸を解消することができる。研磨パッドとしては、例えばCMP用の研磨パッドを用いることができる。
以下、種々の電解液を用い、直径40mm部分が加工できる自作のチップ試験機を使用して銅の加工(研磨)実験を行った時の結果を以下に説明する。チップ試験機は、銅の電極電位を制御できるようになっており、銅と対向電極との間に電圧を印加しつつ、露出した銅を加工テーブルに貼付けた研磨パッドで研磨することで加工が進行する。研磨テーブルの回転速度250rpm(中心より30mm位置での線速度が0.78m/s)で、0.5psi(35g/cm)の面圧で、電流密度あるいは銅の電極電位を一定にして銅の研磨(加工)を行った。ただし、腐食抑制剤の効果の確認などの場合には、研磨パッドを銅表面に接触させない状態(面圧0psi)で電流密度や電極電位の測定を行うことも可能である。
加工に供した基板は、表面に、厚さ約250nmの酸化膜(SiO)、厚さ30nmのTaN膜からなるバリヤメタル、厚さ100nmの銅シード層、及び厚さ1500nmの銅めっき膜が順次形成された銅膜付き基板(銅ブランケットウェーハ)からなるシリコン基板である。
A.各種有機酸と電極電位の関係
表1は、前述のチップ試験機を使用し、有機酸の種類を変えた電解液を用いながら、電解液中に一定電流密度(40mA/cm)が流れるようにして銅を研磨した場合の電極電位を示す。電極電位が低いことは、同じ電極電位に保った場合に流れる電流が多く、加工速度が速くなることを意味する。したがって、電極電位が低いことが好ましい。
Figure 2008196047
表1でアスコルビン酸以外はカルボキシル基を有する有機酸である。表1から、カルボキシル基を持たないアスコルビン酸(7.55Vvs.Ag/AgCl)と比較して、カルボキシル基を有する有機酸は、いずれも電極電位が低く、好ましい有機酸であることが判る。
B.各種強酸と電極電位の関係
表2は、前述のチップ試験機で、強酸の種類を変えながら、電解液中に一定電流密度(40mA/cm)が流れるようして銅を研磨した場合の電極電位を示す。表1と同様に、電極電位が低いことは、同じ電極電位に保った場合に流れる電流が多く、加工速度が速くなることを意味する。したがって、電極電位が低いことが好ましい。
Figure 2008196047
表2から、リン酸を添加した電解液(番号2)を使用した電解研磨における電極電位は、メタンスルホン酸を添加した電解液(番号1)や硝酸を混合した電解液(番号3)を使用した電解研磨よりも高くなっていることが判る。また、硝酸を添加した電解液(番号3)や硫酸を添加した電解液(番号4)を使用した電解研磨では、加工面が荒れており、メタンスルホン酸を添加した電解液(番号1)を使用した電解研磨の方が加工状態が良かった。したがって、これら強酸の中で、メタンスルホン酸が最も好ましい電解質であることが判る。
C.各種有機酸と強酸の混合による電極電位の低下
表3は、各種有機酸に強酸を添加した電解液と添加しない電解液を使用して、銅の加工を行った場合の電極電位を示す。表3から、例えばマロン酸にあっては、メタンスルホン酸の添加することにより、電極電位が4.51[Vvs.Ag/AgCl]から2.04[Vvs.Ag/AgCl]に低下していることが判る。これらの結果は、有機酸と強酸の混合により、同じ電極電位で比較すると、電流密度が増加し、加工速度が増加することを示している。
Figure 2008196047
D.腐食抑制剤及び水溶性高分子化合物の添加効果
表4は、ベース電解液として、1Mマロン酸+1.4Mメタンスルホン酸を用い、各種の腐食抑制剤及び水溶性高分子化合物を添加したり、添加しなかったりした種々の電解液を使用し、前述のチップ試験機で2[Vvs.Ag/AgCl]の電極電位に保った状態での電流密度を測定した結果を示す。研磨は行っていない(面圧0psi)。
Figure 2008196047
表4から、腐食抑制剤、または腐食抑制剤と水溶性高分子化合物の双方添加した液(番号2〜24)は、これらを添加していない液(番号1)よりも得られる電流密度が低く、腐食(電解反応)を抑制していることが分かる。一方、水溶性高分子化合物単独の添加(番号25〜30)では電流密度の低下は見られず、腐食(電解反応)を抑制していないことが分かる。
E.砥粒の効果
図2及び図3に示す電解研磨装置を使用して、電解液中の砥粒の有無が加工面の表面粗さと加工速度に与える影響を調べた。加工に供した基板(被研磨物)は、銅ブランケットウェーハである。研磨パッドとして、発泡ポリウレタン製研磨パッド(IC1000:ニッタ・ハース株式会社製)を用いた。研磨圧力0.5psi(約35g/cm)、研磨パッドと被加工物(基板W)中心との相対速度1.6m/s、電解液量100ml/minの条件で電解研磨を行った。平坦化特性は、触針式のプロファイラー(Dektak3ST:ULVAC)により基板に形成されたパターンの凹凸を測定することにより評価した。
つまり、1Mマロン酸+1.4Mメタンスルホン酸+0.3%ベンゾトリアゾール+0.49%ポリアクリル酸(分子量:5000)+0.7メタノール+0.05%界面活性剤(β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物)MX2045L(花王株式会社製)、pH4.3の液に砥粒を加えた電解液と、砥粒を加えない電解液を使用して銅の電解研磨を行った時の加工面の表面粗さと加工速度を比較した。砥粒を加えない電解液を使用して銅の電解研磨を行った場合では、表面粗さRmax=328nm、加工速度736nm/minであったのに対し、0.5%のシリカ砥粒を加えた電解液を使用して銅の電解研磨を行った場合では、表面粗さRmax=49nm、加工速度777nm/minであった。これにより、砥粒を加えた電解液を使用することで、表面粗さが改善され、かつ加工速度が向上することが判った。
F.水溶性高分子化合物の影響
図2及び図3に示す電解研磨装置を使用して、電解液中の水溶性高分子化合物の有無が加工速度、加工面の段差解消性及び表面粗さに与える影響を調べた。加工に供した基板(被研磨物)は、銅めっきパターンウェーハ(Sematech 854AZ)である。研磨圧力は1.5psiとし、他の条件は、前述の電解液中の砥粒の有無が加工面の表面粗さと加工速度に与える影響を調べた場合と同様である。
つまり、1Mマロン酸+1.4Mメタンスルホン酸+0.3%ベンゾトリアゾール+0.6%ポリアクリル酸アンモニウム(分子量:10,000)+0.7%メタノール+0.05%界面活性剤MX2045L(β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物)、pH3の電解液を用いて電解研磨を行ったところ、良好な加工速度、段差解消性及び表面粗さが得られた。
これに対して、前述の電解液からポリアクリル酸アンモニウムを除いた、1Mマロン酸+1.4Mメタンスルホン酸+0.1%ベンゾトリアゾール+0.7%メタノール+0.05%界面活性剤MX2045L(β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物)、pH3の電解液を用いて電解研磨を行ったところ、良好な加工速度、段差解消性及び表面粗さが得られなかった。特に加工面には、直径数μm、深さ数百nmのエッチピットが発生していた。これは、水溶性高分子化合物であるポリアクリル酸アンモニウムが腐食抑制剤の効果を高め、かつ機械的研磨を容易にしているためであると考えられる。
G.電解液中への導電性物質成分濃度の影響
図2及び図3に示す電解研磨装置を使用して、電解液中の導電性物質、この例にあっては銅の有無及び濃度が、研磨速度及び研磨後の表面荒れに与える影響を調べた。加工に供した基板(被研磨物)は、銅ブランケットウェーハである。研磨圧力0.5psi(約35g/cmの条件で、電解液として、1Mマロン酸+1.4Mメタンスルホン酸+0.3%ベンゾトリアゾール+0.6%ポリアクリル酸アンモニウム(分子量:10,000)+0.7%メタノール+0.05%陰イオン界面活性剤(β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物)、pH3の液に、0.5%の濃度で砥粒を加えた液をベースとして、銅(導電性物質)の濃度を変化させた電解液を使用した。その他条件は、前述の電解液中の砥粒の有無が加工面の表面粗さと加工速度に与える影響を調べた場合と同様である。
図4および図5に研磨後の表面粗さ(Rmax)及び研磨速度の銅濃度依存性を示す。図4より、電解液中の銅濃度が増加すると共に表面粗さは減少し、銅濃度が0.005%以上の電解液を使用して研磨した場合は、銅未添加の電解液を使用して研磨した場合に比較して、1/2以下の表面粗さが得られることが判る。また、図5より、研磨速度についても、銅濃度が0.01%以上の電解液を使用して研磨した場合は、銅未添加の電解液を使用して研磨した場合に比較して、約2.5倍以上の研磨速度が得られることが判る。
次に、研磨対象物としての基板のバリア膜表面に成膜した配線材料の不要部分を除去して、バリア膜を露出させるプロセスの例を説明する。
バリア膜を露出させるプロセスに用いる電解液(以下、第2電解液)では、配線部の上部に位置する導電性物質を、該配線部の上部以外に位置する導電性物質よりも遅い速度で研磨して、配線部の上部に位置する導電性物質を配線部の上部以外に位置する導電性物質に対して凸形状とする第1ステップと、該第1ステップによって形成された凸形状の導電性物質を研磨すると同時に、配線部の上部以外に位置する導電性物質をバリア膜が露出するまで研磨する第2ステップを、電解液を変えずに行う。
図6は、このプロセスに用いる電解研磨装置の例を示す縦断正面図である。図6に示す電解研磨装置において、図2及び図3に示す電解研磨装置と同一または相当する部材には、同一符号を付して重複した説明を省略する。
研磨テーブル50の上方に位置して、研磨中に研磨テーブル50の上面に向けてバリア膜露出プロセス用(以下、本プロセス)の電解液(第2電解液)を供給する電解液供給ノズル60が配置されている。電解液供給ノズル60は、第2電解液を一時的に貯蔵する電解液貯蔵タンク62から延び、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプまたはベローズポンプ等の図示しない電解液供給手段を内部に設けた電解液供給ライン64に接続されている。更に、研磨テーブル50の上方に位置して、研磨後に研磨テーブル50の上面に向けてリンス及び洗浄用の純水を供給する純水供給ノズル66が配置されている。
なお、この例では、沈殿や分解の起こりやすい添加剤成分を電解液貯蔵タンク62と別の貯蔵容器68内に保管しておき、電解液貯蔵タンク62内に貯蔵されている第2電解液に貯蔵容器68内に保管された添加成分を添加しながら、所定の条件で調製された第2電解液を電解液供給ノズル60から研磨テーブル50の上面に向けて供給するようにしている。貯蔵容器68を設けることなく、所定の条件で調製されて電解液貯蔵タンク62に貯蔵されている第2電解液を、電解液供給ノズル60から直接研磨テーブル50の上面に向けて供給するようにしてもよい。
研磨テーブル50には、基板Wの表面の銅34等の導電性物質の膜厚(残膜厚)を検知する、例えば渦電流センサからなる膜厚検知センサ74がその上面を加工電極56の表面に露出させて埋設されている。この膜厚検知センサ74からの出力信号は、図示しないスリップリングを介して制御部76に入力され、この制御部76からの出力信号で、電源72、研磨テーブル50を回転させるテーブル駆動部78及び基板ホルダ52を回転及び上下動させるホルダ駆動部80等が制御される。
また、この膜厚検知センサ74は、膜厚をセンシングし研磨終点を検知して、研磨を終了する信号を出力する。研磨終了において、印加電圧を止めるタイミングは、電圧の印加を停止し、しかる後に第2電解液の供給を終了させる順序が、研磨性能を損なわないために好ましい。
次に、図6に示す電解研磨装置を用いたバリア膜露出プロセスに用いる第2電解液について説明する。
第2電解液は、(1)有機酸またはその塩の1種類以上、(2)スルホン酸基を有する強酸の1種類以上、(3)腐食抑制剤、(4)水溶性高分子化合物、(5)pH調整剤、(6)砥粒、及び(7)界面活性剤を含んでいる。第2電解液は、その成分中に、研磨の対象となる(8)導電性物質、例えば銅を含んでいてもよい。
本プロセスの第2電解液は、pH3〜6に調整されていることが好ましく、pH3〜4.5に調整されていることがより好ましい。つまり、電解液は、そのpHにより、銅等の研磨対象物(導電性物質)の酸化状態と、腐食抑制剤、水溶性高分子化合物及び有機酸との相互作用が異なり、研磨時に銅等の表面に形成される保護膜の膜質に違いがでてくる。例えば、銅とBTA(ベンゾトリアゾール)のような腐食抑制剤の錯体形成に高分子化合物が介在する場合、電解液のpHが中性付近では、BTAの保護作用が弱く、電解エッチング耐性が弱い。一方、第2電解液のpHを3〜4.5に設定することで、緻密で強い保護膜が形成されると考えられている。
本プロセスの第2電解液に含まれる有機酸は、前述の電解液と同様に、研磨の対象となる銅等の金属(導電性物質)と可溶性錯体を形成する必要がある。つまり、銅等の金属と配位結合して水溶液中に溶解するもので、少なくとも有機酸単独で水に溶解する必要がある。有機酸は、前述の電解液と同様、その分子内にカルボキシル基(−COOH)を1個以上有するもの、またカルボキシル基と共にヒドロキシ基(−OH)を1個以上有するものであることが好ましい。有機酸の好ましい具体例としては、前述の電解液と同様のものが挙げられる。
有機酸のうち、特に好ましく使用することのできるものは、マロン酸、コハク酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、またはグルコン酸である。
第2電解液に含まれる腐食抑制剤は、窒素含有複素環化合物であることが好ましく、研磨の対象となる銅等の金属と化合物を形成し、金属表面に保護膜を形成することで、金属の腐食を抑制する化合物として知られているものでよい。このような腐食抑制剤は、過剰な研磨を抑制しディッシング等を防止する効果がある。
好ましく使用することのできる腐食抑制剤として、従来から一般に知られている銅の腐食抑制剤であるベンゾトリアゾール及びその誘導体が挙げられる。ベンゾトリアゾール及びその誘導体としては、ベンゾトリアゾール(BTA)、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(トリルトリアゾール)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、及び5−ニトロベンゾトリアゾール等が挙げられる。腐食抑制の効果とともに、加工後の表面状態を荒れの少ない光沢面とするには、ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
上記のような過剰な研磨を抑制し、銅等の研磨対象物の凹部表面に保護膜を形成して配線部間の銅等の導電性物質をクリアした後のディッシング等を防止する効果を有するものとして、他に、インドール、2−エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾールのようなジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等の誘導体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メチルベンゾチアゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−メルカプトベンズオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(ビスムチオール)、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールのようなチアゾール誘導体、ピリジン、フェナジン、アクリジン、1−ヒドロキシピリジン−2−チオン、2−アミノピリジン、2−アミノピリミジン、トリチオシアヌル酸、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、6−アミノプリン、6−チオグアニン、チオ尿素、サリチル酸、サリチルアルデヒド、サリチルアルデヒドオキシムのようなサリチル酸誘導体、さらには、8−キリノール、2−メチル−8−キリノール(2-メチル-8−ヒドロキシキノリン)のようなヒドロキシキノリン類及びこれらの組合せからなる群より選ばれる1種類以上を挙げることができる。
これらは、例えば、銅または銅の酸化物の表面に吸着、あるいは銅または銅の酸化物との間でキレート錯体またはポリマー状の錯体を形成することにより、銅等の研磨対象物の凹部表面により強い保護膜を形成させることができる。
本プロセスの第2電解液に含まれる水溶性高分子化合物は、腐食抑制剤と共に保護膜形成に関わり、均一な保護膜を形成し、かつ過剰なエッチングを抑制することにより、銅等の金属表面を平坦化するのに効果がある。また、水溶性高分子化合物を含む電解液にあっては、銅等の金属表面(研磨面)表層近傍での電解液粘度が高くなるため、金属表面に存在する微細な凹凸の凹部に粘性皮膜が形成され、微細な凹凸も研磨されて光沢面が得られる。
好ましく使用することのできる水溶性高分子化合物のうち、上記のような効果を有するものとして、前述の電解液と同様な、ポリアクリル酸またはその塩等を挙げることができる。水溶性高分子化合物の好ましい分子量、濃度についても、前述の電解液と同様である。
水溶性高分子化合物を添加することなく、腐食抑制剤のみを添加した電解液を使用すると、強固ではあるが不均一な保護膜が形成され、この状態で電解研磨を行うと、研磨面の研磨速度のばらつきや表面荒れ、ピットの発生等が生じやすい。一方、水溶性高分子化合物を添加することにより、表面荒れやピットが抑制されてより均一な研磨ができることから、高分子化合物は、腐食抑制剤による保護膜の強さを調整し、均一な保護膜とする作用がある。従って、研磨初期において、銅等の研磨対象物の凹部表面に強い保護膜を形成させるために、水溶性高分子化合物濃度が低い電解液を供給し、バリア膜が露出し研磨終点に近づいたら、高分子化合物の濃度が高い電解液を供給して、保護膜の強度を調整し、より均一な表面状態となるように研磨してもよい。
本プロセスに用いる第2電解液のpHを調整するため、前述の電解液と同様に、pH調整剤を添加してもよい。
第2電解液のpHは一般に2〜10である。しかし、半導体基板の銅配線プロセスのように、研磨速度が高く、表面荒れのない光沢面で平坦化が求められる場合には、第2電解液のpHは、3〜6であることが好ましく、研磨初期に凹部であったところを研磨途中で凸形状としてさらに銅の研磨を行いバリア膜の一部が少なくとも露出するまで研磨する場合、すなわちバリア膜露出プロセスには、第2電解液のpHは、3〜4.5であることが更に好ましい。
さらに、第2電解液は砥粒を含有していてもよい。砥粒には銅等の金属(研磨対象物)を機械的に研磨除去する作用があるが、研磨パッドを併用する場合、腐食抑制剤及び水溶性高分子化合物により形成された保護膜を適宜機械的に研磨除去する作用もある。
本プロセスの第2電解液は、前述の電解液と同様の界面活性剤を含有していてもよい。導電率においても前述の電解液と同じある。
第2電解液の組成の例としては、(1)2〜80重量%の有機酸、(2)2〜20重量%のスルホン酸基を有する強酸、(3)0.01〜1重量%の腐食抑制剤、(4)0.01〜1重量%の水溶性高分子化合物、(5)0.01〜2重量%の砥粒、及び(6)約0.01〜1重量%の界面活性剤を備えている水溶液で、pH3〜6、好ましくはpH3〜4.5に調整されたものが挙げられる。電解液の溶媒は、脱イオン水、好ましくは超純水である。
次に、図6に示す電解研磨装置を使用した電解研磨について説明する。先ず、表面を下向きにして基板Wを保持した基板ホルダ(研磨ヘッド)52を研磨テーブル50の上方の所定位置に位置させる。次に、研磨テーブル50を回転させながら、この上面に向けて電解液供給ノズル60から第2電解液を供給し、同時に、基板ホルダ(研磨ヘッド)52を基板Wと共に回転させながら下降させて、例えば1psi(約70g/cm)以下の押圧力で基板Wを研磨パッド58の表面に向けて押圧する。そして、給電電極70が基板Wの表面の銅34等の導電性物質に接触した時に、給電電極70を電源72の陽極に、加工電極56を電源72の陰極にそれぞれ接続して、加工電極56と基板Wの表面の銅34等の導電性物質との間に所定の電圧を印加する。これによって、陽極となる銅34等の導電性物質の表面で電解反応を起こさせて該導電性物質を研磨する。なお、この時、研磨パッド58に設けた貫通孔58aを通して、加工電極56と基板Wの銅34等の導電性物質の表面との間は第2電解液で満たされて電気的に接続される。
この銅34等の導電性物質の表面に研磨パッド58を擦り付けて電解研磨を行い、バリア膜を露出させるプロセスについて説明する。まず、導電性物質表面の初期凹凸形状の凸部を凹部よりも速い研磨速度で研磨し、研磨中に導電性物質表面の凹形状が凸形状となるように研磨して、バリア膜30(図1(b)参照)が露出する直前またはバリア膜30の少なくとも一部が露出するまで研磨する。
つまり、例えば、陽極となる基板Wの銅34の表面は、陽極酸化されると同時に、銅34の表面には、第2電解液中の腐食抑制剤と水溶性高分子化合物により保護膜が形成される。このとき、研磨パッド58に向けて押圧された基板Wの銅34は、基板Wの回転運動と研磨テーブル50の回転運動により、研磨パッド58と相対運動して機械的研磨がなされるが、基板Wの銅34の表面に存在する凹部表面に形成された保護膜は除去されず、銅34の表面に存在する凸部に形成された保護膜は研磨パッドで擦られるため、除去されるか、保護性が弱くなり、凸部の電解加工が進行することになる。このように、基板Wの銅34の表面に存在する凹凸に形成された保護膜のうち、凸部の保護膜のみを選択的に除去することで、凸部の銅34が選択的に除去される。
研磨パッド58で常時擦られる銅34の凸部に対し、研磨パッド58による機械的研磨の影響の小さい銅34の凹部表面では、腐食抑制剤、水溶性高分子化合物及び銅の酸化膜により、強い保護膜が形成される。これにより、銅34の凹部表面における研磨速度が遅くなり、銅34の表面に存在する初期の凹形状が凸形状となる。保護膜を形成し凸形状とした部分は、凹形状のまま研磨するのに比べて、さらに研磨を進めた時にディッシングがおこりにくくなる。これによって、バリア膜が露出するまで研磨しても、導電性物質(配線金属)の過研磨によるディッシングやバリア膜と金属(導電性物質)の界面でのエッチングの発生が極力少ない状態で、導電性物質を残留させることなく研磨することができる。
この原理を、図7に示すように、バリア膜80の表面の、配線部82aに対応する部分に初期凹部84aを、配線部間82bに対応する部分に初期凸部84bをそれぞれ表面に有する初期形状を例として、導電性物質としての銅84を研磨する時を参照して更に詳しく説明する。
まず、研磨初期にあっては、銅(導電性物質)84の初期凸部84bの表面に保護膜が形成され、この保護膜は、研磨パッド58による機械的研磨によって除去されるのであるが、この時、図7(a)に示すように、初期凸部84bに形成される保護膜よりも、研磨パッド58の研磨に対して耐性のある強い保護膜86を初期凹部84aの表面に形成させる。腐食抑制剤を含む第2電解液を用いることにより、初期凹部84aの表面に初期凸部84bに比べ強い保護膜86を形成することができる。これにより、配線部82aに対応する初期凹部84aにおける銅84の研磨速度が、配線部間82bに対応する初期凸部84bにおける銅84の研磨速度よりも低下し、これによって、図7(b)に示すように、銅84の表面の配線部82aに対応する部分に凸部84cが、配線部間82bに対応する部分に凹部84dがそれぞれ形成される。
引き続いて、凹部84d、凸部84cの研磨を行うと、配線部間82bに対応する凹部84dに位置する銅84が除去されバリア膜80の少なくとも一部が露出し始める。バリア膜80の研磨速度は著しく遅いため、表面に保護膜86の形成されている逆転凸部84cの部分が研磨されて、図7(c)に示すように、逆転凸部84cが徐々に平坦になる。
このように、銅クリア(配線部間82bのバリア膜80が露出する)まで導電性物質84を研磨する際、配線部82aに対応する初期凹部84aに保護膜86を形成させ、凹凸逆転させて凸部を形成することにより、配線部82aに対応する銅等の導電性物質84の表面にデッィシングやバリア膜80と導電性物質84との界面でエッチングが発生することを防止しつつ、導電性物質(銅)84を好適に研磨することができる。
そして、電解研磨終了後、加工電極56及び給電電極70を電源72から切離し、第2電解液の供給を停止した後、基板ホルダ(研磨ヘッド)52を上昇させ、しかる後、研磨後の基板Wを基板ホルダ52で次工程に搬送する。
バリア膜が露出した基板に対しては、さらにバリア膜を研磨する。バリア膜の研磨方法としては、例えばCMPを用いることができる。
次に、電解研磨に際して、加工電極56と基板Wの表面の銅34等の導電性物質との間に印加する電圧(印加電圧)について説明する。印加電圧は、研磨レートや電源72のコストを考慮すると、直流電圧であることが好ましい。印加電圧は、研磨開始から研磨終了まで、一定電圧としてよいが、好ましい印加電圧の変化ステップについて説明する。
電圧印加の変化ステップとしては、まず、第1ステップ初期においては、銅34等の導電性物質の凹部表面への保護膜形成を促進するため、例えば、印加電圧を、2.5V以下、0.1V以上の低い電圧とし、次いで印加電圧を上げる方法が挙げられる。これは、銅34等の導電性物質の凹部表面に保護膜を形成する場合、研磨パッドが接触しないか、または研磨パッドの接触面圧が低い場合であっても、印加電圧が高いと、凹部表面に形成された保護膜が破壊されて、凹部内に位置する銅34等の導電性物質がエッチングされてしまうからである。つまり、研磨初期においては、低い印加電圧で研磨を行うことで、研磨パッドが接触しないか、または接触しても接触面圧が低い部位における強い保護膜の成長を促して、凹部表面に強い保護膜を形成し、その後、電圧を上げて凸部の研磨を行うことにより、凹部表面に保護膜を効率よく形成することができる。
また、バルク研磨(バリア膜が露出する前までの研磨)の場合は、研磨速度を速くするために、例えば3.5V以上の高い印加電圧で研磨する。電解研磨では一般に電圧が高いほど研磨速度が上昇するが、気泡発生等が起因して、ピットの発生や表面荒れが生ずるため、電圧は10V以下、さらに好ましくは5V以下である。そして、バリア膜が露出を開始しことを膜厚検知センサ74で検知した後に、印加電圧をバルク研磨時における印加電圧の3/4以下、1/10以上の電圧とする。これにより、配線部の導電性物質に過研磨が起こってしまうことを防止するとともに、配線部の導電性物質へのダメージを小さくすることができる。さらには、バリア膜が露出を開始した後の印加電圧は、バルク研磨時における印加電圧の1/2以下であることが好ましい。
また、印加電圧として、パルスを使用することにより、平坦化を効率よく行うことができる。例えば、ON−OFFパルスの場合、ONではエッチングが進み、OFFでは保護膜形成が促進される。ただし、銅の電解研磨でパルス電圧を用いる場合は、デューティ比によっては研磨レートが著しく減少してしまう。例えば、ON−OFF時間が1:1、すなわちデューティ比50%だと研磨レートは半分程度になってしまう。
ここで、デューティ比(D)とは、パルス電圧1周期当たりに、加工電極に対する導電性物質の電位が正電位に維持される時間、もしくは正電位において周期的に変化する場合には、その平均の電位に対して、正の値を示す時間をパーセントで表したものであり、Tをパルス幅、Ttotを周期とした時、次の式で計算される。
D=(T/Ttot)×100
速い研磨速度が必要なバルク研磨(バリア膜が露出する前までの研磨)では連続波の直流電圧を用いることが好ましいが、一方、バリア膜が露出を開始した後の研磨では、銅等の導電性物質の急激な溶解を防止するために、一旦電圧を低下させ、また電圧を上げることを繰り返すパルス波形を用いることが好ましい。パルス波形としては、図8(a)に示す矩形波、図8(b)に示すサイン波、図8(c)に示すランプ波(のこぎり波)、または三角波(図示せず)のいずれかを使用することができる。急激な銅等の導電性物質の溶解を防止するために、電位の立ち上がり時間が緩やかな、サイン波またはランプ波または三角波が好ましい。最低電位から最高電位までの立ち上がり時間は1μsから1sが好ましい。
ここで、矩形波、三角波、ランプ波またはサイン波等による最低電位は、加工電極に対する導電性物質の電位が負電位、零または正電位いずれでもよい。酸素気泡の発生を抑制する目的であれば、負電位がよいが、研磨する導電性物質が銅のように、加工電極に対して導電性物質の電位が正電位の場合に研磨が進むものは、負電位になると、研磨対象物である導電性物質表面に析出物が生成することがあり、研磨速度も遅くなるため、最低電位は、零または正電位であることが好ましい。これらは、残膜量やプロセス時間等に応じて適宜決めればよい。
また、パルス波形の周波数は、導電性物質の特定箇所を通過する研磨パッドの貫通孔の周期と同期しないようにすることが好ましく、これによって、導電性物質表面で研磨箇所と非研磨箇所が生じて、研磨面の面内均一性が悪くなることを防止することができる。
H.腐食抑制剤を電解液に添加する効果
電解液に添加される腐食抑制剤の保護効果を確認するために、直径40mm部分が研磨できるチップ試験機を使用して銅の加工(研磨)実験を行った。この時の結果を以下に説明する。
チップ試験機は、銅の電極電位を制御できるようになっており、銅と加工電極(対向電極)との間に電圧を印加しつつ、露出した銅を研磨テーブルに貼付けた研磨パッドで研磨することで研磨が進行する。研磨テーブルの回転速度250rpm(中心より30mm位置での線速度が0.78m/s)で、0.5psi(35g/cm)の面圧で、電流密度あるいは銅の電極電位を一定にして銅の研磨を行った。腐食抑制剤の効果の確認では、研磨パッドを銅表面に接触させない状態(面圧0psi)で電流密度や電極電位の測定を行うことも可能である。
加工に供した基板は、表面に、厚さ約250nmの酸化膜(SiO)、厚さ30nmのTaN膜からなるバリア膜、厚さ100nmの銅シード膜、及び厚さ1500nmの銅めっき膜が順次形成された銅膜付き基板(銅ブランケットウェーハ)からなるシリコン基板である。
表5は、ベース電解液として、1mol/Lマロン酸+1.4mol/Lメタンスルホン酸を用い、各種の腐食抑制剤及び水溶性高分子化合物をベース電解液に添加した電解液を使用し、前述のチップ試験機で銅の電極電位を2[Vvs.Ag/AgCl]に保った状態で、研磨を行っていない場合(面圧0psi)と、研磨を行った場合(面圧0.5psi)における電流密度を測定した結果を示す。
Figure 2008196047
表5の研磨を行っていない場合(面圧0psi)を比較すると、ベース電解液に腐食抑制剤または腐食抑制剤と水溶性高分子化合物の双方を添加した液(番号2〜12)は、これらを添加していない液(番号1)よりも得られる電流密度が低く、腐食(電解反応)を抑制していること、つまり保護膜を形成していることが判る。さらに、腐食を抑制している電解液条件(番号2〜9)で研磨を行った場合(面圧0.5psi)の電流密度を比較すると、番号2の条件に比べて番号3〜9の条件では、電流密度が抑制されパッド研磨に対してより強い保護膜が形成されていることが判る。
更に電解液として、1mol/Lマロン酸+1.4mol/Lメタンスルホン酸+0.49%ポリアクリル酸(平均分子量:5000)+0.7%メタノール+0.05%(界面活性剤 MX2045L 花王製)+0.05%のシリカ砥粒に、腐食抑制剤として5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールを加えたもの、3−アミノ−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾールを加えたものをそれぞれpH4に設定し、前述のチップ試験機により基板を研磨した。基板として、シリコンを基材としてバリア膜と銅が成膜された直径4インチの銅めっきパターンウェーハ(Sematech 854AZ)を、電流密度を40mA/cm、面圧0.5psi、で研磨を行ったところ良好な光沢面が得られた。
更に、図6に示す電解研磨装置を使用して、シリコンを基材としてバリア膜と銅が成膜された直径4インチの銅めっきパターンウェーハの加工(研磨)実験を行った。その時の結果を以下に説明する。
I.電解液のpHの影響(配線部間残膜あり)
図6に示す電解研磨装置を使用して、電解液のpHが、パターンウェーハの凹凸に対して形成する保護膜とディッシングに与える影響を調べた。加工に供した基板(被研磨物)は、銅めっきパターンウェーハ(Sematech 854AZ)である。研磨パッドとして、発泡ポリウレタン製研磨パッド(IC1000:ニッタ・ハース株式会社製)を用いた。研磨圧力0.5psi(約35g/cm)、研磨パッドと被研磨物(基板W)中心との相対速度1.6m/s、電解液量100ml/minの条件で電解研磨を行った。パターンの凹凸を示す段差の評価は、触針式のプロファイラー(Dektak3ST:ULVAC)によって行った。
つまり、1mol/Lマロン酸+1.4mol/Lメタンスルホン酸+0.3%ベンゾトリアゾール+0.6%ポリアクリル酸アンモニウム(平均分子量:10000)+0.7%メタノール+0.05%(界面活性剤 MX2045L 花王製)に0.05%のシリカ砥粒を加え、pH4、pH4.5、及びpH4.75にそれぞれ設定した電解液を使用して銅の電解研磨を行った時の研磨面の凹凸形状を比較した。研磨量としては、配線部間の銅を残した状態で比較した。その結果を図9に示す。なお、図9において、(A)は研磨前の断面プロファイル表面を、(B)は研磨後の断面プロファイル表面を示す。このことは、以下同様である。
図9(a)に示すように、pH4の電解液を使用して研磨を行うと、研磨初期に凹部であった所が凸形状となっており、研磨初期に凹部に強い保護膜が形成されたことが判る。また、図9(b)に示すように、pH4.5の電解液を使用して研磨を行った場合も凹部であった所が凸形状となっていることが判る。pH4に比べると平坦性はよいが、凹凸形状の逆転の度合いは小さくなっている。一方、図9(c)に示すように、pH4.75の電解液を使用して研磨すると、凹部であった所が凸形状となる現象がおきていないことが判る。これは、pHが上がるにつれ、凹部表面に形成される保護膜が弱くなるためであると考えられる。
J.配線部間バリア膜露出時の効果
更に、配線部間のバリア膜が露出開始したときの、ディッシングへの影響について調べた。図6に示す電解研磨装置を使用し、研磨条件は、電解液以外は「電解液のpHの影響(配線部間残膜あり)」の場合と同様である。
つまり、1mol/Lマロン酸+1.4mol/Lメタンスルホン酸+0.3%ベンゾトリアゾール+0.49%ポリアクリル酸(平均分子量:5000)+0.7%メタノール+0.05%界面活性剤(MX2045L)に0.05%のシリカ砥粒を加え、pH4.3に調製した電解液を使用して銅の電解研磨を行った時の研磨面の凹凸形状を評価した。その結果を図10に示す。
図10に示すように、配線部間が露出しても配線部は保護膜により凸形状となっており、ディッシングが抑制されていることが判る。
K.印加電圧の影響(配線部間残膜あり)
図6に示す電解研磨装置を使用して、加工電極と銅(導電性物質)との間に印加する電圧(印加電圧)を4Vと3Vとした場合を比較した。研磨条件、電解液成分は「電解液のpHの影響(配線部間残膜あり)」の場合と同様で、電解液のpHは4.5とし、相対速度を0.8m/sとして研磨を行った。その結果を図11に示す。
図11(a)に示すように、電圧4Vの場合はディッシングが生じているが、図11(b)に示すように、加工電極と銅(導電性物質)との間に印加する電圧(印加電圧)を4Vから3Vに下げることにより、ディッシングが起こらず、凸形状となっていることが判る。これは、印加電圧を下げることにより保護膜の破壊が抑制され、その結果ディッシング(過研磨)が抑制されているためと考えられる。
L.印加電圧の影響(配線部間バリア膜露出)
図6に示す電解研磨装置を使用して、加工電極と銅(導電性物質)との間に印加する電圧(印加電圧)を一定にして研磨を行った場合と、バリア膜が露出を開始した後に印加電圧を下げた場合を比較した。研磨条件、電解液成分は「研磨パッドと被研磨物中心との相対速度、及び印加電圧の影響(配線部間残膜あり)」の場合に準じ、電解液のpHは4.3である。つまり、印加電圧を4Vでバルク研磨を開始し、そのまま4Vで研磨した場合と、バリア膜が露出し始めたのち、印加電圧を半分の2Vにして、銅クリアした場合を比較した。その結果を図12に示す。
図12(a)に示すように、印加電圧が4Vと高いまま研磨を継続すると、バリア膜の露出とともに過研磨が生ずるが、図12(b)に示すように、バリア膜が露出を開始した後に印加電圧を4Vから2Vに下げると過研磨が抑制されていることが判る。これは、バリア膜と配線部の銅(導電性物質)との界面への電界集中や保護膜の破壊を抑制しているためと考えられる。
銅配線基板の従来の製造方法の一例を工程順に示す図である。 電解研磨装置の一例を示す平面図である。 図2の縦断正面図である。 電解液中の銅濃度を変化させて研磨した場合における、銅濃度と表面粗さの関係を示すグラフである。 電解液中の銅濃度を変化させて研磨した場合における、銅濃度と研磨速度の関係を示すグラフである。 電解研磨装置の他の例を示す縦断面図である。 図6に示す電解研磨装置を使用した本発明における研磨の原理を模式的に示す図である。 本発明における電圧波形を示す図である。 「電解液のpHの影響(配線部間残膜あり)」における研磨結果のパターンウェーハの断面プロファイルである。 「配線部間バリア膜露出時」における研磨結果のパターンウェーハの断面プロファイルである。 「印加電圧の影響(配線部間残膜あり)」における研磨結果のパターンウェーハの断面プロファイルである。 「印加電圧の影響(配線部間バリア膜露出)」における研磨結果のパターンウェーハの断面プロファイルである。
符号の説明
14 下層配線
26 ビアホール
28 トレンチ
30 バリア膜
32 シード膜
34 配線部(銅)
36 上層配線
50 研磨テーブル
52 基板ホルダ(研磨ヘッド)
54 加工チャンバ
56 加工電極
58 研磨パッド
58a 貫通孔
60 電解液供給ノズル
62 電解液貯蔵タンク
64 電解液供給ライン
66 純水供給ノズル
68 貯蔵容器
70 給電電極
72 電源
74 膜厚検知センサ
76 制御部
80 バリア膜
82a 配線部
82b 配線部間
84 銅(導電性物質)
84a 初期凹部
84b 初期凸部
84c 逆転凸部
84d 逆転凹部
86 保護膜

Claims (28)

  1. 被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨に用いる電解液であって、
    有機酸またはその塩の1種類以上と、
    スルホン酸基を有する強酸の1種類以上と、
    腐食抑制剤と、
    水溶性高分子化合物を含む水溶液であることを特徴とする電解研磨用電解液。
  2. 前記有機酸は、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  3. 前記有機酸は、ヒドロキシ基を更に有することを特徴とする請求項2に記載の電解研磨用電解液。
  4. 前記有機酸は、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、アコニット酸、グリオキシル酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選択されるいずれか1種類または2種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  5. 前記有機酸の濃度が0.1〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  6. 前記スルホン酸基を有する強酸は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、タウリン、システイン酸、アルキル基の総炭素数が1〜6であるアルキルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びフルオロスルホン酸の1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  7. 前記スルホン酸基を有する強酸の濃度が0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  8. 前記腐食抑制剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  9. 前記腐食抑制剤の濃度が0.001〜5重量%であることを特徴とする請求項8に記載の電解研磨用電解液。
  10. 前記水溶性高分子化合物は、ポリアクリル酸またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、ポリエチレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメトキシエチレン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  11. 前記水溶性高分子化合物の濃度が0.005〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨用電解液。
  12. 砥粒を更に含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電解研磨用電解液。
  13. 前記砥粒の濃度が0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項12に記載の電解研磨用電解液。
  14. 界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電解研磨用電解液。
  15. 導電率が5〜200mS/cmであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電解研磨用電解液。
  16. pHが2〜10であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電解研磨用電解液。
  17. 成分中に前記導電性物質が0.001〜10重量%含まれていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の電解研磨用電解液。
  18. 被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨に用いる電解液であって、該電解液の組成が全組成物重量に対して、(a)2〜80重量%の有機酸、(b)2〜20重量%のスルホン酸基を有する強酸、(c)0.01〜1重量%の腐食抑制剤、(d)0.01〜1重量%の水溶性高分子化合物、(e)0.01〜2重量%の砥粒、及び(f)0.01〜1重量%の界面活性剤を備え、pHが2〜10に調整された電解研磨用電解液。
  19. 被研磨物表面の導電性物質を研磨する電解研磨方法であって、
    請求項1乃至18のいずれかに記載の電解液の存在下で、
    研磨パッドで前記導電性物質の表面を擦りつつ、前記導電性物質と前記対向電極との間に電圧を印加することを特徴とする電解研磨方法。
  20. 被研磨物表面のバリア膜上に形成された導電性物質と、該導電性物質と対面する位置に配置された対向電極との間に電解液を存在させて、研磨パッドで前記導電性物質の表面を擦りつつ電圧を印加して、配線用凹部に導電性物質が埋め込まれた配線部以外の導電性物質を除去するのに際し、
    (a)有機酸またはその塩の1種類以上、(b)スルホン酸基を有する強酸の1種類以上、(c)腐食抑制剤、及び(d)水溶性高分子化合物を含む水溶液からなる電解液を使用し、
    前記配線部の上部に位置する導電性物質を、該配線部の上部以外に位置する導電性物質よりも遅い速度で研磨して、配線部の上部に位置する導電性物質を配線部の上部以外に位置する導電性物質に対して凸形状とする第1ステップと、
    該第1ステップによって形成された凸形状の導電性物質を研磨すると同時に、配線部の上部以外に位置する導電性物質をバリア膜が露出するまで研磨する第2ステップを有することを特徴とする電解研磨方法。
  21. 前記電解液は、pHが3〜4.5に調整されていることを特徴とする請求項20に記載の電解研磨方法。
  22. 前記電解液は、砥粒及び界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項20または21に記載の電解研磨方法。
  23. 前記腐食抑制剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法。
  24. 前記ベンゾトリアゾールの誘導体の群から選択される1種類以上の腐食抑制剤は、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項23に記載の電解研磨方法。
  25. 前記腐食抑制剤は、3−アミノ−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾールであることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法。
  26. 前記腐食抑制剤は、ビスムチオール及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法。
  27. 前記腐食抑制剤は、サリチルアルデヒド及びその誘導体の群から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電解研磨方法。
  28. 前記導電性物質の残膜厚を渦電流の変化で検出することを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の電解研磨方法。
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