JP2008186384A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】路面の勾配変化に起因する安全性の低下を抑制する。
【解決手段】車両10において、安全システム500は、衝突フラグがONである場合に作動する。衝突フラグは、衝突フラグ設定処理により設定される。当該処理では、前方ミリ波レーダから出射されるミリ波が前方の物体に反射してなる反射波強度Prが閾値S1以上である場合に、当該反射強度に対応する物体が障害物として検出される。この障害物が静止物体でない場合、或いは自車勾配値G0と前方勾配値Gfとの差分の絶対値が基準値C2未満である場合には、衝突フラグがONとなる衝突予測時間TTCの閾値CtがCt1に設定される。一方、障害物が静止物体であり、且つ自車勾配値G0と前方勾配値Gfとの差分の絶対値が基準値C2以上である場合には、係る閾値Ctが、Ct1よりも小さいCt2に設定され、安全システム500が作動し難くされる。
【選択図】図2
【解決手段】車両10において、安全システム500は、衝突フラグがONである場合に作動する。衝突フラグは、衝突フラグ設定処理により設定される。当該処理では、前方ミリ波レーダから出射されるミリ波が前方の物体に反射してなる反射波強度Prが閾値S1以上である場合に、当該反射強度に対応する物体が障害物として検出される。この障害物が静止物体でない場合、或いは自車勾配値G0と前方勾配値Gfとの差分の絶対値が基準値C2未満である場合には、衝突フラグがONとなる衝突予測時間TTCの閾値CtがCt1に設定される。一方、障害物が静止物体であり、且つ自車勾配値G0と前方勾配値Gfとの差分の絶対値が基準値C2以上である場合には、係る閾値Ctが、Ct1よりも小さいCt2に設定され、安全システム500が作動し難くされる。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば障害物との衝突に対処すべく車両を制御する車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置に係る従来の技術として、道路の勾配を考慮したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された車両用画像処理装置によれば、ナビ情報から自車前方の勾配変化点を検出し、道路曲率半径により先行車認識のための画像処理領域を補正することによって、前車の位置をより正確に検出することができるとされている。
尚、自動車のピッチ角、及びナビ情報やインフラ情報からの道路勾配の変化を考慮して、対象物を検知する画像取得領域である絞込み領域の補正を行う技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、車両の傾斜角変化が検出されてから所定時間内のとき、傾斜角に応じて検知エリアを鈍感側に補正するために閾値を大きくする技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
路面の勾配が変化した場合、本来対象物とは認識され得ない、例えば路面そのもの、横断歩道等の模様、又は構造物等が対象物と認識され易くなり、対象物の誤検出を招き易い。上述した各種従来の技術では、路面の勾配、又は車両の傾き若しくは車高等を反映して対象物検出のための画像処理領域等(上述した画像取得領域或いは検知エリアを含む)が補正される。ところが、このような誤検出は、画像処理領域等に依存するというよりは、勾配変化によって、対象物である旨の判断が相対的になされ易くなるために生じるものである。従って、従来の技術では結局、補正された画像処理領域内において同様に対象物の誤検出が発生しかねない。一方で、この種の装置には、車両と障害物とが衝突しかねない場合に車両の安全性を向上させるべく各種のシステムが設けられることがあるが、障害物の誤検出が発生した場合には、これらシステムの誤作動を招きかねない。即ち、従来の技術には、路面の勾配変化によっては車両の安全性がかえって低下しかねないという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、路面の勾配変化に起因する安全性の低下を抑制することが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両の制御装置は、前方の検出範囲における物体を検出可能な検出手段、及び作動時に衝突安全性を向上させることが可能な所定種類の安全システムを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、前記検出された物体が対象物であるか否かの判別を行う第1の判別手段と、前記検出された物体が前記対象物である旨の判別がなされた場合に、所定種類の作動基準に従って前記安全システムを作動させる作動制御手段と、前記車両の走行位置における勾配を表す第1勾配を特定する第1の特定手段と、前記車両の前方位置における勾配を表す第2勾配を特定する第2の特定手段と、前記特定された第1及び第2勾配の相対関係に応じて前記作動基準の変更を行う変更手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る車両には、例えば、電波レーダ、レーザレーダ、ソナー、画像センサ、或いはビデオカメラ等の各種態様を採り得る検出手段が備わり、当該車両の前方に設定される所定の検出範囲における物体の存在が、例えば、反射電波、反射レーザ光、反射音或いは画像等として検出される。
また、本発明に係る車両には更に、各種のDSS(Driving Support System:運転支援システム)、例えば、PCS(Pre Crush Safety system:衝突前安全システム)等の各種安全システム、より具体的には、例えばPB(Pre-crush Brake:衝突前ブレーキ制御)、PSB(Pre-crush Seat Belt:衝突前シートベルト制御)、PBA(Pre-crush Brake Assist:衝突前ブレーキアシスト制御)、例えば車体の潜り込みを防止するためのサスペンション制御、各種警報装置の出力制御、EPS(Electronic Power Steering:電動パワーステアリング装置)等を利用した各種操舵支援制御、例えば頭部保護のためのヘッドレスト制御、人体保護のためのシート制御、アクティブフード或いはアクティブバンパ等の各種制御を実現するための物理的、機械的、機構的又は電気的な各種システム、或いは更にACC(Adaptive Cruise Control:可変速度維持制御装置)、LKA(Lane Keeping Assist:レーン追従補助装置)、若しくはIPA(Intelligent Parking Assist:駐車支援システム)等の運転負荷軽減システム等が備わり、その作動時において、車両における衝突安全性の向上が図られる。
尚、ここで述べられる「衝突安全性」とは、障害物との衝突時における安全性を含みつつ、障害物との衝突を回避するといった意味での安全性を含む趣旨である。
本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の判別手段が、例えば検出された物体の中から少なくとも実践上有意な利益が享受され得る程度の信頼性を伴って対象物を検出し得るものとして設定され、且つ検出手段の態様に応じて、例えば各種指標値等、各種態様を採り得る所定種類の判別基準等に従って、検出された物体が対象物であるか否かの判別を行う。
ここで、本発明における「対象物」とは、上述した各種のDSSの作動可否と関連を有する物体であり、その概念は、検出手段により検出される物体の一部として包含される。例えば、対象物とは、車両前方に設定された検出範囲における、例えば停止中であるか走行中であるかに限らず存在する車両(以下、適宜「前方車両」と称する)、又は車両の進路上の落下物、載置物若しくは設置物等を指す。
一方、本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、検出された物体が対象物である旨の判別がなされた場合に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る作動制御手段により、所定種類の作動基準に従って上述した安全システムが作動せしめられる。
ここで、本発明に係る「作動基準」とは、例えば、車両の前方領域に、より具体的には例えば車両の進路上において、衝突しかねない、又は衝突を回避し難い、或いは衝突を回避すべき障害物の存在が検出された場合に、運転者の制動操作とは無関係に(即ち、自動で)上述した安全システムを作動させる際の、安全システムの作動タイミングや作動規模等を含んでなる制御条件を指す。
このような作動基準に従って安全システムが制御されることにより、例えば障害物と車両との相対距離が所定値以下となった場合に、或いは現時点の車速で車両が走行した場合に障害物と衝突するまでの時間が所定値以下となった場合等に、例えば車輪に対し制動力が作用し、車両と障害物との衝突が回避され、又は衝突時の衝撃が緩衝され、或いは衝突前後の車両の挙動変化が抑制され、車両におけるより安全な走行が担保され得る。即ち、衝突安全性が向上し得る。
ここで特に、検出範囲における路面の勾配によっては、既に述べた如く対象物の誤検出が発生し易い。より具体的には、本来対象物とは判断されないはずの、例えば、路面そのもの、横断歩道若しくは路上標識等の各種模様、又はオーバーブリッジ、ガードレール、設置標識、掲示板若しくはトンネル等の各種構造物等の静止物体が、対象物と判別され易くなる。このような誤検出が発生すると、作動制御手段による安全システムの制御により、例えば制動手段等を含む安全システムが、本来作動すべき条件でないにもかかわらず、例えば運転者が全く予期しないタイミング且つ実際全く不適当なタイミングで作動することによって、かえって車両の安全性が損なわれかねない。
そこで、本発明に係る車両の制御装置では、以下の如くにして、路面の勾配変化が考慮され安全性の低下が抑制される。即ち、本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の特定手段の作用により、例えば、カーナビゲーション装置又は傾斜計若しくは傾斜角センサ等を適宜介して、車両の走行位置における勾配を表す第1勾配が特定される。また、本発明に係る対象物検出装置によれば、その動作時には更に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2の特定手段の作用により、車両の前方位置における勾配を表す第2勾配が特定される。
ここで、これら特定手段に係る「前方位置」とは、車両の走行位置よりも前方である限りにおいて、検出手段の検出範囲内の位置であっても検出範囲外の位置であってもよい。また、本発明に係る「勾配」とは、例えば、水平面或いは鉛直面等予め設定される基準面に対する傾斜角度、及び当該傾斜角度と一対一或いは多対一の関係を有する指標値等を含む広い概念である。
尚、本発明における「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する例えば電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択する又はそのような選択を介して推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出又は推定すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。
一方、本発明に係る車両の制御装置には更に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る変更手段が備わり、当該変更手段により、第1及び第2の特定手段により夫々特定されてなる第1及び第2勾配の相対関係に応じて、前述した作動基準が変更される。作動基準の変更がなされた場合、作動制御手段は、当然ながらこの変更された作動基準に従って安全システムを制御する。
ここで、「相対関係」とは、第1勾配と第2勾配とによって規定される、例えば第1勾配の方が大きい又は小さいといった定性的な関係、或いは第1勾配と第2勾配との差分等定量的な関係等を含み、少なくとも対象物の誤検出の発生或いは安全システムの誤作動の発生と因果関係を有する関係を指す。例えば変更手段は、例えば当該相対関係を規定する何らかの指標値が所定の閾値以上となった場合に、例えば安全システムを作動させるタイミングや作動規模(例えば、制動力の大きさや立ち上がり特性等)等といった制御量を二値的に変化させること等によって、或いは、当該相対関係を規定する指標値に応じて連続的に又は段階的に当該制御量を変化させること等によって、作動基準の変更を行う。
尚、本発明に係る「変更」とは、予め設定された基本となる作動基準、好適には上述した制御量等に対し、何らかの数値演算又は論理演算処理を施すこと、又は例えば予め設定された然るべきアルゴリズムに従った、当該基本となる制御量とは独立した数値演算の結果として、或いは然るべきマップ等から該当する値を選択すること等によって、当該基本となる制御量とは別個に各種制御量等を設定すること等を包括する概念である。
作動基準は、上述したように、安全システムの作動状態を決定付ける要素であり、当該変更がなされることにより、例えば安全システムをより早期に作動させることも、また安全システムの作動をより遅らせることも可能となる。従って、例えば、基本状態(或いはそれとみなし得る状態)において、当該安全システムが相対的にみて作動し易く設定され、当該相対関係に応じて(例えば、第1勾配と第2勾配との間に顕著な差異が認められる場合等に)、適宜安全システムが作動し難くなるような作動基準の変更がなされることによって、或いは、例えば、基本状態において、当該安全システムが相対的にみて作動し難く設定され、当該相対関係に応じて(例えば、第1勾配と第2勾配との間にさしたる差異が認められない場合等に)適宜安全システムが作動し易くなるような作動基準の変更がなされることによって、路面の勾配変化が安全システムの作動状態に与える影響を低減、理想的には排除することが可能となる。即ち、本発明に係る車両の制御装置によれば、安全システムの誤作動が抑制され、車両の安全性の低下が抑制されるのである。
本発明に係る車両の制御装置の一の態様では、前記変更手段は、前記第1勾配と前記第2勾配との乖離の度合いが大きい場合に、前記安全システムが作動し難くなるように前記作動基準の変更を行う。
この態様によれば、第1勾配と第2勾配との乖離の度合いが大きい場合に、変更手段によって、安全システムが作動し難くなるように作動基準が変更されるので、車両の前方で比較的大きく路面勾配が変化している状況等において、例えば路面そのもの、横断歩道若しくは路上標識等の各種模様、又はオーバーブリッジ、ガードレール、設置標識、掲示板若しくはトンネル等の各種構造物等の静止物体等が対象物として誤検出されたとしても、安全システムが作動し難いために、安全性の低下が抑制される。尚、「乖離の度合いが大きい場合に」とは、必ずしもこのような場合の全てを指すものではなく、このような場合の少なくとも一部、例えば、第2勾配と第1勾配との差分が所定値以上である、或いは所定値以下である場合等であってもよい趣旨である。
尚、「安全システムが作動し難くなるように」行われる変更とは、作動基準の内容に応じて必然的に各種の態様を採り得ると共に、相対的にみて安全システムが作動し難くなることにより対象物の誤検出に伴う安全性の低下を幾らかなり抑制し得る限りにおいてその態様は何ら限定されない。尚、安全システムが作動し難いとは、単なる作動の可否にのみ依存する性質のものではなく、安全システムが車両に与える影響が顕在化し難い状態を含む概念である。従って、安全システムの作動タイミング自体に顕著な差異がなくとも、例えば安全システムの影響力が相対的にみて抑制される限りにおいて、本発明に係る「作動し難い」範疇である。
尚、この態様では、前記変更手段は、前記乖離の度合いを規定する前記第1勾配と前記第2勾配との差分の絶対値が所定値以上である場合に前記作動基準の変更を行ってもよい。
この態様によれば、第1勾配と第2勾配との差分の絶対値が、上述した乖離の度合いを規定する指標値として参照され、当該差分が所定値以上である場合に作動基準が変更される。係る差分の絶対値は、即ち、車両の前方が、現在位置と比較して相対的に傾斜角の大きい登坂路又は降板路である場合に顕著に大きくなる値であり、本来対象物と判別される必要のない物体を対象物であると判別してしまう可能性と相関し得る指標値である。従って、当該差分の絶対値が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、対象物の誤検出に伴う安全性の低下が実践上顕在化し得る値等として設定され得る所定値以上である場合に、作動基準を規定する各種指標値が例えば二値的に、段階的に或いは連続的に変更されることにより、安全性の低下が効率的に抑制される。
安全システムが作動し難くなるように作動基準の変更がなされる本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記安全システムは、前記車両に制動力を付与可能な制動手段を含み、前記変更手段は、(i)前記制動力が付与されるタイミングが遅延するように、(ii)前記付与される制動力が低下するように、又は(iii)付与開始時における前記制動力の増加率が低下するように前記作動基準の変更を行う。
この場合、安全システムは、車両に制動力を付与可能な、例えばブレーキ装置等の制動手段を含み、車両に対する制動力の付与を介して上述したPCS等におけるPBやPBA等の制御が実現され得る。この際、変更手段は、制動力の付与タイミングが遅延するように、付与される制動力が低下するように、或いは付与開始時における制動力の増加率が低下するように(例えば顕著には制動力の立ち上がりの勾配が相対的に緩やかとなるように)作動基準を変更するため、車両の安全性を顕著に低下させ得る制動手段の誤作動が顕在化し難くなり、安全性の低下が効果的に抑制される。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記検出された物体が静止物体であるか否かの判別を行う第2の判別手段を更に具備し、前記変更手段は、前記検出された物体が前記静止物体である旨の判別がなされた場合に前記作動基準の変更を行う。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2の判別手段により、例えば、車両と検出された物体との相対速度等に基づいて、検出手段により検出された物体が、路面、横断歩道若しくは路上標識等の各種模様、又はオーバーブリッジ、ガードレール、設置標識、掲示板若しくはトンネル等の各種構造物等を含む概念としての静止物体(即ち、言い換えれば、路面に対する相対速度がゼロ又はゼロとみなし得る物体)であるか否かが判別される。
ここで、変更手段は、検出された物体が静止物体である旨の判別がなされた場合に作動基準の変更を行う。即ち、この態様によれば、静止物体に対して少なくとも優先的に(好適には静止物体に対してのみ)、作動基準の変更が行われることになる。本発明に係る車両の制御装置の設置目的に鑑みれば、静止物体でない物体(即ち、路面に対する相対速度を有する物体であり、少なくとも実践上高い確率で前方車両(対向車両を含む)である)は、安全性を確保観点から安全システムを作動させる必要が生じ得る物体であり、言い換えれば、対象物として検出されることが誤検出とはなり難い、顕著にはそのような可能性が無い物体である。従って、検出された物体が静止物体である場合に少なくとも優先的に係る作動基準の変更がなされることにより、路面や各種構造物が対象物である旨の誤った判別(即ち、対象物の誤検出)に基づいて安全システムが誤作動する可能性(或いは頻度又は度合い)を低下させつつ、本来的に作動基準に従って安全システムを作動させるべき状況については速やかに安全システムが作動せしめられるといった、実践上極めて高い利益が享受される。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記検出手段は、前記検出範囲に所定の波長を有する電波を出射すると共に該出射された電波が前記物体に反射してなる反射波を受信することにより前記物体を検出可能なレーダを含み、前記第1の判別手段は、前記受信された反射波の強度に対応する指標値と第1の閾値との比較に基づいて前記検出された物体が前記対象物であるか否かの判別を行う。
この態様によれば、検出手段が、例えばミリ波等の電波を出射可能に構成され、且つ検出範囲に存在する物体において反射された反射波を受信可能に構成されてなるレーダを含んで構成されており、当該反射波の強度、又は当該反射波の強度と一対一の関係を有し得る何らかの指標値等を含む概念としての指標値と、第1の閾値との比較に基づいて、検出された物体が対象物であるか否かの判別が行われる。従って、この態様によれば、対象物を迅速且つ正確に検出し得、作動基準に従った安全システムの制御に係る衝突安全性向上の効果が顕著に現れる。
尚、この態様における電波とは、厳密には周波数30Hzから3THzの電磁波を包括する概念であるが、好適な一態様としては、30〜300GHzのミリ波(本発明に係る対象物検出装置においては更に76〜77GHz帯が顕著に使用される)或いは赤外線等が採用される。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記検出手段は、前記検出範囲を撮像可能な撮像手段を含み、前記第1の判別手段は、前記撮像手段を介して得られた画像における立体物の有無を規定する指標値と第2の閾値との比較に基づいて前記検出された物体が前記対象物であるか否かの判別を行う。
この態様によれば、検出手段が、例えば、モノラル(単眼)又はステレオ(複眼)等各種態様を有する画像センサ、或いはビデオカメラ等の撮像装置を含んで構成される。或いは更に、撮像された画像から公知の各種エッジ検出処理等によってエッジ数を検出可能な装置を含んで構成される。
一方、第1の判別手段は、撮像された画像における立体物の有無を規定する、例えば上述したエッジ数(顕著には例えばモノラル画像である場合)或いは、複数の画像相互間の対応点の数(顕著には例えば、ステレオ画像である場合)等の各種指標値と第2の閾値との比較に基づいて、検出された物体が対象物であるか否かの判別を行う。従って、この態様によれば、対象物を迅速且つ正確に検出し得、作動基準に従った安全システムの制御に係る安全性向上の効果が顕著に現れる。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記車両は、前記車両の走行位置に関する所定種類の位置情報を取得することが可能な位置情報取得手段を更に具備し、前記第1及び第2の特定手段のうち少なくとも一方は、前記取得された位置情報に基づいて該少なくとも一方に対応する前記第1及び第2勾配のうち少なくとも一方を特定する。
この態様によれば、車両に、カーナビゲーション装置或いはGPS(Global Positioning System)等を利用した測位システム等の態様を採り得る位置情報取得手段が備わっており、例えば、然るべき地図上の座標位置、或いは絶対緯度、絶対経度又は絶対高度等、車両の走行位置を特定し得る情報を包括する概念としての所定種類の位置情報が取得される。
ここで、第1及び第2の特定手段のうち少なくとも一方は、この取得された位置情報に基づいて、夫々対応する勾配を特定する。従って、この態様によれば、第1及び第2勾配のうち少なくとも一方、好適には両方が、相対的に高精度に特定され得、路面の勾配変化に応じた作動基準の変更を、より精細に行うことが可能となる。尚、このようなカーナビゲーション装置等が車両に搭載される場合、走行経路が予め設定されていれば、或いは走行履歴や周囲の道路環境等に鑑みて近未来的な走行経路が推定可能である場合等には、近未来的に第1勾配との比較に供し得る第2勾配を、比較的大量に記憶しておくことも可能である。そのような場合には、記憶された第2勾配を実際に第1勾配との比較に供する際に、処理を円滑に実行することが可能となり好適である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な各種実施形態について説明する。
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10において本発明に係る車両の制御装置に関係する部分の構成を概念的に表してなるブロック図である。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10において本発明に係る車両の制御装置に関係する部分の構成を概念的に表してなるブロック図である。
図1において、車両10は、ECU100、ナビゲーション装置200、前方ミリ波レーダ300、車速センサ400及び安全システム500を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、不図示のエンジンを含む図1の各要素の動作を制御することが可能に構成された、本発明に係る「車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御用のプログラムに従って後述する衝突フラグ設定処理を実行することが可能に構成されている。
ナビゲーション装置200は、HDD(Hard Disk Drive)等、然るべき記憶手段に記憶された地図データに基づいて、車両10のフロントコンソールパネル等に設置される液晶表示パネル等の各種表示手段上に表示される地図画面上にGPS等の各種測位システムを介して得られた絶対位置の情報を表示することが可能に構成された、本発明に係る「位置情報取得手段」の一例である。ナビゲーション装置200は、ECU100と電気的に接続されており、車両10が走行している道路に関するデータ、より具体的には車両10の走行位置における路面の勾配に関するデータ(以下、適宜「勾配データ」と称する)は、表示手段上に地図画面が表示されているか否かにかかわらず、測位システムが稼動中である限りにおいて絶えず、或いは一定又は不定の周期で、ECU100に把握される構成となっている。
前方ミリ波レーダ300は、物体検出用のミリ波(即ち、本発明に係る「電波」の一例)を車両10の前方領域に出射可能であると共に、当該前方領域において物体に反射した出射波たる反射波を受信することが可能に構成された、本発明に係る「検出手段」の一例である。前方ミリ波レーダ300は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態はECU100により上位に制御される構成となっている。前方ミリ波レーダ300は更に、出射されるミリ波の伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数差など基づいて、障害物の位置(即ち、車両10からの距離)及び障害物と車両10との相対速度等を検出することが可能に構成されている。
車速センサ400は、車両10の速度たる車速Vvを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ400は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vvは、ECU100により絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
安全システム500は、車両10の衝突安全性を向上させることが可能な、本発明に係る「安全システム」の一例であり、制動装置510、シートベルト制御装置520及び警報装置530を含んでなる。尚、安全システム500を構成する要素は、例えば制動装置510のように、車両10における通常の走行制御に供されるものを含んでよい。
制動装置510は、車両10の図示せぬ車輪に対し制動力を付与可能に構成された、本発明に係る「制動手段」の一例である。制動装置510は、運転者によるブレーキペダルの操作に応じて、ブレーキアクチュエータ等の伝達手段を介して各車輪に備わるホイールシリンダ等に伝達される作動液の液圧に応じた制動力を付与することが可能に構成されたディスクブレーキ装置である。尚、制動装置510の態様は、これに限定されない。尚、上述したブレーキアクチュエータは、ECU100による制御下にあるため、各車輪には、運転者による制動操作(上述したブレーキペダルの踏下等)から独立して、言わば自動的に制動力が付与され得る構成となっている。
シートベルト制御装置520は、運転者を含む車両10の乗員の身体を保護するための保護手段である。シートベルト制御装置520は、大略して乗員を物理的に保護するベルト部と、当該ベルトの着圧を制御する制御系を含んで構成されており、当該制御系はECU100により上位に制御される構成となっている。従って、ベルト部が乗員を保護するに際しての着圧は、ECU100により制御される構成となっている。
警報装置530は、例えば車両10のフロントコンソールパネル等に配置されたアラーム装置である。警報装置530は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によって作動せしめられた際には、車室内に所定の音量のアラーム、或いは警告音声が流れる構成となっている。
<実施形態の動作>
<安全システムの動作の概要>
安全システム500を構成する制動装置510、シートベルト制御装置520及び警報装置530は、車両10の前方領域に障害物(即ち、本発明に係る「対象物」の一例)が存在する場合に、ECU100により車両10の衝突安全性を向上させるべく夫々協調的に制御される。夫々の作動基準は相互に異なっており、制動装置510は、例えば車両10と障害物との衝突が起こる0.6秒前に車輪に対し制動力を付与するように、またシートベルト制御装置520は、当該衝突が起こる0.8秒前にシートベルトの着圧が増加するように、更に警報装置530は、当該衝突が起こる2秒前に運転者に対し所定のアラームが提供されるように夫々制御される。
<安全システムの動作の概要>
安全システム500を構成する制動装置510、シートベルト制御装置520及び警報装置530は、車両10の前方領域に障害物(即ち、本発明に係る「対象物」の一例)が存在する場合に、ECU100により車両10の衝突安全性を向上させるべく夫々協調的に制御される。夫々の作動基準は相互に異なっており、制動装置510は、例えば車両10と障害物との衝突が起こる0.6秒前に車輪に対し制動力を付与するように、またシートベルト制御装置520は、当該衝突が起こる0.8秒前にシートベルトの着圧が増加するように、更に警報装置530は、当該衝突が起こる2秒前に運転者に対し所定のアラームが提供されるように夫々制御される。
この安全システム500の各要素の作動の可否は、各々について設定される衝突フラグによって制御されており、当該衝突フラグがON状態となった場合に、安全システム500を構成する各要素が作動する。従って、衝突フラグの状態は、安全システム500の作動状態を決定する要素となる。即ち、衝突フラグの設定状態は、本発明に係る「作動基準」の一例である。衝突フラグの状態は、ECU100により実行される衝突フラグ設定処理により制御される。
<衝突フラグ設定処理の詳細>
ここで、図2を参照し、衝突フラグ設定処理の詳細について説明する。ここに、図2は、衝突フラグ設定処理のフローチャートである。
ここで、図2を参照し、衝突フラグ設定処理の詳細について説明する。ここに、図2は、衝突フラグ設定処理のフローチャートである。
図2において、ECU100は、前方ミリ波レーダ300から、車両10の前方領域に存在する物体において反射されるミリ波(即ち、反射波)の強度(以下、適宜「反射波強度」と称する)Prを取得する(ステップA10)。当該反射波が取得された段階で、車両10の前方領域における物体の存在が検出される。
次に、ECU100は、取得された反射波強度Prと、予め設定される閾値S(即ち、本発明に係る「第1の閾値」の一例)との比較に基づいて、検出された物体が障害物であるか否かの判別を行う(ステップA11)。ここで、閾値Sは、縦軸及び横軸に夫々反射波強度Pr及び前方領域における車両10からの距離Dfが表されてなる座標系において、距離Dfが長くなる程、即ち車両10から遠ざかる程、減少する曲線として表される。ECU100は、ステップA11に係る処理において、取得された反射波強度Prと、係る反射強度Prに対応する距離における閾値Sとを比較し、取得された反射波強度Prが閾値S以上である場合に、当該反射波強度Prに対応する物体を、障害物であると判別する。
障害物が存在しない場合(ステップA11:NO)、ECU100は処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返すと共に、障害物が存在する場合(ステップA11:YES)、ECU100は、検出された障害物までの距離L、車両10の車速Vv及び検出された障害物に対する車両10の相対速度Vrを取得する(ステップA12)。尚、車速Vvは、車速センサ400の出力に基づいて取得され、距離L及び相対速度Vrは、前方ミリ波レーダ300により物体が検出された時点でミリ波の伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数差等に基づいて前方ミリ波レーダ300により算出され、ECU100により取得される。
次に、ECU100は、車速Vvと相対速度Vrjとの差分の絶対値が基準値C1未満であるか否かを判別する(ステップA13)。ここで、基準値C1は、ゼロ又はゼロとみなし得る程度に小さい値に設定されており、ステップA13に係る処理は、即ち、障害物が静止物体であるか否かを判別する処理となっている。より具体的には、障害物が静止物体であれば、車両10との相対速度Vrjは車速Vvとほぼ同一であり、当該絶対値は相対的に小さくなって、ステップA13に係る判別処理は「YES」となる。一方、障害物が前方車両等であれば、車速の違いはあるにせよ相対速度Vrjは車速Vvに対し十分に小さい値となり易く、当該絶対値は相対的に大きくなって、ステップA13に係る判別処理は「NO」となる。障害物が静止物体でない場合(ステップA13:NO)、処理はステップA18に移行される。尚、ステップA18に係る処理については後述する。
一方、障害物が静止物体である場合(ステップA13:YES)、ECU100は、更に、ナビゲーション装置200から供給される勾配データを参照し、車両10の現在位置における路面の勾配値である自車勾配値G0を取得し(ステップA14)、更に車両10の前方位置における路面の勾配値である前方勾配値Gfを取得する(ステップA15)。ここで、前方勾配値が規定される位置の、車両10からの距離は、必ずしも前方ミリ波レーダ300の検出範囲内になくてもよい。また、当該距離は、固定値であっても可変値であってもよく、可変である場合には、障害物と判別された物体の位置に対し可及的に近接した位置となるように設定されてもよい。更には、ナビゲーション装置200によれば、前方勾配値を規定する距離を比較的自由に選択可能であるから、その都度障害物の位置に対し最適な距離が設定されてもよい。
自車勾配値G0及び前方勾配値Gfが取得されると、ECU100は、それらの差分の絶対値を算出し、当該算出された絶対値が基準値C2以上であるか否かを判別する(ステップA16)。ここで、基準値C2は、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、障害物の誤検出に影響を与え得る路面の勾配変化の度合いを規定する値として設定されており、本発明に係る「所定値」の一例をなしている。
係る勾配値の差分の絶対値が基準値C2未満である場合(ステップA16:NO)、ECU100は、処理をステップA18に移行する。即ち、定性的にはこの場合、検出された障害物が静止物体であっても路面の勾配変化が誤検出を招かない程度であるとみなされる。一方で、係る勾配値の差分の絶対値が基準値C2以上である場合(ステップA16:YES)、ECU100は、処理をステップA17に移行する。
ステップA17及びステップA18に係る処理では、衝突予測時間TTCの閾値Ctが設定される。ここで、衝突予測時間TTCとは、障害物までの距離Lを障害物に対する車両10の相対速度Vrで除算してなる値であり、現時点の相対速度が維持された場合に障害物と衝突するまでの時間である。衝突予測時間TTCの閾値Ctとは、衝突フラグをONにすべきタイミング(上述したように、係るタイミングは、安全システムが作動するタイミングと略同一である)を規定する閾値である。
ステップA18に係る処理では、即ち、障害物の誤検出が発生していないものと推定される条件においては、ECU100は、閾値CtをCt1に設定する。ここで、Ct1は、予めROMに、安全システム500を構成する要素各々に対し個別に固定値として格納されている。一方、ステップA17に係る処理では、即ち、障害物の誤検出が発生している可能性が相対的にみて高いと推定される条件においては、ECU100は、閾値CtをCt2(Ct2<Ct1)に設定する。ここで、Ct2は、Ct1と同様に予めROMに安全システム500を構成する各要素各々に対し個別に固定値として格納されている。
衝突予測時間TTCの閾値Ctが設定されると、ECU100は、衝突予測時間TTCが閾値Ct未満であるか否かを判別する(ステップA19)。衝突予測時間TTCが閾値Ct未満である場合(ステップA19:YES)、ECU100は、衝突フラグをON状態に制御し(ステップA20)、衝突予測時間TTCが閾値Ct以上である場合(ステップA19:NO)、ECU100は、衝突フラグをOFF状態に制御する(ステップA21)。ステップA20又はステップA21に係る処理が実行されると、ECU100は、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。
本実施形態に係る衝突フラグ設定処理によれば、このように、ミリ波の反射強度Prが閾値S以上である物体として規定される障害物について、車両10と障害物との相対速度に基づいて障害物が静止物体であるか否かの判別がなされ、静止物体である旨の判別がなされた場合には更に、車両10の現在位置の勾配と前方位置の勾配との差分の絶対値に基づいて、路面の勾配変化が大きいか否かが判別される。当該勾配変化が大きい場合には、本来障害物として検出する必要の無い、例えば路面そのもの、横断歩道若しくは路上標識等の各種模様、又はオーバーブリッジ、ガードレール、設置標識、掲示板若しくはトンネル等の各種構造物等の静止物体を障害物であると誤検出している可能性を考慮し、衝突予測時間TTCの閾値Ctが、障害物が静止物体でない場合、或いは係る勾配変化が相対的に小さい場合と較べて小さく設定される。衝突フラグは、衝突予測時間TTCが、この閾値Ct未満である場合にON状態に設定されるため、結局、路面の勾配変化が大きい場合には安全システム500が動作し難くなる。即ち、安全システム500の誤作動に起因する安全性の低下が抑制されるのである。
尚、上述した衝突フラグ設定処理では、ステップA17及びステップA18における処理において、閾値Ctが安全システム500の構成要素間であたかも共有される値であるかのように記述されているが、これは図面の煩雑化を防ぐ目的からであり、現実には、安全システム500を構成する制動装置510、シートベルト制御装置520及び警報装置530の各々について、個別に閾値Ctが設定される。
また、これら各要素に対応する閾値Ctは、無論各々全く独立に変更されてもよいし、変更前後の相互関係が維持されるように、例えば大小関係或いはより精細な数値的な関係が維持されるように設定されてもよい。
尚、本実施形態では、本発明に係る「作動基準」の一例として、安全システム500の作動タイミングを規定する衝突予測時間TTCの閾値Ctが、路面の勾配変化に応じて変更されるが、作動基準の例としてはこれに限定されず、様々な態様を採り得る。例えば、衝突フラグがON状態である場合に制動装置510を介して強制的に付与される制動力の最大値を相対的に減少させることにより、又はシートベルト制御装置520を介して強制的に変更されるシートベルトの着圧を相対的に減少させることにより、或いは警報装置530に係るアラームの音量を相対的に低下させることにより、安全システム500の作動規模を変更してもよい。
<第2実施形態>
<実施形態の構成>
物体を検出する手段は、第1実施形態における前方ミリ波レーダ300に限定されない。ここでは、このような本発明の第2実施形態について説明する。始めに、図3を参照し、第2実施形態に係る車両11の構成について説明する。ここに、図3は、車両11において本発明に係る車両の制御装置に関係する部分の構成を概念的に表してなるブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
<実施形態の構成>
物体を検出する手段は、第1実施形態における前方ミリ波レーダ300に限定されない。ここでは、このような本発明の第2実施形態について説明する。始めに、図3を参照し、第2実施形態に係る車両11の構成について説明する。ここに、図3は、車両11において本発明に係る車両の制御装置に関係する部分の構成を概念的に表してなるブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、車両11は、第1実施形態に係る前方ミリ波レーダ300を有さず、本発明における「検出手段」の他の一例として単眼画像センサ600(即ち、本発明に係る「撮像手段」の一例)を備える点において、第1実施形態に係る車両10と相違している。
単眼画像センサ600は、車両11の前方領域を撮像する単眼の撮像部、撮像された前方領域の画像を生成する画像処理部、及び生成された画像におけるエッジの数(即ち、エッジ数)を検出するエッジ検出部(いずれも不図示)を備えており、車両10の前方領域における物体を検出することが可能に構成されている。単眼画像センサ600は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエッジ数は、ECU100により絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、単眼画像センサ600におけるエッジ検出の手法としては、一次微分を利用して画像の空間的な濃度変化を求める手法が採用されるが、エッジ検出に関しては公知の様々な手法を利用することが可能である。尚、撮像された画像におけるエッジ数は、ECU100により実行されてもよいし、他の画像処理装置によりなされてもよい。
<実施形態の動作>
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る衝突フラグ設定処理について説明する。ここに、図4は、衝突フラグ設定処理のフローチャートである。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る衝突フラグ設定処理について説明する。ここに、図4は、衝突フラグ設定処理のフローチャートである。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、ECU100は、単眼画像センサ600により撮像された車両10の前方領域の画像におけるエッジ数EGを取得する(ステップB10)。
次に、ECU100は、取得されたエッジ数EGと、予め設定される閾値S(即ち、本発明に係る「第2の閾値」の一例)との比較に基づいて、撮像された物体が障害物であるか否かの判別を行う(ステップA11)。ここで、閾値Sは、予め適合された固定値として、ROMに格納されている。ECU100は、ステップA11に係る処理において、取得されたエッジ数EGと、係る閾値Sとを比較し、取得されたエッジ数EGが閾値S以上である場合に、当該エッジ数に対応する物体を障害物であると判別する。
尚、単眼画像センサ600では、複数の画像に基づいて物体に対する車両の相対速度及び物体までの距離を算出する必要がある。従って、ステップA12に係る処理では、本来、複数回の撮像及びエッジ解析プロセスが繰り返される。但し、図4では、図面の煩雑化を防ぐ目的からその点は省略されている。また、ステップA13以降に係る処理は、基本的には第1実施形態と同様である。
このように、第2実施形態に係る障害物判別処理によれば、第1実施形態のミリ波レーダ300の代わりに単眼画像センサ600を備え、障害物が検出される。一方、単眼画像センサ600による障害物の検出精度も、路面の勾配変化の影響を受けるため、第1実施形態と同様に、衝突予測時間TTCの閾値Ctが変更される。当該閾値Ctの変更に伴い、安全システム500は作動し難くなり、安全システム500の誤作動に起因する安全性の低下が抑制される。
尚、上述した第1及び第2実施形態では、本発明に係る「相対関係」の一例として、路面の勾配変化の度合いが採用され、自車勾配値G0と前方勾配値Gfとの差分の絶対値として基準値C2との比較判別に供されるが、当該相対関係を規定する指標値は、これに限定されない。また、当該差分の絶対値の算出に際し、自車勾配値G0は、ナビゲーション装置200により得られる位置情報に基づいて取得されているが、例えば、車両に、例えば振り子式加速度センサが備わる場合等には、当該振り子式加速度センサにより検出される加速度値と、車速センサ400から得られる車速Vvの時間微分値として得られる加速度値との比較等に基づいて自車勾配値G0が取得されてもよい。
尚、上述した各種実施形態では、本発明に係る検出手段の一例として、夫々ミリ波レーダ又は単眼画像センサが備わっているが、無論、本発明に係る検出手段とは、物理的、機械的、機構的、又は電気的な構成の異なる複数の手段から構成されていてもよい。より具体的には、例えば、車両にはミリ波レーダ等の電波測位手段及び単眼画像センサ等の撮像手段の両方が備わっていてもよい。例えば、ミリ波レーダは、あくまで物体を反射波として検出するから、物体の幅や三次元的な形状等は検出しにくいが、距離や速度等の物理量は正確に検出される。一方、単眼画像センサは、距離や速度等の物理量の検出精度はミリ波に劣る場合があるが、物体の幅、形状等は比較的正確に検出することができる。従って、これらを併せ持つことにより、障害物の誤検出の発生自体を効果的に抑制することも可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…車両、100…ECU、200…ナビゲーション装置、300…前方ミリ波レーダ、400…車速センサ、500…安全システム、510…制動装置、520…シートベルト制御装置、530…警報装置、600…単眼画像センサ。
Claims (8)
- 前方の検出範囲における物体を検出可能な検出手段、及び作動時に衝突安全性を向上させることが可能な所定種類の安全システムを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、
前記検出された物体が対象物であるか否かの判別を行う第1の判別手段と、
前記検出された物体が前記対象物である旨の判別がなされた場合に、所定種類の作動基準に従って前記安全システムを作動させる作動制御手段と、
前記車両の走行位置における勾配を表す第1勾配を特定する第1の特定手段と、
前記車両の前方位置における勾配を表す第2勾配を特定する第2の特定手段と、
前記特定された第1及び第2勾配の相対関係に応じて前記作動基準の変更を行う変更手段と
を具備することを特徴とする車両の制御装置。 - 前記変更手段は、前記第1勾配と前記第2勾配との乖離の度合いが大きい場合に、前記安全システムが作動し難くなるように前記作動基準の変更を行う
ことを特徴する請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記変更手段は、前記乖離の度合いを規定する前記第1勾配と前記第2勾配との差分の絶対値が所定値以上である場合に前記作動基準の変更を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。 - 前記安全システムは、前記車両に制動力を付与可能な制動手段を含み、
前記変更手段は、(i)前記制動力が付与されるタイミングが遅延するように、(ii)前記付与される制動力が低下するように、又は(iii)付与開始時における前記制動力の増加率が低下するように前記作動基準の変更を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の制御装置。 - 前記検出された物体が静止物体であるか否かの判別を行う第2の判別手段を更に具備し、
前記変更手段は、前記検出された物体が前記静止物体である旨の判別がなされた場合に前記作動基準の変更を行う
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。 - 前記検出手段は、前記検出範囲に所定の波長を有する電波を出射すると共に該出射された電波が前記物体に反射してなる反射波を受信することにより前記物体を検出可能なレーダを含み、
前記第1の判別手段は、前記受信された反射波の強度に対応する指標値と第1の閾値との比較に基づいて前記検出された物体が前記対象物であるか否かの判別を行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。 - 前記検出手段は、前記検出範囲を撮像可能な撮像手段を含み、
前記第1の判別手段は、前記撮像手段を介して得られた画像における立体物の有無を規定する指標値と第2の閾値との比較に基づいて前記検出された物体が前記対象物であるか否かの判別を行う
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両の制御装置。 - 前記車両は、前記車両の走行位置に関する所定種類の位置情報を取得することが可能な位置情報取得手段を更に具備し、
前記第1及び第2の特定手段のうち少なくとも一方は、前記取得された位置情報に基づいて該少なくとも一方に対応する前記第1及び第2勾配のうち少なくとも一方を特定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
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