JP2008183930A - 車両用ホイールとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い操縦安定性を確保しつつ車両への振動を抑制し、乗り心地がよく、車内騒音の低減を実現でき、溶接などによる欠陥がおきにくく、高い生産性と製造時の作りやすさを極力実現した車両用ホイールとその製造方法を提供する。
【解決手段】リム外周面4上に複数の副気室3を環状に備えた車両用ホイール1であって、気密性を有した内部が中空の副気室部材13と蓋部材14とを有し、副気室部材13が蓋部材14で覆われた状態で、リム外周面4上にて蓋部材14とリム2とが接合し、副気室3が形成されてなる車両用ホイール1。
【選択図】図1
【解決手段】リム外周面4上に複数の副気室3を環状に備えた車両用ホイール1であって、気密性を有した内部が中空の副気室部材13と蓋部材14とを有し、副気室部材13が蓋部材14で覆われた状態で、リム外周面4上にて蓋部材14とリム2とが接合し、副気室3が形成されてなる車両用ホイール1。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤを取り付ける車両用ホイールとその製造方法に関し、詳しくは高い操縦安定性を確保しつつ車両に伝達される振動を抑制し、乗り心地の向上、車内騒音の低減等を実現できる車両用ホイールを高い生産性で得ることができるとともに、溶接欠陥などによる故障が低減し、製造時の作りやすさ等を実現した車両用ホイールとその製造方法に関する。
近年、自動車、特に、高級車とされる自動車においては、操縦安定性と車内空間の快適さとが共に求められている。このため、いわゆる足回りと呼ばれるタイヤ、車両用ホイール、サスペンション等においては、例えば、サスペンションのアクティブ制御技術、防振ゴムやタイヤの構造の改良技術等が開発されてきている。
車両用ホイールに関しても種々の改良がなされており、例えば、車内騒音に対して、その大きな要因であるタイヤ空洞共鳴音を抑えるべく、副気室をリムホイール内に設け、この副気室とタイヤ内部主気室と連通させる連通孔の寸法を調整することによりヘルムホルツ共鳴吸音器として作用させる車両用ホイール等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に示すリムホイールは、リムの外周面に副気室を形成する副気室形成部材を周方向に複数設けて副気室を形成した車両用ホイールであって、副気室形成部材は、リムの外周面との間に副気室を形成する副気室形成部と、副気室をタイヤとリムとの間に形成されるタイヤ空気室に連通させる連通部と、副気室形成部材の前記リムとの接続部に形成した耳部と、を備え、副気室形成部材を、耳部を介してリムの外周面のウエル部に気密に固定して副気室を形成したものである。
しかしながら、特許文献1に示すリムホイールは、リムの外周面に副気室を形成する副気室形成部材を周方向に複数設けて副気室を形成した車両用ホイールであって、副気室形成部材は、リムの外周面との間に副気室を形成する副気室形成部と、副気室をタイヤとリムとの間に形成されるタイヤ空気室に連通させる連通部と、副気室形成部材の前記リムとの接続部に形成した耳部と、を備え、副気室形成部材を、耳部を介してリムの外周面のウエル部に気密に固定して副気室を形成したものであり、この接合部分において自動車の走行時の振動に耐え得る機械的強度を確保するために、溶接を行うことで下記に記載の諸問題が生じる恐れがあった。
即ち、溶接に伴う熱によって構成部材の材質的な性能劣化や、構造的な歪みが生じる。また更に、副気室部材を耳部を介してリム外周面のウエル部に気密に固定するために耳部全周を溶接する際に溶接材料の分布が溶接の始点と終点とで多くなる等、一様にすることは困難であった。溶接材料自体の重量増加も考慮する必要がある。そのため、リムホイールの強度や真円度が低下し、ホイールバランスが悪くなるといった問題や、副気室の体積の精度が低下することによる吸音効果の減少といった問題があった。これらの問題を抑制するためには作業性の悪化、生産工程の増加、コストの上昇等が避けられない。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い操縦安定性を確保しつつ車両への振動を抑制し、乗り心地がよく、車内騒音の低減を実現でき、溶接などによる欠陥がおきにくく、高い生産性と製造時の作りやすさを極力実現した車両用ホイールとその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下の構成を採用することにより上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
[1]リム外周面上にて複数の副気室を環状に備えた車両用ホイールの製造方法であって、気密性を有した内部が中空の副気室部材と、蓋部材とを別体で複数製造した後、副気室部材を蓋部材で覆った状態で、リム外周面上にて蓋部材とリムとを接合して副気室部材を固定し、副気室を形成する車両用ホイールの製造方法。
[2]副気室部材が樹脂からなる[1]に記載の車両用ホイールの製造方法。
[3]リム外周面上に複数の副気室を環状に備えた車両用ホイールであって、気密性を有した内部が中空の副気室部材と蓋部材とを有し、副気室部材が蓋部材で覆われた状態で、リム外周面上にて蓋部材とリムとが接合し、副気室が形成されてなる車両用ホイール。
[4]副気室部材が樹脂からなる[3]に記載の車両用ホイール。
[5]副気室にタイヤ装着側の表面へ連通する連通孔を一つ以上備え、タイヤ主気室と副気室とが連通孔とによって共鳴吸収を可能とした[3]または[4]に記載の車両用ホイール。
[1]の構成によれば、気密性を有した内部が中空の副気室部材と、副気室部材と蓋部材を別体で複数製造した後、リム外周面上にて、副気室部材を蓋部材で覆った状態で蓋部材とリムとを固定して副気室を形成するため、ツーピースタイプのホイールだけでなく、鋳造一体型の車両用ホイールの場合であっても容易に形成することが可能である。このことにより、リムの形成に際しての溶接やビス止め等を行う必要がほとんどない。
また、気密性を有した内部が中空の副気室部材を用いており、気密性が副気室部材のみで既に確保されている。このため、気密性を確保するための蓋部材の全周にわたる溶接や、ビス止め等の接合が必要ないため、作業工数の低減が可能であり、また溶接等をほとんど用いないために上述の溶接に伴う諸問題を回避することができる。
[2]の構成によれば、副気室部材の材料として樹脂を用いた場合、ブロー成形等の樹脂成形方法を行って副気室の体積精度を保ちつつコストを下げることができる。
本発明によれば、高い操縦安定性を確保しつつ車両に伝達される振動を抑制し、乗り心地の向上、車内騒音の低減等を実現でき、溶接欠陥などによる故障の低減した車両用ホイールを高い生産性で得ることが出来る。
以下、図面を参照して、本発明をその実施形態に基づいて説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1、図2はそれぞれ本発明の製造方法により製造された車両用ホイール1を模式的に示す模式的平面図、模式的断面図である。図中の矢印はホイール径方向24及びホイール軸方向19を示す。図3及び図4はそれぞれ内部が中空の副気室部材13の模式的斜視図及び断面図である。図5は蓋部材14を示す模式的斜視図である。本発明に係る車両用ホイール1は、リム外周面4上に複数の副気室3を備えた車両用ホイール1であり、図3で示されるような内部が中空の副気室部材13と蓋部材14が、図1、図2に示されるようにリム外周面4上に固定されることで、複数の副気室3を備えている。
以下、本発明に係る車両用ホイールの製造方法をより詳しく説明する。
内部が中空の副気室部材13は、図4の模式的断面図に示すように内部に空洞7を備えており、この空洞7は連通孔5を通じて空洞7の外部に通じている。この連通孔5を除いて副気室部材13は外部との気密性を有している。この副気室部材13はその材質を限定しないが、樹脂からなることで、気密性を確保しつつも簡便かつ低コストで形成することが可能である。
なお、本明細書中で「気密性を有する」とは、副気室3とタイヤ主気室との間で副気室部材13に設けられた連通孔5とを介してのみ開通していることを意味する。即ち、本明細書中で「気密性を有する」とは、副気室部材13に設けられた連通孔5を除いて副気室部材13が気密性を有していることを意味し、同様にして図4に示すような副気室3となる空洞7は連通孔5を除いては副気室部材外部に対して密閉されていることを意味している。
副気室部材13が樹脂からなる場合、副気室部材13の成形方法としてはブロー成形を用いる場合や、射出成形した部品を二つ貼り合わせて振動溶着等を用いて気密に接続して成形する事もできる。樹脂の材料は特に限定しないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂の材料としてはポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンやその他の成形が容易で耐熱性が高い材料を使用する事もまた好ましい。また、副気室部材13の材料として強度が高く安価であるガラス繊維強化プラスチックや、軽量な炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料を用いることもまた好ましい。
副気室部材13が樹脂からなる場合にはリム2は金属からなり、樹脂とは異種の素材であるから、副気室部材13とリム2とを直接的に接合することは容易ではない。また、副気室部材13とリム2とを副気室部材の気密性を確保した状態で固定することは更に困難である。このため、まず図5に示すような蓋部材14を材質として金属、好ましくはリム2と同種の金属を用いて別体で作成する。次に図6の断面図に示すように副気室部材13を蓋部材14で覆った状態でリム2と蓋部材14とをリム外周面4上にて固定する。
これにより、副気室部材13とリム2とを直接的に接合する必要がなくなる。また、蓋部材14が副気室部材13を覆っているために、副気室部材13が樹脂からなることによる強度の低下を防ぐ事が出来る。このことにより、タイヤを本発明の車両用ホイール1に取り付ける際や取り外す際に加わる荷重により、副気室3が変形して体積の精度が低下することを防ぐことができる。従って、副気室部材13が強度的に弱くても蓋部材14で覆われるため、気密性さえ確保されていれば良く副気室部材13を成形するコストを抑制することができる。
蓋部材14とリム2とを接合する方法は特に限定しない。副気室部材13がリム外周面4上においてその位置が固定されさえすれば良い。また蓋部材14の形状は特に限定しない。図5に示すような副気室部材13に対応した形状であることは、副気室部材13を覆った際に確実に固定できることから好ましい。また蓋部材14は副気室部材13を完全に覆う必要はなく、副気室部材13を確実に固定するものであれば良い。蓋部材14が副気室形成部材13に設けられた連通孔5を覆う場合には、図5に示すように蓋部材14の表面の対応する位置に小窓8を設けて、連通孔5を塞がないようにする必要がある。
蓋部材14は必ずしも副気室部材13と同数である必要はなく、例えば二つ、またはそれ以上の副気室部材を一度に覆って固定する事も可能である。リム外周面4上に覆って副気室部材13を固定し、リム2にタイヤを固定する際に充分な強度を有しているものであればその形状や個数を問わない。
さらに、本実施形態の車両用ホイールにおいては、図1、図2の副気室3に連通する連通孔5が穿設され、この副気室3と連通孔5とによって良好な共鳴吸収の効果を得るためには、副気室3と連通孔5とが、下記式(1)の関係を満たすように構成されていることが好ましい。
(但し、Vは副気室3の総体積(cm3)、Sは連通孔5の総断面積(cm2)、Lは連通孔5の長さ(cm)、Nは一つの副気室3に穿設する連通孔5の数(個)、及びCは音速(cm/sec)を示す)
本発明による副気室3と連通孔5とが、前記式(1)の関係を満たすように構成されることにより、本実施形態の車両用ホイールに装着したタイヤの空洞共鳴音と同程度の周波数となるように共鳴周波数を設定することが可能となり、タイヤの空洞共鳴音を減少させることができる。なお、本実施形態の車両用ホイールにおいて、副気室3の数が二つ以上であり、それぞれの副気室3に穿設された連通孔5の数が異なる場合には、前記式(1)におけるNは一つの副気室3に穿設する連通孔5の平均数(個)のことである。
また、本実施形態の車両用ホイールにおいては、図1において、副気室3の総体積が、車両用ホイールに実際にタイヤを装着した際のタイヤ主気室の体積に対して2〜25体積%に相当することが好ましく、3〜15体積%に相当することがさらに好ましい。なお、副気室3の総体積が2体積%未満であると、走行時の乗り心地の改良効果や共鳴吸収の効果が低下することがあり、25体積%を超えると、上述した共鳴吸収を行う場合には、低周波に対してバネ定数が下がり、減衰性が低下することがある。
本発明に係る車両用ホイールの製造方法によれば、車両用ホイールを作業性よく、かつ簡便、高精度に製造することができ、しかも、得られる車両用ホイールは、機械的強度に
も優れ安定した走行を実現することが出来る。したがって、車両用ホイールの製造方法として、工業上極めて有益である。
も優れ安定した走行を実現することが出来る。したがって、車両用ホイールの製造方法として、工業上極めて有益である。
1:車両用ホイール、2:リム、3:副気室、4:リム外周面、5:連通孔、6:ディスク、7:空洞、8:小窓、9:連通孔、13:副気室部材、14:蓋部材、19:ホイール軸方向、24:ホイール径方向。
Claims (5)
- リム外周面上にて複数の副気室を環状に備えた車両用ホイールの製造方法であって、
気密性を有した内部が中空の副気室部材と、蓋部材とを別体で複数製造した後、前記副気室部材を前記蓋部材で覆った状態で、前記リム外周面上にて前記蓋部材と前記リムとを接合して前記副気室部材を固定し、前記副気室を形成する車両用ホイールの製造方法。 - 前記副気室部材が樹脂からなる請求項1に記載の車両用ホイールの製造方法。
- リム外周面上に複数の副気室を環状に備えた車両用ホイールであって、
気密性を有した内部が中空の副気室部材と蓋部材とを有し、
前記副気室部材が蓋部材で覆われた状態で、前記リム外周面上にて前記蓋部材と前記リムとが接合し、前記副気室が形成されてなる車両用ホイール。 - 前記副気室部材が樹脂からなる請求項3に記載の車両用ホイール。
- 前記副気室にタイヤ装着側の表面へ連通する連通孔を一つ以上備え、タイヤ主気室と前記副気室とが前記連通孔とによって共鳴吸収を可能とした請求項3又は4に記載の車両用ホイール。
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JP2007016660A JP2008183930A (ja) | 2007-01-26 | 2007-01-26 | 車両用ホイールとその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010007964A1 (ja) | 2008-07-15 | 2010-01-21 | 日本化薬株式会社 | 6-アリールオキシキノリン誘導体の製造方法およびその中間体 |
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2007
- 2007-01-26 JP JP2007016660A patent/JP2008183930A/ja not_active Withdrawn
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