JP2008174760A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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道久 田坂
Masaki Yamaguchi
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Abstract

【課題】 柔軟性に富み、耐熱変形性、成形加工性に優れ、柔軟性に富み、耐熱変形性、耐油性、透明性、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物の提供。
【解決手段】 (a)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックの90%以上の水添物(a−1)と90%未満水添物(a−2)を、(a−1)/(a−2)が10〜95/5〜90(重量%)の割合で混合したエラストマー100重量部に対して、(b)ゴム用軟化剤5〜300重量部、及び(c)有機過酸化物0.01〜3重量部を含有する組成物を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた成形材に関し、特に、柔軟性に富み、耐熱変形性、耐油性、透明性、成形加工性に優れる熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた成形材に関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
熱可塑性エラストマーの中でも、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロックポリマー(SBS)やスチレン−イソプレンブロックポリマー(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
また、これらのポリスチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、更に広く多用されている。
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、未だゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
しかしながら、上記公報に開示されている水添ブロック共重合体の架橋組成物は、高温時、特に100℃における圧縮永久歪みが未だに不十分であり、機械強度が低下し易いという問題があり、従来加硫ゴム用途で要求されている性能レベルに到達していないのが現状である。また押出成形では高温時の溶融張力が低いために形状保持性が悪化し、射出成形では成形サイクルが長くなるなど、成形加工面の問題点も多い。
また、該組成物は、耐熱性・耐油性と透明性のバランスが悪く、チューブ・ホースやフィルム・シート分野では使用が限定されるという欠点を有していた。
この問題点を解決するために、上記公報に開示されている水添ブロック共重合体にα−メチルスチレンとスチレンの共重合体(例えば、理化ハーキュレス(株)製 クリスタレックス)や結晶性樹脂を微量添加して耐熱性・耐油性・透明性・成形加工性のバランスを調整した熱可塑性エラストマーがあるが、架橋がなされていなかったり、あるいは不十分であるために耐熱性・耐油性が未だ不十分であった。
特開昭59−6236号公報 特開昭63−57662号公報 特公平3−49927号公報 特公平3−11291号公報 特公平6−13628号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、特に、柔軟性に富み、耐熱変形性、耐油性、透明性、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水添率の異なる2種類の水添ブロック共重合体の特定割合の混合物にゴム用軟化材、有機過酸化物を配合し、加熱処理することにより、柔軟性に富み、耐熱変形性、耐油性、透明性、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明は、(a)(a−1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックを90%以上水素添加して得られる水添ブロック共重合体10〜95重量%と(a−2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックを90%未満水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜90重量%とからなるエラストマー100重量部に対して、(b)ゴム用軟化剤5〜300重量部、及び(c)有機過酸化物0.01〜3重量部を含有する組成物を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明の第2の発明は、(a−1)水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量が100,000〜400,000の範囲であり、(a−2)水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜200,000の範囲であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明の第3の発明は、(d)エステル系架橋助剤0.02〜10重量部を更に含有することを特徴とする第1又は2の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明の第4の発明は、(e)パ−オキサイド分解型オレフィン系樹脂1〜25重量部を更に含有することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明の第5の発明は、(f)軟化点が80〜170℃、および溶融粘度が10ポイズになる温度が120〜250℃である石油系炭化水素樹脂1〜30重量部を更に含有することを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明の第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とするホース材、チューブ材、グリップ材、フィルム材、シート材または表皮材である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高水添率の水添ブロック共重合体と低水添率の水添ブロック共重合体にゴム用軟化材を配合し、加熱架橋処理することにより、柔軟性に富み、耐熱変形性、耐油性、透明性、成形加工性に優れ、電線・電気部品、工業機械部品、医療機器・食品関連部品、自動車部品、建材等の分野に使用することができる。
本発明を構成する成分、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分(1)
エラストマー(a)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いるエラストマー(a)成分は、次の(a−1)高水添率水添ブロック共重合体と(a−2)低水添率水添ブロック共重合体の混合物からなるエラストマーである。
(a−1)高水添率水添ブロック共重合体エラストマー
(a)成分で用いる高水添率水添ブロック共重合体(a−1)成分は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックにおける共役ジエンに由来する脂肪族二重結合部分を90%以上水素添加した高水添率水素添加物である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエンブロックを水添率90%以上水添して得られる水添ブロック共重合体を挙げることができる。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは、70重量%以上と水素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、水素添加された共役ジエン化合物のみからなるか、または、水素添加された共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは、70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
これらのブロック共重合体は、公知の方法、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができ、水添ブロック共重合体は、上記ブロック共重合体を公知の方法で水素化して得られる。水素化は、主に共役ジエンブロックの共役ジエンに由来する脂肪族二重結合を水素化するもので、その水添率は、90%以上である必要がある。水添率が90%未満であると柔軟性や透明性が悪化する傾向にある。
成分(a−1)の水素添加物にあって、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有しているのが好ましい。
水添ブロック共重合体(a−1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、30,000〜500,000、好ましくは100,000〜400,000、より好ましくは150,000〜350,000、更に好ましくは200,000〜350,000の範囲であり、分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。数平均分子量(Mn)が前記下限値未満であると、耐熱性、耐傷付き性、耐油性が低下する。一方、上限値を超えると、流動性が悪くなり、射出成形ではショートショット、フローマークなどの外観不良が成形品に発生する。また、押出成形では、肌荒れ、目脂などの発生が顕著になる。なお、本発明における分子量はGPCにより、分子量が既知であるポリスチレンを基準として求めた値である。従って、該値は相対的な値であり、絶対値ではなく、更に、基準サンプル、装置、データ処理方法等GPCの各条件により±30%程度のばらつきが有り得る。
成分(a−1)の水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等を挙げることができる。
(a−2)低水添率水添ブロック共重合体エラストマー
(a)で用いる低水添率水添ブロック共重合体(a−2)成分は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックの共役ジエンに由来する脂肪族二重結合部分を90%未満水素化した低水添率水素化物である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体の共役ジエンブロックを水素率90%未満水添して得られる水添ブロック共重合体を挙げることができる。ここで、重合体ブロックAは、40重量%以下が好ましい。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50重量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50重量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
成分(a−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ構造は、任意に選ぶことができる。ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が下限は1%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、上限は95%以下、好ましくは80%以下、更に好ましくは75%以下である。
また、成分(a−2)の水添共重合体における共役ジエンブロックの共役ジエンに基づく脂肪族二重結合の水添率は、90%未満であり、好ましくは80%未満、更に好ましくは75%未満、特に好ましくは60%未満である。下限は、3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、更に好ましくは7%以上、特に好ましくは9%以上である。また、水添後の1,2−ビニル結合が0.5〜12%が好ましく、より好ましくは10%未満、更に好ましくは5%以下、より更に好ましくは3%以下である。水添率が90%を超えると、架橋効率が低下し耐熱性や耐油性が低下する傾向にある。
上記の構造を有する水添ブロック共重合体(a−2)のポリスチレン換算の数平均分子量は、10,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは10,000〜150,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
数平均分子量(Mn)が前記下限値未満であると、成形物の機械特性、耐熱性、耐傷付き性、耐油性が低下する。一方、上限値を超えると、流動性が悪くなり、射出成形ではショートショット、フローマークなどの外観不良が成形品に発生する。また、押出成形では、肌荒れ、目脂などの発生が顕著になる。なお、本発明における分子量はGPCにより、分子量が既知であるポリスチレンを基準として求めた値である。従って、該値は相対的な値であり、絶対値ではなく、更に、基準サンプル、装置、データ処理方法等GPCの各条件により±30%程度のばらつきが有り得る。
水素添加率90%未満の水添ブロック重合体成分(a−2)の具体例としては、ブタジエンブロックの1,2−結合が選択的に水素添加された部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)等を挙げることができる。また、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体等も挙げられる。本発明においては、該芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
エラストマー成分(a)中の(a−1)と(a−2)の配合割合は、成分(a)が10〜95重量%、好ましくは50〜85重量部であり、成分(a−2)が90〜5重量%、好ましくは50〜15重量%である。成分(a−1)が10重量%未満(成分(a−2)が90重量%を超える。)であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、耐熱性、機械特性が低下する。一方、成分(a−1)が95重量%を超える(成分(a−2)が5重量%未満である。)と、耐熱性や耐油性が低下する。また、流動性が不足し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪化する。
(2)ゴム用軟化剤(b)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いるゴム用軟化剤(b)成分は、非芳香族系ゴム用軟化剤成分でも芳香族系ゴム用軟化剤成分でもかまわず、また、エステル系可塑剤も使用できるが、特に、非芳香族系の鉱物油、エステル系可塑剤が好ましい。非芳香族系の鉱物油軟化剤としては、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系の軟化剤が挙げられる。
エステル系可塑剤の中で、環状可塑剤としては、例えば、無水フタル酸エステルおよびトリメリット酸エステル、さらにはN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、ジベンジルセバケート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジ−t−オクチルフェニルエーテル、ジプロパンジオールジベンゾエート、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、イソプロピリデンジフェノキシプロパノール、アルキル化ナフタレン、ポリエチレングリコールジベンゾエート、o,p−トルエンスルホンアミド、トリメチルペンタンジオールジベンゾエートおよびトリメチルペンタンジオール・モノイソブチレート・モノベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、無水フタル酸エステル及びトリメリット酸エステルが好ましい。
無水フタル酸エステルの代表的な例としては、例えば、ブチルオクチルフタレート、ブチル・2−エチルヘキシルフタレート、ブチル・n−オクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジ−トリデシルフタレート、n−ヘキシル・n−デシルフタレート、n−オクチル・n−デシルフタレート、アルキル・ベンジルフタレート、ビス(4−メチル−1,2−ペンチル)フタレート、ブチル・ベンジルフタレート、ブチル・シクロヘキシルフタレート、ジ(2−ブトキシエチル)フタレート、シクロヘキシル・イソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジエチルイソフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ(2−メトキシエチル)フタレート、ジメチルイソフタレート、ジノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)イソフタレート、混合ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、2−(エチルヘキシル)イソブチルフタレート、ブチル・フタリルブチルグリコレート、エチル(およびメチル)フタリルエチルグリコレート、ポリプロピレングリコール・ビス(アミル)フタレート、ヘキシル・イソデシルフタレート、イソデシル・トリデシルフタレート、イソオクチル・イソデシルフタレート等が挙げられる。
トリメリット酸エステルの代表的な例としては、例えば、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル・n−デシルトリメリテート、トリオクチルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−ヘキシル・n−デシルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートおよびトリイソノニルトリメリテート等が挙げられる。
また、非環状可塑剤としては、リン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、ミリスチン酸エステル、リシノレイン酸エステル、アセチルリシノレイン酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステル、エポキシ化エステル、さらには、1,4−ブタンジオール・ジカプリレート、ブトキシエチルペラルゴネート・ジ[(ブトキシエトキシ)エトキシ]メタン、ジブチルタータレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ジイソオクチルジグリコレート、イソデシルノナノエート、テトラエチレングリコール・ジ(2−エチル−ブチレート)、トリエチレングリコール・ジ(2−エチル−ヘキサノエート)、トリエチレングリコールジペラルゴネート及び分岐脂肪族二価アルコールのエステル化合物である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、アクリル系高分子等が挙げられる。
リン酸エステルの代表的な例としては、例えば、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、メチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ(2−ブトキシエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェートおよびトリオクチルホスフェートが挙げられる。
アジピン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート、ジオクチルアジペート(ジイソオクチルアジペートを含む)、n−ヘキシル・n−デシルアジペート、n−オクチル・n−デシルアジペートおよびジ−n−ヘプチルアジペートが挙げられる。
セバシン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブトキシエチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびジイソプロピルセバケートが挙げられる。
アゼライン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アゼラエート、ジシクロヘキシルアゼラエート、ジイソブチルアゼラエートおよびジイソオクチルアゼラエートが挙げられる。
アクリル系高分子可塑剤としては、(i)ラジカル重合性単量体と(ii)改質用化合物との混合物を、重合開始剤の存在下または非存在下に、反応させて得られる反応生成物からなる重合体が挙げられる。この重合体は、(ii)改質用化合物の重合体への結合様式がエステル結合である重合体が好ましく、(i)ラジカル重合性単量体として(メタ)アクリル酸を用い、かつ(ii)改質用化合物として脂肪族または脂環式アルコールを用いる重合体であってもよい。
アクリル系高分子可塑剤において、ラジカル重合性単量体(i)としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ及びジアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のアルケン;ブタジエン、イソプレン等のジエン;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライドおよびアリルアルコール等が挙げられる。
また、改質用化合物(ii)としては、シクロヘキシルアルコール等のシクロアルカノール;イソプロピルアルコール等のアルカノール;フルオロアルキルアルコール等のハロゲン基含有アルコール;エチレングリコール、ブタンジオール等のアルキレンジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロアルキレンジオール;末端に水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル等のポリマー等の水酸基含有改質剤、シクロヘキシルカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フルオロアルキルジカルボン酸、無水マレイン酸およびフマル酸等のカルボキシル基含有化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテートおよびエチルカルビトールアセテート等のエステル基含有改質剤、シクロヘキセン、シクロペンテンおよびイソブテン等のアルケンが挙げられる。
上記(i)と(ii)の組合せにおけるアクリル系重合体の例としては、(i)の(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸またはマレイン酸のモノアルキルエステル等と、(ii)の水酸基を有する化合物を用い、エステル化反応により、重合体に改質用化合物が導入された重合体が得られる。また、(i)のメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等のエステル基含有単量体と(ii)の水酸基を有する化合物を用いれば、エステル交換反応をさせることにより、機能性重合体が得られる。更に、(i)の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの水酸基含有単量体と(ii)のカルボキシル基またはエステル基含有化合物との反応によるエステル結合の形成により、機能性基を導入された重合体が得られる。更にまた、(i)の(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体と(ii)のアルケンを用いることによりカルボキシル基がエチレン性不飽和結合に付加反応してエステル結合が形成され、改質用化合物が導入した重合体が得られる。
本発明で用いることのできるアクリル系高分子可塑剤においては、上記(i)としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、メソオキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートが好ましく、中でもエチルアクリレートが主成分であることが最適である。
また、該アクリル系高分子可塑剤の重量平均分子量(Mw)は、500〜10000が好ましく、より好ましくは1000〜6000、更に好ましくは1000〜3000であり、粘度は、100〜9000mPa・sが好ましく、より好ましくは1000〜6000mPa・s、更に好ましくは3000〜5000mPa・sであり、Acetone−Water Toleranceから求めたSP値は、10.5〜16.5が好ましく、より好ましくは13〜16、さらに好ましくは14〜16である。
これらのエステル系化合物である可塑剤の中では、DINP、DINA、TOTMが特に好ましい。
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、5〜300重量部であり、好ましくは20〜150重量部である。配合量が5重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が低下し、成形性が悪化する。300重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物から軟化剤がブリードアウトしやすく、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。更に加工持の発生ガスが顕著になる。
(3)有機過酸化物(c)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる有機過酸化物成分(c)は、ラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、成分(a)を架橋せしめる働きをする。また、同時に、必要に応じて配合する成分(f)を成分(a)にグラフト重合させ、極性基含有樹脂等との相溶性を向上させる働きをする。更に、必要に応じて配合する成分(e)を分解して溶融混練時の組成物の流動性をコントロールしてゴム成分の分散を良好にせしめる。
成分(c)としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部である。配合量が0.01重量部未満では、架橋を十分達成できず、耐熱性、耐油性が悪くなる。一方、3重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の透明性、柔軟性、成形加工性が悪くなる。
(4)エステル系架橋助剤(d)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、エステル系架橋助剤成分(d)を用いることができる。成分(d)は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の上記の(c)有機過酸化物による架橋処理に際して配合することができ、これにより均一、かつ、効率的な架橋反応を行うことができる。また、多量に配合することにより、非芳香族系ゴム用軟化剤、特に、低分子量パラフィン系オイル等を適度に架橋し、熱可塑性エラストマー組成物からのブリードアウトを抑制することができる。
成分(d)の具体例としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは単独あるいは2種類以上を組み合わせても良い。これらの架橋助剤のうち、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレートが特に好ましい。
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、好ましくは0.02〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。10重量部を超えると、自己重合性により架橋の度合が低下して効果が得られなくなる。
(5)パーオキシド分解型オレフィン系樹脂(e)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、パーオキシド分解型オレフィン系樹脂成分(e)を配合することができる。成分(e)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。該成分は、パーオキシドの存在下に加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するオレフィン系の重合体又は共重合体であり、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどとの共重合体を挙げることができる。
上記オレフィン系共重合体のホモ部分のDSC測定による融点は、好ましくは、Tmが150〜167℃、△Hmが25〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。Tm、△Hmが上記の範囲外では、得られるエラストマー組成物の耐油性や100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
また、成分(e)のメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、200g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化する。
成分(e)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜25重量部が好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。25重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の透明性が悪化し、また熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
(6)石油系炭化水素樹脂(f)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、石油系炭化水素樹脂(f)を配合することができる。成分(f)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。石油系炭化水素樹脂は、石油類のスチームクラッキングで副生するC5留分を主に原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主に原料とする芳香族系石油樹脂、両者を共重合するC59共重合樹脂等があるが、下記に述べる範囲の軟化点及び溶融粘度を有する石油系炭化水素樹脂であれば、特に限定されないが、芳香族類を含有する共重合体系樹脂であることが好ましい。
成分(f)の軟化点は、80〜170℃であり、好ましくは110〜160℃の範囲のものである。軟化点が上記の範囲外では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性と圧縮永久歪みと成形加工性のバランスが悪化する。また、成分(f)の溶融粘度が10ポイズになる温度は、120〜250℃であり、好ましくは150〜240℃である。溶融粘度が10ポイズになる温度が120℃未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が悪化し、250℃を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が低下する。
成分(f)の好ましい例の市販品としては、芳香族系樹脂が挙げられ、特に芳香族モノマーとの共重合体であるEndex155(Eastman Chemical社製)やα−メチルスチレンとスチレンの共重合体であるKriatalex5140(Eastman Chemical社製)が挙げられる。
成分(f)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、1〜30重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。配合量が1重量部未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。30重量部を超えると、得られるエラストマー組成物の成形性が悪くなると共に、エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
(7)その他の成分(g)
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の成分の他に、更に必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(f)の合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(c)、又は必要に応じて成分(d)〜(g)を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜220℃である。
3.熱可塑性エラストマー組成物の用途
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性に富み、成形加工性に優れ、特に透明性、耐熱変形性、耐油性に優れているため、特に、電線・電気部品、工業機械部品、医療機器部品、食品関連部品、自動車部品、建材等に使用することができる。
具体的には、電線・電気部品としては、例えば、コネクター、スイッチカバー、プラグ、ガスケット、グロメット、ケーブルジャケットカールコード、電線絶縁被覆等が挙げられ、工業機械部品としては、例えば、耐圧ホース、ダイヤフラム、ガスケット、パッキング、キャスター、グロメット、ローラーカップリンググリップ、ホース等が挙げられ、医療機器・食品関連部品としては、例えば、シリンジチップ、薬栓、グロメット、採血管キャップ、キャップシール等が挙げられ、自動車部品としては、例えば、CVJブーツ、ラックアンドオピニオンブーツ、ショックアブソーバーダストブーツ、バキュームコネクター、エアーダクト、チューブ、ランチャンネル、グロメット、ハンドルカバー、エアーバッグアウターカバーステアリング、マッドガード等が挙げられ、建材としては、例えば、窓枠シール、エクスパンションジョイント、スポンジシール、手摺被覆、階段滑り止め等が挙げられる。また、その他の用途として、例えば、ペングリップ、自転車グリップ、歯ブラシグリップ等のグリップ材、おもちゃ用部品、マット類、ゴーグル、防塵・防毒マスク、靴底等が挙げられる。
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性の測定法及び試料を以下に示す。
1、試験方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを用いて測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 6253に準拠し、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
(3)引張強さ:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。(室温及び100℃で測定)
(4)100%伸び応力:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(5)破断伸び:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(6)圧縮永久歪み(CS%):JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシート使用し、100℃×72時間、25%変形の条件にて測定した。
(7)体積変化率:JIS K 6258に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。IRM#902号油を使用し、70℃×72時間の重量変化を測定した。
(8)透明性:得られた厚さ0.15μmのフィルムをJIS K 7105に準拠して、下記の装置を用い、ヘイズ(曇価)を測定した。測定器:東洋精機製作所社製、直読ヘイズメーター
(9)射出成形性:型締め圧120トンの射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600kg/cm2、保圧圧力400kg/cm2、射出時間6秒、冷却時間45秒で13.5×13.5×2mmのシートを成形した。デラミネーション、表層剥離、変形及び著しく外観を悪化させるようなフローマークの有無を目視により判断し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(10)押出成形性:50mm×1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(11)耐ブリード性:折り曲げてクリップで固定した押出シートを室温と110℃の雰囲気で168時間放置し、低分子量物のブリード及びブルーミングの有無を目視により観察し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(12)共役ジエンブロック部分の水素添加率:試料をNMRサンプル管(5mmφ)に採取し、重水素化クロロホルムを添加後、充分に溶解し、核磁気共鳴装置(NMR)日本電子製GSX−400型を用い常温、400MHz、3029回の積算にて1H−NMR測定を行い、水素添加率を求めた。
2.実施例及び比較例において用いた試料
(1)高水添率水添ブロック共重合体成分(a−1):セプトン4077(SEPS;クラレ株式会社製)、スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、共役ジエンブロックの水素添加率:90%以上
(2)低水添率水添ブロック共重合体成分(a−2):タフテックPシリーズJT90C(SBBS;旭化成株式会社製)、スチレン含有量:30重量%、重量平均分子量(Mw):110,000、数平均分子量(Mn):99,000、分子量分布:1.11、ブタジエンブロックの水素添加率:75.1%、(1,2−ブタジエンの水素添加率92.7%、1,4−ブタジエンの水素添加率61.0%)
(3)ゴム用軟化剤成分(b):PW90(パラフィン系鉱物油軟化材、商標;出光石油化学株式会社製)、数平均分子量980
(4)有機過酸化物成分(c):パーヘキサ25B(2,5−ジメチル2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン;日本油脂株式会社製)
(5)エステル系架橋助剤成分(d):TMPT(Trimethylol Propane Trimethacrylate;新中村化学株式会社製)分子量:338、(6)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂成分(e):PP−BC8(ポリプロピレン(PP);日本ポリケム株式会社製)、結晶化度:Tm166℃、△Hm82mJ/mg、MFR1.8g/10分(7)α−メチルスチレンとスチレンの共重合体系石油樹脂成分(f):Kristalex5140(商標;Eastman chemical社製)、軟化点;137〜143℃、比重;1.07、180℃の溶融粘度;10ポイズ(8)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤成分(g):HP2215(チバスペシャリティケミカルズ製)
実施例1〜3、比較例1〜6
表1に示す量の各成分を用い、L/Dが47の二軸押出機に投入して、混練温度180℃、スクリュー回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1に示す。
Figure 2008174760
表1より明らかなように、実施例1〜3の本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、任意成分である成分(d)〜(g)の有無にかかわらず、いずれの熱可塑性エラストマー組成物も良好な性状を示した。
一方、比較例1及び2は、成分(a)中の(a−1)と(a−2)の配合割合を本発明の範囲外にしたものである。成分(a−1)が少な過ぎると、成形性や柔軟性が低下し、成分(a−1)が多すぎると耐熱性や耐油性が低下する。比較例3及び4は、成分(b)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(b)が少な過ぎると、柔軟性が低下する。成分(b)が多過ぎると機械特性が低下し、製品表面のベタツキやブリードアウトが顕著になる。比較例5及び6は、成分(c)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(c)が少な過ぎると、耐熱性や耐油性が低下する。成分(c)が多過ぎると透明性、柔軟性、成形加工性が悪化する。
参考に、成分(a−2)タフテックP JT90Cの代わりに、SBS(水添率0%)アサプレンT−430を使用したところ、若干透明性の低下が見られた。

Claims (6)

  1. (a)(a−1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックを90%以上水素添加して得られる水添ブロック共重合体10〜95重量%と(a−2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の共役ジエンブロックを90%未満水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜90重量%とからなるエラストマー100重量部に対して、(b)ゴム用軟化剤5〜300重量部、及び(c)有機過酸化物0.01〜3重量部を含有する組成物を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. (a−1)水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量が100,000〜400,000の範囲であり、(a−2)水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜200,000の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. (d)エステル系架橋助剤0.02〜10重量部を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. (e)パ−オキサイド分解型オレフィン系樹脂1〜25重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. (f)軟化点が80〜170℃、および溶融粘度が10ポイズになる温度が120〜250℃である石油系炭化水素樹脂1〜30重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とするホース材、チューブ材、グリップ材、フィルム材、シート材または表皮材。
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