JP2008170648A - 光拡散板およびその製造方法 - Google Patents

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Yoshihisa Mizuno
善久 水野
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和洋 中村
Daisuke Yamazaki
大輔 山崎
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Abstract

【課題】隠蔽性に優れ、かつ2枚の偏光板と組み合わせた場合の表示コントラストが良好な光拡散板およびその製造方法を提供すること
【解決手段】上記光拡散板は、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%である樹脂シートを、表面粗度が0.3s以下の金属ロールと表面粗度が0.3s以下の金属ベルトとの間に挟み、該金属ロールの温度が前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より20〜50℃低い条件で引き取ることにより製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂と特定の平均粒子径の粒子とを含み、残留位相差が小さい光拡散板およびその製造方法に関する。
液晶表示装置の光源として用いられるバックライトには、その輝度の均一性を確保するために、通常、光拡散板が使用される。特に、大型の液晶表示装置の光源として用いられる、複数の冷陰極管の上に光拡散板を配置させた、いわゆる直下型のバックライトの場合には、輝度の均一性確保が重要な技術的課題となっており、透明な熱可塑性樹脂中に有機あるいは無機の微粒子を分散させた光拡散性の熱可塑性樹脂組成物を用いた光拡散板が実質的に必須の部材として用いられている(特開2006−2024号公報)。
これらの拡散機能付与のための粒子には、ガラス、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ジルコニア、シリコン樹脂などの無機粒子、アクリルモノマーやスチレンモノマーなどを主成分として重合・架橋した有機粒子状ポリマーが用いられている。さらに、光拡散性能と明るさのバランスを向上させるために中空を有する粒子状物質も用いられている(特開2006−2024号公報)。
また、二枚の偏光板の間に光拡散層を設けることにより拡散状態を得ることができ、これを利用して光源を隠蔽化するという技術(特開2006−98937号公報)が用いられる場合もある。しかし、この技術では、偏光板の間に光拡散層として積層する材質の歪などが原因となり、光学歪に起因する光漏れなどが発生するという問題があるが、未だこの問題を解決するには至っていない。
特開2006−2024号公報 特開2006−98937号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、隠蔽性に優れ、かつ2枚の偏光板と組み合わせた場合の表示コントラストが良好な光拡散板およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定の条件で製造した光拡散板が、隠蔽性に優れ、かつ残留位相差が小さく、2枚の偏光板と組み合わせた場合の表示コントラストが良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る光拡散板の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値が、0.03〜0.08の範囲にあり、かつ、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%である樹脂シートを、表面粗度が0.3s以下の金属ロールと表面粗度が0.3s以下の金属ベルトとの間に挟み、該金属ロールの温度が前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より20〜50℃低い条件で引き取ることを特徴とする。
前記樹脂シートの引取速度は2〜8m/minであることが好ましい。また、前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%である樹脂組成物を、前記熱可塑性樹脂(A)
のガラス転移温度より100〜130℃高い温度で溶融押出して得られたシートであることが好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)は環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。
本発明に係る光拡散板は、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%であり、残留位相差が20nm以下であることを特徴とする。この光拡散板において、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値は0.03〜0.08の範囲にあることが好ましく、また、この光拡散板は、さらに、蛍光増白剤を含有することが好ましい。
本発明によると、隠蔽性に優れ、かつ残留位相差が小さい光拡散板が得られる。また、この光拡散板を2枚の偏光板で挟んだ光学部材は表示コントラストが良好である。
本発明に係る光拡散板は、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を0.1〜10重量%の含有率で含み、残留位相差が20nm以下である。また、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値が、0.03〜0.08の範囲にある。このような光拡散板は、熱可塑性樹脂(A)と上記平均粒子径の粒子(B)を上記含有率で含む樹脂シートを特定の条件で引き取ることにより製造できる。
(A)熱可塑性樹脂:
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)としては、光学フィルムとして用いられる熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリサルホン樹脂(PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリパラフェニレン樹脂(PPP)、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂(PEPO)、ポリイミド樹脂(PPI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)などを挙げることができる。これらのうち、光学特性、耐熱性および成形性のバランスに優れた環状オレフィン系樹脂が特に好ましく用いられる。
上記環状オレフィン系樹脂(以下、「環状オレフィン系樹脂(A)」ともいう)としては、下記式(I)で表される環状オレフィン(以下、「環状オレフィン(I)」ともいう)の(共)重合体が挙げられる。
Figure 2008170648
式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、R1とR2、またはR3とR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。
より具体的な環状オレフィン系樹脂(A)としては、
(1)環状オレフィン(I)の開環重合体(以下、「重合体(1)」ともいう)、
(2)環状オレフィン(I)と共重合性単量体との開環共重合体(以下、「重合体(2)」ともいう)、
(3)重合体(1)または重合体(2)の水素添加(共)重合体(以下、「重合体(3)」ともいう)、
(4)重合体(1)または重合体(2)をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体(以下、「重合体(4)」ともいう)、
(5)環状オレフィン(I)と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体(以下、「重合体(5)」ともいう)、
(6)環状オレフィン(I)と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体との付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体(以下、「重合体(6)」ともいう)、
(7)環状オレフィン(I)とアクリレートとの交互共重合体(以下、「重合体(7)」ともいう)
が挙げられる。これらのうち、透明性等が優れる点で重合体(3)が特に好ましく用いられる。
<環状オレフィン(I)>
上記式(I)における1価の有機基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、炭化水素基以外の1価の極性基が挙げられる。上記1価の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基などの極性を有する2価の有機基からなる連結基を介して結合した炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの極性基のうち、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が特に好ましい。
上記式(I)で表される環状オレフィンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記式(I)で表される環状オレフィンとしては、たとえば、以下の化合物が例示できるが、これらの化合物に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、など。
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、など。
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、など。
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、など。
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、など。
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、など。
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、など。
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、など。
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、など。
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、など。
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、など。
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、など。
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、など。
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、など
を挙げることができる。
このような環状オレフィンのうち、上記式(I)において、R1およびR3がそれぞれ独立に、水素原子または炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1もしくは2の炭化水素基、好ましくはアルキル基、特に好ましくはメチル基であり;R2およびR4がそれぞれ独立に水素原子または1価の有機基であり、かつR2およびR4のうちの少なくとも1つが水素原子または上記1価の極性基であり;mは0〜3の整数が好ましく、pは0〜3の整数が好ましく、より好ましくはm+pが0〜4、特に好ましくはm+pが0〜2であり、最も好ましくはm=1、p=0である環状オレフィンが望ましい。m=1、p=0である環状オレフィンは、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度も優れた環状オレフィン系樹脂が得られる点で最も好ましい。
さらに、R2およびR4のうちの少なくとも1つが、下記式(II)で表される極性基である環状オレフィンは、高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
−(CH2nCOOR (II)
上記式(II)中、Rは炭素数が好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1または2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常0〜5であり、nの値が小さい環状オレフィンほど、ガラス転移温度が高い環状オレフィン系樹脂が得られるため好ましく、nが0である環状オレフィンは合成が容易である点で特に好ましい。
特に、上記式(II)で表される極性基は、アルキル基であるR1またはR3が結合している炭素原子に結合していることが、吸湿性の低い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
重合体(1)および重合体(2):
上記重合体(1)および重合体(2)は、メタセシス触媒の存在下で、上記環状オレフィンを開環重合させる、または上記環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させることにより得ることができる。
<共重合性単量体>
重合体(2)に用いられる共重合性単量体としては、シクロオレフィンが挙げられ、炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは5〜12のシクロオレフィンが望ましい。より具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。これらのシクロオレフィンは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記環状オレフィンと上記共重合性単量体との使用割合は、重量比(環状オレフィン/共重合性単量体)で100/0〜50/50が好ましく、100/0〜60/40が好ましい。なお、「環状オレフィン/共重合性単量体=100/0」は、環状オレフィンの単独重合における使用割合を意味する。
<開環重合用触媒>
開環(共)重合反応において用いられるメタセシス触媒は、下記の化合物(a)と化合物(b)との組合せからなる触媒である。
(a)W、MoおよびReから選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物。
(b)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)およびIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物であって、前記元素と炭素との結合または前記元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
また、上記メタセシス触媒は、その活性を高めるために、後述の添加剤(c)を含んでいてもよい。
上記化合物(a)の具体例としては、WCl6、MoCl6、ReOCl3など、特開平
1−132626号公報の第8頁左上欄下から第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物を挙げることができる。
上記化合物(b)の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、L
iHなど、特開平1−132626号公報の第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
上記添加剤(c)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、さらに特開平1−132626号公報の第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に記載の化合物を使用することもできる。
上記化合物(a)と化合物(b)との割合は、金属原子比〔(a):(b)〕で、通常1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30である。
上記添加剤(c)と化合物(a)との割合は、モル比〔(c):(a)〕で、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1である。
メタセシス触媒の使用量は、上記化合物(a)と環状オレフィンとのモル比〔(a):環状オレフィン〕が通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量である。
<重合反応用溶媒>
開環(共)重合反応において、溶媒は、後述する分子量調節剤溶液を構成する溶媒や、環状オレフィンおよび/またはメタセシス触媒の溶媒として使用される。このような溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、溶媒と環状オレフィンとの重量比(溶媒:環状オレフィン)が、通常
1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
<分子量調節剤>
得られる開環(共)重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。また、これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される環状オレフィン1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
上記開環共重合体は、環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させて得ることができるが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で環状オレフィンを開環共重合させてもよい。
(3)水素添加(共)重合体:
上記開環(共)重合体は、そのままでも用いることができるが、さらにこれを水素添加して得られる水素添加(共)重合体(3)は、耐衝撃性に優れた樹脂として有用である。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環(共)重合体を含む溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
<水素添加触媒>
上記水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられる触媒を使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。これらの触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環(共)重合体と水素添加触媒との重量比(開環(共)重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用することが好ましい。
上記水素添加(共)重合体(3)は、優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品として使用する際の加熱によっても、その特性が劣化することはない。
水素添加(共)重合体(3)の水素添加率は、500MHzの条件で1H−NMRによ
り測定した値が、通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れ、長期にわたって安定した特性を有する光拡散板を得ることができる。
また、上記水素添加(共)重合体(3)は、ゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、特に1重量%以下であることが好ましい。
(4)水素添加(共)重合体:
上記水素添加(共)重合体(4)は、上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加することにより得ることができる。
上記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は、特に限定されず、たとえば、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。
上記酸性化合物として具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl
、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸、ブレンステッド酸が挙げ
られる。
環化された開環(共)重合体は、上記開環(共)重合体の水素添加反応と同様にして、水素添加することができる。
(5)飽和共重合体:
上記飽和共重合体(5)は、付加重合触媒の存在下で、上記環状オレフィンに不飽和二重結合含有化合物を付加重合させることにより得ることができる。付加重合法は従来公知の方法を適用できる。
<不飽和二重結合含有化合物>
不飽和二重結合含有化合物としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン系化合物を挙げることができ、これらのうち、炭素数が好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8のオレフィン系化合物が望ましい。
不飽和二重結合含有化合物の使用量は、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との重量比(環状オレフィン/不飽和二重結合含有化合物)で、90/10〜40/60が好ましく、85/15〜50/50がより好ましい。ただし、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との合計重量を100とする。
<付加重合触媒>
付加重合触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、助触媒として有機アルミニウム化合物との組み合わせが挙げられる。
上記チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを挙げることができ、ジルコニウム化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができ、バナジウム化合物としては、下記式
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が挙げられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。この有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる化合物の使用量(2種以上を併用する場合はそれらの合計量)と有機アルミニウム化合物の使用量との割合は、チタン原子等に対するアルミニウム原子の比(Al/Ti等)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
上記付加重合反応において用いられる溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
また、飽和共重合体(5)の分子量の調節は、通常、水素を用いて行うことができる。
(6)付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体:
上記付加型(共)重合体(6)は、上記環状オレフィンに、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体を付加重合させることにより得ることができる。
<ビニル系環状炭化水素系単量体>
上記ビニル系環状炭化水素系単量体としては、たとえば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。これらの単量体のうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<シクロペンタジエン系単量体>
上記シクロペンタジエン系単量体としては、たとえば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらの単量体のうち、シクロペンタジエンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記付加重合反応は、飽和共重合体(5)における付加重合反応と同様にして実施することができる。
上記付加型(共)重合体(6)の水素添加(共)重合体は、上記付加型(共)重合体(6)を、上記水素添加(共)重合体(3)と同様の方法により水素添加することにより得ることができる。
(7)交互共重合体:
上記交互共重合体(7)は、ルイス酸等の存在下で上記環状オレフィンとアクリレートとをラジカル重合させることにより得ることができる。
<アクリレート>
上記アクリレートとしては、たとえば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート;グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート;ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート;イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
上記環状オレフィンとアクリレートとの割合は、これらの合計を100モルとして、通常、環状オレフィンが30〜70モル、アクリレートが70〜30モルであり、好ましくは、環状オレフィンが40〜60モル、アクリレートが60〜40モルであり、特に好ましくは、環状オレフィンが45〜55モル、アクリレートが55〜45モルである。
上記ルイス酸の使用量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルが好ましい。
また、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
重合反応温度は、通常−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
なお、本発明における「交互共重合体」とは、環状オレフィンに由来する構造単位同士が隣接しない共重合体、すなわち、環状オレフィンに由来する構造単位の隣には必ずアクリレートに由来する構造単位が結合している共重合体を意味する。ただし、アクリレート由来の構造単位同士は隣接して存在していてもよい。
上記環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常130℃以上、好ましくは130〜350℃、さらに好ましくは130〜250℃、特に好ましくは140〜200℃である。Tgが上記範囲にある樹脂は、高温条件下での使用やコーティングおよび印刷などの加熱を伴う二次加工においても変形しにくく、また、成形加工性に優れ、成形加工時の熱による樹脂の劣化も起こりにくい。
(B)粒子:
本発明に用いられる粒子(B)は粒子の表面が無機または有機のポリマー成分からなる粒子であれば、1成分からなるものでも良いし、例えばコアシェル型粒子のような2成分以上からなる複合粒子でも良い。粒子の外形状は特に限定されないが、実質的に表面に角部を有しない球状の粒子は、得られる光拡散板の光拡散性と明るさとのバランスが優れる点で好ましい。
上記粒子(B)の平均粒子径は、1.5〜20μmであり、好ましくは5〜18μmで
あり、特に好ましくは10〜15μmである。平均粒子径が上記範囲にある粒子を用いると十分な拡散効果が得られる。一方、平均粒子径が1.5μm未満になると拡散効果が十分に発現せず、シート上に像を結ぶことができない。また、平均粒子径が20μmを超えると目視でも表面が平滑なシートを得ることができず、反射光が増加しすぎて、拡散光を効率よく利用できなくなる。なお、本発明において、粒子の平均粒子径は光遮断式パーティクルカウンターを用いて測定された粒子径の平均値を意味する。
上記粒子(B)の屈折率nDは、1.44〜1.54が好ましく、1.45〜1.52
がより好ましい。屈折率が上記範囲にある粒子を用いると光拡散効果が発現するが、この範囲内にない粒子を用いると、添加量が少ない場合には像が結ばれず、添加量が多い場合には光量が少なくなり、明るい画像を得ることができなくなる。また、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値は、0.03〜0.08の範囲にある。屈折率の差の絶対値が上記範囲にある熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)とを選択すると、拡散光により拡散板上に画像を結ぶことができる程度に光を利用できるため好ましい。
上記粒子(B)としては、上記特性を有する粒子であれば、公知の無機粒子および/または有機粒子を用いることができる。無機粒子としては、たとえば、ガラス、SiO2
CaCO3、およびポリオルガノシロキサン系化合物などの無機粒子が挙げられる。有機
粒子としては、アクリル系またはスチレン系などの有機架橋粒子などが挙げられる。これらの粒子のうち、熱可塑性樹脂(A)との親和性や成形加工性などを考慮すると有機架橋粒子が好ましい。この有機架橋粒子は、以下のように架橋性モノマーと他の重合性モノマーとを重合させることにより得ることができる。
上記架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼンなどの非共役ジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多価アクリレート化合物等、2個以上、好ましくは2個の共重合性二重結合を有する化合物が好ましい。
上記多価アクリレート化合物としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物が挙げられる。
上記架橋性モノマーのうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。また、上記架橋性モノマーは単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
他の重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビ
ニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和脂肪酸;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系モノマーなどを挙げることができる。
上記樹脂シートを、射出成形や押出成形など、熱可塑性樹脂を加熱溶融する温度で成形する場合、上記有機粒子が熱可塑性樹脂の加熱溶融温度で溶融しないことが望ましい。また、上記樹脂シートを有機溶媒を用いて調製する場合には、上記有機粒子は有機溶媒に溶解しないことが好ましい。
〔樹脂シート〕
上記樹脂シートは、上記熱可塑性樹脂(A)と上記粒子(B)を含有する光拡散性樹脂組成物を、シート状に成形することにより製造できる。
<光拡散性樹脂組成物>
上記光拡散性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂(A)と上記粒子(B)を含有し、これらの合計100重量%に対して粒子(B)の含有率は0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜3重量%である。粒子(B)を上記範囲で配合すると、像を結像させながら、光量を低下させない拡散板を得ることが可能となる。
また、上記光拡散性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、たとえば、樹脂シートの色相を改良する目的で、蛍光増白剤を配合してもよい。
上記光拡散性樹脂組成物の調製方法、すなわち、上記熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との配合方法は、特に限定されず、公知の方法でブレンドすることができる。たとえば、(1)熱可塑性樹脂(A)を可溶な溶媒に溶解した状態で粒子(B)を分散させ、公知の方法で溶媒を除去して上記樹脂組成物を得る方法
(2)熱可塑性樹脂(A)を溶融させた状態で粒子(B)を分散させる方法
などが挙げられる。
上記(1)の調製方法において、熱可塑性樹脂(A)を含む溶液として、重合後の溶液、水素添加後の溶液、触媒除去後の溶液、濃縮された溶液、ペレット状の熱可塑性樹脂(A)を溶解した溶液などを用いることができる。
また、ブレンド方法は特に限定されず、たとえば、公知の攪拌機を用いて混合する方法、あるいは熱可塑性樹脂(A)を含む溶液と粒子(B)とを同時に公知の押出機へ供給し、さらに同時に脱溶媒と分散とを行う方法が挙げられる。
一方、上記(2)の調製方法としては、たとえば、公知の単軸または二軸の押出機を用いる方法が挙げられる。押出機のシリンダー径は通常10〜100mmである。スクリューは公知のものを用いることができ、たとえば、単軸の場合は、フルフライト、サブフライトを組み合わせたもの、ダルメージを組み込んだもの、スクリューピッチまたは溝深さが同一スクリューにおいて変化するものが挙げられる。二軸の場合は、2条または3条のスクリュー、異方向または同方向回転のスクリュー、スクリューパーツを自由に組み合わせられるスクリューの場合にはスクリューパーツの形状をスクリュー、逆送りスクリュー、パドル式スクリュー、ヘリカルパドル式スクリューなどから自由に選択して組み込むことが可能である。
押出機は1台のみを使用してもよいが、2台以上を連結したもの、連続式およびバッチ
式のニーダーと組み合わせたものを使用してもよい。押出機には、複数のフィーダーにより原料を供給してもよい。また、粒子(B)を押出機の途中から供給してもよい。
また、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)とを、公知のタンブラー式または回転式などのブレンダーや、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機を用いて予め固体の状態で混合した後、押出機に供給して熱可塑性樹脂(A)中に粒子(B)を分散させてもよい。
上記熱可塑性樹脂(A)、または熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)の双方を、予め、公知の方法で乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、熱風乾燥、除湿乾燥、真空乾燥、窒素乾燥などが挙げられる。乾燥温度や乾燥時間は特に限定されるものではないが、通常、(Tg−100℃)〜(Tg−20℃)の範囲で任意に設定することが可能であり、乾燥時間は、通常2〜6時間の範囲で設定する。
押出機のホッパー、投入口、ベント口、ダイス面などを窒素またはアルゴンなどの不活性ガスでシール(封入)することも好ましい。
上記光拡散性樹脂組成物は、光拡散板を成形した場合に目視で判別できる大きさ、好ましくは50μm以上の大きさの異物が可能な限り存在しないことが好ましい。このような異物の含有量は5個/10g以下、好ましくは3個/10g以下、さらに好ましくは0個/10gが望ましい。
異物の含有量は、上記樹脂組成物をトルエン、シクロヘキサンなど樹脂溶解性を有する溶媒に溶解し、フィルターでろ過した後、顕微鏡で観察して、その大きさおよび個数を計数することにより測定できる。また、熱可塑性樹脂を上記溶媒に溶解し、フィルターでろ過した後、光散乱を原理とする市販の微粒子カウンターを使用して計数してもよい。
また、上記光拡散性樹脂組成物は、後述する成形加工に供する前に、予め、公知の方法で溶存する水分や酸素成分を除去することが好ましい。光拡散性樹脂組成物が粒子あるいはペレットなどの固体形状の場合でも公知の方法で乾燥を行うことができる。乾燥装置としては、熱風乾燥機、除湿乾燥機、窒素循環式乾燥機、除湿窒素循環式乾燥機、真空乾燥機など、公知の乾燥装置を用いることができる。これらの乾燥装置のうち、色相均一性を有する成型品が得られやすい点で、減圧乾燥機または窒素などの不活性ガスの循環による乾燥機を使用することが好ましい。
乾燥温度や乾燥時間は特に限定されるものではないが、通常、Tg−100℃〜Tg−20℃の範囲で任意に設定することが可能であり、乾燥時間は、通常2〜6時間の範囲で設定する。
<樹脂シート>
本発明に用いられる樹脂シートは、上記光拡散性樹脂組成物をシート状に成形することにより得られる。この樹脂シートは、上記熱可塑性樹脂(A)と上記粒子(B)とを含有し、これらの合計100重量%に対して粒子(B)の含有率は0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜3重量%である。シート状に成形する方法は公知の方法を採用することができるが、設備を簡素にして、設備費を抑制する観点から、溶融押出法により成形することが好ましい。
上記樹脂シートを溶融押出する方法としては、通常の押出機で光拡散性樹脂組成物を溶融して、これをギアポンプで定量的に計量し、スリット状の出口を持つダイを通して押し出し、シート状またはフィルム状に引き伸ばす方法が挙げられる。
光拡散性樹脂組成物の溶融温度は、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より100〜150℃高い温度が好ましく、100〜140℃高い温度がより好ましい。熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度と光拡散性樹脂組成物の溶融温度の差が上記範囲にあると、加工温度での樹脂の焼け発生などのデメリットが発生しにくいため、ダイラインなどのシート表面に発生する欠陥を抑制することが可能となる。
押出成形に用いる好ましい押出機としては、長さ(L)と径(D)との比(L/D)が28以上40以下であり、スクリュウ径が、押出量により決定するが、通常30mm〜125mmの押出機が挙げられる。L/Dが上記範囲にあると、好適な滞留時間が得られ、本発明の樹脂組成物を十分に溶融することができる。また、スクリュウ径が30mm未満であると、計量が安定せず、また生産性が低くなることがあり好ましくない。また、125mmを超えると、計量後、原料が滞留しやすくなるため好ましくない。
シート等の膜厚安定性などを図るために、ギアポンプを用いることも好ましい。ギアポンプとしては公知のものを用いることができるが、特に潤滑に使用した樹脂を排出する方式である外潤式が好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物を膜状に引き伸ばすためのダイとしては、Tダイが好ましく用いられ、その形状として、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイなどが挙げられ、コートハンガーダイが特に好ましい。マニホールドの形状は特に制限はないが、滞留が小さいものが好ましい。また、Tダイの先端は、シャープエッジであることが好ましく、エッジに欠損があると、ダイラインの原因となりうるので好ましくない。特に、溶射などの手法によりタングステン−カーバイドなどの超硬コーティングを施すエッジ処理がダイラインの防止に好都合である。
〔光拡散板〕
本発明に係る光拡散板は、上記樹脂シートを表面粗度が0.3s以下の金属ロールと表面粗度が0.3s以下の金属ベルトとの間に挟んで引き取ることによって製造できる。このとき、金属ロールの温度を、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度Tgより20〜50℃低い温度、好ましくは25〜45℃低い温度に設定する。金属ロールの温度を上記範囲に設定すると、シートにそりなどの変形が発生しにくく、残留位相差を発生させる歪の原因を作りにくくなる。また、樹脂シートの引取速度は、2〜8m/minが好ましく、2〜6m/minがより好ましい。特に好ましくは、2.5〜5m/minである。引取速度が
上記範囲にあるとシートの厚みバランスを悪化させずに、表面外観の良好なシートを得ることができる。
金属ロールおよび金属ベルトの材質は、鉄、ステンレス、ハードクロームメッキを施した鉄などが好ましい。また、離型性を改良するために、溶射などにより、酸化アルミニウムや酸化クロムなどの金属酸化物やタングステンやタングステンカーバイドなどの超硬金属などで鉄やステンレスに処理を施すことも好ましい。
このようにして製造された光拡散板は、隠蔽性に優れるとともに、残留位相差が小さく、たとえば、偏光板と組み合わせた場合でも表示コントラストが良好である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重量%」である。
(ガラス転移温度:Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度20℃/分、窒素気
流下で測定した。
(平均粒子径)
粒度分布測定装置(日機装社製 マイクロトラックUAP150)を用いて光散乱法により粒度分布を測定した。得られた粒度分布を対数確率紙にプロットし、累積が50%となった粒径を平均粒子径とした。
(屈折率)
粒子を60メッシュの金網でろ過し、ろ滓に屈折率標準液(Cargille社製)を滴下して混合した後、光学顕微鏡で観察し、粒子の輪郭が見えなくなる標準液のd線の屈折率を、粒子の屈折率値とした。測定は25℃で実施した。
(全光線透過率およびヘイズ)
光拡散板の全光線透過率およびヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩研究所製HM−150)を用いてASTM D1003に準拠して測定した。
(残留位相差)
光拡散板の残留位相差は、得られた光拡散板をA4版サイズに切削して試験片を作製し、微小面積複屈折計(王子計測株式会社製KOBRA−CCD)を用いて、測定した。
(表示コントラスト)
偏光板A(株式会社ルケオ製POLAX−38S)の上に光拡散板を貼りあわせ、この上に、光軸が偏光板Aの光軸と直交するように偏光板B(株式会社ルケオ製POLAX−38S)を貼りあわせて、光学部材Cを作製した。一方、偏光板Aの上に光拡散板を貼りあわせ、この上に、光軸が偏光板Aの光軸と平行になるように偏光板Bを貼りあわせて、光学部材Pを作製した。光学部材CおよびPについて、以下の方法により輝度を測定し、下記式よりコントラストLを求めた。
L=光学部材Pの輝度/光学部材Cの輝度
光学部材をライトボックス(電通産業株式会社製、大型面照明、輝度:9000cd/m2)から300mmの位置に配置し、輝度計(コニカミノルタ株式会社製LS−110
)を用いて光学部材を透過した光の輝度を測定した。
なお、上記偏光板1枚の透過光の輝度は4500cd/m2、上記偏光板A、Bを光軸
が直交するように貼りあわせた光学部材の透過光の輝度は15cd/m2、上記偏光板A
、Bを光軸が平行になるように貼りあわせた光学部材の透過光の輝度は4000cd/m2であった。従って、2枚の偏光板のみのコントラストは270であった。
(隠蔽性)
光拡散板の四隅をクリップで留めてスクリーン状に立てて配置し、これに液晶プロジェクター(セイコーエプソン株式会社製、型番EMP−1710)を用いて光拡散板の背面から映像を写し、光拡散板の前面から目視により観察し、下記基準で隠蔽性を評価した。
A:プロジェクターの光源の輪郭が見えない。
B:プロジェクターの光源の輪郭が見える。
環状オレフィン系樹脂(JSR株式会社製、商品名:アートンD4531、Tg=130℃、屈折率=1.515)97.5重量部と拡散粒子(積水化成品工業株式会社製、商品名:テクポリマーSBX−12、屈折率nD=1.59、平均粒子径12μm)2.5
重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、さらに、蛍光増白剤(チバスペシャリティケミカルズ製、商品名:UVITEX OB−ONE)30ppmを混合し、光拡散性樹脂組成物A1を調製した。
この樹脂組成物A1を、除湿乾燥機を用いて90℃で2時間乾燥させ、表面の水分を除去した。その後、重量フィーダーを用いて二軸押出機(東芝機械株式会社製TEM−37)に定量供給して270℃で上記樹脂組成物A1をペレット化した。
ペレット状の上記樹脂組成物A1を、除湿乾燥機を用いて100℃で4時間乾燥させた後、265℃で溶融し、ギアポンプを用いて単軸押出機(株式会社ジーエムエンジニアリング製、スクリュー外径D=75mm、L/D=36)に80kg/hrで定量供給し、幅600mmのコートハンガー型Tダイを使用して270℃で溶融押出して樹脂シートA1を得た。
0.3mm厚の無端金属ベルト(表面粗度0.2s)と金属ロール(表面粗度0.1s)を有するスリーブ式引取装置を用いて、上記樹脂シートA1を、ともに80℃に調整した金属ベルトと金属ロールとの間に挟み、2.5m/minの速度で引き取り、1mm厚の光拡散板A1を作製した。
得られた光拡散板A1について評価した結果を表1に示す。
スチレン95重量部とジビニルベンゼン5重量部とを共重合して架橋粒子(屈折率nD
=1.592、平均粒径11μm)を調製した。テクポリマーSBX−12の代わりにこの架橋粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして1.0mm厚の光拡散板B1を作製した。
得られた光拡散板B1について評価した結果を表1に示す。
環状オレフィン系樹脂の量を98.7重量部、拡散粒子の量を1.3重量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂シートA2(厚さ1.0mm)を作製した。
この樹脂シートA2を用い、引取速度を3m/minに変更した以外は実施例1と同様にして0.8mm厚の光拡散板A2を作製した。
得られた光拡散板A2について評価した結果を表1に示す。
(環状オレフィン系樹脂の合成)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−
3−ドデセン(単量体A)175部と、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(単量体B)75部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(.1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.48dl/gであった。
このようにして得られた開環共重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.48部添加し、水素ガス圧力100kg/cm2、反応温度160℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素
添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加された環状オレフィン系樹脂C1を得た。
このようにして得られた環状オレフィン系樹脂C1(以下、「樹脂C1」という。)について500MHz 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ、99.9%で
あった。500MHz 1H−NMRを用いて単量体Bに由来する構造単位bの割合を測
定したところ、30.2%であった。ここで、構造単位bの割合は、約3.7ppm付近に出現する単量体Aに由来する構造単位aのメチルエステルのメチルのプロトンの吸収と7ppmに出現する構造単位B芳香環構造のプロトンの吸収から算出した。
樹脂C1のTgは130℃であった。また、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは16,000、Mwは58,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.62であり、固有粘度(ηinh)は0.50dl/gであった。さらに、23℃における
飽和吸水率を測定したところ、0.15%であった。この樹脂の屈折率は1.531であった。
(拡散粒子の調製)
セパラブルフラスコにイオン交換水250重量部、メチルメタクリレート98重量部、エチレングリコールジメタクリレート2重量部、オレイン酸カリウム1重量部を添加し、窒素置換を実施後、60℃に温度を上げて過硫酸カリウム0.2重量部を添加して3時間反応を行い、さらに過硫酸カリウム0.1重量部を添加して1時間反応を行い、樹脂ラテックスを得た。
この樹脂ラテックスを塩化カルシウム水溶液に滴下して凝固樹脂粒子を得た。この凝固樹脂粒子の屈折率は1.492であり、平均粒子径は12μmであった。
(光拡散板の作製)
上記樹脂C1を99重量部、上記凝固樹脂粒子を1重量部、酸化防止剤としてチバスペシャリティケミカルズ株式会社製IRGANOX1010を0.3重量部混合して、光拡散性樹脂組成物C1を調製した。樹脂組成物A1の代わりに樹脂組成物C1を用いた以外は、実施例1と同様にして1.0mm厚の光拡散板C1を作製した。
得られた光拡散板C1について評価した結果を表1に示す。
(拡散粒子の調製)
セパラブルフラスコにイオン交換水250重量部、メチルメタクリレート55重量部、スチレン43重量部、ジビニルベンゼン2重量部、オレイン酸カリウム1重量部を添加し、窒素置換を実施後、60℃に温度を上げて過硫酸カリウム0.2重量部を添加して3時間反応を行い、さらに過硫酸カリウム0.1重量部を添加して1時間反応を行い、樹脂ラテックスを得た。
この樹脂ラテックスを塩化カルシウム水溶液に滴下して凝固樹脂粒子を得た。この凝固
樹脂粒子の屈折率は1.545であり、平均粒子径は12μmであった。
(光拡散板の作製)
環状オレフィン系樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製:パンライトAD5503、Tg=145℃、屈折率nD=1.583)を99重量部、拡散粒子
として上記凝固樹脂粒子1重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂シートD1(厚さ1.0mm)を作製した。
この樹脂シートD1を用い、金属ベルトと金属ロールの温度をともに125℃に設定した以外は実施例1と同様にして1.0mm厚の光拡散板D1を作製した。
得られた光拡散板D1について評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
拡散粒子を使用せず、環状オレフィン系樹脂の量を100重量部に変更した以外は実施例1と同様にして0.5mm厚の光拡散板a1を作製した。
得られた光拡散板a1について評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様にして樹脂シートA1を作製した。
平行に配置した3本のロール(表面ハードクロムメッキ、直径300mm、表面粗度0.1s)を用いて、上記樹脂シートA1を、120℃に調整した上記ロールの間に挟み、2.5m/minの速度で引き取り、1.0mm厚の光拡散板a2を作製した。
得られた光拡散板a2について評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例5で使用した拡散粒子を実施例1で使用した拡散粒子に変更した以外は実施例5と同様の方法により、樹脂シートD1(厚さ1.0mm)を作製した。
この樹脂シートDを用い、金属ベルトと金属ロールの温度をともに135℃に設定した以外は実施例5と同様にして1.0mm厚の光拡散板d1を作製した。
得られた光拡散板d1について評価した結果を表1に示す。
[比較例4]
環状オレフィン系樹脂の量を98.8重量部、拡散粒子を平均粒子径5μmの拡散粒子(積水化成品株式会社製、商品名:テクポリマーMBX−5、屈折率nD=1.492)
1.2重量部に変更した以外は実施例1と同様にして1.0mm厚の光拡散板e1を作製した
得られた光拡散板eについて評価した結果を表1に示す。
Figure 2008170648

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値が、0.03〜0.08の範囲にあり、かつ、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%である樹脂シートを、表面粗度が0.3s以下の金属ロールと表面粗度が0.3s以下の金属ベルトとの間に挟み、該金属ロールの温度が前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より20〜50℃低い条件で引き取ることを特徴とする光拡散板の製造方法。
  2. 前記樹脂シートの引取速度が2〜8m/minであることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板の製造方法。
  3. 前記樹脂シートが、熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%である樹脂組成物を、前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度より100〜150℃高い温度で溶融押出して得られたシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散板の製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂(A)が、環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散板の製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂(A)と平均粒子径が1.5〜20μmの粒子(B)を含み、該粒子(B)の含有率が0.1〜10重量%であり、残留位相差が20nm以下であることを特徴とする光拡散板。
  6. 熱可塑性樹脂(A)と粒子(B)との屈折率の差の絶対値が、0.03〜0.08の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の光拡散板。
  7. さらに、蛍光増白剤を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の光拡散板。
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