JP2008168508A - 記録装置 - Google Patents

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Hiroshi Ikeda
宏 池田
Satoru Mori
哲 毛利
Masatoshi Araki
雅俊 荒木
Kunichi Yamashita
勲一 山下
Manabu Numata
学 沼田
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Abstract

【課題】表面光沢性が制御可能であり、画像の耐擦性に優れた記録装置を提供すること。
【解決手段】例えば、中間転写体12表面に離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成した後、中間転写体表面を帯電させる。次に、中間転写体12上にインク受容性粒子16を供給させ粒子層を形成する。そして、インクジェット記録ヘッド20により粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成する。これによりインク受容性粒子16にインクを受容させる。次に、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ、転写装置22により圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層を転写した後、定着装置25により、定着樹脂15をインク受容性粒子層16A表面に供給しつつ圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上でインク受容性粒子層16Aを定着する。定着樹脂15に代えて定着ワックス樹脂でもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録装置に関する。
インクを利用した画像やデータ等を記録の一つとして、インクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリット、或いは多孔質フィルム等から液体或いは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行うものである。インクを吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる圧力パルス方式、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等、各種の方式が提案されており、これらの方式により、極めて高精細の画像やデータの記録物を得ることができる。
このインクジェット記録方式も含め、インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し高画質で記録を行うために、中間体に記録した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。
例えば、特許文献1には、吸水性の異なるポリマー、サイズの異なる吸水ポリマー、架橋度の異なる吸水ポリマー等、複数種の粉末混合体を中間体上に供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
また、特許文献2には、中間体上にインクとの接触でインクを増粘させる固体粒子(多糖高分子、アルギン酸、カラギーナン等の粒子)を供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
また、特許文献3には、中間体上に疎水性樹脂粒子層を形成し、疎水性樹脂粒子層の空隙にインク(例はSD型染料インク(Slow Dry型))を保持させて記録媒体に転写する方式が提案されている。
また、特許文献4には、中間体(シート)に湿式で無機粒子、親水性ポリマー等を塗布した空隙型インク吸収層を設け、そこに染料インクを噴射し、記録媒体に転写する方式が提案されている。
また、特許文献5には、熱可塑性樹脂粒子と非熱可塑性粒子とを含有し、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度(MFT)以下の温度で乾燥されて形成された多孔質インク吸収層を有するインクジェット中間転写媒体が提案されている。
特開2000−343808公報 特開2000−94654公報 特開2003−57967公報 特開2002−370347公報 特開2002−321443公報
本発明の課題は、表面光沢性が制御可能であり、画像の耐擦性に優れた記録装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
中間転写体と、
インクを受容するインク受容性粒子を、前記中間転写体上に層状に供給する供給手段と、
前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子の層にインクを付与するインク付与手段と、
前記インク受容性粒子の層を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子の層を、当該層表面に樹脂を供給すると共に前記記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置である。
請求項2に係る発明は、
前記定着手段は、加熱部材と、前記加熱部材に接触される加圧部材と、前記加圧部材の表面に樹脂を供給する樹脂供給部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置である。
請求項3に係る発明は、
前記樹脂供給部材は、静電力により前記樹脂を前記加圧部材の表面に供給する供給ロールを備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置である。
請求項4に係る発明は、
前記加熱部材は、ベルト部材であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置である。
請求項5に係る発明は、
前記定着手段は、定着後に前記インク受容性粒子の層を冷却する冷却部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置である。
請求項6に係る発明は、
インクを受容するインク受容性粒子を、記録媒体上に層状に供給する供給手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子の層にインクを付与するインク付与手段と、
前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子の層を、当該層表面に樹脂を供給すると共に前記記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置である。
請求項7に係る発明は、
前記定着手段は、加熱部材と、前記加熱部材に接触される加圧部材と、前記加圧部材の表面に樹脂を供給する樹脂供給部材と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の記録装置である。
請求項8に係る発明は、
前記樹脂供給部材は、静電力により前記樹脂を前記加圧部材の表面に供給する供給ロールを備えることを特徴とする請求項7に記載の記録装置である。
請求項9に係る発明は、
前記加熱部材は、ベルト部材であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置である。
請求項10に係る発明は、
前記定着手段は、定着後に前記インク受容性粒子の層を冷却する冷却部材をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の記録装置である。
請求項1に係る発明によれば、表面の光沢性が制御可能であり、画像の耐擦性に優れる、といった効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、樹脂が軟化(或いは溶融)されつつインク受容性粒子の表面に供給され、定着率が向上する、といった効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、インク受容性粒子の層表面に樹脂を厚さのばらつきを抑制して供給できる、といった効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、樹脂を軟化(或いは溶融)させる時間が十分確保され、高速に画像が形成できる、といった効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、表面の光沢性が向上する、といった効果を奏する。
請求項6に係る発明によれば、簡易な構成で、表面の光沢性が制御可能であり、画像の耐擦性に優れる、といった効果を奏する。
請求項7に係る発明によれば、樹脂が軟化(或いは溶融)されつつインク受容性粒子層の表面に供給され、定着率が向上する、といった効果を奏する。
請求項8に係る発明によれば、インク受容性粒子の層表面に樹脂を厚さのばらつきを抑制して供給できる、といった効果を奏する。
請求項9に係る発明によれば、樹脂を軟化(或いは溶融)させる時間が十分確保され、高速に画像が形成できる、といった効果を奏する。
請求項10に係る発明によれば、表面の光沢性が向上する、といった効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。図2は、第1実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。図3は、第1実施形態に係るインク受容性粒子層を示す構成図である。なお、以下の第1実施形態では、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
第1実施形態に係る記録装置10−1は、図1及び図2に示すように、例えば、無端ベルト状の中間転写体12、中間転写体12表面を帯電させる帯電装置28、中間転写体12上の帯電された領域にインク受容性粒子16を供給し粒子層を形成する粒子供給装置18、粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成するインクジェット記録ヘッド20、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ圧力または、圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aを転写する転写装置22、及びインク受容性粒子層16A表面に樹脂粒子(以下、樹脂粒子を定着樹脂15(樹脂)と称する)を供給して圧力及び熱を加えることによりインク受容性粒子層16Aを定着する定着装置25を含んで構成されている。そして、粒子供給装置18には、供給管19Aを介してインク受容性粒子収納カートリッジ19が脱着可能に連結されている。
帯電装置28の上流側には、離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成する離型剤供給装置14が配置される。
帯電装置28により表面に電荷を形成した中間転写体12の表面は粒子供給装置18にてインク受容性粒子16を層として形成され、粒子層上には各色ごとのインクジェット記録ヘッド20すなわち20K、20C、20M、20Yから各色のインク滴が吐出されカラー画像が形成される。
表面にカラー画像が形成された粒子層は転写装置(加熱ロール)22にて記録媒体8にカラー画像ごと転写される。転写装置22の下流には、中間転写体12表面に残留しているインク受容性粒子16の除去、粒子以外の異物(記録媒体8の紙粉等)の中間転写体付着物の除去を行うためのクリーニング装置24が配置されている。
カラー画像を転写された記録媒体8はそのまま搬出され、中間転写体12は再度帯電装置28で表面に電荷を形成される。このとき、記録媒体8に転写されたインク受容性粒子はインク滴20Aを吸収・保持するので速やかに搬出が可能でされる。
また、必要に応じて、クリーニング装置24と離型剤供給装置14の間(以下、AとBとの間とは特記がない限り、いずれも含まない間を意味する)に、中間転写体12表面に残留する電荷を除去する為の除電装置29を配置してもよい。
本実施形態においては、中間転写体12は、厚さ1mmのポリイミドフィルムのベース層の上に厚さ400μmのエチレンプロピレンゴム(EPDM)の表面層が形成されている。ここでは表面抵抗値が1013Ω/□程度、体積抵抗値が1012Ω・cm程度(半導電性)であることが望ましい。
中間転写体12が周動され、まず離型剤供給装置14により中間転写体12表面に離型層14Aが形成される。離型剤供給装置14の供給ロール14Cにより中間転写体12表面に離型剤14Dが供給され、ブレード14Bで層厚を規定する。
このとき、連続的に画像形成及びプリントを行う目的で、離型剤供給装置14を中間転写体12に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写体12から離間する構成としてもよい。
離型剤供給装置14に、独立した液体供給システム(図示せず)より離型剤14Dを供給して、離型剤14Dの供給がとぎれないようにしてもよい。
次に、帯電装置28によって正の電荷を中間転写体12表面に付与することにより、中間転写体12表面に正の電荷が帯電される。ここでは、粒子供給装置18の供給ロール18Aと中間転写体12表面とで形成しうる電界による静電力により、インク受容性粒子16が中間転写体12表面に供給/吸着可能な電位を形成すればよい。
本実施形態においては、帯電装置28を用いて、帯電装置28と中間転写体12を挟んで配置されている従動ロール31(グラウンドに接続)間に電圧を印加し、中間転写体12表面を帯電させる構成としている。
帯電装置28は、ステンレスを材料とする棒状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層(発泡ウレタン樹脂)を形成し、体積抵抗率10Ω・cm以上10Ω・cm以下程度に調整したロール形状の部材とする。さらに、弾性層の表面を厚さ5μm以上100μm以下の撥水撥油性の被覆層(例えば四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)で構成)で被覆する。
帯電装置28にはDC電源が接続され、従動ロール31はフレームグランドに電気的に接続されている。帯電装置28は、従動ロール31との間で中間転写体12を挟みつつ従動し、押圧位置では、接地された従動ロール31との間に所定の電位差が生じるため、中間転写体12の表面に電荷を与えることができる。ここでは帯電装置28により中間転写体12表面に例えば電圧1kvを印加し、中間転写体12表面を帯電させる。
また、帯電装置28をコロトロン等で構成してもよい。
次に粒子供給装置18により、中間転写体12表面にインク受容性粒子16が供給され、インク受容性粒子層16Aを形成する。なお、インク受容性粒子層を形成する方法は、一般的な電子写真方式のトナーで感光体を現像する方法である1成分現像方式や2成分現像方式を応用している。本実施形態では、1成分現像方式を応用している。
粒子供給装置18は、インク受容性粒子16が収容される容器の、中間転写体12と向合う部分に供給ロール18Aが配され、供給ロール18Aに押圧するように帯電ブレード18Bが配される。この帯電ブレード18Bは供給ロール18A表面に供給するインク受容性粒子16の層厚を規制する機能も併せ持つ。
供給ロール18A(導電性ロール)にインク受容性粒子16を供給し、帯電ブレード18B(導電性ブレード)でインク受容性粒子層16Aを規制するとともに中間転写体12表面の電荷と逆極性である負に帯電する。供給ロール18Aはアルミ製の中実ロール、帯電ブレード18Bは圧力をかけるためにウレタンゴムが獲り付けられた金属板(SUSなど)を用いることができる。帯電ブレード18Bはドクターブレード方式で供給ロール18Aと接する。
帯電されたインク受容性粒子16は供給ロール18A表面に例えば1層(粒子一個分の層、以下同様である)の粒子層を形成し、中間転写体12表面と対向する部位に搬送され、これと近接すると供給ロール18Aと中間転写体12表面との電位差により形成された電界により、帯電したインク受容性粒子16は静電力により中間転写体12表面に移動する。
この時、中間転写体12表面に1層の粒子層を形成するように中間転写体12の移動速度と供給ロール18Aの回転速度を相対的に設定する(周速比)。この周速比は、中間転写体12の帯電量やインク受容性粒子16の帯電量、供給ロール18Aと中間転写体12の位置関係等、他のパラメータに依存する。
上記の、1層のインク受容性粒子層16Aを形成する周速比を基準に、供給ロール18Aの周速を相対的に早くすることにより、中間転写体12上に供給される粒子数を増加させることができる。転写される画像濃度が低い(インク打ち込み量が少ない(例えば0.1g/m以上1.5g/m以下))場合には、層厚を必要最小限の厚さ(例えば、1μm以上5μm以下)とし、また、画像濃度が高い(インク打ち込み量が多い(例えば4g/m以上15g/m以下)場合には、インク液体成分(溶媒や分散媒)を保持可能である充分な層厚(例えば10μm以上25μm以下)となるように制御することが望ましい。
例えば、インク打ち込み量が少ない文字画像等の場合、中間転写体上の1層のインク受容性粒子層に対して像形成を行った場合、インク中の画像形成材(顔料)は中間転写体上のインク受容性粒子層表面に捕獲され、深さ方向に対して分布が少なくなるように、インク受容性粒子表面や内部の粒子空隙に固定される。
例えば、最終的な画像となる画像層16Bの上に保護層となる粒子層16Cを設けたい場合は、インク受容性粒子層16Aを3層程度の厚みとし、最上層にインクで像形成を行えば((図3(A)参照)、像形成を行わない2層分の粒子層16Cが転写・定着後には保護層となり画像層16Bの上に形成される(図3(B)参照)。そして、本実施形態の場合、定着後にさらに粒子層16C上に後述する定着樹脂15による定着樹脂層15Aが形成される。
あるいは2次色や3次色の画像等、インク打ち込み量が1次色に比べて高い画像を形成する場合には、インク受容性粒子層を、インク液体成分(溶媒や分散媒)が保持可能で、記録材(例えば顔料)が捕獲され、最下層まで到達しない充分な粒子数となるようにインク受容性粒子16を積層させる。この場合、転写・定着後の画像層表面に画像形成材(顔料)は露出せず、像形成を行わないインク受容性粒子16が画像表面に保護層として形成してもよい。
次に、インクジェット記録ヘッド20がインク受容性粒子層16Aにインク滴20Aを付与する。インクジェット記録ヘッド20は所定の画像情報に基づき、所定の位置にインク滴20Aを付与する。
その後、転写装置22により記録媒体8と中間転写体12を挟み込んで、インク受容性粒子層16Aに圧力と熱を加えることで、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが転写される。
転写装置22は、加熱源を内蔵する加熱ロール22Aと、中間転写体12を挟んで対向する加圧ロール22Bとから構成され、加熱ロール22A及び加圧ロール22Bは接して接触部を形成する。加熱ロール22A及び加圧ロール22Bには、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆された物を使用することができる。
このとき、インク受容性粒子16を構成する有機樹脂が例えばガラス転移温度(Tg)未満に加熱されつつ、圧力により中間転写体12表面に形成された離型層14Aからインク受容性粒子層16Aが離型され、記録媒体8上に転写される。なお転写装置22より前に、中間転写体12に予備加熱を行ってもよい。
最後に、定着装置25により記録媒体8と中間転写体12を挟み込んで、インク受容性粒子層16Aにインク受容性粒子16を構成する有機樹脂が例えばガラス転移温度(Tg)以上に加熱しつつ圧力を加えることで、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが定着される。この際、インク受容性粒子層16A表面に定着樹脂15(樹脂)が軟化(或いは溶融)した状態で供給され、当該定着樹脂15の層と共にインク受容性粒子層16Aに圧力と熱を加えて定着される。
定着装置25は、加熱源を内蔵する加熱ロール25Aと、加熱ロール25Aに対し対向する加圧ロール25Bと、加熱ロール25Aの表面に定着樹脂15を供給する定着樹脂供給装置25Cと、を備えて構成されている。加熱ロール25A及び加圧ロール25Bは接して接触部を形成している。
加熱ロール25A及び加圧ロール25Bには、例えばアルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆された物を使用することができる。
加熱ロール25Aと加圧ロール25Bの接触部において、加熱ロール25Aによりインク受容性粒子層16Aを構成する有機樹脂がガラス転移点(Tg)以上に加熱されることにより軟化し(あるいは溶融され)、圧力が加わることにより、記録媒体8にインク受容性粒子層16Aが定着される。
なお、本実施形態では加熱ロール25Aの表面を160℃に制御している。また、インク受容性粒子層16Aに保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後もそのままインク受容性粒子層16A内に保持される。
定着樹脂供給装置25Cは、定着樹脂15が収容される容器に、加熱ロール25Aと向合う部分に供給ロール25C−1が配され、供給ロール25C−1に押圧するように帯電ブレード25C−2が配される。この帯電ブレード25C−2は供給ロール25C−1表面に供給する定着樹脂15の層厚を規制する機能も併せ持つ。
供給ロール25C−1(導電性ロール)に定着樹脂15を供給し、帯電ブレード25C−2(導電性ブレード)で定着樹脂15の層を規制するとともに加熱ロール25A表面の電荷と逆極性である負に帯電する。供給ロール25C−1はアルミ製の中実ロール、帯電ブレード25C−2は圧力をかけるためにウレタンゴムが獲り付けられた金属板(SUSなど)を用いることができる。帯電ブレード25C−2はドクターブレード方式で供給ロール25C−1と接する。
帯電された定着樹脂15は供給ロール25C−1表面に例えば1層の定着樹脂層15Aを形成し、加熱ロール25A表面と対向する部位に搬送され、これと近接すると供給ロール25C−1と加熱ロール25A表面との電位差により形成された電界により、帯電した定着樹脂15は静電力により加熱ロール25A表面に移動し、定着樹脂層15Aを形成する。この電位差は、供給ロール25C−1にバイアス電圧を印加する事により得る事が出来る。
この時、加熱ロール25A表面に1層の定着樹脂層15Aを形成するように加熱ロール25Aの移動速度と供給ロール25C−1の回転速度を相対的に設定する(周速比)。この周速比は、加熱ロール25Aの帯電量や定着樹脂15の帯電量、供給ロール25C−1と加熱ロール25Aの位置関係等、他のパラメータに依存する。
例えば、加熱ロール25A表面に粒子1個分の1層の定着樹脂層15Aを形成する周速比を基準に、供給ロール25C−1の周速を加熱ロール25Aの周速に対して相対的に早くすることにより、加熱ロール25A表面に供給される粒子数を増加させ、加熱ロール25A表面に形成される定着樹脂層15Aの層厚がコントロールされる。すなわち、記録媒体8上のインク受容性粒子層16A表面に形成する定着樹脂層15Aの層厚を薄くしたい場合には、層厚が必要最小限の厚さとなる1層の定着樹脂層15Aを形成し、また、定着樹脂層15Aの層厚を厚くしたい場合には、加熱ロール25A表面に供給される定着樹脂層15Aを充分な層厚となるように制御することがよい。
例えば、定着樹脂15の加熱ロール25Aへの供給量を制御することで、インク受容性粒子層16A表面の状態を変化させること、即ち画像の表面状態を変化させることが可能である。例えば、定着樹脂15の供給量を多くすると(例えば0.8mg/cm以上4.0mg/cm以下)、インク受容性粒子層16A表面の凹凸が平坦化され、表面の光沢性が向上した仕上がりとなる。一方、例えば、定着樹脂15の供給量を少なくすると(例えば0.2mg/cm以上0.8mg/cm以下)、インク受容性粒子層16A表面の凹凸が平坦化されにくくなり(粗面)、表面の光沢性が低下し、マットな仕上がりとなる。
一方、他の観点から言えば、インク受容性粒子層16A表面の凹凸が大きい場合(例えば電子写真普通紙や印刷用上質紙の如く表面に凹凸のある記録媒体)には、その表面の被覆率を高くするために定着樹脂の供給量を多くする事で、対応する事が可能となる。
そして、加熱ロール25Aの表面に供給された定着樹脂15は、加熱ロール25Aにより加熱されて軟化(或いは溶融)されつつ、加熱ロール25Aの回転により加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部へ移動し、層状にインク受容性粒子層16Aの表面へ供給される。
なお、記録媒体8としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、インクジェットコート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用することができる。また、記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
以下、本実施形態に係る記録装置10−1の画像形成のプロセスをより詳細に説明する。本実施形態に係る記録装置10−1では、図2に示すように、中間転写体12の表面には離型層供給装置14にて離型層14Aを形成することができる。中間転写体12の素材がアルミやPETベースであれば特に離型層14Aを形成することが望ましい。あるいはフッ素樹脂・シリコーンゴム系の素材を用いて、中間転写体12の表面自体に離形性を持たせるようにしてもよい。
次に帯電装置28にて中間転写体12の表面をインク受容性粒子16と逆の極性に帯電させる。これにより、粒子供給装置18の供給ロール18Aにて供給されるインク受容性粒子16を静電的に吸着させ、中間転写体12の表面にインク受容性粒子16の層を形成することができる。
次いで中間転写体12の表面に粒子供給装置18の供給ロール18Aにてインク受容性粒子16を層として形成する。例えば、形成されたインク受容性粒子層16Aはインク受容性粒子16が3層程度重なった厚みと成るように形成する。すなわち、上記のように帯電ブレード18Bと供給ロール18Aの空隙によってインク受容性粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写されるインク受容性粒子層16Aの厚さを制御する。あるいは供給ロール18Aと中間転写体12の周速比によって制御してもよい。
次に、中間転写体12上に供給されたインク受容性粒子層16A上に、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される各色のインクジェット記録ヘッド20によってインク滴20Aが吐出され、インク受容性粒子層16Aに画像層16Bが形成される。インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、インク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分はインク受容性粒子16間の空隙及びインク受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)もインク受容性粒子16(構成する粒子)表面或いはインク受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
このときインク滴20Aに含まれるインク液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aに浸透するが、顔料等の記録材はインク受容性粒子層16Aの表面又は粒子間空隙に捕獲される。すなわち、インク液体成分(溶媒や分散媒)はインク受容性粒子層16Aの裏面まで浸透させてもよいが、顔料等の記録材はインク受容性粒子層16Aの裏面には浸透しない。これにより、記録媒体8に転写した際には顔料等の記録材が浸透していない粒子層16Cが画像層16Bの上に層を形成する。
次いで画像層16Bが形成されたインク受容性粒子層16Aを中間転写体12から記録媒体8上に転写後、定着することにより、記録媒体8上にカラー画像が形成される。中間転写体12上のインク受容性粒子層16Aはヒーターなどの加熱手段にて加熱された転写装置(加熱ロール)22によって加熱・加圧され記録媒体8上に転写される。
次に、記録媒体8上に転写されたインク受容性粒子層16Aが、定着装置(加熱ロール)25によって加熱・加圧され記録媒体8上で定着される。この際、定着装置25において、加熱ロール25Aの表面に定着樹脂供給装置25Cにより定着樹脂15が層状に供給され、加熱ロール25Aの回転に伴い定着樹脂15が軟化(或いは溶融)した状態でインク受容性粒子層16A上に供給されつつ定着が行われる。
加熱ロール25A上に供給された定着樹脂15は、加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部に搬送されるまでの間で、例えばガラス点移転点(Tg)以上に加熱されることにより軟化が開始される(溶融されてもよい)。
そして、加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部において、加熱ロール25A上の定着樹脂層15Aと記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aが重ね合わさり、加熱ロール25Aにより加熱溶融され、かつ圧力が加わるために、記録媒体8に定着される。
このとき、軟化(或いは溶融)した定着樹脂15が、圧力によりインク受容性樹脂粒子層16A表面に転写されると共に、インク受容性樹脂粒子層16中の粒子間空隙に押込まれつつ、インク受容性粒子層表面に定着樹脂層15Aが形成される。このため、軟化(或いは溶融)した定着樹脂15がインク受容性粒子間の空隙に押込まれることにより、加熱ロール25Aからの熱エネルギーが定着樹脂15によってインク受容性粒子層内部の粒子に直接伝導されることになり、インク受容性粒子の軟化/溶融、即ち定着に寄与すると推察される。
そして、定着樹脂層15Aがインク受容性粒子層16A表面に被覆されることにより、インク受容性粒子にトラップされた記録材(例えば着色剤)が露出することがなくなり、被覆される。これは、特に、インク種として顔料インクを使用してた場合に比べ、染料インクの場合には、特に耐ガス性、耐水性の観点より有効である。
なお、定着装置においては加熱・加圧を調節することで画像表面の凸凹を調整し、光沢度を制御してもよい。また冷却剥離を行って光沢度を制御してもよい。
インク受容性粒子層16Aが剥離した後の中間転写体12表面に残った残留粒子16Dはクリーニング装置24にて回収され(図1参照)、中間転写体12の表面は再度帯電装置28にて帯電され、インク受容性粒子16が供給されインク受容性粒子層16Aが形成される。
ここで、図3には、本発明に係る画像形成に用いられる粒子層が示されている。図3(A)に示すように、中間転写体12の表面には離型層14Aが形成される。
次いで中間転写体12の表面に粒子供給装置18にてインク受容性粒子16を層として形成する。前述のように形成されたインク受容性粒子層16Aはインク受容性粒子16が3層程度重なった厚みが望ましい。インク受容性粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写されるインク受容性粒子層16Aの厚さを制御する。このときインク受容性粒子層16Aの表面はインク滴20Aの吐出による画像形成(画像層16Bの形成)に支障がない程度にならされている。
また、吐出されたインク滴20Aに含まれる顔料等の記録材は図3(A)のようにインク受容性粒子層16Aの1/3以上半分以下程度まで浸透し、その下には顔料等の記録材の浸透していない粒子層16Cが残存している。
次いで、転写装置(加熱ロール)22により記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aを加熱・加圧転写した後、定着装置(加熱ロール)25によってインク受容性粒子層16Aに定着樹脂15を供給(被覆)しつつ、加熱・加圧し記録媒体8上に定着する。
この定着装置(加圧ロール)25による加熱・加圧定着で記録媒体8上に形成されたインク受容性粒子層16Aは図3(B)のように画像層16B上にインクを含まない粒子層16Cと定着樹脂層15Aが存在するので、これらは画像層16Bの保護層としての働きを担うことがある。このため少なくとも定着後のインク受容性粒子16及び定着樹脂15は透明であることがよい。
そして、粒子層16Cは定着装置(加熱ロール)25によって加熱・加圧されるので表面を平らにすることが可能であり、画像表面の光沢度を加熱・加圧によって制御することもできる。
また加熱によってインク受容性粒子16内部に捕獲されていたインク液体成分(溶媒や分散媒)の乾燥を促進させるようにしてもよい。
インク受容性粒子層16Aに受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後もインク受容性粒子層16A内に保持され、自然乾燥にて除去される。
なお、図3に示すように、本実施形態では、インク画像層16Bは粒子層16Bと定着樹脂層15Aとからなる保護層で覆われる形態を説明したが、インク中の顔料(記録材)を、インク受容性粒子層16Aの深さ方向のすべてに浸透させ、保護層は定着樹脂層15Aのみで形成されていてもよい。定着樹脂15はインクを受容しないので、定着樹脂層15Aにインクが浸透することはない。このようにインク受容性粒子層16Aへのインクの浸透具合によらず、定着樹脂層15Aが保護層として機能する。
上記の工程を経て、画像形成が終了する。中間転写体12については、インク受容性粒子16を記録媒体8に転写した後、中間転写体12上に残留した残留粒子16Dや、記録媒体8から離脱した紙粉の如く異物が存在する場合には、クリーニング装置24により除去してもよい。
また、クリーニング装置24の下流に、除電装置29を配置してもよい。例えば、除電装置29として導電性ロールを使用して、従動ロール31(接地)と挟み込んで、中間転写体12表面に±3kV、500Hz程度の電圧を印加して、中間転写体12表面を除電する。
上記の帯電電圧や、粒子層厚、定着温度等、その他の各種装置的条件は、インク受容性粒子16あるいはインクの組成、インクの吐出量等によって最適条件が決定される為、それぞれにおいて最適化する。
<各構成要素>
次に、実施形態の各ステップの構成要素について詳しく説明する。
<中間転写体>
インク受容性粒子層が形成される中間転写体12は実施形態のようにベルト状でも、あるいは円筒状(ドラム状)でもよい。中間転写体表面にインク受容性粒子を静電力により供給保持する為には、中間転写体表面が半導電性あるいは絶縁性の粒子保持特性を有する必要がある。中間転写体表面の電気的特性として、半導電性の場合は表面抵抗率が1010Ω/□以上1014Ω/□以下、体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、絶縁性の場合には表面抵抗率が1014Ω/□、体積抵抗率が1013Ω・cm以上の部材を用いる。
ベルト形状の場合、基材としては、装置内におけるベルト回転駆動が可能で、必要な機械強度を持ち、特に転写/定着時に熱を使用する場合には、必要な耐熱性を持つものであればよい。具体的には、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が使用される。
ドラム形状の場合、基材としてはアルミやステンレス等が考えられる。
なお、転写装置(加熱ロール)22における転写工程及び定着装置(加熱ロール)25における定着工程において、電磁誘導による加熱方式を発揮するためには、転写装置(加熱ロール)22又は定着装置(加熱ロール)25の代わりに、中間転写体12に発熱層を形成してもよい。発熱層には電磁誘導作用を生じる金属が用いられる。例えばニッケル、鉄、銅、アルミニウム、クロム等が選択可能である。
<粒子供給プロセス>
まず、離型剤供給装置14により、インク受容性粒子16供給前に中間転写体12表面に離型剤14Dによる離型層14Aを形成する。
離型層14Aの供給方法は、離型剤14Dを内蔵し離型剤供給部材に離型剤14Dを供給し、供給部材により中間転写体12表面に離型剤14Dを供給することで離型層14Aを形成する方法や、離型剤14Dを含浸した供給部材により中間転写体12表面に離型層14Aを形成する方法等が使用される。
離型剤14Dとしてはシリコーン系オイル、フッ素系オイル、ポリアルキレングリコール、界面活性剤等の離型材料が挙げられる。
シリコーン系オイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルが挙げられる。
ストレートシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。
変性シリコーンオイルとしては、例えばメチルスチリル変性オイル、アルキル変性オイル、高級脂肪酸エステル変性オイル、フッ素変性オイル、アミノ変性オイルが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリブチレングリコールが挙げられるが、これらの中もポリプロピレングリコールが望ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらの中でもノニオン性界面活性剤が望ましい。
離型剤14Dの粘度は、例えば5mPa・s以上200mPa・s以下が望ましく、より望ましくは5mPa・s以上100mPa・s以下、さらに望ましくは5mPa・s以上50mPa・s以下である。
なお、粘度の測定は次のようにして行われる。レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、得られたインクの粘度を測定した。その測定は、試料を測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着し、測定温度は40℃、せん断速度は1400s−1の条件で行った。
離型剤14Dの表面張力は、例えば40mN/m以下(望ましくは30mN/m以下、より望ましくは25mN/m以下)の範囲が挙げられる。
なお、表面張力の測定は次のようにして行われる。23±0.5℃、55±5%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて、得られた試料の表面張力を測定した。
離型剤14Dの沸点は、例えば760mmHg下で250℃以上(望ましくは300℃以上、より望ましくは350℃以上)の範囲が挙げられる。
なお、沸点の測定は次のようにして行われる。JIS K2254に準じて測定を行い、その初留点を沸点として用いた。
次に、帯電装置28にて中間転写体12の表面をインク受容性粒子16と逆の極性に帯電させる。そして、帯電された中間転写体12の表面にインク受容性粒子層16Aを形成する。このときインク受容性粒子層16Aを形成する方法は一般的な電子写真のトナーを感光体に供給する方法を応用できる。すなわち、予め中間転写体12表面に一般的な電子写真の帯電方式(帯電装置28による帯電など)により、電荷を供給する。インク受容性粒子16は中間転写体12表面の電荷と逆極性に摩擦帯電(1成分摩擦帯電方式や、2成分方式)させる。
供給ロール18Aに保持されたインク受容性粒子16は中間転写体12の表面と電界を形成し、静電力により中間転写体12上に移動/供給され、保持される。このとき、インク受容性粒子層16Aに形成される画像層16Bの厚みにより(打ち込まれるインク量に合わせて)、インク受容性粒子層16Aの厚さをコントロールしてもよい。この際、インク受容性粒子16の帯電量の絶対値としては、5μc/g以上50μc/g以下の範囲が望ましい。
ここで、インク受容性粒子層16Aの厚さは、1μm以上100μm以下が望ましく、より望ましくは1μm以上50μm以下、さらに望ましくは5μm以上25μm以下である。また、インク受容性粒子層中の空隙率(即ち、インク受容性粒子間空隙率+インク受容性粒子内空隙率(トラップ構造))は、10%以上80%以下であることが望ましく、より望ましくは30%以上70%以下、さらに望ましくは40%以上60%以下である。
以下、1成分供給(現像)方式相当の粒子供給プロセスについて説明する。
供給ロール18Aにインク受容性粒子16を供給し、帯電ブレード18Bで粒子層の厚みを規制するとともに帯電する。
帯電ブレード18Bは供給ロール18A表面におけるインク受容性粒子16の層厚を規制する働きを持ち、例えば、供給ロール18Aへの圧力を変化させて、供給ロール18A表面のインク受容性粒子16の層厚を変化させる。例えば、供給ロール18A表面上のインク受容性粒子16層厚を例えば1層とし、中間転写体12の表面上に形成されるインク受容性粒子16層厚を概1層に形成する。また、帯電ブレード18Bの押圧力を低く制御し、供給ロール18A表面上に形成されるインク受容性粒子16層厚を増加させ、中間転写体12表面上に形成されるインク受容性粒子層厚を増加させてもよい。
他の方法として、中間転写体12表面上に例えば1層の粒子層を形成する供給ロール18Aと中間転写体12の周速を1とした場合、供給ロール18Aの周速を速くして中間転写体12上に供給されるインク受容性粒子16の数を増加させ、中間転写体12上のインク受容性粒子層厚を増加させるよう制御することができる。また上記方法を組み合わせて制御することも可能である。上記構成では例えばインク受容性粒子16を負に帯電し、中間転写体12の表面を正に帯電させている。
このようにインク受容性粒子層の層厚を制御することにより、インク受容性粒子層の消費量を抑えつつ、表面が保護層で覆われたパターンを形成することができる。
帯電装置28における帯電ロールとしてはアルミニウム、ステンレススチール等を材料とする棒状又はパイプ状部材の外周面に導電性付与材を分散させた弾性層を形成し、体積抵抗率10Ω・cm以上10Ω・cm以下程度に調整したφ10mm以上φ25mm以下のロールなどが使用できる。
弾性層は、ウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、シリコーン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ポリノルボーネンゴム等の樹脂材料が単独又は二種以上の混合物として使用され、望ましい材料としては発泡ウレタン樹脂がある。
上記発泡ウレタン樹脂としては、ウレタン系樹脂に中空ガラスビーズや熱膨張型マイクロカプセル等の中空体を混合分散して独立気泡構造を付与したものが望ましい。
さらに、弾性層の表面を厚さ5μm以上100μm以下の撥水性の被覆層で被覆してもよい。
帯電装置28にはDC電源が接続され、従動ロール31はフレームグランドに電気的に接続されている。帯電装置28は、従動ロール31との間で中間転写体12を挟みつつ従動し、押圧位置では、接地された従動ロール31との間に所定の電位差が生じる。
<マーキングプロセス>
中間転写体12の表面に形成され、圧力が付与されたインク受容性粒子16の層(インク受容性粒子層16A)に、画像信号に基づいてインクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、画像が形成される。インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、インク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インク滴20Aはインク受容性粒子16内に形成された粒子間空隙により速やかに吸収され、記録材(例えば、顔料)はインク受容性粒子16表面又はインク受容性粒子16を構成する粒子間空隙に捕獲(トラップ)される。
この場合、インク受容性粒子層16Aの表面に多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。インク受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、インク受容性粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)をトラップすると共に、インク受容性粒子16内の粒子間空隙に捕獲(トラップ)され固定されることにより発現される。
インク受容性粒子層16Aの表面及びインク受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材(例えば顔料)を確実にトラップさせるために、インクとインク受容性粒子16を反応させることにより、記録材(例えば顔料)を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用してもよい。具体的には、上記反応はインクと多価金属塩との反応や、pH反応型を応用することが可能である。
また、記録媒体の幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写体上に形成された粒子層に順次画像を形成してもよい。インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。インク自体も従来の染料を色材としたインクを用いることができるが、顔料インクが望ましい。
<転写プロセス>
インク滴20Aを受容し、画像が形成されたインク受容性粒子層16Aは、記録媒体8に転写されることにより、記録媒体8上に画像を形成する。転写プロセスは、加熱/加圧しながら行ってもよい。また加熱/加圧した後、画像(インク受容性粒子層16A)が転写された記録媒体8を中間転写体12から剥離するときに、インク受容性粒子層16Aが冷却された後に剥離されてもよい。冷却方法は、自然冷却や空冷等の強制冷却などが考えられる。これらのプロセスに対しては、中間転写体12としてはベルト形状が望ましい。
インク画像は中間転写体12上に形成されたインク受容性粒子16層の表層部に形成され(記録材(顔料)がインク受容性粒子層16Aの表面にトラップされる)、記録媒体8に転写されることにより、インク画像がインク受容性粒子16の粒子層16Cにより保護されるように形成されることがよい。
インク受容性粒子16層に受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写後もインク受容性粒子16層内に保持され、定着プロセスの後に自然乾燥にて除去される。
<定着プロセス>
記録媒体8に転写されたインク受容性粒子層16Aは、定着装置25によって、その表面に定着樹脂15を供給させつつ、加熱及び加圧の少なくとも一方を行いながら定着されるが、望ましくは加熱/加圧を実質的に同時に行う方式がよい。
また、定着装置25においては、定着後の加熱ロール25A表面に残留した定着樹脂15や、記録媒体8から離脱した異物(例えば紙粉)が存在する場合には、クリーニング装置により除去してもよい。加えて、加熱ロール25A表面の電位が、摩擦等により上昇する場合がある。その場合、クリーニング装置の下流に、除電器を配置してもよい。例えば、除電器として導電性ロールを使用して、加熱ロール25A表面(接地側)に接触させ、加圧ロール25A表面に±3kV、500Hz程度の交流電圧を印加することにより、加圧ロール表面が除電される。
ここで、定着樹脂15とは、定着プロセス(定着工程)においてインク受容性粒子層16Aに対して供給される樹脂である。定着樹脂15を構成する材料(樹脂材料)としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン、α−エチルスレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシルアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等のビニル基を有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などの重合体又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体又はこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂等を挙挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン(融点125℃以上130℃以下、昭和電工)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン(融点150℃以上160℃以下、モンテル)、及びポリスチレン(ガラス転移点100℃以上110℃以下、住友化学)が好適に挙げられる。
定着樹脂15の融点又はガラス転移温度(Tg)は、40℃以上90℃以下が望ましく、より望ましくは50℃以上70℃以下である。
定着樹脂15の粒径は、球換算平均粒径で0.5μm以上60μm以下であることが望ましく、より望ましくは1μm以上30μm以下、さらに望ましくは3μm以上15μm以下である。
定着樹脂15には、その表面に無機粒子、樹脂粒子を外添させることが望ましい。無機粒子としては、例えば、シリカ、二酸化チタン、酸化すず、酸化モリブデン等が挙げられる。樹脂粒子としては、例えば、上記挙げた材料種の粒子が挙げられる。無機粒子に対して、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いて疎水化処理を施したものも使用できる。
<クリーニングプロセス>
中間転写体12表面をリフレッシュして繰返し使用を可能にするために表面をクリーニング装置24でクリーニングする工程が必要である。クリーニング装置24はクリーニング部と粒子搬送回収部(図示せず)から成り立っており、上記クリーニングにより、中間転写体12表面に残留しているインク受容性粒子16(残留粒子16D)の除去、粒子以外の異物(記録媒体8の紙粉等)といった中間転写体12の表面に付着した付着物の除去を行う。また、回収した残留粒子16Dは再利用してもよい。
<除電プロセス>
離型層14Aを形成する前に除電装置29を用いて中間転写体12の表面を除電するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態に係る記録装置10−1では、中間転写体12表面に離型剤供給装置14により離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成した後、帯電装置28により中間転写体表面を帯電させる。次に、中間転写体12の離型層が形成及び帯電された領域に粒子供給装置18よりインク受容性粒子16を供給させ粒子層を形成する。そして、インクジェット記録ヘッド20により粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成する。これによりインク受容性粒子16にインクを受容させる。次に、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ、転写装置22により圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層を転写した後、ロール・ロール方式の定着装置25により、定着樹脂15をインク受容性粒子層16A表面に供給しつつ圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上でインク受容性粒子層16Aを定着する。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。図5は、第2実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。なお、以下の第2実施形態でも、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
第2実施形態に係る記録装置10−2は、図4及び図5に示すように、第1実施形態における定着樹脂供給装置25Cに代えて、ワックス樹脂(以下、以下、ワックス樹脂を定着ワックス樹脂17(樹脂)と称する。)を加熱ロール25A表面に供給するワックス樹脂供給装置25Dを備えた形態である。
ワックス樹脂供給装置25Dは、定着ワックス樹脂17が収容される容器に、加熱ロール25Aと向合う部分に塗布ロール25D−1が配され、塗布ロール25D−1に押圧するようにブレード25D−2が配される。このブレード25D−2は塗布ロール25D−1表面に付着する定着ワックス樹脂17の層厚を規制する機能を持つ。また、容器内には、定着ワックス樹脂を溶融するための加熱ヒータ25D−3が配されており、これにより定着ワックス樹脂17が加熱ロール25Aへ供給時に所定の粘度なるように定着ワックス樹脂17を加熱する。
加熱ヒータ25D−3により溶融した状態の定着ワックス樹脂17を塗布ロール25D−1を付着させ、ブレード25D−2で定着ワックス樹脂17の層を規制する。塗布ロール25D−1はアルミ製の中実ロール、帯電ブレード25C−2は圧力をかけるためにウレタンゴムが取り付けられた金属板(SUSなど)を用いることができる。ブレード25D−2はドクターブレード方式で塗布ロール25D−1と接する。
次に、塗布ロール25D−1表面に定着ワックス樹脂17の層を形成し、加熱ロール25A表面と対向する部位に搬送され、定着ワックス樹脂17が加熱ロール25A表面と接触することで、定着ワックス樹脂17は加熱ロール25A表面に付着し、定着ワックス樹脂17の層を形成する。
この時、塗布ロール25D−1と加熱ロール25Aとの間隔を増減したり、塗布ロール25D−1の周速を加熱ロール25Aの周速に対して増減させることにより、加熱ロール25A表面に形成される定着ワックス樹脂17の層厚がコントロールされる。
そして、加熱ロール25Aの表面に供給された定着ワックス樹脂17は、加熱ロール25Aの回転により加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部へ移動し、層状にインク受容性粒子層16Aの表面へ供給され、加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部において、加熱ロール25A上の定着ワックス樹脂17の層と記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aが重ね合わさり、加熱ロール25Aにより加熱溶融され、かつ圧力が加わるために、記録媒体8に定着される。これにより、定着されたインク受容性粒子層16Aの表面に定着ワックス樹脂層17Aが被覆される。
ここで、定着ワックス樹脂17とは、定着プロセス(定着工程)においてインク受容性粒子層16Aに対して供給されるワックスである。定着ワックス樹脂17としては、融点又は軟化点が60℃以上130℃以下が望ましく、この条件を満足するものには下記のワックス樹脂が具体的に挙げられるが、この限りではない。
例えば、低分子量ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、脂肪酸アミド類(軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等)、植物系ワックス(例えば、エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等)、動物系ワックス(例えばミツロウ等)、鉱物(モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等)、石油系ワックス、及びそれらの変性物が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンワックス(融点:80℃)石油ワックス(融点:75℃)パラフィンワックス(融点:63℃)、ポリプロピレンワックス(融点:127℃)が好適に挙げられる。これらのワックス樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態では、定着ワックス樹脂17を溶融させた状態で加熱ロール25Aに供給した形態を説明したが、これに限られず、例えば、加熱ロールに対し定着ワックス樹脂17を固形の状態で接触させ、加熱ロール25A表面で溶融させて供給する形態であってもよい。
以上説明した本実施形態に係る記録装置10−2では、中間転写体12表面に離型剤供給装置14により離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成した後、帯電装置28により中間転写体表面を帯電させる。次に、中間転写体12の離型層が形成及び帯電された領域に粒子供給装置18よりインク受容性粒子16を供給させ粒子層を形成する。そして、インクジェット記録ヘッド20により粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成する。これによりインク受容性粒子16にインクを受容させる。次に、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ、転写装置22により圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層を転写した後、定着装置25により、定着ワックス樹脂17をインク受容性粒子層16A表面に供給しつつ圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上でインク受容性粒子層16Aを定着する。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。図7は、第3実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。なお、以下の第3実施形態でも、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
第3実施形態に係る記録装置10−3は、図6及び図7に示すように、第1実施形態におけるロール・ロール方式の定着装置25に代えて、ベルト・ロール方式の定着装置25を備えた形態である。
ベルト・ロール方式の定着装置25は、加熱ベルト25A−1と、2つの加圧ロール22Bと、加熱ベルト25A−1の表面に定着樹脂15を供給する定着樹脂供給装置25Cと、を備えている。加熱ベルト25A−1内周部には加熱ベルト25A−1を加熱するための加熱ロール25A−2と加熱ベルト25A−1を回転駆動するための駆動ロール25A3とが配されている。加熱ロール25A−2が記録媒体8搬送方向上流側に配置し、駆動ロール25A−3が記録媒体搬送方向下流側に位置して加熱ベルト25A−1を回転可能に支持している。
加熱ベルト25A−1内部には、加熱ロール25A−2と駆動ロール25A−3との間で加熱ベルトの記録媒体8と対向する側に冷却装置25A−4が配置されており、遮熱板25−5を介して、反対側に予備加熱装置25A−6が配置されている。2つの加圧ロール25Bは、加熱ベルト25A−1を介して加熱ロール25A−2及び駆動ロール25A−3とそれぞれ対向して配置されている。
定着樹脂供給装置25Cは、加熱ロール25A−2と駆動ロール25A−3との間で記録媒体8と非対向する側の加熱ベルト25A−1表面に定着樹脂15を供給するように配置されている。
ここで、加熱ベルト25A−1は、例えば、ポリイミドからなる厚さ80μm程度のベルト基材上に、厚さ50μm程度のシリコーンゴム等からなる弾性層と、10μm程度のPFAからなる表面離型層をこの順に積層形成した3層構造のものが適用される。冷却装置25A−4は、例えば、水冷式、空冷式のいずれもものを適用してもよい。
ベルト・ロール方式の定着装置25では、記録媒体8上に転写されたインク受容性粒子層16Aが、定着装置(加熱ベルト)25によって加熱・加圧され記録媒体8上で定着される際、加熱ベルト25A−1の表面に定着樹脂供給装置25Cにより定着樹脂15が層状に供給され、加熱ベルト25A−1の回転に伴い予備加熱装置25A−6及び加熱ロール25A−2により加熱されて定着樹脂15が軟化(或いは溶融)した状態でインク受容性粒子層16A上に供給されつつ定着が行われる。
加熱ベルト25A−1上に供給された定着樹脂15は、加熱ベルト25A−1を介して加熱ロール25A−2と加圧ロール25Bとが対向する位置に搬送されるまでの間で、例えばガラス点移転点(Tg)以上に加熱されることにより軟化が開始される(溶融されてもよい)。この際、加熱ベルト25A−1の如くベルト方式の定着部材は、ロール方式の定着部材に比べ、定着樹脂15の供給位置と定着位置との距離が確保され、十分に定着樹脂15を軟化(或いは溶融)させて、インク受容性粒子層16A表面へ供給させる。この結果、軟化(或いは溶融)した定着樹脂15がインク受容性粒子層16Aの粒子間の空隙に埋め込まれる速度が増す。
そして、加熱ロール25A−2と加圧ロール25Bとが対向する位置において、加熱ベルト25A−1上の定着樹脂層15Aと記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aが重ね合わさり、加熱ロール25A−2により加熱溶融され、かつ圧力が加わるために、記録媒体8に定着される。これによりインク受容性粒子層16Aの表面に定着樹脂層15Aが被覆される。
最後に、インク受容性粒子層16Aが定着された記録媒体8は、冷却装置25A−6により冷却され、加熱ベルト25A−1から剥離される。これにより、定着後、インク受容性粒子層16Aと共にこれを被覆する定着樹脂層15Aも冷却され、表面光沢度が向上される。
これら以外は、第1実施例と同様であるため説明を省略する。
以上説明した本実施形態に係る記録装置10−3では、中間転写体12表面に離型剤供給装置14により離型剤14Dを供給して離型層14Aを形成した後、帯電装置28により中間転写体表面を帯電させる。次に、中間転写体12の離型層が形成及び帯電された領域に粒子供給装置18よりインク受容性粒子16を供給させ粒子層を形成する。そして、インクジェット記録ヘッド20により粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成する。これによりインク受容性粒子16にインクを受容させる。次に、記録媒体8を中間転写体12と重ね合わせ、転写装置22により圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上にインク受容性粒子層を転写した後、ベルト・ロール方式の定着装置25により、定着樹脂15をインク受容性粒子層16A表面に供給しつつ圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上でインク受容性粒子層16Aを定着する。
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態に係る記録装置を示す構成図である。図9は、第4実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。なお、以下の第4実施形態でも、後述するインク受容性粒子として複合体粒子を適用した場合を説明している。
第4実施形態に係る記録装置10−4は、図8及び図9に示すように、無端ベルト状の搬送ベルト13を備えている。搬送ベルト13は回転移動し、収容容器(図示略)などから送られてきた記録媒体8を搬送する。
まず、搬送ベルト13によって搬送されている記録媒体8に、帯電ロール28Aで、記録媒体8の表面全域を所定の表面電位に帯電し、記録媒体8の全面にインク受容性粒子層16Aを形成する。
記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを、予備定着装置150が予備加熱定着する。
予備加熱定着されたインク受容性粒子層16Aインク受容性粒子層16Aに、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色毎のインクジェット記録ヘッド20K、20C、20M、20Yから、画像データに基づき、各色のインク滴20Aが吐出されインク画像が形成される。なお、以降、各色を区別する必要があるときは、符号の後にY,M,C,Kを付すが、特に、区別する必要がない場合は、Y,M,C,Kを省略する。
インク滴20Aの吐出によってインク画像が形成されたインク受容性粒子層16Aは、定着装置25が圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上に定着する。
なお、インクジェット記録ヘッド20は、記録媒体8の幅以上あるライン型記録ヘッド、所謂FWA(Full Width Array)方式の紙幅記録ヘッドである。
次に、各構成要素と画像形成のプロセスについての詳細を説明する。
無端ベルト状の搬送ベルト13で、記録媒体8を搬送している。本実施形態では、搬送ベルト13に記録媒体8を吸着した状態で搬送している。
ここで、搬送ベルト13に記録媒体8を吸着させる方法の一例としては、例えば、搬送ベルト13に孔(図示せず)を設け、この孔から吸引して吸着させる吸引機構が挙げられる。その他、記録媒体8を搬送ベルト13に吸着させる方法は、例えば、粘着力で吸着させる方式であってもよく、搬送ベルト13に記録媒体8を静電吸着させる方式であってもよい。
そして、搬送方向の上流側には、搬送ベルト13に搬送されている記録媒体8表面を帯電させる、帯電ロール28Aと記録媒体8及び搬送ベルト13を挟んで配置されている従動ロール28Bも備えている。帯電ロールにはDC電源を接続し、帯電電圧として1kV(定電圧制御)が印加される。従動ロール28Bはフレームグランドに電気的に接続されている。
そして、帯電ロール28Aは、従動ロール28Bとで記録媒体8を挟んで搬送し、押圧位置(ロール対対向位置)では、電圧が印加された帯電ロール28Aと接地された従動ロール28Bとの間に所定の電位差が生じるため、記録媒体8に電荷を与えられ、記録媒体8表面が帯電する。
なお、ここでは、インク受容性粒子供給装置18の粒子供給ロール18Aと記録媒体8の表面とで形成する電界による静電力により、インク受容性粒子16が記録媒体8の表面に供給/吸着可能な電位とすればよい。
ここで、帯電ロール28Aは、例えばステンレスを材料とする棒状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層(発泡ウレタン樹脂)を形成し、体積抵抗率10〜10Ω・cm程度に調整したロールが適用され得る。さらに、弾性層の表面を厚さ5〜100μmの撥水撥油性のスキン層(PFA)が被覆されていてもよい。装置内の湿度変化や帯電層表面への汚染物質の付着などによる特性変化(抵抗値変化)を抑えるのに効果がある。
なお、帯電ロール28A(及び従動ロール28B)に限られず、コロトロン帯電器、スコロトロン帯電器、或いはブラシ帯電器で帯電する構成であってもよい。さらに、針状電極の放電によって帯電する構成としてもよい。また、コロトロン帯電器、スコロトロン帯電器、針状電極による帯電は、記録媒体8に非接触で電荷を与えることが可能である。
なお、インク受容性粒子層を形成する方法は、一般的な電子写真方式のトナーで感光体を現像する方法である1成分現像方式や2成分現像方式を応用している。本実施形態では、1成分現像方式を応用している。
そして、帯電ロール28Aにより表面が帯電された記録媒体8は、インク受容性粒子供給装置18に送られ、インク受容性粒子層16Aを形成する。
次に、画像形成のプロセスについての説明に戻る。
次に、記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを予備定着装置150によって、予備定着する。
記録媒体8上に形成されたインク受容性粒子層16Aは静電力で、記録媒体8上に固定されている。よって、このまま次工程でインクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aをインク受容性粒子層16Aに打ち込むと、インク量によっては、インク受容性粒子層16Aが乱れる場合がある。このため、事前にインク受容性粒子層16Aを予備定着することで、インク受容性粒子16を記録媒体8の表面に仮固定しておく。
なお、予備定着によって、インク滴20Aの打ち込みによってインク受容性粒子16が飛散し、インクジェット記録ヘッド20のノズル面20Bが汚染することも防止される。
予備定着装置150での予備加熱は、最終的な定着装置25における定着用の加熱よりも低温である。すなわち、予備定着装置150での予備定着は、インク受容性粒子16中の樹脂粒子を完全に溶融させて圧力により定着するのではなく、粒子間の空隙を残して、粒子間及び粒子と記録媒体表面とを結着させる程度でよい。このことにより、インク滴20Aが受容可能な程度に予備定着される。
また、予備定着装置150は、電子写真方式の画像形成装置に用いる一般的な加熱定着器(フューザー)を応用することが可能である。更に、電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
記録媒体8上に形成された記録媒体8は、インクジェット記録ヘッド20の下方に搬送される。
そして、画像データに基づき、インクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、記録媒体8の表面に形成されたインク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インク画像が形成される。この際、インクは、インク受容性粒子16により受容される。
なお、高速で画像を書き込むためには、本実施形態の如く記録媒体幅以上あるライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、スキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、順次画像を形成しても良い。また、インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
次に、記録媒体8は、搬送ベルト13から剥離し、定着装置25に送られ、インク受容性粒子層16Aに、圧力と熱を加えることで、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが定着する。この際、定着装置25において、加熱ロール25A−2の表面に定着樹脂供給装置25Cにより定着樹脂15が層状に供給され、加熱ロール25A−2の回転に伴い定着樹脂15が軟化(或いは溶融)した状態でインク受容性粒子層16A上に供給されつつ定着が行われる。これにより、定着されたインク受容性粒子層16A上に定着樹脂層15Aが被覆される。特に、本実施形態の場合、インク受容性粒子層16Aの露出面がインクを受容する側の面となるため定着樹脂層15Aにより被覆することは有効である。なお、本実施形態では、インク受容性粒子層16Aが存在する画像部と共に、非画像部も含め記録媒体8全面に定着樹脂層15Aを形成している。
定着装置25は加熱源を内蔵する加熱ロール25Aと対向する加圧ロール25Bと加熱ロール25Aの表面に定着樹脂15を供給する定着樹脂供給装置25Cと、を備えて構成されている。加熱ロール225A及び加圧ロール25Bは接して接触部を形成する。加熱ロール25A及び加圧ロール25Bには、例えば、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆されたものを使用している。なお、電子写真方式の画像形成装置に用いる定着装置(フューザー)と同様の構成である。更に、上記電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
記録媒体8が加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの接触部を通過する際に、インク受容性粒子層16Aが加熱され、かつ圧力が加わり、定着樹脂層15Aと共にインク受容性粒子層16Aが記録媒体8に定着する。なお、加熱と加圧の両方を用いる方法でなく、加熱のみ、又は加圧のみを用いる方法であっても良い。しかし、望ましくは加熱と加圧とを同時に行う方式が良い。
以上の工程を経て、画像形成が終了し、記録媒体8は装置外に排出される。
これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明した本実施形態に係る記録装置10−4では、搬送ベルト13により記録媒体8を搬送しつつ、帯電ロール28Aで、記録媒体8の表面全域を所定の表面電位に帯電し、粒子供給装置18よりインク受容性粒子16を供給させ粒子層を形成する。そして、インクジェット記録ヘッド20により粒子層上にインク滴を吐出し画像を形成する。これによりインク受容性粒子16にインクを受容させる。次に、記録媒体8を搬送ベルト13から剥離させた後、ベルト・ロール方式の定着装置25により、定着樹脂15をインク受容性粒子層16A表面に供給しつつ圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上でインク受容性粒子層16Aを定着する。
以下、上記実施形態で好適に適用するインク受容性粒子について詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
インク受容性粒子は、インクが当該粒子と接触したとき、インク成分を受容するものである。ここで、インク受容性とは、インク成分の少なくとも一部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。そして、インク受容性粒子は、例えば、全単量体成分に対して極性基を持つ極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下の有機樹脂を少なくとも含んで構成されている。具体的には、インク受容性粒子は、例えば、上記有機樹脂を含んで構成される粒子(以下、親水性有機粒子と称する。)を有する構成が挙げられる(以下、この親水性有機粒子を含んで構成される粒子を「母粒子」と称する)。
ここで、インク受容性粒子が親水性であるとは、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下の有機樹脂を少なくとも含むことを意味する。このインク受容性粒子は疎水性に比べ粘着性が高い性質をもつ。
インク受容性粒子は、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態でもよいし、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態であってもよい。
ここで、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態の場合、インク受容性粒子がインクを受容する際、インクがインク受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分を親水性有機粒子によってインク液体成分が吸液される。
このようにして、インク受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容したインク受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
他方、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態の場合、インク受容性粒子がインクを受容する際、まず、インクがインク受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分を複合体粒子を構成する粒子(少なくとも親水性有機粒子)間の空隙(以下、粒子間空隙をトラップ構造と称する場合がある)により捕獲(トラップ)する。このとき、インクの成分のうち記録材は、インク受容性粒子表面に付着又はトラップ構造により捕獲(トラップ)される。このようにして、インク受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容したインク受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
このトラップ構造によるインク液体成分の捕獲(トラップ)は、粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による物理的及び/又は化学的な捕獲である。
そして、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態を適用することで、当該複合体粒子を構成する粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による捕獲(トラップ)に加え、親水性有機粒子によってインク液体成分が吸液・保持される。
また、親水性有機粒子によってもインク液体成分が吸収、保持される。
また、インク受容性粒子の転写後、インク受容性粒子を構成する親水性有機粒子の成分は、インクに含まれる記録材の結着樹脂や被覆樹脂としても機能する。さらに、インク受容性粒子が複合体粒子の場合、そのトラップ構造に記録材をトラップする。特に、インク受容性粒子を構成する親水性有機粒子の成分として、透明樹脂を適用することが望ましい。
なお、記録材として顔料等の不溶成分、分散粒子状物を用いたインク(例えば顔料インク)の定着性(耐擦性)を改善するためにはインクに多量の樹脂添加が必要だが、インク(その処理液含む)中に多量のポリマーを添加すると、インク吐出手段のノズル目詰り等の信頼性が悪化してしまう。これに対し、上記構成では、インク受容性粒子を構成する有機樹脂成分が当該樹脂の機能を果たすことも可能である。
ここで、「前記複合体粒子を構成する粒子間の空隙」、即ち「トラップ構造」は、少なくとも液体を捕獲し得る物理的な粒子壁構造である。そして、この空隙の大きさは、最大口径で、0.1μm以上5μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.3μm以上1μm以下である。特に、空隙の大きさは、記録材、特に例えば体積平均粒径100nmの顔料をトラップし得る大きさであることがよい。なお、最大開口径が50nm未満の微細孔が存在してもよい。また、空隙や毛細管は粒子内部で通じていることがよい。
この空隙の大きさは、次のようにして求める。粒子表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置に読み取り、2値化処理により空隙を検出し、空隙の大きさ、及び、分布を解析することで求めることが可能である。
このように、トラップ構造は、インクの成分のうち液体成分のみならず、記録材もトラップすることがよい。インク液体成分と共に記録材、特に顔料をトラップ構造に捕獲(トラップ)させると、インク受容性粒子内部に記録材が偏在することなく保持・固定される。なお、インクの液体成分は、主にインク溶媒や分散媒(ビヒクル液体)である。
以下、インク受容性粒子についてさらに詳細に説明する。インク受容性粒子は、上述のように母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態であってもよく、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態あってもよい。そして、複合体粒子を構成する親水性有機粒子以外の粒子としては無機粒子や多孔質粒子などが挙げられる。無論、母粒子は複数の親水性有機粒子のみが集合した複合体粒子で構成してもよい。また、母粒子表面に付着させる粒子としては、疎水性有機粒子以外にも例えば無機粒子が挙げられる。
インク受容性粒子の具体的な構成としては、例えば、図10に示すように、親水性有機粒子201A単独の粒子(一次粒子)で構成した母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有するインク受容性粒子200の形態が挙げられる。また、図11に示すように、親水性有機粒子201Aと無機粒子201Bとが複合化された複合体粒子の母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有するインク受容性粒子210の形態も挙げられる。なお、この複合体粒子の母粒子は各粒子間の空隙により空隙構造が形成される。
ここで、母粒子を複合体粒子で構成する場合、親水性有機粒子と他の粒子との質量比率(親水性有機粒子:他の粒子)は、例えば、他の粒子が無機粒子の場合、5:1以上1:10以下の範囲であることが挙げられる。
また、母粒子の粒径は、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。
また、母粒子を複合体粒子で構成する場合、そのBET比表面積(N)が例えば1m/g以上750m/g以下の範囲であることが挙げられる。
そして、母粒子を複合体粒子で構成する場合、複合体粒子は、例えば、粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合体粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、粒子の少なくとも一部が解離する、即ち複合体粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけてもよい。
次に、親水性有機粒子について説明する。親水性有機粒子は、例えば、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下であり、望ましくは15mol%以上85mol%以下であり、さらに望ましくは30mol%以上80mol%以下である有機樹脂を含んで構成されている。具体的には、親水性有機粒子は、上記極性単量体の比率の有機樹脂(以下、吸水性樹脂と称する)を含んで構成されることがよい。
ここで、極性単量体とは、極性基としてエチレンオキサイド基、カルボン酸、スルホン酸、置換若しくは未置換のアミノ基、水酸基、アンモニウム基及びこれらの塩を含む単量体である。例えば、正帯電性付与の場合、例えば(置換)アミノ基、アンモニウム基、(置換)ピリジン基やそのアミン塩、4級アンモニウム塩等の造塩化構造の単量体であることが望ましい。負帯電付与の場合、カルボン酸(塩)、スルホン酸(塩)等の有機酸(塩)構造の単量体であることが望ましい。
なお、極性単量体の比率は、次のようにして求める。まず質量分析、NMR,IRなどの分析手法から有機成分の構成を特定する。その後、JIS K0070又はJIS K2501に準拠して、有機成分の酸価、塩基価を測定する。有機成分の構成、及び、酸価/塩基価から極性単量体の比率を計算で求めることができる。以下同様である。
親水性有機粒子は例えば吸液性樹脂で構成される。吸液したインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、軟化して定着性に寄与することが可能である
吸液性樹脂は弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)から数百%(≒500%)、望ましくは5%以上150%以下程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。
吸液性樹脂は、例えば、親水性単量体の単独重合体、或いは親水性単量体と疎水性単量体との両単量体から構成された共重合体で構成することができるが、弱吸水性樹脂とするためには当該共重合体が望ましい。なお、単量体だけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
ここで、親水性単量体としては、−OH、−EOユニット(エチレンオキサイド基)、−COOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等である。)、−SOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等)、−NR(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等である。)、−NRX(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等であり、Xは例えば、ハロゲン、硫酸根、カルボン酸等の酸アニオン類、BF、等々である。)等を含む単量体が挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和カルボン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。また、親水性ユニットもしくは単量体としては、セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、でんぷん誘導体、単糖類・多糖類誘導体、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、等の重合性カルボン酸類やこれらの(部分)中和塩類、ビニルアルコール類、ビニルピロリドン、ビニルピリジンやアミノ(メタ)アクリレート及びジメチルアミノ(メタ)アクリレートの如き誘導体、更にはこれらのオニウム塩類、アクリルアミドやイソプロピルアクリルアミド等のアミド類、ポリエチレンオキサイド鎖含有ビニル化合物類、水酸基含有ビニル化合物類、多官能カルボン酸と多価アルコールから構成されるポリエステル類、特にトリメリット酸の如き3官能以上の酸を構成成分として含有し末端カルボン酸や水酸基を多く含む分岐ポリエステル、ポリエチレングリコール構造を含むポリエステル、等も挙げられる。
疎水性単量体としては、疎水性基を有する単量体が挙げられ、具体的には、例えばオレフィン(エチレン、ブタジエン等)、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。疎水性ユニットもしくは単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等、及びこれらの誘導体も挙げられる。
この親水性単量体と疎水性単量体との共重合体である吸液性樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン/(メタ)アクリル酸/(無水)マレイン酸類共重合体、エチレン/プロピレン等のオレフィン系ポリマー(又はこの変性体、又は共重合によるカルボン酸ユニット導入物)、トリメリット酸等で酸価を向上した分岐ポリエステル、ポリアミド等が好適に挙げられる。
吸液性樹脂には、例えば、中和塩構造(例えばカルボン酸など)を含むことが挙げられる。このカルボン酸などの中和塩構造は、カチオン(例えばNa,Li等の一価金属カチオン等)を含むインクを吸液したとき、当該カチオンとの相互作用で、アイオノマーを形成する。
吸液性樹脂には、置換或いは未置換アミノ基や、置換或いは未置換ピリジン基を含むことも望ましい。当該基は、殺菌効果や、アニオン基を有する記録材(例えば顔料や染料)との相互作用を及ぼす。
ここで、吸液性樹脂において、親水性ユニット(親水性単量体)と疎水性ユニット(親水性単量体)とのモル比(親水性単量体:疎水性単量体)は、例えば5:95以上70:30以下が挙げられる。
また、吸収性樹脂は、インクから供給されるイオンによりイオン架橋してもよい。具体的には、吸水性樹脂中が(メタ)アクリル酸やマレイン酸等のカルボン酸を含む共重合体やカルボン酸を有する(分岐)ポリエステル等、樹脂中にカルボン酸を含むユニットを存在させることができる。樹脂中のカルボン酸と水性インク等の液体から供給されるアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、有機アミン・オニウムカチオン等とでイオン架橋や酸・塩基相互作用等が生じる。
吸液性樹脂及び疎水性有機粒子を構成する非吸液性樹脂(以下、まとめて有機樹脂と称する)の共通の特性について説明する。
吸液性樹脂は、直鎖構造でもよいが、分嵯構造がよい。また、吸液性樹脂は、非架橋もしくは低架橋であることが望ましい。また、吸液性樹脂は直鎖構造のランダム共重合体やブロック共重合体でもよいが、分岐構造の重合体(分岐構造のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)が更に好適に使用できる。例えば、重縮合で合成されるポリエステルの場合、分岐構造で末端基を増加させることができる。この分岐構造は、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート類等のいわゆる架橋剤を合成時に添加したり(例えば1%未満の添加)、架橋剤と共に開始剤を多量添加することで合成することが一般的な手法の一つである。
吸液性樹脂には、更には低分子の4級アンモニウム塩類や有機ホウ酸塩類、サリチル酸誘導体の造塩化合物類等、電子写真トナー用帯電制御剤を吸液性樹脂に添加してもよい。導電性の制御は酸化スズや酸化チタン等の導電性(ここで、導電性とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。以下、他も特記がない限り同様である。)、半導電性(ここで、半導電性とは例えば体積抵抗率が10Ωcm以上1013Ωcm以下を意味する。以下、他も特記がない限り同様である。)の無機物質添加が有効である。
吸液性樹脂は、非結晶樹脂であることがよく、そのガラス転移温度(Tg)は、例えば40℃以上90℃以下が挙げられる。ガラス転移温度(及び融点)は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
吸液性樹脂の重量平均分子量は、例えば3000以上30万以下が挙げられる。重量平均分子量は、以下の条件で行ったものである。例えば、GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
吸液性樹脂の酸価は、例えばカルボン酸基(−COOH)換算で50mgKOH/g以上777mgKOH/g以下が挙げられる。このカルボン酸基(−COOH)換算での酸価の測定は次のように行った。
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
以上説明した吸液性樹脂は、いずれの形態であっても極性単量体の比率を上記範囲に制御して使用される。
親水性有機粒子の粒径は、その一次粒子を母粒子とする場合、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。一方、複合体粒子を構成する場合、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。
親水性有機粒子のインク受容性粒子全体に対する比率は、例えば質量比で75%以上望ましくは85%以上であり、より望ましくは90%以上99%以下)の範囲が挙げられる。
次に、親水性有機粒子と共に複合粒子を構成する無機粒子、及び母粒子に付着させる無機粒子について説明する。無機粒子としては、非多孔質粒子、多孔質粒子のいずれも使用することができる。無機粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。これら無機粒子は、表面処理(部分疎水化処理、特定官能基導入処理等)を施されてもよい。例えば、シリカの場合には、シリカの水酸基をトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリル化剤で処理してアルキル基を導入する。シリル化剤によって脱塩酸が生じ、反応が進む。この際、アミンを添加すると塩酸を塩酸塩にして反応を促進することもできる。疎水性基としてアルキル基やフェニル基を有するシランカップリング剤やチタネート系、ジルコネート系等のカップリング剤の処理量や処理条件を制御することでコントロールできる。また、脂肪族アルコール類や高級脂肪酸及び同誘導体類での表面処理も可能である。また、(置換)アミノ基や四級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤等のカチオン性官能基を有するカップリング剤類、フルオロシランの様なフッ素系官能基を有するカップリング剤、その他カルボン酸等のアニオン性官能基を有するカップリング剤類での表面処理も可能である。なお、これらの無機粒子は、親水性有機粒子内部に含まれる、所謂内添されていてもよい。
また、複合体粒子を構成する無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。一方、母粒子に付着させる無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上1μm以下(望ましくは10nm以上0.1μm以下、より望ましくは10nm以上0.05μm以下)の範囲が挙げられる。
次に、インク受容性粒子のその他添加剤について説明する。まず、インク受容性粒子には、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含むことが望ましい。
この機能を有する成分は、上記吸液性樹脂粒子を構成する樹脂(樹脂吸水性樹脂)の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
また、当該化合物としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が好適に挙げられる。
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。Xとして望ましくは、CO、NH、NR,Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na,Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3以上7以下の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1以上5以下の整数である。
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。
有機酸としては、望ましくは、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。より望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。さらに望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくは、これらの化合物誘導体、又は、これらの塩である。
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミン、ベンザルコニウム、アルキルピリジウム、イミダゾリウム、ポリアミン、及び、それらの誘導体、又は、塩等が挙げられる。具体的には、アミルアミン、ブチルアミン、プロパノールアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルベンジルアミン、エチレンジアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、シクロオクチルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジペンチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルオクチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルヘキシルアミン、アミノ−ブタノール、アミノ−プロパノール、アミノ−プロパンジオール、N−アセチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、セチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリチルアミン、ビス(2−アミノエチル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、ブチルアミン、ブチルイソプロピルアミン、プロパンジアミン、プロピルジアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2−メチル−シクロヘキシルアミン、メチル−プロピルアミン、メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ラウリルアミン、ノニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレシジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムク口ライド、ステアラミドメチルビリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等)が好適に用いられる。
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下であることが望ましい。より望ましくは、0.1質量%以上15質量%以下であり、更に望ましくは、1質量%以上15質量%以下である。
インク受容性粒子には、離型剤が含まれていることがよい。離型剤は、上記吸液性樹脂に含ませてもよいし、親水性有機樹脂粒子と共に離型剤の粒子を複合化して含ませてもよい。
この離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも結晶性化合物を適用することがよい。
以下、上記実施形態で適用されるインクについて詳細に説明する。インクは水性インクが使用される。水性インク(以下、単にインクと称する)は、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含んでいる。また、必要に応じて、その他、添加剤を含んでいてもよい。
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いることができるが、顔料であることがよい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用することも可能である。
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用可能な顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用できる。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いることができる。
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000以上50000以下のものが挙げられる。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1質量%以上100質量%以下が挙げられる。
色材として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cabot260、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
更に、樹脂により被覆された顔料等を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料を用いることもできる。
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5質量%以上30質量%以下が挙げられる。
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下であることが挙げられる。
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 ( Leeds&Northrup社製 )を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
次に、水溶性有機溶媒について説明する。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下が挙げられる。
次に、水について説明する。水としては、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが望ましい。
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、界面活性剤を添加することができる。
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
以下、界面活性剤の具体例を列挙する。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用でき、望ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、望ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が用いられる。
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると3以上20以下の範囲であることが望ましい。
これらの界面活性剤の添加量は、0.001質量%以上5質量%以下が望ましく、0.01質量%以上3質量%以下が特に望ましい。
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが挙げられる。
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下であることが挙げられる。
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
以上、実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド20から画像データに基づいて選択的にインク滴20Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体8に記録されるようになっているが、記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係る装置を適用することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
[実施例1]
上記第1実施形態と同様な構成の記録装置(図1から3まで参照:但し、記録ヘッドはブラックの一色のみ)を用いて、定着装置において供給する定着樹脂の種類・供給量を表1に従って変えて画像形成を行い、評価を行った。
但し、中間転写体上の離型剤による離型層の層厚(離型剤の塗布量)を1μm、中間転写体上のインク受容性粒子による粒子層の層厚(インク受容性粒子の供給量:供給時)を15μm、インクの吐出量を1200×1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数)の画像面積密度で1画素当り4pL、定着温度を160℃、プロセス速度を300mm/sec、記録媒体をOKトップコートN紙(王子製紙社製)とした。
なお、インク受容性粒子、インクは、以下のようにして作製したものを用いた。
・スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体粒子(極性単量体比率33%、球換算平均粒径8μm):100質量部
・非晶質シリカ(母粒子構成粒子:Aerosil OX50/Degussa社、球換算平均粒径0.04μm):5質量部
・非晶質シリカ(母粒子構成粒子:Aerosil TT600/Degussa社、球換算平均粒径0.04μm):5質量部
・ポリプロピレンワックス(ペレスタット300/三洋化成社製):1質量部
以上の成分を攪拌混合(サンプルミルで30秒)した後、少量の水酸化ナトリウム水溶液を加え、メカノフュージョンシステムにて断続的に処理し複合粒子化した。断続駆動条件毎に粒径を測定し、9μmとなった段階で取り出し、粒子(球換算平均粒径9μm、空隙の大きさ(最大口径)0.75μm)を得た。これインク受容性粒子とした。
−インク−
・カーボンブラック(CB):5質量部
・スチレン/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸:1.5質量部
・グリセリン:20質量部
・トリエチレングリコール:5質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:2質量部
・オルフィンE1010 (日信化学社製):1質量部
・水:残部
以上材料を混合し、液体を得た。この液体の表面張力は31mN/mであった。
(評価)
−表面光沢性−
表面光沢性は以下のようにして評価した。表面光沢性を評価する尺度として、べた画像グロスをJIS Z 8741に基づき、Gloss Meter GM−26D(村上色彩技術研究所)を用い、入射角75°で測定した。なお、評価基準は以下の通りである。
A:グロスが100%以上
B:グロスが90%以上99%以下の範囲
C:グロスが80以上89%以下の範囲
D:グロスが79%以下
−耐擦性−
ベタ画像を、指で擦った後、目視により以下の判断基準で評価を行った。
◎:ベタ部周辺の擦り方向に汚れがない
○:ベタ部周辺の擦り方向に汚れが若干認められたが実用上問題ない
△:ベタ部周辺の擦り方向に汚れが若干認められ、汚れが認識できる
×:ベタ部周辺の擦り方向に汚れが著しかった
−定着率−
定着率の評価は、テープ剥離試験法により行った。テープ剥離試験は定着画像上に粘着テープ(スコットメンディングテープ;3M社製)を軽く貼り、円柱ブロックを円周方向に転がすことにより、250g/cmの線圧にて該テープを画像面に密着させ、しかる後、該テープを引き剥がし、そのテープ引き剥がし前後の画像の光学濃度比を定着率とした。評価基準は以下の通りである。
◎:定着率が95%以上
○:定着率が85〜94%
△:定着率が70〜84%
×:定着率が69%以下
上記結果から、本実施例では、定着樹脂の供給量を制御する事により、表面光沢性を変化(制御)する事が可能である事がわかる。また、例4の比較例に比べ、耐擦性、定着率に優れることがわかる。
[実施例2]
上記第2実施形態と同様な構成の記録装置(図4から5まで参照:但し、記録ヘッドはブラックの一色のみ)を用いて、定着装置において供給する定着ワックス樹脂の種類・供給量を表2に従って変えて画像形成を行った以外は、実施例1と道同様にして評価を行った。
上記結果から、本実施例では、定着樹脂の供給量を制御する事により、表面光沢性を変化(制御)する事が可能である事がわかる。また、例4の比較例に比べ、耐擦性、定着率に優れることがわかる。
[実施例3]
上記第3実施形態と同様な構成の記録装置(図6から7まで参照:但し、記録ヘッドはブラックの一色のみ)を用いて、定着装置において供給する定着樹脂の種類・供給量を表3に従って変えて画像形成を行い、評価を行った以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
上記結果から、本実施例では、例4の比較例に比べ、表面光沢性、耐擦性、定着率に優れることがわかる。
加えて、本実施例において、プロセス速度を500mm/secまで上げて画像を形成したところ、同様の結果が得られ、高速に画像が形成できることもわかった。
第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第1実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。 第1実施形態に係るインク受容性粒子層を示す構成図である。 第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第2実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。 第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第3実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。 第4実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第4実施形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。 実施形態に係るインク受容性粒子の一例を示す概念図である。 実施形態に係るインク受容性粒子の他の一例を示す概念図である。
符号の説明
10 記録装置
11 記録装置
12 中間転写体
13 搬送ベルト
14 離型剤供給装置
14A 離型層
14B ブレード
14C 供給ロール
14D 離型剤
14 離型層供給装置
15 定着樹脂
15A 定着樹脂層
16 インク受容性粒子
16A インク受容性粒子層
16B 画像層
16C 粒子層
16D 残留粒子
17 定着ワックス樹脂
17A 定着ワックス樹脂層
18 インク受容性粒子供給装置
18A 粒子供給ロール
18B 帯電ブレード
19 インク受容性粒子収納カートリッジ
19A 供給管
20 インクジェット記録ヘッド
20A インク滴
20B ノズル面
22 転写装置
22A 加熱ロール
22B 加圧ロール
25 定着装置
23A 加熱ロール
23B 加圧ロール
23C 定着樹脂供給装置
23D 定着ワックス樹脂供給装置
24 クリーニング装置
28 帯電装置
28A 帯電ロール
28B 従動ロール
29 除電装置
31 従動ロール
150 予備定着装置
200 インク受容性粒子
201 母粒子
201A 親水性有機粒子
201B 無機粒子
202 無機粒子

Claims (10)

  1. 中間転写体と、
    インクを受容するインク受容性粒子を、前記中間転写体上に層状に供給する供給手段と、
    前記中間転写体上に供給された前記インク受容性粒子の層にインクを付与するインク付与手段と、
    前記インク受容性粒子の層を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記インク受容性粒子の層を、当該層表面に樹脂を供給すると共に記録媒体に定着する定着手段と、
    を有することを特徴とする記録装置。
  2. 前記定着手段は、加熱部材と、前記加熱部材に接触される加圧部材と、前記加圧部材の表面に樹脂を供給する樹脂供給部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記樹脂供給部材は、静電力により前記樹脂を前記加圧部材の表面に供給する供給ロールを備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記加熱部材は、ベルト部材であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  5. 前記定着手段は、定着後に前記インク受容性粒子の層を冷却する冷却部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  6. インクを受容するインク受容性粒子を、記録媒体上に層状に供給する供給手段と、
    前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子の層にインクを付与するインク付与手段と、
    前記記録媒体上に供給された前記インク受容性粒子の層を、当該層表面に樹脂を供給すると共に記録媒体に定着する定着手段と、
    を有することを特徴とする記録装置。
  7. 前記定着手段は、加熱部材と、前記加熱部材に接触される加圧部材と、前記加圧部材の表面に樹脂を供給する樹脂供給部材と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記樹脂供給部材は、静電力により前記樹脂を前記加圧部材の表面に供給する供給ロールを備えることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記加熱部材は、ベルト部材であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  10. 前記定着手段は、定着後に前記インク受容性粒子の層を冷却する冷却部材をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012171186A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Fujifilm Corp マット剤塗布装置およびインクジェット記録装置
JP2015221560A (ja) * 2014-05-01 2015-12-10 キヤノン株式会社 画像記録方法および画像記録装置

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