JP2008163477A - 耐熱性ペーパー - Google Patents

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朋子 高野
Koji Kanno
幸治 菅埜
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Abstract

【課題】耐熱性、耐薬品性に優れ、熱溶融せず、高温時の寸法安定性に優れ、また、高強度である優れた耐熱性ペーパーを提供する。
【解決手段】少なくとも一部に分枝構造を有している耐熱性繊維と、繊維長0.01〜20mmのポリアリーレンスルフィド酸化物繊維とを含み、かつ、示差走査型熱量計(DSC)の測定による融解熱量が5J/g以下であるかまたは吸熱ピークを有しないことを特徴とする耐熱性ペーパー。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性ペーパーに関するものである。
ポリアリーレンスルフィド繊維(以下、PPS繊維という)は、耐熱性、耐薬品性に優れた繊維として、広く知られている。また、特許文献1や特許文献2や特許文献3に示されるように、PPS繊維を酸化処理して、ポリアリーレンスルフィド酸化物繊維(以下、PPSO繊維という)は、ポリアリーレンスルフィド繊維に比較して、耐熱性、耐薬品性に優れ、さらには熱溶融しない優れた点を有する繊維である。このPPSO繊維を用いたペーパーは、特許文献4に示されている。しかし、PPSO繊維からなるペーパーは強度が十分でない、薄い紙では破れやすく取り扱いが困難である、等の問題がある。
一方、アラミド繊維は耐熱性に優れ、高強度であり、アラミド繊維によって構成されるペーパーは広く知られている(特許文献5等)。しかし、アラミド繊維は、酸性の薬品には劣化する等耐薬品性に劣るという問題がある。
このため、耐薬品性を必要とする用途においては、耐薬品性に優れるPPS繊維と混抄などされてきた(特許文献6)。しかしながら、PPS繊維を用いた紙は高温時の熱収縮率が大きく昇温時の寸法安定性に劣る、さらに高温になったときには熱溶融してしまうという問題があった。
特開平1−272863号公報 特開平7−39735号公報 特開平5−230760号公報 特開2006−225807号公報 特開2000−273788号公報 特開2001−40597号公報
本発明は、かかる背景技術の問題点に鑑み、耐熱性、耐薬品性に優れ、熱溶融せず、高温時の寸法安定性に優れ、また、高強度である優れた耐熱性ペーパーを提供せんとするものである。
すなわち本発明は、少なくとも一部に分枝構造を有している耐熱性繊維と、繊維長0.01〜20mmのポリアリーレンスルフィド酸化物繊維とを含み、かつ、示差走査型熱量計(DSC)の測定による融解熱量が5J/g以下であるかまたは吸熱ピークを有しないことを特徴とする耐熱性ペーパーである。
耐熱性にすぐれ高温でも熱溶融せず、耐薬品性に優れ、寸法安定性に優れ、かつ、高強度である耐熱性ペーパーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の耐熱性ペーパーは、耐熱性繊維を含んでなる。耐熱性繊維とは、分解温度が200℃以上であり、かつ、分解温度以下において融解をしない繊維のことをいう。具体的には、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ポリパラフェニレンゼンソビスオキサゾール(PBO)繊維などがある。なかでも、パラ系アラミド繊維、PBO繊維、とりわけパラ系アラミド繊維は、高強度である点で好ましい。
本発明の耐熱性ペーパーにおける耐熱性繊維は、繊維方向の少なくとも一部に分枝構造を有していることが重要である。ここでいう分枝構造とは、一本の単繊維の長さ方向に裂け目が入り、枝分かれした構造を言う。枝分かれは、再び1本の単繊維の状態に戻る形状でもよいし、戻らずに箒の先のようにばらけた形状であってもよい。また、枝分かれした繊維の一本一本がきわめて細いフィブリル構造も、分枝構造に含まれる。分枝構造を有することにより、繊維同士の絡合性が向上し、より高強度のペーパーを得ることができる。
分枝構造を有する耐熱性繊維を得る方法としては、上記のようにして得たPPSO繊維カットファイバーを力学的作用により叩解することによって得られる。本発明における力学的作用とは、カットファイバーをすり潰す作用を与えることの出来るものなら、いかなる方法も採用することが出来る。例えば、ナイヤガラビーターを用いても良いし、他の方法としては、ホモジナイザーやディスクリファイナーを用いても良いし、あるいは、ライカイ機やすり棒とすり鉢を用いても構わない。また、高圧の水流によるウォータージェットパンチによっても良い。
本発明の耐熱性ペーパーは、ポリアリーレンスルフィド酸化物(以下、「PPSO」と表す。)繊維も含むことが重要である。PPSO繊維を用いることによって、高温でも熱溶融せず、耐薬品性、特に耐酸性にも優れたペーパーを得ることができる。また、高温時の寸法安定性に優れたペーパーを得ることができる。
PPSOは、下記の一般式(1)で示される繰り返し単位を主要構成単位とするポリマーにより表される。また、当該繰り返し単位を主要構造単位として、下記の一般式(2)〜(8)で表される単位が共重合されていてもよい。
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
ここに、R”は、水素、ハロゲン、原子価の許容される範囲で任意の官能基により置換された脂肪族置換基、芳香族置換基で置換された脂肪族置換基のいずれかを表す。分子間のR”同士が互いに連結して架橋構造を形成していてもよい。
R””は、原子価の許容される範囲で任意の官能基により置換された脂肪族置換基を表す。
また、R”、R””はPPSOからなるポリマー鎖でもよい。
(R’”)、(R’”)はPPSOからなるポリマー鎖、mは0〜3のいずれかの整数、nは0〜2のいずれかの整数を表す。
また、Xは0、1、2のいずれかを表す。
一般式(1)で示される繰り返し単位のうち、Xが0、1、2である構造単位中に占める、Xが1または2である構造単位の比率は、0.5以上0.9以下が好ましく、さらに好ましくは0.7以上0.9以下である。
上記一般式(2)〜(8)で表される単位の共重合率としては、上記一般式(1))で表される単位1.0モル当たり1.0モル以下が好ましく、より好ましくは0.3モル以下である。
PPSO繊維は、例えばポリアリーレンスルフィド(以下、「PPS」と表す。)化合物からなる繊維を酸化処理することにより得ることができる。
PPSは、下記の一般式(9)で示される繰り返し単位を主要構成単位とするポリマーにより表される。また、当該繰り返し単位を主要構造単位として、下記の一般式(10)〜(16)で表される単位が共重合されていてもよい。
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
Figure 2008163477
ここに、Rは、水素、ハロゲン、原子価の許容される範囲で任意の官能基により置換された脂肪族置換基、芳香族置換基で置換された脂肪族置換基の少なくともいずれか1つを表し、水素または炭素数1〜4の脂肪族置換基が好ましい。
R’は、水素または原子価の許容される範囲で任意の官能基により置換された脂肪族置換基を表し、水素または炭素数1〜4の脂肪族置換基が好ましい。
上記一般式(10)〜(16)で表される単位の共重合率としては、上記一般式(9))で表される単位1.0モル当たり1.0モル以下が好ましく、より好ましくは0.3モル以下である。
PPSの具体例としては、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリ−p−トリレンスルフィド、ポリ−p−クロロフェニレンスルフィド、ポリ−p−フルオロフェニレンスルフィドなどが挙げられ、中でも好ましいのは、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリ−p−トリレンスルフィドであり、さらに好ましいのは、ポリ−p−フェニレンスルフィドである。
PPSの酸化反応処理に使用される反応溶媒・反応液としては、酸化反応処理に用いる酸化剤を均一に溶解するものであることが好ましい。反応溶媒・反応液の具体例としては、水、アセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、ピリジン、有機酸、有機酸無水物、鉱酸が挙げられる。中でも、水、有機酸、有機酸無水物または鉱酸を含むものが好ましい。
有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸などが挙げられる。なかでも、酢酸、トリフルオロ酢酸が好ましい。
有機酸無水物としては、下記一般式(a)で表される酸無水物が挙げられる。
Figure 2008163477
ここに、R、Rは、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族置換基、芳香族置換基、芳香族置換基で置換された脂肪族置換基のいずれかを表す。RおよびRは、互いに連結して環状構造を形成していてもよい。
一般式(a)で表される有機酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸、無水−クロロ安息香酸などが挙げられる。なかでも、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸が好ましい。
鉱酸の具体例としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸などが挙げられる。なかでも、硫酸、塩酸が好ましく、特に、硫酸が好ましい。
また、反応溶媒・反応液を単独で用いる他に、複数種の反応溶媒・反応液を混合して用いることも好ましい。特に好ましいのは、水、酢酸および硫酸が混合されたものである。その混合組成比としては、水5〜20質量%、酢酸60〜90質量%、硫酸5〜20質量%が好ましい。
PPSの酸化反応処理に使用される酸化剤としては、無機塩過酸化物、過酸化水素水から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
酸化剤として用いる無機塩過酸化物としては、過硫酸塩類、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類が好ましく挙げられる。ここで、塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙ることができる。なかでも、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。その具体例としては、過硫酸塩としては過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸塩としては過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過ホウ酸アンモニウム、過炭酸塩としては過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムなどが挙げられる。
また酸化剤としては、無機塩過酸化物および過酸化水素水から選択される一種以上と、有機酸および有機酸無水物から選択される一種以上との反応により生成される過酸化物(過酸を含む)も好ましい。
過酸化水素水と、有機酸または有機酸無水物との混合物から形成される過酸の具体例としては、過ギ酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸などを挙げることができる。中でも、過硫酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸が好ましく、過ホウ酸ナトリウム、過酢酸、トリフルオロ過酢酸がさらに好ましい。
酸化剤の濃度としては、処理効率の点からは高い濃度の方が好ましいが、工業的製法における安全性管理の上では低めに抑えることが好ましい。
例えば過酸の濃度としては、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは3〜8質量%である。
また例えば無機塩過酸化物の濃度としては、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
また、過酸化水素水と有機酸との反応により生成される過酸または過酸化物を用いる場合、その濃度としては、0.1〜10質量%が好ましい。
また、過酸化水素水と有機酸無水物との反応により生成される過酸または過酸化物を用いる場合、その濃度としては、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜8質量%である。
それぞれ、上記範囲内の濃度で酸化剤を使用することにより、安全で良好な反応を得ることができる。
例えば、示差走査熱量計(DSC−60:島津製作所)を用い、空気雰囲気下、サンプル量を5mg〜8mgの範囲内で秤量し、ステンレス製4.9MPa(50気圧)耐圧密閉容器にて、温度プログラムを30℃〜200℃(30℃から10℃/分昇温で200℃まで昇温)と設定して測定した時の過酢酸溶液の熱的挙動は、40%過酢酸溶液の場合が分解温度110℃、発熱量770J/gであり、酢酸および34.5%過酸化水素水を等重量用いて理論過酢酸濃度を40%に調製した平衡過酢酸の場合が分解温度133℃、発熱量704J/gであるのに対し、無水酢酸および34.5%過酸化水素水を等重量用いて理論過酢酸濃度を40%に調製した混合液体のそれは分解温度132℃、445J/gと約6割の発熱量であり、また9%のそれは分解温度110℃、230J/gと約3分の1の発熱量であり、非常に小さい。それ故に、酸化剤濃度を下げることで酸化反応処理プロセスの安全性を確保することは非常に重要である。
酸化反応処理は、反応溶媒・反応液の沸点以下の温度で行うことが好ましい。沸点以上の温度では系が加圧になり、酸化剤の分解が促進されたり煩雑な設備となる場合が多く、また安全面においても厳しいプロセス管理が必要とされる傾向にある。具体的な酸化反応処理温度は、用いる反応溶媒・反応液の沸点により異なるが、反応溶媒・反応液の沸点が許容する範囲内において、0〜100℃が好ましく、より好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは40〜70℃である。
例えば、酢酸を反応溶媒・反応液として用いる場合には、酸化反応処理温度としては50〜70℃が好ましく、この範囲内の温度により安全で良好な反応を得ることができる。
酸化反応処理時間としては、反応温度や酸化剤の濃度にもよるが、通常、60℃条件下、5質量%の酸化剤濃度において、1〜8時間が好ましい。
また、前記一般式(a)で示される酸無水物と過酸化水素との混合物から形成される過酸を酸化剤として用いる場合、安全性を確保した上で効率よく短時間で酸化反応処理を行うことが好ましい。例えば、酢酸および34.5%過酸化水素水を等質量用いて理論過酢酸濃度を40%に調製した平衡過酢酸を酸化剤として用いた場合の、60℃条件下の酸化反応処理に要する時間は約8時間であるのに対し、無水酢酸および34.5%過酸化水素水を等質量用いて理論過酢酸濃度を40%に調製した平衡過酢酸を酸化剤として用いた場合の、60℃条件下の酸化反応処理に要する時間は約2時間であり、非常に効率がよい。
酸化反応処理の方式としては、バッチ式または連続式、あるいはそれらを組み合わせたものを採用できる。また、1段式プロセスまたは多段式プロセスのいずれでも採用できる。
酸化反応処理において、PPS化合物からなる繊維と酸化剤の含まれる液体とを接触させる方法としては、酸化剤の含まれる液体中にPPS化合物からなる繊維を浸漬する方法、任意の形態で固定化したPPS化合物からなる繊維に酸化剤の含まれる液体を散布または噴霧する方法のいずれも採用できる。
PPSO繊維の平均繊維長としては、0.01〜20mmであり、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜6mmである。0.01mm未満であると、ペーパーにおいてPPSO繊維が保持されず、ペーパーからの脱落が生じる。20mmを超えると、ペーパーにおける分散性が悪く、ペーパーの地合が悪くなり、また強力斑が生じる。
PPSO繊維の短繊維を得る手順としては、前もってPPS繊維の短繊維を得ておいてから酸化反応処理を施してもよいし、PPS繊維を長繊維の状態で酸化反応処理してPPSO繊維の長繊維を得てから短繊維としてもよい。酸化反応処理の作業の容易さからは、前者を好ましく採用することができる。
PPSまたはPPSOの長繊維を短繊維にカットする手段としては、ECカッター、ギロチンカッター等を採用することができる。
PPSO繊維も、一部に分枝構造を有することが、繊維同士の絡合性を向上させ、より高強度のペーパーを得る上で好ましい。
上記したような耐熱性繊維からなるパルプとPPSO繊維とを含むペーパーを得る方法の一例を示す。まず、耐熱性繊維からなるパルプとPPSO繊維とを、水中に0.005〜5質量%分散させ、抄紙スラリーをつくる。分散させる繊維の量が多すぎると繊維の分散が不十分になる場合がある。また、分散させる繊維の量を少なくするには大量に水が必要になり生産効率が悪くなってしまう。
スラリーは、予め耐熱性繊維からなるパルプのスラリーとPPSO繊維のスラリーとを別々につくってから両者を抄紙機で混合してもよいし、直接、両方を含むスラリーをつくってもよい。
抄紙スラリーには、良好な分散状態を得るために分散剤や消泡剤等を添加してもよい。
抄紙スラリーを、丸網式、長網式、傾斜網式などの抄紙機または手漉き抄紙機を用いて抄紙し、これをヤンキードライヤーやロータリードライヤー等で乾燥し、本発明のペーパーとすることができる。
また、必要に応じてカレンダーロールなどを用いて加熱加圧処理を施して、所定の厚みになるようしてもよい。
本発明の耐熱性ペーパーは、示差走査型熱量系(DSC)の測定による融解熱量が5J/g以下であるかまたは吸熱ピークを有しないことが重要である。そうすることで、優れた耐熱性を保持することができ、また、熱融解によるピンホールの発生を防ぐことができる。
[測定・評価方法]
(1)耐熱性
試料を5〜10mg量り取り、示差走査型熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製)を用い、流速20mL/分の窒素流下で、昇温速度10℃/分で、30〜500℃、または30℃から熱分解の発熱により測定できなくなるまで昇温させた。試料と基準物質との温度差をゼロに保つのに必要な電気エネルギー(W)を縦軸、昇温の間の時間(s)を横軸とした示差熱量曲線を記録し、主吸熱ピークのピーク面積を融解熱量とした。また、吸熱が認められなかったものについては、吸熱ピークを有しないものとした。
(2)裂断長
JIS P 8113:1998に準じて測定した。
幅15mm、長さ250mmの試験片をタテ、ヨコ各10枚ずつ採取した。
つかみ間隔180mmで試験片を引張試験機に取り付け、引張速度20mm/分で引っ張り、破断までの最大荷重から次式により裂断長を求め、タテ・ヨコ含めた10枚の平均値を算出した。有効数字は小数点第1位までとした。
=(1/9.8)×(F/g・w)×10
ここに、L:裂断長(km)
F:破断までの最大荷重(N)
g:JIS P 8124に規定する方法によって測定した試験片の坪量(g/m2
w:試験片の幅(mm)。
(3)耐薬品性
濃度30質量%のHCl水溶液に試験片を100時間浸漬して、風乾し、上記(2)と同様の方法で裂断長(L’)を測定し、次式から強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=L’/L×100
ここに、L’:HCl水溶液処理を施した場合の裂断長
:HCl水溶液処理を施さない場合の裂断長。
(4)乾熱面積収縮率
縦横10cmの正方形の試験片を3枚採取した。
試験片を180℃の熱風乾燥機中で4時間熱処理し、25℃にて2時間放置後、試験片の面積を測定して、次式により収縮率を求め、3枚の平均値を算出した。
乾熱面積収縮率(%)={(A−B)/A}×100
ここに、A:熱処理前の試験片の面積(cm
B:熱処理後の試験片の面積(cm)。
[実施例1]
(アラミドパルプ)
パラ系アラミド繊維のパルプである“ケブラー”(R)タイプ979(デュポン社製)を用いた。当該繊維は融点を持たず、分解温度が426℃であった。
(PPSO繊維)
酢酸(関東化学社製)800L、過ホウ酸ナトリウム4水和物(三菱ガス化学社製)46.16kg(0.30mol)を反応容器に投入し、60℃で攪拌し、溶解させた。
この反応液に、PPS繊維“トルコン”(R)ステープルカットファイバー(繊度1.0dtex、捲縮あり、繊維長6mm)を浸漬させて、60℃、10時間酸化反応処理した。
その結果、繊維の質量は24.3%増加し、5.01kgのPPSO繊維を得た。得られたPPSO繊維は融点を持たず、分解温度が500℃であった。
(アラミドパルプのスラリー)
上記アラミドパルプを3gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、良く分散させるために15分とした。
(PPSO繊維のスラリー)
上記PPSO繊維を3gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
(製紙)
スラリーとして上記2種のスラリー1Lずつを、140メッシュの手漉抄紙網を底部に設置した手漉抄紙機(熊谷理機工業社製)に投入し、さらに水18Lを追加して抄紙スラリーの総量を20Lとし、攪拌棒で数回攪拌した。
次いで手漉抄紙機の水を抜き、抄紙網に残ったペーパーをろ紙に転写して、ろ紙ごとロータリー式乾燥機に投入して温度125℃、速度0.5m/minにて乾燥処理をした。この乾燥処理を処理時間2.5分で5回実施した。
乾燥処理したペーパーをろ紙から剥離して、鉄ロールとペーパーロールとからなるカレンダー加工機に通して、温度100℃、荷重100kN/25cm、ロール周速度2m/minでカレンダー加工を3回施した。
以上のようにして、実施例1のペーパーを5枚作成した。
DSCによる測定において、426℃で熱分解による発熱が生じ、融解による吸熱は認められなかった
[実施例2]
(アラミドパルプ)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(PPSO繊維)
実施例1と同様にして、PPSO繊維を得た。
さらにその一部については、PPSO繊維200gを水20Lとともに、50L型ナイアガラビーターに投入し、30分間、叩解処理を施した。
(アラミドパルプのスラリー)
上記アラミドパルプを用い、実施例1と同様にしてアラミドパルプのスラリーを得た。
(PPSO繊維のスラリー)
上記PPSO繊維の叩解処理を施していないものを2gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
また、上記PPSO繊維の叩解処理を施したものを1gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、良く分散させるために15分とした。
(製紙)
スラリーとして上記アラミドパルプのスラリー1L、上記PPSO繊維(叩解処理なし)のスラリー1L、上記PPSO繊維(叩解処理あり)のスラリー1Lを用い、また水の追加量を17Lとした以外は実施例1と同様にして、ペーパーを得た。
DSCによる測定において、426℃で熱分解による発熱が生じ、融解による吸熱は認められなかった
[比較例1]
PPS繊維100%ペーパー“トルコン”(R)ペーパーPS0080(東レ(株)/廣瀬製紙(株)/三菱商事(株)社製)を比較例1とした。
[比較例2]
メタ系アラミド繊維100%ペーパー“ノーメックス”(R)ペーパータイプ410、3mil(デュポン帝人アドバンスドペーパー(株)社製)を比較例2とした。
DSCによる測定において、430℃で熱分解による発熱が生じ、融解による吸熱は認められなかった
[比較例3]
(PPSO繊維)
実施例1と同様にして、PPSO繊維を得た。
さらにその一部については、PPSO繊維200gを水20Lとともに、50L型ナイアガラビーターに投入し、30分間、叩解処理を施した。
(PPSO繊維のスラリー)
上記PPSO繊維の叩解処理を施していないものを3gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
また、上記PPSO繊維の叩解処理を施したものを3gとり、水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌し、スラリーとした。攪拌時間としては、良く分散させるために15分とした。
(製紙)
スラリーとして上記PPSO繊維(叩解処理なし)のスラリー1L、上記PPSO繊維(叩解処理あり)のスラリー1Lを用いた以外は実施例1と同様にして、ペーパーを得た。
以上のようにして、比較例3のペーパーを5枚作成した。
DSCによる測定において、500℃で熱分解による発熱が生じ、融解による吸熱は認められなかった
Figure 2008163477
本発明の耐熱性ペーパーは、モーターや変圧器(トランス)の電気絶縁材や、ハニカム構造体に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも一部に分枝構造を有している耐熱性繊維と、繊維長0.01〜20mmのポリアリーレンスルフィド酸化物繊維とを含み、かつ、示差走査型熱量計(DSC)の測定による融解熱量が5J/g以下であるかまたは吸熱ピークを有しないことを特徴とする耐熱性ペーパー。
  2. 上記耐熱性繊維がパラ系アラミド繊維であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性ペーパー。
  3. 上記ポリアリーレンスルフィド酸化物繊維の一部が、分枝構造もしくはフィブリル構造を有したパルプであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性ペーパー。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010145866A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Fujifilm Corp 偏光フィルム及び偏光フィルムの製造方法、偏光板及び偏光板の製造方法、並びに乗り物用映り込み防止フィルム

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