JP2008162782A - エレベータのオーバーバランス調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オーバーバランスの調整を手間をかけずに簡単に行うことができるエレベータのオーバーバランス調整方法を提供する。
【解決手段】エレベータのオーバーバランス調整方法は、乗りかごの積載荷重がNLの状態で乗りかごを走行させ、走行時における荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間乗りかごを停止させておくために必要な停止トルク出力とを得る工程と、乗りかごの積載荷重がNL以外の状態で乗りかごを走行させ、走行時の荷重センサ出力と、走行後の停止トルク出力とを得る工程と、乗りかごの積載荷重がノーロードの状態における荷重センサの荷重センサ出力を基準に、乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態における荷重センサの荷重センサ出力との関係を補正する工程とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】エレベータのオーバーバランス調整方法は、乗りかごの積載荷重がNLの状態で乗りかごを走行させ、走行時における荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間乗りかごを停止させておくために必要な停止トルク出力とを得る工程と、乗りかごの積載荷重がNL以外の状態で乗りかごを走行させ、走行時の荷重センサ出力と、走行後の停止トルク出力とを得る工程と、乗りかごの積載荷重がノーロードの状態における荷重センサの荷重センサ出力を基準に、乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態における荷重センサの荷重センサ出力との関係を補正する工程とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、エレベータのオーバーバランス調整方法に関し、特に、オーバーバランスの調整を手間をかけず簡単に行うことができるエレベータのオーバーバランス調整方法に関する。
つり合い重りを使用するトラクション方式のエレベータは、機械的な仕様の要請から、つり合い重りの重量を、例えば、乗りかごの重量と乗りかごの定格積載荷重の45〜50%の重量との合計重量に合わせている。このようなつり合い重りの調整を、オーバーバランス調整と称している。
また、エレベータは快適な乗り心地を実現するため、滑らかにスタートし滑らかにストップすることが求められている。特に、乗りかごがスタート時につり合い重りの重量とのアンバランス方向に引っ張られたり、乗りかごがスタート時にスタート方向と逆方向に飛び出したりしないように、適正な荷重補償出力を駆動モータに加えてつり合い制御が行われている。
オーバーバランス調整及び駆動モータの荷重補償出力の調整においては、乗りかご内に乗りかごの定格積載荷重の45〜50%の重量の調整用重りを搬入してデータ測定を行い、この測定結果に基づいて調整する方法がとられている。
しかし、この場合には、乗りかごの定格積載荷重の45〜50%もある重量物の調整用重りを乗りかご内に搬入しなければならず、データ測定の作業は多大な労力と多大な時間とを必要としている。
そこで、重量物である調整用重りを乗りかご内に搬入することなくオーバーバランス調整を行えるようにした方法として、下記特許文献1に記載された方法が知られている。
下記特許文献1に記載された方法は、まず、乗りかごの積載荷重と駆動モータの電流値との相関関係の実測データを予め求めておく。この実測データを教師パターンとして学習させたニューラルネットワークを用い、乗りかごの無負荷における上昇時と下降時とに測定した駆動モータの電流値に基づき、オーバーバランス重量のバランスポイント値を算出し、算出したバランスポイント値に調整するために必要なつり合い重りの重量を計算している。
特開2000−86103号公報
しかしながら、前述のオーバーバランス調整方法においては、以下の点について配慮がなされていない。
前述のオーバーバランス調整方法では、乗りかごの積載荷重と駆動モータの電流値との相関関係の実測データを予め求めておく必要がある。したがって、実測データが得られていない場合には、この方法を適用することはできない。
例えば、エレベータの設置工事中であって乗りかごの内装工事が終了していないエレベータにおいては、乗りかごの重量が不明であり、完成前の乗りかごについてはその乗りかごの積載荷重と駆動モータの電流値との相関関係の実測データというものが存在しない。このため、設置工事中のエレベータを荷物運搬用として用いる場合には、やはり調整用重りを乗りかご内に搬入し、オーバーバランスの調整を行う必要がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、オーバーバランスの調整を簡単に行うことができるエレベータのオーバーバランス調整方法を提供することである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、エレベータのオーバーバランス調整方法において、乗りかごの積載荷重がノーロードの状態で駆動モータを駆動させて前記乗りかごを走行させ、走行時における前記乗りかごに設けられた荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間前記乗りかごを停止させておくために必要な前記駆動モータの停止トルク出力とを得る工程と、前記乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態で前記駆動モータを駆動させて前記乗りかごを走行させ、走行時における前記荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間前記乗りかごを停止させておくために必要な前記駆動モータの停止トルク出力とを得る工程と、前記乗りかごの積載荷重がノーロードの状態における前記荷重センサの荷重センサ出力を基準に、前記乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態における前記荷重センサの荷重センサ出力との関係を補正する工程と、を備えることである。
本発明によれば、エレベータのオーバーバランスの調整を、手間をかけずに簡単に行うことができる。
本発明の一実施の形態に係るエレベータのオーバーバランス調整方法について、図面を用いて説明する。
エレベータシステムは、図1に示すように、メインロープ1と、メインロープ1の一端側に連結される乗りかご2と、メインロープ1の他端側に連結されるつり合い重り3と、メインロープ1が掛け渡される巻上シーブ4と、巻上シーブ4を回転駆動させる駆動モータ5と、乗りかご2を昇降させる制御部6とを有している。乗りかご2は、かごフレーム2aとかごフレーム2aの内側に配置されるかご室2bとを有し、かごフレーム2aとかご室2bとの間に、乗りかご2の積載荷重に応じたかご室2bの沈み量を測定する荷重センサ7が設けられている。
制御部6には、荷重センサ7からの出力(荷重センサ出力)と、乗りかご2を上下方向に走行させて乗りかご2を停止させた後のブレーキを閉じるまでの間乗りかご2を停止させておくために必要な駆動モータ5の停止トルク出力とを記憶する記憶部8、記憶部8に記憶されている内容を表示させる表示部9とが設けられている。
エレベータのオーバーバランスの調整方法と、駆動モータ5の荷重補償出力の調整とについて、図2のフローチャート及び図3のグラフを参照して説明する。
乗りかご2の積載荷重を「0」の状態(以下、「ノーロード(NL)」の状態という。)とし、このNLの状態で乗りかご2が上下方向に走行可能となるように、荷重データとモータトルクとの比を仮セットする(S1)。
NLの状態で駆動モータ5を駆動させて乗りかご2を走行させ、この走行時における荷重センサ7の荷重センサ出力(a)と、1走行後にブレーキを閉じるまでの間乗りかご2を停止させておくために必要な駆動モータ5の停止トルク出力(b)とを取得する(S2)。走行中に取得されて記憶部8に記憶された荷重センサ出力(a)と停止トルク出力(b)との値は、表示部9に表示される。
つぎに、かご室2bに重りを積載し、乗りかご2の積載荷重を「0以外」の状態(以下、「ノーロード以外(NL以外)」の状態という。)とし、このNL以外の状態で駆動モータ5を駆動させて乗りかご2を走行させ、この走行時における荷重センサ7の出力(c)と、1走行後にブレーキを閉じるまでの間乗りかご2を停止させておくために必要な駆動モータ5の停止トルク出力(d)とを取得する(S3)。走行中に取得されて記憶部8に記憶された荷重センサ出力(c)と停止トルク出力(d)との値は、表示部9に表示される。この場合にかご室2bに積載する重りとしては、荷重センサ7が重量を認識できるだけの重量があればよく、また、その重りの重量は任意の値でよい。
ステップS2及びS3で読取った荷重センサ出力(a)、(c)を結ぶ荷重センサ出力線と、この荷重センサ出力線が原点を通る直交座標とを描く(S4)。この直交座標は、横軸に積載荷重(百分率)をとり、縦軸に荷重センサ出力をとったものである。この直交座標の原点が、乗りかご2側の重量(乗りかご2の重量と積載した重りとの重量)とつり合い重り3とがつり合った状態(以下、バランスロード(BL)の状態という。)である。このステップS4において描かれた直交座標と荷重センサ出力線とは、図3(a)に示すようになる。
つぎに、ステップS2及びS3で読取った停止トルク出力(b)、(d)を、図3(a)に示した直交座標に、縦軸に停止トルク出力をとってプロットし、プロットした点を結んだ停止トルク出力線を書き加える(S5)。この停止トルク出力線と、ステップS4で説明した荷重センサ出力線とが同じ直交座標上に描かれた状態は、図3(b)に示すようになる。
つぎに、ステップS5において描いた停止トルク出力線が、直交座標の原点を通るか否かを判定する(S6)。オーバーバランスが適切にセットされている場合、荷重センサ出力がBLの状態で原点となる図3(a)のグラフでは、乗りかご2側とつり合い重り3との重量が吊り合っているため、乗りかご2の停止時における停止トルク出力は“0”となるはずである。つまり、図3(b)に示すように、停止トルク出力線が原点を通らない場合は、オーバーバランスが適切に設定されていないことを意味する。
ステップS6の判定において、停止トルク出力線が図3(b)に示すように位置し、直交座標の原点を通らないと判定した場合は(S6のNO)、オーバーバランス調整のため、つり合い重り3の重量を増減し、乗りかご2をNLの状態とNL以外の状態とで再度走行させ、停止トルク出力(b´)、(d´)を再度取得する(S7)。
再度取得した停止トルク出力(b´)、(d´)を図3(b)に示した直交座標にプロットし、プロットした点を結んだ停止トルク出力線を再び書き加える(S5)。
ステップS7において取得された停止トルク出力(b´)、(d´)に基づいて再度書き加えれた停止トルク出力線が直交座標の原点を通るか否かを判定する(S6)。つり合い重り3を増減してステップS2からステップS5の作業を行う場合、荷重センサ出力(a)、(c)は変化せず、停止トルク出力(b)、(d)のみが(b´)、(d´)へと変化する。そして、つり合い重り3の増減を適切に行うことにより、停止トルク出力線は図3(c)に示すように直交座標の原点を通るようになる。
ステップS6の判定において、停止トルク出力線が図3(c)に示すように位置し、直交座標の原点付近を通ると判定した場合は(S6のYES)、そのときのつり合い重り3の重量がオーバーバランスが適切にセットされた場合の重量となり、オーバーバランスを決定する(S8)。オーバーバランスが適切にセットされれば、各荷重状態(NLの状態、NL以外の状態)において、荷重センサ出力に対する停止トルク出力の比(図3(c)に示す、a:b´とc:d´)が同じ値となる。
ステップS8においてオーバーバランスが決定された後は、乗りかご2のスタートをスムーズに開始できるか否かを判定する(S9)。スタート時に振動や衝撃などがある場合は(S9のNO)、駆動モータ5を調整することにより荷重補償出力の係数を調整し(S10)、乗りかご2のスタートをスムーズに開始できるか否かを再び判定する(S9)。
ステップS9において、乗りかご2のスタートをショックなく開始できると判定できた場合は(S9のYES)、オーバーバランスの調整と、駆動モータ5の荷重補償出力の調整とが終了する。
このような構成において、エレベータのオーバーバランスの調整に際し、定格積載荷重の45〜50%もある重量物の調整用重りを乗りかご2内に搬入する必要がなく、荷重センサ7が重量を認識できるだけの重量がある重りを乗りかご2に積載すればよい。したがって、オーバーバランス調整に要する手間と作業時間とを低減することができる。
また、エレベータの設置工事中であって乗りかご2の重量が不明な場合であっても、そのときの乗りかご2に対するオーバーバランス調整を行うことができ、設置工事中の乗りかご2を荷物運搬用として用いる場合でもオーバーバランスを適切に設定することができる。
なお、記憶部8に記憶された荷重センサ出力(a)、(c)と停止トルク出力(b)、(d)、(b´)、(d´)とを記憶部8から読み出した後、読み出したデータに基づいて荷重センサ出力線と停止トルク出力線とのグラフを作業員が描いてもよく、また、グラフを自動的に作成するアプリケーションソフトを使用してもよい。
また、本実施の形態では、NLの状態とNL以外の状態との合計2つのデータに基づいて荷重センサ出力線と停止トルク出力線とのグラフを作成する場合を例に挙げて説明している。しかし、NLの状態と2つ以上のNL以外の状態との合計3つ以上のデータに基づいて荷重センサ出力線と停止トルク出力線とのグラフを作成してもよく、この場合にはオーバーバランスの精度を高めることができる。
また、乗りかご2をNL以外の状態で走行させる場合に乗りかご2に積載する重りとして、昇降路ピット内に保管されているアンバランス発生用の重りを使用することができる。このアンバランス発生用の重りは、停電発生時等にブレーキ開放では乗りかご2が動かない場合に、乗りかご2側とつり合い重り3との重量のアンバランスを発生させるために持ち運び可能に用意されている重りである。エレベータをNL以外の状態で走行させる場合にこれらの重りを乗りかご2に積載することにより、作業員が重りを別個に準備することが不要となる。
NL以外の状態での走行のための重りを乗りかご2に積載する場合において、乗りかご2内に搬入するようにしてもよいが、乗りかご2の底部にフックを設けておき、このフックに重りを取付けるようにしてもよい。このようにすれば、昇降路ピット内から重りを持ち出すことなく乗りかご2に積載することが可能となる。
2 乗りかご
5 駆動モータ
7 荷重センサ
5 駆動モータ
7 荷重センサ
Claims (3)
- 乗りかごの積載荷重がノーロードの状態で駆動モータを駆動させて前記乗りかごを走行させ、走行時における前記乗りかごに設けられた荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間前記乗りかごを停止させておくために必要な前記駆動モータの停止トルク出力とを得る工程と、
前記乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態で前記駆動モータを駆動させて前記乗りかごを走行させ、走行時における前記荷重センサの荷重センサ出力と、走行後にブレーキを閉じるまでの間前記乗りかごを停止させておくために必要な前記駆動モータの停止トルク出力とを得る工程と、
前記乗りかごの積載荷重がノーロードの状態における前記荷重センサの荷重センサ出力を基準に、前記乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態における前記荷重センサの荷重センサ出力との関係を補正する工程と、
を備えることを特徴とするエレベータのオーバーバランス調整方法。 - 前記補正する工程は、
前記乗りかごの積載荷重がノーロード状態における前記荷重センサの荷重センサ出力と、前記乗りかごの積載荷重がノーロード以外の状態における前記荷重センサの荷重センサ出力とを結ぶ荷重センサ出力線を、横軸に積載荷重をとり縦軸に荷重センサ出力をとった直交座標の原点を通るように描く工程と、
前記直交座標に、ノーロード状態とノーロード以外の状態における前記駆動モータの停止トルク出力を、横軸に積載荷重をとり縦軸に停止トルク出力をとってプロットし、プロットした点を結んだ停止トルク出力線を描く工程と、
前記停止トルク出力線が前記直交座標の原点を通るか否かを判断する工程と、
前記停止トルク出力線が前記直交座標の原点を通らない場合は、つり合い重りの重量を増減して前記乗りかごを積載荷重がノーロードの状態とノーロード以外の状態とで走行させ、停止トルク出力を再度得る工程と、
再度得た前記停止トルク出力をプロットし、プロットした点を結んだ新たな停止出力トルク線を描く工程と、
を含み、
前記停止トルク出力線が前記直交座標の原点を通る場合における前記つり合い重りの重量をオーバーバランス調整された重量として決定することを特徴とする請求項1記載のエレベータのオーバーバランス調整方法。 - 前記乗りかごの積載荷重がノーロードの状態で前記乗りかごを走行させる場合に前記乗りかご内に積載する重りとして、昇降路ピット内に保管されているアンバランス発生用の重りを使用することを特徴とする請求項1記載のエレベータのオーバーバランス調整方法。
Priority Applications (1)
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JP2006356257A JP2008162782A (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | エレベータのオーバーバランス調整方法 |
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JP2006356257A Pending JP2008162782A (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | エレベータのオーバーバランス調整方法 |
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JP (1) | JP2008162782A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101665200B (zh) * | 2009-09-18 | 2011-09-14 | 广东台日电梯有限公司 | 轿厢偏载自动检测补偿装置与补偿方法 |
WO2015043146A1 (zh) * | 2013-09-29 | 2015-04-02 | 中国矿业大学 | 多绳提升机钢丝绳张力平衡位移调节状态监测方法及装置 |
-
2006
- 2006-12-28 JP JP2006356257A patent/JP2008162782A/ja active Pending
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